(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135369
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20230921BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B23K26/00 N
H01S3/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040533
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金武 知樹
(72)【発明者】
【氏名】持山 智浩
(72)【発明者】
【氏名】大口 恒之
【テーマコード(参考)】
4E168
5F172
【Fターム(参考)】
4E168DA26
4E168EA08
4E168EA17
4E168KA04
5F172NN05
5F172NN23
5F172NP03
5F172NQ30
5F172NR04
5F172WW01
5F172ZZ01
(57)【要約】
【課題】出射ヘッドの光出力を精度良く制御できるようにする。
【解決手段】レーザ加工装置100に、開口部16aを有する遮蔽部材16を、パワーモニタ14の受光面に向かう第1分割ビームLB3以外の光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ開口部16aによって第1分割ビームLB3を通過させるように設ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、
前記複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光を集光してレーザビームを出射する光合成部と、
前記光合成部により出射されたレーザビームを、第1分割ビーム及び第2分割ビームに分割する部分透過ミラーと、
前記第1分割ビームを受光し、当該第1分割ビームの光量を検出するパワーモニタと、
前記第2分割ビームに基づく出射用レーザ光を出射ヘッドに導く伝送ファイバと、
前記パワーモニタの検出値を用いて指令値を算出する制御部と、
前記制御部によって算出された前記指令値に応じた電流を前記複数のレーザダイオードに流す電源とを備えたレーザ加工装置であって、
窓部を有し、前記パワーモニタの受光面に向かう前記第1分割ビーム以外の光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記第1分割ビームを通過させるように設けられた第1の遮蔽部材、
窓部を有し、前記部分透過ミラーと前記伝送ファイバの入射面との間に、前記伝送ファイバの入射面からの散乱光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記第2分割ビームを通過させるように設けられた第2の遮蔽部材、及び
窓部を有し、前記光合成部と前記部分透過ミラーとの間に、前記光合成部からの散乱光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記レーザビームを通過させるように設けられた第3の遮蔽部材のうちの少なくとも1つの遮蔽部材を備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、前記第1の遮蔽部材を含むことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、
前記少なくとも1つの遮蔽部材は、互いに間隔を空けて形成された複数の前記第1の遮蔽部材を含むことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のレーザ加工装置において、
前記少なくとも1つの遮蔽部材の前記窓部の外周縁には、筒状部が突設されていることを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光を集光して出射ヘッドから出射するレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光を出射するレーザダイオードと、レーザダイオードから出射されたレーザ光を集光するレンズからなる光合成部と、前記光合成部により出射されたレーザ光を、第1分割光及び第2分割光に分割する部分透過ミラーと、前記第1分割光を受光し、当該第1分割光の光量を検出するパワーモニタと、前記第2分割光を出射ヘッドに導く伝送ファイバと、前記パワーモニタの検出値を用いて指令値を算出する制御部と、前記制御部によって算出された前記指令値に応じた電流を前記レーザダイオードに供給する電源とを備えたレーザ加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたようなレーザ加工装置では、レーザダイオードがレーザ光の出射を開始した直後に、レーザ加工装置内の温度変化により、伝送ファイバへの入射光の入射面における位置が本来の位置からずれるいわゆる光軸ずれが生じ、その結果伝送ファイバからの散乱光が増大する場合がある。