(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135483
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/06 20060101AFI20230921BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
B65D33/06
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040725
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
(72)【発明者】
【氏名】和田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 美峰
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AB15
3E064AB25
3E064AD30
3E064BA25
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA38
3E064BA54
3E064BA55
3E064BA60
3E064BC01
3E064BC20
3E064EA09
3E064EA12
3E064FA04
3E064GA01
3E064GA10
3E064HF06
3E064HG06
3E064HJ05
3E064HK01
3E064HS04
(57)【要約】
【課題】持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器を提供する。
【解決手段】パウチ容器(1)は、筒状の胴部(21)、胴部(21)の一端を覆う上面シート(22)および胴部(21)の他端を覆う底面シート(23)を有する容器本体(2)と、幅方向の一方側に偏在して上面シート(22)に設けられるスパウト(3)と、容器本体(2)を吊持するための手提部材(4)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、
前記容器本体の幅方向の一方側に偏在して、前記第1端面シート部に設けられるスパウトと、
前記容器本体に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、を含む、パウチ容器。
【請求項2】
前記第1端面シート部は、前記一方側へ向かって先細りするテーパ部を有し、
前記スパウトは、前記テーパ部に設けられる、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記手提部材は、前記第1端面シート部に接着される、請求項1または2に記載のパウチ容器。
【請求項4】
一対の前記手提部材を含み、
一対の前記手提部材の一方が前記第1胴面シート部に接着され、他方が前記第2胴面シート部に接着される、請求項1または2に記載のパウチ容器。
【請求項5】
一対の前記手提部材の前記第1胴面シート部または前記第2胴面シート部への接着位置は、前記幅方向において、前記スパウトが設けられる側に偏在している、請求項4に記載のパウチ容器。
【請求項6】
第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、
前記第1胴面シート部と前記第1端面シート部とのシール部に設けられるスパウトと、
前記第1胴面シート部に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、
を含む、パウチ容器。
【請求項7】
前記手提部材の前記第1胴面シート部への接着位置は、前記第1胴面シート部のうち、前記スパウトが設けられる側に偏在して接着される、請求項6に記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手提部材を有するパウチ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
パウチ容器は、軽量で廃棄が容易である等の優れた特徴を有し、各種流体製品を収容する容器として広く使用されている。この種の容器に関し、特許文献1には、パウチ容器を把持するキャリーハンドルを胴部の背面パネルに備える構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように容器の胴部を把持するキャリーハンドルを備える構成では、容器を大容量化した場合に、持ち運びが困難であり、また、内容物を注出し難いといった課題が生じ得る。
【0005】
本開示の一態様は、前記課題に鑑みてなされたものあって、持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るパウチ容器は、第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、前記容器本体の幅方向の一方側に偏在して、前記第1端面シート部に設けられるスパウトと、前記容器本体に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、を含む。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るパウチ容器は、第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、前記第1胴面シート部と前記第1端面シート部との間に設けられるスパウトと、前記第1胴面シート部に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るパウチ容器の正面側を示す平面図である。
