(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135379
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】検査システム、塗布状態判定方法、セル検査方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230921BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20230921BHJP
G01N 21/952 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
G01N21/88 J
B05C11/00
G01N21/952
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040547
(22)【出願日】2022-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】390039240
【氏名又は名称】株式会社イセトー
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188949
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 成典
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 亨
【テーマコード(参考)】
2G051
4F042
【Fターム(参考)】
2G051AA34
2G051AB13
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA12
2G051EA17
2G051EB01
2G051ED07
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA25
4F042BA27
4F042CA01
4F042DB01
4F042DF23
4F042DH09
4F042ED03
(57)【要約】
【課題】糊の塗布状態を定量的に判定する検査システムを提供する。
【解決手段】検査システムは、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得する取得部と、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別する識別部と、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算する計算部と、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定する判定部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得する取得部と、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別する識別部と、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算する計算部と、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定する判定部と、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記識別部は、前記検査画像を構成する画素ごとのRGB色空間におけるR値とB値とG値と、それらの値を規定する所定の計算式に基づいて、前記計算式を満たす画素を前記小領域と識別し、それ以外の画素を前記隙間領域と識別し、
前記判定部は、前記小領域と識別された画素の画素数の、前記小領域と識別された画素の画素数および前記隙間領域と識別された画素の画素数の合計、に対する比率に基づいて、前記塗布状態を判定する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記識別部は、前記計算式を、前記検査画像に含まれる前記隙間領域の画素が有するR値とB値とG値のうちの少なくとも何れかに基づいて補正する、
請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成する制御部、をさらに備え、
前記制御部は、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、
前記判定部は、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
前記判定部による判定結果をログに記録するログ管理部、
をさらに備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、
を有する塗布状態判定方法。
【請求項7】
シリンダの表面に形成された凹部に糊を含ませて、前記シリンダを媒体へ押し当てることにより、前記媒体に糊を塗布する塗布装置の前記凹部の健全性を検査するセル検査方法であって、
