(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135649
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】将来の検査室性能を予想すること
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20230921BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023039930
(22)【出願日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】22162137.8
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュリア アスクア
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ ピエーロ ジャンナー-シュービガー
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン オースターブレック
(72)【発明者】
【氏名】ステファン シュバイハウザー
(72)【発明者】
【氏名】クリス シュタイナート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ゼダー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検査室システムの将来の検査室性能を予測するコンピュータ実装方法及び検査室システムを提供する。
【解決手段】検査室システムは、ネットワーク通信接続を介して通信可能に接続された、検査室機器、検査室ミドルウェア、制御ユニット及びダッシュボードディスプレイを備える。方法は、検査室オペレータの好みおよび検査室制約と、検査室入力データおよび注文データを最適化モジュールに提供し、最適化モジュールにおいて、検査室構成を最適化することと、最適化モジュールによって提供された最適化された検査室構成およびリアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて制御ユニットのシミュレーションモジュールによって検査室システムの将来の検査室性能をシミュレートすることと、シミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能を検査室オペレータに対してダッシュボードディスプレイにおいて表示することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク通信接続を介して通信可能に接続された、検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器と、検査室ミドルウェアと、制御ユニットと、ダッシュボードディスプレイとを備える検査室システムの将来の検査室性能を予測するコンピュータ実装方法であって、
検査室オペレータの好みおよび検査室制約を検査室オペレータから前記制御ユニットの最適化モジュールに提供することと、
検査室入力データおよび注文データを前記制御ユニットの前記最適化モジュールに提供することと、
前記制御ユニットの前記最適化モジュールにおいて、前記検査室オペレータの好み、前記検査室制約、前記検査室入力および注文データに基づいて検査室構成を最適化することと、
前記最適化モジュールによって提供された最適化された前記検査室構成とリアルタイムの検査室入力および注文データとに基づいて、前記制御ユニットのシミュレーションモジュールによって前記検査室システムの将来の検査室性能をシミュレートすることと、
シミュレートされた前記将来の検査室性能および実際の検査室性能を前記検査室オペレータに対して前記ダッシュボードディスプレイにおいて表示することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記検査室入力データおよび注文データが、リアルタイムで前記検査室ミドルウェアによって連続的に提供され、リアルタイムの検査室データが、分析機器のマスキング、試薬パックの割り当ておよび配置、サンプル装填スケジューリング、および/またはそれらの組み合わせ、のタイミングを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記シミュレートされた将来の検査室性能が、前記複数の検査室機器からの試験結果の到着を予測することを含む、請求項1または2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
表示された前記シミュレートされた将来の性能が、シミュレートされたスループット、サンプルのTAT、結果までの時間、バッファレベル、サンプルトラフィック強度、検査室オペレータの機器負荷および作業負荷、アイドル時間、性能許容基準を超えるサンプル、試薬、もしくは試験の数、ポイントツーポイント移動時間、バッファ待ち時間、ウォークアウェイ時間、時間当たりの検査室オペレータ相互作用の数、必要な検査室オペレータの数、電力消費、水消費、運用コスト、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
表示された前記シミュレートされた将来の性能が、現在の検査室構成と比較したシミュレートされた検査室構成の利点の指標を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記シミュレートされた将来の検査室性能に基づいて、前記検査室オペレータからの入力を介して現在の検査室の検査室構成を変更することをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記シミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能が許容レベルから逸脱した場合、ならびに/またはシミュレートされた試験サンプルの到着および実際の試験サンプルの到着が許容レベルから逸脱した場合、ならびに/または異常が検出された場合に、警告をトリガすることと、
前記ダッシュボードディスプレイ上に前記逸脱または異常の潜在的な原因を表示することと、
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記最適化された検査室構成に基づいて推定される将来の注文を計算することをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記シミュレートされた将来の検査室性能に対するサンプル装填効果を計算することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記最適化された検査室構成に基づいて前記検査室システムとの手動相互作用をスケジュールすることをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
予測された今後のイベントがいつ発生すると予測されるかを示す、前記予測された今後のイベントを表示することをさらに含み、前記予測された今後のイベントが、いつ補充が必要とされるかの推定、および/またはメンテナンスイベントの開始時間の推定、および/またはメンテナンスイベントの持続時間の推定、および/または将来の検査室メンテナンスイベントの予測である、請求項1から10のいずれか一項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
ネットワーク通信接続を介して通信可能に接続された、検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器と、検査室ミドルウェアと、制御ユニットと、ダッシュボードディスプレイとを備える検査室システムの将来の検査室性能を予測するコンピュータ実装方法であって、
前記検査室システムの様々な構成を検査室オペレータから前記制御ユニットのシミュレーションモジュールに提供することと、
前記複数の検査室機器からのリアルタイムの検査室入力データを前記検査室ミドルウェアに連続的に提供することと、
前記リアルタイムの検査室入力データおよび注文データを前記検査室ミドルウェアから前記シミュレーションモジュールに連続的に提供することと、
前記リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて前記制御ユニットのシミュレーションモジュールによって、前記検査室システムの前記様々な構成の将来の検査室性能をシミュレートすることと、
前記検査室システムの前記様々な構成のシミュレートされた前記将来の検査室性能および実際の検査室性能を前記検査室オペレータに対して前記ダッシュボードディスプレイにおいて表示することと、
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記様々な構成の前記シミュレートされた将来の検査室性能に基づいて、前記検査室システムの前記様々な構成のうちの1つを前記検査室オペレータによって選択することと、
選択された前記構成に基づいて前記検査室システムを再構成することと、
をさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
最適化モジュールにおいて、検査室オペレータの好み、検査室制約、リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて、前記様々な構成の将来の検査室性能を最適化することをさらに含む、請求項12または13に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
将来の検査室性能を予測するための検査室システムであって、
検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器と、
