(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135325
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】開閉装置、操作装置及び巻取装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/80 20060101AFI20230921BHJP
E06B 9/40 20060101ALI20230921BHJP
E06B 9/60 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
E06B9/80 E
E06B9/40
E06B9/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040477
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】今 敦司
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA02
2E042CA03
2E042CB06
2E042DB14
(57)【要約】
【課題】プーリの回転速度を減速可能な開閉装置、操作装置及び巻取装置を提供する。
【解決手段】ロールスクリーンSrは、プーリ1p、ぜんまいバネ2、及び、ブレーキ部3を備える。プーリ1pは、操作コード1の一端が巻取り及び巻解き可能に連結され、操作コード1の操作により回転されることでスクリーンScを開閉動作させる回転力を伝達できる。ぜんまいバネ2は、操作コード1を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力をプーリ1pに付勢する。ブレーキ部3は、プーリ1pの一部に揺動可能に取り付けられ、一端がぜんまいバネ2によって押圧されることにより揺動し、他端がプーリ1pを収容するケース11に摺接することでプーリ1pの回転速度を減速させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結され、前記操作部材の操作により回転されることで開閉体を開閉動作させる回転力を伝達可能なプーリと、
前記操作部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、
前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている、開閉装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記操作部材が巻き解かれると縮径し、前記操作部材が巻き取られると拡径するぜんまいバネであり、
前記ブレーキ部は、前記ぜんまいバネが縮径されるにつれて他端が径外方向に移動するように揺動し、前記ぜんまいバネが拡径されるにつれて他端が径内方向に移動するように揺動する、請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記ブレーキ部は、
薄板状に形成された板バネであるブレーキ片と、
前記ブレーキ片の他端に取り付けられた凸状のブレーキチップと、を有し、
前記ブレーキチップが前記収容部に摺接することで、前記プーリの回転速度を減速させる、請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ブレーキチップは、前記ブレーキ片の他端に着脱可能である、請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
開閉装置が備える開閉体を開閉操作可能な操作装置であって、
操作部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結され、前記操作部材の操作により回転されることで前記開閉体を開閉動作させる回転力を伝達可能なプーリと、
前記操作部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、
前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている、操作装置。
【請求項6】
長尺部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結されたプーリと、
前記長尺部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、
