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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135418
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0007 20190101AFI20230921BHJP
   F24F 1/0025 20190101ALI20230921BHJP
   F04D 17/04 20060101ALI20230921BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20230921BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
F24F1/0007 321
F24F1/0025
F04D17/04 Z
F04D29/60 H
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040613
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】瀧 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】土川 修平
(72)【発明者】
【氏名】西崎 祐司
(72)【発明者】
【氏名】大寄 慶
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
3L050
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB26
3H130AB54
3H130AC11
3H130BA95C
3H130BA95G
3H130CB19
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EA04C
3H130EA04G
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA07D
3H130EA07G
3L049BB07
3L049BD02
3L050BA03
5H607AA00
5H607BB01
5H607CC09
5H607DD03
5H607DD17
5H607FF05
5H607JJ02
5H607JJ05
(57)【要約】
【課題】空気調和機において、クロスフローファンの取り出しを容易にする。
【解決手段】空気調和機は、回転中心線Cfの延在方向の一端に筒状のボス部14cを備えるクロスフローファン14と、ボス部14cの内部空間Rに進入する駆動シャフト34aを備えるモータ34と、ボス部14cを貫通し、ボス部14cの内部空間Rに進入した駆動シャフト34aに接触し、駆動シャフト34aをボス部14cの内周面に向かって押し付ける先端を備える固定ねじ32とを有する。ボス部14cの内部空間Rが、固定ねじ32の先端とボス部14cの内周面との間に駆動シャフト34aが挟持されているときに、モータ34の回転中心線Cmとクロスフローファン14の回転中心線Cfとを同一直線上で一致させるとともに、ボス部14cの内周面と接触する部分に対して反対側の駆動シャフト34aの部分とボス部14cの内周面との間に隙間Sを形成する、形状を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心線の延在方向の一端に前記延在方向に開口した筒状のボス部を備えるクロスフローファンと、
前記ボス部の内部空間に進入する駆動シャフトを備えるモータと、
前記ボス部を貫通し、前記ボス部の内部空間に進入した前記駆動シャフトに接触し、前記駆動シャフトを前記ボス部の内周面に向かって押し付ける先端を備える固定ねじと、を有し、
前記ボス部の前記内部空間が、前記固定ねじの先端と前記ボス部の内周面との間に前記駆動シャフトが挟持されているときに、前記モータの回転中心線と前記クロスフローファンの回転中心線とを同一直線上で一致させるとともに、前記ボス部の内周面と接触する部分に対して反対側の前記駆動シャフトの部分と前記ボス部の内周面との間に隙間を形成する、形状を備える、空気調和機。
【請求項2】
前記駆動シャフトに接触する前記ボス部の内周面の部分が、前記駆動シャフトの外周面と面接触する凹状の係合面を備える、請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記ボス部の重心が、前記クロスフローファンの回転中心線上に位置する、請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記ボス部の前記内部空間が、前記クロスフローファンの回転中心線と前記モータの回転中心線とが所定の角度で交差した状態で、前記駆動シャフトが前記内部空間内で相対移動可能な大きさを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記クロスフローファンが、前記延在方向の他端に回転シャフトを備え、
