(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135626
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】薄膜蒸着のためのガス噴射装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230921BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20230921BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034723
(22)【出願日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0032189
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523000167
【氏名又は名称】ハンファ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】金 相▲ボ▼
(72)【発明者】
【氏名】金 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】崔 承大
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030JA03
4K030LA15
5F045AA15
5F045DP03
5F045EC05
5F045EE19
5F045EF05
5F045EF11
5F045EK07
(57)【要約】
【課題】改善された流動特性および拡散性能などを確保できる、薄膜蒸着工程に用いられるガス噴射装置を提供する。
【解決手段】ガス噴射装置は、ガス供給源から提供されたプロセスガスを供給する中心ガスポートを有する供給ブロックと、供給ブロックの下部に配置され、中心ガスポートと連通されて中心から外側に分岐する分岐ダクトを有する拡散カバーと、拡散カバーの下面に設けられ、分岐ダクトと連通されてプロセスガスを噴射する噴射ノズルと、噴射ノズルの下部に配置され、噴射ノズルにより噴射されたプロセスガスを均一に噴射するために上下方向に開放された複数の噴射孔を備えるシャワーヘッドを含み、拡散カバーの上面には中心ガスポートと対向して、拡散カバーの上面から下方に凹んだ凹部が形成され、凹部は中心ガスポートをカバーするベース領域とベース領域から半径方向に延びた延長領域とを含む。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給源から提供されたプロセスガスを供給する中心ガスポートを有する供給ブロックと、
前記供給ブロックの下部に配置され、前記中心ガスポートと連通されて中心から外側に分岐する分岐ダクトを有する拡散カバーと、
前記拡散カバーの下面に設けられ、前記分岐ダクトと連通されて前記プロセスガスを噴射する噴射ノズルと、
前記噴射ノズルの下部に配置され、前記噴射ノズルにより噴射された前記プロセスガスを均一に噴射するために上下方向に開放された複数の噴射孔を備えるシャワーヘッドと、を含むガス噴射装置であって、
前記拡散カバーの上面には前記中心ガスポートと対向して、前記拡散カバーの上面から下方に凹んだ凹部が形成され、
前記凹部は前記中心ガスポートをカバーするベース領域と前記ベース領域から半径方向に延びた延長領域を含む、ガス噴射装置。
【請求項2】
前記ベース領域の中心には中心供給孔が貫通形成され、前記中心供給孔が前記噴射ノズルのうち中心ノズル安着部に安着する噴射ノズルと連通される、請求項1に記載のガス噴射装置。
【請求項3】
周辺供給孔が前記延長領域の互いに反対側の端部に貫通形成され、前記周辺供給孔が前記噴射ノズルのうち周辺ノズル安着部に安着する噴射ノズルと連通される、請求項2に記載のガス噴射装置。
【請求項4】
前記中心供給孔と、前記周辺供給孔のうちいずれか一つの周辺供給孔と、の間の距離に対する、前記中心ノズル安着部に安着する噴射ノズルと前記周辺ノズル安着部に安着する噴射ノズルの間の距離の比率は1.5~1.9の間である、請求項3に記載のガス噴射装置。
【請求項5】
前記周辺供給孔それぞれは前記凹部の底面および前記凹部の側壁にかかって形成される、請求項3に記載のガス噴射装置。
【請求項6】
前記凹部の側壁の高さに対する、前記周辺供給孔が前記凹部の側壁にかかった高さの比率は0.3~0.7の間である、請求項5に記載のガス噴射装置。
【請求項7】
前記中心ガスポートは2個であり、前記ベース領域は2個の前記中心ガスポートに対応する対称構造を有する、請求項1に記載のガス噴射装置。
【請求項8】
前記ベース領域で2個の前記中心ガスポートに対向する位置は側壁によって囲まれており、前記凹部の下方に貫通せず塞がれている、請求項7に記載のガス噴射装置。
【請求項9】
前記凹部は、2個の前記中心ガスポートを連結する方向に、前記凹部の底面と前記凹部の側壁とを連結する第1傾斜面を有する、請求項8に記載のガス噴射装置。
