(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135384
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20230921BHJP
G06Q 20/08 20120101ALI20230921BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
G06Q20/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040556
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100118049
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 浩治
(72)【発明者】
【氏名】浜田 英伸
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB68
5L055AA21
(57)【要約】
【課題】電池パックの取引を円滑に行うことができる技術を提供する。
【解決手段】電池パック管理サーバは、電池パックをユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、ユーザが電池パックを使用することによる電池パックの劣化に応じた金額を電池パック保全金として算出し、電池パックの所有者が第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、返却時刻と貸出時刻との間である場合、変更時刻に応じて、レンタル収入を第1所有者に支払われる第1レンタル収入と第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分するとともに、電池パック保全金を第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに案分し、案分した第1レンタル収入、第2レンタル収入、第1電池パック保全金、及び第2電池パック保全金を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、
前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、
前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、
前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、
前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、
前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、
案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記第1劣化度及び前記第2劣化度は、取得した前記貸出時刻と、取得した前記返却時刻と、経過時間に応じて前記電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて推定される、
請求項1記載の情報処理方法。
【請求項3】
さらに、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた金額を示す電池パック保全金を前記第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と前記第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに案分し、
前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入の出力において、案分した前記第1レンタル収入、前記第2レンタル収入、前記第1電池パック保全金、及び前記第2電池パック保全金を出力する、
請求項1又は2記載の情報処理方法。
【請求項4】
さらに、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックの過去の売買実績を取得し、
さらに、取得した前記売買実績に基づいて、前記電池パックの満充電容量に応じた売買価格を予測するための売買価格予測モデルを推定し、
さらに、取得した前記稼動データと、前記稼動データに応じて前記電池パックの劣化度を予測する第2劣化度予測モデルとに基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第3劣化度を推定し、
さらに、前記第3劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第3満充電容量を算出し、
さらに、前記第2満充電容量と前記第3満充電容量と前記売買価格予測モデルとに基づいて、前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた金額を前記電池パック保全金として算出する、
請求項3記載の情報処理方法。
【請求項5】
さらに、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から変更されていない場合、算出した前記レンタル収入と、算出した前記電池パック保全金とを出力する、
請求項3又は4記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記電池パック保全金の算出において、前記電池パック保全金は、式(1)に基づいて算出され、
δ=e(ep2)-e(ep2-epΔ)・・・(1)
前記式(1)において、δは、前記電池パック保全金であり、ep2は、前記第2満充電容量であり、epΔは、前記第2満充電容量と前記第3満充電容量との差分であり、e(ep)は、前記売買価格予測モデルである、
請求項4記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記レンタル収入及び前記電池パック保全金の案分において、前記第1レンタル収入、前記第2レンタル収入、前記第1電池パック保全金、及び前記第2電池パック保全金は、式(2)~(5)に基づいて算出され、
d1=d*(T-t0)/(t1-t0)・・・(2)
d2=d*(t1-T)/(t1-t0)・・・(3)
δ1=δ*(T-t0)/(t1-t0)・・・(4)
δ2=δ*(t1-T)/(t1-t0)・・・(5)
前記式(2)~(5)において、dは、前記レンタル収入であり、d1は、前記第1レンタル収入であり、d2は、前記第2レンタル収入であり、t0は、前記貸出時刻であり、t1は、前記返却時刻であり、Tは、前記変更時刻であり、δは、前記電池パック保全金であり、δ1は、前記第1電池パック保全金であり、δ2は、前記第2電池パック保全金である、
請求項3~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
さらに、前記第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における前記電池パックの第4劣化度を推定し、
さらに、前記第4劣化度に基づいて、前記将来の所定時刻における前記電池パックの第4満充電容量を算出し、
さらに、前記売買価格予測モデルに基づいて、前記第4満充電容量に応じた売買価格を予測し、
さらに、取得した前記売買実績に含まれる過去の所定時刻の売買価格と、予測した前記将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像を生成し、
さらに、生成した前記売買価格チャート画像を出力する、
請求項3~7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
さらに、前記第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における前記電池パックの第4劣化度を推定し、
さらに、前記第4劣化度に基づいて、前記将来の所定時刻における前記電池パックの第4満充電容量を算出し、
さらに、前記売買価格予測モデルに基づいて、前記第4満充電容量に応じた売買価格を予測し、
さらに、前記第4満充電容量に基づいて、前記レンタル収入を算出し、
さらに、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックが過去の所定の単位期間において貸し出された回数を取得し、
さらに、算出した前記レンタル収入と、取得した前記回数と、予測した前記売買価格とに基づいて、将来の所定の単位期間における利回りを算出し、
さらに、取得した前記売買実績に含まれる過去の所定の単位期間の利回りと、算出した将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像を生成し、
さらに、生成した前記利回りチャート画像を出力する、
請求項3~7のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
さらに、前記返却時刻において、算出した前記電池パック保全金を前記ユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成し、
さらに、生成した前記ユーザ提示画像を出力する、
請求項3~9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
さらに、算出した前記第3満充電容量を前記ユーザの利用履歴として記憶し、
さらに、前記貸出時刻において、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックに対する前記ユーザの利用履歴を取得し、
さらに、前記電池パックが前記ユーザから返却される返却予定時刻を取得し、
さらに、取得した前記返却予定時刻と、前記第1劣化度予測モデルとに基づいて、前記返却予定時刻における前記電池パックの第5劣化度を推定し、
さらに、前記第5劣化度に基づいて、前記返却予定時刻における前記電池パックの第5満充電容量を算出し、
さらに、前記第5満充電容量と、取得した前記利用履歴に含まれる複数の第3満充電容量それぞれとの差分の平均を算出し、
さらに、前記第5満充電容量と複数の差分の平均と前記売買価格予測モデルとに基づいて、前記返却予定時刻において前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた予測金額を予測電池パック保全金として算出し、
さらに、前記貸出時刻において、算出した前記予測電池パック保全金を前記ユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成し、
さらに、生成した前記ユーザ提示画像を出力する、
請求項3~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
プロセッサと、
通信部と、
を備え、
前記プロセッサが、
第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、
前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、
前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、
前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、
前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、
前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、
