(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135662
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】情報処理システム、サーバ、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230921BHJP
G06Q 20/36 20120101ALI20230921BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q20/36 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041198
(22)【出願日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2022040393
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518182977
【氏名又は名称】株式会社chaintope
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】安土 茂亨
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴規
(72)【発明者】
【氏名】中城 元臣
(72)【発明者】
【氏名】酒井 北斗
(72)【発明者】
【氏名】澤根 範憲
(72)【発明者】
【氏名】上田 直将
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049CC22
5L055AA68
(57)【要約】
【課題】住宅から取得した環境価値に関する情報を定量化し、信頼性などを担保しつつデジタル市場で流通させる。
【解決手段】情報処理システム100は、住宅Hに備えられた情報収集端末10と、前記情報収集端末10にネットワーク20を介して接続されたサーバ30と、を有し、前記情報収集端末10が、前記住宅Hに附随する設備機器から環境価値に関する情報を取得し、前記サーバ30が、前記情報収集端末10から前記情報を取得し、前記サーバ30は、前記情報を定量化した評価値を作成し、その評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に備えられた情報収集端末と、
前記情報収集端末にネットワークを介して接続されたサーバと、を有し、
前記情報収集端末が、前記住宅に附随する設備機器から環境価値に関する情報を取得し、
前記サーバが、前記情報収集端末から前記情報を取得し、
前記サーバは、前記情報を定量化した評価値を作成し、前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する、情報処理システム。
【請求項2】
前記サーバは、
前記情報収集端末が取得する前記情報を含む生データから、前記証明書データと当該証明書データの根拠を表す根拠データとを生成し、
前記生データと前記証明書データと前記根拠データとから、それらのダイジェストであるハッシュ値を計算し、
前記ハッシュ値と前記証明書データの識別情報とを対応付けて前記分散型台帳に記録する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報収集端末が取得する前記情報は、前記設備機器がCO2排出削減に寄与した程度を示す情報であり、
前記サーバは、複数の前記情報収集端末から取得した前記情報に基づいて生成された統計情報を公開する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記証明書データの根拠を表す根拠データには、前記情報収集端末の位置情報が含まれており、
前記サーバは、前記位置情報を含む前記統計情報を公開する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記サーバは、第1ユーザが所有する前記証明書データに対応する識別情報であるトランザクションIDを指定した、当該トランザクションIDに対応する前記証明書データ又は前記根拠データの開示要求を、当該開示の要求元である第2ユーザが管理する第2ウォレットから受信した場合に、所定の公開制限の処理を施した前記証明書データ又は前記根拠データを前記第2ウォレットへ送信すると共に、前記第2ウォレットから開示の要求があったことを前記第1ユーザが管理する第1ウォレットへ通知する、請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
住宅に備えられた情報収集端末により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得し、
前記情報を定量化した評価値を作成し、
前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する、サーバ。
【請求項7】
1または複数の情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
住宅に備えられた情報収集端末により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得することと、
前記情報を定量化した評価値を作成することと、
前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録することと、を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅で潜在している環境価値に関する情報を定量化した評価値をデジタル市場で流通させる情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2排出削減のため、化石燃料を再生可能エネルギーに代替し、脱炭素社会を実現させることが求められている。
【0003】
様々な企業や団体においてCO2排出削減の努力がなされているが、その取り組みにも限界があるというケースもある。そのようなケースの企業でも、環境価値を購入することにより、企業イメージの低下を防止でき、また、法令遵守にも寄与できるようになる。このような環境価値として、Jクレジット、グリーン電力証書、非化石証書が知られている。
【0004】
また、例えば太陽光発電システムを導入している住宅において、発電した電力のうち自家消費した分については、それが顕在化されることなく一般家庭の消費者が気付かないうちに消滅している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
住宅で潜在化している環境価値に関する情報を取り出して顕在化させ、それを求める企業などの需要者に流通させることにより、一般家庭に再生可能エネルギー発電の導入を促し、需要者のニーズに応えることができる。一般家庭への再生可能エネルギー発電の導入が促進されていくことは、地域内の再生可能エネルギーの有効活用に繋がり、脱炭素社会の実現に貢献する。また、環境価値を企業などの需要者にデジタル市場で流通させることにより、新たな市場を創出して経済活動の活発化を図ることができる。
【0007】
