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特開2023-135447電線共同溝設計支援装置、電線共同溝設計支援システム、および電線共同溝設計支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135447
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】電線共同溝設計支援装置、電線共同溝設計支援システム、および電線共同溝設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230921BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230921BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20230921BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06F113:14
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040669
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】594058333
【氏名又は名称】川田テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】平野 徹
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA01
5B146AA04
5B146CA01
5B146DC06
5B146DE11
5B146DG01
5B146DJ14
5B146DL02
5B146EC01
5B146EC08
5B146EC10
5B146FA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電線共同溝設計支援装置を提供する。
【解決手段】電線共同溝設計支援装置100は、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して、既設埋設物を設定する既設埋設物設定手段、設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手段、配置を受け付けた現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手段、管路作成手段によって管路が作成された後の現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから管路作成手段によって作成された管路が既設埋設物と干渉しないように管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手段及び経路変更受付手段によって受け付けた管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手段を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線共同溝に埋設する埋設物の設計を支援するための電線共同溝設計支援装置であって、
電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手段と、
既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手段と、
特殊部の配置を受け付けた前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に前記特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手段と、
前記管路作成手段によって管路が作成された後の前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、前記管路作成手段によって作成された管路が既設埋設物と干渉しないように前記管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手段と、
前記経路変更受付手段によって受け付けた前記管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手段とを備えることを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電線共同溝設計支援装置において
前記特殊部配置受け付け手段は、ユーザから前記特殊部の配置を受け付ける際には、前記特殊部の周囲に干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記特殊部配置受け付け手段は、ユーザから前記特殊部の配置位置とともに前記特殊部の配置角度の指定も受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記管路作成手段は、前記管路の水平距離や曲率を判定して、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に管路線形を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記経路変更受付手段は、前記管路に対して干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記経路変更受付手段は、前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図において、前記管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道の範囲を示す車道領域と歩道の範囲を示す歩道領域の指定を受け付ける領域指定受付手段をさらに備え、
前記管路作成手段は、前記特殊部が位置している前記車道領域または前記歩道領域の領域情報に基づいて、前記管路に適切な土被りを初期設定とした管路を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記領域指定受付手段は、ユーザから前記現況地形サーフェス上に前記車道領域または前記歩道領域の枠となる要素の指定を受け付けたり、ユーザから前記車道領域または前記歩道領域の範囲を示す座標の指定を受け付けたりすることによって、前記車道領域と前記歩道領域の指定を受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記記録手段によって記録された前記電線共同溝の3次元設計データにおける特殊部と管路に対して、ユーザによって指定された範囲の2次元図面を作成して出力する2次元図面出力手段をさらに備えることを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置される特殊部は、部品としてあらかじめ登録されており、ユーザは、あらかじめ登録されている部品の中から配置する特殊部に対応した部品を選択することにより、前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に埋設物である特殊部を配置することを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援装置において、
