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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135656
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】環境貢献認識システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230921BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040428
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022040602
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】弁理士法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 北斗
(72)【発明者】
【氏名】澤根 範憲
(72)【発明者】
【氏名】上田 直将
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】 住宅内で消費される電力などについて脱炭素に貢献している程度を容易に把握できる形式にして、消費者に対して脱炭素を意識付けさせる。
【解決手段】 発電システム50及びガス燃焼機器41を有する住宅Jに適用されるシステム100であって、前記住宅Jで消費される可燃ガスのガス流量を計測するガスメータ40と、前記発電システム50及びガスメータ40に電気的に接続され且つ前記住宅Jに設けられた情報収集端末10と、前記端末10にネットワーク30を介して電気的に接続されたサーバ20と、を有し、前記端末10が、前記発電システム50及びガスメータ40から電力の自家消費量及びガス消費量をそれぞれ取得し、それらを前記サーバ20に送信し、前記サーバ20が、所定の換算式に基づいて前記自家消費量からCO排出削減量を算出し、所定の換算式に基づいて前記ガス消費量からCO排出量を算出する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーによる発電システム及び可燃ガスの燃焼機器を有する住宅に適用されるシステムであって、
前記住宅で消費される可燃ガスのガス流量を計測するガスメータと、
前記発電システム及びガスメータに電気的に接続され且つ前記住宅に設けられた情報収集端末と、
前記情報収集端末にネットワークを介して電気的に接続されたサーバと、を有し、
前記情報収集端末が、前記発電システム及びガスメータから電力の自家消費量及びガス消費量をそれぞれ取得し、前記自家消費量及びガス消費量を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記自家消費量及びガス消費量を取得し、所定の換算式に基づいて前記自家消費量からCO排出削減量を算出し、所定の換算式に基づいて前記ガス消費量からCO排出量を算出する、環境貢献認識システム。
【請求項2】
前記情報収集端末が、さらに、水道メータから水消費量を取得し、前記水消費量を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記水消費量を取得し、所定の換算式に基づいて前記水消費量からCO排出量を算出する、請求項1に記載の環境貢献認識システム。
【請求項3】
前記サーバが、前記CO排出削減量及びCO排出量を前記情報収集端末に送信し、
前記情報収集端末が、前記送信されたCO排出削減量及びCO排出量を出力する、請求項1または2に記載の環境貢献認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅内で消費されるエネルギーに関して、消費者に脱炭素を意識付けさせることに寄与する環境貢献認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出削減のため、化石燃料を再生可能エネルギーに代替し、脱炭素社会を実現させる取り組みが行われている。
企業や各種団体においては、法整備なども関連して脱炭素が意識付けられ、その取り組みが進んでいるが、一般消費者にも脱炭素化への取り組みが求められる。
一般消費者の住宅内で消費されるエネルギーとしては、主として電力及び可燃ガスがある。電力については、太陽光発電システムを住宅内に設置することによって脱炭素化が図られるが、可燃ガスについては、COの排出をゼロにすることができないのが現状である。
【0003】
ところで、太陽光発電システムを導入した住宅は、自家消費しなかった余剰電力を電力供給事業者(以下、電力会社)に売り、その売価によってシステム導入費などを賄っている。また、太陽光発電などの再生可能エネルギーによって発電された電力は、電力としての価値に加えて、化石燃料などに比較して発電時にCO排出量の少ない又はCOを排出しない電力であるという付加的な環境価値を有する。自家消費によって潜在化している前記環境価値を電力会社に譲渡する手法も考えられている(特許文献1)。かかる手法は、太陽光発電システムを導入した住宅をコスト面からサポートしていると言え、太陽光発電システムの導入促進に寄与していると言える。
また、住宅に供給される可燃ガスは、主としてLPガスと都市ガスがある。ガス供給事業者(以下、ガス会社)は、よりCO排出量の少ないガス、例えば、水素のような炭素を含まないガスを混合した混合ガスを普及させようとする取り組みを行おうとしている。しかし、前記混合ガスはコスト面に課題があり、現時点では、消費者に対してコスト面から導入を促すということは期待し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-105926号
【発明の概要】
【0005】
脱炭素社会の実現のためには、消費者に対して脱炭素社会に貢献するという意識付けが最も重要といえる。つまり、コスト面で負担があったとしても、消費者自身が脱炭素を意識することにより、脱炭素社会を早く実現させることができると言える。
しかし、一般的な太陽光発電システムでは、消費者がどれほど脱炭素に貢献しているかを容易に把握することができない。
可燃ガスについても、消費者はガス消費量などのコスト面を強く意識するが、消費者がどれほど脱炭素に貢献しているかを容易に把握することができない。例えば、消費者が脱炭素社会に貢献するという意識が高まることによって、上記混合ガスのような環境に優しい可燃ガスの普及も期待できる。
さらに、住宅内では上水道も使用されており、水道水を住宅に配水するまでの間でもCOが排出されている。また、住宅内から出る排水の処理にもCOが排出されている。従って、水道水の使用量を抑制する(節水する)ことは、上水道処理によるCOの排出を抑制でき、さらに、排水量の低減によるCOの排出抑制にも繋がり、環境貢献に資することになる。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、住宅内で消費される電力などについて脱炭素に貢献している程度を容易に把握できる形式にして、消費者に対して脱炭素を意識付けさせることに寄与する環境貢献認識システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
