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特開2023-135485架空送電線用接地工具のスライド補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135485
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】架空送電線用接地工具のスライド補助具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20230921BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H02G1/02
H01B13/00 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040728
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 勝行
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 和紀
(72)【発明者】
【氏名】竹田 良太
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352AD03
5G352AE01
5G352AE05
(57)【要約】
【課題】 接地工具の取付高さを調整でき、上下に傾動すると共に水平方向に旋回可能にして、装着した接地工具との結合態様の自由度を拡大し、架空送電線の接地作業を効率化する。
【解決手段】 スライド補助具1は、碍子G1,G1間を渡りながら碍子連G上を滑走する摺動部2と、摺動部2上に結合し、絶縁操作棒E1を着脱可能な取付部3とを具備させる。摺動部2は、両端部が碍子連Gから離れる方向に傾斜すると共に、碍子連Gの側部に係合するように側部が傾斜して絶縁操作棒E1の押し出しに伴う側方への移動を拘束されつつ碍子連Gに沿って移動する一対の摺動板4と、摺動板4,4間を渡りこれらを連結する結合部材5とを具備させる。取付部3は、結合部材5に固定される架台6と、絶縁操作棒E1を把持する取付クランプ7と、架台6上に取付クランプ7を、高さ調整可能に、上下に傾動可能に、かつ水平に旋回可能に支持する支持部材8とを具備させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の碍子を連ねた並行する一対の碍子連を介して鉄塔に引き留められた送電線を接地するために、接地線が接続された接地クランプを先端に備える伸縮可能な絶縁操作棒の当該接地クランプを送電線又はその近傍の把持位置に向けて絶縁操作棒を碍子連に沿って誘導するものであって、
前記碍子間を渡りながら前記碍子連上を滑走する摺動部と、
前記摺動部上に結合し、前記絶縁操作棒を着脱可能な取付部とを具備し、
前記摺動部は、両端部が前記碍子連から離れる方向に傾斜すると共に、少なくとも一方が前記碍子連の側部に係合するように側部が傾斜して前記絶縁操作棒の押し出しに伴う側方への移動を拘束されつつ碍子連に沿って移動する一対の摺動板と、
前記摺動板間を渡りこれらを連結する結合部材とを具備し、
前記取付部は、前記結合部材に固定される架台と、
前記絶縁操作棒を把持する取付クランプと、
前記架台上に前記取付クランプを、高さ調整可能に、上下に傾動可能に、かつ水平に旋回可能に支持する支持部材とを具備することを特徴とする架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項2】
前記結合部材は、前記摺動板の少なくとも一方に対して摺動板の間隔方向に取付位置を変更可能に取り付けられ、摺動板の相互間隔を調整できることを特徴とする請求項1に記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項3】
前記支持部材は、上部に前記取付クランプを支持する枢支部を、その下方に前記架台に支持される枢支部を有し、
これら上下の枢支部の少なくとも一方に前記架台または前記取付クランプもろとも貫通する枢支ピンと、
この枢支ピンを抜き差し自在の上下方向に並ぶ複数のピン孔を備えた高さ調整板とを具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記取付クランプを上下に回転可能に支持する水平軸と、