また、レーザダイオードによりレーザ光が出射されている状態においては、レンズ等の光学素子に含まれる不純物、伝送ファイバの入射面等から一定の散乱光が常時発生している。これらの散乱光がレーザ加工装置の筐体内で多重反射した後パワーモニタに入射すると、パワーモニタの検出値が、出射ヘッドの実際の光出力(出射光の出力)に対応する値よりも大きくなり、出射ヘッドの光出力が想定値よりも小さく制御されてしまう。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出射ヘッドの光出力を精度良く制御できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、レーザ光を出射する複数のレーザダイオードと、前記複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光を集光してレーザビームを出射する光合成部と、前記光合成部により出射されたレーザビームを、第1分割ビーム及び第2分割ビームに分割する部分透過ミラーと、前記第1分割ビームを受光し、当該第1分割ビームの光量を検出するパワーモニタと、前記第2分割ビームに基づく出射用レーザ光を出射ヘッドに導く伝送ファイバと、前記パワーモニタの検出値を用いて指令値を算出する制御部と、前記制御部によって算出された前記指令値に応じた電流を前記複数のレーザダイオードに流す電源とを備えたレーザ加工装置であって、窓部を有し、前記パワーモニタの受光面に向かう前記第1分割ビーム以外の光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記第1分割ビームを通過させるように設けられた第1の遮蔽部材、窓部を有し、前記部分透過ミラーと前記伝送ファイバの入射面との間に、前記伝送ファイバの入射面からの散乱光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記第2分割ビームを通過させるように設けられた第2の遮蔽部材、及び窓部を有し、前記光合成部と前記部分透過ミラーとの間に、前記光合成部からの散乱光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ前記窓部によって前記レーザビームを通過させるように設けられた第3の遮蔽部材のうちの少なくとも1つの遮蔽部材を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、遮蔽部材を設けない場合に比べ、伝送ファイバからパワーモニタの受光面に達する散乱光、及び光合成部からパワーモニタの受光面に達する散乱光のうちの少なくとも一方の散乱光を減らせるので、制御部に、出射ヘッドの光出力をより精度良く制御させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御部に、出射ヘッドの光出力をより精度良く制御させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るレーザ加工装置の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係るレーザ加工装置のレーザ装置周りの構成を示す模式図である。
【
図3】レーザ光出射部及び光合成部の詳細な構成を示す模式図である。
【
図4】複数のレーザモジュールの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0011】
(実施形態1)
図1は、金属製の加工対象物としてのワークWの切断、溶接といったレーザ加工に用いられる本発明の実施形態1に係るレーザ加工装置100を示す。同図に示すように、レーザ加工装置100は、レーザ装置10と伝送ファイバ40と出射ヘッド50と制御部60と電源70と指令部80とを備えている。レーザ装置10と、レーザ装置10よりレーザ光が出射される端部(以下、単に出射端という。)と、レーザ装置10より伝送ファイバ40にレーザ光が入射される端部(以下、単に入射端という。)とは筐体90に収容されている。
【0012】