前記複数の検査室機器に通信可能に接続された検査室ミドルウェアと、
前記検査室システムの性能情報を表示するように構成されたダッシュボードディスプレイと、
最適化モジュールおよびシミュレーションモジュールを含み、ネットワーク通信接続を介して前記複数の検査室機器および前記検査室ミドルウェアに接続された制御ユニットと、
を備え、前記制御ユニットが、
検査室オペレータの好みおよび検査室制約を検査室オペレータから前記最適化モジュールに提供し、
前記複数の検査室機器からのリアルタイムの検査室入力データを前記検査室ミドルウェアに連続的に提供し、
前記リアルタイムの検査室入力データおよび注文データを前記検査室ミドルウェアから前記最適化モジュールに連続的に提供し、
前記最適化モジュールにおいて、前記検査室オペレータの好み、前記検査室制約、前記リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて検査室構成を最適化し、
前記最適化モジュールによって提供された最適化された前記検査室構成ならびに前記リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて、前記シミュレーションモジュールによって前記検査室システムの将来の検査室性能をシミュレートし、
シミュレートされた前記将来の検査室性能および実際の検査室性能を前記検査室オペレータに対して前記ダッシュボードディスプレイにおいて表示する、
ように構成されている、
検査室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本開示は、一般に、検査室システムの性能を最適化するために、検査室システムの性能を予測または予想する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
典型的な検査室性能ダッシュボードは、検査室の現在および過去の性能、ならびに必要な性能を有する潜在的なギャップのみを示す。さらに、典型的なダッシュボードは、将来の性能または現実的に最適な性能を示すものではなく、今後の検査室イベントを予測するものでもない。
【0003】
さらに、現在の検査室性能ダッシュボードは、検査室試験結果がいつ検査室オペレータに利用可能になるかの正確な予測を検査室オペレータに提供することができない。一般に、検査室試験結果の利用可能性の大まかな推定値のみが現在提供されている。これらの大まかな推定は、通常、検査室ミドルウェアに提供される分析機器データを使用する単純なアルゴリズムに依存する。
【0004】
さらに、現在のところ、検査室作業負荷の毎日の変動に起因する、または検査室オペレータがワークフロー変数、メンテナンススケジュール、および/または検査室構成を変更したときの検査室性能に関する結果を迅速且つ正確に決定するための手段はない。代わりに、検査室が、起点設計からの変更の結果のために予想通りに機能しないとき、検査室オペレータは、典型的には、より長い作業日および/または検査室の顧客への試験結果の遅れた送達について苦情を言う。したがって、ダッシュボードが、変更が行われる前に検査室の性能に対するそのような変更の効果を検査室オペレータに迅速且つ正確に実証することができる場合、時間、コスト、およびリソースが検査室のために節約されることができる。
【0005】
欧州特許第2602625号明細書は、プロセスをシミュレートし、診断試験プロセスの実際の進行を表すデータを受信し、シミュレートされた実際の診断試験プロセスを表示することによって診断試験プロセスを監視するための方法を開示している。
【0006】
米国特許第7,960,178号明細書は、特定のタスクを達成するためにオペレータに代替スケジューリングプロセスを提供するサンプルを処理するための方法を開示している。
【0007】
米国特許第9,194,876号明細書は、様々な検査室データソースに基づいて、サンプル結果がいつ利用可能になり得るかの推定値を作成および表示する方法を開示している。
【0008】
米国特許第9,466,040号明細書は、自動分析システムにおける輻輳を予測し、輻輳を回避するために検体のタイミングおよび取り出しを調整する方法を開示している。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本開示の目的は、検査室システムの性能を最適化するために、検査室システムの性能を予測または予想することである。
【0010】
本開示の一態様によれば、検査室システムの将来の検査室性能を予想するコンピュータ実装方法が開示される。検査室システムは、検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器、前分析機器、後分析機器、検査室ミドルウェア、制御ユニット、検査室試験サンプル移送システム、およびネットワーク通信接続を介して通信可能に接続されたダッシュボードディスプレイを備えることができる。本方法は、検査室オペレータの好みおよび検査室制約を検査室オペレータから制御ユニットの最適化モジュールに提供することと、検査室入力データおよび注文データを制御ユニットの最適化モジュールに提供することと、制御ユニットの最適化モジュールにおいて、検査室オペレータの好み、検査室制約、検査室入力および注文データに基づいて検査室構成を最適化することと、最適化モジュールによって提供される最適化された検査室構成およびリアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて制御ユニットのシミュレーションモジュールによって検査室システムの将来の検査室性能をシミュレートすることと、シミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能を検査室オペレータに対してダッシュボードディスプレイにおいて表示することと、を含むことができる。
【0011】
検査室入力データおよび注文データは、検査室ミドルウェアによってリアルタイムで連続的に提供されることができる。サンプル収集データおよび検査室試験サンプル移送データは、検査室ミドルウェアによってリアルタイムで連続的に提供されることもできる。
【0012】
リアルタイムの検査室データは、例えば、検査室機器の状態、移送システムの状態、検査室オペレータの利用可能性、試薬の利用可能性、消耗品の利用可能性、検査室試験サンプルの状態、検査室機器のマスキングのタイミング、すなわち、検査室試験サンプルを受け入れる検査室機器の能力、試薬パックの割り当ておよび配置、サンプル装填スケジューリング、ワークフロー規則および/またはそれらの組み合わせなどの検査室内のリソースの状態を含む。
【0013】
検査室試験サンプルの状態は、例えば、任意の所与の時点における検査室試験サンプルの位置、すなわち、どの検査室機器が検査室試験サンプルであるか、または検査室内のどの位置で、どれだけの処理が行われたか、およびどれだけ残っているか、すなわち、どの試験操作が実行されたか、およびどの試験操作がまだ行われる必要があるか、どれだけの試験サンプル量が残っているか、および/またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0014】
ワークフロー規則は、例えば、どの検査室機器において検査室試験サンプルに対して試験を行う必要があるか、どの順序でアリコートを作成する必要があるか、および/またはそれらの組み合わせを定義することができる規則を含むことができる。
【0015】
シミュレートされた将来の検査室性能は、複数の検査室機器からの試験結果の到着を予測することを含むことができる。
【0016】
表示されたシミュレートされた将来の性能は、シミュレートされたスループット、サンプルのターンアラウンド時間(TAT)、結果までの時間、バッファレベル、サンプルトラフィック強度、検査室オペレータの機器負荷および作業負荷、アイドル時間、性能許容基準を超えるサンプル、試薬、もしくは試験の数、ポイントツーポイント移動時間、バッファ待ち時間、ウォークアウェイ時間、時間当たりの検査室オペレータ相互作用の数、必要な検査室オペレータの数、電力消費、水消費、運用コスト、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0017】
表示されたシミュレートされた将来の性能は、現在の検査室構成と比較したシミュレートされた検査室構成の利点の指標を含むことができる。
【0018】
コンピュータ実装方法は、シミュレートされた将来の検査室性能に基づいて、検査室オペレータからの入力を介して現在の検査室の検査室構成を変更することをさらに含むことができる。
【0019】
コンピュータ実装方法は、シミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能が許容レベルから逸脱した場合、ならびに/またはシミュレートされた試験サンプルの到着および実際の試験サンプルの到着が許容レベルから逸脱した場合、ならびに/または異常が検出された場合に、警告をトリガすることをさらに含むことができる。
【0020】
コンピュータ実装方法は、ダッシュボードディスプレイ上に逸脱または異常の潜在的な原因を示すことをさらに含むことができる。
【0021】
コンピュータ実装方法は、最適化された検査室構成に基づいて推定された将来の性能を計算することをさらに含むことができる。
【0022】
コンピュータ実装方法は、シミュレートされた将来の検査室性能に対するサンプル装填効果を計算することをさらに含むことができる。
【0023】