【請求項10】
前記凹部は、2個の前記中心ガスポートを連結する方向と垂直な方向に、前記凹部の底面と前記凹部の側壁とを連結する第2傾斜面を有する、請求項9に記載のガス噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板に薄膜を蒸着するか、エッチング、洗浄する基板処理装置に関し、特に、基板にガスを噴射するガス噴射装置の組み立て構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板に反応ガスを供給して薄膜を蒸着させる薄膜蒸着方法は、原子層薄膜蒸着(ALD;Atomic Layer Deposition)および化学気相蒸着(CVD;Chemical Vapor Deposition)などが知られている。前記原子層薄膜蒸着法は、基板に反応ガスの供給とパージとを交互に実施して基板に吸着および蒸着させる方法であり、前記化学気相蒸着法は反応ガスを同時に噴射して基板に蒸着させる方法である。
【0003】
この薄膜蒸着方法を実行する装置は、例えば内部に半導体ウエハ(以下、ウエハという)を搭載するためのヒータ部材を有するプロセスチャンバと、該当ヒータ部材と対向して設けられたウエハ表面に向かってプロセスガスの供給を実行するガス噴射装置と、を備えている。このガス噴射装置には複数種のプロセスガスが互いに混ざらないように、また、横方向に拡散してウエハ表面に均一に供給されるようにガス流路が形成されることができる。
【0004】
また、ガス噴射装置は多層の金属部品からなり、例えば3段積層して構成される。このような金属部品は、例えばボルトで互いに固定されてプロセスチャンバに取り付けられている。上面側から供給されるプロセスガスは3段の金属部品内を貫通する流路を下方に向かって流れ、下端面に形成された多数の噴射孔を経てウエハの表面全体に均一に供給される。
【0005】
しかし、一般に多層の部品で構成されるガス供給装置において、前記部品を通過するプロセスガスの流動品質や拡散性能を向上するための該当部品の具体的な形状/構造の設計に関しては多くの研究がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、薄膜蒸着工程に用いられるガス噴射装置で改善された流動特性および拡散性能などを確保できるガス噴射装置の具体的な形状/構造を提示しようとすることにある。
【0008】
本発明の技術的課題は以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないまた他の技術的課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態によるガス噴射装置は、ガス供給源から提供されたプロセスガスを供給する中心ガスポートを有する供給ブロックと、前記供給ブロックの下部に配置され、前記中心ガスポートと連通されて中心から外側に分岐する分岐ダクトを有する拡散カバーと、前記拡散カバーの下面に設けられ、前記分岐ダクトと連通されて前記プロセスガスを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルの下部に配置され、前記噴射ノズルにより噴射されたプロセスガスを均一に噴射するために上下方向に開放された複数の噴射孔を備えるシャワーヘッドと、を含み、前記拡散カバーの上面には前記中心ガスポートと対向して、前記拡散カバーの上面から下方に凹んだ凹部が形成され、前記凹部は前記中心ガスポートをカバーするベース領域と前記ベース領域から半径方向に延びた延長領域とを含む。
【0010】
前記ベース領域の中心には中心供給孔が貫通形成され、前記中心供給孔が前記噴射ノズルのうち中心ノズル安着部に安着する噴射ノズルと連通される。
【0011】
周辺供給孔が前記延長領域の互いに反対側の端部に貫通形成され、前記周辺供給孔が前記噴射ノズルのうち周辺ノズル安着部に安着する噴射ノズルと連通される。
【0012】
前記中心供給孔と、前記周辺供給孔のうちいずれか一つの周辺供給孔と、の間の距離に対する、前記中心ノズル安着部に安着する噴射ノズルと前記周辺ノズル安着部に安着する噴射ノズルとの間の距離の比率は1.5~1.9の間である。
【0013】
前記周辺供給孔それぞれは前記凹部の底面および前記凹部の側壁にかかって形成される。
【0014】
前記凹部の側壁の高さに対する、前記周辺供給孔が前記凹部の側壁にかかった高さの比率は0.3~0.7の間である。
【0015】
前記中心ガスポートは2個であり、前記ベース領域は前記2個の中心ガスポートに対応する対称構造を有する。
【0016】
前記ベース領域で前記2個の中心ガスポートに対向する位置は側壁によって囲まれており、前記凹部の下方に貫通せず塞がれている。
【0017】
前記凹部は、前記2個の中心ガスポートを連結する方向に、前記凹部の底面と前記凹部の側壁とを連結する第1傾斜面を有する。
【0018】
