IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-液圧駆動装置 図1
  • 特開-液圧駆動装置 図2
  • 特開-液圧駆動装置 図3
  • 特開-液圧駆動装置 図4
  • 特開-液圧駆動装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135535
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】液圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/16 20060101AFI20230921BHJP
【FI】
F15B11/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040795
(22)【出願日】2022-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二
(72)【発明者】
【氏名】大平 眞裕
(72)【発明者】
【氏名】東出 善之
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA35
3H089AA73
3H089AA74
3H089BB19
3H089CC01
3H089CC08
3H089CC11
3H089DA02
3H089DA13
3H089DA14
3H089DB16
3H089DB46
3H089DB49
3H089DB54
3H089EE36
3H089FF07
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】走行モータに繋がる通路の開に関する制御の自由度を向上させることができる液圧駆動装置を提供する。
【解決手段】液圧駆動装置は、走行モータと荷役アクチュエータとに夫々作動液を供給する液圧駆動装置であって、作動液を吐出する液圧ポンプと、液圧ポンプに接続されるポンプ通路を第1通路と第2通路とに分岐させ、入力される開度信号に応じて第1通路及び第2通路の各々の開度を変える分流弁と、第1通路に接続され、走行モータへの作動液の流れを制御する走行系液圧回路と、第2通路に接続され、荷役アクチュエータへの作動液の流れを制御する荷役系液圧回路と、走行モータへの供給圧である走行側供給圧を検出する走行側圧力センサと、開度信号を分流弁に出力することによって、走行側圧力センサで検出される走行側供給圧に応じて第1通路の開度及び第2通路の開度を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行モータと荷役アクチュエータとに夫々作動液を供給する液圧駆動装置であって、
作動液を吐出する液圧ポンプと、
前記液圧ポンプに接続されるポンプ通路を第1通路と第2通路とに分岐させ、入力される開度信号に応じて前記第1通路及び前記第2通路の各々の開度を変える分流弁と、
前記第1通路に接続され、前記走行モータへの作動液の流れを制御する走行系液圧回路と、
前記第2通路に接続され、前記荷役アクチュエータへの作動液の流れを制御する荷役系液圧回路と、
前記走行モータへの供給圧である走行側供給圧を検出する走行側圧力センサと、
開度信号を前記分流弁に出力することによって、前記走行側圧力センサで検出される走行側供給圧に応じて前記第1通路の開度及び前記第2通路の開度を制御する制御装置と、を備える、液圧駆動装置。
【請求項2】
前記荷役アクチュエータへの供給圧である荷役側供給圧を検出する荷役側圧力センサを更に備え、
前記制御装置は、開度信号を前記分流弁に出力することによって、前記走行側圧力センサで検出される走行側供給圧と前記荷役側圧力センサで検出される荷役側供給圧とに応じて前記第1通路の開度及び前記第2通路の開度を制御する請求項1に記載の液圧駆動装置。
【請求項3】
前記分流弁は、分流スプールを含み、
前記分流スプールは、前記第1通路の開度を絞る第1位置と、前記第2通路の開度を絞る第2位置とに移動する、請求項1又は2に記載の液圧駆動装置。
【請求項4】
前記分流スプールは、前記第1通路及び前記第2通路を共に開く第3位置に移動する、請求項3に記載の液圧駆動装置。
【請求項5】
前記走行側圧力センサである第1走行側圧力センサと第2走行側圧力センサとを備え、
前記走行系液圧回路は、前記走行モータである第1走行モータと第2走行モータとに作動液を供給し、
前記第1走行側圧力センサは、前記第1走行モータへの供給圧である第1走行側供給圧を検出し、
前記第2走行側圧力センサは、前記第2走行モータへの供給圧である第2走行側供給圧を検出し、
前記制御装置は、前記第1走行側圧力センサで検出される第1走行側供給圧及び前記第2走行側圧力センサで検出される第2走行側供給圧に応じて前記第1通路の開度及び前記第2通路の開度を制御する、請求項1乃至4の何れか1つに記載の液圧駆動装置。
【請求項6】
前記走行系液圧回路は、前記第1走行モータへの作動液の流れを制御する第1走行用方向制御弁と、前記第2走行モータへの作動液の流れを制御する第2走行用方向制御弁とを含み、
前記第1走行側圧力センサは、前記第1走行用方向制御弁から前記第1走行モータに供給される作動液の液圧を検出し、
前記第2走行側圧力センサは、前記第2走行用方向制御弁から前記第2走行モータに供給される作動液の液圧を検出する、請求項5に記載の液圧駆動装置。
【請求項7】
供給圧選択回路を更に備え、
前記走行系液圧回路は、前記走行モータである第1走行モータと第2走行モータとに作動液を供給し、
前記供給圧選択回路は、前記第1走行モータへの供給圧である第1走行側供給圧及び前記第2走行モータへの供給圧である第2走行側供給圧のうち高い方を前記走行側圧力センサに出力し、
前記制御装置は、前記走行側圧力センサで検出される走行側供給圧に応じて前記第2通路の開度を制御する、請求項1乃至4の何れか1つに記載の液圧駆動装置。