請求項6に記載の塗布状態判定方法によって、糊の塗布状態が良好と判定されると前記凹部を健全と判定し、前記塗布状態が良好ではないと判定されると前記凹部が摩耗している判定する、
セル検査方法。
【請求項8】
コンピュータに、
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査システム、塗布状態評価方法、セル検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒の糊面等に糊を塗布するために塗布装置が使用される。
図1にグラビア塗布装置10の概略を示す。グラビア塗布装置10は、円柱状のグラビアシリンダ11、糊の入った容器12、用紙Pをグラビアシリンダ11に押し当てる円柱状のグラビア圧胴13、ドクター刃14などを含んで構成される。グラビアシリンダ11は、軸11aを中心として回転可能に支持されており、その円柱側面は容器12の糊の表面に対して平行で、円柱側面の下側が容器12に入った糊に浸かるような位置に支持されている。グラビア圧胴13は、その側面表面が、グラビアシリンダ11の側面表面と用紙Pを挟んで接し、且つ、軸13aを中心に回転可能に支持されている。グラビアシリンダ11とグラビア圧胴13は、それぞれ、矢印11b、矢印13bの方向に回転する。グラビアシリンダ11の表面にはセルと呼ばれる凹状の小領域が一定の間隔で所定の範囲に設けられている。ドクター刃14は、その先端がグラビアシリンダ11の側面表面と接している。グラビアシリンダ11を回転させることにより、円柱側面の下側を容器12の糊に浸して各セルに糊を含ませる。そして、糊に浸された側面が容器12に入った糊の表面より上側に回ってくると、ドクター刃14によって円柱側面の表面をこすり、セルに含ませた糊だけを残して、残りの糊をそぎ落とす。糊を塗布する対象である用紙Pは、グラビア圧胴13とグラビアシリンダ11の間に挟まれて、グラビア圧胴13とグラビアシリンダ11の回転により矢印13c,13dの方向に送り出され、その過程で、グラビア圧胴13から押される圧力により、グラビアシリンダ11の表面に押し当てられ、各セルの糊が用紙Pに塗布される。塗布された糊は、その後、乾燥機で乾燥させ、用紙Pに定着させる。なお、グラビアシリンダ11表面のどの範囲にセルを設けるかは、用紙Pのどこに糊を塗布するかに応じて定められる。例えば、用紙Pが
図2に例示するような封筒を横に2つ並べた形式の場合、図示する塗布領域P1~P10に糊を塗布する必要があるため、用紙Pを送り出す過程で用紙Pの塗布領域P1~P10と接する位置及び範囲にセルが設けられる。
【0003】
関連する技術として、特許文献1には、塗布装置によって塗布する糊の量を、塗布面を撮影した画像を解析することによって計測する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1に例示するような塗工装置の場合、セルの消耗度に応じて糊の塗布状態が変化する。セルの消耗が激しい場合には、糊の塗布量が減少し、接着不良が発生する可能性がある。糊の塗布量の確認は、作業者の目視によって行われることが多い。目視による方法では、判断に個人差があるため、品質の安定化が難しい。定量的な方法で、糊の塗布状態を判定する方法が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述した解題を解決する検査システム、塗布状態評価方法、セル検査方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、検査システムは、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得する取得部と、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別する識別部と、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算する計算部と、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定する判定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様によれば、塗布状態判定方法は、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、を有する。
【0009】
本発明の一態様によれば、セル検査方法は、シリンダの表面に形成された凹部に糊を含ませて、前記シリンダを媒体へ押し当てることにより、前記媒体に糊を塗布する塗布装置の前記凹部の健全性を検査するセル検査方法であって、上記の塗布状態判定方法によって、糊の塗布状態が良好と判定されると前記凹部を健全と判定し、前記塗布状態が良好ではないと判定されると前記凹部が摩耗している判定する。
【0010】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、糊の塗布状態を定量的に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】グラビア塗布装置の一例を示す概略図である。
【