前記凹部は、前記2個の中心ガスポートを連結する方向と垂直な方向に、前記凹部の底面と前記凹部の側壁とを連結する第2傾斜面を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による薄膜蒸着工程に用いられるガス噴射装置によれば、ガス噴射装置に用いられる流体の流動特性および拡散性能がいずれも向上することができる。
【0020】
本発明による薄膜蒸着工程に用いられるガス噴射装置によれば、シャワーヘッドの大きさが増加しても全体領域で均一なガス供給が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明によるガス供給装置を採用した薄膜蒸着装置を示す縦断面図である。
【
図2a】本発明の一実施形態によるガス噴射装置の斜視図である。
【
図2b】本発明の一実施形態によるガス噴射装置を
図2aと異なる方向から見た斜視図である。
【
図3a】本発明の一実施形態によるガス噴射装置の分解斜視図である。
【
図3b】本発明の一実施形態によるガス噴射装置を
図3aと異なる方向から見た分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるガス噴射装置を縦方向に切断した縦断面図である。
【
図5a】本発明の一実施形態による供給ブロックの上面を示す平面図である。
【
図5b】前記供給ブロックの下面を示す底面図である。
【
図6a】本発明の一実施形態による拡散カバーの上面を示す平面図である。
【
図6b】前記拡散カバーの下面を示す底面図である。
【
図7a】本発明の一実施形態によるシャワーヘッドの上面を示す平面図である。
【
図7b】前記シャワーヘッドの下面を示す底面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による拡散カバーのうち凹部を含むマッチ部のみを示す斜視図である。
【
図9a】
図8に示す凹部に主なパラメータを表示した斜視図である。
【
図9b】拡散カバーの下面に形成された複数のノズル安着部における主なパラメータを表示した斜視図である。
【
図10a】
図9aで凹部をA-A’方向に切断した縦断面図である。
【
図10b】
図9aで凹部をB-B’方向に切断した縦断面図である。
【
図11】
図10bでラウンド状傾斜面を適用した変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点および特徴、並びにこれらを達成する方法は、添付する図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現されることができ、本実施形態は、単に本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供するものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は同一構成要素を指すものとする。
【0023】
他に定義のない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解される意味で使用される。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解析されない。
【0024】
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文面で特記しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は言及された構成要素の他に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0025】
以下、添付する図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は本発明によるガス供給装置を採用した薄膜蒸着装置200を示す縦断面図である。参照符号11は、例えばアルミニウムからなる処理容器を構成するチャンバである。このチャンバ11内には基板であるウエハ(図示せず)を搭載するための、前記ウエハより若干大きい円板型のヒータ部材12と、前記ヒータ部材12を下方側で支持する支持体13と、が設けられている。ヒータ部材12内には、例えば抵抗加熱体からなるヒータが埋設され得る。前記ヒータは蒸着処理時において、例えば、前記ウエハを全面にわたって均等に加熱する。
【0027】
前記チャンバ11の上側にはガス供給装置100が設けられる。このようなガス供給装置100については後続図面を参照してより詳しく後述する。前記ガス供給装置100はガス供給路をなすガス流入管21に接続されている。前記ガス流入管21には少なくとも一つ以上のプロセスガスGが流入し得る。
【0028】
ガス供給装置100の下端面には多数の噴射孔141が形成されている。これらの噴射孔141を経て、前記ヒータ部材12上に搭載されるウエハの表面にプロセスガスを供給することができる。
【0029】