前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている、巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置、操作装置及び巻取装置に関する。特に、操作部材などの巻取速度を減速させる、開閉装置、操作装置及び巻取装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
操作部材を操作することにより、その操作力を回転可能に支持された回転体に伝達させて、回転体を回転させることにより、遮蔽材を巻取り又は巻解くことよって遮蔽材を上昇及び下降できるブラインド(開閉装置)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたブラインド(開閉装置)は、遮蔽材の昇降操作を行う操作部が、回転自在なプーリと、プーリに一端が巻取り及び巻解き可能に連結される操作部材と、操作部材を常時プーリに巻き取る方向に付勢するバネ(付勢部材)と、操作部材のプーリへの所定量以上の巻取りを規制するストッパと、を備えている。そして、ブラインドは、ストッパによって巻取りが規制された操作部材の垂下部分を操作者が把持可能な把持部としている。
【0005】
特許文献1の構成によれば、ループ状ではない操作部材を用いてブラインドを操作可能であり、非操作時にはバネの付勢力により操作部材がプーリに巻き取られるため、操作者が操作部材に引っ掛かることを防止できる。
【0006】
ところで、上記公報に開示されたブラインドには、操作部材をプーリに巻き取るために操作部材を常時プーリに巻き取る方向に付勢するバネが設けられている。したがって、操作者が操作部材を引いた後に操作部材から手を放すと、プーリがバネによって操作部材を巻き取る方向に回転して操作部材を巻き取っていく。しかしながら、操作者が操作部材から急に手を離してしまうと、操作部材はバネの付勢力によって勢いよく上昇しながら跳ね上がってしまう場合があるため、プーリの回転速度を減速可能な開閉装置、操作装置及び巻取装置が望まれていた。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プーリの回転速度を減速可能な開閉装置、操作装置及び巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、操作部材を巻き取る回転力をプーリに付勢する付勢部材と、付勢部材によって押圧されることで、プーリを収容する収容部に摺接し、プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、をプーリに設けることで、上記課題を解決できると考え、これにより、以下のような新たな開閉装置、操作装置及び巻取装置を発明するに至った。
【0009】
(1)本発明による開閉装置は、操作部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結され、前記操作部材の操作により回転されることで開閉体を開閉動作させる回転力を伝達可能なプーリと、前記操作部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている。
【0010】
(2)前記付勢部材は、前記操作部材が巻き解かれると縮径し、前記操作部材が巻き取られると拡径するぜんまいバネであり、前記ブレーキ部は、前記ぜんまいバネが縮径されるにつれて他端が径外方向に移動するように揺動し、前記ぜんまいバネが拡径されるにつれて他端が径内方向に移動するように揺動することが好ましい。
【0011】
(3)前記ブレーキ部は、薄板状に形成された板バネであるブレーキ片と、前記ブレーキ片の他端に取り付けられた凸状のブレーキチップと、を有し、前記ブレーキチップが前記収容部に摺接することで、前記プーリの回転速度を減速させることが好ましい。
【0012】
(4)前記ブレーキチップは、前記ブレーキ片の他端に着脱可能であることが好ましい。
【0013】
(5)本発明による操作装置は、開閉装置が備える開閉体を開閉操作可能な操作装置であって、操作部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結され、前記操作部材の操作により回転されることで前記開閉体を開閉動作させる回転力を伝達可能なプーリと、前記操作部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている。
【0014】