配置された特殊部と作成した管路に対して、設計条件を満たしているかのチェックを行い、チェック結果を出力するチェック結果出力手段をさらに備えることを特徴とする電線共同溝設計支援装置。
【請求項12】
電線共同溝に埋設する埋設物の設計を支援するための電線共同溝設計支援システムであって、
電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手段と、
既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手段と、
特殊部の配置を受け付けた前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に前記特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手段と、
前記管路作成手段によって管路が作成された後の前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、前記管路作成手段によって作成された管路が既設埋設物と干渉しないように前記管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手段と、
前記経路変更受付手段によって受け付けた前記管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手段とを備えることを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項13】
請求項12に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて
前記特殊部配置受け付け手段は、ユーザから前記特殊部の配置を受け付ける際には、前記特殊部の周囲に干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項14】
請求項12または13に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記特殊部配置受け付け手段は、ユーザから前記特殊部の配置位置とともに前記特殊部の配置角度の指定も受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記管路作成手段は、前記管路の水平距離や曲率を判定して、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に管路線形を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項16】
請求項12~15のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記経路変更受付手段は、前記管路に対して干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記経路変更受付手段は、前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図において、前記管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項18】
請求項12~17のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道の範囲を示す車道領域と歩道の範囲を示す歩道領域の指定を受け付ける領域指定受付手段をさらに備え、
前記管路作成手段は、前記特殊部が位置している前記車道領域または前記歩道領域の領域情報に基づいて、前記管路に適切な土被りを初期設定とした管路を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項19】
請求項18に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記領域指定受付手段は、ユーザから前記現況地形サーフェス上に前記車道領域または前記歩道領域の枠となる要素の指定を受け付けたり、ユーザから前記車道領域または前記歩道領域の範囲を示す座標の指定を受け付けたりすることによって、前記車道領域と前記歩道領域の指定を受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項20】
請求項12~19のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記記録手段によって記録された前記電線共同溝の3次元設計データにおける特殊部と管路に対して、ユーザによって指定された範囲の2次元図面を作成して出力する2次元図面出力手段をさらに備えることを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項21】
請求項12~20のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置される特殊部は、部品としてあらかじめ登録されており、ユーザは、あらかじめ登録されている部品の中から配置する特殊部に対応した部品を選択することにより、前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に埋設物である特殊部を配置することを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項22】
請求項12~21のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援システムにおいて、
配置された特殊部と作成した管路に対して、設計条件を満たしているかのチェックを行い、チェック結果を出力するチェック結果出力手段をさらに備えることを特徴とする電線共同溝設計支援システム。
【請求項23】
電線共同溝に埋設する埋設物の設計を支援するための電線共同溝設計支援プログラムであって、
電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手順と、
既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手順と、