前記取付クランプを水平に旋回可能に支持する垂直軸とを具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項5】
前記取付クランプは、前記絶縁操作棒を把持する対向する一対の取付クランプ片と、
前記一対の取付クランプ片を前記絶縁操作棒の把持位置に固定する第1のロック手段とを具備し、
前記第1のロック手段は、前記一方の取付クランプ片の先端部に、基端が回転自在に枢支され、他方の取付クランプ片に係合可能な第1の螺子と、
前記第1の螺子に螺合し、締め込みにより前記取付クランプ片の他方を一方に向かって押し付ける第2の螺子とを具備することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項6】
前記絶縁操作棒周りを取り囲むように、前記一対のクランプ片の対向部にそれぞれ着脱可能に固定されるカラーを具備することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項7】
前記絶縁操作棒上の前記取付クランプの前後両側を把持し、取付クランプと絶縁操作棒の相対移動を阻止する一対の位置決めクランプを具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【請求項8】
前記位置決めクランプは、前記絶縁操作棒を把持する対向する一対の位置決めクランプ片と、
前記一対の位置決めクランプ片を前記絶縁操作棒の把持位置に固定する第2のロック手段とを具備し、
前記第2のロック手段は、前記一方の位置決めクランプ片の先端部に、基端が回転自在に枢支される第1の螺子と、
前記第1の螺子に螺合して伸び、他方の位置決めクランプ片の先端部の係合凹部に係合可能で、締め込みにより前記位置決めクランプ片の他方を一方に向かって押し込む第2の螺子と、
前記第2の螺子の締め込みにより前記他方の位置決めクランプ片との間で圧縮され収縮長さ分位置決めクランプを締め付けて前記絶縁操作棒の把持力を付与するばねとを具備することを特徴とする請求項7に記載の架空送電線用接地工具のスライド補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線の工事にあたり、送電線上の静電誘導等による残留電圧の感電事故を防止するために、鉄塔側に接続する接地線が接続された接地クランプを先端に有する長尺の絶縁操作棒を操作して、鉄塔に送電線を引き留める碍子連上を移動させて送電線側に接地クランプを接続するための補助工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
架空送電線の張り替えや補修などの工事の際に停電にされた送電線を接地するための接地工具は、架空送電線が引き留められた鉄塔を介して接地している。この種の接地工具は、伸縮可能な絶縁操作棒の先端に送電線又はその周辺の金具等を把持する接地クランプを備え、接地クランプに接続された接地線を鉄塔に接続して用いる。架空送電線は多数の碍子を連ねた並行する一対の碍子連を介して鉄塔に引き留められているために、接地工具には先端の接地クランプを送電線などの把持位置を目指して、絶縁操作棒を碍子連に沿って誘導する補助工具が付設される。
従来の補助工具は、特許文献1から4に記載のように、碍子間を渡りながら碍子連に沿って滑走する摺動部材と、摺動部材上に絶縁操作棒を着脱可能な取付部材とを具備している。摺動部材は、先端部が碍子連側に膨らみをもって湾曲し、碍子連の側部に沿って傾斜して側方への移動を拘束する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-108007号公報
【特許文献2】実開平01-127313号公報
【特許文献3】実開平04-043321号公報
