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特開2023-135595光電変換材料、フォトダイオード及びイメージセンサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135595
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】光電変換材料、フォトダイオード及びイメージセンサー
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20230921BHJP
   H10K 39/30 20230101ALI20230921BHJP
   H10K 39/32 20230101ALI20230921BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20230921BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20230921BHJP
   C07D 209/44 20060101ALI20230921BHJP
   C07D 209/62 20060101ALI20230921BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230921BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K39/30
H10K39/32
H01L27/146 C
C07D403/14
C07D209/44
C07D209/62
C07D409/14
C07D405/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191042
(22)【出願日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】P 2022039917
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】倉内 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】岩田 貫
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀一
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】室星 太郎
【テーマコード(参考)】
4C063
4M118
5F849
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB01
4C063CC29
4C063CC75
4C063CC92
4C063DD07
4C063EE10
4M118AA01
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA05
4M118CB14
4M118CB20
4M118FB03
4M118FB09
4M118HA26
5F849AA01
5F849AB11
5F849BA01
5F849BA21
5F849BB03
5F849CB05
5F849DA30
5F849EA02
5F849FA04
5F849FA05
5F849GA02
5F849LA02
5F849XA02
5F849XA46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可視領域の光に対して高い感度を有するフォトダイオードを提供すること。
【解決手段】活性メチレン基を有する化合物としてバルビツル酸15.6mmol(2.0g)と、イソインドリン構造を有する化合物として1,3-ジイミノイソインドリン5.2mmol(0.76g)をテトラヒドロフラン50gへ加えて、120分間80℃に加熱し、冷却後、減圧乾燥によりテトラヒドロフランを除去し、生じた固形物をろ過し、テトラヒドロフランで洗浄して形成した光電変換材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構造を有する光電変換材料。
【化1】
(X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、シアノ基または一般式(2)、(3)もしくは(4)で表される基であるか、X1とX2またはX3とX4が互いに結合して一般式(5)または(6)で表される基である。Yは、置換基を有してもよい芳香環である。)
【化2】
(R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。Q1およびQ2は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Z1およびZ2は、カルボニル基、チオカルボニル基、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基を表す。)
【請求項2】
1およびX2の組み合わせと、X3およびX4の組み合わせとが同一ではないことを特徴とする、請求項1記載の光電変換材料。
【請求項3】
1またはX2の少なくとも一方がシアノ基であり、X3またはX4の少なくとも一方がシアノ基であることを特徴とする請求項1記載の光電変換材料。
【請求項4】
一対の電極間に光電変換層を有し、請求項1~3いずれか記載の光電変換材料が光電変換層に含有されたフォトダイオード。
【請求項5】
請求項4記載のフォトダイオードを具備してなるイメージセンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換材料並びにそれを用いたフォトダイオード及びイメージセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