特殊部の配置を受け付けた前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に前記特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手順と、
前記管路作成手順で管路を作成した後の前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、前記管路作成手順で作成した管路が既設埋設物と干渉しないように前記管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手順と、
前記経路変更受付手順で受け付けた前記管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手順とをコンピュータに実行させるための電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項24】
請求項23に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて
前記特殊部配置受け付け手順は、ユーザから前記特殊部の配置を受け付ける際には、前記特殊部の周囲に干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項25】
請求項23または24に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記特殊部配置受け付け手順は、ユーザから前記特殊部の配置位置とともに前記特殊部の配置角度の指定も受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項26】
請求項23~25のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記管路作成手順は、前記管路の水平距離や曲率を判定して、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に管路線形を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項27】
請求項23~26のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記経路変更受付手順は、前記管路に対して干渉範囲を示す離隔領域を表示することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記経路変更受付手順は、前記現況地形サーフェスを考慮した縦断図において、前記管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項29】
請求項23~28のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道の範囲を示す車道領域と歩道の範囲を示す歩道領域の指定を受け付ける領域指定受付手順をさらに有し、
前記管路作成手順は、前記特殊部が位置している前記車道領域または前記歩道領域の領域情報に基づいて、前記管路に適切な土被りを初期設定とした管路を作成することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項30】
請求項29に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記領域指定受付手順は、ユーザから前記現況地形サーフェス上に前記車道領域または前記歩道領域の枠となる要素の指定を受け付けたり、ユーザから前記車道領域または前記歩道領域の範囲を示す座標の指定を受け付けたりすることによって、前記車道領域と前記歩道領域の指定を受け付けることを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項31】
請求項23~30のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記記録手順で記録した前記電線共同溝の3次元設計データにおける特殊部と管路に対して、ユーザによって指定された範囲の2次元図面を作成して出力する2次元図面出力手順をさらに有することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項32】
請求項23~31のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置される特殊部は、部品としてあらかじめ登録されており、ユーザは、あらかじめ登録されている部品の中から配置する特殊部に対応した部品を選択することにより、前記現況地形サーフェスが描かれた平面図上に埋設物である特殊部を配置することを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【請求項33】
請求項23~32のいずれか一項に記載の電線共同溝設計支援プログラムにおいて、
配置された特殊部と作成した管路に対して、設計条件を満たしているかのチェックを行い、チェック結果を出力するチェック結果出力手段をさらに備えることを特徴とする電線共同溝設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線共同溝設計支援装置、電線共同溝設計支援システム、および電線共同溝設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような電線共同溝の平面図作成システムが知られている。この電線共同溝の平面図作成システムでは、寸法情報が予め定義された特殊部を選択して、その選択した特殊部を所定の現況平面図画面に配置し、現況平面図画面において、管路の始点及び終点となる二つの特殊部をそれぞれ選択し、選択された二つの特殊部の現況平面図画面における位置情報を基に当該管路の経路情報を決定するとともに、その決定した管路の経路情報、及び二つの特殊部の各寸法情報を用いて、電線共同溝の平面図を自動生成する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-318118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、電線共同溝の設計が行われると、設計計画に基づいて電線共同溝の平面図や縦断図や横断図などの2次元の図面が作成されていた。このため、従来の電線共同溝の平面図作成システムのようなシステムが存在していた。このように、設計計画に基づいて電線共同溝の2次元図面を作成する場合、設計に変更が生じた場合には、設計者が設計計画を作成し直した後に、CADオペレータなどの図面作成者が変更された設計計画に基づいて再度2次元図面の作成を行う必要があった。