【請求項8】
複数の荷役側圧力センサを更に備え、
前記荷役系液圧回路は、前記荷役アクチュエータを含む複数の荷役アクチュエータの各々に作動液を供給し、
前記複数の荷役側圧力センサの各々は、前記複数の荷役アクチュエータの各々への供給圧を検出し、
前記制御装置は、前記走行側圧力センサで検出される走行側供給圧、及び前記複数の荷役側圧力センサで検出される複数の荷役側供給圧に応じて前記第1通路の開度及び前記第2通路の開度を制御する、請求項1乃至7の何れか1つに記載の液圧駆動装置。
【請求項9】
前記荷役系液圧回路は、複数の荷役用方向制御弁を含み、
前記複数の荷役用方向制御弁は、前記複数の荷役アクチュエータの各々に供給される作動液の流れを制御し、
前記複数の荷役側圧力センサの各々は、対応する荷役用方向制御弁から前記荷役アクチュエータに夫々供給される作動液の供給圧を検出する、請求項8に記載の液圧駆動装置。
【請求項10】
前記制御装置は、複数の荷役側供給圧のうちの最大値並びに第1及び第2走行側供給圧のうちの最大値に基づいて前記分流弁を作動させる、請求項8又は9に記載の液圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行モータ及び荷役アクチュエータに作動液を供給する液圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の走行モータ及び荷役アクチュエータの液圧源を1つのポンプとする1ポンプシステムが実用に供されている。1ポンプシステムの液圧駆動装置として、例えば特許文献1のような油圧回路が知られている。特許文献1の油圧回路では、ポンプが第1ポンプライン及び第2ポンプラインを介して走行モータ及び荷役アクチュエータに夫々繋がっている。また、第2ポンプライン上には、優先弁が設けられている。優先弁には、走行モータの供給圧が作用している。それ故、優先弁は、走行モータの供給圧が大きくなると、圧油が走行モータに優先的に流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-026828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の油圧回路では、作用する供給圧に応じて優先弁が第2ポンプラインの開度を絞る。それ故、優先弁において、供給圧と第2ポンプラインの開度との関係が一対一で決まる。それ故、優先弁に関して第2ポンプラインの開度の制御に関して自由度が低い。
【0005】
そこで本発明は、荷役アクチュエータに繋がる通路の開度に関する制御の自由度を向上させることができる液圧駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液圧駆動装置は、走行モータと荷役アクチュエータとに夫々作動液を供給するものであって、作動液を吐出する液圧ポンプと、前記液圧ポンプに接続されるポンプ通路を第1通路と第2通路とに分岐させ、入力される開度信号に応じて前記第1通路及び前記第2通路の各々の開度を変える分流弁と、前記第1通路に接続され、前記走行モータへの作動液の流れを制御する走行系液圧回路と、前記第2通路に接続され、前記荷役アクチュエータへの作動液の流れを制御する荷役系液圧回路と、前記走行モータへの供給圧である走行側供給圧を検出する走行側圧力センサと、開度信号を前記分流弁に出力することによって、前記走行側圧力センサで検出される走行側供給圧に応じて前記第1通路の開度及び前記第2通路の開度を制御する制御装置と、を備えるものである。
【0007】
本発明に従えば、制御装置は、開度信号を分流弁に出力することによって、走行側供給圧に応じて第1通路の開度及び第2通路の開度を制御する。それ故、制御装置の制御ロジックを変更することによって、走行側供給圧に対して開かれる第1通路の開度及び第2通路の開度を容易に調整することができる。従って、荷役アクチュエータに繋がる第2通路の開度に関する制御の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷役アクチュエータに繋がる通路の開度に関する制御の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の液圧駆動装置の構成を示す回路図である。
図2】本発明の第2実施形態の液圧駆動装置の構成を示す回路図である。
図3】本発明の第3実施形態の液圧駆動装置の走行系液圧回路を示す回路図である。
図4】本発明の他の実施形態の液圧駆動装置の走行系液圧回路を示す回路図である。
図5】本発明の更に他の実施形態の液圧駆動装置の走行系液圧回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る第1乃至第3実施形態の液圧駆動装置1,1A,1Bについて前述する図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する液圧駆動装置1,1A,1Bは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0011】
[第1実施形態]
図1に示す液圧駆動装置1は、走行モータ2,3及び荷役アクチュエータ4~6を含む作業車両(図示せず)等に備わっている。作業車両は、例えば液圧ショベル及び液圧クレーン等の建設車両及びリフト等の産業車両である。本実施形態において、液圧駆動装置1は、作業車両の一例である液圧ショベルに備わっている。液圧ショベルは、液圧駆動装置1の他に車両本体と作業機械とを備えている。
【0012】