光エネルギーを電気エネルギーに変える光電変換素子は、太陽電池、光センサー、複写機などに利用されて、特に撮像素子に好適に用いられている。これにはSi膜などが主に用いられているが、有機色材は吸光係数が大きいこと、光電変換特性に対して急峻な波長依存性を持つこと、分子構造により光吸収波長の調整が可能であることから活用が期待されている。
【0003】
光電変換層の特性のなかで吸光性能は重要な特性である。吸光性能の高い光電変換材料や光電変換層を使用することで、効率的に光電変換を起こすことができるため、光を照射している時とそうでない時のコントラストが強くなり、光電変換素子やそれを使用した撮像素子の感度を高めることができる。感度を高めることで、素子を小型化、軽量化することができる。撮像素子などの性能向上に伴い、これらに使用される光電変換材料に求められる吸光性能も更なる向上が求められている。
また、光電変換層はセンサー等に使用される場合、安定的に性能を発現できる必要がある。そのため、素子作成後、経時の安定性も重要な特性であるといえる。
【0004】
例えば、特許文献1や特許文献2において、特定の構造を有する化合物を用いた光電変換素子が開示されている。しかし、明暗電流比として判定される光電変換層の感度や経時の安定性は不十分であり、更なる改良が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-174921号公報
【特許文献2】特開2018-014426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、可視領域の光に対して高い感度を有するフォトダイオードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される構造を有する光電変換材料に関する。
【0008】
【化1】
【0009】
(X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、シアノ基または一般式(2)、(3)もしくは(4)で表される基であるか、X1とX2またはX3とX4が互いに結合して一般式(5)または(6)で表される基である。Yは、置換基を有してもよい芳香環である。)
【0010】
【化2】
【0011】
(R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。Q1およびQ2は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表す。Z1およびZ2は、カルボニル基、チオカルボニル基、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基を表す。)
【0012】
また、本発明は、X1およびX2の組み合わせと、X3およびX4の組み合わせとが同一ではないことを特徴とする上記光電変換材料に関する。
【0013】
また、本発明は、X1またはX2の少なくとも一方がシアノ基であり、X3またはX4の少なくとも一方がシアノ基であることを特徴とする上記光電変換材料に関する。
【0014】
また、本発明は、一対の電極間に光電変換層を有し、上記光電変換材料が光電変換層に含有されたフォトダイオードに関する。
【0015】
また、本発明は、上記フォトダイオードを具備してなるイメージセンサーに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、感度に優れるフォトダイオードを得ることができようになった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<一般式(1)で表される光電変換材料>
本発明に用いられる一般式(1)で表される構造を有する光電変換材料について説明する。
一般式(1)中の基について説明する。
Yは、置換基を有してもよい芳香環を表す。ここでいう「芳香環」としては、単環または縮合環である芳香族炭化水素環または芳香族複素環等が挙げられるが、吸光度等の観点から、単環または縮合環である芳香族炭化水素環が好ましく、単環の芳香族炭化水素環がより好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。また、芳香環上の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられ、アルコキシ基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、直鎖または分岐鎖のブトキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられるが、炭素数1~8のアルコキシ基が好ましい。
【0018】
1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、シアノ基または一般式(2)、(3)もしくは(4)で表される基であるか、X1とX2またはX3とX4が互いに結合して一般式(5)または(6)で表される基である。
【0019】
1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基や、直鎖または分岐鎖のプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。アルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基が好ましい。ヘテロアリール基としては、ピリジニル基、ピローリル基、チエニル基、フリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基としては、チエニル基、フリル基が好ましい。