【
図2】
図1に示されるパウチ容器の背面側を示す平面図である。
【
図3】
図1に示される上面シートを示す平面図である。
【
図4】
図1および
図2に示されるパウチ容器の使用状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示されるパウチ容器の第1変形例を示す斜視図である。
【
図6】
図4に示されるパウチ容器の第2変形例を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係るパウチ容器の正面側を示す平面図である。
【
図8】
図7に示されるパウチ容器の背面側を示す平面図である。
【
図9】
図7および
図8に示されるパウチ容器の使用状態を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示されるパウチ容器の第1変形例を示す斜視図である。
【
図11】
図9に示されるパウチ容器の第2変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態であるパウチ容器1について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明は本発明に係るパウチ容器の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
【0011】
[パウチ容器1の構成]
図1は、本発明の実施形態1に係るパウチ容器1の正面側を示す平面図である。
図2は、
図1に示されるパウチ容器1の背面側を示す平面図である。
図3は、
図1に示される上面シート22を示す平面図である。
図1および
図2は、内容物を充填していないパウチ容器1を折り畳んだ状態を示している。また、
図3では、手提部材4を省いて図示している。
【0012】
図1では、パウチ容器1に内容物が充填されて自立した状態(
図4参照)を基準として、パウチ容器1の高さ方向を上下方向、パウチ容器1の幅方向を左右方向、上下方向と左右方向とに直交する方向を前後方向として、上下、左右および前後の各方向を規定する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1で規定する各方向に対応させて表示する。
【0013】
本実施形態に係るパウチ容器1は、
図1および
図2に示すように、環状の胴部21、上面シート(第1端面シート部)22および底面シート(第2端面シート部)23を有する可撓性シートから形成される容器本体2と、上面シート22から突出するスパウト3と、手提部材4とを備えている。本開示は、容器本体2に対するスパウト3と手提部材4との取り付け位置を創意工夫することにより、持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器1を提供するものである。
【0014】
(容器本体2)
容器本体2の胴部21は、正面シート(第1胴面シート部)21aと、正面シート21aに対向する背面シート(第2胴面シート部)21bとを含んでいる。胴部21は、正面シート21aと背面シート21bの幅(左右)方向の両側部が接合されて筒状に構成されている。具体的には、胴部21は、正面シート21aと背面シート21bの幅方向の両側部をシールする一対の第1シール部(接合部)S1を有し、この第1シール部S1によって、正面シート21aと背面シート21bとが筒状に接合されている。
【0015】
なお、正面シート21aおよび背面シート21bは、胴部21を形成する相対向する2枚のシートを便宜上区別したものである。つまり、正面シート21a側を容器本体2の正面側に限定することを意味するものではなく、正面シート21aと背面シート21bとの位置関係が反対になっていてもよい。
【0016】
上面シート22は、胴部21の上端(一端)に接合される。具体的には、正面シート21aの上端と、上面シート22の正面側の縁部とが第2シール部S2でシールされている。また、背面シート21bの上端と、上面シート22の背面側の縁部とが第3シール部(接合部)S3でシールされている。第2シール部S2と第3シール部S3とは、上面シート22の左側の先端に対応する第1連結部201と、上面シート22の右側の先端に対応する第2連結部202とで互いに繋がって、上面シート22の縁部を囲む。また、第2シール部S2と第3シール部S3とは、第1連結部201において一方(左側)の第1シール部S1と繋がり、第2連結部202において他方(右側)の第1シール部S1と繋がる。
【0017】
図3に示すように、本実施形態に係る上面シート22は、幅方向に長手方向を有する。上面シート22の幅方向の両端部の各々は、幅方向外側へ向かって先細るテーパ形状になっており、全体として略六角形形状を有する。この上面シート22の形状に応じて、正面シート21a側の第2シール部S2の左寄りに、角を成す屈曲部221が形成され、第2シール部S2の右寄りに、角を成す屈曲部222が形成される。また、背面シート21b側の第3シール部S3の左寄りに、角を成す屈曲部223が形成され、第3シール部S3の右寄りに、角を成す屈曲部224が形成される。屈曲部221と屈曲部223とは上面シート22を挟んで互いに対向している。同様に、屈曲部222と屈曲部224とは上面シート22を挟んで互いに対向している。
【0018】