(6)本発明による巻取装置は、長尺部材の一端が巻取り及び巻解き可能に連結されたプーリと、前記長尺部材を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力を前記プーリに付勢する付勢部材と、前記プーリの一部に揺動可能に取り付けられ、一端が前記付勢部材によって押圧されることにより揺動し、他端が前記プーリを収容する収容部に摺接することで前記プーリの回転速度を減速させるブレーキ部と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プーリの回転速度を減速可能な開閉装置、操作装置及び巻取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態による開閉装置の全体構成を示す正面図であり、開閉体を降下した状態図である。
【
図2】前記実施形態による開閉装置に備わるプーリの構成を示す斜視図である。
【
図3】前記実施形態による開閉装置に備わるプーリの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図4】前記実施形態による開閉装置に備わる操作装置の構成を示す縦断面図であり、
図4(A)は、操作部材をプーリが巻き取った状態図、
図4(B)は、操作部材を下方に引いた状態図である。
【
図5】前記実施形態による開閉装置に備わる操作装置の構成を示す縦断面図であり、
図5(A)は、操作部材をプーリが巻き取った状態図、
図5(B)は、操作部材を下方に引いた状態図である。
【
図6】前記実施形態による開閉装置の動作を表す図であり、
図6(A)は、操作部材が垂下した非操作状態における開閉装置の斜視図、
図6(B)は、操作部材をプーリが巻き取った状態における操作装置の縦断面図である。
【
図7】前記実施形態による開閉装置の動作を表す図であり、
図7(A)は、
図6(A)に示した状態から操作部材を引いた状態における開閉装置の斜視図、
図7(B)は、操作部材がプーリから巻き解かれた状態における操作装置の縦断面図である。
【
図8】前記実施形態による開閉装置の動作を表す図であり、
図8(A)は、最大限巻き解かれた操作部材を引いた後に手を離した状態における開閉装置の斜視図、
図8(B)は、最大限巻き解かれた操作部材をプーリに巻き取っている状態における操作装置の縦断面図である。
【
図9】前記実施形態による開閉装置の動作を表す図であり、
図9(A)は、
図8(A)に示した状態から操作部材を巻き取っている状態における開閉装置の斜視図、
図9(B)は、
図8(B)に示した状態から更に操作部材をプーリに巻き取っている状態図である。
【
図10】前記実施形態による開閉装置の動作を表す図であり、
図10(A)は、操作部材が非操作状態に復帰した状態における開閉装置の斜視図、
図10(B)は、
図9(B)に示した状態から操作部材をプーリに巻き取った状態における操作装置の縦断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態による巻取装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[開閉装置の構成]
(全体構成)
最初に、本発明の一実施形態による開閉装置の全体構成を説明する。
【0018】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による開閉装置(以下、ロールスクリーンという)Srは、建物の窓枠などの矩形の開口部に設置している。ロールスクリーンSrは、建物の室外に対して、窓ガラス(図示せず)などで仕切った室内に設置している。
【0019】
図1を参照すると、ロールスクリーンSrは、チャンネル状のセットフレームFs、開閉体となるシート状のスクリーンSc、及び、ウエイトバーBwを備えている。セットフレームFsは、一組のブラケットBr・Brを用いて、窓枠などの開口部の上面に固定している。
【0020】
図1を参照すると、ロールスクリーンSrは、一組のサイドプレートPs1・Ps2を備えている。セットフレームFsは、一対のサイドプレートPs1・Ps2を両端部に固定している。一組のサイドプレートPs1・Ps2は、巻取りパイプ9pを回転自在に支持している。
【0021】
図1を参照するとスクリーンScは、その一端部が巻取パイプ9pに連結され、巻取パイプ9pに巻取り及び巻解き可能に吊下げられている。スクリーンScの他端部には、円筒状のウエイトバーBwを連結している。
【0022】
図1を参照すると、巻取パイプ9pは、巻取スプリング9sを内蔵している。巻取パイプ9pの他端部は、サイドプレートPs2に回転可能に支持されている。
【0023】
図1を参照して、操作装置である操作ユニット10から垂下した操作部材である操作コード1を繰り返し下方に引き操作すると、巻取パイプ9pがスクリーンScを巻解く方向に回転する。スクリーンScを下降させた後に、操作コード1を所定量だけ下方に引き操作すると、後述するように第2クラッチCt2の作用により巻取パイプ9pと巻取パイプ回転支持軸81(