一方、チャンバ11の側方には前記ウエハの搬出入のためのゲート16が設けられる。ヒータ部材12にはゲート16を介して搬送アームがウエハを引き入れ/引き出しできるように、リフトピン(図示せず)が昇降可能に設けられる。また、排気ダクト17がチャンバ11の側壁に沿って下方に貫通形成されることができる。前記薄膜蒸着工程が完了した後に残った残余ガスは前記排気ダクト17を介して外部に排出される。
【0030】
図2aおよび
図2bは本発明の一実施形態によるガス噴射装置100を互いに異なる方向から見た斜視図であり、
図3aおよび
図3bは本発明の一実施形態によるガス噴射装置100をそれぞれ異なる方向から見た分解斜視図である。また、
図4は本発明の一実施形態によるガス噴射装置100を縦方向に切断した縦断面図である。
【0031】
図示のように、ガス噴射装置100は供給ブロック110、拡散カバー120、噴射ノズル130およびシャワーヘッド140を含んで構成されることができる。
【0032】
供給ブロック110はガス供給源(図示せず)からガス流入管21a,21bを介して流入したプロセスガスを下方に供給するための中心ガスポート111を有する。前記中心ガスポート111はガス流入管21a,21bの個数と同じく2個であり得るが、これに限らず、その個数は設計意図によって異なってもよい。
【0033】
拡散カバー120は前記供給ブロック110の下部に配置され、前記中心ガスポート111と連通されて中心から外側に分岐する分岐ダクト(duct)(
図4の123)を有する。前記分岐ダクト123は前記拡散カバー120の上下を貫通して形成され、その方向は拡散カバー120の中心から外側へ向かうように傾斜した方向に形成される。したがって、拡散カバー120の上側の凹部150に形成された供給孔に比べて、拡散カバー120の下側のノズル安着部122bに形成されたノズル孔の位置が拡散カバー120の中心からより外側に形成される。このような構成により、拡散カバー120を経たプロセスガスは直下方でなく傾斜した下方に拡散して噴射されることができる。
【0034】
噴射ノズル130は前記拡散カバー120の下面に設けられ、前記分岐ダクトと連通されて前記プロセスガスを噴射する。特に、噴射ノズル130は拡散カバー120の下面に前記噴射ノズルの形状と対応する形状で凹状に形成された安着部122a,122bに、スクリュのような締結具により設けられる。これとは異なり、前記噴射ノズル130は前記拡散カバー120下面と反対になる上面上に設けられてもよい。
【0035】
シャワーヘッド140は前記噴射ノズル130の下部に設けられ、前記噴射ノズル130により噴射されたプロセスガスを均一に噴射するために上下方向に貫通した複数の噴射孔141を備える。
【0036】
この時、
図4に示すように、前記供給ブロック110と前記拡散カバー120との間、そして、前記拡散カバー120と前記シャワーヘッド140との間は複数のスクリュ(図示せず)により締結されて固定され得る。また、前記拡散カバー120の下面と前記シャワーヘッド140の上面との間にはキャビティ(cavity)135が形成され、前記キャビティ135は前記シャワーヘッド140の噴射孔141の全体領域をカバーする面積を有する。
【0037】
図5aは本発明の一実施形態による供給ブロック110の上面を示す平面図であり、
図5bは前記供給ブロック110の下面を示す底面図である。
【0038】
供給ブロック110の上面には2個のガス流入管21a,21bが設けられており、供給ブロック110の下面には前記ガス流入管21a,21bとそれぞれ連通される2個の中心ガスポート111a,111bが形成される。前記2個のガス流入管21a,21bを介して互いに異なるプロセスガスが流入することができ、これにより、それぞれの中心ガスポート111a,111bが該当プロセスガスを供給することができる。しかし、これに限らず、2個のガス流入管21a,21bおよび中心ガスポート111a,111bが同じ種類のプロセスガスを共に供給することもできるのはもちろんである。
【0039】
図6aは本発明の一実施形態による拡散カバー120の上面を示す平面図であり、
図6bは前記拡散カバー120の下面を示す底面図である。
【0040】
前記拡散カバー120の上面には中心側に前記中心ガスポート111a,111bと合わせて結合されるようにマッチ部121が形成され、前記マッチ部121の内部には前記中心ガスポート111a,111bと対向して、前記拡散カバー120の上面から下方に向かって凹んだ凹部150が形成される。前記凹部150は前記中心ガスポート111a,111bをカバーするベース領域151と前記ベース領域151から半径方向に延びた延長領域152とを含む。
【0041】
前記拡散カバー120の下面には複数のノズル安着部122a,122bが前記凹部150に対応して配置されている。複数のノズル安着部122a,122bのうち拡散カバー120の下面中心には一つの中心ノズル安着部122aが形成され、前記中心ノズル安着部122aの周辺に円周方向に複数の周辺ノズル安着部122bが等間隔で形成される。周辺ノズル安着部122bの個数は凹部150に形成される供給孔の個数によって変わり得るが、本発明の実施形態では5個である場合を例示する。