案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力し、
前記通信部が、
前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を送信する、
情報処理装置。
【請求項13】
第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、
前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、
前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、
前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、
前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、
前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、
案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力するようにコンピュータを機能させる、
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザに電池パックが貸し出されることにより、当該電池パックの所有者に支払われるレンタル料金を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、サービス端末が、サービス利用証明センタから送信される端末利用権利情報によってサービス提供会社を特定し、端末利用権利情報を記録した媒体をサービス端末に接続した時点から、取り外される時点までの時間を利用時間として計測し、利用時間とサービス端末IDとを暗号化してサービス利用証明センタに送信し、サービス利用証明センタが、各サービス端末がサービス提供会社のサービスを利用した時間を集計し、その時間に応じて端末メーカにサービス提供会社の利益を分配することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、端末の所有者が替わることについては考慮されておらず、更なる改善が必要とされていた。
【0005】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたもので、電池パックの取引を円滑に行うことができる技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電池パックの貸し出し中に電池パックの所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、電池パックの所有者に支払われるレンタル収入を第1所有者と第2所有者とに公平に分配することができ、電池パックの取引を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施の形態における電池パック貸出システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本開示の実施の形態における電池パック管理サーバの配当金算出処理について説明するための第1のフローチャートである。
【
図3】本開示の実施の形態における電池パック管理サーバの配当金算出処理について説明するための第2のフローチャートである。
【
図4】本実施の形態において、売買価格予測モデルの一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態における電池パック管理サーバの売買価格提示処理について説明するためのフローチャートである。
【
図6】本実施の形態において、第1所有者端末又は第2所有者端末に表示される売買価格チャート画像の一例を示す図である。
【
図7】本実施の形態における電池パック管理サーバの利回り提示処理について説明するためのフローチャートである。
【
図8】本実施の形態において、第1所有者端末又は第2所有者端末に表示される利回りチャート画像の一例を示す図である。
【
図9】本実施の形態において、電池パックの貸出時に予測電池パック保全金をユーザに提示するユーザ提示処理について説明するためのフローチャートである。
【
図10】本実施の形態において、貸出時刻において予測電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像の一例を示す図である。
【
図11】本実施の形態において、返却時刻において電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見)
従来、複数の投資者から集めた資金で不動産を購入し、そこから得られる賃貸料収入及び不動産の売買益を複数の投資者に配当する不動産投資信託が知られている。この不動産投資信託と同様に、投資者から集めた資金で電池パックを購入し、電池パックをユーザに貸し出すことにより得られるレンタル料収入を、電池パックの所有者である投資者に配当する仕組みが考えられている。
【0010】
このような電池パックの投資信託では、電池パックの所有権が投資者間で売買されるので、電池パックの貸し出し中に電池パックの所有者が替わることがある。
【0011】
上記の従来技術では、端末の所有者が替わることについては考慮されていない。そのため、電池パックの取引を円滑に行うには、電池パックの所有者が替わった場合にどのようにして利益を分配するかについて更に検討する必要がある。
【0012】
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力する。
【0013】
この構成によれば、電池パックの貸し出し中に電池パックの所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、電池パックをユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入が、第1所有者に支払われる第1レンタル収入と第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分される。
【0014】
したがって、電池パックの貸し出し中に電池パックの所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、電池パックの所有者に支払われるレンタル収入を第1所有者と第2所有者とに公平に分配することができ、電池パックの取引を円滑に行うことができる。
【0015】
また、上記の情報処理方法において、前記第1劣化度及び前記第2劣化度は、取得した前記貸出時刻と、取得した前記返却時刻と、経過時間に応じて前記電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて推定されてもよい。
【0016】
この構成によれば、取得した貸出時刻と、取得した返却時刻と、経過時間に応じて電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて、第1劣化度及び第2劣化度を推定することができる。
【0017】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた金額を示す電池パック保全金を前記第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と前記第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに案分し、前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入の出力において、案分した前記第1レンタル収入、前記第2レンタル収入、前記第1電池パック保全金、及び前記第2電池パック保全金を出力してもよい。
【0018】
この構成によれば、電池パックの貸し出し中に電池パックの所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、ユーザが電池パックを使用することによる電池パックの劣化に応じた金額を示す電池パック保全金を第1所有者と第2所有者とに公平に分配することができ、電池パックの取引を円滑に行うことができる。
【0019】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックの過去の売買実績を取得し、さらに、取得した前記売買実績に基づいて、前記電池パックの満充電容量に応じた売買価格を予測するための売買価格予測モデルを推定し、さらに、取得した前記稼動データと、前記稼動データに応じて前記電池パックの劣化度を予測する第2劣化度予測モデルとに基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第3劣化度を推定し、さらに、前記第3劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第3満充電容量を算出し、さらに、前記第2満充電容量と前記第3満充電容量と前記売買価格予測モデルとに基づいて、前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた金額を前記電池パック保全金として算出してもよい。
【0020】
この構成によれば、ユーザが前記電池パックを使用することによる電池パックの劣化に応じた金額を電池パック保全金として算出することができる。
【0021】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から変更されていない場合、算出した前記レンタル収入と、算出した前記電池パック保全金とを出力してもよい。
【0022】
この構成によれば、電池パックの所有者が第1所有者から変更されていない場合、算出されたレンタル収入及び電池パック保全金を、第1所有者に支払われる金額として決定することができる。
【0023】
また、上記の情報処理方法において、前記電池パック保全金の算出において、前記電池パック保全金は、式(1)に基づいて算出されてもよい。
【0024】
δ=e(ep2)-e(ep2-epΔ)・・・(1)
前記式(1)において、δは、前記電池パック保全金であり、ep2は、前記第2満充電容量であり、epΔは、前記第2満充電容量と前記第3満充電容量との差分であり、e(ep)は、前記売買価格予測モデルであってもよい。
【0025】
この構成によれば、経過時間に基づいて算出される返却時刻における電池パックの第2満充電容量から予測される売買価格から、貸出時刻から返却時刻までの電池パックの稼動データに基づいて算出される返却時刻における電池パックの第3満充電容量から予測される売買価格を減算することにより、電池パック保全金を算出することができる。
【0026】
また、上記の情報処理方法において、前記レンタル収入及び前記電池パック保全金の案分において、前記第1レンタル収入、前記第2レンタル収入、前記第1電池パック保全金、及び前記第2電池パック保全金は、式(2)~(5)に基づいて算出されてもよい。
【0027】
d1=d*(T-t0)/(t1-t0)・・・(2)
d2=d*(t1-T)/(t1-t0)・・・(3)
δ1=δ*(T-t0)/(t1-t0)・・・(4)
δ2=δ*(t1-T)/(t1-t0)・・・(5)
前記式(2)~(5)において、dは、前記レンタル収入であり、d1は、前記第1レンタル収入であり、d2は、前記第2レンタル収入であり、t0は、前記貸出時刻であり、t1は、前記返却時刻であり、Tは、前記変更時刻であり、δは、前記電池パック保全金であり、δ1は、前記第1電池パック保全金であり、δ2は、前記第2電池パック保全金であってもよい。
【0028】