図4参照)との連結が解除され、巻取スプリング9sの蓄勢力によって巻取パイプ9pがスクリーンScを巻取る方向に回転する。
【0024】
図1を参照すると、ロールスクリーンSrは、第1クラッチCt1と第2クラッチCt2を備えている。又、ロールスクリーンSrは、第1ブレーキBk1と第2ブレーキBk2を備えている。
【0025】
図1を参照すると、操作ユニット10と巻取パイプ9pは、第1クラッチCt1を介して、連結されている。第1クラッチCt1は、操作ユニット10に内蔵されたプーリ1p(
図2から
図5参照)の一方向(巻解き方向)の回転のみを巻取パイプ9pに伝達できる。また、巻取パイプ9p側からの回転はプーリ1pに伝達しない。
【0026】
図1を参照して、第2クラッチCt2は、巻取パイプ9pと巻取パイプ回転支持軸81(
図4参照)とを連結又は連結解除できる。第2クラッチCt2は、操作コード1を所定量引き操作した後に手を離すことで、巻取パイプ9pと巻取パイプ回転支持軸81との連結を解除できる。
【0027】
図1を参照して、第1ブレーキBk1は、スクリーンScの巻取り方向に対する巻取パイプ9pの回転速度を減速させることができる。第2ブレーキBkは、スクリーンScの巻取り最終段階において、第1ブレーキBk1の減速を補助できる。これにより、第2ブレーキBkは、スクリーンScの巻取り最終段階において、ウエイトバーBwの跳ね上がりを防止できる。
【0028】
(巻取装置の構成)
次に、本発明の一実施形態による巻取装置である操作ユニット10の構成を説明する。
図2から
図5を参照すると、操作ユニット10は、操作コード1、収容部である円筒状のケース11、及び、プーリ1pを備えている。
【0029】
図4又は
図5を参照すると、ケース11は、操作ユニット10の外殻を構成している。ケース11は、一方の側面から後述するようにプーリ回転支持軸82の一端部が突出しており、他方の側面に形成した開口からは、プーリ1pの回転を第1クラッチCt1を介して巻取パイプ9pに伝達する係合突起(図示せず)が露出するとともに、プーリ1pの軸心から巻取パイプ回転支持軸81が軸方向に突出している。
【0030】
図4又は
図5を参照すると、ケース11の中心部には、巻取パイプ回転支持軸81とプーリ回転支持軸82が軸方向に延びている。巻取パイプ回転支持軸81とプーリ回転支持軸82は、相対回転不能に連結している。プーリ回転支持軸82の一端部は、サイドプレートPs1に固定されている。
【0031】
図4又は
図5を参照すると、プーリ1pは、ケース11の内部に収容されている。
図2又は
図3を参照すると、プーリ1pは、その一端部側に操作コード1を巻回している。操作コード1の一端部は、結び目によってプーリ1pに係止している(
図5参照)。操作コード1の他端部には、操作者が把持可能なグリップ1gを設けている(
図1、
図4又は
図5参照)。操作コード1は、グリップ1gから所定距離にストッパ1sを設けている(
図1、
図4又は
図5参照)。
【0032】
図4又は
図5を参照すると、操作コード1は、ケース11の底部に形成した開口を挿通しており、ケース11の内外を移動するが、ストッパ1sがケース11の底面に当接することで、操作コード1のプーリ1pへの所定量以上の巻取りを規制している。
【0033】
(プーリの構成)
図2又は
図3を参照すると、プーリ1pは、その他端部側に付勢部材となるぜんまいバネ2とブレーキ部3を取り付けている。ぜんまいバネ2はプーリ1pの内部に収容され、ぜんまいバネ2の一端部は、プーリ1pの外周に係止している(
図4(A)参照)。又、ぜんまいバネ2の他端部は、プーリ回転支持軸82に係止している(
図4(A)参照)。
【0034】
図4又は
図5を参照すると、プーリ回転支持軸82は、固定軸であり、プーリ回転支持軸82に対して、プーリ1pは相対回転する。ぜんまいバネ2は、操作コード1を巻き取る回転方向である巻取方向側への回転力をプーリ1pに付勢している(
図8(B)又は
図9(B)参照)。
【0035】
図2又は
図3を参照すると、ブレーキ部3は、ブレーキ片31と凸状のブレーキチップ32で構成している。ブレーキ片31は、薄板状に形成された板バネで構成している。ブレーキ片31は、その一端側がプーリ1pの外周に開口した取付孔11hに差し込まれている(
図3参照)。
【0036】
図2又は
図3を参照すると、ブレーキチップ32は、ブレーキ片31の他端に取り付けられている。ブレーキチップ32は、ブレーキ片31の他端に着脱可能に取り付けられている。ブレーキチップ32は、摩擦係数の大きいゴム体などからなることが好ましい。