車両本体は、例えば装軌装置であって、例えば左右一対のクローラ(図示せず)と、左右一対の走行モータ2,3を含んでいる。車両本体は、左右一対のクローラを作動させることによって走行する。なお、車両本体は、装輪装置であってもよく、走行可能な装置であればよい。走行モータ2,3は、液圧モータであって左右のクローラを夫々駆動する。より詳細に説明すると、走行モータ2,3の各々は、2つの給排ポート2a,2b,3a,3bを有している。走行モータ2,3は、一方の給排ポート2a,3aに作動液が供給されると正転し、他方の給排ポート2b,3bに作動液が供給されると逆転する。
【0013】
作業機械は、ブーム、アーム、バケット(共に図示せず)、及び複数の荷役アクチュエータ4~6を含んでいる。作業機械は、車両本体に旋回可能に設けられている。本実施形態において荷役アクチュエータ4~6は、液圧シリンダ4~6である。液圧シリンダ4~6の各々は、ブーム、アーム、及びバケットに夫々設けられている。作業機械は、3つの液圧シリンダ4~6を伸縮させることによって、ブーム、アーム、及びバケットを夫々動かす。これにより、作業機械は、種々の作業を行うことができる。
【0014】
<液圧駆動装置>
液圧駆動装置1は、液圧ポンプ11と、分流弁12と、走行系液圧回路13と、荷役系液圧回路14と、走行側圧力センサ15,16と、制御装置17とを備えている。更に詳細に説明すると、液圧駆動装置1は、荷役側圧力センサ18~20と、走行系操作装置21と、荷役系操作装置22と、を更に備えている。液圧駆動装置1は、いわゆる1ポンプシステムであって、1つの液圧ポンプ11から走行モータ2,3及び3つの液圧シリンダ4~6に作動液を供給する。液圧駆動装置1は、第1走行モータ2及び第2走行モータ3に作動液を夫々供給することによって走行モータ2,3に夫々対応するクローラを作動させる。これにより、液圧駆動装置1は、液圧ショベルを走行させることができる。液圧駆動装置1は、液圧シリンダ4~6に作動液を供給することによって、対応するブーム、アーム、及びバケットを作動させる。これにより、液圧駆動装置1は、液圧ショベルに種々の作業を行わせることができる。
【0015】
<液圧ポンプ>
液圧ポンプ11は、作動液を吐出する。より詳細に説明すると、液圧ポンプ11は、図示しない駆動源(例えばエンジン及び電動機)に接続されている。液圧ポンプ11は、ポンプ通路25に接続されている。液圧ポンプ11は、駆動源によって回転駆動されることによって、ポンプ通路25に作動液を吐出する。
【0016】
<分流弁>
分流弁12は、電気制御式の弁である。分流弁12は、例えば電気制御式のスプール弁であって、分流スプール12aを含んでいる。分流弁12は、ポンプ通路25を第1通路26と第2通路27とに分岐させる。即ち、分流弁12は、液圧ポンプ11から吐出される作動液を分流させる。分流弁12は、入力される開度信号に応じて第1通路26及び第2通路27の各々の開度を変える。これにより、分流弁12は、入力される開度信号に応じて第1通路26及び第2通路27に夫々流れる作動液の流量を変える。本実施形態では、液圧駆動装置1において1つの液圧ポンプ11に対して1つの分流弁12が備わっている。液圧駆動装置1では、1つの分流弁12によって第1通路26及び第2通路27の各々に流れる作動液の流量を変えることができる。
【0017】
分流スプール12aは、入力される開度信号に応じて第1位置A1と、第2位置A2に移動することができる。分流弁12は、電磁比例弁12b及びばね12cを含んでいる。電磁比例弁12bは、開度信号に応じたパイロット圧を分流スプール12aに出力する。ばね12cは、電磁比例弁12bのパイロット圧に抗するように分流スプール12aに作用している。それ故、分流スプール12aは、電磁比例弁12bから出力されるパイロット圧に応じて第1位置A1及び第2位置A2に移動する。
【0018】
分流スプール12aは、第1位置A1において第1通路26の開度を絞り、第2位置A2において第2通路27の開度を絞る。より詳細に説明すると、分流スプール12aは、第1位置A1において第1通路26の開度を絞ると共に第2通路27を開く。他方、分流スプール12aは、第2位置A2において第2通路27の開度を絞ると共に第1通路26を開く。分流スプール12aは、パイロット圧が出力されていない状態でばね12cによって第1位置A1に保持される。分流スプール12aは、パイロット圧が出力されると第2位置A2に移動する。
【0019】
分流スプール12aは、開度信号に応じたストローク量で移動する。分流スプール12aは、第1位置A1及び第2位置A2においてストローク量に応じて各通路26,27の開度を変える。より詳細に説明すると、分流スプール12aは、第1位置A1において第2位置A2の方に移動するに従って第1通路26の開度を開いていき、第2位置A2において第1位置A1の方に移動するに従って第2通路27の開度を開いていく。
【0020】
<走行系液圧回路>
走行系液圧回路13は、第1走行用方向制御弁31と第2走行用方向制御弁32を含んでいる。走行系液圧回路13は、第1通路26並びに第1走行モータ2及び第2走行モータ3に接続されている。走行系液圧回路13は、第1走行モータ2及び第2走行モータ3の各々に作動液を供給する。走行系液圧回路13は、第1走行モータ2及び第2走行モータ3の各々への作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、走行系液圧回路13は、入力される第1走行指令及び第2走行指令に応じた流れ(本実施形態において流れ方向及び流量)の作動液を第1走行モータ2及び第2走行モータ3に供給する。
【0021】