住宅内で可燃ガスや水道水を消費することは、COを排出するという点で環境面ではマイナスと評価できる。住宅内で再生可能エネルギーによって発電した電力は、全てCOの排出を削減したと評価できるが、住宅内で消費されない売電分を除く住宅内で自家消費する分が、実質的なCO排出削減であり、環境面でプラスと評価できる。このような考えの下、本システムを提供する。
【0008】
本発明は、再生可能エネルギーによる発電システム及び可燃ガスの燃焼機器を有する住宅に適用されるシステムであって、前記住宅で消費される可燃ガスのガス流量を計測するガスメータと、前記発電システム及びガスメータに電気的に接続され且つ前記住宅に設けられた情報収集端末と、前記情報収集端末にネットワークを介して電気的に接続されたサーバと、を有し、前記情報収集端末が、前記発電システム及びガスメータから電力の自家消費量及びガス消費量をそれぞれ取得し、前記自家消費量及びガス消費量を前記サーバに送信し、前記サーバが、前記自家消費量及びガス消費量を取得し、所定の換算式に基づいて前記自家消費量からCO排出削減量を算出し、所定の換算式に基づいて前記ガス消費量からCO排出量を算出する。
好ましくは、前記情報収集端末が、さらに、水道メータから水消費量を取得し、前記水消費量を前記サーバに送信し、前記サーバが、前記水消費量を取得し、所定の換算式に基づいて前記水消費量からCO排出量を算出する。
好ましくは、前記サーバが、前記CO排出削減量及びCO排出量を前記情報収集端末に送信し、前記情報収集端末が、前記送信されたCO排出削減量及びCO排出量を出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシステムは、住宅内で消費される電力などの各消費量をCO排出削減量及びCO排出量という形式に置換して消費者に提示できる。CO排出削減量及びCO排出量という形式は、COの排出程度が判りやすく、このような形式で消費者に提示することにより、消費者に対して脱炭素を意識付けさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本システムの全体例を示す構成図。
図2】太陽光発電システムの概略的な構成を示すブロック図。
図3】情報収集端末の概略的な構成を示すブロック図。
図4】サーバの概略的な構成を示すブロック図。
図5】顧客データベースに格納される情報を表す説明図。
図6】電力排出係数データベースに格納される情報を表す説明図。
図7】ガス排出係数データベースに格納される情報を表す説明図。
図8】水道排出係数データベースに格納される情報を表す説明図。
図9】取得データベースに格納される情報を表す説明図。
図10】処理値データベースに格納される情報を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<システム構成>
図1は、システム100の全体構成の一例を示す図である。図1を参照して、本発明のシステム100は、情報収集端末10と、サーバ20と、ネットワーク30と、を含む。ネットワーク30は、電気通信回線であり、例えば、携帯電話におけるキャリア網、インターネット網などを含む。
情報収集端末10は、住宅Jの所定の位置に設置され、一般的には、屋内の所定の位置に設置される。住宅Jには、戸建て、マンションなどの集合住宅、店舗などが含まれる。
なお、図1では、情報収集端末10を1つだけ表しているが、実際には、複数の情報収集端末10がネットワーク30を介してサーバ20に接続される。
住宅Jには、家電機器、再生可能エネルギーによる発電システム、ガス流量を計測するガスメータ、水消費量を計測する水道メータ、燃焼機器(ここでいう燃焼機器は、可燃ガスを消費する機器をいう)などが備えられている。
【0012】
情報収集端末10は、有線通信又は無線通信によって、ガスメータ40、発電システム50及び水道メータ60と電気的に接続可能であり、また、ネットワーク30を介してサーバ20と電気的に接続可能である。
情報収集端末10は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などを利用した通信方式で、ガスメータ40、発電システム50及び水道メータ60などとそれぞれ無線通信を行い、それらから情報を取得する。情報収集端末10は、複数の通信規格の間のデータ交換を提供するゲートウェイ機能を有しており、プロトコルの異なるネットワーク間でスムーズにデータをやり取りできるように制御する。
また、情報収集端末10は、例えば、4Gや5G(4th(5th) Generation)などの携帯電話通信方式或いは将来的に普及する任意の無線通信方式などを利用して、ネットワーク30を介して、サーバ20と通信可能に構成される。
【0013】
<再生可能エネルギーによる発電システム(太陽光発電システム)>
再生可能エネルギーによる発電システム50としては、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水素を用いた燃料電池発電などが挙げられる。燃料電池発電もカーボンフリーという点から、広い意味での再生エネルギー発電に含まれるものとする。
一般的には、太陽光発電システム50が一般家庭の住宅Jに設置されている。
図2は、住宅Jに設けられた太陽光発電システム50の概略的な構成を示すブロック図である。太陽光発電システム50は、従来公知であり、図2に示す構成は一例に過ぎない。
太陽光発電システム50は、太陽光パネル51と、パワーコンディショナ52と、分電盤53と、計測器54a,54b,54cと、電力量計測部55と、コントローラー56と、通信モジュールを含む通信部57と、表示装置(図示せず)と、蓄電池(図示せず)と、を有する。
【0014】
太陽光パネル51は、太陽光のエネルギーを電力に変換して発電を行うものである。太陽光パネル51によって発電された直流電力は、パワーコンディショナ52を通じて交流電力に変換されて分電盤53に送られる。
分電盤53は、電力会社の商用電源58に接続されている。分電盤53は、電力会社から電力を購入する及び電力を販売することを中継する。また、分電盤53は、住宅J内の各種の家電機器59に接続され、それらに電力を供給する。家電機器59としては、照明装置、掃除機、冷蔵庫、エアコン、テレビなどが挙げられる。
【0015】
計測器54aは、太陽光パネル51で発電した電力量(発電量)を計測する。計測器54bは、商用電源58に販売した電力量(売電量)を計測する。計測器54cは、商用電源58から購入した電力量(買電量)を計測する。電力量計測部55は、各計測器から、発電量、売電量及び買電量を含む電力情報を有線通信又は無線通信などの電気的な接続によって集め、時間情報と共にそれらを記憶する。