パウチ容器1を折り畳んだ状態において、第1シール部S1と屈曲部221~224との間における幅方向の間隔d1は、左右両側の第1シール部S1の幅を除いた容器本体2の幅寸法Wの1/6以上1/3以下であることが好ましい。間隔d1を幅寸法Wの1/6以上にすることにより、第1テーパ部R1および第2テーパ部R2の面積を確保し、スパウト3を安定して配置し易くなる。また、間隔d1を幅寸法Wの1/6以上1/3以下にすることにより、パウチ容器1に内容物を収容した際に容器本体2が角柱状に近い形状となり、容器本体2の自立性が向上する。
【0019】
屈曲部221と屈曲部223とを結ぶ仮想的な線分を第1線分L1、屈曲部222と屈曲部224とを結ぶ仮想的な線分を第2線分L2とした場合、上面シート22は、第1線分L1の左側に位置する第1テーパ部R1と、第2線分L2の右側に位置する第2テーパ部R2、および第1線分L1と第2線分L2との間に位置する矩形の中央部R3の3つの領域を含む。第1テーパ部R1には、後述するようにスパウト3が設けられる。また、中央部R3には、後述するように手提部材4の第1接着部42および第2接着部43が接着される。
【0020】
第1テーパ部R1の前後方向に挟む上面シート22の各傾斜辺の傾斜角度θは、例えば30°以上60°以下であることが好ましい。傾斜角度θがこの範囲にあることにより、パウチ容器1に内容物を収容した使用状態において、第1テーパ部R1が傾斜し、内容物を注ぎ易い角度でスパウト3が保持される(
図4参照)。
【0021】
なお、上面シート22は、左右の形状が異なる左右非対称形状であってよく、例えば、左右で傾斜角度θが異なっていてもよい。また、略六角形形状のように角を有する形状ではなく、曲線状に湾曲した形状であってもよい。
【0022】
底面シート23は、胴部21の下端(他端)に接合される。具体的には、正面シート21aの下端と、底面シート23の正面側の縁部とが第4シール部(接合部)S4でシールされる。また、背面シート21bの下端と、底面シート23の背面側の縁部とが第5シール部(接合部)S5でシールされる。さらに、底面シート23の幅方向の両側部は、一部に切欠き232が設けられ、正面シート21aと背面シート21bに挟まれた状態でヒートシールされることで、切欠き232の位置で正面シート21aの両側部と背面シート21bの両側部とがシールされる。容器本体2は、底面シート23を下方にして自立可能になっている。
【0023】
底面シート23は、容器本体2が折り畳まれた状態においては、正面シート21aと背面シート21bとの間に折り込まれ、パウチ容器1の幅方向に沿う織り線231が形成されるように2つ折りされている。なお、上面シート22と底面シート23とは、同じ形状であってもよく、互いに異なる形状であってもよい。
【0024】
このように、本実施形態に係るパウチ容器1における容器本体2は、正面シート21a、背面シート21b、上面シート22、および底面シート23の各部が接合されることによって袋状に形成されており、内部に液体等の内容物を収容可能な収容部25が形成されている。
【0025】
なお、容器本体2を構成する各シート間の接合の方法としては、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等による融着、接着剤による接着等の各種公知の方法を用いることができる。また、容器本体2は、正面シート21a、背面シート21b、上面シート22および底面シート23の異なる4つのシートを上述のように接合する構成に限られない。容器本体2は、例えば、正面シート21a、背面シート21bおよび底面シート23を一枚のシートを折り畳むことで形成した後、上面シート22を接合して構成されていてもよい。また、容器本体2は、1枚のシートを折り畳むことで構成されていてもよい。また、上面シート22の形状等は、各シートを袋状に接合した後に外形に合わせて不要部分を切除して形成してもよい。
【0026】
また、パウチ容器1に収容される内容物は、流動性を有する液体や粘体、粒体または粉体でもよい。内容物として、例えば、飲料、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の液体せっけん、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、液状の医薬品、消毒液、アルコール等の薬品、液体燃料、オイル類等、粒状の食品、飼料、洗剤類、樹脂ペレット等の工業材料等が挙げられる。
【0027】
容器本体2を構成する可撓性シ-トは、例えば熱可塑性樹脂から構成されている。可撓性シ-トは、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリオレフィン系共重合樹脂(例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン-ポリプロピレン共重合体等)、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン-塩化ビニル共重合体等)、塩化ビニリデン系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニリデンニル等)、ポリエステル系樹脂(例えば、軟質ポリエステル等)、ナイロン、ビニロン及びその他の袋用プラスチックシ-トである。可撓性シ-トは、例えば熱可塑性樹脂からなる単層または複層のシートから構成されている。このようなシートとして基材層とヒートシール性のシーラント層とが積層されたラミネートフィルムが使用できる。基材層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂からなる二軸延伸フィルムが、耐熱性、寸法安定性、強度を有するため好ましく使用できる。シーラント層としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、非晶性のポリエステル系樹脂等の熱融着性樹脂からならフィルム、または押出しコーティング層が使用できる。また、基材層とシーラント層との間にエチレンビニルアルコール等のガスバリアー層や補強用フィルムを積層してもよい。なお、基材層には、商品名等の印刷が適宜施されていてもよい。