このような従来の方法では、設計変更が複数回生じると、その都度図面の作成者に図面の再作成を依頼する必要があり、作業に手戻りが発生していた。特に、設計者が図面作成者に図面作成を依頼する場合、2次元図面の作成後に判明する問題点が多く、図面作成の手戻りが多かった。このため、このような問題を解消するための技術が求められるが、従来はそのための方法については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による電線共同溝設計支援装置は、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手段と、既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手段と、特殊部の配置を受け付けた現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手段と、管路作成手段によって管路が作成された後の現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、管路作成手段によって作成された管路が既設埋設物と干渉しないように管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手段と、経路変更受付手段によって受け付けた管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
本発明による電線共同溝設計支援システムは、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手段と、既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手段と、特殊部の配置を受け付けた現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手段と、管路作成手段によって管路が作成された後の現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、管路作成手段によって作成された管路が既設埋設物と干渉しないように管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手段と、経路変更受付手段によって受け付けた管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手段とを備えることを特徴とする。
本発明による電線共同溝設計支援プログラムは、電線共同溝に埋設する埋設物の設計を支援するための電線共同溝設計支援プログラムであって、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定する既設埋設物設定手順と、既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付ける特殊部配置受け付け手順と、特殊部の配置を受け付けた現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部同士を結ぶ管路を作成する管路作成手順と、管路作成手順で管路が作成された後の現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置に表示して、ユーザから、管路作成手順で作成された管路が既設埋設物と干渉しないように管路の経路変更を受け付ける経路変更受付手順と、経路変更受付手順で受け付けた管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置に記録する記録手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電線共同溝の3次元設計データを作成することによって、ユーザは、3次元設計データに基づいて設計結果を確認することができる。このため、ユーザは設計結果を確認してから図面作成者に2次元図面の作成を依頼すれば、設計者と図面作成者との間での手戻りを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電線共同溝設計支援装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
図2】特殊部の部品と特殊部の組み合わせ部品の一例を模式的に示した図である。
図3】管路断面グループの作成例を模式的に示した図である。
図4】現況地形サーフェス上への車道領域と歩道領域の指定例を示す図である。
図5】特殊部の周囲に表示される干渉範囲の具体例を模式的に示した図である。
図6】平面計画図と縦断計画図の一例を示す図である。
図7】縦断計画図における管路の表示例と管路の干渉範囲を示す離隔領域の表示例を示す図である。
図8】縦断計画図において管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示した場合の例を示す図である。
図9】3次元設計図の一例を示す図である。
図10】2次元図面の一例を示す図である。
図11】2次元図面における管路と既設埋設物の断面形状の例を模式的に示した図である。
図12】チェック結果の出力例を示す図である。
図13】本実施の形態における電線共同溝設計支援装置100で実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態における電線共同溝設計支援装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。電線共同溝設計支援装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる。図1は、電線共同溝設計支援装置100として例えばパソコンを用いた場合の一実施の形態の構成を示している。電線共同溝設計支援装置100は、操作部材101と、制御装置102と、記録装置103と、表示装置104とを備えている。
【0009】
操作部材101は、電線共同溝設計支援装置100の操作者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。
【0010】
制御装置102は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、電線共同溝設計支援装置100の全体を制御する。なお、制御装置102を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。
【0011】
記録装置103は、電線共同溝設計支援装置100が蓄える種々のデータや、制御装置102が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体で構成される記録装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記録装置103に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供されたりし、操作者が取得したプログラムのデータを記録装置103にインストールすることによって、制御装置102がプログラムを実行できるようになる。