この構成によれば、変更時刻に応じて、レンタル収入を第1所有者に支払われる第1レンタル収入と第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに公平に案分することができる。また、変更時刻に応じて、電池パック保全金を第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに公平に案分することができる。
【0029】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における前記電池パックの第4劣化度を推定し、さらに、前記第4劣化度に基づいて、前記将来の所定時刻における前記電池パックの第4満充電容量を算出し、さらに、前記売買価格予測モデルに基づいて、前記第4満充電容量に応じた売買価格を予測し、さらに、取得した前記売買実績に含まれる過去の所定時刻の売買価格と、予測した前記将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像を生成し、さらに、生成した前記売買価格チャート画像を出力してもよい。
【0030】
この構成によれば、売買実績に含まれる過去の所定時刻の売買価格と、予測した将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像が生成される。したがって、電池パックの所有者は、売買価格チャート画像を確認することにより、将来電池パックを売却するか否かを判断することができる。また、投資者は、売買価格チャート画像を確認することにより、将来電池パックを購入するか否かを判断することができる。
【0031】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における前記電池パックの第4劣化度を推定し、さらに、前記第4劣化度に基づいて、前記将来の所定時刻における前記電池パックの第4満充電容量を算出し、さらに、前記売買価格予測モデルに基づいて、前記第4満充電容量に応じた売買価格を予測し、さらに、前記第4満充電容量に基づいて、前記レンタル収入を算出し、さらに、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックが過去の所定の単位期間において貸し出された回数を取得し、さらに、算出した前記レンタル収入と、取得した前記回数と、予測した前記売買価格とに基づいて、将来の所定の単位期間における利回りを算出し、さらに、取得した前記売買実績に含まれる過去の所定の単位期間の利回りと、算出した将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像を生成し、さらに、生成した前記利回りチャート画像を出力してもよい。
【0032】
この構成によれば、売買実績に含まれる過去の所定の単位期間の利回りと、将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像が生成される。したがって、電池パックの所有者は、利回りチャート画像を確認することにより、将来電池パックを売却するか否かを判断することができる。また、投資者は、利回りチャート画像を確認することにより、将来電池パックを購入するか否かを判断することができる。
【0033】
また、上記の情報処理方法において、さらに、前記返却時刻において、算出した前記電池パック保全金を前記ユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成し、さらに、生成した前記ユーザ提示画像を出力してもよい。
【0034】
この構成によれば、返却時刻において、算出された電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像が生成される。したがって、ユーザは、返却時に電池パック保全金を確認することにより、電池パックの利用中に、自身が電池パックをどれだけ劣化させたかを金額に換算して知ることができる。
【0035】
また、上記の情報処理方法において、さらに、算出した前記第3満充電容量を前記ユーザの利用履歴として記憶し、さらに、前記貸出時刻において、前記電池パックと同じ種類の他の電池パックに対する前記ユーザの利用履歴を取得し、さらに、前記電池パックが前記ユーザから返却される返却予定時刻を取得し、さらに、取得した前記返却予定時刻と、前記第1劣化度予測モデルとに基づいて、前記返却予定時刻における前記電池パックの第5劣化度を推定し、さらに、前記第5劣化度に基づいて、前記返却予定時刻における前記電池パックの第5満充電容量を算出し、さらに、前記第5満充電容量と、取得した前記利用履歴に含まれる複数の第3満充電容量それぞれとの差分の平均を算出し、さらに、前記第5満充電容量と複数の差分の平均と前記売買価格予測モデルとに基づいて、前記返却予定時刻において前記ユーザが前記電池パックを使用することによる前記電池パックの劣化に応じた予測金額を予測電池パック保全金として算出し、さらに、前記貸出時刻において、算出した前記予測電池パック保全金を前記ユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成し、さらに、生成した前記ユーザ提示画像を出力してもよい。
【0036】
この構成によれば、貸出時刻において、算出された予測電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像が生成される。したがって、ユーザは、貸出時に電池パック保全金を確認することにより、電池パックの利用中に、自身が電池パックをどれだけ劣化させるのかを予測金額に換算して知ることができる。
【0037】
また、本開示は、以上のような特徴的な処理を実行する情報処理方法として実現することができるだけでなく、情報処理方法が実行する特徴的な方法に対応する特徴的な構成を備える情報処理装置などとして実現することもできる。また、このような情報処理方法に含まれる特徴的な処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。したがって、以下の他の態様でも、上記の情報処理方法と同様の効果を奏することができる。
【0038】
本開示の他の態様に係る情報処理装置は、プロセッサと、通信部と、を備え、前記プロセッサが、第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力し、前記通信部が、前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を送信する。
【0039】
本開示の他の態様に係る情報処理プログラムは、第1所有者が所有する電池パックがユーザに貸し出された貸出時刻と、前記電池パックが前記ユーザから返却された返却時刻と、前記貸出時刻から前記返却時刻までの前記電池パックの稼動データとを取得し、前記貸出時刻における前記電池パックの第1劣化度と、前記返却時刻における前記電池パックの第2劣化度とを推定し、前記第1劣化度に基づいて、前記貸出時刻における前記電池パックの第1満充電容量を算出し、前記第2劣化度に基づいて、前記返却時刻における前記電池パックの第2満充電容量を算出し、前記第1満充電容量及び前記第2満充電容量の少なくとも一方に基づいて、前記電池パックを前記ユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出し、前記電池パックの所有者が前記第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、前記返却時刻と前記貸出時刻との間である場合、前記変更時刻に応じて、算出した前記レンタル収入を前記第1所有者に支払われる第1レンタル収入と前記第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分し、案分した前記第1レンタル収入及び前記第2レンタル収入を出力するようにコンピュータを機能させる。
【0040】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0041】
(実施の形態)
図1は、本開示の実施の形態における電池パック貸出システムの全体構成を示す図である。
【0042】
図1に示す電池パック貸出システムは、第1所有者端末1、第2所有者端末2、電池パック取引サーバ3、電池パックステーション端末4、電池パック5及び電池パック管理サーバ6を備える。
【0043】
第1所有者端末1は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータであり、電池パック5を最初に所有する第1所有者によって使用される。
【0044】
第2所有者端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータであり、電池パック5を次に所有する第2所有者によって使用される。なお、本実施の形態において、電池パック5は、第1所有者から第2所有者に売却される。
【0045】
電池パック取引サーバ3は、電池パック5の売買を受け付ける。電池パック取引サーバ3は、ネットワークを介して第1所有者端末1及び第2所有者端末2と通信可能に接続されている。ネットワークは、例えば、インターネットである。電池パック取引サーバ3は、売りに出されている電池パック5を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に提示するとともに、売りに出されている電池パック5の購入を第1所有者端末1又は第2所有者端末2から受け付ける。
【0046】
なお、本実施の形態では、電池パックが売買されるが、1つの電池パックに対して1つの証券が発行されてもよい。この場合、証券が売買されることにより、証券に対応付けられている電池パックが売買される。所有者(投資者)は、証券を購入することにより、証券に対応付けられている電池パックを所有することになる。なお、複数の電池パックに対して1つの証券が発行されてもよい。
【0047】
電池パック取引サーバ3は、売りに出されている電池パック5に関する情報を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に送信する。第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、売りに出されている電池パック5に関する情報を表示し、売りに出されている電池パック5の第1所有者又は第2所有者による購入を受け付ける。第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、売りに出されている電池パック5に関する情報を表示し、売りに出されている電池パック5の第1所有者又は第2所有者による選択を受け付ける。第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、第1所有者又は第2所有者によって選択された電池パック5を購入するための購入情報を電池パック取引サーバ3へ送信する。購入情報は、購入する電池パック5の電池パックIDと、所有者を識別するための所有者IDとを含む。
【0048】
電池パック取引サーバ3は、第1所有者端末1又は第2所有者端末2によって送信された購入情報を受信する。電池パック取引サーバ3は、電池パック5が売買されたことを示す取引情報を電池パック管理サーバ6へ送信する。取引情報は、電池パックIDと、所有者IDと、電池パック5の取引が確定した取引確定時刻と、電池パック5の売買価格と、電池パック5が売却された時の電池パック5の満充電容量とを含む。取引確定時刻は、購入情報が送信された時刻又は購入情報が受信された時刻である。
【0049】