【0028】
(スパウト3)
スパウト3は、容器本体2に突出して設けられる。スパウト3は、収容部25に連通しており、このスパウト3を介して内容物の注出および注入(補充)が可能になっている。本実施形態では、スパウト3は、幅方向の左側に偏在して、つまり上面シート22の幅方向の中点(中央)よりも左側に偏って、上面シート22に設けられる。また、スパウト3には、当該スパウト3に脱着自在に螺合されたキャップ5(
図4参照)が取り付け可能になっている。
【0029】
スパウト3は、第1テーパ部R1に設けられている。具体的には、スパウト3は、スパウト3の中心Cが、第1テーパ部R1の幅方向の中心(中央)、または該中心よりも左側に設けられていることが好ましい。換言すれば、スパウト3は、第1シール部S1と、第2シール部S2と、第3シール部S3とが連結される第1連結部201に近接して配置されていることが好ましい。これにより、各シール部によってスパウト3が固定され易くなる。
【0030】
スパウト3は、筒状のスパウト部31と、スパウト部31の下端から径方向外側へ張り出したフランジ部32を有する。スパウト3は、上面シート22の内側、つまり収容部25側にフランジ部32が配置された状態で、上面シート22に設けられている。具体的には、スパウト3は、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂の成型品であり、フランジ部32を上面シート22のシーラント層にヒートシール等で接合されている。これにより、スパウト3が上面シート22から脱落し難くなっている。また、フランジ部32は、略正方形の矩形形状を有する。フランジ部32は、第1連結部201側の2辺が、第2シール部S2および第3シール部S3と平行になるように第1テーパ部R1に設けられている。これにより、スパウト3がさらに固定され易くなる。なお、フランジ部32の形状は、矩形形状に限られず、例えば、円形、楕円形、矩形以外の多角形形状またはその他の形状であってもよい。
【0031】
(手提部材4)
手提部材4は、容器本体2に接着され、容器本体2を吊持するためのハンドルである。手提部材4は、帯紐状の手提片41と、手提片41の両端に位置し、容器本体2に接着される第1接着部42および第2接着部43と、第1接着部42および第2接着部43を覆う帯(テープ)状のカバーシート44とを含む。
【0032】
帯紐状の手提片41は、合成樹脂シート、合成紙、紙、またはこれらの複層シートを、帯状に切断したもの、または帯(テープ)状、紐状に加工したものが使用できる。手提片41は、例えば、強度を有する二軸延伸フィルムや長さ方向に一軸延伸したフィルム、またはこれらの延伸フィルムと他の材質とを積層したシート材料から形成される。手提片41の寸法は、例えば、長さ(第1接着部42と第2接着部43とを除く長さ)が、手指で把持して持ち上げ易いように200mm以上500mm以下程度であってよく、好ましくは250mm以上400mm以下であってよい。また、手提片41の寸法は、幅が10mm以上30mm以下、厚さが50μm以上500μm以下であってよい。手提片41の幅または厚さの寸法は、手提片41の中央部と端部とで異なっていてもよい。この手提片41の両端に位置する第1接着部42および第2接着部43の内面側(上面シート22側)には、粘着剤(接着剤)から形成される接着層(粘着層)45(
図4参照)が設けられている。
【0033】
また、パウチ容器1では、第1接着部42および第2接着部43を覆う、補強用のカバーシート44を設けている。カバーシート44は、第1接着部42および第2接着部43が剥離し難いように補強すると共に、カバーシート44によって覆われた部分の容器本体2を構成する可撓性シートの変形を防止する効果を有する。これにより、容器本体2を吊持した際に、特に第1接着部42と第2接着部43との間に挟まれる部分の前記可撓性シートの変形を効果的に防止することができる。カバーシート44は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系フィルム、若しくは合成紙等で形成される。カバーシート44の寸法は、例えば、幅20mm以上80mm以下、厚さ30μm以上200μm以下である。カバーシート44の内面側(上面シート22側)には粘着剤から形成される接着層(粘着層)46(
図4参照)が設けられている。
【0034】
接着層45および接着層46は、強粘着タイプの粘着剤から形成されていることが好ましい。この粘着剤は、例えば、アクリル系やゴム系、またはホットメルトタイプの粘着剤であってよい。接着層45および接着層46の粘着力(接着力)は、例えば10N/25mm以上であることが好ましい(JIS Z 0237に準拠した「180度引き剥がし粘着力測定」で測定)。なお、接着層45と接着層46とは、同じ種類の粘着剤で形成されていてもよく、異なる種類の粘着剤で形成されていてもよい。
【0035】
パウチ容器1は、容器本体2を吊持する手提部材4を備える。このため、容器本体2を吊持した状態で、持ち運びおよび内容物の注出を行うことができる。従って、容器本体2を大容量化した場合であっても、持ち運びが容易であり、また、内容物を注出し易くなる。
【0036】