ここで、本明細書において、時間情報は、電力量、ガス消費量、水消費量などの量に対応する時間(以下、対応時間という)、その量を計測又は取得した時点(以下、取得日時という)を含む。例えば、電力情報における対応時間は、発電量などの計測開始時から計測終了時までの時間をいい、ガス情報における対応時間は、ガス消費量などの計測開始時から計測終了時までの時間をいい、水道情報における対応時間は、水消費量などの計測開始時から計測終了時までの時間をいう。取得日時は、発電量やガス消費量などの量を計測又は取得した日時をいう。
【0016】
コントローラー56は、HEMS(Home Energy Management System)を含み、分電盤53や電力量計測部55などに有線通信又は無線通信によって接続され、太陽光パネル51によって発電された電力の供給、蓄電池の充電量や放電量、商用電源58に対する買電量や売電量などを一元管理する機器である。コントローラー56は、プロセッサ及び揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの記憶部を有する。
【0017】
コントローラー56は、例えば、管理サーバ510と情報をやり取りして電力価格の時間差を考慮した蓄電・放電などの制御を行ったり、通信部を通じて情報収集端末10に売電量や自家消費量などの各種情報を送信することなどの各種の制御を行う。また、コントローラー56は、前記電力量計測部55から、発電量、売電量、買電量などの電力情報及び時間情報を取得して不揮発性メモリなどに記憶し、発電量などの各種情報を表示装置に表示する。さらに、コントローラー56は、発電量と売電量から電力の自家消費量(電力の自家消費量=発電量-売電量)を算出し、時間情報と共に不揮発性メモリなどに記憶する。なお、発電量などの計測は、30分単位、1時間単位などの比較的短い時間で行なわれることが多いが、コントローラー56は、それらの加算により1日単位や1ヶ月単位などの発電量なども作成可能である。
なお、コントローラー56に記憶される自家消費量は、後述する管理サーバ510が所定の基準で算出したものを用いることもできる。例えば、コントローラー56又は電力量計測部55が、発電量、売電量、買電量などの電力情報及び時間情報を管理サーバ20に送信し、管理サーバ510が、それらの情報を発電システム50の規格に従って自家消費量を算出し、それをコントローラー56に送信して記憶する方式でもよい。
【0018】
コントローラー56は、通信部57を通じて、ネットワーク(例えばインターネット網)を介して発電システム50の提供者などが運営する管理サーバ510と接続可能である。また、コントローラー56は、通信部57を通じて、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で情報収集端末10と接続可能である。コントローラー56は、情報収集端末10に、時間情報に関連付けて電力情報(時間情報と共に電力情報)を送信する。情報収集端末10に送信される電力情報は、自家消費量及び/又は発電量と売電量を含み、必要に応じて買電量などを含む。なお、電力量計測部55が、通信部を有し、電力量計測部55が、情報収集端末10に時間情報と共に電力情報を送信できるようにしてもよい。
【0019】
<ガスメータ及び可燃ガス>
ガスメータ40は、供給元42から住宅Jに流れて消費される可燃ガスの量(ガス流量)を計測する。住宅J内に流れる可燃ガスは、燃焼機器41によって消費される。
可燃ガスは、一般に、LPガスと都市ガスに大別される。その住宅Jの可燃ガスが、LPガスである場合には、前記供給元42はガスボンベであり、都市ガスである場合には、前記供給元42はガス会社に繋がる配管である。住宅J内の可燃ガスの燃焼機器41としては、ガスコンロ、湯沸かし器、ガスファンヒーターなどが挙げられる。
【0020】
ガスメータ40は、ガス流量の計測機能、通信機能及び時計機能を少なくとも有し、各機能を発揮させるために、ハード的には、時計、計測器、通信部、プロセッサ及びメモリなどを含む制御部を有する。このようなガスメータ40として、例えば、スマートガスメータ40などを使用できる。ガスメータ40は、ガス流量を計測してガス情報を作成する。前記ガス情報は、ガス消費量若しくはガス流量の積算量(積算値)を含み、又は両者を含んでいてもよい。ガス消費量は、ある時間中のガス流量の総量をいい、積算量は、計測時点のガス流量の累積値をいう。ガス消費量は、計測時点の積算量(積算値)-1つ前の計測時点の積算量(積算値)から求められる。
ガスメータ40は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で、情報収集端末10と接続可能である。ガスメータ40は、情報収集端末10に、ガス情報を送信し、好ましくは、時間情報と共にガス情報を送信する。
【0021】
<水道メータ>
水道メータ60は、水道の供給元である地域の水道局(浄水場)から住宅Jに流れて消費される水道水の量(水消費量)を計測する。住宅J内に流れる水道水は、風呂、洗面所、台所などで消費される。
水道メータ60は、流量の計測機能、通信機能及び時計機能を少なくとも有し、各機能を発揮させるために、ハード的には、時計、計測器、通信部、プロセッサ及びメモリなどを含む制御部を有する。このような水道メータ60として、例えば、水道スマートメータなどを使用できる。水道メータ60は、流量を計測して水道情報を作成する。前記水道情報は、水消費量若しくは流量の積算量(積算値)を含み、又は両者を含んでいてもよい。水消費量は、ある時間中の水の流量の総量をいい、積算量は、計測時点の水の流量の累積値をいう。水消費量は、計測時点の積算量(積算値)-1つ前の計測時点の積算量(積算値)から求められる。
水道メータ60は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で、情報収集端末10と接続可能である。水道メータ60は、情報収集端末10に、水道情報を送信し、好ましくは、時間情報と共に水道情報を送信する。
【0022】
<情報収集端末>
図3は、情報収集端末10の概略的な構成を示すブロック図である。
情報収集端末10は、主制御部11と、通信モジュールを含む第1通信部12及び第2通信部13と、スピーカを含む出力部14と、操作インターフェースを含む入力部15と、を有し、各部はバス16で接続されてデータ信号をやり取りできる。
主制御部11は、ガスメータ40などとの通信、サーバ20との通信、出力部14への情報の出力、入力部15からの入力など各種の制御を行う。主制御部11は、プロセッサ111と、揮発性メモリや不揮発性メモリなどの記憶部112と、を有する。プロセッサ111は、不揮発性メモリなどに記憶されたプログラムに従い全体の動作を制御し、データの送受信の制御及び処理の実行に必要な情報処理などを行なう演算装置である。