前記回転シャフトを回転可能に支持する支持部材を有し、
前記所定の角度が、前記支持部材と前記クロスフローファンの接触を回避しつつ、前記駆動シャフトが前記ボス部内に進入可能な角度である、請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記支持部材が、前記クロスフローファンの回転中心線の延在方向と直交する方向に着脱可能に、前記回転シャフトを支持する、請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記クロスフローファンが、前記延在方向の一端に設けられたエンドプレートを含み、
前記ボス部が、ダンパー部材を介して、前記エンドプレートに支持されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クロスフローファンを備える空気調和機が開示されている。クロスフローファンは、その一端のエンドプレートに、モータの駆動シャフトが挿入されるボス部を備える。
【0003】
特許文献1に記載された空気調和機の場合、モータの駆動シャフトの延在方向にクロスフローファンを移動させて駆動シャフトをクロスフローファンのボス部に挿入することはできない。そのために、エンドプレートは貫通穴を備え、その貫通穴内にボス部が配置され、そのボス部がゴムプレートを介してエンドプレートに支持されている。このゴムプレートが弾性変形することにより、モータの駆動シャフトの延在方向に対して斜めの方向にクロスフローファンを移動させてボス部にシャフトを挿入することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特昭60-11032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の空気調和機の場合、ゴムプレートを変形させつつボス部に駆動シャフトを挿入するのに作業者が力を必要とするため、クロスフローファンのモータへの取り付けが困難である。また、同様の理由で、取り外しも困難である。
【0006】
そこで、本開示は、空気調和機において、クロスフローファンのモータへの脱着を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本開示の一態様によれば、
回転中心線の延在方向の一端に前記延在方向に開口した筒状のボス部を備えるクロスフローファンと、
前記ボス部の内部空間に進入する駆動シャフトを備えるモータと、
前記ボス部を貫通し、前記ボス部の内部空間に進入した前記駆動シャフトに接触し、前記駆動シャフトを前記ボス部の内周面に向かって押し付ける先端を備える固定ねじと、を有し、
前記ボス部の前記内部空間が、前記固定ねじの先端と前記ボス部の内周面との間に前記駆動シャフトが挟持されているときに前記モータの回転中心線と前記クロスフローファンの回転中心線とを同一直線上で一致させるとともに、前記ボス部の内周面と接触する部分に対して反対側の前記駆動シャフトの部分と前記ボス部の内周面との間に隙間を形成する、形状を備える、空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、空気調和機において、クロスフローファンのモータへの脱着を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る空気調和機を右側から見た概略的な断面図
図2】クロスフローファンが熱交換器に覆われた状態の空気調和機の一部の斜視図
図3】熱交換器を省略した状態の空気調和機の一部の斜視図
図4A】クロスフローファンを取り外した状態の分解斜視図
図4B】異なる視点から見た、クロスフローファンを取り外した状態の分解斜視図
図5】クロスフローファンのボス部とモータの駆動シャフトの連結状態を示す断面図
図6図5のA-A線に沿ったボス部の断面図
図7】クロスフローファンの支持構造を概略的に示す図
図8】連結途中のクロスフローファンのボス部とモータの駆動シャフトの断面図
図9】クロスフローファンの脱着途中を示す上面図
図10A】異なる実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部の断面図
図10B】さらに異なる実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部の断面図
図10C】別の実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部の断面図