【特許文献4】実公平07-047929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の絶縁操作棒に装着する補助工具においては、接地クランプの接続先を送電線や近傍のアークホーンなどの金具にするため、接続高さが区々になることや、長尺の絶縁操作棒が撓み、また碍子連上を進行した距離に応じて絶縁操作棒と碍子連の上下方向の角度が変化するため、鉄塔上の限られた作業スペースから絶縁操作棒の先端の接地クランプの接続位置を上下に調整する操作が困難である。接地作業は通常、鉄塔アームの先端(碍子連の引き留め部)に立って行うが、 作業者が立つスペースを確保できない場合、鉄塔から側方へ延びるアーム上の鉄塔に近い位置から碍子連に向けて絶縁操作棒を斜めに伸ばすが、絶縁操作棒と摺動部材が取付部材で固定されるので、絶縁操作棒による接地クランプの接続先へのアプローチが困難になる。摺動部材を並行する一対の碍子連上に載置するため、鉄塔に応じて異なる碍子連の相互間隔に対して、横方向の移動を阻止する係合手段を現場で対応させることができない。絶縁操作棒は伸縮するよう入れ子式の構造になっており、各部位によって直径が異なるため、絶縁操作棒への取付け箇所が限定されてしまい、適正な装着位置を逸脱せざるを得ないことがあるし、装着位置を変えることができれば、接続先の高さや絶縁操作棒のしなりが変化したり、また作業者間の体格差で手元位置が異なっても、共通の絶縁操作棒を適用することに役立つ。補助工具は、鉄塔上へ運び上げる際に、昇塔する作業者が作業上簡便に担ぎ上げるが、摺動部材はがいし連の間隔に応じて予め寸法が固定されるため、がいし連の間隔に合わせて外形が大きくなると、補助工具を滑車とロープによって荷上げせざるを得ない。補助工具へ絶縁操作棒を固定するための締結具の適切な把持力での装着が容易でなく、過剰な締め付けにより絶縁操作棒を破損させたり不完全な固定により絶縁操作棒の移動操作を阻害するおそれがある。
そこで本発明は、接地工具の取付高さを調整すると共に接地工具を上下に傾動させ、また水平方向に旋回可能にして、装着した絶縁操作棒を碍子連上で円滑に移動させることにより、接続先へのアプローチを容易にし、接地作業を効率化するスライド補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の架空送電線用接地工具のスライド補助具においては、多数の碍子G1を連ねた並行する一対の碍子連Gを介して鉄塔に引き留められた送電線を接地するために、接地線が接続された接地クランプを先端に備える伸縮可能な絶縁操作棒E1の当該接地クランプを送電線又はこの近傍の把持位置に向かって絶縁操作棒E1を碍子連Gに沿って誘導させる。スライド補助具1は、碍子G1,G1間を渡りながら碍子連G上を滑走する摺動部2と、摺動部2上に結合し、絶縁操作棒E1を着脱可能な取付部3とを具備させる。摺動部2は、両端部が碍子連Gから離れる方向に傾斜すると共に、少なくとも一方が碍子連Gの側部に係合するように側部が傾斜して絶縁操作棒E1の押し出しに伴う側方への移動を拘束されつつ碍子連Gに沿って移動する一対の摺動板4と、摺動板4,4間を渡りこれらを連結する結合部材5とを具備させる。取付部3は、結合部材5に固定される架台6と、絶縁操作棒E1を把持する取付クランプ7と、架台6上に取付クランプ7を、高さ調整可能に、上下に傾動可能に、かつ水平に旋回可能に支持する支持部材8とを具備させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、接地工具の取付高さを調整できると共に接地工具が上下に傾動することができ、また水平方向に旋回可能なため、装着した接地工具に対して本装置を水平方向及び垂直方向に傾き可能な態様に変位させることができるので、接地工具を碍子連上で円滑に移動させることができ、接地クランプの接続位置へ向けた接地工具のアプローチ操作を容易にし、接地作業を効率化することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るスライド補助具の斜視図である。
図2図1のスライド補助具の正面図である。
図3図1のスライド補助具の側面図である。
図4】取付部の正面図である。
図5】取付クランプの斜視図である。
図6】取付クランプの正面図である。
図7】取付クランプの側面図である。
図8】位置決めクランプの斜視図である。