【0042】
図7aは本発明の一実施形態によるシャワーヘッド140の上面を示す平面図であり、
図7bは前記シャワーヘッド140の下面を示す底面図である。シャワーヘッド140の下面には最終的にウエハ上にプロセスガスを噴射するための複数の噴射孔141が形成される。そのため、シャワーヘッド140の上面には前記複数の噴射孔141と対応する個数の微細孔142が形成されている。ただし、微細孔142から下方に行くほど傾斜拡張(flared)し得、この場合、複数の噴射孔141の直径は前記微細孔142の直径より多少大きく形成される。
【0043】
図8は本発明の一実施形態による拡散カバー120のうち凹部150を含むマッチ部121のみを示す斜視図である。
【0044】
前述したように、凹部150は2個の中心ガスポート111a,111bをカバーするベース領域151と、前記ベース領域151から半径方向に延びた、例えば4個の延長領域152と、を含む。
【0045】
前記ベース領域151は前述した供給ブロック110に形成された2個の中心ガスポート111a,111bに対応する対称構造(ミラー対称構造)を有する。特に、前記ベース領域151で前記2個の中心ガスポート111a,111bに対向する位置55は側壁54により囲まれており、前記凹部150の下方に貫通せず塞がれている。なぜなら、2個の中心ガスポート111a,111bが供給孔51,52に近接する位置にあると、プロセスガスが拡散カバー120により拡散する前に噴射ノズルにより排出されてしまうからである。したがって、このような拡散機能ないし均一噴射機能を向上するために、中心ガスポート111a,111bに対応する位置55から十分に離隔した位置に供給孔51,52を配置することが好ましい。
【0046】
一実施形態として、前記ベース領域151の中心には中心供給孔51が貫通形成され、前記中心供給孔51は拡散カバー120の下面に安着する噴射ノズル130のうち中心ノズル安着部122aに安着する噴射ノズルと連通される。
【0047】
同様に、周辺供給孔52が前記延長領域152の端部に貫通形成され(
図8の実施形態では4個の周辺供給孔52が形成されている)、前記周辺供給孔52は前記噴射ノズル130のうち周辺ノズル安着部122bに安着する噴射ノズルと連通される。
【0048】
この時、前記周辺供給孔52それぞれは前記凹部150の底面53および前記凹部150の側壁54にかかって形成される。このように、周辺供給孔52を単に底面53に形成するか側壁54に形成せず、底面53および側壁54の両方にかかって形成すると、プロセスガスのような流体の流動(flow)特性が向上する効果が提供されることができる。
【0049】
図9aは
図8に示す凹部150に主なパラメータを表示した斜視図であり、
図9bは拡散カバー120の下面に形成された複数のノズル安着部122a,122bにおける主なパラメータを表示した斜視図である。
【0050】
図9aに示すd1は前記中心供給孔51と、前記周辺供給孔52のいずれか一つと、の距離で定義される。中心供給孔51は合計4個の周辺供給孔52のうちどのものとも同じ距離d1を有する。また、図示したhは凹部150の側壁54の高さで定義され、図示したh1は周辺供給孔52のうち前記凹部150の側壁54にかかった高さで定義される。
【0051】
一方、
図9bに示すd2は、前記中心ノズル安着部122aに安着する噴射ノズル130と前記周辺ノズル安着部122bに安着する噴射ノズル130との間の距離で定義できる。
【0052】
先に、前記d1と前記d2との比率は、拡散カバー120でのプロセスガス拡散性能に密接な影響を及ぼす。特に、プロセスガスが拡散カバー120を通過するとき、拡散するためにはd1に対する前記d2の比率は1より大きくなければならない。具体的には、前記d1に対する前記d2の比率は1.5~1.9の間であることが好ましく、1.7程度が最適である。このような数値範囲は、前記比率(d2/d1)が下限(1.5)よりも小さいと拡散性能が低下し、前記比率(d2/d1)が上限(1.9)よりも大きいとガス供給装置100でウエハ上に供給されるガスの流量が過度に縮小されることに起因する。このように、d2の長さを適切に大きく維持すると、シャワーヘッド140の大きさが多少増加してもシャワーヘッド140全体領域で均一なガス供給が可能になる。
【0053】
また他の重要なパラメータとして、前記hに対する、前記h1の比率も拡散カバー120を通過するプロセスガスの特性や流量に影響を及ぼす。具体的には、前記hに対する前記h1の比率は0.3~0.7の間であることが好ましい。このような数値範囲は前記比率(h1/h)が下限(0.3)よりも小さいと拡散性能が低下し、前記比率(h1/h)が上限(0.7)よりも大きいとガス供給装置100でウエハ上に供給されるガスの流量が過度に縮小されることが考慮された。このように、h1の高さを適切に維持すると、プロセスガスの全般的な流動品質を向上させることができる。
【0054】