図3】健全な状態のグラビアシリンダ表面と糊の塗布領域の一例を示す図である。
【
図4】摩耗した状態のグラビアシリンダ表面と糊の塗布領域の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るセル検査システムの一例を示すブロック図である。
【
図6】実施形態に係るセル検査画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る検査画像の位置及び角度決めについて説明する図である。
【
図8】実施形態に係るセル検査処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係るセル検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の一実施形態によるセル検査システムについて図を参照して説明する。
図3(a)にグラビアシリンダ11表面に形成された健全な状態のセルの断面を示す。上述の通り、セルはグラビアシリンダ11表面に形成された凹部であり、グラビアシリンダ11表面におけるセルの幅はeである。隣り合うセルは一定の間隔dで配置されている。また、正面からセルを見た場合の形状は、例えば、正方形である。
図3(a)は、各セルに糊を含ませた状態を表している。
図3(b)に健全な状態のセルに含ませた糊を、グラビア塗布装置10を使って用紙Pに糊を塗布したときの塗布領域の様子を示す。図示するように、用紙Pには、グラビアシリンダ11表面のセルの配置模様が転写され、1つ1つのセルC1についても、グラビアシリンダ11表面のセルの形状(例えば、正方形)が転写される。
図3(b)の白抜き箇所C1は、糊が塗布された領域を示し、灰色の箇所C2は、塗布時にグラビアシリンダ11のセル間と接したために、糊が塗布されなかった領域を示している。糊が塗布された小領域(白抜き箇所C1)をグラビアシリンダ11表面のセルに対応する箇所であることから「セルC1」と記載し、グラビアシリンダ11に設けられたセルは単にセルと記載する。また、用紙Pにおける糊の塗布領域(例えば
図2のP1~P10)において糊が塗布されない領域(グラビアシリンダ11のセル間と接した箇所)を「セル間C2」のように記載する。
図3(b)に例示するセルC1の幅をe1、セル間C2の幅をd1とする。これらの値は、糊面において略一定である。
【0014】
図4(a)にグラビアシリンダ11表面の摩耗した状態のセルの断面を示し、
図4(b)にセルが摩耗した状態のグラビア塗布装置10を使って用紙Pに糊を塗布したときの塗布領域を示す。糊の塗布を継続すると、ドクター刃14との接触により、グラビアシリンダ11の表面は摩耗し、
図4(a)に示すように、セルの幅Eは、健全状態の幅eよりも狭くなり、セル間の幅Dは、健全状態の幅dよりも広くなる。すると、
図4(b)に示すように、セルC1の幅E1は、
図3(b)の幅e1よりも狭くなり、セル間C2の幅D1は、
図3(b)の幅d1よりも広くなる。また、セルごとに摩耗の程度が異なれば、セルC1の幅E1にもばらつきが生じる。
図4(b)に例示するように、グラビアシリンダ11の表面がドクター刃14により摩耗すると、塗布される糊の量が減って品質が維持できなくなり、封筒の糊がはがれる等の不具合が発生する。これに対し、本実施形態のセル検査システム100は、糊の塗布領域の画像に基づいて、セルC1の面積に注目して塗布状態を検査し、良否判定を行う。糊の塗布状態を判定することによって、グラビアシリンダ11表面のセルの摩耗状態を評価することも可能となる。以下、糊の塗布状態を判定する処理をセル検査処理と称する場合がある。
【0015】
(システム構成)
図5は実施形態に係るセル検査システムの一例を示すブロック図である。セル検査システム100は、マイクロスコープ20と、セル検査装置30とを含む。マイクロスコープ20は、用紙Pの糊が塗布された領域(塗布領域)を撮影する。マイクロスコープ20は、セル検査装置30と接続されており、撮影した画像をセル検査装置30へ出力する。
【0016】
セル検査装置30は、マイクロスコープ20によって撮影された画像を解析して、糊の塗布状態を評価する。セル検査装置30は、画像取得部31と、入力部32と、制御部33と、記憶部34と、表示部35と、を備える。
画像取得部31は、マイクロスコープ20によって撮影された画像を取得し、記憶部34に保存する。
入力部32は、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン等の入力装置を用いて構成され、
図6に例示するセル検査画面200や、セル検査画面200に表示された画像に対するユーザの操作等を受け付ける。
記憶部34は、HDD(hard disk drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置を用いて構成され、画像取得部31が取得した画像や糊の塗布状態の良否判定に用いる閾値など種々のデータを記憶する。また、記憶部34には、セル検査処理を実行するセル検査用のアプリケーションプログラム(以下、検査アプリと称する。)が格納されている。以下に説明する制御部33の機能(画像処理部331、識別部332、計算部333、判定部334、ログ管理部335など)は、セル検査装置30のプロセッサが検査アプリを実行することにより実現される。