図10D】さらに別の実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様の空気調和機は、回転中心線の延在方向の一端に前記延在方向に開口した筒状のボス部を備えるクロスフローファンと、前記ボス部の内部空間に進入する駆動シャフトを備えるモータと、前記ボス部を貫通し、前記ボス部の内部空間に進入した前記駆動シャフトに接触し、前記駆動シャフトを前記ボス部の内周面に向かって押し付ける先端を備える固定ねじと、を有し、前記ボス部の前記内部空間が、前記固定ねじの先端と前記ボス部の内周面との間に前記駆動シャフトが挟持されているときに、前記モータの回転中心線と前記クロスフローファンの回転中心線とを同一直線上で一致させるとともに、前記ボス部の内周面と接触する部分に対して反対側の前記駆動シャフトの部分と前記ボス部の内周面との間に隙間を形成する、形状を備える。
【0011】
このような態様によれば、空気調和機において、クロスフローファンのモータへの脱着を容易に行うことができる。
【0012】
例えば、前記駆動シャフトに接触する前記ボス部の内周面の部分が、前記駆動シャフトの外周面と面接触する凹状の係合面を備えてもよい。
【0013】
例えば、前記ボス部の重心が、前記クロスフローファンの回転中心線上に位置してもよい。
【0014】
例えば、前記ボス部の前記内部空間が、前記クロスフローファンの回転中心線と前記モータの回転中心線とが所定の角度で交差した状態で、前記駆動シャフトが前記内部空間内で相対移動可能な大きさを備えてもよい。
【0015】
例えば、前記クロスフローファンが前記延在方向の他端に回転シャフトを備え、空気調和機が前記回転シャフトを回転可能に支持する支持部材を有する場合、前記所定の角度が、前記支持部材と前記クロスフローファンの接触を回避しつつ、前記駆動シャフトが前記ボス部内に進入可能な角度である。
【0016】
例えば、前記支持部材が、前記クロスフローファンの回転中心線の延在方向と直交する方向に着脱可能に、前記回転シャフトを支持してもよい。
【0017】
例えば、前記クロスフローファンが、前記延在方向の一端に設けられたエンドプレートを含み、前記ボス部が、ダンパー部材を介して、前記エンドプレートに支持されてもよい。
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機を右側から見た概略的な断面図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、筐体12と、その筐体12内に配置されたクロスフローファン14、リアガイダ16、および熱交換器18とを有する。
【0021】
空気調和機10の筐体12には、室内空気を内部に取り込むための取り込み口12aと、取り込んだ空気を室内に吹き出すための吹き出し口12bとが設けられている。本実施の形態の場合、取り込み口12aは筐体12の上部に設けられ、吹き出し口12bは筐体12の下部に設けられている。
【0022】
また、筐体12は、その筐体12の前側部分を構成するフロントカバー20と、フロントカバー20を着脱可能に支持し、壁面Wに取り付けられるベース22とを含んでいる。
【0023】
クロスフローファン14は、その回転中心線Cfの延在方向が空気調和機10の左右方向(図1の奥行方向)に対して平行になるように、筐体12内に設けられている。また、吹き出し口12bの上方にクロスフローファン14は配置されている。
【0024】
リアガイダ16は、筐体12のベース22の一部分であって、クロスフローファン14の後方から吹き出し口12bに向かって延在するベース22の壁面である。このリアガイダ16は、クロスフローファン14からの送風を吹き出し口12bに向かって案内する役割をする。
【0025】
熱交換器18は、取り込み口12aを介して筐体12内に取り込まれた空気と熱交換し、それにより空気を温めるまたは冷やすように構成されている。
【0026】
また、熱交換器18は、クロスフローファン14の回転中心線Cfの延在方向(空気調和機10の左右方向)視で、クロスフローファン14を上から覆うように設けられている。具体的には、本実施の形態の場合、熱交換器18は、前側下端18aと後側下端18bとを含む実質的に逆V字状または逆U字状の形状を備える。これらの下端の間にクロスフローファン14が配置される。そのような形状により、熱交換器18は、リアガイダ16と吹き出し口12bとに対向する部分を除くクロスフローファン14の部分を覆っている。なお、本実施の形態の場合、熱交換器18は、その右側端で、圧縮機(図示せず)に対して冷媒配管(図示せず)を介して接続されている。
【0027】
このような空気調和機10によれば、クロスフローファン14が回転することにより、取り込み口12aを介して筐体12内に空気が取り込まれる。筐体12内に取り込まれた空気は、熱交換器18を通過して温められるまたは冷やされる。熱交換器18を通過した空気は、クロスフローファン14によって吹き出し口12bに向かって送られる。
【0028】
ここからは、クロスフローファン14の着脱について詳細に説明する。
【0029】
図2は、クロスフローファンが熱交換器に覆われた状態の空気調和機の一部の斜視図である。また、図3は、熱交換器を省略した状態の空気調和機の一部の斜視図である。さらに、図4Aは、クロスフローファンを取り外した状態の分解斜視図である。そして、図4Bは、異なる視点から見た、クロスフローファンを取り外した状態の分解斜視図である。
【0030】