一方、このような拡散性能および流動品質などの重要な設計変数はまた、中心ガスポート111a,111bの大きさおよび凹部150の面積によっても影響を受ける。
図5bで2個の中心ガスポート111a,111bの全体面積(S1)は単に中心ガスポート111a,111bの直径のみにより簡単に計算することができる。また、凹部150の面積(S2)は
図6aで凹部150が占める閉曲線の面積を計算することによって把握することができる。具体的には、前記S1に対する前記S2の比率は28~35の間であることが好ましく、31程度が最適である。前記比率(S2/S1)が下限(28)より小さいか上限(35)より大きいと供給ブロック110と拡散カバー120との間で流動品質が低下する問題が生じ得る。
【0055】
図10aは
図9aで凹部150をA-A’方向に切断した縦断面図であり、
図10bは
図9aで凹部150をB-B’方向に切断した縦断面図である。
【0056】
図面には示していないが、前記凹部150は、前記2個の中心ガスポート111a,111bを連結する方向A-A’に、前記凹部150の底面53と前記凹部150の側壁54とが垂直に提供されることができる。これとは異なり、
図10aを参照すると、前記凹部150は、前記2個の中心ガスポート111a,111bを連結する方向A-A’に、前記凹部150の底面53と前記凹部150の側壁54とを連結する第1傾斜面56を有する。
【0057】
また、図面には図示していないが、前記凹部150は、前記2個の中心ガスポート111a,111bを連結する方向A-A’と垂直な方向B-B’に、前記凹部150の底面53と前記凹部150の側壁54とが垂直に提供されることができる。これとは異なり
図10bを参照すると、前記凹部150は、前記2個の中心ガスポート111a,111bを連結する方向A-A’と垂直な方向B-B’に、前記凹部150の底面53と前記凹部150の側壁54とを連結する第2傾斜面57を有する。このような第1傾斜面56や第2傾斜面57はプロセスガスが上方から供給されるときコーナー付近で発生する渦流や流動停滞を減少させて全般的なガス流動を円滑にする。他の実施形態として、このような直線状傾斜面56,57に限らず、
図11のようにラウンド状傾斜面57’を適用してその効果をより高めることもできる。
【0058】
以上の実施形態では
図4に示すように供給ブロック110と拡散カバー120との間、そして拡散カバー120とシャワーヘッド140との間を複数のスクリュにより締結する場合を例示した。しかし、ガス噴射装置100を構成する層別部品をスクリュで締結する場合は、ボルトトルクおよび温度上昇時にスクリュが緩む恐れがあり、スクリュの締結時またはスクリュ締結後の使用過程でスクリュの一部から落ちてくる破片が一部の貫通孔を塞ぐ恐れがある。
【0059】
かかる問題点を解消するために、前記スクリュの代わりに層別部品の間を拡散接合(diffusion bonding)により一体に結合することも可能である。前記拡散接合とは、金属材料を高温で密着させて接合面の間で発生する原子の拡散を用いて接合する技術である。特に、接合後の熱応力や変形が少なく、組織変化による材料の劣化が少なくて、同種材料(例:金属間)だけでなく性質が異なる異種材料(例:セラミックと金属との間)の接合および複雑な形状の接合が可能である多様な長所がある。ただし、一度接合されればその接合面の状態が切断過程を経なくては分からないという限界は存在する。
【0060】
本発明の他の実施形態によるガス噴射装置100に属する層別部品の間で少なくとも一つを拡散接合により結合することができる(再び
図3aおよび3bを参照)。好ましくは、前記供給ブロック110と前記拡散カバー120との間には拡散接合により結合される。このように供給ブロック110と拡散カバー120との間にのみ拡散接合により結合し、拡散カバー120とシャワーヘッド140との間には前述したようにスクリュにより締結することもできる。この場合に供給ブロック110と拡散カバー120との間には拡散接合により一体化して気密性および締結性を確保できながらも、拡散カバー120とシャワーヘッド140との間は分離が可能であるので、この間の境界面で問題が発生した場合の管理や整備が可能な効果がある。
【0061】
ただし、これに限らず、管理/整備の必要性よりは気密性/締結性の確保が優先される場合は、前記拡散カバー120と前記シャワーヘッド140との間にも拡散接合により結合することができる。
【0062】
以上、添付する図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0063】
51 中心供給孔
52 周辺供給孔
53 底面
54 側壁
56,57 傾斜面
100 ガス噴射装置
110 供給ブロック
111,111a、111b 中心ガスポート
120 拡散カバー
122a 中心ノズル安着部
122b 周辺ノズル安着部
123 分岐ダクト
130 噴射ノズル
135 キャビティ
140 シャワーヘッド
141 噴射孔
150 凹部
151 ベース領域
152 延長領域
200 薄膜蒸着装置