【0012】
表示装置104は、例えば液晶ディスプレイなどであって、制御装置102によって出力された表示用データを表示するための装置である。
【0013】
本実施の形態における電線共同溝設計支援装置100は、電線共同溝に新規に特殊部や管路などの埋設物を埋設するに当たり、埋設される特殊部と管路に対して、指定した範囲の縦断図、横断図、平面図を作成することにより、電線共同溝の設計を支援するための機能を提供する。以下、電線共同溝設計支援装置100において制御装置102によって実行される処理について説明する。
【0014】
本実施の形態では、電線共同溝設計支援装置100には、電線共同溝に埋設される管路の管路線形を作成したり、埋設される特殊部と管路に対して、指定した範囲の縦断図、横断図、平面図を作成したりするための電線共同溝設計支援システム用のプログラムがインストールされている。電線共同溝設計支援装置100のユーザは、電線共同溝設計支援システム用のプログラムを実行して、表示装置104に表示される画面を操作することによって、各種データの入力や各種表示情報の確認をすることができる。
【0015】
制御装置102は、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスを読み込む。なお、本実施の形態では、現況地形サーフェスは、あらかじめ作成されて記録装置103に記録されており、制御装置102は、記録装置103に記録されている現況地形サーフェスのデータを読み込む。
【0016】
電線共同溝設計支援装置100のユーザは、表示装置104に表示される部品登録画面上で新設埋設物の部品登録を行っておく。ここでは、ユーザは、特殊部と管路断面の部品を登録する。なお、特殊部の部品は公知のため詳細な説明は省略するが、例えば、蓋部、地上機器、サイドボックス、特殊部(箱型)、特殊部(U型)、分岐桝などの部品が登録される。本実施の形態では、特殊部の各種部品はマスタデータとして管理されており、制御装置102は、ユーザによって登録された部品を記録装置103に記録された部品管理用のマスタデータに記録することによって登録を行う。なお、ユーザは、部品管理用のマスタデータの内容を編集することもできる。
【0017】
マスタデータに登録された特殊部の部品は、複数の部品を組み合わせて特殊部の組み合わせ部品を作成することができる。図2は、本実施の形態における特殊部の部品と特殊部の組み合わせ部品の一例を模式的に示した図である。例えば、制御装置102は、図2(A)に示すような部品を複数組み合わせることによって、図2(B)に示すような組み合わせ部品を作成する。制御装置102は、作成した特殊部の組み合わせ部品を記録装置103に記録する。
【0018】
管路断面の部品登録では、ユーザは、画面上で円形の要素を選択することにより登録を行うことができる。例えば、図3(A)に示すように、複数の円要素で構成される管路断面グループ3a、3b、3cを管路断面の部品として登録する例について説明する。この場合、ユーザは、管路断面グループ3aを選択し、図3(B)に示す管路断面グループの種別選択ダイアログで管の種別を選択する。管の種別は、例えば電力管または通信管を選択することができる。ユーザは、この操作を全ての管路断面グループについて行うことにより、それぞれの管路断面グループについて管の種別を指定することができる。
【0019】
図3(C)は、一例として、管路断面グループ3aの種別を電力管に設定し、管路断面グループ3bと管路断面グループ3cの種別を通信管に設定した場合を示している。ユーザは、このようにして管の種別を設定した管路断面グループを管路断面の部品として登録する。制御装置102は、ユーザによって登録された管路断面の部品を記録装置103に記録する。
【0020】
制御装置102は、読み込んだ現況地形サーフェスを表示装置104に表示し、表示した現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道の範囲を示す車道領域と歩道の範囲を示す歩道領域の指定を受け付ける。ここで、車道領域と歩道領域の指定は、例えば、ユーザがマウスを操作して現況地形サーフェス上に領域の枠となる要素を指定することにより行ったり、ユーザが車道領域や歩道領域の範囲を示す座標を指定することにより行われる。図4では、図4(A)は、車道領域と歩道領域が指定される前の現況地形サーフェスの例を示し、図4(B)は、現況地形サーフェス上に車道領域と歩道領域が指定された状態の例を示している。このように、ユーザは、現況地形サーフェスに車道領域や歩道領域などの各種領域区分を設定することができる。
【0021】
制御装置102は、車道領域や歩道領域などの各種領域区分が設定された現況地形サーフェスに3D化された既設埋設物を設定する。なお、3D化された既設埋設物のデータはあらかじめ作成されて記憶装置103に記録されている。
【0022】
制御装置102は、既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図を表示装置104に表示する。そして、ユーザは、事前に登録した部品から形状を選択して、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部を配置する。このとき、ユーザは、特殊部の配置位置とともに配置角度の設定も可能となっている。また、制御装置102は、ユーザから特殊部の配置を受け付ける際には、指定された特殊部の離隔領域長に基づいて特殊部の周囲に離隔領域を表示する。これによってユーザは、既設埋設物との干渉を回避した配置が可能となる。例えば、ユーザは、図5(A)に示すように、特殊部5aの周囲に表示された干渉範囲を示す離隔領域5bを考慮して特殊部5aの配置位置を決定することができる。これによって、例えば図5(B)に示すように、既設埋設物5cとの干渉を回避して特殊部5aを配置することができる。
【0023】
次に、ユーザは、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置した特殊部同士を結ぶ管路を作成する。なお、本実施の形態では、例えば、図6(A)に示すように、現況地形サーフェスが描かれた平面図上で特殊部や管路の配置計画を行うための図を平面計画図と呼ぶ。また、図6(B)に示すように、現況地形サーフェスを考慮した縦断図上で特殊部や管路の配置計画を行うための図を縦断計画図と呼ぶ。
【0024】