図3図4A、および図4Bに示すように、本実施の形態の場合、ベース22の左側の側壁部22aと右側の側壁部22bが、クロスフローファン14を回転可能に支持する支持部材として機能する。すなわち、2つの側壁部22a、22bが、クロスフローファン14の回転中心線Cfの延在方向に対向し、その間にクロスフローファン14が配置される。
【0031】
図4Bに示すように、クロスフローファン14の一方の端(本実施の形態の場合は左側端)には、回転シャフト14aが設けられている。回転シャフト14aは、クロスフローファン14の左側のエンドプレート14bからクロスフローファン14の回転中心線Cfの延在方向に突出している。回転シャフト14aは、軸受30によって回転可能に支持される。その軸受30は、ベース22の左側側壁部22aに形成された軸受保持部22cに、クロスフローファン14の回転中心線Cfの延在方向と直交する方向(本実施の形態の場合は前後方向)に着脱可能に保持される。すなわち、左側側壁部22aが、回転中心線Cfの延在方向と直交する方向に着脱可能に回転シャフト14aを支持する。
【0032】
また、軸受30が軸受保持部22cから脱落しないように、熱交換器18のエンドプレート18cに形成された軸受押さえ部18dが、軸受保持部22cに保持された状態の軸受30を押さえる。
【0033】
図4Aに示すように、クロスフローファン14の他方の端(本実施の形態の場合は右側端)には、ボス部14cが設けられている。ボス部14cは、図4Aに示すように、ベース22の右側側壁部22bに設けられたモータ34に連結する。
【0034】
図5は、クロスフローファンのボス部とモータの駆動シャフトの連結状態を示す断面図である。また、図6は、図5のA-A線に沿ったボス部の断面図である。
【0035】
図4Aおよび図5に示すように、本実施の形態の場合、ボス部14cは、クロスフローファン14の右側のエンドプレート14dからクロスフローファン14の回転中心線Cfの延在方向に突出し、その延在方向に開口する、筒状の部材である。なお、ボス部14cは、反モータ34側が閉じた有底筒状であってもよい。本実施の形態の場合、図6に示すように、ボス部14cの断面において、外周面14eの輪郭形状と内周面14fの輪郭形状が円形状であって且つ同心である。すなわち、ボス部14cの内部空間Rの断面が円形状である。
【0036】
なお、本実施の形態の場合、ボス部14cは、エンドプレート14dに形成された貫通穴14g内に配置され、弾性材料から作製されたダンパー部材14hを介してエンドプレート14dに支持されている。このダンパー部材14hにより、クロスフローファン14からモータ34を介する筐体12への振動の伝達が抑制されている。
【0037】
図4Aおよび図5に示すように、ボス部14cには、固定ねじ32が取り付けられている。具体的には、図6に示すように、ボス部14cを貫通するめねじ穴14iが形成され、そのめねじ穴14iに固定ねじ32が係合する。
【0038】
クロスフローファン14のボス部14cは、モータ34の駆動シャフト34aに連結する。モータ34の駆動シャフト34aは、図4Bに示すように、モータ34が設けられた右側側壁部22bから空気調和機10の左右方向に延在している。
【0039】
図5に示すように、ボス部14cの内部空間R内にモータ34の駆動シャフト34aが進入する。そして、固定ねじ32の先端が、ボス部14cを貫通し、ボス部14cの内部空間Rに進入した駆動シャフト34aに接触し、駆動シャフト34aをボス部14cの内周面14fに押し付ける。すなわち、固定ねじ32の先端とボス部14cの内周面14fとの間に駆動シャフト34aが挟持され、駆動シャフト34aがボス部14cに固定される。その結果、クロスフローファン14のボス部14cとモータ34の駆動シャフト34aが連結される。
【0040】
なお、図5に示すように、駆動シャフト34aには、固定ねじ32の先端が接触する縮径部34bが形成されている。これにより、モータ34の回転中心線Cmの延在方向(本実施の形態の場合は左右方向)について、駆動シャフト34aとボス部14cが互いに位置決めされる。また、図6に示すように、ボス部14cの内周面14fにおけるめねじ穴14iに対向する部分には、駆動シャフト34aの外周面と面接触する凹状の係合面14jが形成されている。これにより、ボス部14cの内周面14fと駆動シャフト34aの外周面が点接触または線接触する場合に比べて、駆動シャフト34aが固定ねじ32の先端とボス部14cの内周面との間から離脱することが抑制される。
【0041】
図5および図6に示すように、固定ねじ32の先端とボス部14cの内周面14f(すなわち係合面14j)との間にモータ34の駆動シャフト34aが挟持されているとき、クロスフローファン14の回転中心線Cfとモータ34の回転中心線Cmとが同一直線上で一致する。それを可能な形状を、ボス部14cの内部空間Rが備える。その結果、クロスフローファン14が、モータ34の回転中心線Cmを中心にして回転する。
【0042】