しかしながら、前記情報をデジタル市場で流通させるためには、その環境価値に関する情報を定量化する必要があり、また、その定量化したデータの信頼性などを担保しつつ流通させることが求められる。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、住宅から環境価値に関する情報を集め、それを定量化し、信頼性などを担保しつつデジタル市場で流通させることができる情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理システムは、住宅に備えられた情報収集端末と、前記情報収集端末にネットワークを介して接続されたサーバと、を有し、前記情報収集端末が、前記住宅に附随する設備機器から環境価値に関する情報を取得し、前記サーバが、前記情報収集端末から前記情報を取得し、前記サーバは、前記情報を定量化した評価値を作成し、前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。
【0010】
本発明のサーバは、住宅に備えられた情報収集端末により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得し、前記情報を定量化した評価値を作成し、前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。
【0011】
本発明の情報処理方法は、1または複数の情報処理装置が実行する情報処理方法であって、住宅に備えられた情報収集端末により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得することと、前記情報を定量化した評価値を作成することと、前記評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録することと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、住宅内で潜在化されている環境価値に関する情報を定量化して評価値とし、それを含む証明書データを信頼性や透明性などを担保しつつデジタル市場で流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】住宅に附随する設備機器、情報収集端末及びサーバの関係を示す構成図。
【
図2】情報収集端末の概略的な構成を示すブロック図。
【
図4】証明書データを売買する際のシステム例を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本発明のコンセプト]
住宅内では、環境価値に関する情報が存在するが、それが取り出されずに消失している。例えば、一般家庭は規模が小さいので、個々の住宅において消失している環境価値も小さいが、それを集めることにより、比較的大きな規模となり、1つの市場を創出できる。
【0015】
本発明は、住宅内で消失する環境価値に関する情報を取り出して顕在化させ、その情報を定量化して資産的な評価値とし、信頼性や透明性などを担保しつつデジタル市場で流通させるものである。
【0016】
本情報処理システムは、住宅に備えられた情報収集端末が、前記住宅に附随する設備機器から環境価値に関する情報(以下、環境価値情報という場合がある)を取得してサーバに送信し、前記サーバが、前記情報を定量化した評価値を作成し、さらに、その評価値を含む証明書データを作成し、それをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。
【0017】
本情報処理システムは、情報収集端末が住宅に附随する設備機器から環境価値情報を取得し、これをサーバに送信する第1ステージ、サーバが前記環境価値情報の評価値を含む証明書データを作成する第2ステージ、サーバが証明書データをブロックチェーンネットワーク上の分散型台帳に記録する第3ステージ、に大別できる。
[第1ステージ]
図1は、第1ステージを説明するための情報収集端末とサーバの構成の一例を示す図である。
【0018】
図1を参照して、第1ステージを実施する際の本情報処理システム100は、情報収集端末10と、サーバ30と、ネットワーク20と、を有する。ネットワーク20は、例えば、携帯電話におけるキャリア網、広域インターネットなどを含む。
【0019】
情報収集端末10は、住宅Hの所定の位置に設置され、一般的には、屋内の所定の位置に設置される。住宅Hには、戸建て、マンションなどの集合住宅、店舗などが含まれる。
【0020】
なお、
図1では、情報収集端末10を1つだけ表しているが、実際には、複数の情報収集端末10がネットワーク20を介してサーバ30に接続される。
【0021】
住宅Hには、再生可能エネルギーによる発電システムH1、ガス流量を計測するガスメーターH2、水道メーターH3、家電機器H4(照明器具、掃除機、冷蔵庫、エアコン、テレビなど)、ガス燃焼機器H5(ガスコンロ、湯沸かし器、ガスファンヒーターなど)などの各種の設備機器が備えられている。
【0022】
情報収集端末10は、有線通信又は無線通信によって発電システムH1などの設備機器と電気的に接続可能であり、また、ネットワーク20を介してサーバ30と電気的に接続可能である。
【0023】
情報収集端末10は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などを利用した通信方式で、発電システムH1などの設備機器と無線通信を行い、それらから情報を取得する。情報収集端末10は、複数の通信規格の間のデータ交換を提供するゲートウェイ機能を有しており、プロトコルの異なる場合でもスムーズにデータをやり取りできるように制御する。
【0024】
また、情報収集端末10は、例えば、4Gや5G(4th(5th) Generation)などの携帯電話通信方式或いは将来的に普及する任意の無線通信方式などを利用して、サーバ30と通信可能に構成される。
<再生可能エネルギーによる発電システム>
再生可能エネルギーによる発電システムH1としては、太陽光発電、風力発電、地熱発電、水素を用いた燃料電池発電などが挙げられる。燃料電池発電もカーボンフリーという点から、広い意味での再生エネルギー発電に含まれるものとする。
【0025】
代表的には、太陽光発電システムが一般家庭の住宅に設置されている。
【0026】
太陽光発電システムは、従来公知のものであり、例えば、発電素子である太陽光パネルと、直流を交流に変換するパワーコンディショナと、電気の分岐回路である分電盤と、電力量を計測するスマートメーターと、HEMSを含み電力の供給などを一元管理するコントローラーと、通信モジュールを含む通信部と、表示装置と、蓄電池と、を有する。スマートメーターは、発電量、電力会社へ販売した売電量、電力会社から購入した買電量を計測し、自家消費量(発電量-売電量)を算出し、それらを時間情報と共に記憶する。また、スマートメーターは、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で情報収集端末10と接続可能であり、自家消費量などの電力情報又は時間情報と関連付けた電力情報を情報収集端末10に送信する。なお、自家消費量などの情報の送信を、コントローラーが行なってもよい。
【0027】
なお、時間情報は、自家消費量、ガス使用量、水道使用量などの量に対応する時間(対応時間)を含み、その量を計測又は取得した時点(取得時刻)をさらに含んでいてもよい。
<ガスメーター>
ガスメーターH2は、供給元から住宅Hに流れる可燃ガスの量(ガス流量)を計測する。住宅H内に流れる可燃ガスは、ガス燃焼機器H5によって消費される。可燃ガスは、一般に、LPガスと都市ガスに大別される。