表示部35は、液晶ディスプレイ等の表示装置を用いて構成される。
【0017】
制御部33は、セル検査装置30の動作を制御する。例えば、制御部33は、表示部35の表示制御や、セル検査処理の実行制御を行う。制御部33は、画像処理部331と、識別部332と、計算部333と、判定部334と、ログ管理部335と、を備える。
画像処理部331は、画像取得部31が取得した画像に対して、拡大、縮小、回転、切り取り、色の変更、線の重畳表示などの画像処理を行う。
識別部332は、塗布領域を撮影した画像を解析して、セルC1とセル間C2を識別する。セルC1とセル間C2の識別にあたっては、所定の閾値に基づいて識別を行うほか、用紙Pの色に応じた閾値を算出し、その閾値に基づいて、セルC1とセル間C2を識別することができる。
計算部333は、複数のセルC1の合計面積と、セルC1およびセル間C2の合計面積を計算する。
判定部334は、セルC1の面積比率に基づいて塗布状態の良否判定を行う。判定部334は、セルC1の面積比率が閾値を上回る場合、糊の塗布状態は良好である(グラビアシリンダ11のセルは健全である)と判定し、セルC1の面積比率が閾値以下の場合、糊の塗布状態は不良である(グラビアシリンダ11のセルは摩耗している)と判定する。
ログ管理部335は、塗布状態の評価結果をログとして記憶部34に記録する。また、ログ管理部335は、記録したログを読み出して表示部35に出力する。
【0018】
(検査画面)
図6に実施形態に係る検査画面の一例を示す。制御部33は、
図6に例示するセル検査画面200を生成し、表示部35に表示する。セル検査画面200は、画像領域201と、デバイス選択ボタン202と、表示ボタン203と、撮影ボタン204と、自動検査ボタン205と、手動計測ボタン206と、計測結果表示欄207と、検査結果表示欄208と、左回転ボタン209と、右回転ボタン210と、拡大ボタン211と、縮小ボタン212と、確定ボタン213を含む。画像領域201には、マイクロスコープ20が撮影した塗布領域の画像が表示される。画像処理部331は、画像領域201に表示する画像に対して基準線RLを重畳して表示する。基準線RLの縦方向の線は、矩形の画像領域201の上下の辺の中心を通り、基準線RLの横方向の線は、矩形の画像領域201の左右の辺の中心を通る。
【0019】
デバイス選択ボタン202を押下すると、セル検査装置30に接続されているデバイスの一覧が表示され、ユーザは、その中からマイクロスコープ20を選択する。その状態で、ユーザが表示ボタン203を押下すると、制御部33は、マイクロスコープ20が撮影した画像を画像領域201に表示する。ユーザは、画像領域201の表示を確認しながら、検査対象範囲が写るように、マイクロスコープ20や用紙Pの位置を調整する。ユーザが、撮影ボタン204を押下すると、画像処理部331が、撮影ボタン204の押下時に画像領域201に表示されていた画像を切り取って、切り取った画像を画像領域201に表示する。
【0020】
ユーザが、左回転ボタン209を押下すると、画像処理部331は、画像領域201に表示されている画像を所定の角度だけ左方向に回転し、回転後の画像を画像領域201に表示する。ユーザが、右回転ボタン210を押下すると、画像処理部331は、画像領域201に表示されている画像を所定の角度だけ右方向に回転し、回転後の画像を画像領域201に表示する。ユーザが、拡大ボタン211を押下すると、画像処理部331は、画像領域201に表示されている画像を所定の倍率で拡大し、拡大後の画像を画像領域201に表示する。ユーザが、縮小ボタン212を押下すると、画像処理部331は、画像領域201に表示されている画像を所定の倍率で縮小し、縮小後の画像を画像領域201に表示する。ユーザは、これらのボタンを操作することにより、画像領域201に表示される画像を適切な位置および角度に配置する。適切な位置及び角度とは、基準線RLと画像内のセルC1の対角線とが平行となるような位置及び角度である。
図7(a)に適切な位置及び角度に調整された画像の例を示す。このような状態に画像位置及び角度を調整すると、ユーザは、さらに検査対象範囲h1を指定する。例えば、ユーザは、画像上でマウスの操作によって範囲を指定して、検査対象範囲h1を設定する。このとき、ユーザは、画像領域201の4つの頂点がセルC1の中心に位置するように検査対象範囲h1を設定する。これにより、画像領域201の4つの頂点それぞれの位置に存在するセルC1の面積(検査対象範囲h1に含まれる範囲の面積)を合計すると1個分のセルC1の面積となる。検査対象範囲h1を設定すると、ユーザは、確定ボタン213を押下する。
【0021】
確定ボタン213が押下されると、画像処理部331は、画像領域201に表示されている画像から検査対象範囲h1を切り出して、切出し後の画像を画像領域201に表示する。
図7(b)に確定ボタン213押下後の画像領域201の一例を示す。糊の塗布状態の良否判定は、
図7(b)に例示する画像におけるセルC1の面積比率に基づいて実行される。良否判定は、自動検査ボタン205又は手動計測ボタン206を押下によって実行される。