図9】位置決めクランプの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1において、スライド補助具1は、送電線を鉄塔に引き留める多数の碍子G1が連なる並行する一対の碍子連G上を滑走させて接地工具Eの接地クランプを鉄塔側から送電線側に誘導するものである。接地工具Eは、送電線又はアークホーンなどの周辺導体に電気的に接続する図示しない接地クランプを先端に備え、接地クランプから鉄塔Tに接続される図示しない接地線が引き出された絶縁操作棒E1を具備し、絶縁操作棒E1の手元の開閉操作により接地クランプを接続対象に把持させる。
【0009】
スライド補助具1は、図1ないし図3に示すように、碍子G1の傘部間を跨ぎながら碍子連Gに沿って滑走する摺動部2と、摺動部2のほぼ中間部上に結合し、絶縁操作棒E1を着脱可能な取付部3とを具備する。
【0010】
摺動部2は、平滑なFRP製の並行する一対の摺動板4,4と、これらの摺動板4,4間に渡り相互を結合する結合部材5とを具備する。摺動板4は、先端に向かって碍子連Gから離れるように傾斜する反り部4aと、碍子連Gの対向する側部に沿って傾斜することにより側方への移動を阻止する係合部4bとを具備する。結合部材5は、摺動板4の並び方向に延び前後に並行する一対の断面L字状の長尺板からなる。結合部材5は、摺動板4に締め込まれる蝶ボルト5aが挿通され摺動板4との固定位置を調整可能な長孔5bを備える。なお、摺動板4との固定位置を調整可能であれば、長孔5bに代えて蝶ボルト5aを挿通可能な複数の貫通孔でもよい。
【0011】
取付部3は、結合部材5,5間を渡りボルト止めされる架台6と、絶縁操作棒E1を把持する取付クランプ7と、架台6上に取付クランプ7を支持する支持部材8と、取付クランプ7の前後において絶縁操作棒E1を把持して絶縁操作棒E1の移動を拘束する位置決めクランプ9とを具備する。
【0012】
架台6は、結合部材5に両側縁をボルト止めされる支持板10と、支持板10の中間部に垂直に立ち上がるブラケット11とを具備する。
【0013】
取付クランプ7は、図6図7に示すように、断面略コ字状の軸受け板12と、軸受け板12の立ち上げ片の両端部間に水平軸により縦方向に回転自在に軸支され、絶縁操作棒E1の外周に沿う把持凹部を備え、先端部が開閉自在に対向する一対の取付クランプ片13,14と、取付クランプ片13,14を把持位置に保持する第1のロック部材15とを具備する。第1のロック部材15は、基部が一方の取付クランプ片13の先端部に水平方向の回転軸により縦方向に回転可能に支持され、取付クランプ片13,14の接近により他方の取付クランプ片14の先端に開口する係合凹部14aに挿入される第1の螺子であるねじ軸15aと、ねじ軸15aの先端部から螺合し、ねじ軸15aへの締め込みにより取付クランプ片13,14を圧接する第2の螺子であるねじ筒15bとを具備する。取付クランプ片13,14の内側には、絶縁操作棒E1にその径に応じた対向する一対の半円筒状の合成樹脂製の調整カラー16をボルト止めして固定され、絶縁操作棒E1の取付クランプ片13,14の把持による損傷を防止する。なお、ねじ軸15aとねじ筒15bとは、螺合関係により相互に入れ代えてもよい。
【0014】
支持部材8は、ブラケット11の縦方向の嵌合間隙11aに挿入され、ブラケット11もろとも枢支ピン18により水平に貫通される高さ調整板17と、高さ調整板17の上端部もろとも水平軸19により上下に回転自在に貫通されナットで抜け止めされて高さ調整板17を取付クランプ7に接続するクレビス20とを具備する。高さ調整板17は、横方向中央部に枢支ピン18を抜き差し自在に貫通させる縦方向に並ぶ高さ調整用の複数のピン孔17aを具備する。クレビス20は、軸受け板12を上下に貫通し水平に回転自在に抜け止めされる垂直軸21に連続する。
【0015】
位置決めクランプ9は、図8及び図9に示すように、絶縁操作棒E1上の取付クランプ7の前後両側に突出する調整カラー16に隣接して取り付けられ、取付クランプ7からの絶縁操作棒E1の相対移動を阻止する。位置決めクランプ9は、絶縁操作棒E1の外周に沿う把持凹部を備え、水平軸により縦方向に回転自在に互いに連結され、先端部が開閉自在に対向する一対の合成樹脂製の位置決めクランプ片22,23と、位置決めクランプ片22,23を把持位置に保持する第2のロック手段であるクランプレバー24とを具備する。位置決めクランプ片23は、先端に開口する係合凹部23aと、先端を薄肉にする切欠き部23bとを備える。