第1走行用方向制御弁31は、第1走行用スプール31aを有している。第1走行用方向制御弁31は、第1走行モータ2への作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、第1走行用方向制御弁31は、第1通路26と、タンク28と、第1走行モータ2の2つの給排ポート2a,2bと接続されている。第1走行用スプール31aは、入力される第1走行指令に応じて動く。これにより、給排ポート2a,2bの各々の接続先が第1通路26及びタンク28に夫々切り替わる。第1走行用スプール31aは、位置に応じて開度を変える。それ故、第1走行用方向制御弁31から第1走行モータ2には、第1走行指令に応じた方向及び流量の作動液が供給される。これにより、第1走行用方向制御弁31は、第1走行指令に応じて第1走行モータ2を正転及び逆転させ、且つ第1走行指令に応じた速度で第1走行モータ2を回転させる。本実施形態において、第1走行用方向制御弁31は、電気制御式の方向制御弁である。
【0022】
第2走行用方向制御弁32は、第2走行用スプール32aを有している。第2走行用方向制御弁32は、第2走行モータ3への作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、第2走行用方向制御弁32は、第1走行用方向制御弁31に並列するように第1通路26に接続されている。更に、第2走行用方向制御弁32は、タンク28と、第2走行モータ3の2つの給排ポート3a,3bと接続されている。第2走行用スプール32aは、入力される第2走行指令に応じて動く。これにより、給排ポート3a,3bの各々の接続先が第1通路26及びタンク28に夫々切り替わる。第2走行用スプール32aは、位置に応じて開度を変える。それ故、第2走行用方向制御弁32から第2走行モータ3には、第2走行指令に応じた方向及び流量の作動液が供給される。これにより、第2走行用方向制御弁32は、第2走行指令に応じて第2走行モータ3を正転及び逆転させ、且つ第2走行指令に応じた速度で第2走行モータ3を回転させる。本実施形態において、第2走行用方向制御弁32は、電気制御式の方向制御弁である。
【0023】
<荷役系液圧回路>
荷役系液圧回路14は、複数の荷役用方向制御弁41~43を含んでいる。本実施形態において、荷役系液圧回路14は、3つの荷役用方向制御弁41~43を含む。3つの荷役用方向制御弁41~43は、ブーム用方向制御弁41、アーム用方向制御弁42、及びバケット用方向制御弁43である。荷役系液圧回路14は、第2通路27並びに3つの液圧シリンダ4~6に接続されている。荷役系液圧回路14は、3つの液圧シリンダ4~6の各々に作動液を供給する。荷役系液圧回路14は、液圧シリンダ4~6の各々への作動液の流れを制御する。より詳細に説明すると、荷役系液圧回路14は、入力される荷役指令に応じた流れ(本実施形態において流れ方向及び流量)の作動液を3つの液圧シリンダ4~6に供給する。
【0024】
3つの荷役用方向制御弁41~43は、荷役用スプール41a~43aを夫々有している。3つの荷役用方向制御弁41~43は、対応する液圧シリンダ4~6への作動液の流れを制御する。即ち、ブーム用方向制御弁41は、ブームシリンダ4への作動液の流れを制御する。アーム用方向制御弁42は、アームシリンダ5への作動液の流れを制御する。バケット用方向制御弁43は、バケットシリンダ6への作動液の流れを制御する。3つの荷役用方向制御弁41~43は、互いに並列するように第2通路27に接続されている。更に、3つの荷役用方向制御弁41~43は、タンク28と、各液圧シリンダ4~6のロッド側ポート4a,5a,6a及びヘッド側ポート4b,5b,6bとに夫々接続されている。荷役用スプール41a~43aは、ブーム指令、アーム指令、及びバケット指令の各々に応じて動く。これにより、ロッド側ポート4a~6a及びヘッド側ポート4b~6bの各々の接続先が第2通路27及びタンク28に夫々切り替わる。荷役用スプール41a~43aは、位置に応じて開度を変える。それ故、荷役用方向制御弁41~43の各々から液圧シリンダ4~6の各々には、各指令に応じた方向及び流量の作動液が供給される。これにより、荷役用方向制御弁41~43は、対応する液圧シリンダ4~6を各指令に応じた速度で伸縮させることができる。なお、荷役用方向制御弁41~43もまた、本実施形態において電気制御式の方向制御弁である。
【0025】
<第1走行側圧力センサ>
第1走行側圧力センサ15は、第1走行モータ2への供給圧である第1走行側供給圧を検出する。より詳細に説明すると、第1走行側圧力センサ15は、第1走行用方向制御弁31から第1走行モータ2に供給される作動液の液圧を検出する。本実施形態では、第1走行側圧力センサ15は、第1走行モータ2の給排ポート2a,2bに夫々設けられている。第1走行側圧力センサ15は、第1走行モータ2の給排ポート2a,2bで検出される液圧を出力する。
【0026】
<第2走行側圧力センサ>
第2走行側圧力センサ16は、第1走行側圧力センサ15とは別のセンサであって、第2走行モータ3への供給圧である第2走行側供給圧を検出する。より詳細に説明すると、第2走行側圧力センサ16は、第2走行用方向制御弁32から第2走行モータ3に供給される作動液の液圧を検出する。本実施形態では、第2走行側圧力センサ16は、第2走行モータ3の給排ポート3a,3bに夫々接続されている。第2走行側圧力センサ16は、第2走行モータ3の給排ポート3a,3bで検出される液圧を出力する。
【0027】
<荷役側圧力センサ>
荷役側圧力センサ18~20は、液圧シリンダ4~6への供給圧である荷役側供給圧を検出する。より詳細に説明すると、荷役側圧力センサ18~20の各々は、ブームシリンダ4、アームシリンダ5、及びバケットシリンダ6の各々に供給される供給圧を検出する。本実施形態では、荷役側圧力センサ18~20は、液圧シリンダ4~6のロッド側ポート4a~6a及びヘッド側ポート4b~6bに夫々接続されている。荷役側圧力センサ18~20は、液圧シリンダ4~6のロッド側ポート4a~6a及びヘッド側ポート4b~6bで検出される液圧を出力する。
【0028】
<走行系操作装置>