【0028】
ガスメーターは、ガス流量の計測機能、通信機能及び時計機能を少なくとも有し、各機能を発揮させるために、ハード的には、時計、計測器、通信部、プロセッサ及び記憶部などを含む制御部を有する。このようなガスメーターとして、例えば、スマートガスメーターなどを使用できる。ガスメーターは、ガス使用量若しくはガス流量の積算量(積算値)を計測し、又は、両者を計測するものでもよい。使用量(ガス使用量又は後述する水道使用量)は、ある時間中の流量の総量をいい、積算量は、計測時点の流量の累積値をいう。使用量は、使用量=計測時点の積算量(積算値)-1つ前の計測時点の積算量(積算値)、から求められる。
【0029】
ガスメーターは、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で、情報収集端末10と接続可能である。ガスメーターは、情報収集端末10に、ガス情報(ガス使用量など)を送信し、好ましくは、時間情報と関連付けたガス情報を送信する。
<水道メーター>
水道メーターH3は、供給元から住宅に流れる水の量(水の流量)を計測する。
【0030】
水道メーターは、流量の計測機能、通信機能及び時計機能を少なくとも有し、各機能を発揮させるために、ハード的には、時計、計測器、通信部、プロセッサ及び記憶部などを含む制御部を有する。このような水道メーターとして、例えば、スマート水道メーターなどを使用できる。水道メーターは、水道使用量若しくは水の流量の積算量(積算値)を計測し、又は、両者を計測するものでもよい。水道メーターは、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方式で、情報収集端末10と接続可能である。水道メーターは、情報収集端末10に、水道情報(水道使用量など)を送信し、好ましくは、時間情報に関連付けた水道情報を送信する。
<情報収集端末>
図2は、情報収集端末10の概略的な構成を示すブロック図である。
【0031】
情報収集端末10は、主制御部110と、通信モジュールを含む第1通信部120及び第2通信部130と、スピーカーを含む出力部140と、操作インターフェースを含む入力部150と、を有し、各部はバス160で接続されてデータ信号をやり取りできる。
【0032】
主制御部110は、発電システムH1などとの通信、サーバ30との通信、出力部140への情報の出力、入力部150からの入力など各種の制御を行う。主制御部110は、プロセッサ111、揮発性メモリや不揮発性メモリなどの記憶部112を有する。プロセッサ111は、不揮発性メモリなどに記憶されたプログラムに従い全体の動作を制御し、データの送受信の制御及び処理の実行に必要な情報処理などを行なう演算装置である。
【0033】
第1通信部120は、住宅に附随する設備機器(住宅に設けられた発電システムなどの設備機器)と通信するためのものであり、情報収集端末10(主制御部110)は、例えばBluetoothモジュールなどの近距離無線通信モジュールを含む第1通信部120を通じて前記設備機器と通信する。設備機器としては、上記発電システムのスマートメーター、ガスメーター、水道メーター、家電機器、ガス燃焼機器などが挙げられる。第2通信部130は、サーバ30と通信するためのものであり、情報収集端末10(主制御部110)は、例えばLTEモジュールなどを含む第2通信部130を通じて前記サーバ30と通信する。
【0034】
出力部140は、スピーカーを有し、必要に応じて、さらに表示装置を有していてもよい。スピーカーは、主制御部110から出力された音データを変換して音を発し、表示装置は、主制御部110から出力された画像データを変換して画像を表示する。
【0035】
入力部150は、使用者からの各種指示を受け付ける。入力部150は、出力部140に所定の音又は画像を出力させる又は出力を停止させるための操作ボタン、緊急連絡用ボタンなどを含む。
【0036】
なお、情報収集端末10は、上記以外に他の機能及びその機能を実現する装置類を有していてもよい。例えば、情報収集端末10は、カメラを有し且つ当該カメラによって住宅H内を撮像し、撮像データをサーバ30に送信する機能、ガス漏れを検知するガスセンサを有し且つガス漏れを検知した場合にガス遮断弁を作動させる機能、ガス漏れを検知した場合にサーバ30に送信する機能、ガス漏れを検知した場合にスピーカーから警報音を発する機能などを有していてもよい。
<情報収集端末が収集した情報をサーバへ送信>
情報収集端末10やサーバ30などは、プログラムに従い、下記の処理を実行する。なお、処理の実行は、情報収集端末10などのプロセッサが行なうが、以下では、情報収集端末10などで記載している。
【0037】
情報収集端末10は、サーバ30から各種情報を取得する指示を受信したときに、設備機器から各種情報を取得し、それをサーバ30に送信する。或いは、情報収集端末10に予め各種情報を取得する開始時を設定しておき、情報収集端末10がその日時が来たと判断したときに、情報収集端末10は、設備機器から各種情報を取得し、それをサーバ30に送信するようにしてもよい。
【0038】
情報収集端末10は、設備機器から各種情報を取得したときにその情報を記憶部112に記録した上でサーバ30に送信する。
【0039】
なお、情報収集端末10は、前記サーバ30に送信した後、送信した情報を記憶部112から削除してもよく、或いは、既に送信済みであることの情報を付加して記憶部112に所定期間残しておいてもよい。
【0040】
情報収集端末10がサーバ30に送信する情報には、環境価値情報及び情報収集端末10の識別情報(IDなど)が少なくとも含まれる。
【0041】
本発明において環境価値情報は、住宅内で潜在している環境価値に関する情報である。
【0042】
前記環境価値情報は、CO2の排出削減(排出削減は、排出しないこと及び排出量が少ないことを意味する)に寄与していると評価できる住宅内での事柄又は活動、及び、CO2の吸収に寄与していると評価できる住宅内での活動又は事柄などを含む。
【0043】
例えば、再生可能エネルギー発電システムで発電した電力は、発電時にCO2排出量の少ない又はCO2を排出しない電力であるので、CO2の排出削減に寄与する電力である。住宅内で前記発電した電力を消費することは、CO2の排出削減に寄与していると評価できるので、住宅内で潜在化している環境価値情報と言える。
【0044】
例えば、(住宅内で行われている任意の事柄又は活動などが従前では所定量のCO2を排出していたが)従前と比較してCO2の排出を削減したと評価できる事柄又は活動などは、住宅内で潜在化している環境価値情報と言える。
【0045】
例えば、(それまでは活動又は事柄が無かったが又は小規模であったが)従前と比較してCO2を吸収したと評価できる事柄又は活動などは、住宅内で潜在化している環境価値情報と言える。
【0046】
環境価値情報に該当するかどうかは、法令や社会一般の認識などを考慮して、本情報処理システムの運営者の所定の基準に従って決定される。
【0047】
例えば、再生可能エネルギーで発電した電力の自家消費量は、社会一般の認識で環境価値として評価されており、環境価値情報である。
【0048】
情報収集端末10は、設備機器から環境価値情報だけを取得し、これを識別情報と共にサーバ30に送信してもよい。
【0049】