【0022】
ユーザが、自動検査ボタン205を押下すると、識別部332が画像領域201に表示された画像のセルC1とセル間C2とを識別し、計算部333が、画像領域201に表示された画像全体の面積(全画素数)と、画像のうちセルC1の面積(セルC1と識別された画素数)の合計と、を計算し、セルC1の面積比率(セルC1の面積の合計÷画像全体の面積)を算出する。判定部334は、セルC1の面積比率を閾値と比較して良否判定を行い、その結果を検査結果表示欄208に表示する。セルC1の面積比率が閾値を上回っていれば(糊が塗布された部分の面積比率が閾値を上回っていれば)、塗布状態は良好であると判定される。判定部334が糊の塗布状態を良好と判定すれば、検査結果表示欄208にはOK、合格などと表示され、不良と判定すれば、検査結果表示欄208にはNG、不合格などと表示される。
【0023】
手動による良否判定を行う場合、ユーザは、画像領域201に表示された画像中のセルC1の一方の端点T1を選択し、他方の端点T2まで、マウスによるドラッグアンドドロップ操作を行ってセルC1の一辺の幅を指定する。これにより、セルC1の幅e2が特定される。画像処理部331は、端点T1~端点T2までの直線を表示する。続いて、ユーザは、端点T2から隣のセルC1の端点T3までドラッグアンドドロップ操作を行う。画像処理部331は、端点T2~端点T3までの直線を表示する。これにより、セル間C2の幅d2が特定される。計算部333は、セルC1の幅e2と、セル間C2の幅d2がそれぞれ何ピクセルに相当するか(画素何個分の幅か)を計算する。計算部333は、セルC1の幅e2のピクセル数と、セル間C2の幅d2のピクセル数、又はそれらをミリメートルに換算した値を計測結果表示欄207に表示する。
【0024】
セルC1の幅とセル間C2の幅を特定すると、ユーザは、手動計測ボタン206を押下する。すると、計算部333は、画像領域201に表示された画像の水平方向の辺Hが何ピクセルに相当するか、垂直方向の辺Vが何ピクセルに相当するかをそれぞれ計算する。計算部333は、基準線RLにセルの対角線を合わせたことと、画像領域201の四つの頂点にセルの中心を合わせたことと、幅e2、d2のピクセル数(画素数)、辺V、Hのピクセル数(画素数)に基づいて、画像領域201に含まれるセルC1の大きさが全て同じ(一辺が幅e2の正方形)であると仮定して、画像領域201に含まれるセルC1が占める画素数の合計を計算する。計算部333は、セルC1が占める全画素数を画像領域201の全画素数で除算して、セルC1の面積比率を算出する。判定部334は、セルC1の面積比率を閾値と比較して良否判定を行い、その結果を検査結果表示欄208に表示する。ログ管理部335は、判定結果をログに記録する。
【0025】
(動作)
次に、
図8を参照して、セル検査処理の流れについて説明する。
図8は、実施形態に係るセル検査処理の一例を示すフローチャートである。
まず、検査員が、セル検査装置30を操作して、検査アプリを起動する(ステップS1)。制御部33は、図示しない初期設定画面を表示する。この初期設定画面にて、自分の識別情報、検査対象の用紙Pの識別情報、塗布領域(
図2のP1~P10等)の識別情報などを入力する。制御部33は、入力された情報を記憶部34に記録する。これらの情報は、ログに記録するときに使用される。続いて、制御部33は、
図6に例示するセル検査画面200を生成し、表示部35に表示する。捜査員は、デバイス選択ボタン202を押下してマイクロスコープ20を選択し、表示ボタン203を押下して、塗布領域を撮影する(ステップS2)。制御部33は、時々刻々とマイクロスコープ20が撮影する画像を、画像取得部31を通じて取得し、画像領域201に表示する。検査員は、撮影ボタン204を押下する。画像処理部331は、撮影ボタン204押下時に表示されていた画像を切り取って、画像領域201に表示する(ステップS3)。次に検査員は、左回転ボタン209や右回転ボタン210等の押下やマウス操作により、検査対象範囲h1を設定する(ステップS4)。
図6、
図7(a)、
図7(b)を用いて説明したように、検査員は、正しく検査出来るよう画像の位置及び角度と検査対象範囲h1の調整を行う。例えば、検査員は、左回転ボタン209や右回転ボタン210等の押下により、画面上の基準線RLの縦線とセルC1の一方の対角線が水平となり、基準線RLの横線とセルC1の他方の対角線が水平となるように画像を回転し角度を合わせる。また、捜査員は、検査対象範囲h1(四角形)の各頂点が、セルC1の中心となるように、マウスで操作しながら範囲を指定する。調整が完了し、検査員が確定ボタン213を押下すると、画像処理部331が、指定された範囲を切り取って、切り取った画像を記憶部34に保存すると共に画像領域201に表示する。
【0026】