【0020】
1、R2、R3およびR4におけるアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基上の置換基としては、特に限定はされないが、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基などが挙げられる。
【0021】
1、R2、R3およびR4は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基であることが好ましく、置換基を有してもよいアリール基であることが更に好ましい。アリール基上の置換基としては、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、カルボキシル基、シアノ基などの電子吸引基が更に好ましい。アルキル基としては、無置換のアルキル基が好ましい。ヘテロアリール基としては無置換のヘテロアリール基が好ましい。
【0022】
1およびQ2は、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0023】
1およびZ2は、カルボニル基、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基を表す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、直鎖または分岐鎖のプロピレン基、等が挙げられる。アルキレン基としては、エチレン基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられる。アリーレン基としては、フェニレン基が好ましい。
【0024】
アルキレン基またはアリーレン基の上の置換基としては、特に限定はされないが、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、置換もしくは未置換のアルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基、又は、置換もしくは未置換のアミノ基などが挙げられる。
【0025】
1は、カルボニル基が好ましい。Z2は、置換基を有してもよいアルキレン基または置換基を有してもよいアリーレン基が好ましく、置換基を有してもよいアリーレン基がより好ましい。アリーレン基上の置換基としてはハロゲン原子が好ましい。アルキレン基としては無置換のものが好ましい。
【0026】
前述のX1およびX2の組み合わせと、X3およびX4の組み合わせとが同一ではないことが好ましい。このように異なる組み合わせを有することで、吸光度が向上すると考えられる。また、X1またはX2のいずれか一方と、X3またはX4のいずれか一方は、シアノ基であることが好ましい。
【0027】
本発明の光電変換材料の分子量は、200~700であることが好ましい。分子量がこの範囲にあることで、耐熱性と光電変換層を形成する際の成膜性の両立が期待できる。
【0028】
<光電変換層>
光電変換層は、電荷分離に寄与し、電磁波(主として光)の吸収によって生じた電子及び正孔をそれぞれ反対方向の電極に向かって輸送する機能を有しているが、本発明に用いられる光電変換層は、一般式(1)で表される構造を有する光電変換材料を含む。
【0029】
<光電変換層の製造方法>
一般式(1)で表される光電変換材料は、任意選択的に、ブレンド又は混合物の形態で、他の化合物又は添加剤と一緒に、任意の好適な方法によって光電変換層として堆積され得る。堆積方法としては真空蒸着を用いることが好ましく、液体コーティングを使用してもよい。液体コーティングとしては、限定はされないが、ディップコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷、ノズル印刷、レタープレス印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、ドクターブレードコーティング、ローラ印刷、逆ローラ印刷、オフセットリソグラフィー印刷、ドライオフセットリソグラフィー印刷、フレキソ印刷、ウェブ印刷、スプレーコーティング、カーテンコーティング、ブラシコーティング、スロットダイコーティング、パッド印刷等が挙げられる。
【0030】
<有機溶媒>
液体コーティングに用いる有機溶媒としては、公知の有機溶剤を用いることができるが、均一な光電変換層を形成する上で光電変換材料を溶解または均一に分散できるものが好ましい。具体的には、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール等のアルコール系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤等が挙げられるが、これらに限定されない。有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0031】
<フォトダイオード>
本発明のフォトダイオードは、一対の電極間に光電変換層を有し、光電変換層が、一般式(1)で表される光電変換材料を含有することを特徴とする。フォトダイオードは、公知の素子構成や製造方法によって製造することができる。フォトダイオードを構成する電極の材料としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物、金、銀、白金、クロム、ニッケル、リチウム、インジウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム等の金属等の公知の材料が挙げられる。
【0032】