第1通信部12は、ガスメータ40、発電システム50、水道メータ60などの住宅J内に設けられている機器類と通信するためのものである。情報収集端末10(主制御部11)は、例えばBluetoothモジュールなどの近距離無線通信モジュールを含む第1通信部12を通じて前記機器類と通信する。第2通信部13は、サーバ20と通信するためのものであり、情報収集端末10(主制御部11)は、例えばLTEモジュールなどを含む第2通信部13を通じて前記サーバ20と通信する。
なお、情報収集端末10は、家電機器などのその他の住宅Jに設けられている機器類と通信してそれらから各種の情報を取得してもよい。
【0023】
出力部14は、スピーカを有し、必要に応じて、さらに表示装置を有していてもよい。スピーカは、主制御部11から出力された音データを変換して音を発し、表示装置は、主制御部11から出力された画像データを変換して画像を表示する。
入力部15は、使用者からの各種指示を受け付ける。入力部15は、出力部14に所定の音又は画像を出力させる又は出力を停止させるための操作ボタン、緊急連絡用ボタンなどを含む。
なお、情報収集端末10は、上記以外に他の機能及びその機能を実現する装置類を有していてもよい。例えば、情報収集端末10は、カメラを有し且つ当該カメラによって住宅J内を撮像し、撮像データをサーバ20に送信する機能、ガス漏れを検知するガスセンサを有し且つガス漏れを検知した場合にガス遮断弁を作動させる機能、ガス漏れを検知した場合にサーバ20に送信する機能、ガス漏れを検知した場合にスピーカから警報音を発する機能などを有していてもよい。
【0024】
<サーバ>
サーバ20は、本システム100のサービスを提供する情報処理装置である。
サーバ20は、図4に示すように、プロセッサ211及び記憶部212を有する制御部21と、ストレージ部22と、通信モジュールを含む通信部23と、入出力部24と、顧客データベースDB1と、電力排出係数データベースDB2と、ガス排出係数データベースDB3と、水道排出係数データベースDB4と、取得データベースDB5と、処理値データベースDB6と、を有し、各部はバス26で接続されてデータ信号などをやり取りできる。
プロセッサ211は、サーバ20全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、プログラムの実行に必要な情報処理などを行う演算装置である。記憶部212は、DRAMなどの揮発性メモリからなる主メモリと、HDDなどの不揮発性メモリからなる補助メモリと、から構成される。
ストレージ部22は、HDDなどの不揮発性メモリから構成される。例えば、サーバ20の起動時に必要なBIOSや各種設定が補助メモリに記憶され、処理を実行するプログラムがストレージ部22に記憶される。
通信部23は、サーバ20をネットワーク30に接続する。入出力部24は、システム運営者の各種指示を受け付け、及び、画像などを出力する。
【0025】
顧客データベースDB1は、顧客情報を格納し、電力排出係数データベースDB2は、電力のCO排出係数の情報を格納し、ガス排出係数データベースDB3は、可燃ガスのCO排出係数の情報を格納し、水道排出係数データベースDB4は、水道のCO2排出係数の情報を格納し、取得データベースDB5は、情報収集端末10から取得した各種情報(識別情報、時間情報、電力情報、ガス情報、水道情報など)を格納し、処理値データベースDB6は、サーバ20が情報処理して得られた情報(CO排出削減量及びCO排出量)を格納している。
【0026】
顧客データベースDB1には、顧客情報が格納されている。顧客情報は、情報収集端末10の識別情報、個人情報及び設備情報を少なくとも含んでいる。前記識別情報は、各情報収集端末10にそれぞれ固有に付与されたIDである。個人情報は、情報収集端末10の契約者の氏名、住所などを含む。設備情報は、住宅Jに設置されている設備に関する情報であり、発電システム50が売電及び買電している電力会社、住宅Jに供給される可燃ガスの種類(LPガス、都市ガス)、住宅Jに供給される水道の供給元などを含む。
顧客データベースDB1には、個々の情報収集端末10の識別情報(1つの識別情報)に対してその個人情報及び設備情報などが関連付けられて一纏めのデータとされ、それが複数の情報収集端末10毎に作成されている。
例えば、図5は、顧客データベースDB1に格納される情報の構成例を示す。同図において、行(1)において、1つの識別情報に個人情報及び設備情報が関連付けられて記録され、行(2)において、他の識別情報に個人情報及び設備情報が関連付けられて記録されている。なお、設置されている住宅Jの電力会社及び/又は可燃ガスの種類が不明である場合又は何らかの事情でデータベースに記録させることができない場合には、同図の行(9)に示すように、ブランクとする。
【0027】
電力排出係数データベースDB2には、複数の電力会社の情報及びそれぞれの電力のCO排出係数の情報が少なくとも格納されている。
ここで、電力のCO排出係数は、CO排出原単位とも呼ばれ、電力会社が1kWhの電力を作り出す際にどれだけの量のCOを排出したかを表す指標をいい、例えば、kg-CO/kWhで表される(以下、電力のCO排出係数を、電力排出係数という)。電力排出係数は、電力会社ごとに異なっており、また、同じ電力会社であっても経時的に電力排出係数は変化する。電力排出係数は、環境省において「電気事業者別排出係数一覧」で公表されている。
【0028】
電力排出係数データベースDB2には、1つの電力会社とその会社の電力排出係数が関連付けられて一纏めのデータとされ、複数の電力会社毎に記録されている。また、これらとは別に、電力排出係数データベースDB2には、平均的な電力排出係数も1つのデータとして含めて記録されている。
例えば、図6は、電力排出係数データベースDB2に格納される情報の構成例を示す。同図において、行(1)において、1つの電力会社とそれに関連付けられてその会社の電力排出係数が記録され、行(2)において、他の電力会社とそれに関連付けられてその会社の電力排出係数が記録されている。また、行(9)において、電力排出係数の平均値が記録されている。前記平均値は、電力排出係数データベースDB2中の電力排出係数の平均値をいう。この平均値は、顧客データベースDB1の電力会社を参照した際に、それがブランク(不記録)であった場合に、暫定的に使用される電力排出係数である。
なお、図6乃至図8に記載の電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数の具体的な数値は、あくまで例示に過ぎない。
【0029】
ガス排出係数データベースDB3には、種類の異なる可燃ガスのCO排出係数の情報が少なくとも格納されている。
ここで、ガスのCO排出係数は、可燃ガスを燃焼する際にどれだけの量のCOが発生するかを表す指標であり、例えば、kg-CO/m又はkg-CO/kgで表される(以下、可燃ガスのCO排出係数を、ガス排出係数という)。