走行系操作装置21は、運転者が走行モータ2,3を操作するための装置である。走行系操作装置21は、例えば操作具である走行用操作レバー21aを含んでいる。走行用操作レバー21aは、傾倒することができる。本実施形態において、走行用操作レバー21aは、例えば全方向に傾倒することができる。走行系操作装置21は、傾倒方向及び傾倒量に応じた走行操作指令を出力する。なお、走行系操作装置21が備える操作具は、操作ペダルであってもよく、その形態は問わない。
【0029】
<荷役系操作装置>
荷役系操作装置22は、運転者がアタッチメント(本実施形態において、バケット)を操作するための装置である。より詳細に説明すると、荷役系操作装置22の操作具は、荷役用操作レバー22aを含んでいる。荷役用操作レバー22aは、傾倒することができる。本実施形態において、荷役用操作レバー22aは、例えば前後方向に傾倒することができる。荷役系操作装置22は、傾倒方向及び傾倒量に応じた荷役操作指令を出力する。なお、荷役系操作装置22が備える操作具は、荷役用操作レバー22aに限定されず、操作パネル等のようなその他の形態であってもよい。
【0030】
<制御装置>
制御装置17は、走行系液圧回路13の動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置17は、走行系操作装置21から出力される走行操作指令を取得する。そうすると、制御装置17は、走行操作指令に応じて第1走行用方向制御弁31及び第2走行用方向制御弁32の動き(即ち、各スプール31a,32aの位置)を制御する。本実施形態では、制御装置17が走行操作指令に応じて第1走行指令及び第2走行指令を出力する。そうすると、第1走行モータ2及び第2走行モータ3が走行操作指令に応じた方向及び回転速度で回転するので、走行操作指令に応じた方向及び速度で液圧ショベルが移動する。
【0031】
制御装置17は、荷役系液圧回路14の動作を制御する。より詳細に説明すると、制御装置17は、荷役系操作装置22から出力される荷役操作指令を取得する。そうすると、制御装置17は、荷役操作指令に応じて荷役用方向制御弁41~43の動き(即ち、各スプール41a~43aの位置)を制御する。本実施形態において、制御装置17は、荷役操作指令に応じてブーム指令、アーム指令及びバケット指令を出力する。そうすると、液圧シリンダ4~6が荷役操作指令に応じた速度で伸縮する。これにより、荷役操作指令に応じた方向及び速度でバケットを動かすことができるので、液圧ショベルに所望の作業を行わせることができる。
【0032】
制御装置17は、開度信号を分流弁12に出力する。これにより、制御装置17は、走行側圧力センサ15,16で検出される走行側供給圧と荷役側圧力センサ18~20で検出される荷役側供給圧とに応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。より詳細に説明すると、制御装置17は、走行側供給圧及び荷役側供給圧を取得する。本実施形態において、制御装置17は、走行側圧力センサ15,16で検出される液圧から第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧を夫々取捨選択する。制御装置17は、例えば、給排ポート2a,2b,3a,3bのうち供給側となるポートを走行操作指令に基づいて推定する。制御装置17は、供給側となるポートの液圧を第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧として夫々取得する。制御装置17は、同様の方法で、荷役側圧力センサ18~20で夫々検出される液圧から各液圧シリンダ4~6の荷役側供給圧を夫々取捨選択する。更に、制御装置17は、取得した第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び各液圧シリンダ4~6の荷役側供給圧に応じて開度信号を出力する。これにより、第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び各液圧シリンダ4~6の荷役側供給圧に応じた位置に分流スプール12aが動く。それ故、第1通路26の開度及び第2通路27の開度が第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び荷役側供給圧に応じて制御される。
【0033】
例えば、制御装置17は、2つの走行側供給圧の最大値が所定の走行側閾値以上を充足する場合、第2通路27の開度を絞る。制御装置17は、2つの走行側供給圧の最大値が走行側閾値未満であって3つの荷役側供給圧の最大値が荷役側閾値以上である場合、第1通路26の開度を絞る。制御装置17は、3つの荷役側供給圧の最大値が荷役側閾値未満である場合、第2通路27の開度を絞る。なお、走行側閾値及び荷役側閾値は、制御装置17に予め設定されている。また、走行側閾値及び荷役側閾値は、例えば調整可能に設定されている。
【0034】
更に、制御装置17は、予め設定されたプログラム等に基づいて第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び3つの荷役側供給圧に応じて分流スプール12aの位置を変える。これにより、各通路26,27の開度が第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び3つの荷役側供給圧に応じた開度に制御される。制御装置17は、第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び各液圧シリンダ4~6の荷役側供給圧に対して開かれる各通路26,27の開度を変更することができる。より詳細に説明すると、制御装置17は、第1走行側供給圧、第2走行側供給圧、及び各液圧シリンダ4~6の荷役側供給圧に応じて出力される各指令の指令値を調整する。これにより、例えば、第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧に応じて開かれた各通路26,27の開度を荷役側供給圧に応じて調整することができる。