また、第1所有者又は第2所有者が所有する電池パック5が売却される場合、第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、売却する電池パック5の第1所有者又は第2所有者による選択を受け付け、第1所有者又は第2所有者によって選択された電池パック5を売却するための売却情報を電池パック取引サーバ3へ送信する。売却情報は、売却する電池パック5の電池パックIDと、所有者を識別するための所有者IDとを含む。
【0050】
電池パック取引サーバ3は、第1所有者端末1又は第2所有者端末2によって送信された売却情報を受信する。電池パック取引サーバ3は、売却情報に含まれる電池パックIDで特定される電池パック5を売りに出す。例えば、第1所有者が売りに出している電池パック5が第2所有者によって購入された場合、電池パック5の所有権は第1所有者から第2所有者に移転する。
【0051】
また、電池パック取引サーバ3は、第1所有者又は第2所有者が所有する電池パック5が貸し出されることにより第1所有者又は第2所有者に支払われる配当金を第1所有者又は第2所有者に提示する。配当金は、電池パック管理サーバ6によって算出されたレンタル収入と電池パック保全金とを合計した金額である。レンタル収入及び電池パック保全金については、後述する。電池パック取引サーバ3は、電池パック管理サーバ6によって送信された配当金情報を受信する。配当金情報は、電池パック5の電池パックIDと、所有者IDと、電池パック5のレンタル収入及び電池パック保全金とを含む。電池パック取引サーバ3は、レンタル収入と電池パック保全金とを合計した配当金を提示するための配当金提示情報を、受信した配当金情報に含まれる所有者IDで特定される所有者の所有者端末に送信する。
【0052】
電池パック5は、複数の二次電池を含み、充電により電力を蓄えるとともに、放電により電力を供給する。二次電池は、例えば、鉛蓄電池又はリチウムイオン電池である。
【0053】
電池パックステーション端末4は、複数の電池パック5が置かれる電池パックステーションに設置されている。電池パックステーション端末4は、電池パック5を利用するユーザを識別するためのユーザIDの入力を受け付けるとともに、ユーザが利用する電池パック5を識別するための電池パックIDの入力を受け付ける。ユーザIDは、ユーザにより手動で入力されてもよいし、スマートフォンなどに表示されたバーコード又は2次元コードを読み取ることにより入力されてもよい。電池パックIDは、ユーザにより手動で入力されてもよいし、電池パック5の表面に貼り付けられたバーコード又は2次元コードを読み取ることにより入力されてもよい。
【0054】
電池パックステーションには、複数の電池パック5が置かれている。電池パックステーションにおいて、満充電の電池パック5がユーザに貸し出され、残容量が少なくなった電池パック5がユーザから返却される。残容量が少なくなった電池パック5は、電池パックステーションから充電装置がある場所へ輸送される。充電装置は、電池パック5を充電する。また、満充電の電池パック5は、充電装置がある場所から電池パックステーションへ輸送される。そのため、ユーザが支払う電池パック5のレンタル料金には、電池パック5の輸送費用と、電池パック5の充電費用と、電池パックステーションの運営費用とが含まれる。なお、電池パックステーションに充電装置が設けられていてもよい。この場合、電池パック5のレンタル料金には、電池パック5の輸送費用が含まれない。
【0055】
なお、充電装置がある場所は、電力余剰地域であることが好ましい。これにより、電池パックステーションがある地域の電力不足を解消することができ、充電にかかるコストを削減することができる。
【0056】
電池パック5の貸出時において、電池パックステーション端末4は、貸し出された電池パック5を識別するための電池パックIDと、電池パック5を使用するユーザを識別するためのユーザIDと、電池パック5が貸し出された貸出時刻とを含む貸出情報を電池パック管理サーバ6へ送信する。また、電池パック5の返却時において、電池パックステーション端末4は、返却された電池パック5を識別するための電池パックIDと、電池パック5を返却したユーザを識別するためのユーザIDと、電池パック5が返却された返却時刻と、返却された電池パック5の稼動データとを含む返却情報を電池パック管理サーバ6へ送信する。電池パックステーション端末4は、電池パック5と有線又は無線により互いに通信可能に接続されている。電池パック5は、稼動データを電池パックステーション端末4へ送信する。電池パックステーション端末4は、電池パック5によって送信された稼動データを受信する。
【0057】
稼動データは、電池パック5の貸出時刻から返却時刻までの間の電池パック5のSOC(State of Charge)、温度及び電流値を含む。SOCは、電池パック5の充電率を表す指標である。電池パック5のSOCは、(残容量[Ah]/満充電容量[Ah])*100により表される。電池パック5の温度は、電池パック5に設けられた温度センサ(不図示)により計測される。電池パック5の電流値は、電池パック5に設けられた計測器(不図示)により計測される。なお、上記の稼動データは、一例であり、電池パック5の劣化度を推定することが可能なデータであればよい。
【0058】
電池パック5は、ユーザが使用するモビリティに搭載され、モビリティの電源として機能する。モビリティは、例えば、電動自動車、電動トラック、電動バイク又は電動自転車であり、電池パック5に充電された電力を電気モータへ供給することで移動する。なお、電池パック5は、モビリティ以外の機器に搭載されてもよく、例えば、ドローン等の航空機、船舶又はロボットなどに搭載されてもよい。電池パック5は、モビリティに対して着脱可能である。ユーザは、電池パックステーションにおいて、残容量が少なくなった電池パック5を充電が完了している電池パック5に交換する。
【0059】
電池パック管理サーバ6は、ネットワークを介して電池パック取引サーバ3及び電池パックステーション端末4と通信可能に接続されている。ネットワークは、例えば、インターネットである。
【0060】
電池パック管理サーバ6は、通信部61、メモリ62及び制御部63を備える。
【0061】
通信部61は、電池パックステーション端末4によって送信された貸出情報を受信する。また、通信部61は、電池パックステーション端末4によって送信された返却情報を受信する。また、通信部61は、電池パック取引サーバ3によって送信された取引情報を受信する。さらに、通信部61は、配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0062】
メモリ62は、例えば、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の各種情報を記憶可能な記憶装置である。メモリ62は、電池パック5に関する電池パック情報と、各ユーザの利用履歴を示す利用履歴情報と、電池パックの売買実績を示す売買実績情報とを記憶する。
【0063】
電池パック情報は、電池パック5を識別するための電池パックIDと、電池パック5を所有する所有者を識別するための所有者IDとを含む。
【0064】
利用履歴情報は、ユーザを識別するためのユーザIDと、ユーザが使用する電池パック5を識別するための電池パックIDと、電池パック5が貸し出された貸出時刻と、電池パック5が返却された返却時刻と、貸出時刻から返却時刻までの電池パック5の稼動データとを含む。
【0065】
売買実績情報は、電池パック5を識別するための電池パックIDと、電池パック5の取引が確定した取引確定時刻と、電池パック5の売買価格と、電池パック5が売却された時の電池パック5の満充電容量とを含む。
【0066】
制御部63は、例えば、中央演算処理装置(CPU)である。
【0067】
制御部63は、通信部61によって貸出情報が受信された場合、貸出情報に含まれる電池パックID、ユーザID及び貸出時刻を対応付けた利用履歴情報を作成してメモリ62に記憶する。また、制御部63は、通信部61によって返却情報が受信された場合、返却情報に含まれる電池パックID及びユーザIDに対応する利用履歴情報に、返却情報に含まれる返却時刻及び稼動データを対応付けて記憶する。
【0068】
また、制御部63は、通信部61によって取引情報が受信された場合、取引情報に含まれる電池パックIDに対応する電池パック情報の所有者IDを、取引情報に含まれる変更後の所有者IDに更新する。
【0069】
また、制御部63は、通信部61によって取引情報が受信された場合、取引情報に含まれる電池パックID、取引確定時刻、売買価格及び満充電容量を対応付けた売買実績情報を作成してメモリ62に記憶する。
【0070】
制御部63は、第1所有者が所有する電池パック5がユーザに貸し出された貸出時刻と、電池パック5がユーザから返却された返却時刻と、貸出時刻から返却時刻までの電池パック5の稼動データとを取得する。制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、第1所有者が所有する電池パック5の貸出時刻、返却時刻及び稼動データを取得する。
【0071】
制御部63は、貸出時刻における電池パック5の第1劣化度と、返却時刻における電池パック5の第2劣化度とを推定する。より具体的には、制御部63は、取得した貸出時刻と、取得した返却時刻と、経過時間に応じて電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて、貸出時刻における電池パック5の第1劣化度と、返却時刻における電池パック5の第2劣化度とを推定する。
【0072】
本実施の形態における劣化度は、SOH(State Of Health)で表される。メモリ62は、第1劣化度予測モデルを予め記憶している。なお、第1劣化度予測モデルは、電池パックの種類毎に作成され記憶されていてもよい。劣化度(SOH)は、電池パックの出荷時点からの経過時間に応じて変化する。そのため、第1劣化度予測モデルは、出荷時点からの経過時間に応じて電池パックの劣化度を予測する関数である。制御部63は、貸出時刻及び第1劣化度予測モデルに基づいて、出荷時点から貸出時刻までの経過時間に応じた電池パック5の第1劣化度を推定する。また、制御部63は、返却時刻及び第1劣化度予測モデルに基づいて、出荷時点から返却時刻までの経過時間に応じた電池パック5の第2劣化度を推定する。
【0073】
制御部63は、第1劣化度に基づいて、貸出時刻における電池パック5の第1満充電容量ep1を算出する。より具体的には、制御部63は、第1劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、貸出時刻における電池パック5の第1満充電容量ep1を算出する。なお、メモリ62は、電池パックの種類毎に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を予め記憶している。
【0074】
制御部63は、第2劣化度に基づいて、返却時刻における電池パック5の第2満充電容量ep2を算出する。より具体的には、制御部63は、第2劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、返却時刻における電池パック5の第2満充電容量ep2を算出する。
【0075】
制御部63は、第1満充電容量ep1及び第2満充電容量ep2の少なくとも一方に基づいて、電池パック5をユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出する。例えば、制御部63は、第1満充電容量ep1及び第2満充電容量ep2の平均値((ep1+ep2)/2)を算出し、算出した平均値に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出する。定数は、事業者又は所有者によって決定される。なお、制御部63は、第1満充電容量ep1に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出してもよい。また、制御部63は、第2満充電容量ep2に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出してもよい。