レーザ装置10は、
図2に示すように、レーザ光出射部11と、光合成部12と、部分透過ミラー13と、パワーモニタ14と、集光ユニット15と、遮蔽部材16とを備えている。
【0013】
レーザ光出射部11は、
図3に示すように、互いに異なる波長のレーザ光LB1を発する例えば10個のレーザモジュール30を有している。各レーザモジュール30は、
図4~6に示すように、レーザダイオードバー(LDバー)31を有しており、レーザダイオードバー31は、並列に配置された複数のエミッタ31bを有する半導体レーザアレイである。言い換えるとレーザダイオードバー31は、エミッタ31bを有する並列に配置された複数のレーザダイオードからなる半導体レーザアレイである。レーザダイオードバー31は、平面視矩形状の平板形状をなし、その一方の面には板状の正電極32が配置され、正電極32の一方の面が取り付けられている。また、レーザダイオードバー31の他方の面には、正電極32よりも広い板状の負電極33が配置され、負電極33の一方の面の一部が取り付けられている。レーザダイオードバー31の一側面が、レーザ光LB1を出射するレーザ光出射面31aを構成している。各電極(正電極32,負電極33)には、配線35が接続され、当該配線35を介して後述する電源70から電流(電力)が供給される。なお、一つのレーザダイオードバー31に含まれるエミッタ31bの個数は、例えば50個に設定される。10個のレーザモジュール30のレーザダイオードバー31は、互いに直列に接続されている。
【0014】
光合成部12は、レーザ光出射部11に含まれる複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光LB1を集光してレーザビームLB2を出射する。具体的には、光合成部12は、10個のレーザモジュール30からそれぞれ出射されたレーザ光LB1を集光してレーザビームLB2を出射する第1集光レンズ12aと、第1集光レンズ12aにより出射されたレーザビームLB2を反射させる反射鏡12bとを備えた光学ユニットである。
【0015】
部分透過ミラー13は、光合成部12の反射鏡12bにより出射されたレーザビームLB2を、第1分割ビームLB3及び第2分割ビームLB4に分割する。具体的には、部分透過ミラー13は、光合成部12の反射鏡12bにより出射されたレーザビームLB2の一部を第1分割ビームLB3として透過させる一方、残りを第2分割ビームLB4として反射させる。部分透過ミラー13の反射率は、99.5%~99.9%に設定される。
【0016】
パワーモニタ14は、部分透過ミラー13を透過した第1分割ビームLB3の光量を検出する。パワーモニタ14は、例えば、第1分割ビームLB3を減衰させて出力する減衰部と、減衰部の出力を検出するフォトダイオードとで構成される。
【0017】
集光ユニット15は、部分透過ミラー13を反射した第2分割ビームLB4を集光し、所定の倍率でビーム径を縮小し、第2分割ビームLB4に基づく出射用レーザ光LB5を伝送ファイバ40に入射させる第2集光レンズ15aと、伝送ファイバ40の入射端が接続されるコネクタ(図示せず)とを有している。
【0018】
遮蔽部材16は、
図7に示すように、長方形板状に形成されている。遮蔽部材16は、アルマイト処理されたアルミニウムで構成されている。なお、遮蔽部材16を、アルミニウム合金、銅、鉄、ステンレス等の他の金属で構成してもよい。遮蔽部材16の長手方向中央の短手方向中央には、正方形状の窓部としての開口部16aが形成されている。遮蔽部材16は、部分透過ミラー13とパワーモニタ14の間に、筐体90内の空間を、部分透過ミラー13側の空間とパワーモニタ14側の空間とに仕切るように設けられている。つまり、遮蔽部材16の外周端縁は、全周に亘って筐体90の内面に隙間なく当接しているか又は溶接されている。
【0019】
遮蔽部材16の開口部16aは、部分透過ミラー13を透過した第1分割ビームLB3を通過させる。また、遮蔽部材16は、パワーモニタ14の受光面に向かう第1分割ビームLB3以外の光の少なくとも一部を遮蔽する。つまり、遮蔽部材16は、パワーモニタ14の受光面に向かう第1分割ビームLB3以外の光の少なくとも一部を遮蔽し、かつ開口部16aによって第1分割ビームLB3を通過させるように配置されている。
【0020】
第1分割ビームLB3の半径rが2mmであり、第1分割ビームLB3の断面積が12.57mm2である場合、遮蔽部材16が第1分割ビームLB3を遮断しないように、例えば、開口部16aの一辺の長さL1は8mm、開口部16aの面積は64mm2に設定される。
【0021】