コンピュータ実装方法は、最適化された検査室構成に基づいて検査室システムとの手動相互作用をスケジュールすることをさらに含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、検査室プロセスは、シミュレーションモデルにとって未知とすることができる。この実施形態では、「未知」は、例えば、この検査室機器または手動プロセスの挙動を表すために現在利用可能なモデルがないか、または十分に良好ではないことを意味することができる。未知の要素および不十分なモデルは、シミュレーションモデルにおいて未知のまたは不十分に予測された時間をもたらす可能性がある。しかしながら、対応する検査室プロセスからのデータが検査室システムによって受信されると、それが使用されてシミュレーションモデルを改善し、将来のシミュレーションの精度を高めることができる。より多くのデータが受信されるにつれて、モデルは、将来のイベントを予測する際により良好になり得る。
【0025】
コンピュータ実装方法は、予測された今後のイベントがいつ発生すると予想されるかを示す、予測された今後のイベントをダッシュボード上に表示することをさらに含むことができる。予測される今後のイベントは、例えば、検査室試験サンプル、検査室データ、または検査室装置の状態変化、試験結果の公開、1つ以上のサンプルの処理から準備完了への状態変化、検査室機器からサンプルを取り出す準備ができていること、検査室オペレータが取り出す準備ができている試験サンプルのラックまたはトレイ、検査室機器の負荷変化または検査室機器の試験サンプル待ち行列内の試験サンプルの数の変化、品質管理(QC)を実行するための時間、または検査室機器に試薬もしくは消耗品を補充するための時間などを含むことができる。
【0026】
追加の予測される今後のイベントは、いつ再充填が必要になるかの推定、および/または検査室メンテナンスイベントの開始時間の推定、および/または検査室メンテナンスイベントの期間の推定、将来の検査室メンテナンスイベントがいつ発生するかの予測、検査室試験サンプルの完全なバッチが分析されたとき、検査室試験サンプルが検査室の機器または検査室システムから取り出される準備ができたとき、検証が行われる必要があるかまたは試験結果が医療専門家などに通信されることができるように、特定の検査室試験サンプルの全てまたは特定の試験結果が公開される時間(例えば、至急/緊急)とすることができる。予測はまた、検査室の人員が、コーヒー休憩を取ること、QC試験を実行すること、サンプル、試薬または消耗品の手動の装填を遅らせることができるような活動を実行することなど、より長いTAT時間を引き起こす可能性がある活動を計画することができるように、至急の検査室試験がいつ完了するかを定義するのに役立つことができる。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、検査室システムの将来の検査室性能を予想するコンピュータ実装方法が開示される。検査室システムは、ネットワーク通信接続を介して通信可能に接続された、検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器と、検査室ミドルウェアと、制御ユニットと、ダッシュボードディスプレイと、を備えることができる。本方法は、検査室システムの様々な構成を検査室オペレータから制御ユニットのシミュレーションモジュールに提供することと、複数の検査室機器からのリアルタイムの検査室入力データを検査室ミドルウェアに連続的に提供することと、リアルタイムの検査室入力データおよび注文データを検査室ミドルウェアからシミュレーションモジュールに連続的に提供することと、リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて、制御ユニットのシミュレーションモジュールによって検査室システムの様々な構成の将来の検査室性能をシミュレートすることと、検査室システムの様々な構成のシミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能を検査室オペレータのダッシュボードディスプレイに表示することと、を含むことができる。
【0028】
コンピュータ実装方法は、様々な構成のシミュレートされた将来の検査室性能に基づいて検査室システムの様々な構成のうちの1つを検査室オペレータによって選択することと、選択された構成に基づいて検査室システムを再構成することと、をさらに含むことができる。
【0029】
検査室システムの再構成は、手動で実行されることができ、および/または自動的に実行されることができる。
【0030】
コンピュータ実装方法は、最適化モジュールにおいて、検査室オペレータの好み、検査室制約、リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて、様々な構成の将来の検査室性能を最適化することをさらに含むことができる。
【0031】
本開示の第3の態様によれば、将来の検査室性能を予測するための検査室システムが開示される。検査室システムは、検査室試験サンプルに対して試験を実行するように構成された複数の検査室機器と、複数の検査室機器に通信可能に接続された検査室ミドルウェアと、検査室システムの性能情報を表示するように構成されたダッシュボードディスプレイと、最適化モジュールおよびシミュレーションモジュールを含み、ネットワーク通信接続を介して複数の検査室機器および検査室ミドルウェアに接続された制御ユニットと、を備えることができる。制御ユニットは、検査室オペレータの好みおよび検査室制約を検査室オペレータから最適化モジュールに提供し、複数の検査室機器からのリアルタイムの検査室入力データを検査室ミドルウェアに連続的に提供するように構成されることができる。制御ユニットはまた、検査室ミドルウェアから最適化モジュールにリアルタイムの検査室入力データおよび注文データを連続的に提供し、最適化モジュールにおいて、検査室オペレータの好み、検査室制約、リアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて検査室構成を最適化するように構成されることができる。制御ユニットはまた、最適化モジュールによって提供された最適化された検査室構成ならびにリアルタイムの検査室入力および注文データに基づいて、シミュレーションモジュールによって検査室システムの将来の検査室性能をシミュレートし、シミュレートされた将来の検査室性能および実際の検査室性能を検査室オペレータにダッシュボードディスプレイ上に表示するように構成されることができる。
【0032】
シミュレーションを使用して将来の検査室性能を予想または予測することにより、いくつかの利点が現れる。第一に、逸脱が発生する時間がより正確に特定されることができる。例えば、通常、検査室オペレータは、例えば、サンプル試験結果が公開された後にのみ、リアルタイムの結果までの時間と所望の結果までの時間との間に逸脱が発生したことを知ることになり、これは、その特定のサンプルの逸脱を修正するには遅すぎるため、プロセス中の他のサンプルも遅延させることになる。しかしながら、将来の検査室性能を予想することによって、例えば、サンプル移送ステップまたは検査室機器内などで逸脱が発生することができる1つ以上のワークフローステップは、各報告されたイベントと対応するシミュレーションイベントとの比較によって試験サンプルプロセス時間中に特定され、逸脱が検出されるとすぐに実際の検査室設定において是正されることができる。
【0033】
さらに、逸脱に関与する検査室システム要素が特定されることができ、または少なくとも、逸脱に関与する可能性のある潜在的な検査室要素がシミュレーションプロセス中の決定のために絞り込まれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照符号によって示される以下の図面と併せて読むと最もよく理解されることができる。
【0035】
【
図1】本開示の実施形態にかかる、検査室設計段階中の検査室構成最適化器およびシミュレーションのフローチャートを示している。
【
図2】本開示の実施形態にかかる、検査室設計段階中の例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【
図3】本開示の実施形態にかかる、検査室性能シミュレーションを伴う検査室構成のランタイム適用のフローチャートを示している。
【
図4】本開示の実施形態にかかる、時間対結果のヒストグラムを示す例示的な実際の検査室性能ダッシュボードディスプレイを示している。
【
図5】本開示の実施形態にかかる、検査室ユーザ入力による検査室性能シミュレーションを伴う検査室構成のランタイム適用のフローチャートを示している。
【
図6】本開示の実施形態にかかる、検査室オペレータが検査室構成を手動で変更する例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【
図7】本開示の実施形態にかかる、検査室保守サービスおよび/または検査室メンテナンスを実行するための時間をチェックするためのシミュレータの使用のフローチャートを示している。
【
図8】本開示の実施形態にかかる、検査室性能に対する保守サービス機器の影響を示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【
図9】本開示の実施形態にかかる、将来の検査室問題を予測するために実際の検査室性能と並行して実行される検査室性能シミュレーションのフローチャートを示している。
【
図10】本開示の実施形態にかかる、検査室問題がどのように特定されることができるかを示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【
図11】本開示の実施形態にかかる、検査室問題を特定するグラフィカル方法を示している。
【
図12】本開示の実施形態にかかる、試薬がいつ不足するかを予測するために実際の検査室性能と並行して実行される検査室性能シミュレーションのフローチャートを示している。
【
図13】本開示の実施形態にかかる、シミュレートされた性能と現在の検査室構成との間の差を示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【