【0076】
制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の売買実績を取得する。制御部63は、メモリ62に記憶されている売買実績情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを取得する。
【0077】
制御部63は、取得した売買実績に基づいて、電池パックの満充電容量に応じた売買価格を予測するための売買価格予測モデルe(ep)を推定する。制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを用いた回帰分析により、売買価格(目的変数)を満充電容量(説明変数)で説明する売買価格予測モデルe(ep)を推定する。
【0078】
制御部63は、取得した稼動データと、稼動データに応じて電池パックの劣化度を予測する第2劣化度予測モデルとに基づいて、返却時刻における電池パック5の第3劣化度を推定する。メモリ62は、第2劣化度予測モデルを予め記憶している。なお、第2劣化度予測モデルは、電池パックの種類毎に作成され記憶されていてもよい。劣化度(SOH)は、電池パックの出荷時点からの経過時間に応じて変化するが、さらに、ユーザの電池パックの利用の仕方によっても変化する。例えば、ユーザにより電池パックの劣化が進むような放電が行われた場合、電池パックはさらに劣化する。そのため、第2劣化度予測モデルは、出荷時点からの経過時間と、貸出時刻から返却時刻までの電池パックの稼動データとに応じて電池パックの劣化度を予測する関数である。
【0079】
制御部63は、稼動データ及び第2劣化度予測モデルに基づいて、出荷時点から返却時刻までの経過時間と、貸出時刻から返却時刻までの電池パックの稼動データとに応じた電池パック5の第3劣化度を推定する。例えば、稼動データに含まれる温度及びSOCは、電池パック5の保存時における劣化速度に影響を与え、稼動データに含まれる電流値及びSOCは、電池パック5の放電時における劣化速度に影響を与える。制御部63は、出荷時点から返却時刻までの経過時間と、貸出時刻から返却時刻までの間における温度、SOC及び電流値とを第2劣化度予測モデルに入力することにより、貸出時刻から返却時刻までの間にユーザが利用することによって劣化した電池パック5の第3劣化度を推定する。
【0080】
制御部63は、第3劣化度に基づいて、返却時刻における電池パック5の第3満充電容量を算出する。より具体的には、制御部63は、第3劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、返却時刻における電池パック5の第3満充電容量ep3を算出する。第2満充電容量ep2は、経過時間に応じた劣化が反映され、第3満充電容量ep3は、ユーザの利用状況に応じた劣化が反映される。
【0081】
制御部63は、第2満充電容量ep2と第3満充電容量ep3と売買価格予測モデルe(ep)とに基づいて、ユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた金額を電池パック保全金として算出する。
【0082】
ここで、電池パック保全金は、下記の式(6)に基づいて算出される。
【0083】
δ=e(ep2)-e(ep2-epΔ)・・・(6)
上記の式(6)において、δは、電池パック保全金であり、ep2は、第2満充電容量であり、epΔは、第2満充電容量ep2と第3満充電容量ep3との差分であり、e(ep)は、売買価格予測モデルである。制御部63は、第2満充電容量ep2と第3満充電容量ep3との差分epΔを算出する。
【0084】
上述したように、各ユーザの利用状況に応じて、電池パック5の劣化が進んだり、抑制されたりする。電池パック保全金は、ユーザの利用状況に応じて変化する電池パックの資産価値を保護するための金額である。電池パック保全金は、ユーザに請求されるとともに、配当金の一部として所有者に支払われる。
【0085】
また、電池パック5は、ユーザに貸し出されている間に、売買されることがある。このように、電池パック5がユーザに貸し出されている間に、電池パック5の所有者が変更された場合、電池パック5の所有者に支払われる配当金は、変更前の所有者と変更後の所有者とに案分する必要がある。
【0086】
そこで、制御部63は、電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻(取引確定時刻)が、返却時刻と貸出時刻との間である場合、変更時刻に応じて、算出したレンタル収入を第1所有者に支払われる第1レンタル収入と第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分する。また、制御部63は、電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻(取引確定時刻)が、返却時刻と貸出時刻との間である場合、変更時刻に応じて、ユーザが電池パックを使用することによる電池パックの劣化に応じた金額を示す電池パック保全金を第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに案分する。
【0087】
ここで、第1レンタル収入、第2レンタル収入、第1電池パック保全金、及び第2電池パック保全金は、下記の式(7)~(10)に基づいて算出される。
【0088】
d1=d*(T-t0)/(t1-t0)・・・(7)
d2=d*(t1-T)/(t1-t0)・・・(8)
δ1=δ*(T-t0)/(t1-t0)・・・(9)
δ2=δ*(t1-T)/(t1-t0)・・・(10)
上記の式(7)~(10)において、dは、レンタル収入であり、d1は、第1レンタル収入であり、d2は、第2レンタル収入であり、t0は、貸出時刻であり、t1は、返却時刻であり、Tは、変更時刻であり、δは、電池パック保全金であり、δ1は、第1電池パック保全金であり、δ2は、第2電池パック保全金である。
【0089】
制御部63は、案分した第1レンタル収入、第2レンタル収入、第1電池パック保全金、及び第2電池パック保全金を通信部61に出力する。通信部61は、電池パック5の電池パックIDと、第1所有者の所有者IDと、電池パック5の第1レンタル収入と、電池パック5の第1電池パック保全金とを含む第1配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。また、通信部61は、電池パック5の電池パックIDと、第2所有者の所有者IDと、電池パック5の第2レンタル収入と、電池パック5の第2電池パック保全金とを含む第2配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0090】
また、制御部63は、電池パック5の所有者が第1所有者から変更されていない場合、算出したレンタル収入と、算出した電池パック保全金とを通信部61に出力する。通信部61は、電池パック5の電池パックIDと、第1所有者の所有者IDと、電池パック5のレンタル収入と、電池パック5の電池パック保全金とを含む配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0091】
なお、ユーザが支払うレンタル料金は、電池パック5の輸送費用と、電池パック5の充電費用と、電池パックステーションの運営費用と、レンタル収入と、電池パック保全金とを合計した金額である。輸送費用、充電費用及び運営費用は、予め決められており、メモリ62に予め記憶されている。なお、充電費用は、予め決められている固定の金額ではなく、実際に充電にかかった電気料金であってもよい。
【0092】
続いて、本開示の実施の形態における電池パック管理サーバ6の配当金算出処理について説明する。
【0093】
図2は、本開示の実施の形態における電池パック管理サーバ6の配当金算出処理について説明するための第1のフローチャートであり、
図3は、本開示の実施の形態における電池パック管理サーバ6の配当金算出処理について説明するための第2のフローチャートである。
【0094】
なお、配当金算出処理は、通信部61によって電池パックステーション端末4からの返却情報が受信された後、すなわち返却時刻の後に行われる。配当金算出処理は、通信部61によって返却情報が受信される毎に行われてもよいし、通信部61によって返却情報が受信された後であればいつ行われてもよい。例えば、1日に1回、1週間に1回、又は1か月に1回など定期的に、返却された全ての電池パックについての配当金算出処理が行われてもよい。
【0095】
また、以下の説明では、電池パック5がユーザに貸し出され、貸出時点において電池パック5は、第1所有者によって所有されているものとする。
【0096】
まず、ステップS1において、制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5の貸出時刻、返却時刻及び稼動データを取得する。
【0097】
次に、ステップS2において、制御部63は、取得した貸出時刻と、経過時間に応じて電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて、貸出時刻における電池パック5の第1劣化度を推定する。
【0098】
次に、ステップS3において、制御部63は、取得した返却時刻と、経過時間に応じて電池パックの劣化度を予測する第1劣化度予測モデルとに基づいて、返却時刻における電池パック5の第2劣化度を推定する。
【0099】
次に、ステップS4において、制御部63は、算出した第1劣化度に基づいて、貸出時刻における電池パック5の第1満充電容量ep1を算出する。このとき、制御部63は、第1劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、貸出時刻における電池パック5の第1満充電容量ep1を算出する。
【0100】
次に、ステップS5において、制御部63は、算出した第2劣化度に基づいて、返却時刻における電池パック5の第2満充電容量ep2を算出する。このとき、制御部63は、第2劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、返却時刻における電池パック5の第2満充電容量ep2を算出する。
【0101】
次に、ステップS6において、制御部63は、第1満充電容量ep1及び第2満充電容量ep2の少なくとも一方に基づいて、電池パック5をユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入を算出する。このとき、制御部63は、第1満充電容量ep1及び第2満充電容量ep2の平均値((ep1+ep2)/2)を算出し、算出した平均値に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出する。
【0102】
次に、ステップS7において、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の売買実績を取得する。このとき、制御部63は、メモリ62に記憶されている売買実績情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを売買実績として取得する。
【0103】
次に、ステップS8において、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを用いた回帰分析により、売買価格(目的変数)を満充電容量(説明変数)で説明する売買価格予測モデルe(ep)を推定する。