手提部材4は、容器本体2に接着される。このため、例えば、予め粘着剤を塗布した接着面を剥離紙で保護した手提片41を、別途作成したスパウト3を取り付けた容器本体2の所定箇所に、剥離紙を剥がして貼り付けることで手提部材4を容易に取付けることができる。手提部材4を容器本体2に取り付ける方法としては、帯紐状部材である手提片41を、容器本体2の所定箇所に熱接着により接続する方法も考えられる。しかしながら、容器本体2の基材(表面)として使用される、強度を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムまたは二軸延伸ポリアミドフィルム等の二軸延伸フィルムは、熱接着性が相対的に低い特性を有する。このため、容器本体2の製袋後に表面に熱接着で手提片41を貼り付けると、容器本体2自体にダメージを与えるため好ましくない。従って、上述のように粘着剤で手提片41を貼り付ける構成とすることにより、容器本体2自体にダメージを与えることなく、手提片41を容易に取り付けることができるため好ましい。
【0037】
なお、手提片41を容器本体2に取り付けた後に、カバーシート44を貼り付けて第1接着部42および第2接着部43を覆ってもよい。または、予め手提片41にカバーシート44を接着して粘着剤を剥離紙で保護した手提部材4を作成し、該剥離紙を剥がしてカバーシート44と共に手提片41を容器本体2に貼り付けてもよい。
【0038】
本実施形態では、手提部材4は、上面シート22に接着されている。具体的には、手提部材4の第1接着部42と第2接着部43とは、上面シート22の中央部R3に、幅方向に一列に並んで左右対称に接着されている。
【0039】
手提部材4は、容器本体2と同じ材料で構成されていてもよく、容器本体2と異なる材料で構成されていてもよい。また、手提部材4は、透明であってもよく、白色等の有色であってもよい。手提部材4を構成する手提片41またはカバーシート44には、商品名等の表示事項が適宜印刷されてもよい。容器本体2と手提部材4とが異なる材料で構成されている場合、容器本体2の容量に応じて手提部材4の材料を変更することで、手提部材4の強度を調整することができる。
【0040】
[パウチ容器1の使用状態]
図4の4001は、パウチ容器1の使用状態を示す斜視図であり、
図4の4002は、
図4の4001に示されるA-A断面図である。内容物を収容した容器本体2を吊持した場合、手提部材4によって上面シート22へ上向きの力Fが作用する。このため、上面シート22の中央部R3が上向きに引っ張られることにより、上面シート22が下向きに凹状に変形することが抑えられる。加えて、上面シート22の中央部R3が上向きに引っ張られることにより、第1テーパ部R1および第2テーパ部R2が傾斜し、内容物を注ぎ易い角度でスパウト3が保持される。従って、スパウト3の角度が安定し、内容物を注出し易くなる。
【0041】
このように、パウチ容器1は容器本体2を吊持するための手提部材4を備えるため、容器本体2を吊持した状態で、持ち運びおよび内容物の注出を行うことができる。従って、容器本体2を大容量化した場合であっても、持ち運びが容易であり、また、内容物を注出し易くなる。加えて、パウチ容器1では、スパウト3が上面シート22の幅方向の一方側に偏在することにより、第2シール部S2および第3シール部S3の各々に近接してスパウト3が設けられる。このため、スパウト3が取り付けられる部分の上面シート22の変形がシール部によって抑えられて形状が安定するため、内容物を注出し易くなる。従って、本実施形態によれば、持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器1を実現することができる。
【0042】
[パウチ容器の変形例]
(第1変形例)
図5は、
図4に示されるパウチ容器1の変形例であるパウチ容器1Aを示す斜視図である。パウチ容器1Aは、容器本体2およびスパウト3に関しては、上述したパウチ容器1と同一である。パウチ容器1Aは、手提部材として第1手提部材4Aおよび第2手提部材4Bを備える点においてパウチ容器1と主に異なっている。
【0043】
図5に示すように、第1手提部材4Aは、正面シート21aに接着される。また、第2手提部材4Bは、背面シート21bに接着される。具体的には、第1手提部材4Aの第1接着部42は、第2シール部S2の屈曲部221の下方に接着され、第1手提部材4Aの第2接着部43は、第2シール部S2の屈曲部222の下方に接着される。また、第2手提部材4Bの第1接着部42は、第3シール部S3の屈曲部223の下方に接着され、第2手提部材4Bの第2接着部43は、第3シール部S3の屈曲部224の下方に接着される。
【0044】
なお、第1接着部42および第2接着部43は、屈曲部221~224の下方の近傍に配置されていればよく、屈曲部221~224の下方から幅方向に例えば±20mm以内の範囲に配置されていればよい。また、第1シール部S1とカバーシート44(第1接着部42および第2接着部43)との間における上下方向の間隔d2は、上下両側の第1シール部S1および第4シール部S4の幅を除いた容器本体2の高さ寸法Hの1/3以下であることが好ましい。これにより、手提部材4Aと手提部材4Bとによって、容器本体2を安定吊持することができる。
【0045】
パウチ容器1Aでは、容器本体2は内容物を収容した状態で屈曲部221~224が外方へ突出した角柱になり、この角柱の容器本体2を第1手提部材4Aと第2手提部材4Bとを併せて持ち上げた場合、各屈曲部221~224近傍が上方へ引き上げられながら、容器本体2の中心軸側へ引き寄せられる。このため、屈曲部221~224は収容部25の内側へ向けて押圧されるが、屈曲部221~224は角を成して内側へ変形し難い形状となっているため、上面シート22の変形が抑えられる。