次に検査員は、自動検査ボタン205を押下して、検査を実行する(ステップS5)。すると、制御部33が、識別部332と計算部333を使ってセルC1、セル間C2の面積を測定する(ステップS6)。まず、識別部332が、画像領域201に表示された画像(検査対象範囲h1の画像)について1画素毎にRGB値を算出する。識別部332は、算出したRGB値を元に各画素が、セルC1かセル間C2かを識別する。例えば、R値、G値、B値のそれぞれについて予め上限と下限の閾値による範囲を定めておき、対象画素のR値が予め設定されたR値判定用の範囲に含まれ、対象画素のG値が予め設定されたG値判定用の範囲に含まれ、対象画素のB値が予め設定されたB値判定用の範囲に含まれていれば、識別部332は、その対象画素は、セルC1である、又は、セル間C2であると判定する。
【0027】
ここで、セルとセル間の識別方法の一例を記載する。以下の方法では、用紙Pの色味を考慮するために、用紙Pの青色の強弱で補正している。
(1)識別部332は、RGBの各値全てが190以上であれば、その画素がセルC1に相当し、撮影時の光の関係でセルC1が白飛びして写ったものであると判定する。
(2)識別部332は、B値が所定の上限下限閾値内かつ、R値+所定の設定値<G値かつ、G値<B値+所定の設定値であれば、その画素はセル間C2であると一旦判定する。
(3)識別部332は、(2)の処理の結果からセル間C2であると識別した全画素のB値の平均値を算出し、算出した平均値によって以下のように補正値を決める。
B値の平均値>186の場合、識別部332は、補正値=0とする。
B値の平均値が180以上で186未満の場合、識別部332は、補正値=(187-B値の平均値)/2とする。
B値の平均値<180の場合、識別部332は、補正値=185-B値の平均値とする。
(4)補正値が決まると、再度識別処理を行う。
(4-1)識別部332は、RGBの各値全てが190以上であれば、その画素がセルC1に相当すると判定する。((1)と同じ)
(4-2)識別部332は、R値,G値,B値の各々が所定の上限下限閾値内かつ、R値+所定の設定値<G値かつ、G値<B値+補正値+所定の設定値であれば、その画素はセル間C2であると判定する。
R値+所定の設定値<G値、G値<B値+設定値の計算式はセルC1ではR値>G値、G値>B値がほぼ成り立つ事が分かっており、このことから計算式が導かれる。
なお、ここで例示した計算式は一例である。例えば、用紙PのR値やG値に基づいて補正量を算出してもよい。
【0028】
識別部332によって、各画素を、セルC1を写したものか、セル間C2を写したものかに識別すると、画像処理部331は、画像領域201の画像に対し、セルC1と識別された画素を例えば白色で表示し、セル間C2を例えば青色で表示する。これにより、検査員は、セルC1とセル間C2を確認することができる。仮に色分けされたセルC1とセル間C2が実際のものと異なっているようであれば、例えば、検査対象範囲h1からやり直してもよい。
【0029】
また、計算部333は、セルC1と識別された画素数をカウントし、セルC2と識別された画素数をカウントし、「セルC1と識別された画素数の合計÷(セルC1と識別された画素数の合計+セル間C2と識別された画素数の合計)」によって、セルC1の面積比率を算出する。計算部333は、算出した面積比率を記憶部34に保存すると共に、判定部334へ出力する。
【0030】
判定部334は、ステップS6で算出されたセルC1の面積比率と良否判定用の閾値とを比較して、セルC1の面積比率が閾値を上回るか否かを判定する(ステップS7)。判定部334は、良否判定用の閾値を記憶部34から読み出して、この判定を行う。セルC1の面積比率が閾値を上回る場合(ステップS7;Yes)、判定部334は、糊の塗布状態は良好であると判定する(ステップS8)。セルC1の面積比率が閾値以下の場合(ステップS7;No)、判定部334は、糊の塗布状態は良好ではないと判定する(ステップS9)。なお、良否判定用の閾値は、健全なグラビアシリンダ11(例えば、新品のグラビアシリンダ11)のセル幅eとセル間幅dに基づく計算によって算出され、設定されてもよい。
【0031】
判定部334による良否判定が完了すると、ログ管理部335は、判定結果をログに記録する(ステップS10)。例えば、ログ管理部335は、検査日時、検査員の識別情報、用紙Pの識別情報、塗布領域の識別情報、検査した画像(検査対象範囲h1の画像)、判定結果などをセル検査処理のログとして、記憶部34に記録する。
【0032】
次に制御部33が、ステップS8、S9の判定結果をセル検査画面200の検査結果表示欄208に表示する(ステップS11)。例えば、制御部33は、塗布状態が良好と判定された場合、検査結果表示欄208に「OK」を表示し、塗布状態が良好ではないと判定された場合、検査結果表示欄208に「NG」を表示する。
【0033】
以上によってある用紙Pの1つの塗布領域についてのセル検査処理が完了する。例えば、用紙Pが
図2に例示する封筒の場合、検査員は塗布領域P1~P10のそれぞれに対して、上記の処理を行ってもよい。用紙Pに対する糊の塗布処理を行う業務の中で、定期的に本実施形態のセル検査処理を行うことによって、糊の塗布状態をチェックしたり、グラビアシリンダ11の劣化状況を確認したりすることができる。なお、良否判定で良好ではないと判定された場合、グラビアシリンダ11を交換することによって、糊の塗布状態の品質を保つことができる。
【0034】
(効果)