ガス排出係数は、可燃ガスの種類(LPガス、都市ガス)によって異なる。また、ガス排出係数は、将来的に変化し得る。
【0030】
ガス排出係数データベースDB3には、ガスの種類とその種別毎の平均的なガス排出係数が関連付けられて一纏めのデータとされ、ガスの種別毎に記録されている。
例えば、図7は、ガス排出係数データベースDB3に格納される情報の構成例を示す。同図において、行(1)において、LPガスとそれに関連付けられてその平均的なガス排出係数が記録され、行(2)において、都市ガスとそれに関連付けられてその平均的なガス排出係数が記録されている。また、行(3)において、LPガスと都市ガスのガス排出係数の平均値が記録されている。この平均値は、顧客データベースDB1のガスの種類を参照した際に、それがブランク(不記録)であった場合に、暫定的に使用されるガス排出係数である。
【0031】
水道排出係数データベースDB4には、水道の供給元の情報が少なくとも格納されている。
ここで、水道のCO排出係数は、1mの水道を供給するためにどれだけの量のCOが発生するかを表す指標であり、例えば、g-CO/m又はkg-CO/mで表される(以下、水道のCO排出係数を、水道排出係数という)。
水道排出係数は、水道の供給元である地域の水道局によって異なる。例えば、東京都水道局の2020年度の水道排出係数(1m当たりのCO排出量)は、245g-CO/m(0.245kg-CO/m)という数値が参考的に挙げられ、大阪市水道局の2020年度の水道排出係数は、157g-CO/m(0.157kg-CO/m)という数値が参考的に挙げられる。
なお、上記では、CO排出量の算出にあたって使用する水道排出係数を、東京都水道局などが説明しているような、水道の供給(浄水から配水)を基準にした排出係数を使う場合を例示している。しかしながら、水道排出係数は、これに限られず、適宜変更することもできる。例えば、一般社団法人日本レストルーム工業会は、上下水道に接続される水まわり製品を使用することによって発生する水使用に由来するCO排出量の算出において、0.54kg-CO/m(2020年公表の換算係数)という数値を使用することを推奨しており、かかる社団法人の換算係数を本発明の水道排出係数として用いてもよい。前記水道局が公表する1m当たりのCO排出量や前記社団法人が公表する換算係数は、技術の進歩などによって将来的に変化し得る。
【0032】
水道排出係数データベースDB4には、水道の供給元の水道排出係数とその平均的な水道排出係数が関連付けられて一纏めのデータとされ、記録されている。
例えば、図8は、水道排出係数データベースDB4に格納される情報の構成例を示す。同図において、行(1)において、ある水道の供給元とそれに関連付けられてその水道排出係数が記録され、行(2)において、別の供給元とそれに関連付けられてその水道排出係数が記録されている。また、行(9)において、水道排出係数の平均値が記録されている。前記平均値は、水道排出係数データベースDB4中の水道排出係数の平均値をいう。この平均値は、顧客データベースDB1の水道供給元を参照した際に、それがブランク(不記録)であった場合に、暫定的に使用される水道排出係数である。
【0033】
取得データベースDB5には、情報収集端末10から取得した各種情報(識別情報、電力情報、ガス情報、時間情報など)が少なくとも格納されている。
取得データベースDB5には、情報収集端末10の識別情報と時間情報を含む電力情報(自家消費量、発電量、売電量など)が関連付けられて一纏めのデータとされ、複数の情報収集端末10毎に記録されている。同様に、取得データベースDB5には、情報収集端末10の識別情報と時間情報を含むガス情報(ガス消費量など)が関連付けられて一纏めのデータとされ、複数の情報収集端末10毎に記録されている。同様に、取得データベースDB5には、情報収集端末10の識別情報と時間情報を含む水道情報(水消費量など)が関連付けられて一纏めのデータとされ、複数の情報収集端末10毎に記録されている。
例えば、図9は、取得データベースDB5に格納される情報の構成例を示す。同図の[電力情報]のテーブルは、情報収集端末10から取得した電力情報のデータベース、[ガス情報]のテーブルは、情報収集端末10から取得したガス情報のデータベース、[水道情報]のテーブルは、情報収集端末10から取得した水道情報のデータベースを示す。同図において、対応時間及び取得日時は、電力情報、ガス情報及び水道情報を計測した際に関連付けられている上記時間情報である。
図9のA1~A2は、例えば、2021年10月1日0時~2021年10月2日0時などを意味し、A3は、例えば、2021年10月1日14時30分などを意味し、B1乃至B3、C1乃至C3、D1乃至D3、E1乃至E3、F1乃至F3、G1乃至G3、H1乃至H3、J1乃至J3、K1乃至K3、L1乃至L3、M1乃至M3も同様である。同図の[電力情報]において、行(1)-(a1)などの各行は、情報収集端末10から取得した情報の1単位である。例えば、行(1)-(a1)は、ID:1234567890の情報収集端末10から取得したある時点の情報(例えば10月10日(ある時点)に情報収集端末10からサーバ20が受信した電力情報などの情報)、行(1)-(b1)は、ID:1234567890の情報収集端末10から取得した他の時点の情報(例えば11月10日(他の時点)に情報収集端末10からサーバ20が受信した電力情報などの情報)を意味する。同図の[ガス情報]及び[水道情報]の行(1)-(a1)なども同様である。
【0034】
処理値データベースDB6には、サーバ20が情報処理して得られた情報(CO排出削減量及びCO排出量)が格納されている。
処理値データベースDB6には、情報収集端末10の識別情報と処理値(CO排出削減量及びCO排出量)とその処理値の対象となる期間が関連付けられて一纏めのデータとされ、複数の情報収集端末10毎に記録されている。
例えば、図10は、処理値データベースDB6に格納される情報の構成例を示す。同図において、行(1)-(a)などの各行は、サーバ20が1回の算出処理を行なって得られた処理値(1単位)である。例えば、行(1)-(a)は、ID:1234567890の情報収集端末10についてのある対象期間のCO排出削減量及びCO排出量(当該端末の例えば10月1日~10月末日までの自家消費量、ガス消費量及び水消費量から算出したCO排出削減量及びCO排出量)、行(1)-(b)は、ID:1234567890の情報収集端末10から取得した他の対象期間のCO排出削減量及びCO排出量(当該端末の例えば11月1日~11月末日までの自家消費量、ガス消費量及び水消費量から算出したCO排出削減量及びCO排出量)を意味する。
【0035】
なお、各データベースには、上記以外に任意の適切な情報を含んでいてもよい。
【0036】
<システムの動作(処理手順)>
情報収集端末10やサーバ20などは、プログラムに従い、下記の処理を実行する。なお、処理の実行は、情報収集端末10などのプロセッサが行なうが、以下では、情報収集端末10、サーバ20などで記載している。