通常、情報収集端末10は、住宅内の各種設備機器から様々な情報を収集し、それらを纏めてサーバ30に送信する。前記様々な情報には、環境価値情報及び環境価値情報ではない情報(CO2の排出削減やCO2の吸収に寄与すると評価できない情報)が含まれている。
【0050】
情報収集端末10が収集する情報は、上述のように、電力情報、ガス情報、水道情報、その他の情報がある。情報収集端末10は、これらから選ばれる任意の1つ又は2つ以上の情報及びこれに識別情報を含んでサーバ30に送信する。
【0051】
電力情報は、電力の自家消費量及び/又は発電量、売電量、買電量を含み、必要に応じてその時間情報を含む。
【0052】
ガス情報は、ガス使用量又は積算量を含み、必要に応じてその時間情報を含む。
【0053】
水道情報は、水道使用量又は積算量を含み、必要に応じてその時間情報を含む。
【0054】
その他の情報は、家電機器の情報、ガス燃焼機器の情報、カメラによる撮像データなどを含む。
【0055】
情報収集端末10は、自己の識別情報並びに電力情報、ガス情報、水道情報及びその他の情報から選ばれる1つ又は2つ以上の情報(以下、一括情報)をサーバ30に送信する。
【0056】
前記一括情報は、前記サーバ30(サーバ30の受信部)において、識別情報、電力情報、ガス情報、水道情報及びその他の情報にそれぞれ分解できる仕様で構造化・デジタル化されていることが好ましい。
【0057】
また、前記情報収集端末10が送信する一括情報は、前記サーバ30(サーバ30の受信部)の情報処理により、当該情報収集端末10の識別情報を1つの識別単位として各種情報(電力情報、ガス情報、水道情報及びその他の情報)を個々に抽出し、分類することができる構造で作成されていることが好ましい。
【0058】
また、ネットワーク20は、前記一括情報を含む通信トラフィックを分割して伝搬するが、サーバ30の情報処理によって前記通信トラフィックを1つの単位として区別できる仕様(プロトコル)に則って伝搬している。ネットワーク20は、例えば、TCP/IPを基盤とする広域インターネット網である。
[第2ステージ]
<環境価値情報の抽出>
一括情報を受信したサーバ30は、その中から、環境価値情報を抽出する。
【0059】
なお、情報収集端末10が、環境価値情報だけをサーバに送信する場合、サーバ30は、情報収集端末から受信したその環境価値情報を抽出する。
【0060】
なお、1つの情報収集端末10(特定の識別情報を有する情報収集端末)から得られた環境価値情報に基づいて、後述する評価値を作成してもよく、いくつかの情報収集端末10から得られた各環境価値情報を1つに纏めたものに基づいて、後述する評価値を作成してもよい。
<評価値の作成>
サーバ30は、前記環境価値情報を、法令や社会一般の認識などを考慮した運営者の所定の決まりに則って定量化した評価値を作成する。評価値は、環境価値情報を定量化したものである。
【0061】
評価値は、例えば、環境価値情報に対して正の相関を有するものとされる。
【0062】
具体的には、環境価値情報が例えば自家発電量(単位kWh)である場合、サーバ30は、自家消費量に電力のCO2排出係数(CO2排出係数は、電力会社が1kWhの電力を作り出す際にどれだけの量のCO2を排出したかを表す指標をいい、kg-CO2/kWhで表される)を乗算してCO2排出削減量(単位kg)を算出し、これを評価値とする。
【0063】
なお、電力のCO2排出係数は、電力会社ごとに異なり、また、同じ電力会社であっても経時的に変化する。このため、サーバ30は、前記算出にあたって、平均的なCO2排出係数を用いてもよい。或いは、サーバ30は、前記算出にあたって、情報収集端末10の識別情報を元に顧客データベースを参照して、その端末の住宅の所有者が契約している電力会社を特定し、特定した電力会社のCO2排出係数を用いてもよい。
【0064】
また、サーバ30は、前記自家消費量そのものを評価値としてもよい。この場合は、定量化にあたっての運営者の所定の決まりが、環境価値情報である自家消費量をそのまま評価値とするということである。
<証明書(証明書データ)の作成>
証明書は、少なくとも評価値を含む無形の情報であり、その証明書の実質的な資産は、前記評価値である。無形の情報である証明書は、コンピュータで取り扱いできる証明書データとして存在する。前記証明書データを所定の形式で印刷して書面化する又はビューワに表示することによって、人間はその証明書の情報を視覚的に認識できる。
【0065】
サーバ30は、前記評価値を含む証明書データを作成する。
【0066】
例えば、サーバ30は、証明書を作成するための情報を纏め、その情報を元に証明書データを作成する。
【0067】
証明書を作成するための情報は、少なくとも評価値を含み、それ以外の情報を含んでいてもよい。証明書を作成するための情報は、例えば、下記のようなものが挙げられる。
(a)評価値。
(b)評価値の単位。例えば、kWh、cal、m3、kgなど。
(c)運営者(証明書の発行者)。例えば、運営者の名前、住所など。
(d)証明書の作成日や発行日。例えば、2022年○月○日など。
(e)運営者が証明書に関する立証を行うことができる地域。例えば、日本、米国など。(f)証明書に適用される法令。例えば、国際法、条約、日本国の法律、政令、規則及びそれらの該当条項。
(g)運営者(証明書の発行者)の電子署名を証明するルート証明(中間認証局)。
(h)運営者の管理のために用いる識別情報。例えば、証明書のリファレンス番号など。(i)タイムスタンプ情報。例えば、タイムスタンプを付けるデータのハッシュ値、時刻認証局の署名など。
[第3ステージ]
本情報処理システムのサーバ30は、上述の証明書を作成するための情報から証明書データ(証明書データは、1つの証明書を構成するデータファイルの集まり)を作成した後、証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。ブロックチェーン技術を利用することにより、証明書データの改竄などを防止でき、また、情報の透明性を担保でき、所有者の確認なども行なうことができる。
【0068】
また、サーバ30は、情報の公開性を担保するため、本情報処理システムの参加者の要求に従い証明書データを提供できるようにしておくことが望ましい。
【0069】
さらに、サーバ30は、証明書データの根拠、特に評価値を作成する際の根拠を証明する必要が将来的に生じる場合に対処するため、本情報処理システムの参加者の要求に従いその根拠となる情報(以下、根拠データ)を提供できるようにしておくことが望ましい。
<システムの全体構成>
図3は、本情報処理システム100の全体的な構成の一例を示す図である。
【0070】
図3を参照して、本システム100は、情報収集端末10と、センタサーバ31及び証明書電子交付サーバ32を有するサーバ30と、複数のブロックチェーンノード40と、複数のウォレット50と、ファイルサーバ60と、を有する。情報収集端末10及びセンタサーバ31は、ネットワーク20に接続され、証明書電子交付サーバ32及びノード40は、ネットワーク21に接続され、ウォレット50は、ネットワーク22に接続され、ファイルサーバ60は、ネットワーク23に接続されている。各ネットワーク20,21,22,23は、相互に接続されており、データ信号によって情報を互いに伝搬させる。各ネットワーク20,21,22,23は、例えば、広域インターネット網、WANなどである。
【0071】