【0104】
次に、ステップS9において、制御部63は、取得した稼動データと、稼動データに応じて電池パックの劣化度を予測する第2劣化度予測モデルとに基づいて、返却時刻における電池パック5の第3劣化度を推定する。
【0105】
次に、ステップS10において、制御部63は、第3劣化度に基づいて、返却時刻における電池パック5の第3満充電容量ep3を算出する。このとき、制御部63は、第3劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、返却時刻における電池パック5の第3満充電容量ep3を算出する。
【0106】
次に、ステップS11において、制御部63は、第2満充電容量ep2と第3満充電容量ep3との差分epΔを算出する。
【0107】
次に、ステップS12において、制御部63は、第2満充電容量ep2と差分epΔと売買価格予測モデルe(ep)とに基づいて、ユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた金額を電池パック保全金として算出する。このとき、制御部63は、上記の式(6)に基づいて電池パック保全金δを算出する。
【0108】
図4は、本実施の形態において、売買価格予測モデルの一例を示す図である。
図4において、縦軸は売買価格を示し、横軸は、時間を示す。ep1は、電池パック5の貸出時刻t0における満充電容量であり、ep2は、電池パック5の返却時刻t1における満充電容量である。
【0109】
満充電容量は、時間が経過するに従って低下する。そのため、
図4に示すように、売買価格予測モデルe(ep)は、時間が経過するに従って低下する。返却時刻t1における売買価格e(ep2)は、貸出時刻t0における売買価格e(ep1)よりも安くなっている。そして、貸出時刻t0から返却時刻t1までの間にユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた金額が電池パック保全金δとして算出される。
【0110】
図3に戻って、次に、ステップS13において、制御部63は、電池パック5の取引確定時刻が貸出時刻と返却時刻との間にあるか否かを判定する。
【0111】
取引確定時刻が貸出時刻と返却時刻との間にあると判定した場合、すなわち、貸出時刻と返却時刻とで電池パック5の所有者が異なる場合、(ステップS13でYES)、ステップS14において、制御部63は、取引確定時刻に応じて、算出したレンタル収入dを第1所有者に支払われる第1レンタル収入d1と第2所有者に支払われる第2レンタル収入d2とに案分する。このとき、制御部63は、上記の式(7)及び式(8)に基づいて、レンタル収入dを第1レンタル収入d1と第2レンタル収入d2とに案分する。
【0112】
次に、ステップS15において、制御部63は、取引確定時刻に応じて、算出した電池パック保全金δを第1所有者に支払われる第1電池パック保全金δ1と第2所有者に支払われる第2電池パック保全金δ2とに案分する。このとき、制御部63は、上記の式(9)及び式(10)に基づいて、電池パック保全金δを第1電池パック保全金δ1と第2電池パック保全金δ2とに案分する。
【0113】
次に、ステップS16において、制御部63は、案分した第1レンタル収入d1、第2レンタル収入d2、第1電池パック保全金δ1、及び第2電池パック保全金δ2を通信部61に出力する。
【0114】
次に、ステップS17において、通信部61は、電池パック5の電池パックIDと、第1所有者の所有者IDと、電池パック5の第1レンタル収入と、電池パック5の第1電池パック保全金とを含む第1配当金情報、及び電池パック5の電池パックIDと、第2所有者の所有者IDと、電池パック5の第2レンタル収入と、電池パック5の第2電池パック保全金とを含む第2配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。電池パック取引サーバ3は、第1レンタル収入d1と第1電池パック保全金δ1とを合計した配当金を提示するための第1配当金提示情報を、受信した第1配当金情報に含まれる所有者IDで特定される第1所有者の第1所有者端末1に送信する。また、電池パック取引サーバ3は、第2レンタル収入d2と第2電池パック保全金δ2とを合計した配当金を提示するための第2配当金提示情報を、受信した第2配当金情報に含まれる所有者IDで特定される第2所有者の第2所有者端末2に送信する。
【0115】
一方、取引確定時刻が貸出時刻と返却時刻との間にないと判定した場合、すなわち、貸出時刻と返却時刻とで電池パック5の所有者が同じであった場合(ステップS13でNO)、ステップS18において、制御部63は、算出したレンタル収入dと、算出した電池パック保全金δとを通信部61に出力する。
【0116】
次に、ステップS19において、通信部61は、電池パック5の電池パックIDと、第1所有者の所有者IDと、電池パック5のレンタル収入と、電池パック5の電池パック保全金とを含む配当金情報を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0117】
このように、電池パック5の貸し出し中に電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、電池パック5をユーザに貸し出すことにより得られるレンタル収入が、第1所有者に支払われる第1レンタル収入と第2所有者に支払われる第2レンタル収入とに案分されるとともに、ユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた電池パック保全金が、第1所有者に支払われる第1電池パック保全金と第2所有者に支払われる第2電池パック保全金とに案分される。
【0118】
したがって、電池パック5の貸し出し中に電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、電池パック5の所有者に支払われるレンタル収入を第1所有者と第2所有者とに公平に分配することができ、電池パック5の取引を円滑に行うことができる。
【0119】
また、電池パック5の貸し出し中に電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に替わった場合、ユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた電池パック保全金を第1所有者と第2所有者とに公平に分配することができ、電池パック5の取引を円滑に行うことができる。
【0120】
なお、本実施の形態では、電池パック管理サーバ6の制御部63は、レンタル収入と電池パック保全金とを算出し、電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、返却時刻と貸出時刻との間である場合、変更時刻に応じて、レンタル収入を第1レンタル収入と第2レンタル収入とに案分するとともに、電池パック保全金を第1電池パック保全金と第2電池パック保全金とに案分しているが、本開示は特にこれに限定されない。制御部63は、電池パック保全金を算出せずに、レンタル収入のみを算出し、電池パック5の所有者が第1所有者から第2所有者に変更された変更時刻が、返却時刻と貸出時刻との間である場合、変更時刻に応じて、レンタル収入を第1レンタル収入と第2レンタル収入とに案分し、第1レンタル収入及び第2レンタル収入を出力してもよい。また、制御部63は、電池パック5の所有者が第1所有者から変更されていない場合、算出したレンタル収入のみを出力してもよい。
【0121】
なお、本実施の形態において、過去及び将来の売買価格が所有者(投資者)に提示されてもよい。
【0122】
以下、本実施の形態において、過去及び将来の売買価格を所有者(投資者)に提示する売買価格提示処理について説明する。
【0123】
第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、売買価格の提示を要求する売買価格提示要求を電池パック取引サーバ3に送信する。電池パック取引サーバ3は、第1所有者端末1又は第2所有者端末2によって送信された売買価格提示要求を受信する。電池パック取引サーバ3は、受信した売買価格提示要求を電池パック管理サーバ6に送信する。電池パック管理サーバ6の通信部61は、電池パック取引サーバ3によって送信された売買価格提示要求を受信する。
【0124】
制御部63は、通信部61によって売買価格提示要求が受信された場合、第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における電池パックの第4劣化度を推定する。また、制御部63は、第4劣化度に基づいて、将来の所定時刻における電池パックの第4満充電容量を算出する。また、制御部63は、売買価格予測モデルに基づいて、第4満充電容量に応じた売買価格を予測する。また、制御部63は、取得した売買実績に含まれる過去の所定時刻の売買価格と、予測した将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像を生成する。より具体的には、制御部63は、横軸が時間を表し、縦軸が売買価格を表す座標上に、過去の所定時刻の売買価格と、将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像を生成する。制御部63は、生成した売買価格チャート画像を通信部61に出力する。通信部61は、制御部63によって生成された売買価格チャート画像を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0125】
電池パック取引サーバ3は、電池パック管理サーバ6によって送信された売買価格チャート画像を受信する。電池パック取引サーバ3は、受信した売買価格チャート画像を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に送信する。第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、電池パック取引サーバ3によって送信された売買価格チャート画像を受信し、受信した売買価格チャート画像を表示する。
【0126】
なお、第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、売買価格提示要求を電池パック管理サーバ6に直接送信してもよい。また、電池パック管理サーバ6の通信部61は、売買価格チャート画像を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に直接送信してもよい。
【0127】
図5は、本実施の形態における電池パック管理サーバ6の売買価格提示処理について説明するためのフローチャートである。
【0128】
まず、ステップS31において、通信部61は、電池パック取引サーバ3によって送信された売買価格提示要求を受信する。
【0129】
次に、ステップS32において、制御部63は、第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における電池パック5の第4劣化度を推定する。例えば、現在から1か月後の所定時刻における第4劣化度を推定する場合、制御部63は、第1劣化度予測モデルに基づいて、出荷時点から、現在から1か月後の所定時刻までの経過時間に応じた電池パック5の第4劣化度を推定する。
【0130】
なお、将来の所定時刻は、1か月後に限定されず、1週間後又は1日後であってもよい。また、制御部63は、将来の複数の所定時刻における電池パック5の第4劣化度を推定してもよく、例えば、1か月後、2か月後及び3か月後の電池パック5の第4劣化度を推定してもよい。
【0131】