【0037】
(情報収集端末による電力情報、ガス情報及び水道情報の取得)
情報収集端末10は、サーバ20から電力情報、ガス情報及び水道情報を取得する指示を受信したときに、発電システム、ガスメータ及び水道メータから時間情報と共に電力情報、ガス情報及び水道情報を取得し、それらをサーバ20に送信する。或いは、情報収集端末10に予め電力情報、ガス情報及び水道情報を取得する開始時を設定しておき、情報収集端末10がその日時が来たと判断したときに、情報収集端末10は、発電システム及びガスメータから時間情報と共に電力情報、ガス情報及び水道情報を取得し、それらをサーバ20に送信するようにしてもよい。
【0038】
情報収集端末10による電力情報の取得、ガス情報の取得及び水道情報の取得は、同期して行なってもよく、別々(異なる日時)に行なってもよい。情報収集端末10による処理を簡素化するために、電力情報の取得、ガス情報の取得及び水道情報の取得は、同期して行なう(同時並行的に行なう)ことが好ましい。なお、情報収集端末10は、これらの情報を実質的に同時にサーバ20に送信してもよく、或いは、それぞれ独立して異なる時点でサーバ20に送信してもよい。
また、取得する電力情報、ガス情報及び水道情報は、同じ期間分であってもよく、或いは、異なる期間分であってもよい。同じ期間分とは、電力情報、ガス情報及び水道情報の各対応時間が同じであることをいう(例えば2021年10月1日~2021年10月末日(対応時間)の電力情報、ガス情報及び水道情報)。異なる期間分とは、電力情報、ガス情報及び水道情報の対応時間が異なっていることをいう(例えば、ガス消費量などのガス情報が2021年10月1日~2021年10月末日のもので、自家消費量などの電力情報が2021年10月1日~2021年10月2日のものなど)。
【0039】
情報収集端末10による処理の簡素化及び取得するデータ群の数を少なくするために、情報収集端末10は、同じ期間分の電力情報、ガス情報及び水道情報を取得することが好ましい。
一般的には、可燃ガスの検針は、1ヶ月単位で行なわれるので、それに合わせて、情報収集端末10は、対応時間が1ヶ月分のガス情報を取得し、それに合わせて、対応時間が1ヶ月分の電力情報及び水道情報を取得することが好ましい。ただし、情報収集端末10は、1日単位(対応時間が1日)などのガス情報及び/又は電力情報及び/又は水道情報を取得してもよい。
【0040】
以下、ガス情報の取得、電力情報の取得及び水道情報の取得に分けて説明する。
情報収集端末10は、サーバ20から指示を受信したとき又は予め設定されている日時が来たときに、ガスメータに無線通信などを介して指示を送信し、ガスメータから送信されるガス情報を受信する。例えば毎月末日にサーバ20から指示を受け又は例えば毎月末日(予め設定された開始時)が来たときに、情報収集端末10は、ガスメータからガス情報を受信する。このように月単位の場合、情報収集端末10は、ガスメータから1ヶ月分のガス消費量などのガス情報を取得することになる。ガス情報は、上述のように、ガス消費量又は/及び積算量を含む。
なお、ガスメータがガス流量の積算量だけを計測するものである場合、情報収集端末10は、ガスメータから積算量を受信した後、その受信時点の積算量と直前の積算量を減算して、ガス消費量を算出し、それを時間情報と共に不揮発性メモリなどに記憶する。なお、前記ガス消費量は、ガス消費量=現時点の積算量(積算値)-1つ前に取得した時点の積算量(積算値)、で求められる。
また、ガスメータが時間情報を附随させることができないものである場合、情報収集端末10は、ガス情報(積算量又はガス消費量)を取得すると共に、対応時間を含む時間情報を作成し、ガス消費量を時間情報と共に不揮発性メモリなどに記憶する。なお、この場合、対応時間は、1つ前の取得日時~現在の日時であり、上記の例の場合には1ヶ月である。
情報収集端末10は、自己の識別情報並びにガス消費量を含むガス情報及びその時間情報を、サーバ20に送信する。
【0041】
情報収集端末10は、サーバ20から指示を受信したとき又は予め設定されている日時が来たときに、発電システムのコントローラー(又は電力量計算部)に無線通信などを介して指示を送信し、発電システムから送信される電力情報及び時間情報を受信する。情報収集端末10は、例えば毎月末日にサーバ20から指示を受け又は例えば毎月末日(予めの設定された開始時)が来たときに、情報収集端末10は、発電システムのコントローラー(又は電力量計算部)から電力情報及び時間情報を受信する。このように月単位の場合、情報収集端末10は、1ヶ月分の電力情報を取得することになる。電力情報には、自家消費量を含み、さらに必要に応じて、発電量、売電量、買電量などを含む。
なお、発電システムが自家消費量を算出しないシステムである場合、情報収集端末10が、発電システムから発電量及び売電量を取得し、それを減算し(発電量-売電量)、自家消費量を算出してもよい。また、発電システムが自家消費量を算出しないシステムである場合、情報収集端末10が取得した前記発電量及び売電量をサーバ20に送信し、サーバ20が前記減算を行なってもよい。このように情報収集端末10又はサーバ20が発電量及び売電量から自家消費量を算出する場合も、本発明では、情報収集端末10が発電システムから電力の自家消費量を取得したものとみなす。
情報収集端末10は、自己の識別情報並びに自家消費量を含む電力情報及びその時間情報を、サーバ20に送信する。
【0042】
情報収集端末10は、サーバ20から指示を受信したとき又は予め設定されている日時が来たときに、水道メータに無線通信などを介して指示を送信し、水道メータから送信される水道情報を受信する。例えば毎月末日にサーバ20から指示を受け又は例えば毎月末日(予め設定された開始時)が来たときに、情報収集端末10は、水道メータから水道情報を受信する。このように月単位の場合、情報収集端末10は、水道メータから1ヶ月分の水消費量などの水道情報を取得することになる。
なお、水道メータが水の流量の積算量だけを計測するものである場合、情報収集端末10は、水道メータから積算量を受信した後、その受信時点の積算量と直前の積算量を減算して、水消費量を算出し、それを時間情報と共に不揮発性メモリなどに記憶する。なお、前記水消費量は、水消費量=現時点の積算量(積算値)-1つ前に取得した時点の積算量(積算値)、で求められる。
また、水道メータが時間情報を附随させることができないものである場合、情報収集端末10は、水道情報(積算量又は水消費量)を取得すると共に、対応時間を含む時間情報を作成し、水消費量を時間情報と共に不揮発性メモリなどに記憶する。
情報収集端末10は、自己の識別情報並びに水消費量を含む水道情報及びその時間情報を、サーバ20に送信する。
【0043】
(サーバによる電力情報、ガス情報及び水道情報の記憶)
サーバ20は、情報収集端末10から自家消費量を含む電力情報、ガス消費量を含むガス情報及び水消費量を含む水道情報などを取得した後、それらを記憶する。