センタサーバ31、証明書電子交付サーバ32、ノード40、ウォレット50は、ハード的には、制御部及び記憶部、各種の入出力インターフェースを備えたコンピュータである。
【0072】
証明書電子交付サーバ32、ノード40及びウォレット50は、情報処理システム100のブロックチェーンネットワークに参加している。
【0073】
情報処理システム100のサーバ30は、1つのサーバ又は複数のサーバから構成されていてもよい。ここでは、サーバ30は、センタサーバ31と証明書電子交付サーバ32と含む。センタサーバ31と証明書電子交付サーバ32は、協働して、証明書データの作成などを行う。
【0074】
センタサーバ31は、後述するように、評価値の作成、証明書を作成するための情報の送信、電子署名の作成などの情報処理を行う。センタサーバ31は、公開鍵認証基盤などにより電子署名を行なうことができる装置(以下、署名装置)を含んでいる。本情報処理システムの運営者は、署名装置を自ら所有している状態でもよく、又は、自ら所有していないが実質的に占有している状態であってもよい。
【0075】
証明書電子交付サーバ32は、後述するように、証明書データの作成、トランザクションの作成などの各種情報処理を行う。
【0076】
ノード40は、トランザクションを検証し、トランザクションを含むブロックを分散型台帳に記録する。ノード40は複数接続されているが、
図3では1つだけ表している。
【0077】
ウォレット50は、所有者を変更するトランザクションを作成する際に必要な暗号計算を伴う情報処理を実行できるコンピュータである。なお、証明書電子交付サーバ32も各種トランザクションを作成する際に必要な暗号計算を伴う情報処理を実行できるコンピュータである。
【0078】
なお、符号51,52,…は、それぞれ独立したウォレットであることを表しており、符号50は、ウォレットの総称を表している。
<証明書データの発行、移転及び移転の制限>
証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録することにより、所有者に関する情報を証明書データに含めなくとも、証明書データの所有者を特定できる。
(1)証明書データの発行
例えば、センタサーバ31は、上記[第2ステージ]で説明したように、情報収集端末10から送信される情報から評価値を作成する。センタサーバ31は、評価値を含む証明書を作成するための情報を、証明書電子交付サーバ32に送信する。前記証明書を作成するための情報は、例えば、構造化されたデータ構造(xmlやjson形式などのデータフォーマット)、図形表現(jpegやpdf形式などのデータフォーマット)、又は両者の組み合わせで表される。
【0079】
証明書電子交付サーバ32は、前記証明書を作成するための情報を入力情報として処理し、証明書データを作成する。証明書データのフォーマットは、特に限定されず、例えば、複数の異なるファイルフォーマット(xml、csv、pdf、jpegなど)を書庫フォーマット(zip、lhaなど)で結合した構成などが挙げられる。
【0080】
さらに、証明書電子交付サーバ32は、前記証明書データをハッシュ関数により変換してハッシュ値を計算し、前記証明書データとハッシュ値をセンタサーバ31に送信する。
【0081】
センタサーバ31は、受信した前記証明書データのハッシュ値を計算し、証明書電子交付サーバ32から受信した前記ハッシュ値を検証し、付属の署名装置が保有する秘密鍵を使用して前記ハッシュ値に対して暗号計算を実施して電子署名を作成し、それを証明書電子交付サーバ32に送信する。
【0082】
なお、電子署名の作成については、センタサーバ31が処理する場合に限られず、証明書電子交付サーバ32にその一部の処理を委任することも可能である(代理署名)。
【0083】
証明書電子交付サーバ32は、証明書データの発行が行なわれることを表すトランザクション(T10)を作成する。トランザクションは、ブロックチェーン・プロトコルに基づくフォーマットで作成される。前記トランザクション(T10)は、証明書データのハッシュ値に対するセンタサーバ31の電子署名、証明書電子交付サーバ32の秘密鍵で暗号化した署名情報、発行者のアドレスなどを含む。
【0084】
証明書電子交付サーバ32は、前記トランザクション(T10)をノード40に送信する(ブロードキャストする)。
【0085】
トランザクション(T10)を受信したノード40は、ブロックチェーン・プロトコルに従い、トランザクション(T10)を検証し、トランザクション(T10)を含むブロックを記憶部(分散型台帳)に記録する。
【0086】
ブロックチェーンネットワーク上では、トランザクション(T10)は、証明書電子交付サーバ32による暗号計算を実施することなく、他のトランザクションに接続できないことが、離散対数問題の計算困難性に基づいて保証される。これにより、トランザクション(T10)は、証明書電子交付サーバ32が所有している状態を表現する。
【0087】
従って、本システムにおいて、トランザクション(T10)によって識別される証明書データは、証明書電子交付サーバ32が所有しており、センタサーバ31を含む他のコンピュータは、証明書データの所有を主張することはできない。
(2)移転
任意のウォレット50は、自己が所有する証明書データを他のウォレット50に移転することができる。
【0088】
例えば、ウォレット51は、自身が受取人であるトランザクション(T10)と証明書データの移転先であるウォレット52のブロックチェーン・アドレスを入力として暗号計算を伴う情報処理を実行し、ウォレット52が所有することを表すトランザクション(T20)を作成し、ノード40に送信する。この場合、証明書データの最初の所有者は証明書電子交付サーバ32であるので、前記ウォレット51は証明書電子交付サーバ32である。
【0089】
ウォレット52は、ノード40の分散型台帳にトランザクション(T20)の記録が成功した場合に、証明書データの移転が完了したと判断する。
(3)共有
任意のウォレット50は、自身のトランザクションの所有者を移転する新しいトランザクションを作成する際、複数のブロックチェーン・アドレスを新しい所有者に設定することができる。
【0090】
例えば、ウォレット51は、複数のウォレット52及び53が共同して情報処理を行わない限り所有者を移転することができない、新しいトランザクション(T30)を作成する。トランザクション(T30)には、各ウォレット52及び53に対応する複数のブロックチェーン・アドレスが含まれる。
【0091】
前記トランザクション(T30)で識別される証明書データの所有者を、ウォレット54に変更する場合、ウォレット52及び53は、複数のウォレット52及び53の両方によって暗号計算した結果を含むトランザクション(T40)を作成し、それをノード40に送信する。
【0092】
このような処理によって、証明書データがウォレット52及び53の共有であることを実現でき、ある一方の判断によって証明書データが移転されることを不可能にできる。
(4)証明書データの価値の分割
証明書データには、実質的な資産である評価値が含まれているが、この評価値を分割することもできる。
【0093】
例えば、ウォレット55が、あるトランザクション(T101)で識別される証明書データの所有者とする。
【0094】