本実施の形態では、平面計画図上でユーザが始終点の特殊部結合点を指示すると、制御装置102は、自動で管路の水平距離や曲率を判定して現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザによって指定された特殊部結合点の始点と終点を結んで管路線形を作成する。このとき、ユーザは、途中にある既設埋設物を回避するように通過点を指示することも可能となっている。また、制御装置102は、上述した車道領域と歩道領域の領域情報から、管路に適切な土被りを初期設定とした管路を作成することができる。これによって、例えば図6に示すように、特殊部6aと特殊部6bとの間に管路6cが作成される。なお、図6(A)に示す平面計画図では、濃いグレーで表示された領域は車道領域を表し、薄いグレーで表示された領域は歩道領域を表している。また、図6(B)に示す縦断計画図では、特殊部6aは、車道領域に位置しているため土被り1.2mを初期設定とし、特殊部6bは、歩道領域に位置しているため土被り0.6mを初期設定として管路が作成された例を示している。
【0025】
次に、ユーザは、表示装置104に表示されている縦断計画図上で管路の縦断計画を行う。本実施の形態では、制御装置102は、縦断計画図上で既設埋設物の断面形状と特殊部と管路の離隔領域長に基づいて管路の離隔領域を表示するため、ユーザは、既設埋設物との干渉を回避した管路の計画が可能となっている。例えば、図7に示す縦断計画図では、特殊部6aと特殊部6b、およびこれらを結ぶ管路6cとともに、特殊部6a、特殊部6b、および管路6cのそれぞれに対して、干渉範囲を示す離隔領域7bが表示されている。これによって、ユーザは、縦断計画図上で既設埋設物7aと新規埋設物6a、6b、および6cとが干渉しているかを一目で確認することができる。図7に示す例では、既設埋設物7aと管路6cが干渉しているため、ユーザは、既設埋設物7aと管路6cが干渉しないように、管路6cの経路を変更することができる。
【0026】
また、このように、管路線形を軸として縦断計画を行うため、平面では曲がっている管路の箇所も正確に計画を行うことができる。このために、制御装置102は、縦断計画図においては、管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示する。例えば、図8(A)に示すように平面計画図上では湾曲している管路6cについては、破線で示す区間を直線に引き延ばして縦断計画図を作成することによって、図8(B)に示すような管路の平面的な湾曲箇所を直線化した縦断計画図で設計することが可能となる。これによって、ユーザは、図8(B)に示すように、縦断計画図上で既設埋設物7aと管路6cが干渉しないように、高精度な計画が可能となる。
【0027】
制御装置102は、上述したようにユーザによって操作された結果得られる平面計画図及び縦断計画図のデータ、すなわちユーザによる管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置103に記録する。
【0028】
ユーザは、上述した処理で作成した電線共同溝の3次元設計データにおける特殊部と管路に対して、指定した範囲の2次元図面の作成を指示することができる。なお、本実施の形態では、2次元図面は、縦断図と横断図と平面図の作成が可能なものとする。以下、本実施の形態における2次元図面の作成について説明する。
【0029】
制御装置102は、ユーザによって2次元図面の作成が指示されると、記録装置103から電線共同溝の3次元設計データを読み込んで表示装置104に3次元設計図を表示する。図9は、表示装置104に表示される3次元設計図の一例を示す図である。ユーザは、表示装置104に表示された3次元設計図上で、2次元図面の作成範囲を指定する。本実施の形態では、例えば、ユーザは、始点位置の特殊部9aと終点位置の特殊部9bを指示することにより、特殊部9aと特殊部9bの間の範囲を対象として2次元図面の作成範囲を指定することができる。
【0030】
制御装置102は、ユーザによって2次元図面の作成範囲が指定されると、指定された作成範囲内の3次元モデルと連動した2次元図面を公知の方法により作成して出力する。なお、2次元図面の出力先は記録装置103とし、出力後は表示装置104に表示される。図10は、制御装置102によって作成された2次元図面の一例を示す図である。図10において、図10(A)は、制御装置102によって作成されて出力される平面図を示し、図10(B)は、制御装置102によって作成されて出力される縦断図を示している。
【0031】
なお、本実施の形態では、制御装置102は、2次元図面に描画する既設埋設物の断面形状は、基準となる断面で切断したリアルな断面形状とする。図11は、2次元図面における管路と既設埋設物の断面形状の例を模式的に示した図である。図11では、破線枠11a内に示すように、電力・通信管路は円形で描画されている。また、破線枠11b内に示すように、既設埋設管は楕円形状で描画されている。
【0032】
制御装置102は、配置された特殊部と作成した管路に対して、設計条件を満たしているかのチェックを行う。本実施の形態では、制御装置102は、配置された特殊部と作成した管路に対して、管路線形の総延長や総交角、平面曲率と縦断曲率の確保距離、既設埋設物との離隔を自動でチェックして確認画面にチェック結果を表示する。また、制御装置102は、チェック結果を外部ファイルに出力することもできる。図12(A)は、制御装置102によって表示装置104に表示されるチェック結果の一覧画面の例を示す図である。ユーザは、図12(A)に示す画面によって、自動チェックの結果を確認することができる。
【0033】
制御装置102は、ユーザによって図12(A)に示す画面上でボタン12aがクリックされたことを検出した場合には、図12(B)に示すように、チェック結果で問題がある箇所をマークアップ表示した画面を表示する。また、制御装置102は、ユーザによって図12(A)に示す画面上でボタン12bがクリックされたことを検出した場合には、図12(C)に示すような出力形式で、チェック結果を表計算ファイルなどの外部ファイルに出力する。
【0034】
図13は、本形態における電線共同溝設計支援装置100で実行される処理の流れを示すフローチャートである。図13に示す処理は、上述した電線共同溝設計支援システム用のプログラムの実行が指示されると起動するプログラムとして、制御装置102によって実行される。なお、図13において、上述した新設埋設物の部品登録と特殊部の組み合わせ部品の作成はあらかじめ行われているものとする。
【0035】
ステップS10において、制御装置102は、上述したように、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスを読み込む。その後、ステップS20へ進む。
【0036】
ステップS20では、制御装置102は、上述したように、読み込んだ現況地形サーフェスを表示装置104に表示し、表示した現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道領域と歩道領域の指定を受け付ける。その後、ステップS30へ進む。