また、固定ねじ32の先端とボス部14cの内周面14f(すなわち係合面14j)との間にモータ34の駆動シャフト34aが挟持されているとき、ボス部14cの内周面14fの接触する部分に対して反対側の駆動シャフト34aの部分とボス部14cの内周面14fとの間に隙間Sが形成される。それを可能な形状を、ボス部14cの内部空間Rが備える。この隙間Sの存在により、クロスフローファン14がモータ34に対して容易に脱着可能になる。
【0043】
図7は、クロスフローファンの支持構造を概略的に示す図である。
【0044】
図7に示すように、クロスフローファン14は、ベース22の左側側壁部22aと右側側壁部22bとの間に配置されている。また、左側側壁部22aとクロスフローファン14との間の距離d1と右側側壁部22bとクロスフローファン14との間の距離d2は、これらの間を介して熱交換器18を通過した空気が漏れないように、また、空気調和機10の左右方向のサイズを小さくするために、可能な限り小さくされている。そのため、距離d1が、モータ34の駆動シャフト34aがボス部14cから完全に抜け出るために必要なストロークstに比べて小さい。
【0045】
すなわち、左側側壁部22aの存在により、クロスフローファン14をモータ34の駆動シャフト34aの延在方向に移動させて駆動シャフト34aをボス部14cに挿入させることができない。また、クロスフローファン14をモータ34の駆動シャフト34aの延在方向に移動させて駆動シャフト34aをボス部14cから抜け出させることができない。
【0046】
このような左側側壁部22aの干渉を回避してクロスフローファン14をモータ34に対して脱着するために、図5および図6に示すように、ボス部14c内に隙間Sが存在する。
【0047】
図8は、連結途中のクロスフローファンのボス部とモータの駆動シャフトの断面図である。
【0048】
具体的には、図8に示すように、隙間Sの存在により、モータ34の駆動シャフト34aは、クロスフローファン14のボス部14cの内部空間Rで傾くことが可能になる。本実施の形態の場合、隙間Sの存在により、ボス部14cの内部空間Rが、クロスフローファン14の回転中心線Cfとモータ34の回転中心線Cmとが所定の角度θ(ゼロではない角度)で交差した状態で、駆動シャフト34aがボス部14cの内部空間Rで相対移動可能な大きさになる。
【0049】
図9は、クロスフローファンの脱着途中を示す上面図である。
【0050】
図9に示すように、本実施の形態の場合、所定の角度θは、ベース22の左側側壁部22aとクロスフローファン14の接触を回避しつつ、モータ34の駆動シャフト34aがボス部14c内に進入可能な角度である。
【0051】
本実施の形態の場合、作業者がクロスフローファン14を筐体12に取り付けるとき、クロスフローファン14は、その回転中心線Cfがモータ34の回転中心線Cmに対して所定の角度θ傾いた状態で、モータ34の駆動シャフト34aに向かって移動される。クロスフローファン14のボス部14c内に、モータ34の駆動シャフト34aが進入すると、クロスフローファン14は、駆動シャフト34aの延在方向(本実施の形態の場合は空気調和機10の左右方向)に移動されつつ、モータ34の回転中心線Cmに対するクロスフローファン14の回転中心線Cfの傾き角度がゼロになるように姿勢変更される。続いて、クロスフローファン14の回転シャフト14a(本実施の形態の場合は回転シャフト14aを支持する軸受30)が、左側側壁部22aに対してその前方から取り付けられる。そして、固定ねじ32を締めて、モータ34の駆動シャフト34aをボス部14cに連結することにより、クロスフローファン14の筐体12への取り付けが完了する。
【0052】
作業者がクロスフローファン14を作業者が筐体12から取り外すとき、固定ねじ32が緩められ、モータ34の駆動シャフト34aとクロスフローファン14のボス部14cとの連結が解除される。クロスフローファン14がモータ34の回転中心線Cmに対して傾けられ、クロスフローファン14の回転シャフト14a(本実施の形態の場合は回転シャフト14aを支持する軸受30)が左側側壁部22aから前方に取り外される。クロスフローファン14の回転中心線Cfがモータ34の回転中心線Cmに対して所定の角度θに傾くと、クロスフローファン14がモータ34の駆動シャフト34aから離れるように移動される。その結果、クロスフローファン14の筐体12からの取り外しが完了する。
【0053】
なお、所定の角度θは、図9に示すように、モータ34の回転中心線Cmからの左側側壁部22aの突出量pと、クロスフローファン14の外径φ(すなわち半径)と、クロスフローファン14の長さLとによって決まる。所定の角度θが決まることにより、クロスフローファン14のボス部14cの内部空間Rの大きさも決まる。
【0054】
当然ながら、所定の角度θは、本実施の形態と異なってクロスフローファン14のボス部14cにモータ34の駆動シャフト34aが嵌め合い公差で嵌め込まれた場合に生じうる駆動シャフト34aの傾き角度に比べて非常に大きい。例えば、所定の角度θは、約8度の角度である。