図14】本開示の実施形態にかかる、いつ試験結果が予想されることができるか、またはいつ試験サンプルが準備できることができるかを予測するために実際の検査室性能と並行して実行される検査室性能シミュレーションのフローチャートを示している。
【
図15】本開示の実施形態にかかる、シミュレーションによる重要な検査室イベントの予想を示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。
【発明を実施するための形態】
【0036】
発明の詳細な説明
以下の実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、限定ではなく例示として開示が実施されることができる特定の実施形態が示されている添付の図面を参照する。他の実施形態が利用されることができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、論理的、機械的および電気的変更を行うことができることを理解されたい。
【0037】
以下において使用される場合、用語「有する(have)」、「備える(comprise)」もしくは「含む(include)」またはこれらの任意の文法的変化形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、このコンテキストにおいて説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で、且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0038】
さらに、特徴または要素が1回または複数回存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または複数回存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0039】
「a」または「an」の使用は、本明細書の実施形態の要素および構成要素を説明するために使用されることができる。これは、単に便宜上および本発明の概念の一般的な意味を与えるために行われている。この説明は、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、そうでないことを意味することが明らかでない限り、単数形は複数形を含む。
【0040】
本明細書で使用される「検査室機器」または「検査室装置」という用語は、1つ以上の生物学的サンプルおよび/または1つ以上の試薬に対して1つ以上の処理ステップ/ワークフローステップを実行するおよび/または実行させるように動作可能な任意の装置または装置構成要素を包含することができる。それにより、「処理ステップ」という表現は、遠心分離、アリコート、サンプル分析、サンプル移送、貯蔵などの物理的に実行される処理ステップを指すことができる。「機器」または「装置」という用語は、前分析機器/装置、後分析機器/装置、分析機器/装置および検査室ミドルウェアを包含することができる。
【0041】
本明細書で使用される「検査室ミドルウェア」という用語は、ワークフローおよびワークフローステップが検査室機器/システムによって実行されることができるように、検査室機器/装置または1つ以上の検査室機器/装置を備えるシステムを制御するように構成可能な任意の物理的または仮想的処理装置を指すことができる。検査室ミドルウェアは、例えば、検査室機器/システムに、前分析、後分析および分析ワークフロー/ワークフローステップ、ならびにサンプル移送ステップを実行するように命令することができる。検査室ミドルウェアは、特定の試験サンプルにどのステップが実行される必要があるかに関してデータ管理ユニットから情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、検査室ミドルウェアは、データ管理ユニットと一体とすることができ、サーバコンピュータによって構成することができ、および/または1つの検査室機器/装置の一部とすることができ、または検査室自動化システムの複数の機器/装置にわたって分散されることができる。検査室ミドルウェアは、例えば、操作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能論理コントローラとして具体化されてもよい。
【0042】
本明細書で使用される「ワークフロー制御ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されないが、検査室ミドルウェア内のサンプル処理システムの機能を制御するために、特に、ハードウェアおよび/またはソフトウェアプログラミングによって構成された電子装置を指すことができる。ワークフロー制御ユニットは、少なくとも1つの監視システムおよび/または少なくとも1つのクラウドサーバとのデータ交換のためにさらに構成されてもよい。具体的には、ワークフロー制御ユニットは、少なくとも1つの監視システムおよび/または少なくとも1つのクラウドサーバから、少なくとも1つの情報項目などの電子信号を受信し、受信した信号をさらに評価するように構成された、少なくとも1つのプロセッサなどの検査室ミドルウェア内のコンピューティング装置であってもよく、またはコンピューティング装置を備えてもよい。さらに、ワークフロー制御ユニットは、例えば、少なくとも1つの情報に基づいて、受信されて評価された信号に基づいて機能を制御するように構成されてもよい。
【0043】
「データ記憶ユニット」または「データベース」は、メモリ、ハードディスクまたはクラウドストレージなどのデータを記憶および管理するためのコンピューティングユニットとすることができる。これは、自動化システムによって処理される生物学的/医学的試験サンプルに関連するデータを含むことができる。データ管理ユニットは、LIS(検査室情報システム)および/またはHIS(病院情報システム)に接続されることができる。データ管理ユニットは、検査室機器/装置内のユニットとすることができるか、または検査室機器/装置と同じ場所に配置されることができる。それは、検査室ミドルウェアの一部とすることができる。あるいは、データベースは、遠隔地にあるユニットとすることができる。例えば、それは、通信ネットワークを介して接続されたコンピュータ内で具体化されることができる。
【0044】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WiFi(商標)、GSM(商標)、UMTS、Bluetooth、超広帯域(UWB)、赤外線、誘導、または他の無線デジタルネットワークなどの任意のタイプの無線ネットワーク、またはイーサネット(商標)などのケーブルベースのネットワークを包含することができる。特に、通信ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは、ケーブルベースのネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含むことができる。
【0045】
本明細書で使用される「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、物理プロセッサまたは仮想プロセッサを備え、データの受信、処理および送信が可能な任意の物理マシンまたは仮想マシンを含むことができる。サーバは、しばしば個別に「サーバ」または仮想サーバなどの共有リソースとも呼ばれることができる専用コンピュータを含む、任意のコンピュータ上で実行することができる。多くの場合、コンピュータは、複数の保守サービスを提供し、複数のサーバ実行を有することができる。したがって、サーバという用語は、1つ以上のクライアントプロセスとリソースを共有する全てのコンピュータ化された装置を含むことができる。さらに、「遠隔システム」または「サーバ」という用語は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して分散されたデータ伝送および処理システムを含むことができる。
【0046】
本明細書で使用される「シミュレーション」という用語は、例えば、現在の状態、過去のデータ、想定される将来のデータ、予想されるデータ範囲、および/または確率分布などの利用可能なデータに基づいて、将来のシステム挙動(例えば、構成要素の状態、量、主要業績評価指標(KPI))を予測するためのコンピュータ実装モデルの実行を包含することができる。シミュレーションは、検査室の状態および注文の関連する態様を反映するモデルの任意の使用、ならびに将来予想される検査室の将来の状態または性能に関する関心のある任意のデータを予測するための計算の使用を包含することができる。シミュレーションは、検査室モデルのコンピュータ実装を使用して、検査室の実際の挙動の1つまたはいくつかの部分を模倣することができる。
【0047】
シミュレーションは、プロセスを通じて移動するエンティティ(例えば、サンプルチューブ)およびプロセスに必要なリソース(例えば、機器、人的リソース、消耗品、試薬など)の状態変化を経時的に計算することができる。エンティティの状態変化は、例えば、検査室機器への出入り、エンティティが処理されることができる前の待機、処理時間、エンティティの移送など、エンティティに対して実行されるプロセスまたは活動によって引き起こされることができるが、リソースの状態(例えば、検査室機器がオフにされる)および他のエンティティの状態(例えば、同じリソースを占有すること、同じプロセスを使用することなど)によっても影響されることができる。
【0048】
シミュレーションは、状態変化が「イベント」と呼ばれる離散イベントシミュレーション、または機械学習、外挿、統計的シミュレーションとしての予測分析からの任意の他の方法とすることができる。一実施形態では、シミュレーション結果は、例えば、検査室機器、移送システム、および人的リソースの予想される将来の作業負荷、バッファの占有、性能パラメータ、潜在的な性能、違反問題、リソース消費、コスト、または派生イベントなどの、検査室に関する集約情報を計算するために使用される。