【0046】
なお、第1手提部材4Aは、第1接着部42が屈曲部221よりも外側(左側)に位置し、第2接着部43が屈曲部222よりも外側(右側)に位置していてもよい。同様に、第2手提部材4Bは、第1接着部42が屈曲部223(左側)よりも外側に位置し、第2接着部43が屈曲部224よりも外側(右側)に位置していてもよい。この場合であっても、容器本体2を吊持した状態で容器本体2に対して幅方向内側へ力が掛かることになり、上面シート22が下向きに凹状に変形することが抑えられる。
【0047】
(第2変形例)
図6は、
図4に示されるパウチ容器1の他の変形例であるパウチ容器1Bの使用状態を示す斜視図である。パウチ容器1Bは、容器本体2およびスパウト3に関しては、上述したパウチ容器1・1Aと同一である。パウチ容器1Bは、手提部材として第1手提部材4Aおよび第2手提部材4Bを備え、これらの手提部材4A・4Bがスパウト3側へ偏在してる点においてパウチ容器1と主に異なっている。
【0048】
図6に示すように、第1手提部材4Aは、正面シート21aに接着される。また、第2手提部材4Bは、背面シート21bに接着される。具体的には、第1手提部材4Aの第1接着部42は、第1テーパ部R1の下方に接着され、第1手提部材4Aの第2接着部43は、中央部R3の下方に接着される。また、第2手提部材4Bの第1接着部42は、第1テーパ部R1の下方に接着され、第2手提部材4Bの第2接着部43は、中央部R3の屈曲部224の下方に接着される。
【0049】
パウチ容器1Bでは、内容物を収容した容器本体2を吊持した場合、スパウト3が設けられる側とは反対側に容器本体2が傾く。従って、内容物がスパウト3から溢れ難くすることができる。また、内容物を注出する際、スパウト3と反対側の容器本体2の底側を手で持ち上げてスパウト3の角度を調整することにより、内容物を注ぎ出し易くなる。
【0050】
なお、パウチ容器1Bは、第1接着部42および第2接着部43を覆う、補強用のカバーシート44を備えていない構成例である。このように、カバーシート44は、必須ではなく、容器本体2の容量、内容物の重量等に応じて適宜省略することが可能である。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0052】
[パウチ容器11の構成]
図7は、本発明の実施形態2に係るパウチ容器11の正面側を示す平面図である。
図8は、
図7に示されるパウチ容器11の背面側を示す平面図である。
図7および
図8は、パウチ容器11を折り畳んだ状態を示している。
【0053】
図7および
図8に示すように、環状の胴部21、上面シート220(第1端面シート部)および底面シート(第2端面シート部)23を有する可撓性シートから形成される容器本体2と、胴部の正面シート21aの上端と上面シート220との接合箇所に取り付けられたスパウト30と、胴部21の正面シート21aに取り付けられた手提部材40とを備えている。なお、パウチ容器11は、上面シート220、スパウト30および手提部材40の形状、位置等を除いて、前記実施形態で説明したパウチ容器1を概ね同一である。このため、以下では、パウチ容器1とは異なる点について主に説明する。
【0054】
なお、本実施形態では、説明の便宜上、
図7および
図8に示す位置関係を基準にして、上面シート220、底面シート23と記述して説明する。しかしながら、パウチ容器11は、上面シート220が上方に位置し、底面シート23が下方に位置する向きで使用される使用態様に限られない。例えばパウチ容器11を底面シート23で自立させない使用態様、つまり上面シート220と底面シート23とが左右方向に位置する向きでパウチ容器11を使用することができる。
【0055】
(上面シート220)
上面シート220は、胴部21の上端(一端)に接合される。上面シート220は、幅方向外側へ向かって先細るように曲線的に湾曲しており、全体として略紡錘形状を有する。また、上面シート220は、容器本体2が折り畳まれた状態においては、正面シート21aと背面シート21bとの間に折り込まれ、パウチ容器11の幅方向に沿う織り線221が形成されるように2つ折りされている。
【0056】
(スパウト30)
スパウト30は、第1シール部S1に取り付けられる。スパウト30のフランジ部32は、例えば船形状であってよく、船形状のフランジ部32を正面シート21aと上面シート220との間に挟み込んだ状態において熱溶着することにより、第2シール部(シール部)S2に固定されている。具体的には、フランジ部32の水平断面が船形状で厚みがあり、この船形状のフランジ部32の側周面が正面シート21aと上面シート220とに熱溶着されている。
【0057】
なお、容器本体2において、第2シール部S2と第3シール部S3との上下方向の高さ位置が異なっていてもよい。例えば、上面シート220の大きさ、折り位置等を調整することで、スパウト30が設けられる第2シール部S2が、第3シール部S3よりも高くなっていてもよい。また、上面シート220の形状は、上述した略紡錘形状に限らず、底面シート23と同じ形状であってもよい。さらに、正面シート21aと背面シート21bとの形状は、互いに異なっていてもよい。
【0058】
(手提部材40)