次に、ステップS33において、制御部63は、推定した第4劣化度に基づいて、将来の所定時刻における電池パック5の第4満充電容量を算出する。より具体的には、制御部63は、第4劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、将来の所定時刻における電池パック5の第4満充電容量ep4を算出する。
【0132】
次に、ステップS34において、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の売買実績を取得する。このとき、制御部63は、メモリ62に記憶されている売買実績情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを売買実績として取得する。
【0133】
次に、ステップS35において、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの売買価格と、当該他の電池パックの取引時における満充電容量とを用いた回帰分析により、売買価格(目的変数)を満充電容量(説明変数)で説明する売買価格予測モデルe(ep)を推定する。
【0134】
次に、ステップS36において、制御部63は、売買価格予測モデルe(ep)に基づいて、第4満充電容量ep4に応じた売買価格e(ep4)を予測する。
【0135】
次に、ステップS37において、制御部63は、横軸が時間を表し、縦軸が売買価格を表す座標上に、取得した売買実績に含まれる電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の所定時刻の売買価格と、予測した将来の所定時刻の売買価格とを結んだ線を示す売買価格チャート画像を生成する。
【0136】
次に、ステップS38において、制御部63は、生成した売買価格チャート画像を通信部61に出力する。
【0137】
次に、ステップS39において、通信部61は、制御部63によって生成された売買価格チャート画像を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0138】
図6は、本実施の形態において、第1所有者端末1又は第2所有者端末2に表示される売買価格チャート画像101の一例を示す図である。
【0139】
図6に示す売買価格チャート画像101において、縦軸は売買価格を示し、横軸は、時間(月)を示す。時刻tは、現在時刻を表し、時刻t-1は、現在時刻から1か月前の時刻を表し、時刻t+1は、現在時刻から1か月後の時刻を表す。
【0140】
時刻t-1における売買価格は実績値であり、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の時刻t-1における売買価格である。時刻t+1における売買価格は予測値であり、時刻t+1における第4満充電容量ep4に応じた売買価格e(ep4)が予測される。時刻tにおける売買価格は、実績値であってもよいし、予測値であってもよい。売買価格は、時間が経過するに従って低下する。
【0141】
電池パック5の所有者は、売買価格チャート画像101を確認することにより、将来電池パック5を売却するか否かを判断することができる。また、投資者は、売買価格チャート画像101を確認することにより、将来電池パック5を購入するか否かを判断することができる。
【0142】
また、本実施の形態において、過去及び将来の利回りが所有者(投資者)に提示されてもよい。
【0143】
以下、本実施の形態において、過去及び将来の利回りを所有者(投資者)に提示する利回り提示処理について説明する。
【0144】
第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、利回りの提示を要求する利回り提示要求を電池パック取引サーバ3に送信する。電池パック取引サーバ3は、第1所有者端末1又は第2所有者端末2によって送信された利回り提示要求を受信する。電池パック取引サーバ3は、受信した利回り提示要求を電池パック管理サーバ6に送信する。電池パック管理サーバ6の通信部61は、電池パック取引サーバ3によって送信された利回り提示要求を受信する。
【0145】
制御部63は、通信部61によって利回り提示要求が受信された場合、第1劣化度予測モデルに基づいて、将来の所定時刻における電池パックの第4劣化度を推定する。また、制御部63は、第4劣化度に基づいて、将来の所定時刻における電池パックの第4満充電容量ep4を算出する。また、制御部63は、売買価格予測モデルに基づいて、第4満充電容量ep4に応じた売買価格を予測する。また、制御部63は、第4満充電容量ep4に基づいて、レンタル収入を算出する。制御部63は、第4満充電容量ep4に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出する。
【0146】
また、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックが過去の所定の単位期間において貸し出された回数を取得する。所定の単位期間は、例えば、1か月間である。例えば、制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックが過去の1か月間において貸し出された回数を取得する。
【0147】
また、制御部63は、算出したレンタル収入と、取得した回数と、予測した売買価格とに基づいて、将来の所定の単位期間における利回りを算出する。より具体的には、制御部63は、レンタル収入に、所定の単位期間に貸し出された回数を乗算することにより、所定の単位期間に得られるレンタル収入を算出する。そして、制御部63は、所定の単位期間に得られるレンタル収入を、予測した売買価格で除算し、除算値に100を乗算することにより、将来の所定の単位期間における利回り(%)を算出する。
【0148】
また、制御部63は、取得した売買実績に含まれる過去の所定の単位期間の利回りと、算出した将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像を生成する。より具体的には、制御部63は、横軸が時間を表し、縦軸が利回りを表す座標上に、過去の所定の単位期間の利回りと、将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像を生成する。なお、売買実績情報は、過去の所定の単位期間の利回りを含む。なお、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の所定の単位期間に得られるレンタル収入を、当該他の電池パックの過去の売買価格で除算し、除算値に100を乗算することにより、過去の所定の単位期間における利回り(%)を算出してもよい。
【0149】
また、制御部63は、生成した利回りチャート画像を通信部61に出力する。通信部61は、制御部63によって生成された利回りチャート画像を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0150】
電池パック取引サーバ3は、電池パック管理サーバ6によって送信された利回りチャート画像を受信する。電池パック取引サーバ3は、受信した利回りチャート画像を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に送信する。第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、電池パック取引サーバ3によって送信された利回りチャート画像を受信し、受信した利回りチャート画像を表示する。
【0151】
なお、第1所有者端末1又は第2所有者端末2は、利回り提示要求を電池パック管理サーバ6に直接送信してもよい。また、電池パック管理サーバ6の通信部61は、利回りチャート画像を第1所有者端末1又は第2所有者端末2に直接送信してもよい。
【0152】
図7は、本実施の形態における電池パック管理サーバ6の利回り提示処理について説明するためのフローチャートである。
【0153】
まず、ステップS41において、通信部61は、電池パック取引サーバ3によって送信された利回り提示要求を受信する。
【0154】
なお、ステップS42~ステップS46の処理は、
図5に示すステップS32~ステップS36の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0155】
次に、ステップS47において、制御部63は、第4満充電容量ep4に基づいて、電池パック5をユーザに貸し出すことにより得られる将来のレンタル収入を算出する。このとき、制御部63は、第4満充電容量ep4に定数を乗算することにより、将来のレンタル収入を算出する。
【0156】
次に、ステップS48において、制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックが過去の所定の単位期間において貸し出された回数を取得する。所定の単位期間は、例えば、1か月間である。
【0157】
次に、ステップS49において、制御部63は、算出したレンタル収入と、取得した回数と、予測した売買価格とに基づいて、将来の所定の単位期間における利回りを算出する。
【0158】
次に、ステップS50において、制御部63は、横軸が時間を表し、縦軸が利回りを表す座標上に、取得した売買実績に含まれる過去の所定の単位期間の利回りと、算出した将来の所定の単位期間の利回りとを結んだ線を示す利回りチャート画像を生成する。
【0159】
次に、ステップS51において、制御部63は、生成した利回りチャート画像を通信部61に出力する。
【0160】
次に、ステップS52において、通信部61は、制御部63によって生成された利回りチャート画像を電池パック取引サーバ3に送信する。
【0161】
図8は、本実施の形態において、第1所有者端末1又は第2所有者端末2に表示される利回りチャート画像102の一例を示す図である。
【0162】
図8に示す利回りチャート画像102において、縦軸は利回りを示し、横軸は、時間(月)を示す。時刻tは、現在時刻を表し、時刻t-1は、現在時刻から1か月前の時刻を表し、時刻t+1は、現在時刻から1か月後の時刻を表す。
【0163】
時刻t-1における利回りは実績値であり、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の時刻t-1における利回りである。時刻t+1における利回りは予測値である。利回りは、時間が経過するに従って低下する。
【0164】
電池パック5の所有者は、利回りチャート画像102を確認することにより、将来電池パック5を売却するか否かを判断することができる。また、投資者は、利回りチャート画像102を確認することにより、将来電池パック5を購入するか否かを判断することができる。
【0165】
なお、制御部63は、横軸が時間を表し、縦軸がレンタル収入を表す座標上に、取得した売買実績に含まれる過去の所定の単位期間のレンタル収入と、算出した将来の所定の単位期間のレンタル収入とを結んだ線を示すレンタル収入チャート画像を生成してもよい。売買実績情報は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックの過去の所定の単位期間に得られるレンタル収入を含んでもよい。
【0166】
また、本実施の形態において、電池パックの貸出時に予測電池パック保全金がユーザに提示されてもよい。
【0167】
以下、本実施の形態において、電池パックの貸出時に予測電池パック保全金をユーザに提示するユーザ提示処理について説明する。
【0168】
まず、制御部63は、算出した第3満充電容量ep3をユーザの利用履歴としてメモリ62に記憶する。この処理は、
図2のステップS10で第3満充電容量ep3が算出された後に行われる。
【0169】