サーバ20は、情報収集端末10から取得した識別情報に基づいて、取得データベースDB5を更新する。
図9を参照して、サーバ20が、ID:1234567890の識別情報と---kWhの自家消費量などとA1~A2などの時間情報を含む情報を情報収集端末10から受け取った場合、取得データベースDB5の[電力情報]テーブルに、行(1)-(a1)を記載する。同様に、サーバ20が、ID:1234567890の識別情報と---mのガス消費量などとE1~E2などの時間情報を含む情報を情報収集端末10から受け取った場合、取得データベースDB5の[ガス情報]テーブルに、行(1)-(a1)を追加する。同様に、サーバ20が、ID:1234567890の識別情報と---mの水消費量などとJ1~J2などの時間情報を含む情報を情報収集端末10から受け取った場合、取得データベースDB5の[水道情報]テーブルに、行(1)-(a1)を追加する。
サーバ20は、情報収集端末10から受け取る他の情報についても同様にして取得データベースDB5を更新してもよい。
【0044】
(サーバによるCO排出削減量及びCO排出量の算出及び記憶)
サーバ20は、予め設定されている処理時が来たと判断したときに、所定の換算式に基づいて自家消費量からCO排出削減量を算出し、所定の換算式に基づいてガス消費量及び水消費量からCO排出量を算出し、それらを処理値データベースDB6に記録する。
処理(CO排出削減量及びCO排出量を算出する処理)の頻度は、特に限定されない。CO排出削減量とCO排出量を算出する目的は、それらを消費者に提示して脱炭素を意識付けさせるためであるので、非常に短い期間のCO排出削減量及びCO排出量を消費者に提示するよりも、例えば1ヶ月単位などの消費者に判りやすい期間のCO排出削減量及びCO排出量を消費者に提示できるようにすることが望ましい。
以下、1ヶ月毎に算出処理を行なう場合を例に採って説明する。
【0045】
サーバ20には、例えば、毎月の特定日(例えば毎月10日)にCO排出削減量及びCO排出量の算出処理を開始するような設定がプログラミングされている。
サーバ20は、その特定日が来たと判断したときに、図9の取得データベースDB5を参照して、特定の情報収集端末10(算出対象となる情報収集端末10。以下、特定端末という)の識別情報から所定の対象期間(例えば1ヶ月分)の自家消費量、ガス消費量及び水消費量を取り出す。例えば特定日(算出処理の開始日)が11月10日である場合、その前月の自家消費量、ガス消費量及び水消費量、例えば10月1日~10月末日の自家消費量、ガス消費量及び水消費量を取り出す。
なお、取得データベースDB5に、例えば1日単位などの1ヶ月単位未満の電力情報及び/又はガス情報及び/又は水道情報が記録されている場合には、サーバ20は、その中から該当月分を取り出し、合算して1ヶ月分の自家消費量、ガス消費量及び水消費量を作成する。
【0046】
この自家消費量、ガス消費量及び水消費量の取り出し又は作成と並行して、サーバ20は、図5の顧客データベースDB1を参照して、特定端末の識別情報から当該特定端末が設置されている住宅の電力会社(例えばAA電力会社)を特定し、図6の電力排出係数データベースDB2を参照して、その電力会社の電力排出係数(例えば0.512kg-CO/kWhなど)を取り出す。
なお、顧客データベースDB1を参照して、特定端末が設置されている住宅の電力会社が不明(ブランク)である場合には、図6の電力排出係数データベースDB2を参照して、平均値の電力排出係数(0.441kg-CO/kWh)を取り出す。また、顧客データベースDB1を参照して特定端末が設置されている住宅の電力会社を特定したが、電力排出係数データベースDB2に当該電力会社が記録されていない場合にも、平均値の電力排出係数を取り出す。
【0047】
同様に、サーバ20は、図5の顧客データベースDB1を参照して、特定端末の識別情報から当該特定端末が設置されている住宅の可燃ガスの種類を特定し、図7のガス排出係数データベースDB3を参照して、その可燃ガスの種類に対応したガス排出係数(6.6kg-CO/m又は2.2kg-CO/m)を取り出す。
なお、顧客データベースDB1を参照して、特定端末が設置されている住宅の可燃ガスの種類が不明(ブランク)である場合には、図7のガス排出係数データベースDB3を参照して、平均値のガス排出係数(4.4kg-CO/m)を取り出す。
同様に、サーバ20は、図5の顧客データベースDB1を参照して、特定端末の識別情報から当該特定端末が設置されている住宅の水道の供給元を特定し、図8の水道排出係数データベースDB4を参照して、その供給元に対応した水道排出係数(例えば0.234kg-CO/mなど)を取り出す。
なお、顧客データベースDB1を参照して、特定端末が設置されている住宅の供給元が不明(ブランク)である場合には、図8の水道排出係数データベースDB4を参照して、平均値の水道排出係数(0.214kg-CO/m)を取り出す。
【0048】
サーバ20は、前記取り出した自家消費量と電力排出係数を、次の換算式(1)に代入してCO排出削減量(kg)を算出する。
サーバ20は、前記取り出したガス消費量とガス排出係数を、次の換算式(2)に代入してCO排出量(kg)を算出する。
サーバ20は、前記取り出した水消費量と水道排出係数を、次の換算式(3)に代入してCO排出量(kg)を算出する。
換算式(1):CO排出削減量(kg)=自家消費量×電力排出係数。
換算式(2):CO排出量(kg)=ガス消費量×ガス排出係数。
換算式(3):CO排出量(kg)=水消費量×水道排出係数。
サーバ20は、必要に応じて、CO排出削減量とCO排出量を減算して、差分を算出するようにしてもよい。差分は、CO排出削減量-CO排出量、で算出できる。なお、前記差分する際のCO排出量は、上記の場合、ガス消費に基づくCO排出量と水消費に基づくCO排出量との和とする。
サーバ20は、得られたCO排出削減量、CO排出量及び差分を、図10の処理値データベースDB6に記録する。
以後、同様な処理を実行することにより、処理値データベースDB6に、期間毎(例えば1ヶ月単位)のCO排出削減量及びCO排出量などを蓄積できる。
なお、処理値データベースに蓄積されるCO排出削減量及びCO排出量の各データに、ブロックチェーン技術を用い電子署名を付与することにより、官公庁等に対しても提供できる公的データ、或いは、CO排出権の流通・売買を行うための信頼性の高いデータなどにすることもできる。
【0049】
(電力排出係数データベース、ガス排出係数データベース及び水道排出係数データベースの更新)
上述のように、電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数は、将来的に変化し得るものである。
例えば、電力排出係数は、電力会社などの取り組みなどによって将来的に変化する可能性がある。また、ガス排出係数についても、ガス会社が水素などのカーボンフリーガスを混合するなどによって将来的に下がる可能性がある。また、水道排出係数についても、浄水場などの設備などによって将来的に下がる可能性がある。