以上、説明したように、本実施形態によれば、糊の塗布状態を定量的に判定することができる。また、グラビアシリンダ11の摩耗度、交換時期を評価することができる。これにより、検査員が目視により検査する場合と比べて、合否判定のバラツキ、不良品の発生、手戻りによるなどによるコスト増を抑制することができる。
【0035】
なお、上記のステップS7の判定において、判定部334は、糊の塗布状態に対する判定に代えて、又は、加えて、セルC1の面積比率が閾値を上回れば、グラビアシリンダ11のセルは健全であると判定し、セルC1の面積比率が閾値以下であれば、グラビアシリンダ11のセルは摩耗している、あるいは、グラビアシリンダ11の交換時期であると判定してもよい。また、上記実施例では、セルC1の面積比率と閾値とを比較して良否判定を行うこととしたが、セルC1と識別された画素数の合計と(セルC1と識別された画素数の合計+セル間C2と識別された画素数の合計)の差が所定の範囲内であれば良好と判定し、範囲外であれば良好ではないと判定してもよい。
【0036】
図9は、実施形態に係るセル検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。上述のセル検査装置30は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0037】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、入出力インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0038】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。小領域はセルC1の一例であり、隙間領域はセル間C2の一例である。
【符号の説明】
【0039】
10・・・グラビア塗布装置、11・・・グラビアシリンダ、12・・・容器、13・・・グラビア圧胴、14・・・ドクター刃、100・・・セル検査システム、20・・・マイクロスコープ、30・・・セル検査装置、31・・・画像取得部、32・・・入力部、33・・・制御部、331・・・画像処理部、332・・・識別部、333・・・計算部、334・・・判定部、335・・・ログ管理部、34・・・記憶部、35・・・表示部、900・・・コンピュータ、901・・・CPU、902・・・主記憶装置、903・・・補助記憶装置、904・・・入出力インタフェース、905・・・通信インタフェース
【手続補正書】
【提出日】2022-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得する取得部と、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別する識別部と、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算する計算部と、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定する判定部と、
矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、
前記判定部は、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する、
検査システム。
【請求項2】
前記識別部は、前記検査画像を構成する画素ごとのRGB色空間におけるR値とB値とG値と、それらの値を規定する所定の計算式に基づいて、前記計算式を満たす画素を前記小領域と識別し、それ以外の画素を前記隙間領域と識別し、
前記判定部は、前記小領域と識別された画素の画素数の、前記小領域と識別された画素の画素数および前記隙間領域と識別された画素の画素数の合計、に対する比率に基づいて、前記塗布状態を判定する、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記識別部は、前記計算式を、前記検査画像に含まれる前記隙間領域の画素が有するR値とB値とG値のうちの少なくとも何れかに基づいて補正する、
請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記判定部による判定結果をログに記録するログ管理部、
をさらに備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、
矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成するステップと、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、
を有し、
前記セル検査画面を生成するステップでは、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、
前記判定するステップでは、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する、
塗布状態判定方法。
【請求項6】