ここで、遮蔽部材16(長方形)の面積をSt、開口部16aの面積をSaとする。第1分割ビームLB3以外の光(雑光)の強度は、一様に分布すると考えられるので、遮蔽部材16を設けることにより、パワーモニタ14の受光面に入射する雑光の影響を、遮蔽部材16を設けない場合のSa/Stに低減できる。遮蔽部材16の長辺の長さLLが100mm、遮蔽部材16の短辺の長さLSが40mm、開口部16aの一辺の長さL1が8mmである場合、Stが4000mm2、Saが64mm2となるので、パワーモニタ14の受光面に入射する雑光の影響を、遮蔽部材16を設けない場合の1.6%に低減できる。
【0022】
伝送ファイバ40は、集光ユニット15の第2集光レンズ15aに光学的に結合され、当該第2集光レンズ15aを介してレーザ装置10から受け取った出射用レーザ光LB5を出射ヘッド50に導く。
【0023】
出射ヘッド50は、伝送ファイバ40から出力される出射用レーザ光LB5を外部に向けて照射する。例えば、出射ヘッド50は、所定の位置に配置されたワークWに向けて、出射用レーザ光LB5を出射する。このようにすることで、ワークWにレーザ加工が施される。
【0024】
制御部60は、レーザ装置10のレーザ発振を制御する。具体的には、制御部60は、パワーモニタ14の検出値を用いて、当該パワーモニタ14の検出値が所定の設定値となるように、電源70に出力する電流指令値の算出を行うフィードバック制御を行う。
【0025】
電源70は、制御部60によって算出された電流指令値に応じた電流を、前記レーザ光出射部11に含まれるレーザダイオードバー31及び配線35に流す。
【0026】
指令部80は、出射ヘッド50の光出力(出射光の出力)の目標値を示す入力をユーザから受け付け、当該目標値を示す指令信号を制御部60に出力する。
【0027】
上述のように構成されたレーザ加工装置100では、レーザ光出射部11がレーザ光LB1の出射を開始すると、光合成部12が、レーザ光LB1を集光してレーザビームLB2を出射する。このレーザビームLB2は、部分透過ミラー13で第1分割ビームLB3及び第2分割ビームLB4に分割される。第1分割ビームLB3は、遮蔽部材16の開口部16aを通過してパワーモニタ14に入射する一方、第2分割ビームLB4は集光ユニット15で集光されて出射用レーザ光LB5として伝送ファイバ40に入射する。このとき、レーザ加工装置100内の温度変化により、伝送ファイバ40への入射光の入射面における位置が本来の位置からずれるいわゆる光軸ずれが生じ、その結果伝送ファイバ40からの散乱光SLが増大する。また、レーザ光出射部11がレーザ光LB1を出射する間、常に、光合成部12の第1集光レンズ12a等の光学素子に含まれる不純物等や伝送ファイバ40の入射面(入射端面)から常に一定の散乱光SLが発生する。これら散乱光SLの一部は、筐体90内で多重反射してパワーモニタ14の受光面に向かう。しかし、大部分の散乱光SLは、パワーモニタ14の受光面に達する前に遮蔽部材16によって遮蔽される。これにより、遮蔽部材16を設けない場合に比べ、光合成部12からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SL、及び伝送ファイバ40からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SLが減る。したがって、制御部60に、出射ヘッド50の光出力をより精度良く制御させることができる。
【0028】
本実施形態1によると、遮蔽部材16を部分透過ミラー13とパワーモニタ14との間に設けたので、部分透過ミラー13と伝送ファイバ40の入射面との間に設けた場合に比べ、遮蔽部材16に入射する伝送ファイバ40からの散乱光SLが少なくなり、遮蔽部材16に吸収される散乱光SLのエネルギーが小さくなる。したがって、出射ヘッド50に出射させる出射用レーザ光LB5をkW級とする場合でも、遮蔽部材16を冷却するための冷却機構を不要にでき、レーザ加工装置100の設備コストを削減できる。
【0029】
また、遮蔽部材16を光合成部12と部分透過ミラー13との間に設けた場合に比べ、パワーモニタ14の受光面に達する伝送ファイバ40からの散乱光SLを効果的に減らせる。また、遮蔽部材16を光合成部12と部分透過ミラー13との間に設けた場合に比べ、伝送ファイバ40からの散乱光SLが遮蔽部材16で反射してパワーモニタ14の受光面に達するのを抑制できる。
【0030】
(実施形態2)
図8は、実施形態2の
図2相当図である。本実施形態2では、遮蔽部材16が、光合成部12と部分透過ミラー13との間に2つ(複数)設けられている。これら2つの遮蔽部材16は、板厚方向に互いに間隔を空けて互いに平行に設けられている。