証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T101)の所有者である前記ウォレット55から、分割を依頼するメッセージと共に、所有者を証明書電子交付サーバ32のブロックチェーン・アドレスに変更するトランザクション(T102)を受け付ける。
【0095】
証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T101)で識別される証明書データについて、二重カウントにならないように、証明書データを例えば2つに分割するトランザクション(T103)を作成する。
【0096】
証明書電子交付サーバ32が、前記証明書データを2つに分割する際、各証明書データの評価値について分割証明書を付与する場合、そのハッシュ値に対して、センタサーバ31に電子署名を依頼し、トランザクション(T103)に含めるようにする。分割された評価値が明白な場合は分割証明書の付与を省略してもよい。また、証明書電子交付サーバ32は、前記分割を表すトランザクション(T103)の所有者としてウォレット55のブロックチェーン・アドレスを含める。
【0097】
証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T102)をノード40に送信し、続いてトランザクション(T103)をノード40に送信し、それらが分散型台帳に記録されることにより、ウォレット55が分割された証明書データの所有者となる。
【0098】
上記分割にあたって、分割前の証明書データを明示的に無効化(廃棄)することもできる。
【0099】
例えば、証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T102)を入力として、どのウォレットも所有者にならないトランザクション(T105)を作成する。また、証明書電子交付サーバ32は、証明書データの新規の発行と同等の内容で、証明書データを例えば2つに分割し且つ所有者としてウォレット55のブロックチェーン・アドレスを含むトランザクション(T103)を作成する。
【0100】
分割前と分割後の証明書データの関係性を残す場合、トランザクション(T102)のアウトプットをトランザクション(T103)のインプットとなるように(チェーン構造となるように)、前記トランザクション(T103)を作成する。
【0101】
証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T102)をノード40に送信し、続いてトランザクション(T103)をノード40に送信し、その後、トランザクション(T105)をノード40に送信する。
【0102】
トランザクション(T105)がノード40の分散型台帳に記録されることにより、ウォレット55が分割された証明書データの所有者となると共に、分割前の証明書データの無効化(廃棄)を実現できる。
<証明書データの提供>
本システムは、情報の公開性を担保するため、参加者の要求に従い証明書データを提供できる。
【0103】
証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録することにより、証明書データの所有者及び所有者でない者を区別して、それぞれに証明書データを提供することができる。
(1)証明書データの保管
例えば、証明書データを発行する証明書電子交付サーバ32は、トランザクション(T10)の作成と並行して、電子署名済みの証明書データを復元可能な方法で適当なファイルサイズに分割し、分割したデータのそれぞれを証明書データの識別情報(証明書の識別情報)と関連付けて、1つ又は複数のファイルサーバ60の記憶部に記録して保管する。
【0104】
証明書データを分割する際、任意の計算アルゴリズムを適用して情報処理を行う。ある計算アルゴリズムを適用することにより、分割したファイルサイズの総和が元の証明書データのファイルサイズよりも小さくなるように調整し、保管効率を節約できる場合がある。また、別のある計算アルゴリズムを適用することで、ファイルサーバ60の記憶部の一部が故障したことが原因で復元できなくなるケースを減らす効果を期待できる場合がある。
(2)所有者への証明書データの提供
例えば、ウォレット56は、証明書電子交付サーバ32に対して、自分が所有しているトランザクションIDで識別される証明書データを送信するように要求する。
【0105】
証明書電子交付サーバ32は、ウォレット56が行った暗号計算に基づいて、当該トランザクションをウォレット56が所有していることを確認する。
【0106】
証明書電子交付サーバ32は、当該証明書データの識別情報に関連付けられている分割されたデータをファイルサーバ60から取得し、証明書データを復元してウォレット56に送信する。
(3)非所有者への証明書データの提供
例えば、任意のウォレット50が、自分で所有していないトランザクションIDを指定して証明書データを送信するように証明書電子交付サーバ32に要求した場合に、証明書電子交付サーバ32は、当該証明書データの識別情報に関連付けられている分割されたデータをファイルサーバ60から取得して証明書データを復元し、その閲覧用データ(証明書データのコピー)を作成する。閲覧用データは、証明書データの全部又は一部の内容を本情報処理システムが証明するものである。
【0107】
証明書電子交付サーバ32は、前記復元した証明書データと作成した閲覧用データをセンタサーバ31に送信し、センタサーバ31は、両データを検査し、閲覧用データに電子署名を付けて、証明書電子交付サーバ32に送信する。
【0108】
なお、センタサーバ31は、検査方法を証明書電子交付サーバ32に指示し、その結果に基づく電子署名の処理を証明書電子交付サーバ32に委任してもよい。その場合は、証明書電子交付サーバ32が代理署名する。
【0109】
証明書電子交付サーバ32は、前記電子署名済みの閲覧用データを、前記所有者でないウォレット50に送信する。
<根拠情報の提供>
証明書データの評価値は、証明書の実質的な資産と言え、証明書データが流通する過程で、将来的に公的機関などから評価値の根拠を求められるケースが生じる可能性がある。
【0110】
本情報処理システムは、このような場合に対処するため、参加者の要求に従い評価値を作成した際の根拠となる情報(根拠データ)を提供できるようにする。
【0111】
根拠データとしては、評価値の作成の元となる環境価値情報、その時間情報(対応時間など)、環境価値情報を取得した情報収集端末10の識別情報、情報収集端末10の位置情報(例えば、GPSによる情報収集端末の位置情報)、情報収集端末10の契約者の個人情報(氏名、住所など)、環境価値情報を定量化して評価値を作成する処理手順(環境価値情報を定量化する際のアルゴリズム)などが挙げられる。
(1)根拠データの保管
例えば、センタサーバ31は、証明書を作成するための情報の作成と並行して、根拠データを所定のフォーマットで作成する。センタサーバ31は、前記根拠データを、根拠データを構成する情報のうち特定の項目を公開用及び特定の項目を秘匿用に区別した構造化データとして作成する。この項目の種類や単位は仕様として整備される。一般的には、第三者機関の定めた様式と入力基準に準拠する。
【0112】
センタサーバ31は、前記根拠データを証明書電子交付サーバ32に送信し、証明書電子交付サーバ32は、前記根拠データを復元可能な方法で適当なファイルサイズに分割し、分割したデータのそれぞれを証明書データの識別情報(証明書の識別情報)と関連付けて、1つ又は複数のファイルサーバ60の記憶部に記録して保管する。