手提部材40は、正面シート21aに接着されている。手提部材40は、帯(テープ)状のカバーシート44を有し、手提片41の両端部(第1接着部42および第2接着部43)がカバーシート44に覆われている。このような、帯状(幅広帯状)のカバーシート44を用いることで、手提部材40の接着性が向上する。手提部材40の第1接着部42と第2接着部43とは、正面シート21aに、幅方向に一列に並んで左右対称に接着されている。具体的には、容器本体2の幅寸法Wを幅方向に略4等分するように上下方向に延伸する3本の仮想的な線分のうち最も左側に位置する線分を第3線分L3、最も右側に位置する線分を第4線分L4と定義する。この場合、第1接着部42が第3線分L3と重なり、第2接着部43が第4線分L4と重なるように、手提部材40が接着される。なお、第3線分L3および第4線分L4の位置は上述したものに限られず、第3線分L3と左側の第1シール部S1との間における幅方向の間隔d3、および第4線分L4と右側の第1シール部S1との間における幅方向の間隔d3が、いずれも容器本体2の幅寸法Wの1/6以上1/3以下であればよい。また、手提部材40は、正面シート21aのうち、上下方向におけるスパウト30が設けられる側、つまり第2シール部S2側に偏在して、正面シート21aに接着されている。
【0059】
なお、図示の例では、第1接着部42および第2接着部43に対して手提片41が下方に位置する向き、つまり手提部材40が下方に垂れ下がる向きで、手提部材40が正面シート21aに接着されている。ただし、第1接着部42および第2接着部43に対して手提片41が上方に位置する向きで、手提部材40が正面シート21aに接着されていてもよい。
【0060】
また、前記実施形態で説明したパウチ容器1の上面シート22のように、第2シール部S2および第3シール部S3に屈曲部221~224が形成される場合、屈曲部221を通って上下方向に延伸する仮想的な線分を第3線分L3と定義し、屈曲部222を通って上下方向に延伸する仮想的な線分を第4線分L4と定義してもよい。このように第3線分L3および第4線分L4を定義した場合であっても、第3線分L3と重なる位置に第1接着部42が配置され、第4線分L4と重なる位置に第2接着部43が配置されていればよい。またこの場合、第3線分L3と左側の第1シール部S1との間における幅方向の間隔、および第4線分L4と右側の第1シール部S1との間における幅方向の間隔は、いずれも容器本体2の幅寸法Wの1/6以上1/3以下であることが好ましい。
【0061】
[パウチ容器11の使用状態]
図9は、パウチ容器11の使用状態を示す斜視図である。内容物を収容した容器本体2を吊持した場合、正面シート21aが上向きに引っ張られる。パウチ容器11では、スパウト30が設けられる正面シート21a側に手提部材40が接着されるため、注出時に容器本体2を傾けた際に、内容物がスパウト30から溢れ難くなる。また、手提部材40が正面シート21aのうちスパウト30が設けられる側に偏在しているため、スパウト30が設けられる側とは反対側に容器本体2が傾く。従って、内容物がスパウト30からより溢れ難くなる。
【0062】
このように、パウチ容器11は容器本体2を吊持するための手提部材40を備えるため、容器本体2を吊持した状態で、持ち運びおよび内容物の注出を行うことができる。従って、容器本体2を大容量化した場合であっても、持ち運びが容易であり、また、内容物を注出し易くなる。加えて、パウチ容器11では、スパウト30が設けられる正面シート21a側に手提部材40が接着されるため、注出時に容器本体2を傾けた際に、内容物がスパウト30から溢れ難くなる。従って、本実施形態によれば、大容量化に適したパウチ容器11を実現することができる。
【0063】
[パウチ容器の変形例]
(第1変形例)
図10は、
図9に示されるパウチ容器11の変形例であるパウチ容器11Aを示す斜視図である。パウチ容器11Aは、容器本体2およびスパウト30に関してはパウチ容器11と同一である。パウチ容器11Aは、手提部材として第1手提部材40Aおよび第2手提部材40Bを備える点においてパウチ容器11と主に異なっている。
【0064】
図10に示すように、第1手提部材40Aの第1接着部42および第2接着部43は、第3線分L3と接するまたは重なるように配置される。また、第2手提部材40Bの第1接着部42および第2接着部43は、第4線分L4と接するまたは重なるように接着されている。さらに、第1手提部材40Aおよび第2手提部材40Bは、スパウト30が設けられる側に偏在して、左右対称に接着されている。なお、第1接着部42および第2接着部43は、第3線分L3または第4線分L4の近傍に配置されていればよい。
【0065】
パウチ容器11Aでは、内容物の注出を行う際に容器本体2をスパウト30側に傾けた状態で、正面シート21aのうち第3線分L3と第4線分L4とに挟まれた中央部R4に対して幅方向内側へ力が掛かることになり、スパウト30が設けられる側の正面シート21aが下向きに凹状に変形することが抑えられる。従って、スパウト30の角度が安定し、内容物を注出し易くなる。
【0066】
(第2変形例)
図11は、
図9に示されるパウチ容器11の他の変形例であるパウチ容器11Bの使用状態を示す斜視図である。パウチ容器11Bは、容器本体2およびスパウト30に関しては、上述したパウチ容器11・11Aと同一である。パウチ容器11Bは、手提部材として第1手提部材40Aおよび第2手提部材40Bを備え、これらの手提部材40A・40Bが第3線分L3および第4線分L4よりも外側に接着されている点においてパウチ容器11・11Aと主に異なっている。
【0067】
第1手提部材40Aのカバーシート44は、長手方向が容器本体2の上下方向に延在し、且つ、パウチ容器11Bの容器本体2の左側の第1シール部S1に沿って接着される。また、第2手提部材40Bのカバーシート44は、長手方向が容器本体2の上下方向に延在し、且つ、容器本体2の右側の第1シール部S1に沿って接着される。さらに、第1手提部材40Aおよび第2手提部材40Bは、スパウト30が設けられる側に偏在して、左右対称に接着されている。