【0055】
以上の本実施の形態によれば、空気調和機において、クロスフローファンのモータへの脱着を容易に行うことができる。
【0056】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0057】
例えば、上述の実施の形態の場合、図6に示すように、クロスフローファン14のボス部14cの内部空間Rの断面(クロスフローファン14の回転中心線Cfに対して直交する断面)は円形状である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0058】
図10A図10Dそれぞれは、上述の実施の形態に係る実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部の断面図である。
【0059】
例えば、図10Aに示すように、異なる実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部114cにおいて、内部空間Rの断面は、円形状でなく、楕円形状である。楕円形状の内部空間Rの長手方向の一端に、モータ34の駆動シャフト34aの外周面と面接触する係合面114jが形成されている。
【0060】
また例えば、図10Bに示すように、さらに異なる実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部214cにおいて、内部空間Rの断面は、角が丸められた三角形状である。1つの丸められた角に、モータ34の駆動シャフト34aの外周面が面接触する。
【0061】
さらに例えば、図10Cに示すように、別の実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部314cにおいて、内部空間Rの断面は、角が丸められた長方形状である。長方形状の内部空間Rの一辺に、モータ34の駆動シャフト34aの外周面と面接触する係合面314jが形成されている。
【0062】
図10Dに示すさらに別の実施の形態に係る空気調和機におけるクロスフローファンのボス部414cは、その内部空間Rの断面が円形状である点で、図6に示す上述の実施の形態のボス部14cと同じである。しかしながら、外周面414eの輪郭形状と内周面414fの輪郭形状が同心でない点で、ボス部414cはボス部14cと異なる。その結果、ボス部414cは、重心Gの位置についてボス部14cと異なる。図10Dに示すボス部314cにおいて、その重心Gは、クロスフローファンの回転中心線Cf上に位置する。すなわち、クロスフローファンがモータに連結しているとき、重心Gはモータの回転中心線Cm上に位置する。これにより、クロスフローファンの回転中において、ボス部14cによるクロスフローファンのたわみを抑制することができる。なお、クロスフローファンの剛性が十分に高い場合には、図6に示す上述のボス部14cのように、ボス部の重心がクロスフローファンの回転中心線上から外れていてもよい。
【0063】
加えて、上述の実施の形態の場合、図5に示すように、クロスフローファン14において、ボス部14cは、ダンパー部材14hを介して、エンドプレート14dに支持されている。これにより、クロスフローファン14からモータ34を介する筐体12への振動の伝達を抑制している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、モータが弾性材料から作製されたダンパー部材を介して筐体に取り付けられる場合、クロスフローファンのダンパー部材を省略することができる。すなわちエンドプレートにボス部を直接的に設けることができる。
【0064】
すなわち、本開示は、広義には、回転中心線の延在方向の一端に前記延在方向に開口した筒状のボス部を備えるクロスフローファンと、前記ボス部の内部空間に進入する駆動シャフトを備えるモータと、前記ボス部を貫通し、前記ボス部の内部空間に進入した前記駆動シャフトに接触し、前記駆動シャフトを前記ボス部の内周面に向かって押し付ける先端を備える固定ねじと、を有し、前記ボス部の前記内部空間が、前記固定ねじの先端と前記ボス部の内周面との間に前記駆動シャフトが挟持されているときに前記モータの回転中心線と前記クロスフローファンの回転中心線とを同一直線上で一致させるとともに、前記ボス部の内周面と接触する部分に対して反対側の前記駆動シャフトの部分と前記ボス部の内周面との間に隙間を形成する、形状を備える、空気調和機である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示は、クロスフローファンを備える空気調和機に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
14 クロスフローファン
14c ボス部
32 固定ねじ
34 モータ
34a 駆動シャフト
Cf 回転中心線
Cm 回転中心線
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D