【0113】
前記保管にあたっては、復元にかかる情報処理コストを犠牲にしたとしても、より保管効率の良いファイルサイズの圧縮率の高い計算アルゴリズムを選択することが望ましい。また、情報理論に基づき、記録する情報の種類により、適切な計算アリゴリズムを適用し、ファイルサイズを最小化することが望ましい。
(2)所有者への根拠データの提供
例えば、ウォレット56が、証明書電子交付サーバ32に対して、自分が所有しているトランザクションIDで識別される証明書データの根拠データを送信するように要求する。
【0114】
証明書電子交付サーバ32は、上述と同様に、当該トランザクションをウォレット56が所有していることを確認した後、その証明書データの識別情報に関連付けられている分割されたデータをファイルサーバ60から取得して根拠データを復元する。
【0115】
さらに、証明書電子交付サーバ32は、センタサーバ31に、前記復元した根拠データと共に、証明書データの所有者から根拠データの開示の要求があったことを伝える依頼電文を送信する。依頼電文には、根拠データの公開先に関する情報(ウォレット56を所有する事業者名、メールアドレスなど)が含まれる。
【0116】
センタサーバ31は、本情報処理システム又は他のシステムを使って、所定の公開制限の処理を行って、根拠データをウォレット56に送信する。なお、根拠データの送信については、センタサーバ31が処理する場合に限られず、証明書電子交付サーバ32にその処理を委任することも可能である(代理送信)。
(3)非所有者への根拠データの提供
任意のウォレット50が、自分で所有していないトランザクションIDを指定して証明書データの根拠データを送信するように証明書電子交付サーバ32に要求した場合に、証明書電子交付サーバ32は、その証明書データの識別情報に関連付けられている分割されたデータをファイルサーバ60から取得して根拠データを復元する。
【0117】
さらに、証明書電子交付サーバ32は、センタサーバ31に、前記復元した根拠データと共に、証明書データの所有者でない者から根拠データの開示の要求があったことを伝える依頼電文を送信する。依頼電文には、根拠データの公開先に関する情報(ウォレット50を所有する事業者名、メールアドレスなど)が含まれる。
【0118】
センタサーバ31は、本情報処理システム又は他のシステムを使って所定の公開制限の処理を行った上で、根拠データをウォレット50に送信する。なお、根拠データの送信については、センタサーバ31が処理する場合に限られず、証明書電子交付サーバ32にその処理を委任することも可能である(代理送信)。
【0119】
証明書電子交付サーバ32は、ウォレット50に対して根拠データの公開を行ったことを、証明書データの所有者のウォレット56に通知する専用メッセージを作成し、ウォレット56に送信する。
【0120】
例えば、第1ユーザが管理するウォレット56と、第2ユーザが管理するウォレット50とが存在している場合、第1ユーザの証明書データ又は根拠データの開示に際しては、以下の処理が実行される。
【0121】
ウォレット50が、第2ユーザの操作に応答して、第1ユーザが管理する情報収集端末から得られた証明書データに対応するトランザクションIDを指定し、かつトランザクションIDに対応する証明書データ又は根拠データの開示を要求する要求信号を証明書電子交付サーバ32へ送信する。
【0122】
証明書電子交付サーバ32は、上記要求信号に応答して、指定されたトランザクションIDに対応する証明書データ又は根拠データをファイルサーバ60の記憶部から読み出す。そして、証明書電子交付サーバ32は、センタサーバ31との共同処理(または委任に基づく処理)により所定の公開制限の処理を施した証明書データ又は根拠データをウォレット50へ送信し、ウォレット50から証明書データ又は根拠データの開示の要求があったことをウォレット50へ通知する。
【0123】
以上のように、証明書電子交付サーバ32は、第1ユーザが所有する証明書データに対応する識別情報であるトランザクションIDを指定した、当該トランザクションIDに対応する証明書データ又は根拠データの開示要求を、当該開示の要求元である第2ユーザが管理するウォレット50(第2ウォレット)から受信した場合に、所定の公開制限の処理を施した前記証明書データ又は前記根拠データをウォレット50へ送信する。また、センタサーバ31(またはセンタサーバ31の委任に基づいて処理する証明書電子交付サーバ32)は、ウォレット50から開示の要求があったことを第1ユーザが管理するウォレット56(第1ウォレット)へ通知する。これにより、証明書データ又は根拠データの開示を適切なものとすることができる。
(4)生データの保管
本情報処理システムにおいて、将来何らかの事情で評価値の再計算を行なう場合、又は、既発行の証明書の抹消と新たな評価値で証明書の再作成を行なう必要性が生じる場合も考えられる。このような場合に備えて、評価値の作成を実施するサーバ(センタサーバ31)のシステムを作動させる全ての情報(INPUT及び環境データ、計算プログラムのモジュールなど)を、任意の記憶部に記憶させて保管しておくことが望ましい。
【0124】
具体的には、上記の場合に、センタサーバ31が改めて評価値に関する情報処理を行なう際に必要となる全てのデータと、処理の前提となるセンタサーバ31の状態を復元できる環境データ(この全てのデータと環境データを併せて生データという)とを集めて電子的に情報処理システムを凍結(フリーズ、スナップショット)しておくことが望ましい。なお、環境データとは、評価値の計算、証明書データ、及び根拠データの生成等を行う際のシステム環境を示すデータである。例えば、情報収集端末10が取得したデータの単位やデータ収集の周期等も環境データである。また、生データとは、それ以前には記録されていない初めての記録データである。
【0125】
例えば、センタサーバ31は、前記生データを、証明書電子交付サーバ32を経由して或いは証明書電子交付サーバ32を経由せずに、ファイルサーバ60に保管する。
【0126】
証明書電子交付サーバ32を経由する場合、上記(1)根拠データの保管と同様にして生データをファイルサーバ60の記憶部に記録して保管する。
【0127】
証明書電子交付サーバ32を経由しない場合、センタサーバ31は、生データ又は生データを復元可能な状態で分割して直接的にファイルサーバ60の記憶部に記録して保管する。
【0128】
上記の3種類のデータすなわち生データ、証明書データ、及び根拠データのうち、証明書データと根拠データは公開時の形式を考慮して作成される中間データである。具体的には、証明書データと根拠データとは、生データの一部を抜き出し、抜き出されたデータを所定のアルゴリズムによって変換することにより得られるデータである。
【0129】
また、証明書データと根拠データには、個人を特定する情報が含まれ得る。このため、これらの情報の受信者をコントロール可能にする必要がある。なお、原則として生データは公開されない。
【0130】
そのため、センタサーバ31は、管理者が存在するファイルサーバ60に証明書データ根拠データ、及び生データを保管すると共に、将来の不正な改変(例えば、数値改ざん又は隠蔽工作)を検知できるように証明書データをブロックチェーンに記録する。アンカリングの方法は、生データ、証明書データ、及び根拠データのダイジェストであるハッシュ値に対して電子署名を計算した結果を、ブロックチェーンのトランザクション領域に含めることで実現される。