【0049】
本明細書で使用される「最適化」という用語は、1つ以上の目的関数が最大化または最小化されるように制約(例えば、リソースの利用可能性、エンティティの位置)を考慮しながら、いくつかの代替案の中から最良の選択肢(例えば、活動のスケジュール、検査室装置の構成、ソフトウェアの構成、リソースの量、したがうべきワークフローおよび使用するリソース、リソースの位置)を特定する活動を包含することができる。目的関数は数学的関数であり、これは、選択肢が(例えば、検査室の所有者/オペレータ、検査を指示した医療従事者、および/または患者の)品質基準をどれだけ良好に満たすかを数字によって表す。目的関数は、例えば、ターンアラウンド時間、結果までの時間、スループット、(非)効率性、コスト、ロバスト性、作業負荷などの関連する性能指標から構築される。最適化の結果は、制約の達成を考慮して目的関数によって測定された、良好、最適、または現在の状態よりも良好な1つ以上の選択肢を含むことができる。最適化はまた、改善された目的を達成するために、特定された最良の選択肢の実施に必要な動作を含む。そのような動作は、検査室システムによる提案および/またはコンピュータベースの完全に自動化された調整とともに検査室オペレータによる手動調整を行うことを含むことができる。全ての調整は、検査室の主要業績評価指標(KPI)の1つ以上または重み付けされた組み合わせを改善するという目標を共有することができる。
【0050】
シミュレーションと最適化との違いは、最適化では、最良の方法で、高性能のような目標を達成するための提案が生成されることである。したがって、最適化は、予測(シミュレーション)法ではなく規範的な方法である。規範的分析の方法は、検査室オペレータの提案または自動調整を生成するために使用されることができる。例えば、最適化は、より良好な(最適な)性能を達成するために検査室分析機器への試薬カセットの新たな割り当てを提案することができるが、その後、新たに提案された構成が達成することができる性能を評価するためにシミュレーションが使用される。規範的分析方法の例は、論文P.FESTA,「A brief introduction to exact,approximation,and heuristic algorithms for solving hard combinatorial optimization problems」,16th International Conference on Transparent Optical Networks(ICTON),2014,pages 1 to 20,doi:10.1109/ICTON.2014.6876285に提示されている。
【0051】
最適化問題は、正確な最適化方法、より単純なものによる元の問題の近似、およびより単純な問題を解くこと、ならびに/またはヒューリスティックおよび/もしくはメタヒューリスティックによって解かれることができる。正確な最適化方法は、(i)分枝限定法、(ii)動的プログラミング法、または(iii)ソルバとすることができる。しかしながら、他の正確な最適化方法が想定されて使用されることができる。
【0052】
ソルバは、複数のアルゴリズム(すなわち、正確なものだけでなく)を備えることができる。正確な最適化方法はまた、前述の方法の組み合わせを含むことができる。近似されたより単純な問題を解くことは、(i)1つ以上の貪欲アルゴリズム、(ii)局所探索、(iii)1つ以上の緩和ベースのアルゴリズム、または(iv)1つ以上のランダムアルゴリズムを適用することを含むことができる。近似されたより単純な問題を解決するための他の方法が想定されることができ、使用されることができる。近似されたより単純な問題を解くことはまた、前述の方法の組み合わせを含むことができる。ヒューリスティックおよび/またはメタヒューリスティックは、(i)シミュレーテッド・アニーリング、(ii)1つ以上の進化的アルゴリズム、(iii)タブー探索、または(iv)1つ以上のグリーディ・ランダム化適応探索手順(GRASP)とすることができる。ヒューリスティックおよび/またはメタヒューリスティックはまた、前述の方法の組み合わせを含むことができる。
【0053】
通常、典型的な検査室性能ダッシュボードは、現在および過去の検査室性能を表示する。本明細書に開示される検査室性能ダッシュボードでは、将来の検査室性能が予測または予想されることができる。検査室全体の検査室シミュレーションをバックグラウンドでリアルタイムで実行することにより、以下の機能が検査室性能ダッシュボードシステムの一部になることができる。
-検査室オペレータは、予後を得るために「将来に目を向ける」ことができる。例えば、検査室オペレータは、特定の試験結果が準備できる時間を得ることができる。これは、例えば、緊急の場合のための短い所要時間(STAT)サンプルなどの至急サンプルなどのいくつかのタイプの試験サンプルにとって重要であり得る。さらに、検査室オペレータは、試験サンプルがいつ処理を完了したかに関する情報を取得し、例えば、試験サンプルを手動で処理する必要がある分析機器または手動分析プロセスなどの他のプロセスに利用可能になることができる。さらに、検査室オペレータは、例えば、今後の検査室問題、試薬または消耗品の再装填またはサンプルラックの除去、予測的なメンテナンスおよび保守サービス活動、廃棄物の除去など、人間の相互作用が検査室によって必要とされるときを知らせることができる。
-検査室オペレータは、任意の意図された検査室動作の結果について知らされることができる。例えば、検査室オペレータは、例えば、試験割り当て、カセットの数などに対する変更など、検査室構成に対して行われた変更の影響を見ることができる。さらに、検査室予測によって生成された提案と組み合わせて、検査室オペレータは、1つ以上の提案された検査室構成代替案を選択する効果を見ることができた。さらに、検査室オペレータは、例えば、試験結果を得るための時間に対するサンプリング負荷の特定の選択の検査室性能に対する結果を見ることができる。さらに、検査室オペレータは、例えばエネルギーを節約するために、特定の時刻に分析機器または移送ラインを保守すること、または特定の検査室システムをオフまたは待機状態にすることの検査室性能への影響を見ることができる。また、検査室オペレータは、全自動化された検査室システムに接続された遠心分離機のみを使用するのではなく、アリコートを使用するか、または例えば、いくつかの試験サンプルを別個の独立した遠心分離システムで遠心分離する場合に、検査室性能の潜在的な向上を見ることができる。
【0054】
検査室シミュレータについては、以下の態様のうちの1つ以上が考慮されるべきである。第一に、新たな構成を分析するとき、検査室シミュレーションのモデルは、検査室最適化器からのそれらの構成入力および検査室ミドルウェアからの注文リストを取得することができる。注文リストは、例えば、検査室システムの注文負荷をスケールアップするために処理される。あるいは、検査室構成は、例えば、どこに、どの検査カセットを、およびいくつの検査カセットを設置すべきかを手動で定義することなどによって、検査室オペレータによって直接入力/変更されることができる。しかしながら、手動で行われることができる、または最適化器によって提案されることができる変更は、状況および検査室オペレータの希望に自動的に依存する。例えば、設計時間中、検査室のハードウェアは、例えばスペースの制限によって制約されるなど、様々であり得る。ランタイム中、検査室システムが設置されている場合、例えば、既存の検査室ハードウェア上の試薬カセット配置のみが最適化されることができる。検査室構成設計者は、例えば、好ましいタイプの検査室ハードウェア、またはどの分析機器が同じタイプの試験などを行うべきかなど、顧客の好みを追加することができる。
【0055】
第二に、例えば、検査室の保守サービスまたはメンテナンス中など、検査室構成または検査室分析機器の利用可能性の変化の影響を分析するために、検査室オペレータは、例えば、特定の検査室分析機器または他のハードウェアをいつオフにするかなどの検査室イベントを定義することができる。
【0056】
第三に、シミュレーション/構成の状態は、予測される検査室性能を向上させるために、検査室の現在の状態情報と同期させることができる。例えば、検査室モデルが100%正確なわけではない場合、または他の遅延が発生した場合、試験サンプルは、検査室シミュレーションと比較して、リアルタイムで早くまたは遅く検査室分析機器に入ることができる。検査室シミュレーションの同期化は、これらの逸脱を補正するのに役立つことができる。同期に必要な情報は、検査室ミドルウェアからの既知の検査室イベントデータから取得されることができ、これはまた、いつどの検査室分析機器がマスク/マスク解除されるかを含むことができる。
【0057】
第四に、検査室構成の変更は、例えば、どの分析機器がマスクされているか、試薬パックの配置、および/または検査室ミドルウェアのサンプルスケジューリング構成などの検査室ミドルウェアおよび/または検査室分析機器からのデータと同期させることができる。
【0058】
第五に、検査室オペレータまたは検査室システム自体は、例えば、検査室ミドルウェアからの複数日からのような注文データが最適化器に供給するために使用されるプロセスをトリガすることができる。可能な検査室構成の1つ以上の提案が取得されてシミュレートされることができる。任意に、検査室オペレータは、シミュレートされるべき異なる提案からシナリオを選択することができる。次いで、ダッシュボードは、現在の検査室構成対代替の検査室構成の検査室性能値の差を示すことができる。例えば、検査室オペレータは、ターンアラウンド時間(TAT)またはウォークウェイ時間に対する検査室分析機器への試験割り当ての検査室構成の変更の影響、TATの一時停止時間または最後の試験サンプルがいつ処理されたかなどの作業時間を含む人的リソーススケジューリングの影響、TATの特定の時間に検査室機器をオフにするかまたは保守する影響などを観察することができる。