クランプレバー24は、基部が一方の位置決めクランプ片22の先端部に縦方向に回転自在に支持される第1の螺子であるねじ筒24aと、一端側がねじ筒24aに螺合し、ねじ筒24aの回転により係合凹部23aに挿入され、他端に切欠き部23bに当接する摘まみ24dが固着された第2の螺子であるねじ軸24bと、ねじ軸24b周りにばねカバー24eと共に設けられたばね24cとを具備する。クランプレバー24は、ねじ軸24bの軸周りの回動によりねじ筒24aに沿って進退動し、位置決めクランプ片22,23の締め緩め操作を行うものである。ばね24cは、摘まみ24dとばねカバー24eの位置決めクランプ片23側の内端との間に係止され、ねじ軸24bと係合凹部23aの係合状態で摘まみ24dの締め込みにより収縮長さ分のばね力が位置決めクランプ片22,23の把持力となる。ねじ軸24bと係合凹部23aの初期の係合状態においてばね24cは非圧縮状態にあり、位置決めクランプ片23とばねカバー24eとの間にねじ軸24bを露出させる隙間が形成されるが、摘まみ24dの締め込み操作で、ばねカバー24eが位置決めクランプ片23に当接し、さらにばね24cが圧縮されると、位置決めクランプ片23を位置決めクランプ片22側へ押し込み、絶縁操作棒E1を把持する。なお、ねじ筒24aとねじ軸24bとは、螺合関係により相互に入れ代えてもよい。
【0016】
このスライド補助具1は、接地工具Eを用いて送電線を接地するにあたり、蝶ボルト5aを長孔5b内で適宜位置調整し、一対の摺動板4,4の係合部4b,4bの間隔を碍子連G,Gのそれに合致させて固定し、また接地クランプの接続位置に応じて、高さ調整板17のピン孔17aを適宜選択して枢支ピン18を貫通させ、絶縁操作棒E1の取り付け高さを調整する。
【0017】
次いで、絶縁操作棒E1上の取付位置を適宜選択して、絶縁操作棒E1を取付クランプ7の取付クランプ片13,14間に挟み、ロック部材15を倒してねじ軸15aを取付クランプ片14の係合凹部14aに挿入し、ねじ筒15bを締め込むと、取付クランプ片13,14が絶縁操作棒E1を調整カラー16を介して強固に把持する。
【0018】
次いで、絶縁操作棒E1上の調整カラー16の前後両側を位置決めクランプ9の位置決めクランプ片22,23間に挟み、クランプレバー24を倒してねじ筒24aを位置決めクランプ片23の係合凹部23aに押し込むと、位置決めクランプ片22,23が絶縁操作棒E1を強固に把持して絶縁操作棒E1の取付クランプ7との位置ずれを防止する。クランプレバー24は、位置決めクランプ片23の係合凹部23aにねじ筒24aを挿入してねじ軸24bを締め込めば、ばね力で位置決めクランプ片22,23を弾力的に把持して、絶縁操作棒E1の締め込み不足による滑りと過剰な締め込みによる破損を簡易に防止する。
【0019】
接地線を鉄塔側に接続してから、接地工具Eを取り付けたスライド補助具1を碍子連G上に載置し、絶縁操作棒E1を押し出せば、スライド補助具1が碍子連G上を円滑に移動して接地クランプを接続位置に誘導する。支持部材8は摺動部2に対して取付クランプ7を接続ボルト20により上下に回転自在に支持すると共に、回転軸21により旋回自在に支持するので、長尺の絶縁操作棒E1の撓み、碍子連G上の進行距離や作業者により区々の保持位置に関わらず、絶縁操作棒E1に対するスライド補助具1の相対的な傾きを広く許容する。
【符号の説明】
【0020】
1 スライド補助具
2 摺動部
3 取付部
4 摺動板
4a 反り部
4b 係合部
5 結合部材
5a 蝶ボルト
5b 長孔
6 架台
7 取付クランプ
8 支持部材
9 位置決めクランプ
10 支持板
11 ブラケット
11a 嵌合間隙
12 軸受け板
13 取付クランプ片
14 取付クランプ片
14a 係合凹部
15 ロック部材
15a ねじ軸
15b ねじ筒
16 調整カラー
17 高さ調整板
17a ピン孔
18 枢支ピン
19 水平軸
20 クレビス
21 垂直軸
22 位置決めクランプ片
23 位置決めクランプ片
23a 係合凹部
23b 切欠き部
24 クランプレバー
24a ねじ筒
24b ねじ軸
24c ばね
24d 摘まみ
24e ばねカバー
G 碍子連
G1 碍子
E 接地工具
E1 絶縁操作棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9