<イメージセンサー>
本発明のイメージセンサーは、本発明のフォトダイオードを具備してなる。好ましい一態様は、フォトダイオードをアレイ上に複数配置してなる。イメージセンサーは、電極の間に外部から電圧を印加することにより、入射光の量だけでなく、入射位置の情報を認識することができる。
【実施例0033】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。なお、特に断りのない限り、全ての測定は25℃で行った。
【0034】
<光電変換材料の合成>
光電変換材料の同定には、MALDI TOF-MSスペクトル(以下、「TOF-MS」と略記する)を用いた。MALDI TOF-MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた光電変換材料の同定を行った。
【0035】
[実施例1]
<光電変換材料1の合成>
活性メチレン基を有する化合物としてバルビツル酸15.6mmol(2.0g)と、イソインドリン構造を有する化合物として1,3-ジイミノイソインドリン5.2mmol(0.76g)をテトラヒドロフラン50gへ加えて、120分間80℃に加熱した。冷却後、減圧乾燥によりテトラヒドロフランを除去し、生じた固形物をろ過し、テトラヒドロフランで洗浄し、光電変換材料1を得た。
【0036】
[実施例2~21]
<光電変換材料2~22の合成>
活性メチレン基を有する化合物とイソインドリン構造を有する化合物を変更した以外は、実施例1と同様に、光電変換材料2~22をそれぞれ合成した。合成に用いた活性メチレン基を有する化合物及びイソインドリン構造を有する化合物の構造式を表1~3に示す。尚、表中「C817」の表記は、オクチル基を表す。
【0037】
[実施例23]
<光電変換材料23の合成>
1,3-ジイミノイソインドリン13.8mmol(2.0g)をテトラヒドロフラン50gへ加えて80℃に加熱した。これに、ベンゾイルアセトニトリル13.8mmol(2.0g)とテトラヒドロフラン50gを混合したものを2時間かけて滴下し、更に2時間撹拌した。冷却後、減圧乾燥によりテトラヒドロフランを除去し、生じた固形物をカラムクロマトグラフィーで精製することとで、構造式1を有する光電変換材料前駆体1を得た。

【0038】
【化3】
【0039】
光電変換材料前駆体1の3.9mmol(1.1g)と活性メチレン基を有する化合物としてバルビツル酸3.9mmol(0.5g)をテトラヒドロフラン50gへ加えて、120分間80℃に加熱した。冷却後、減圧乾燥によりテトラヒドロフランを除去し、生じた固形物をろ過し、テトラヒドロフランで洗浄し、光電変換材料23を得た。
【0040】
[実施例24~28]
<光電変換材料24~28の合成>
活性メチレン基を有する化合物を変更した以外は、実施例23と同様に、光電変換材料24~28を合成した。合成に用いた活性メチレン基を有する化合物の構造式を表4に示す。
【0041】
[比較例1]
<比較材料1の合成>
活性メチレン基を有する化合物として1,3-インダンジオン28.2mmol(5.0g)と、ホルミル基を有する化合物として4-ジエチルアミノベンズアルデヒド28.2mmol(4.1g)を脱水エタノール500部へ加えて、30分間75℃に加熱した。冷却後、生じた固形物をろ過し、カラムクロマトグラフィーにて精製して、比較材料1を得た。
【0042】
<比較材料2~3の合成>
活性メチレン基を有する化合物とホルミル基を有する化合物を変更した以外は比較例1と同様に、比較材料2~3を合成した。用いた活性メチレン基を有する化合物及び活性メチレン基を有する化合物の構造式を表5に示す。
【0043】
[実施例29~30]
<光電変換材料29~30の合成>
活性メチレン基を有する化合物とイソインドリン構造を有する化合物を変更した以外は、実施例1と同様に、光電変換材料29~30をそれぞれ合成した。合成に用いた活性メチレン基を有する化合物及びイソインドリン構造を有する化合物の構造式を表7に示す。
【0044】
[実施例30~42]
<光電変換材料前駆体2~8の合成>
活性メチレン基を有する化合物とイソインドリン構造を有する化合物を変更した以外は、実施例23と同様に、光電変換材料2~8をそれぞれ合成した。合成に用いた活性メチレン基を有する化合物及びイソインドリン構造を有する化合物の構造式を表8に示す。
【0045】
<光電変換材料30~42の合成>
光電変換材料前駆体と活性メチレン基を有する化合物を変更した以外は、実施例23と同様に、光電変換材料30~42を合成した。合成に用いた光電変換材料前駆体と活性メチレン基を有する化合物の構造式を表9、10に示す。
【0046】
<フォトダイオード(PD)作成用組成物の作成>
光電変換材料1~28及び比較材料1~3を、それぞれ濃度1%になるようにジクロロベンゼンと混合して、フォトダイオード(PD)作成用組成物1~28及び比較フォトダイオード(PD)作成用組成物1~3を得た。
【0047】
<フォトダイオード(PD)作成用組成物の作成>
光電変換材料29~42を、それぞれ濃度1%になるようにジクロロベンゼンと混合して、フォトダイオード(PD)作成用組成物29~42を得た。
【0048】
[実施例101~128、比較例1~3]
<フォトダイオード(PD)の作成>
洗浄したITO電極付きガラス板上に、電荷注入バッファー層としてPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシ)-2,5-チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Bayer社製BAYTRON P)をスピンコート法にて膜厚80nmに製膜した。次いで、表6に示したフォトダイオード(PD)作成用組成物をそれぞれスピンコート法で80nmの膜厚で製膜し、光電変換層を形成した。さらにその上に、Alを100nmの厚みに蒸着して電極を形成して、フォトダイオード(PD)1~28及び比較フォトダイオード1~3を得た。