【0035】
<液圧駆動装置の動作について>
液圧駆動装置1では、走行系操作装置21の走行用操作レバー21aが単独操作されると、走行操作指令が走行系操作装置21から出力される。そうすると、制御装置17は、走行用方向制御弁31,32を作動させ、走行モータ2,3に対する作動液の流れを走行操作指令に応じた流れ(本実施形態において流れ方向及び流量)に制御する。これにより、制御装置17は、走行用操作レバー21aの操作に応じた走行動作を液圧ショベルにさせることができる。なお、走行モータ2,3に作動液が供給されることによって、第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧の最大値が走行側閾値以上になると、分流弁12の分流スプール12aが第2位置A2に移動する。これにより、第1通路26が開き且つ第2通路27の開度が絞られる。
【0036】
次に、液圧駆動装置1では、荷役系操作装置22の荷役用操作レバー22aが単独操作されると、荷役操作指令が荷役系操作装置22から出力される。そうすると、制御装置17は、荷役用方向制御弁41~43を作動させることによって、液圧シリンダ4~6に対する作動液の流れを荷役操作指令に応じた流れ(本実施形態において流れ方向及び流量)に制御する。これにより、制御装置17は、荷役用操作レバー22aの操作に応じた動作をバケットにさせることができる。なお、第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧の最大値が走行側閾値未満になり且つ3つの荷役側供給圧の最大値が所定の荷役側閾値以上に場合、分流弁12の分流スプール12aが第1位置A1に保持される。これにより、第2通路27が開き且つ第1通路26の開度が絞られる。
【0037】
更に、液圧駆動装置1は、走行用操作レバー21aと荷役用操作レバー22aとが同時操作された際、以下のように動作する。即ち、制御装置17は、取得する走行側供給圧及び荷役側供給圧に基づいて分流弁12を作動させる。例えば、2つの走行側供給圧の最大値が走行側閾値以上である場合、制御装置17は、分流弁12の分流スプール12aを第2位置A2に移動させる。これにより、第1通路26が開かれ且つ第2通路27の開度が絞られる。それ故、走行モータ2,3に対する作動液の供給不足が抑制される。第2通路27の開度は走行側供給圧及び荷役側供給圧に応じた開度で制御される。それ故、荷役側液圧回路14にも適量の作動液を流すことができる。他方、2つの走行側供給圧の最大値が走行側閾値未満で且つ荷役側供給圧の最大値が荷役側閾値以上である場合、制御装置17は、分流弁12の分流スプール12aを第1位置A1に保持させる。これにより、第2通路27が開かれ且つ第1通路26の開度が絞られるので、液圧シリンダ4~6に対する作動液の供給不足が抑制される。
【0038】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置17が開度信号を分流弁12に出力することによって走行側供給圧に応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。それ故、制御装置17の制御ロジックを変更することによって、走行側供給圧に対して開かれる第1通路26の開度及び第2通路27の開度を容易に調整することができる。例えば、制御装置17は、走行側閾値及び荷役側閾値を調整したり、走行側供給圧に対して開くべき開度を調整したりすることが容易である。従って、第1通路26の開度に関する制御の自由度を向上させることができる。
【0039】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置17が走行側供給圧と荷役側供給圧とに応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。それ故、制御装置17は、走行側供給圧に対して絞られる第1通路26の開度及び第2通路27の開度を荷役側供給圧に応じて調整することができる。これにより、荷役アクチュエータ4~6の状況に応じて走行系液圧回路13に流れる作動液の流量を調整することができる。
【0040】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、分流スプール12aを動かすことによって第1通路26の開度及び第2通路27の開度を絞ることができる。それ故、第1通路26及び第2通路27の開度制御を容易に行うことができる。
【0041】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置17が第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧に応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。それ故、走行系液圧回路13が2つの走行モータ2,3に作動液を供給する場合であっても、走行モータ2,3に繋がる第1通路26の開度に関する制御の自由度を向上させることができる。
【0042】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、第1走行側圧力センサ15が第1走行用方向制御弁31から第1走行モータ2に供給される作動液の液圧を検出する。第2走行側圧力センサ16は、第2走行用方向制御弁32から第2走行モータ3に供給される作動液の液圧を検出する。それ故、各走行モータ2,3に供給される作動液の供給圧を容易に取得することができる。