【0031】
そして、第1分割ビームLB3は、2つの遮蔽部材16の開口部16aを通過してパワーモニタ14に入射する。
【0032】
その他の構成は実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0033】
したがって、本実施形態2では、実施形態1のように遮蔽部材16を1つだけ設けた場合に比べ、光合成部12からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SL、及び伝送ファイバ40からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SLを減らし、制御部60に、出射ヘッド50の光出力をより精度良く制御させることができる。
【0034】
具体的には、遮蔽部材16の長辺の長さLLが100mm、遮蔽部材16の短辺の長さLSが40mm、開口部16aの一辺の長さL1が8mmである場合、パワーモニタ14の受光面に入射する雑光の影響を、遮蔽部材16を設けない場合の0.026%(=(Sa/St)2)に低減できる。
【0035】
(実施形態3)
図9は、実施形態3の
図8相当図である。本実施形態3では、2つの遮蔽部材16のうち部分透過ミラー13側の遮蔽部材16の開口部16aの外周縁に、断面正方形状をなす角筒形状の筒状部16bが部分透過ミラー13側に向けて一体に突設されている。筒状部16bは、遮蔽部材16の板状の部分と同じ材料で構成されている。筒状部16の内面には、光の反射を抑制するために微細な凹凸が全体に亘って形成されている。
【0036】
そして、第1分割ビームLB3は、部分透過ミラー13側の遮蔽部材16の筒状部16b及び開口部16aと、パワーモニタ14側の遮蔽部材16の開口部16aとを通過してパワーモニタ14に入射する。
【0037】
その他の構成は実施形態2と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
したがって、本実施形態3では、実施形態2のようにいずれの遮蔽部材16にも筒状部16bを設けない場合に比べ、光合成部12からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SL、及び伝送ファイバ40からパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SLを減らせる。特に、筐体90の内壁を反射してパワーモニタ14の受光面に達する散乱光SLを効果的に減らせる。したがって、制御部60に、出射ヘッド50の光出力をより精度良く制御させることができる。
【0039】
なお、上記実施形態1~3では、遮蔽部材16を、部分透過ミラー13とパワーモニタ14との間に、開口部16aによって第1分割ビームLB3を通過させるように配置した。しかし、遮蔽部材16(第2の遮蔽部材)を、部分透過ミラー13と伝送ファイバ40の入射面との間に、伝送ファイバ40の入射面からの散乱光SLの少なくとも一部を遮蔽し、かつ開口部16aによって第2分割ビームLB4を通過させるように配置してもよい。また、遮蔽部材16(第3の遮蔽部材)を、光合成部12と部分透過ミラー13との間に、光合成部12からの散乱光SLの少なくとも一部を遮蔽し、かつ開口部16aによってレーザビームLB2を通過させるように配置してもよい。また、レーザ加工装置100に、上述のように開口部16aによって第1分割ビームLB3を通過させる遮蔽部材16、上述のように開口部16aによって第2分割ビームLB4を通過させる遮蔽部材16、及び上述のように開口部16aによってレーザビームLB2を通過させる遮蔽部材16のうちの2つ以上を設けてもよい。
【0040】
また、上記実施形態2,3では、遮蔽部材16を2つ設けたが、3つ以上設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のレーザ加工装置は、制御部に、出射ヘッドの光出力を精度良く制御させることができ、複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光を集光して出射ヘッドから出射するレーザ加工装置として有用である。
【符号の説明】
【0042】
100 レーザ加工装置
12 光合成部
13 部分透過ミラー
14 パワーモニタ
16 遮蔽部材
16a 開口部(窓部)
16b 筒状部
31 レーザダイオードバー
LB1 レーザ光
LB2 レーザビーム
LB3 第1分割ビーム
LB4 第2分割ビーム
LB5 出射用レーザ光