【0068】
パウチ容器11Bでは、内容物の注出を行う際に容器本体2をスパウト30側に傾けた状態で、正面シート21aに対して幅方向内側へ力が掛かることになり、スパウト30が設けられる側の正面シート21aが下向きに凹状に変形することが抑えられる。従って、スパウト30の角度が安定し、内容物を注出し易くなる。
【0069】
このように、第1手提部材40Aは、正面シート21aうち、左側の第1シール部S1と第3線分L3とに挟まれる領域に第1接着部42および第2接着部43が重なるように接着されていてもよい。同様に、第2手提部材40Bは、正面シート21aのうち、右側の第1シール部S1と第4線分L4とに挟まれる領域に第1接着部42および第2接着部43が重なるように接着されていてもよい。
【0070】
〔まとめ〕
本発明の一態様に係るパウチ容器は、第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、前記容器本体の幅方向の一方側に偏在して、前記第1端面シート部に設けられるスパウトと、前記容器本体に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、を含む。
【0071】
前記構成では、パウチ容器が容器本体を吊持するための手提部材を備えるため、容器本体を吊持した状態で、持ち運びおよび内容物の注出を行うことができる。従って、容器本体を大容量化(例えば3リットル以上15リットル以下程度)した場合であっても、持ち運びが容易であり、また、内容物を注出し易くなる。加えて、前記構成では、スパウトが第1端面シート部幅方向の一方側に偏在することにより、第1胴面シート部と第1端面シート部との接続部分および第2胴面シート部と第1端面シート部との接続部分の各々に近接してスパウトが設けられる。このため、スパウトが取り付けられる部分の第1端面シート部の変形が抑えられて形状が安定するため、内容物を注出し易くなる。従って、前記構成によれば、持ち運びが容易、且つ、注ぎ易いパウチ容器を実現することができる。
【0072】
本発明の一態様に係るパウチ容器は、前記第1端面シート部が、前記一方側の端部に該一方側へ向かって先細りするテーパ部を有し、前記スパウトが、前記テーパ部に設けられていてもよい。
【0073】
前記構成によれば、スパウトが取り付けられる部分の第1端面シート部の変形が抑えられて形状が安定するため、スパウトが固定され易くなる。
【0074】
本発明の一態様に係るパウチ容器は、さらに、前記手提部材が、前記第1端面シート部に接着されていてもよい。
【0075】
前記構成では、第1端面シート部が上向きに引っ張られることにより、第1端面シート部が下向きに凹状に変形することが抑えられる。従って、前記構成によれば、スパウトの角度が安定し、内容物を注出し易くなる。
本発明の一態様に係るパウチ容器は、一対の前記手提部材を含み、一対の前記手提部材の一方が前記第1胴面シート部に接着され、他方が前記第2胴面シート部に接着されていてもよい。
【0076】
前記構成によれば、一対の前記手提部材によって容器本体を安定して吊持することができる。
【0077】
本発明の一態様に係るパウチ容器は、前記一対の手提部材の前記第1胴面シート部または前記第2胴面シート部への接着位置が、前記幅方向において、前記スパウトが設けられる側に偏在して配置されていてもよい。
【0078】
前記構成では、容器本体を吊持した状態で、スパウトが設けられる側とは反対側に容器本体が傾く。従って、前記構成によれば、内容物がスパウトから溢れ難くなる。
【0079】
本発明の一態様に係るパウチ容器は、第1胴面シート部および該第1胴面シート部に対向する第2胴面シート部とを含む筒状の胴部と、前記胴部の一端を覆う第1端面シート部と、前記胴部の他端を覆う第2端面シート部とを有する容器本体と、前記第1胴面シート部と前記第1端面シート部とのシール部に設けられるスパウトと、前記第1胴面シート部に接着され、前記容器本体を吊持するための手提部材と、を含む。
【0080】
前記構成では、パウチ容器が容器本体を吊持するための手提部材を備えるため、容器本体を吊持した状態で、持ち運びおよび内容物の注出を行うことができる。従って、容器本体を大容量化した場合であっても、持ち運びが容易であり、また、内容物を注出し易くなる。加えて、前記構成では、スパウトが設けられる第1胴面シート部側に手提部材が接着されるため、注出時に容器本体を傾けた際に、内容物がスパウトから溢れ難くなる。従って、前記構成によれば、大容量化に適したパウチ容器を実現することができる。
【0081】
本発明の一態様に係るパウチ容器は、前記手提部材の前記第1胴面シートへの接着位置が、前記第1胴面シート部のうち、前記スパウトが設けられる側に偏在して配置されていてもよい。
【0082】
前記構成によれば、容器本体を吊持した状態で、スパウトが設けられる側とは反対側に容器本体が傾く。従って、前記構成によれば、内容物がスパウトから溢れ難くなる。
【符号の説明】
【0083】
1、1A、1B、11、11A、11B:パウチ容器
2:容器本体
3、30:スパウト
4、4A、4B、40、40A、40B:手提部材
21:胴部
21a:正面シート(第1胴面シート部)
21b:背面シート(第2胴面シート部)
22、220:上面シート(第1端面シート部)
23:背面シート(第2端面シート部)
42 第1接着部(接着位置)
43 第2接着部(接着位置)
R1:第1テーパ部
S2:第2シール部(シール部)