【0043】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置17が走行側供給圧、及び複数の荷役側供給圧に応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。それ故、制御装置17は、走行側供給圧、及び3つの荷役側供給圧に応じて第1通路26の開度及び第2通路27の開度を制御する。それ故、制御装置17は、走行側供給圧に対して絞られる第1通路26の開度及び第2通路27の開度を複数の荷役側供給圧に応じて調整することができる。これにより、荷役アクチュエータ4~6の各々の状況に応じて走行系液圧回路13に流れる作動液の流量を調整することができる。
【0044】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、複数の荷役側圧力センサ18~20の各々が対応する荷役用方向制御弁41~43から液圧シリンダ4~6に夫々供給される作動液の供給圧を検出する。それ故、各液圧シリンダ4~6に供給される作動液の供給圧を容易に取得することができる。
【0045】
第1実施形態の液圧駆動装置1では、制御装置17が複数の荷役側供給圧の最大値及び第1及び第2走行側供給圧の最大値に基づいて分流弁12を作動させる。それ故、制御装置17は、走行モータ2,3及び液圧シリンダ4~6において最も高い供給圧に応じて第1通路26及び第2通路27の開度を調整することができる。それ故、制御装置17は、走行側供給圧に対して絞られる第1通路26の開度及び第2通路27の開度を、3つの荷役側供給圧のうちの最大圧に応じて調整することができる。これにより、荷役アクチュエータ4~6に作用する負荷のうち最も大きい負荷に応じて走行系液圧回路13に流れる作動液の流量を調整することができる。
【0046】
[第2実施形態]
第2実施形態の液圧駆動装置1Aは、第1実施形態の液圧駆動装置1と構成が類似している。従って、第2実施形態の液圧駆動装置1Aの構成については、主に第1実施形態の液圧駆動装置1と異なる点が説明され、同一の構成については同一の符号を付して説明が省略される。後述する第3実施形態の液圧駆動装置1Bについても同様である。
【0047】
図2に示すように第2実施形態の液圧駆動装置1Aは、液圧ポンプ11と、分流弁12Aと、走行系液圧回路13と、荷役系液圧回路14と、走行側圧力センサ15,16と、制御装置17とを備えている。更に詳細に説明すると、液圧駆動装置1Aは、荷役側圧力センサ18~20と、走行系操作装置21と、荷役系操作装置22とを更に備えている。分流弁12Aは、分流スプール12Aaを含んでいる。分流スプール12Aaは、入力される開度信号に応じて第1位置A1及び第2位置A2の他に第3位置A3に移動する。分流スプール12Aaは、第3位置A3において第1通路26及び前記第2通路27を共に開く。より詳細に説明すると、分流スプール12Aaは、第1位置A1から第3位置A3を経て第2位置A2に移動し、また第2位置A2から第3位置A3を経て第1位置A1に戻る。
【0048】
また、第1通路26の開度は、第2位置A2と第3位置A3との間において最大開度となっている。第3位置A3から第1位置A1に移動している間は、分流スプール12Aaのストローク量に応じて第1通路26の開度が絞られていく。他方、第2通路27の開度は、第1位置A1と第3位置A3との間において最大開度となっている。第3位置A3から第2位置A2に移動している間は、分流スプール12Aaのストローク量に応じて第2通路27の開度が絞られていく。即ち、分流スプール12Aaは、第3位置A3において第1通路26及び前記第2通路27を最大開度にしている。
【0049】
第2実施形態の液圧駆動装置1Aでは、分流スプール12Aaを第3位置A3に移動させることによって、第1通路26及び第2通路27の各々の開度が開かれる。それ故、分流弁12における圧損を低減することができる。
【0050】
その他、第2実施形態の液圧駆動装置1Aは、第1実施形態の液圧駆動装置1の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0051】
[第3実施形態]
第3実施形態の液圧駆動装置1Bは、液圧ポンプ11と、分流弁12と、走行系液圧回路13Bと、荷役系液圧回路14と、供給圧選択回路30と、走行側圧力センサ15Bと、制御装置17Bとを備えている。より詳細に説明すると、液圧駆動装置1Bは、荷役側圧力センサ18~20と、走行系操作装置21と、荷役系操作装置22とを更に備えている。走行系液圧回路13Bは、第1走行用方向制御弁31Bと、第2走行用方向制御弁32Bと、を含んでいる。
【0052】
第1走行用方向制御弁31Bは、第1中通路34に繋がっている。第1中通路34は、第1走行用方向制御弁31Bを介して第1通路26に繋がっている。第1走行用方向制御弁31Bは、第1走行用スプール31aの位置に応じて第1中通路34と第1通路26との間の開度を制御する。従って、第1中通路34には、第1走行側供給圧が出力される。また、第1中通路34は、第1通路26と共に第1走行モータ2の2つの給排ポート2a,2bのうちの一方に接続される。より詳細に説明すると、第1中通路34は、第1走行用スプール31aの位置に応じて給排ポート2a,2bのうちの一方に接続される。なお、給排ポート2a,2bのうちの他方は、タンク28に接続される。
【0053】
第2走行用方向制御弁32Bは、第2中通路35に繋がっている。第2中通路35は、第2走行用方向制御弁32Bを介して第1通路26に繋がっている。第2走行用方向制御弁32Bは、第2走行用スプール32aの位置に応じて第2中通路35と第1通路26との間の開度を制御する。従って、第2中通路35には、第2走行側供給圧が出力される。また、第2中通路35は、第1通路26と共に第2走行モータ3の2つの給排ポート3a,3bのうちの一方に接続される。より詳細に説明すると、第2中通路35は、第2走行用スプール32aの位置に応じて給排ポート3a,3bのうちの一方に接続される。なお、給排ポート3a,3bのうちの他方は、タンク28に接続される。