【0059】
第六に、ダッシュボードは、以下のような実際のデータに基づいて、過去、現在、または将来の時間の1つ以上の検査室性能指標、ならびに現在の検査室システムの同じ検査室指標との比較を示す:
-シミュレートされたスループット
-例えば、試験結果が公開されるまで検査室に入ってくるTAT、試験結果が医師に送られるまで医師によって入力される注文からのTAT、前分析システムのTAT、および/または血清作業領域分析のTATなどの試験サンプルのシミュレートされたTAT。
-得られるシミュレートされた時間
-シミュレートされた緩衝液レベル
-シミュレートされた試験サンプルのトラフィック強度
-シミュレートされた検査室機器の負荷および人的リソースの作業負荷
-シミュレートされたアイドル時間
-例えば、絶対的にまたは相対的に、検査室性能許容基準を超える、例えば、結果までの規定された最大時間の内側または外側の試験サンプルまたは試験結果の割合などの、試験サンプルまたは試験のシミュレートされた数
-シミュレートされたポイントツーポイント移動時間
-シミュレートされた待ち時間、例えばバッファ内などの非生産時間
-シミュレートされたウォークアウェイ時間または時間当たりの必要な人間相互作用の回数
-例えば、1日当たりの品質管理(QC)の数、1日当たりのQCのコスト、無駄になった試験の数および/または試薬の有効期限に起因するコストなど、現在の検査室構成と比較した代替の検査室構成のコストまたは利益の指標
【0060】
第七に、ダッシュボードは、検査室オペレータ、検査室システム所有者および/または検査室保守サービス/メンテナンス提供者が、予測される今後の検査室活動およびイベントに関する情報を、これらのイベントがいつ予想されるか、例えば、次の10分、30分、1時間、半日、週当たり、シフト、日または週などで示し、検査室オペレータがこれらのイベントを予想することができることを示す。これらのイベントおよび活動の例は以下の通りである:
-試薬、消耗品、および/または使い捨て用品がいつ不足し、補充が必要になるかの推定。例えば、試薬のレベルは低くてもよいが、頻繁に注文されない場合、頻繁に注文される場合よりもウォークアウェイ時間が長くなる可能性がある。
-システムオペレータまたは技術者によって実行される、小規模または大規模な検査室保守サービス/メンテナンス活動が必要とされるまでの期間の推定が必要とされることができる。この情報は、検査室システムのみに表示されることができ、または例えば顧客サービスなどの検査室サービスプロバイダに自動的に通信されることができ、サービス訪問がスケジュールされることができる。
【0061】
第八に、検査室シミュレーションは、例えば、注文分布、処理時間の変動などの同じ部分確率パラメータを用いて多くの検査室シミュレーションを実行することによって、動作信頼区間を決定するために使用される。これらの信頼区間は、実際の検査室システムと比較するために使用されることができる。実際の検査室システムがシミュレーションで決定された間隔から過度に負に逸脱する場合、これは実際の検査室システムが改善を必要とすることの指標である。検査室シミュレーションにより、逸脱の潜在的な原因、ならびに逸脱の潜在的な原因となるパラメータ、例えば遅延した検査室オペレータの相互作用に対する感度が決定されることができる。
【0062】
さらに、検査室シミュレーションは、例えば、手動相互作用が適切な時間に行われることができる理想的な作業検査室システムをシミュレートするための最適化ベースのスケジューラを含むことができる。シミュレーションは、より良いスケジューリングによって改善が可能であることを顧客に示すために、実際の検査室性能に対して達成されることができる検査室性能を示す。シミュレータ内のスケジューラは、最適な検査室性能を達成する方法を示すことができる。
【0063】
さらに、検査室シミュレーションが使用されて、検査室システムの一部から欠落情報を提供することができる。欠落情報の例は、以下の通りである:
-十分にスケジュールされた検査室システムに含めることを困難にする第三者プロバイダの行動に関する知識の欠如。機械学習または統計データを用いて、スケジューラに含めることができる第三者プロバイダのモデルが作成されることができる。
-情報を取得するために、例えば、試験結果の予想時間、そのバッファおよびリソースの負荷レベルなどの必要な情報を通信しない検査室機器がシミュレートされることができる。
【0064】
さらに、検査室シミュレーションは、リアルタイムの検査室イベントによって連続的に調整されることができる。検査室シミュレーションモデルは、通常、現実のイベントを単純化したものであるため、予測は、それが今後さらに検討されるにつれて、あまり正確でなくなる。最近のリアルタイムの検査室データにしたがってモデルの状態を連続的に調整することにより、予測または予想は、最適に予測または予想されることができる。
【0065】
最後に、現実とモデルとの間の違いも分析されて、警報/警告をトリガするか、または実際の検査室システムが予測されたものとは異なる挙動をしていることを検査室オペレータに単純に通知することもできる。例は、以下を含む:
-特定の要素が、例えば、構成要素の経年劣化などの理想的な状態からの増加する差を示し、周波数が増加するにつれて、実際の検査室イベントとモデル化された検査室イベントとの間に時間差が存在するという傾向検出。これらの傾向は、ダッシュボード上に示されることができ、外挿を介して、検査室におけるサービス/部品の更新前の残り時間の推定が与えられることができる。
-例えば、通常の検査室動作とは異なる固有の検査室イベントを特定することができる機械学習を介した異常検出。これらは、例えば、試験サンプルの短い渋滞、試験サンプルのトラフィック渋滞、および許容できない状況をもたらす要因の組み合わせ、例えば、誤った優先順位付け、したがって許容できない所要時間をもたらす特定の注文リストと組み合わせた論理処理規則などの固有の検査室イベントによる遅延とすることができる。検査室オペレータは、問題が発生した時間を含むこれらの状況について通知されることができる。この場合、記録されてシミュレートされた検査室イベントデータは、分析のために、ならびに解決策を見つけるのを助けるために再生されることができる。
【0066】
最初に
図1を参照すると、
図1は、本開示の実施形態にかかる、設計段階中の検査室構成最適化器および性能構成シミュレーションのフローチャートを示している。最初に、検査室構成モジュール110は、検査室構成最適化器を使用して最適化された検査室構成を決定する。検査室オペレータの好みおよび制約25ならびに検査室注文データ50は、検査室構成最適化器への入力として使用される。結果として得られる最適化された検査室構成は、結果として得られる最適化された検査室構成がどのように実行されることができるかをシミュレートするためにシミュレーションモジュール110に供給される。検査室注文データ50はまた、シミュレーション検査室への入力を提供するためにシミュレーションモジュール110に供給される。シミュレーションモジュール110から、シミュレートされた検査室構成の出力または性能は、検査室オペレータが結果として得られる最適化された検査室構成がどのように機能するかを見るために、性能視覚化モジュール120またはダッシュボードに送信される。
【0067】
さらに、結果として得られる最適化された検査室構成は、検査室用の物資の注文を容易にするために注文システムモジュール150によって使用される。さらに、得られた最適化された検査室構成は、検査室に関連するコストの計算を容易にするためにコスト計算モジュール140によって使用されることができる。
【0068】
図2は、検査室設計段階中の例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを提供している。最適化された検査室ハードウェアは、ダッシュボードの上半分1210に表示され、試験割り当て構成は、ダッシュボードの下半分1220に表示される。最適化された検査室用ハードウェア1210、すなわち分析機器は、ダッシュボードの左上1250に直線的に、右上1260に図形モジュールとして表示される。試験割り当て1220は、ダッシュボードの左下に、例えば測定作業セルまたは試薬ロータなどのサブモジュールとともに、各検査室モジュールに割り当てられたパラメータ1230のリストを含むことができる。試薬カセットは複数の検査パラメータに使用されことができるため、ダッシュボードディスプレイの右下1240に、カセット材料番号のリストが試薬カセットの物理的位置とともに列挙されることができる。
【0069】
任意に、結果として得られる最適化された検査室構成は、結果として得られる最適化された検査室構成の視覚的表現を検査室の顧客または他の検査室人員に提供するために、アニメーション/仮想現実(VR)モジュール130に供給されることもできる。
【0070】
図3を参照すると、
図3は、本開示の実施形態にかかるシミュレーションを伴う検査室構成のランタイム適用のフローチャートを示している。
図3において、検査室構成最適化モジュール200は、実際の検査室240からの注文データ150ならびに検査室オペレータの好みおよび制約入力125に基づいて、シミュレートされる検査室構成を提案する。次いで、提案された最適化された検査室構成は、検査室性能シミュレーションモジュール210に入力される。実際の検査室240からの注文データ150もまた、検査室性能シミュレーションモジュール210に入力される。検査室性能シミュレーションモジュール210からのシミュレートされた検査室性能と実際の検査室240からの実際の検査室性能とが比較され、検査室オペレータ用のダッシュボード220に表示される。次いで、検査室オペレータは、ダッシュボード220上に表示された検査室構成を提案した230を他の検査室オペレータ入力175とともに選択して、実際の検査室240を再構成することができる。