【0037】
ステップS30では、制御装置102は、上述したように、車道領域や歩道領域などの各種領域区分が設定された現況地形サーフェスに3D化された既設埋設物を設定する。その後、ステップS40へ進む。
【0038】
ステップS40では、制御装置102は、上述したように、表示装置104に現況地形サーフェスが描かれた平面図を表示して、ユーザから現況地形サーフェスが描かれた平面図上への特殊部の配置を受け付ける。その後、ステップS50へ進む。
【0039】
ステップS50では、制御装置102は、上述したように、ユーザからの指示に基づいて、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置した特殊部を結ぶ管路を作成する。その後、ステップS60へ進む。
【0040】
ステップS60では、制御装置102は、上述したように、縦断計画図上で管路の経路の変更を受け付ける。その後、ステップS70へ進む。
【0041】
ステップS70では、制御装置102は、上述したように、電線共同溝の3次元設計データを記録装置103に記録する。その後、処理を終了する。
【0042】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、電線共同溝を埋設する道路の現在の形状を3次元で表した現況地形サーフェスに対して既設埋設物を設定し、既設埋設物を設定した現況地形サーフェスが描かれた平面図上に、ユーザから、埋設物である特殊部の配置を受け付け、ユーザから、特殊部の配置を受け付けた現況地形サーフェスが描かれた平面図上に特殊部同士を結ぶ管路の作成指示を受け付けて管路を作成し、管路を作成した後の現況地形サーフェスを考慮した縦断図を表示装置104に表示して、ユーザから、管路が既設埋設物と干渉しないように管路の経路変更を受け付けるようにした。そして、制御装置102は、管路の経路変更結果を反映させた平面線形と縦断線形とを電線共同溝の3次元設計データとして記録装置103に記録するようにした。このように電線共同溝の3次元設計データを作成するようにすれば、ユーザは、3次元設計データに基づいて設計結果を確認することができる。このため、ユーザは設計結果を確認してから図面作成者に2次元図面の作成を依頼することができるため、従来のような設計者と図面作成者との間での手戻りを削減することができる。
【0043】
(2)制御装置102は、ユーザから特殊部の配置を受け付ける際には、特殊部の周囲に干渉範囲を示す離隔領域を表示するようにした。これによって、ユーザは、離隔領域を見ながら既設埋設物と干渉しないように特殊部の配置位置を決定することができる。
【0044】
(3)制御装置102は、ユーザから特殊部の配置位置とともに特殊部の配置角度の指定も受け付けるようにした。これによって、ユーザは、特殊部の配置位置と配置角度を加味して設計を行うことができる。
【0045】
(4)制御装置102は、管路の水平距離や曲率を判定して、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に管路線形を作成するようにした。これによって、管路の水平距離や曲率を考慮して、精度高く特殊部間の管路線形を作成することができる。
【0046】
(5)制御装置102は、管路に対して干渉範囲を示す離隔領域を表示するようにした。これによって、ユーザは、離隔領域を見ながら既設埋設物と干渉しないように管路の経路を決定することができる。
【0047】
(6)制御装置102は、現況地形サーフェスを考慮した縦断図において、管路の平面的な湾曲箇所を引き延ばして表示するようにした。これによって、ユーザは、縦断計画図上で既設埋設物と管路が干渉しないように高精度な計画を行うことができる。
【0048】
(7)制御装置102は、現況地形サーフェスに対して、ユーザから車道の範囲を示す車道領域と歩道の範囲を示す歩道領域の指定を受け付け、特殊部が位置している車道領域または歩道領域の領域情報に基づいて、管路に適切な土被りを初期設定とした管路を作成するようにした。これによって、車道領域に設定されている土被りや歩道領域に設定されている土被りを考慮して、精度高く特殊部間の管路を作成することができる。
【0049】
(8)制御装置102は、ユーザから現況地形サーフェス上に車道領域または歩道領域の枠となる要素の指定を受け付けたり、ユーザから車道領域または歩道領域の範囲を示す座標の指定を受け付けたりすることによって、車道領域と歩道領域の指定を受け付けるようにした。これによって、ユーザはマウス操作などの簡単な操作によって、現況地形サーフェス上に車道領域または歩道領域を指定することができる。
【0050】
(9)制御装置102は、電線共同溝の3次元設計データにおける特殊部と管路に対して、ユーザによって指定された範囲の2次元図面を作成して出力するようにした。これによって、ユーザは、縦断図、横断図、および平面図といった2次元図面により、設計結果を確認することができる。
【0051】
(10)現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置される特殊部は、部品としてあらかじめ登録されており、ユーザは、あらかじめ登録されている部品の中から配置する特殊部に対応した部品を選択することにより、現況地形サーフェスが描かれた平面図上に埋設物である特殊部を配置できるようにした。これによって、あらかじめ部品を登録しておけば、それを選択するだけの簡易な操作により現況地形サーフェスが描かれた平面図上に配置する特殊部を指定することができる。
【0052】
(11)制御装置102は、配置された特殊部と作成した管路に対して、設計条件を満たしているかのチェックを行い、チェック結果を出力するようにした。これによって、ユーザは、特殊部と管路が設計条件を満たしているかを把握することができる。
【0053】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の電線共同溝設計支援装置100は、以下のように変形することもできる。
【0054】
(1)上述した実施の形態では、電線共同溝設計支援装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる例について説明した。しかしながら、上述した処理を実行することができる装置であれば、サーバ装置やパソコンには限定されない。
【0055】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 電線共同溝設計支援装置
101 操作部材
102 制御装置
103 記録装置
104 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13