【0037】
図4(A)に示すように、プーリ1pが操作コード1を巻き取った状態では、ブレーキ片31の一端は、拡径したぜんまいバネ2の間に配置されている。
図4(B)に示すように、操作コード1を引いて、ぜんまいバネ2に抗して操作コード1がプーリ1pから巻き解かれた状態では、ブレーキ片31の一端は、縮径したぜんまいバネ2に押されて、ブレーキ片31の一端と他端の境界を支点に揺動する。
【0038】
図4(B)を参照して、縮径したぜんまいバネ2に押されて、揺動したブレーキ片31は、その他端に設けたブレーキチップ32がケース11の内周に当接する。そして、プーリ1pが回転するときに、ブレーキチップ32がケース11の内周に摺接することでプーリ1pの回転速度を減速させることができる。
【0039】
図2から
図5を参照すると、このように、ブレーキ部3は、プーリ1pの一部に揺動可能に取り付けられたブレーキ片31の一端がぜんまいバネ2によって押圧されることにより揺動し、ブレーキ片31の他端がケース11の内周に摺接することでプーリ1pの回転速度を減速させることができる。
【0040】
[開閉装置の作用]
次に、実施形態によるロールスクリーンSrの動作を説明しながら、ロールスクリーンSrの作用及び効果を説明する。
【0041】
図6(A)を参照すると、ロールスクリーンSrは、操作ユニット10から操作コード1を垂下している。又、巻取パイプ9pは、スクリーンScを巻き取っている。
図6(B)を参照すると、ストッパ1sは、ケース11の底面に当接している。
図6(B)に示した状態では、ぜんまいバネ2は、拡径している。又、ブレーキチップ32は、プーリ1pの径内方向に移動しており、ブレーキチップ32は、ケース11の内周に当接していない。
【0042】
図7を参照して、
図6に示した状態から、グリップ1gを把持して、操作コード1を下方に引くと(図中、矢印A方向)、プーリ1pの回転が第1クラッチCt1を介して巻取パイプ9pに伝達され、スクリーンScが図中矢印Bの方向に降下する(
図7(A)参照)。
図7(B)に示した状態では、ぜんまいバネ2は、縮径しているので、ブレーキ片31の一端が押圧されることで、ブレーキチップ32はプーリ1pの径外方向に移動し、ケース11の内周に摺接する(
図7(B)参照)。又、操作コード1の下方への操作を停止した状態では、スクリーンScの降下は、停止している。なお、操作者がコード1を下方に引くとブレーキチップ32がケース11の内周に摺接するため摩擦抵抗が生じるが、操作者がコード1を下方に引く力に比べてはるかに弱いため、操作者の操作負荷が大きくなって操作性が低下してしまうことはない。
【0043】
図7に示した状態から、操作者がグリップ1gを引く手を離して解放すると、ぜんまいバネ2の付勢力により、操作コード1は、図中矢印Cに示すように上昇し、プーリ1pに巻き取られる(
図8参照)。そして、
図8に示した状態からプーリ1pの回転は、継続していく(
図9参照)。尚、第1クラッチCt1により、プーリ1pの巻取方向への回転は巻取パイプ9pには伝達されない。巻取パイプ9pは巻取スプリング9sの蓄勢力によってスクリーンScを巻取る方向に回転を始めるが、第2クラッチCt2が作動することで巻取パイプ9pの回転が規制され、スクリーンScは巻き取られない。
【0044】
図8に示した状態から
図9に示した状態に移行する過程では、ブレーキチップ32による制動力が強い状態から弱い状態に移行している。即ち、操作コード1がプーリ1pに巻き取られるに従ってぜんまいバネ2が拡径していき、ぜんまいバネ2によるブレーキ片31の一端に対する押圧力が弱くなっていくため、ブレーキチップ32のケース11への押圧力は小さくなっていく。これにより、操作コード1がプーリ1pに巻き取られるときのプーリ1pの回転は、ぜんまいバネ2の付勢力が強い巻取り始めにおいて大きなブレーキ力が得られ、巻取りが進むに従ってぜんまいバネ2の付勢力が弱くなるとブレーキ力は小さくなっていく。結果として、終始略一定の回転速度で操作コード1がプーリ1pに巻き取られる。
【0045】
図9に示した状態から、プーリ1pの回転は、継続していく。そして、
図10に示すように、ストッパ1sがケース11の底面に当接した状態では、プーリ1pの回転は、停止している(
図10(B)参照)。
図8に示した状態から
図10に示した状態に移行する過程では、プーリ1pの回転速度が減速されているので、即ち、操作コード1の上昇速度が減速されているので、操作コード1の跳ね上がりを抑制できる。
【0046】
実施形態によるロールスクリーンSrは、操作コード1を繰り返し下方に引くことでスクリーンScが降下していくメカニズムを採用している。又、スクリーンScを上昇させるには、スクリーンScが停止した状態から、操作者がグリップ1gを所定量だけ下方に引く。これにより、巻取パイプ9p(