【0071】
図4は、結果までの時間のヒストグラム、すなわち試験サンプルあたりの結果までの時間の分布を示す例示的な実際の検査室性能ダッシュボードディスプレイを示している。x軸1410は、TAT時間を示す。y軸1420は、その特定のTATを有する試験サンプルの数を示す。破線1430は、目標カットオフまたは時間閾値、すなわち、全ての試験サンプル結果が利用可能であるべき時間を示す。この例では、目標は、90分以内に全ての試験サンプル結果を得ることである。この目標を超える試験サンプル結果については、ダッシュボード上に警告ボックス1440が表示される。この例では、試験サンプル結果の11%が90分の目標時間を超えた。しかしながら、シミュレートされた検査室性能は、試験サンプル結果の90分の目標時間を達成することが可能であったことを示すことができた。
【0072】
図5は、本開示の実施形態にかかる、オペレータ入力を伴うシミュレーションを伴う検査室構成のランタイム適用のフローチャートを示している。
図5は、この実施形態では、検査室構成最適化モジュール200を有する代わりに、検査室オペレータが検査室構成225への変更を提案し、実際の検査室240からの注文データ250とともに検査室性能シミュレーションモジュール310に入力され、入力された検査室構成の検査室性能がシミュレートされることを除いて、
図3と同様である。一実施形態では、実際の検査室240からの注文データ250は、過去の注文データであり、その日の典型的な注文リストに集約されることができる。検査室性能シミュレーションモジュール310からのシミュレートされた検査室性能と実際の検査室340からの実際の検査室性能とが比較され、検査室オペレータ用のダッシュボード320に表示される。次いで、検査室オペレータは、次にどの検査室構成が実施されることができるかを選択することができる330。検査室オペレータは、シミュレートされた検査室性能が実際の検査室性能よりも良好である場合、シミュレートされた検査室構成を選択することができる。
【0073】
図6は、検査室オペレータが検査室構成を手動で変更することを示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。検査室オペレータは、ダッシュボードの右上隅に表示された検査室分析機器モジュールのうちの検査室分析機器モジュール1610を選択することができる。検査室分析機器モジュール1610を選択した後、その検査室分析機器モジュール1610のインストールされた可能な試験パラメータ1620のリストが表示される。これらの試験パラメータは、検査室オペレータによって選択され、例えば試薬ロータなどの検査室サブモジュール1640に割り当てられることができる。追加する試薬カセットの数(+1)または除去する試薬カセットの数(-1)を選択することによって1620、検査室オペレータによって試験割り当てが変更されることができる。検査室オペレータがシミュレートボタン1650を選択した場合、この新たな検査室構成が現在の検査室構成よりも良好に機能するかどうかを確認するために、検査室において検査室構成を実際に実施する前に、新たな検査室構成の検査室性能がシミュレートされることができる。
【0074】
図7は、本開示の実施形態にかかる、検査室性能の中断が最も少ない検査室保守サービスを実行するための時間を提案するための検査室性能シミュレーションモジュール410の使用のフローチャートを示している。この実施形態では、検査室性能シミュレーションモジュール410は、例えば、検査室分析機器のうちの1つがオフラインである場合、検査室性能に過度に悪影響を及ぼさない時間など、検査室機器に対して検査室のメンテナンスまたは保守を行うための時間を提案することができる。検査室全体の性能への影響を見るために、検査室性能シミュレーションモジュール410への入力として、検査室オペレータ405によって異なるケース/時間、すなわち、検査室保守サービス/メンテナンスを開始する異なる時間および/またはどの検査室機器を保守するかが提案されることができる。実際の検査室440からの既知の注文データ350も、検査室性能シミュレーションモジュール410に入力されることができる。さらに、一実施形態では、予測/予想注文データに基づく予測注文データ355も検査室性能シミュレーションモジュール410に入力されることができる。次いで、検査室性能シミュレーションモジュール410からのシミュレートされた検査室性能は、検査室オペレータ用のダッシュボード420上に表示されることができる。次いで、検査室オペレータは、検査室保守サービス/メンテナンスをスケジュールする最良の時間を選択することができ(430)、検査室の性能に対する検査室保守サービスのシミュレートされた影響に基づいて、どの検査室機器をスケジュールするかを選択することができる。
【0075】
図8は、検査室性能に対する保守サービス機器の影響を示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。ダッシュボードディスプレイ1800の左側には、検査室機器ラインまたは個々の検査室モジュール1810が表示され、保守サービスのために選択されることができる。検査室保守サービス1820の開始時間1815および持続時間も選択されることができる。いくつかの検査室保守サービスシナリオ、または事例が同時に選択されることができる。検査室オペレータがシミュレートボタン1825を選択することによって、異なる検査室保守サービスの事例がシミュレートされることができる。検査室シミュレーションの結果は、シミュレーション表示ボックス1830において表示および比較されることができる。一実施形態では、検査室保守サービスなしのシナリオも比較のために表示されることができる。したがって、検査室オペレータは、検査室性能に対する検査室保守サービスの影響を決定することができ、例えば、目標TAT時間に対する影響量が最も少ないシナリオなど、検査室性能に対する影響量が最も少ないシナリオを選択することができる。次いで、検査室オペレータは、検査室の機器に対して保守サービスを行うための最適な時間、すなわち、検査室の性能への影響が最も少ない時間を選択することができる。
【0076】
図9は、本開示の実施形態にかかる、例えば試薬および/または他の消耗品の不足などの将来の問題を予測するために実際の検査室性能と並行して実行されるシミュレーション検査室性能のフローチャートを示している。これらの望ましくないイベントが発生し得る時間がダッシュボード上に示されることができる。この実施形態では、実際の検査室540からの既知の注文データ、現在の検査室構成、および消耗品状態(すなわち、例えば、試薬レベル)550が、検査室性能シミュレーションモジュール510に入力されることができる。次いで、検査室性能シミュレーションモジュール510からの予測された検査室性能イベントは、検査室オペレータ用のダッシュボード220に表示される。予測される検査室性能イベントは、例えば、予測される検査室試験結果時間、検査室が試薬または他の消耗品を使い果たす可能性がある予測時間、予測される検査室性能、および/または検査室オペレータが例えば検査室保守サービスまたはメンテナンスのために検査室システムに介入する必要があり得る予測時間を含むことができる。次いで、検査室オペレータは、試薬カセットまたは他の消耗品をいつ補充するかを決定することができ530、検査室オペレータの行動がいつ必要とされ得るか、および/または検査室試験結果がいつ準備できるかの推定値を有する。
【0077】
図10は、検査室問題をどのように特定されることができるかを示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードのディスプレイを示している。シミュレーション、すなわち理想的な検査室性能と実際の検査室性能とを比較することによって、検査室ボトルネック1020(三角形の警告アイコンとして示されている)が特定されることができる。ボトルネック1020は、例えば、どの検査室モジュールにおいて遅延が発生しているか(ダッシュボード1010の上部)を示すことによって、またはステップが最適に実行されなかったワークフローのステップ(ダッシュボード1020の下部)を示すことによって示されることができる。ボトルネックのアイコン1020を選択することにより、またはカーソルをボトルネックのアイコン102の上に置くことにより、テキストウィンドウ1015が現れ、その箇所で発生している問題のタイプに関するさらなる詳細を表示することができる。
【0078】
図11は、検査室問題を特定する別の方法のグラフによる方法を示している。この実施形態では、シミュレーションの仮定(例えば、箱ひげ図としてグラフ化された試験サンプル到達プロファイル)は、試験サンプル到達プロファイルの実際のデータ(すなわち、破線)と比較されることができる。このタイプの比較の結果に基づいて、新たなシミュレーション/最適化がトリガされることができる。
【0079】
図12は、本開示の実施形態にかかる、試薬がいつ不足するかを予測するために実際の検査室性能と並行して実行されるシミュレーション検査室性能のフローチャートを示している。この例では、試薬カセットがいつ装填されるかの情報は、検査室システムによって自動的に提供され605、検査室性能シミュレーションモジュール610に入力されることができる。この実施形態では、実際の検査室640からの既知の注文データ650が検査室性能シミュレーションモジュール610に入力される。次いで、検査室が検査室性能シミュレーションモジュール610からシミュレートされた試薬を使い果たす可能性がある予測時間が、検査室オペレータ用のダッシュボード620に表示される。次いで、検査室オペレータは、試薬カセットをいつ補充または交換するかを決定することができる630。