シリンダの表面に形成された凹部に糊を含ませて、前記シリンダを媒体へ押し当てることにより、前記媒体に糊を塗布する塗布装置の前記凹部の健全性を検査するセル検査方法であって、
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、を有する塗布状態判定方法によって、糊の塗布状態が良好と判定されると前記凹部を健全と判定し、前記塗布状態が良好ではないと判定されると前記凹部が摩耗している判定する、
セル検査方法。
【請求項7】
コンピュータに、
糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、
矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成するステップと、
前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、
前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、
前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、
を実行させ、
前記セル検査画面を生成するステップでは、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、
前記判定するステップでは、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する、
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様によれば、検査システムは、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得する取得部と、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別する識別部と、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算する計算部と、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定する判定部と、矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成する制御部と、を備え、前記制御部は、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、前記判定部は、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様によれば、塗布状態判定方法は、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成するステップと、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、を有し、前記セル検査画面を生成するステップでは、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、前記判定するステップでは、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様によれば、セル検査方法は、シリンダの表面に形成された凹部に糊を含ませて、前記シリンダを媒体へ押し当てることにより、前記媒体に糊を塗布する塗布装置の前記凹部の健全性を検査するセル検査方法であって、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップと、を有する塗布状態判定方法によって、糊の塗布状態が良好と判定されると前記凹部を健全と判定し、前記塗布状態が良好ではないと判定されると前記凹部が摩耗している判定する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明の一態様によれば、プログラムは、コンピュータに、糊が塗布された小領域を複数含む塗布領域を撮影した検査画像を取得するステップと、矩形の画像領域に前記検査画像を表示したセル検査画面を生成するステップと、前記塗布領域における前記小領域とそれ以外の領域である隙間領域とを識別するステップと、前記小領域の合計面積である第1面積と、前記隙間領域の合計面積である第2面積を計算するステップと、前記第1面積の大きさと前記第2面積の大きさに基づいて、前記糊の塗布状態を判定するステップとを実行させ、前記セル検査画面を生成するステップでは、前記塗布領域に一定の間隔で正方形の前記小領域が並んでいる場合に、前記小領域の2つの対角線のうちの一方の前記対角線が前記画像領域の1つの辺と平行になり、他方の前記対角線が前記画像領域の前記1つの辺と直交する辺と平行となるように前記検査画像を回転させ、回転後の前記検査画像から切り出される矩形の検査対象範囲の4つの頂点が、それぞれ、回転後の前記検査画像に含まれる複数の前記小領域の何れかの中心となるように設定された前記検査対象範囲を前記検査画像から切り出し、前記判定するステップでは、切出された前記検査対象範囲における前記第1面積と前記第2面積に基づいて、前記塗布状態を判定する。