図1参照)がスクリーンScを巻き解く方向に僅かに回転し、スクリーンScは僅かに下降する。また、第2クラッチCt2が巻取パイプ9pと巻取りパイプ回転支持軸81との連結を解除する。
【0047】
すると、巻取パイプ9pが巻取りスプリング9sの作用によって巻取方向に回転し、スクリーンScを巻き取っていく。このとき、
図1を参照すると、巻取パイプ9pの回転速度は、第1ブレーキBk1によって減速されるが、巻取りの最終段階においては、第2ブレーキBk2が作動して更にスクリーンScを減速させ、ウエイトバーBwがセットフレームFsに当接するときの衝撃を緩和できる。また、第1クラッチCt1により、巻取パイプ9pの巻取方向への回転はプーリ1pには伝達されない。
【0048】
実施形態によるロールスクリーンSrは、操作コード1を巻き取る回転力をプーリ1pに付勢するぜんまいバネ2と、ぜんまいバネ2によって押圧されることで、プーリ1pを収容するケース11に摺接し、プーリ1pの回転速度を減速させるブレーキ部と、をプーリ1pに設けているので、プーリ1pの回転速度を減速させることができる。結果として、操作者が操作コード1から急に手を離しても、操作コード1がぜんまいバネ2の付勢力によって勢いよく上昇しながら跳ね上がることを防止できる。
【0049】
ぜんまいバネ2は、操作コード1が巻き解かれると縮径し、操作コード1が巻き取られると拡径し、ブレーキ部3は、ぜんまいバネ2が縮径されるにつれて他端が径外方向に移動するように揺動し、ぜんまいバネ2が拡径されるにつれて他端が径内方向に移動するように揺動する。これにより、ぜんまいバネ2が縮径するにつれてブレーキ力が強くなり、ぜんまいバネ2が拡径するにつれてブレーキ力が弱くなるため、プーリ1pの巻取方向側への回転速度を略一定に保持することができる。即ち、操作者が操作コード1から急に手を離しても、終始略一定の速度で操作コード1を巻き取ることができる。
【0050】
ブレーキ部3は、薄板状に形成された板バネであるブレーキ片31と、ブレーキ片31の他端に取り付けられた凸状のブレーキチップ32と、を有し、ブレーキチップ32がケース11に摺接することで、プーリ1pの回転速度を減速させる。これにより、ブレーキ片31とブレーキチップ32で構成されたブレーキ部3によって、効率的にブレーキ力を発生できる。又、ブレーキ片31が板バネで構成されることで、ぜんまいバネ2などの部品に多少の製造誤差が生じたとしても、板バネの弾性力によって製造誤差を吸収し、安定的にブレーキを働かせることができる。
【0051】
ブレーキチップ32は、ブレーキ片31の他端に着脱可能に構成しているので、ブレーキチップ32の大きさ、形状、材料などを適宜選択でき、開閉装置の仕様に対応して、ブレーキ力を調整できる。
【0052】
(巻取装置の構成)
次に、本発明の一実施形態による巻取装置20の構成を説明する。
図11を参照すると、巻取装置20の構成は、操作装置である操作ユニット10の構成と略同じであるが、操作コード1を長尺部材1cに変えた点が異なっている。長尺部材1cは、操作コード、電源線、スケールなどを含むことができる。巻取装置20は、操作装置である操作ユニット10の応用例である。
【0053】
図11に示した巻取装置20は、プーリ1pの回転速度を減速できる。結果として、長尺部材1cを巻き解いた状態で急に手を離しても、長尺部材1cがぜんまいバネ2の付勢力によって勢いよく巻き取られることを防止できる。
【0054】
この実施形態では、開閉装置としてロールスクリーンを開示したが、これに限定されるものではなく、横型ブラインド、縦型ブラインド、ローマンシェード、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーンなどの任意のブラインドに適用可能である。
また、この実施形態では、開閉体としてスクリーンを開示したが、これに限らない。即ち、開閉体としてガラス板を用い、このガラス板を開閉させるすべり出し窓(サッシ)の開閉装置に本発明を適用してもよい。また、開閉体として網戸を用い、網戸を開閉させる収納網戸の開閉装置に本発明を適用してもよい。
更に、操作部材の操作によって開閉体が昇降又は開閉する開閉装置であれば、カーテン、アコーディオンドア、オーニング、映写スクリーンなどに適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 操作コード(操作部材)
1p プーリ
2 ぜんまいバネ(付勢部材)
3 ブレーキ部
11 ケース(収容部)
Sc スクリーン(開閉体)
Sr ロールスクリーン(開閉装置)