【0080】
図13は、シミュレートされた性能と現在の検査室構成との間の違いを示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。例えば、現在の検査室構成が現在のまたは計画された試験注文に対して現在最適化されていないために、検査室オペレータが検査室構成を最適化したい場合、ダッシュボードは、例えば、最適化された検査室のシミュレートされた検査室性能と最適化されていない現在の検査室設計との間の差を検査室オペレータにダッシュボード1110の上部に表示することができる。ダッシュボード1110のこのセクションでは、検査室性能指標は、例えばTATなどの番号1115、ならびにグラフ比較1120として示されることができる。ダッシュボード1125の下部セクションは、例えば、検査室分析機器の試薬カセット構成の変更などの提案された検査室変更を表示する。一実施形態では、ダッシュボードは、情報のみを提供する。しかしながら、別の実施形態では、提案された検査室構成は、現在の検査室構成に適用されることができる。
【0081】
さらに、
図12はまた、将来をさらに検討する方法も示している。全ての注文がまだ分かっているわけではない場合、またはそれらの注文からの試験サンプルの到着時間が分からない場合、検査室において試薬が不足する。検査室性能シミュレーションモジュール610は、現在の検査室状況および例えば同様の日などの過去から提供された情報に基づく予測注文情報を使用することができる。したがって、その日に予想される注文の予測数を計算し660、検査室性能シミュレーションモジュール610に入力されることができる665。
【0082】
図14は、本開示の実施形態にかかる、いつ試験結果が予想されることができるか、またはいつ試験サンプルが準備できることができるかを予測するために実際の検査室性能と並行して実行される検査室性能シミュレーションのフローチャートを示している。この図では、前分析装置705および後分析装置710は、検査室システムに知られている、すなわち、これらの装置に利用可能なイベントモデルがある。検査室分析機器715も知られているが、検査室分析機器720は知られておらず、すなわち、検査室分析機器720に利用可能なイベントモデルはない。未知の要素は、
図13のクエスチョンマーク730によって示される未知の時間につながることができる。実際の検査室システムの全ての時間イベントが通信されるため、この未知の装置要素は、より多くの入力を受信するのにつれて時間とともにより良くなるシミュレーション機械学習モデルによって置き換えられることができる。次いで、検査室性能シミュレーションモデルは、イベントt1...t3の予測/予想を行うことができる。予測/イベントは、検査室ダッシュボード上に表示および更新されることができる。
【0083】
検査室性能シミュレーションモデルは完全ではないため、検査室性能シミュレーションモジュール740によって検査室ダッシュボードに提供される時間は、発生する実際の時間によって、すなわち、
図13では、t01(サンプルが前分析機器705を出る時間)、t12(サンプルが検査室分析機器715を出る時間)、およびt23(サンプルが検査室分析機器720を出る時間)が発生するときに更新されることができる。リアルタイムの結果が受信され、検査室性能シミュレーションモジュール740に追加されると、残りのイベント時間のより良い予測/予想が得られる。
【0084】
図15は、シミュレーションによる重要な検査室イベントの予測を示す例示的なユーザインターフェースダッシュボードディスプレイを示している。ダッシュボードディスプレイ1150の上部において、検査室オペレータは、検査室オペレータによって選択された特定の試験サンプルの試験サンプル結果がいつ公開されるか、すなわち予測されるかを観察することができる。ダッシュボードディスプレイ1155の下部セクションは、検査室オペレータによる手動介入を必要とするイベントを表示する。ダッシュボードのこのセクションは、例えば、試薬が不足する可能性があるとき、または出力バッファが一杯になり、試験サンプルラックを検査室システムから取り出す必要があるときに、検査室オペレータに表示される。
【0085】
予測情報を提供する技術は、イベントシミュレーションとダッシュボードおよび/または制御ソフトウェアとの統合を含むことができる。さらにまた、イベントシミュレーションのためのモデルは、当該技術分野において知られているように、数学的、ヒューリスティック、統計的または論理的決定論的または部分的確率論的定式化とすることができる。シミュレーション内のモデルは、経時的に徐々に現実的な挙動を得るために、実際のイベントデータによってリアルタイムで訓練されることができる学習ヒューリスティックを含むことができる。同じ検査室システムの異なるシミュレーション、または検査室システムの一部は、異なるタイプのモデルを使用して並行して実行されることができ、その後、比較されることができ、検査室性能ダッシュボードの結果を提供するために最良の予測シミュレーションモデルが選択されることができる。例えば、最初はあまり機能しないが、より長い訓練時間にわたってより良好に機能する傾向がある学習シミュレーションモデルの場合、非学習シミュレーションモデルは、最初に情報を検査室性能ダッシュボードに提供する。検査室システムは、予測されたイベントを実際の検査室データと比較することによって、各シミュレーションモデルがどれだけ良好に実行されているかを特定することができる。どのシミュレーションモデルが最良に機能するかに応じて、検査室システムは、情報としてどの結果を含めるか、または予測または予想を抽出するために結果をどのように重み付けするかを決定する。さらに、シミュレーション内のシミュレーションモデルは、例えば分布などの統計的記述も含むことができる。
【0086】
イベントシミュレーションのために、ソフトウェアコードが書き込まれ、および/または既存のシミュレーションソフトウェア/ライブラリが組み込まれる。そのような既存のシミュレーションソフトウェア/ライブラリの例は、Simio(商標)、AnyLogic(商標)、Arena(商標)、Plant Simulation(商標)、Python with Simpy(商標)ライブラリなどとすることができる。
【0087】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に含まれる1つ以上の実施形態において、開示された方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品がさらに開示および提案される。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データキャリアまたはサーバコンピュータに記憶されることができる。したがって、具体的には、上述したような方法ステップの1つ、2つ以上、または全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用して、好ましくはコンピュータプログラムを使用して実行されることができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙形式などの任意の形式で、またはオンプレミスのもしくは遠隔地に位置するコンピュータ可読データキャリア上に存在してもよい。具体的には、コンピュータプログラム製品は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して配布されてもよい。さらにまた、コンピュータプログラム製品だけでなく、実行ハードウェアも、オンプレミスまたはクラウド環境に配置されることができる。
【0089】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、検査室自動化システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体である。
【0090】
さらに開示および提案されるのは、コンピュータシステムによって実行されると、検査室自動化システムに本明細書に開示される1つ以上の実施形態にかかる方法を実行させる命令を含む変調されたデータ信号である。
【0091】
開示された方法のコンピュータ実装態様を参照すると、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上にかかる方法の方法ステップの1つ以上または全ての方法ステップは、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかは、コンピュータまたはコンピュータネトワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、サンプルの提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを通常除いて、任意の方法ステップを含むことができる。
【0092】
「好ましくは」、「一般的に」、および「典型的に」のような用語は、特許請求される実施形態の範囲を限定するため、または特定の特徴が特許請求される実施形態の構造または機能にとって重要、必須、またはさらに重要であることを意味するために本明細書では使用されないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図している。
【0093】
本開示を詳細に説明し、その特定の実施形態を参照することにより、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の範囲から逸脱することなく、変更および変形が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると識別されるが、本開示は、必ずしも本開示のこれらの好ましい態様に限定されないことが企図される。
【外国語明細書】