比較的正確なCO排出削減量及びCO排出量に消費者に提示するため、電力排出係数データベースDB2、ガス排出係数データベースDB3及び水道排出係数データベースDB4の中の電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数をそれぞれ最新の状態に更新しておくことが好ましい。
前記最新の電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数は、システム運営者が入力して各データベースを更新もよく(人為的な入力)、或いは、サーバ20が自動的に更新するようにしてもよいが、好ましくは、後者である。
【0050】
例えば、最新の電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数を提供するサーバがネットワークに接続されているものとする(以下、このサーバを別サーバという)。
本システム100のサーバ20は、所定時(例えば1ヶ月毎)に前記別サーバに接続し、最新の電力排出係数、ガス排出係数及び水道排出係数を取得し、電力排出係数データベースDB2、ガス排出係数データベースDB3及び水道排出係数データベースDB4をそれぞれ更新する。
【0051】
(サーバによるCO排出削減量及びCO排出量の出力)
サーバ20は、CO排出削減量などを何らかの形式で消費者に提示する。
例えば、サーバ20は、ある識別情報に関連したCO排出削減量、CO排出量及び差分を、その識別情報で特定される情報収集端末10に送信する。情報収集端末10は、それらを出力部にて出力する。具体的には、CO排出削減量、CO排出量及び差分のデータを受信した情報収集端末10は、それらを記憶すると共に、端末契約者から指示に従い、それらをスピーカや表示装置から出力する。
或いは、サーバ20は、端末契約者のスマートフォンやパソコンからの要求に応じて、CO排出削減量及びCO排出量などを前記スマートフォンやパソコンに送信し、前記スマートフォンなどで表示するようにしてもよい。この場合、スマートフォンなどにアプリケーションがインストールされており、そのアプリケーションが前記サーバ20への要求及びCO排出削減量などの表示などの処理を実行する。
或いは、サーバ20は、CO排出削減量、CO排出量及び差分を、顧客データベースに記録されたemailアドレスに送信してもよい。
或いは、システム運営者が、端末契約者用のホームページを別途webサーバに作成し、契約者がそれにログインすることによって、サイトにCO排出削減量及びCO排出量などを提示するようにしてもよい。
【0052】
<本システムの効果>
発電システムを備える住宅においては、発電した電力が自家消費されるので、COの排出を削減した(本来COを排出する方式で発電された電力と比較すると、COを排出しなかったからCOの排出を削減した)という意味で、環境面ではプラスと言える。他方、可燃ガスの燃焼機器を有する住宅においては、可燃ガスが消費されてCOを排出するので、環境面ではマイナスと言える。同様に、取水して浄水した水道を供給する過程でCOを排出するので、水道を消費する行為は、環境面ではマイナスと言える。
このような考えの下、本システムは、住宅内で消費されるエネルギーを、プラス面である発電電力の自家消費とマイナス面であるガス消費及び水道消費に分け、それぞれをCO排出削減量及びCO排出量という形式にして消費者に提示するものである。
【0053】
消費者は、電力やガスの消費量を知っても脱炭素を意識し難い。本システムによれば、CO排出削減量及びCO排出量という消費者に判りやすい形に置換して提示できるので、消費者は、脱炭素に貢献している程度を容易に把握することができる。このため、消費者は、脱炭素に貢献するという意識が強くなる。
消費者の脱炭素意識の高まりにより、例えば、CO排出量の少ない可燃ガス、排出しない可燃ガス又はCOの排出を削減していると評価できる可燃ガスを消費者が導入することを期待でき、そのような可燃ガスの普及が促進される。CO排出量の少ない可燃ガスとしては、例えば、水素とLPガスが混合された水素混合ガスなどが挙げられ、COを排出しない可燃ガスとしては、例えば、純水素ガスなどが挙げられ、COの排出を削減していると評価できる可燃ガスとしては、再生可能エネルギーを利用し製造されたグリーン水素や、CO或いはCOを原料として合成されたグリーンLPガスなどが挙げられる。
【0054】
<その他>
本発明のシステムによれば、住宅において自家消費される電力をCO排出削減量として消費者に提示できるところ、かかるCO排出削減量は、環境価値として評価することもできる。また、本発明のシステムによって得られるCO排出削減量とCO排出量の差分がプラスである場合、そのプラス分は、環境価値として評価することもできる。このような環境価値を、インターネット上のトークン化して、市場で流通させてもよい。例えば、トークンを流通させるインターネット上のシステムとしてイーサリアムが知られている。前記環境価値を任意のトークンとし、ブロックチェーン技術を利用して、ネットワーク上で前記トークンを売買にて流通させることができる。
【0055】
<変形例>
なお、上記実施形態では、情報収集端末が、自家消費量、ガス消費量及び水消費量を取得してサーバに送信し、サーバが前記自家消費量、ガス消費量及び水消費量から所定の換算式に基づいてCO排出削減量及びCO排出量を算出する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、情報収集端末が、自家消費量及びガス消費量を取得してサーバに送信し、サーバが前記自家消費量及びガス消費量からCO排出削減量及びCO排出量を算出してもよく、或いは、情報収集端末が、自家消費量及び水消費量を取得してサーバに送信し、サーバが前記自家消費量及び水消費量からCO排出削減量及びCO排出量を算出してもよく、或いは、情報収集端末が、自家消費量、ガス消費量及び水消費量から選ばれる少なくとも1つを取得してサーバに送信し、サーバが前記自家消費量、ガス消費量及び水消費量から選ばれる少なくとも1つからCO排出削減量及び/又はCO排出量を算出してもよい。また、情報収集端末が、自家消費量、ガス消費量及び水消費量を取得してサーバに送信し、サーバが前記自家消費量、ガス消費量及び水消費量から選ばれる少なくとも1つからCO排出削減量及び/又はCO排出量を算出してもよい。さらに、CO排出削減量とCO排出量の差分についても、CO排出削減量とガス消費に基づくCO排出量の差分を算出してもよく、或いは、CO排出削減量と水消費に基づくCO排出量の差分を算出してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 情報収集端末
20 サーバ
30 ネットワーク
40 ガスメータ
50 発電システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10