【0054】
供給圧選択回路30は、2つのチェック弁30a,30bを有している。供給圧選択回路30は、第1中通路34及び第2中通路35に繋がっている。供給圧選択回路30は、中通路34,35から第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧を取得する。供給圧選択回路30は、第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧のうち高い方を選択して出力する。
【0055】
一方のチェック弁30aは、第1中通路34に繋がっており、他方のチェック弁30bは、第2中通路35に繋がっている。2つのチェック弁30a,30bは、下流側において互いに接続されてている。2つのチェック弁30a,30bの各々は、中通路34,35から合流点への一方向の作動液の流れを許容し、逆方向の流れを阻止する。それ故、供給圧選択回路30は、2つのチェック弁30a,30bにおいて第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧のうち高い方を選択して出力する。
【0056】
第1走行側圧力センサ15Bは、供給圧選択回路30に接続されている。第1走行側圧力センサ15Bには、供給圧選択回路30から第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧のうち高い方の供給圧が出力される。それ故、第1走行側圧力センサ15Bは、供給圧選択回路30から出力される供給圧に基づいて第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧のうち高い方の供給圧を検出する。
【0057】
制御装置17Bは、制御装置17と同様に走行系液圧回路13B及び荷役系回路14の動作を制御する。制御装置17Bは、走行側圧力センサ15Bで検出される走行側供給圧と、荷役側圧力センサ18~20で検出される荷役側供給圧とに応じて開度信号を分流弁12に出力する。それ故、走行側圧力センサ15Bで検出される走行側供給圧と、荷役側圧力センサ18~20で検出される荷役側供給圧とに応じた位置に分流スプール12aが動く。
【0058】
第3実施形態の液圧駆動装置1Bは、第1実施形態の液圧駆動装置1と同様の動作をする。
【0059】
第3実施形態の液圧駆動装置1Bでは、供給圧選択回路30が第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧のうち高い方を選択して走行側圧力センサ15Aに出力する。それ故、走行側圧力センサ15Aの数を低減することができる。
【0060】
その他、第3実施形態の液圧駆動装置1Bは、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
[その他の実施形態]
第1乃至第3実施形態の液圧駆動装置1,1A,1Bでは、走行系液圧回路13が供給する走行モータ2,3は2つであるが1つであってもよく、数は問わない。また、荷役系液圧回路14が供給する荷役アクチュエータの数も同様に問わない。更に、荷役系液圧回路14が供給する荷役アクチュエータは、液圧シリンダに限定されず、液圧モータであってもよい。
【0062】
また、第1乃至第3実施形態の液圧駆動装置1,1A,1Bにおける走行系液圧回路13,13B及び荷役系液圧回路14は、前述するような構造に限定されない。走行系液圧回路13,13B及び荷役系液圧回路14は、走行モータ2,3及び液圧シリンダ4~6に作動液を供給できるような回路であればよい。更に、液圧駆動装置1,1A,1Bでは、制御装置17,17Bが予め記憶されるプログラムに応じて走行モータ2,3及び荷役アクチュエータ4~6を操作してもよい。制御装置17,17Bは、走行側圧力センサ15,16,15B及び荷役側圧力センサ18~20から液圧を直接取得しているが、図示しない装置を介する等して間接的に取得してもよい。
【0063】
液圧駆動装置1C,1Dは、以下のように構成されてもよい。即ち、図4に示すように液圧駆動装置1Cでは、中通路34,35の各々に走行側圧力センサ15,16が接続されてもよい。
【0064】
図5に示すように液圧駆動装置1Dでは、走行系液圧回路12Dにおいて、中通路34,35に代えて供給圧検出ポート31b,32bが第1走行用方向制御弁31D及び第2方向制御弁32Dの各々に形成されてもよい。この場合、供給圧選択回路30は、供給圧検出ポート31b,32bの各々に接続され、供給圧検出ポート31b,32bの各々から第1走行側供給圧及び第2走行側供給圧を取得する。なお、液圧駆動装置1Dにおいて、供給圧検出ポート31b,32bの各々に走行側圧力センサ15,16が接続されてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1,1A~1D 液圧駆動装置
2 第1走行モータ
3 第2走行モータ
4 液圧シリンダ(荷役アクチュエータ)
5 液圧シリンダ(荷役アクチュエータ)
6 液圧シリンダ(荷役アクチュエータ)
11 液圧ポンプ
12,12A 分流弁
12a,12Aa 分流スプール
13 走行系液圧回路
14 荷役系液圧回路
15,15B 第1走行側圧力センサ
16 第2走行側圧力センサ
17 制御装置
18 荷役側圧力センサ
19 荷役側圧力センサ
20 荷役側圧力センサ
25 ポンプ通路
26 第1通路
27 第2通路
30 供給圧選択回路
31,31B,31C 第1走行用方向制御弁
32,32B,32C 第2走行用方向制御弁
41 荷役用方向制御弁
42 荷役用方向制御弁
43 荷役用方向制御弁
A1 第1位置
A2 第2位置
A3 第3位置
図1
図2
図3
図4
図5