【0049】
[実施例129~142]
<フォトダイオード(PD)の作成>
フォトダイオード(PD)作成用組成物を変更した以外は、実施例101~128と同様に、フォトダイオード(PD)29~42をそれぞれ作成した。作成に用いたフォトダイオード(PD)作成用組成物を表11に示す。
【0050】
<フォトダイオード評価>
製造したフォトダイオードに光を照射した際の電圧-電流曲線を、-2V~2Vの範囲で測定した。評価には光源として主波長470nmの青色LED(OSB5XNE3C1E、OptoSupply社製)を用い、1mW/cm2の光量で照射して測定した。また、照射する際、露光部分の面積が0.04cm2になるようにフォトマスクをした。電圧-1Vにおける電流値を読み取り、初期の明暗電流比を求めた。明暗電流比は以下の基準で判定した。判定結果を表6に示す。明暗電流比は、高いほど優れており、感度が良いといえる。判定基準が2以上が実用範囲である。
(判定基準)
4:200以上
3:150以上 200未満
2:100以上 150未満
1:100未満
【0051】
<経時安定性評価>
製造したフォトダイオードの経時安定性を評価した。フォトダイオード(PD)1~28及び比較フォトダイオード1~3を窒素雰囲気下、50℃で30日間保持し、その後フォトダイオード評価と同様の条件で明暗電流比を求め、初期の明暗電流比を100%としたときの30日後の明暗電流比を算出し経時安定性を判定した。経時安定性は以下の基準で判定した。判定結果を表6に示す。経時安定性は、高いほど優れている。判定基準が2以上が実用範囲である。
(判定基準)
4:95%以上 100%以下
3:90%以上 95%未満
2:85%以上 90%未満
1:85%未満
【0052】
<フォトダイオード評価・経時安定性評価>
フォトダイオード(PD)29~42についても同様にフォトダイオード評価、経時安定性評価を実施した。判定結果を表11に示す。
【0053】
<イメージセンサーの作製と評価>
表6に示したフォトダイオード(PD1)を16個作製した。次いで、平面上に、4個×4個に光電変換素子(PD1)を配置してイメージセンサーを作製した。作製したイメージセンサーを、暗室に設置されたスクリーンに光源として480nmに発光波長を示すLEDを用いて投影された画像に向けて設置した。順次、電極間に-1Vの電圧を印加して、暗時と画像を投影時の電流比を求めた。光電変換素子毎の求めた電流比は、投影画像の明暗を再現しており、イメージセンサーをして動作することを確認した。
PD2~PD28についても同じ方法によりイメージセンサーを作製し、イメージセンサーをして動作することを確認した。
【0054】
<イメージセンサーの作製と評価>
フォトダイオード(PD)29~42についても同じ方法によりイメージセンサーを作製し、イメージセンサーをして動作することを確認した。
【0055】
[実施例201]
<フォトダイオード(PD)の作成>
洗浄したITO電極付きガラス板上に、実施例1で合成した光電変換材料1を15nmの膜厚になるように真空蒸着し、次いで、実施例1で合成した光電変換材料1とフラーレンとを1:1の蒸着速度比で30nm厚みになるように共蒸着し、さらに、フラーレンを40nmの膜厚になるように真空蒸着することでpin構造の光電変換層を形成した。最後にAl電極を100nm真空蒸着してpin構造のフォトダイオード(PD)101を得た。
【0056】
[実施例202~242]
<フォトダイオード(PD)の作成>
光電変換材料として実施例2~42で合成した光電変換材料2~42を使用した以外は、実施例201と同様の方法でフォトダイオード(PD)102~142を得た。
【0057】
[実施例301]
<フォトダイオード(PD)の作成>
実施例1で合成した光電変換材料1とポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(レジオレギュラー)との重量比が1:1になるように、固形分濃度1重量%のオルト‐ジクロロベンゼン溶液を調整した。洗浄したITO電極付きガラス板上に、電荷注入バッファー層としてPEDOT:PSS(ポリ(3,4-エチレンジオキシ)-2,5-チオフェン/ポリスチレンスルホン酸、Bayer社製BAYTRON P)をスピンコート法にて膜厚80nmに製膜した。次いで、調整したジクロロベンゼン溶液を用いスピンコート法で80nmの膜厚で製膜し、光電変換層を形成した。さらにその上に、Alを100nmの厚みに蒸着して電極を形成して、フォトダイオード(PD)201を得た。
【0058】
[実施例302~342]
<フォトダイオード(PD)の作成>
光電変換材料として実施例2~42で合成した光電変換材料2~42を使用した以外は、実施例301と同様の方法でフォトダイオード(PD)202~242を得た。
【0059】
<フォトダイオード評価>
製造したフォトダイオード101~142、201~242に光を照射した際の電圧-電流曲線を、-2V~2Vの範囲で測定した。評価には光源として主波長470nmの青色LED(OSB5XNE3C1E、OptoSupply社製)を用い、1mW/cm2の光量で照射して測定した。また、照射する際、露光部分の面積が0.04cm2になるようにフォトマスクをした。電圧-1Vにおける電流値を読み取り、初期の明暗電流比を求めた。明暗電流比はどのフォトダイオードも100以上であり、良好なフォトダイオード特性を示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
【表11】