貸出時刻において、制御部63は、電池パック5と同じ種類の他の電池パックに対するユーザの利用履歴を取得する。利用履歴は、過去に算出された複数の第3満充電容量ep3を含む。制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックに対するユーザの複数の第3満充電容量ep3を取得する。
【0170】
制御部63は、電池パック5がユーザから返却される返却予定時刻を取得する。なお、貸出情報は、返却予定時刻を含む。電池パックステーション端末4は、ユーザによる返却予定時刻の入力を受け付ける。なお、ユーザが所有する端末が、ユーザによる返却予定時刻の入力を受け付けてもよい。ユーザが所有する端末は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ又はパーソナルコンピュータである。
【0171】
また、制御部63は、取得した返却予定時刻と、第1劣化度予測モデルとに基づいて、返却予定時刻における電池パック5の第5劣化度を推定する。制御部63は、第5劣化度に基づいて、返却予定時刻における電池パック5の第5満充電容量ep5を算出する。制御部63は、第5満充電容量ep5と、取得した利用履歴に含まれる複数の第3満充電容量ep3それぞれとの差分epΔの平均μepΔを算出する。
【0172】
また、制御部63は、第5満充電容量ep5と複数の差分epΔの平均μepΔと売買価格予測モデルe(ep)とに基づいて、返却予定時刻においてユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた予測金額を予測電池パック保全金として算出する。
【0173】
ここで、予測電池パック保全金は、下記の式(11)に基づいて算出される。
【0174】
δp=e(ep5)-e(ep5-μepΔ)・・・(11)
上記の式(11)において、δpは、予測電池パック保全金であり、ep5は、第5満充電容量であり、μepΔは、第5満充電容量ep5と複数の第3満充電容量ep3それぞれとの差分epΔの平均であり、e(ep)は、売買価格予測モデルである。
【0175】
また、制御部63は、貸出時刻において、算出した予測電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成する。制御部63は、生成したユーザ提示画像を通信部61に出力する。通信部61は、制御部63によって生成されたユーザ提示画像を電池パックステーション端末4に送信する。
【0176】
電池パックステーション端末4は、電池パック管理サーバ6によって送信されたユーザ提示画像を受信する。電池パックステーション端末4は、受信したユーザ提示画像を表示する。なお、電池パック管理サーバ6の通信部61は、ユーザが所有する端末にユーザ提示画像を直接送信してもよい。この場合、ユーザが所有する端末は、ユーザ提示画像を受信し、受信したユーザ提示画像を表示してもよい。
【0177】
図9は、本実施の形態において、電池パック5の貸出時に予測電池パック保全金をユーザに提示するユーザ提示処理について説明するためのフローチャートである。
【0178】
まず、ステップS61において、通信部61は、電池パックステーション端末4によって送信された貸出情報を受信する。
【0179】
次に、ステップS62において、制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5と同じ種類の他の電池パックに対するユーザの複数の第3満充電容量ep3を取得する。
【0180】
次に、ステップS63において、制御部63は、メモリ62に記憶されている利用履歴情報から、電池パック5の返却予定時刻を取得する。
【0181】
次に、ステップS64において、制御部63は、取得した返却予定時刻と、第1劣化度予測モデルとに基づいて、返却予定時刻における電池パック5の第5劣化度を推定する。
【0182】
次に、ステップS65において、制御部63は、算出した第5劣化度に基づいて、返却予定時刻における電池パック5の第5満充電容量ep5を算出する。このとき、制御部63は、第5劣化度(SOH)に初期(出荷時)の満充電容量(FCC)を乗算することにより、返却予定時刻における電池パック5の第5満充電容量ep5を算出する。
【0183】
ステップS66~S67の処理は、
図2のステップS7~S8の処理と同じであるので、説明を省略する。
【0184】
次に、ステップS68において、制御部63は、算出した第5満充電容量ep5と、取得した複数の第3満充電容量ep3それぞれとの差分epΔの平均μepΔを算出する。
【0185】
次に、ステップS69において、制御部63は、第5満充電容量ep5と複数の差分epΔの平均μepΔと売買価格予測モデルe(ep)とに基づいて、返却予定時刻においてユーザが電池パック5を使用することによる電池パック5の劣化に応じた予測金額を予測電池パック保全金として算出する。このとき、制御部63は、上記の式(11)に基づいて予測電池パック保全金δpを算出する。
【0186】
次に、ステップS70において、制御部63は、算出した予測電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成する。
【0187】
次に、ステップS71において、制御部63は、生成したユーザ提示画像を通信部61に出力する。
【0188】
次に、ステップS72において、通信部61は、制御部63によって生成されたユーザ提示画像を電池パックステーション端末4に送信する。
【0189】
図10は、本実施の形態において、貸出時刻において予測電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像201の一例を示す図である。
【0190】
電池パックステーション端末4は、不図示の表示部を備えており、電池パックステーション端末4の表示部は、受信されたユーザ提示画像201を表示する。
【0191】
ユーザ提示画像201には、ユーザが返却時に支払う予定の予測電池パック保全金が表示される。
図10の例では、「レンタル料金に5円が加算される見込みです。」という文章が表示され、予測電池パック保全金である5円がユーザに提示される。また、ユーザ提示画像201には、ユーザが電池パックの劣化をどの程度抑制する利用を行っているかを示す「電池エコレベル」が表示される。制御部63は、ユーザの電池パック保全金の履歴の平均値を算出し、算出した平均値を複数のレベルのうちのいずれかのレベルに分類する。
【0192】
また、ユーザ提示画像201には、予測電池パック保全金だけではなく、ユーザが返却時に支払う予定の予測レンタル料金が表示されてもよい。予測レンタル料金は、電池パックの充電費用、電池パックの輸送費用、電池パックステーションの運営費用、電池パックの所有者に支払われるレンタル収入、及び予測電池パック保全金を合計した金額である。充電費用、輸送費用及び運営費用は、予め決められている。また、制御部63は、貸出時刻における第1満充電容量を算出し、算出した第1満充電容量に定数を乗算することにより、レンタル収入を算出してもよい。
【0193】
また、ユーザ提示画像201には、電池パックが劣化しにくい運転方法を説明したWebページにリンクするための文字が表示されてもよい。
【0194】
なお、ユーザ提示画像201は、ユーザが所有する端末に送信されてもよい。ユーザが所有する端末は、受信したユーザ提示画像201を表示してもよい。
【0195】
また、本実施の形態において、返却時刻に電池パック保全金がユーザに提示されてもよい。
【0196】
この場合、制御部63は、返却時刻において、算出した電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成してもよい。制御部63は、生成したユーザ提示画像を通信部61に出力してもよい。通信部61は、ユーザ提示画像を電池パックステーション端末4に送信してもよい。
図2及び
図3に示す配当金算出処理が返却時刻に行われる場合、ステップS12の処理の後、制御部63は、算出した電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成してもよい。また、
図2及び
図3に示す配当金算出処理が返却時刻に行われない場合、制御部63は、返却情報を受信した際に、ステップS7~ステップS12の処理を行った後、算出した電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像を生成してもよい。
【0197】
図11は、本実施の形態において、返却時刻において電池パック保全金をユーザに提示するためのユーザ提示画像202の一例を示す図である。
【0198】
電池パックステーション端末4は、不図示の表示部を備えており、電池パックステーション端末4の表示部は、受信されたユーザ提示画像202を表示する。
【0199】
ユーザ提示画像202には、ユーザが支払うべき電池パック保全金が加算金として表示される。
図11の例では、「今回のレンタルでは加算金が1円になりました。」という文章が表示され、電池パック保全金である1円がユーザに提示される。また、ユーザ提示画像202には、ユーザが電池パックの劣化をどの程度抑制する利用を行っているかを示す「電池エコレベル」が表示される。制御部63は、ユーザの電池パック保全金の履歴の平均値を算出し、算出した平均値を複数のレベルのうちのいずれかのレベルに分類する。
【0200】
また、ユーザ提示画像202には、電池パック保全金だけではなく、ユーザが支払うレンタル料金が表示されてもよい。レンタル料金は、電池パックの充電費用、電池パックの輸送費用、電池パックステーションの運営費用、電池パックの所有者に支払われるレンタル収入、及び電池パック保全金を合計した金額である。
【0201】
また、ユーザ提示画像202には、電池パックが劣化しにくい運転方法を説明したWebページにリンクするための文字が表示されてもよい。
【0202】
なお、ユーザ提示画像202は、ユーザが所有する端末に送信されてもよい。ユーザが所有する端末は、受信したユーザ提示画像202を表示してもよい。
【0203】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。また、プログラムを記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラムをネットワークを経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムによりプログラムが実施されてもよい。
【0204】
本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全ては典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0205】
また、本開示の実施の形態に係る装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。
【0206】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。
【0207】
また、上記フローチャートに示す各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、同様の効果が得られる範囲で上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本開示に係る技術は、電池パックの取引を円滑に行うことができるので、ユーザに電池パックが貸し出されることにより、当該電池パックの所有者に支払われるレンタル料金を算出する技術として有用である。
【符号の説明】
【0209】
1 第1所有者端末
2 第2所有者端末
3 電池パック取引サーバ
4 電池パックステーション端末
5 電池パック
6 電池パック管理サーバ
61 通信部
62 メモリ
63 制御部