【0131】
このため、センタサーバ31は、生データから証明書データを生成すると共に、証明書データの根拠を表す根拠データを生データから生成する。そして、センタサーバ31は、生データと、証明書データと、根拠データとをファイルサーバ60の記憶部へ格納する。また、将来の不正な改変を検知できるように、センタサーバ31は、生データと証明書データと根拠データとから、それらのダイジェストであるハッシュ値を計算する。そして、センタサーバ31は、計算したハッシュ値と証明書データの識別情報とを対応付けてブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。これにより、生データを用いた証明書データと根拠データの復元を可能にしつつ、証明書データの提供等のみならず、必要に応じて根拠データの提供等についても行なうことが可能になる。
(5)統計情報の提供
本情報処理システムの運営者は、広域インターネット上のwebサービスなどの手段を用いて、根拠データの一部を一般向けに公開してもよい。
【0132】
例えば、複数の情報収集端末10から収集した環境価値情報(自家消費量など)の合計値や収集した発電量の合計値などの統計情報(ビックデータ)を、webなどを通じて公開する。
【0133】
1つの例では、根拠データには、情報収集端末10の識別情報や位置情報が含まれる。上記(2)及び(3)の処理により、証明書データの所有者及び非所有者(本情報処理システムの参加者)は、これらの情報を容易に取得できる。
【0134】
また、前記公開する統計情報(ビックデータ)は、位置情報に基づくツリー構造のデータで表現することができる。
【0135】
参加者が取得した根拠情報と前記公開する統計情報を使用して、評価値の根拠となる環境価値情報(自家消費量など)と発電量の確からしさを検証することができる。
【0136】
具体的には、ツリー構造の各データ項目の書き換えを困難にして、バランス(整合性)を維持する手法として例えばハッシュ木(マークルツリー)を作成し、これをwebなどを通じて統計情報(ビックデータ)と共に公開する。
【0137】
より詳細には、ファイルサーバ60の記憶部には、複数の情報収集端末10のそれぞれから取得した環境価値情報を用いて作成された複数の根拠データが記憶されている。よって、センタサーバ31は、それら複数の根拠データに基づいて、複数の住宅の設備機器によって生じた環境価値を含むデータの統計情報を生成し、公開することができる。
【0138】
例えば、情報収集端末10が収集した環境価値情報が、設備機器がCO2排出削減に寄与した程度を示す情報である場合、センタサーバ31は、当該情報に基づいて生成された統計情報を公開することができる。これにより、複数の住宅の設備機器によって創出された環境価値が可視化される。なお、公開は例えばインターネット上など任意の公開先で行うことができる。
【0139】
なお、住宅に設置された情報収集端末10の位置情報が根拠データに含まれている場合、センタサーバ31は、その位置情報を含む統計情報を公開するようにしてもよい。これにより、どのような地域でどの程度の環境価値が生み出されているかを可視化することができる。ただし、この位置情報があまりにも詳細である場合には、個人情報の保護の観点から適切ではない場合もあるため、緯度経度といったピンポイントの位置情報ではなく、〇〇県〇〇市〇〇区といったより広範な地域を示す情報に変換して公開するようにしてもよい。
[実施例]
本情報処理システムにおける証明書のデジタル市場での流通(売買)の一例を、以下に示す。
<前提条件>
図4を参照して、ウォレット51は、トランザクション(T60)で識別される証明書データの所有者とする。
【0140】
ウォレット52は、トランザクション(T60)で識別される証明書データの所有を望んでいるものとする。また、ウォレット52は、別の任意のブロックチェーンネットワークで流通するトークンを保有しているものとする。
【0141】
ウォレット51は、ウォレット52が所有する数量Nのトークンをウォレット51に移転することを条件に、証明書データのトランザクション(T60)の所有者を変更(権利移転)しても良いと考えているものとする。
【0142】
なお、情報処理システムの状態が、上記条件を満足しながら、証明書データの所有者の変更(権利移転)が行われた場合に、情報処理システムの運営者は、権利の帰属に係る証言(法的な要請に応える)を約束し、(該当する契約が含まれているならば)運営者が提供する所有者の権利を保証し、利益の分配などを処理するものとする。
【0143】
実社会において、前記ウォレット51及び52同士の不可逆的な取引に対して、合理性・客観性を第3者によって検証可能なすべての情報を、本情報処理システムは備えているものとする。
<スマートコントラクトの実装による売買>
トークンに関して、銀行などの管理者が不在で、取引履歴を所有者が作成し、流通するシステムに、例えば、ビットコインやイーサリアムが存在する。トークンの移転取引が成立する条件を、プログラムで制御する方法に、例えばイーサリアムのスマートコントラクトを作成する方法がある(プログラマブル・マネーなど)。
【0144】
まず、任意のトークン(イーサリアム・トークンなど)を移転条件と合わせて登録し、移転条件を最初に満たしたウォレットに対して移転を自動実行するスマートコントラクト(売買スマートコントラクト)を作成し、ブロックチェーンネットワーク上にブロードキャストしておく。
【0145】
ウォレット51は、売買スマートコントラクトに対して、証明書データのトークンを数量Nのイーサリアム・トークンを提示したウォレットに証明書データの所有を移転するという条件を登録するため、トランザクション(T60)をブロードキャストする。
【0146】
売買スマートコントラクトはこの条件に対して、取引番号AというIDをつけて記録する。
【0147】
ウォレット52は、売買スマートコントラクトの前記取引番号Aに、数量Nのイーサリアム・トークンを送金するトランザクション(T70)を作成して、ブロードキャストする。
【0148】
売買スマートコントラクトは、トランザクション(T70)を受けて、取引を自動実行し、証明書データの所有をウォレット52に移転し、数量Nのイーサリアム・トークンをウォレット51に移転する。
<サイドチェーンの実装>
ウォレット51及び52で、トークン取引を行う際、手数料に相当する少額のトークン量を消費することが一般的である(イーサリアム・ネットワークでは、ガス(Gas)と呼ばれている)。手数料に相当する少額のトークン量を節約する手法に、サイドチェーンやオフチェーンと呼ばれる技術がある。例えば、イーサリアム・ネットワークでは、プラズマやOptimistic Rollupなどが代表例である。
【0149】
ネットワーク21の中に、トークン・ネットワークの取引の一部を保証するサイドチェーンを実装する。サイドチェーンの実装には、ペイメイト・チャネルの技術を応用する。ネットワーク21に、ペイメント・ゲートウェイ70を接続する。ペイメント・ゲートウェイ70は、イーサリアム・トークンを一定量所有している。
【0150】
本情報処理システムで取引を行うウォレット51及びウォレット52の間でイーサリアム・トークンの取引を行う際に、ペイメント・ゲートウェイ70が、イーサリアム・ネットワークにブロードキャストを行わずに仲介する。
【0151】
ペイメント・ゲートウェイ70は、一定数の取引を集約し、集約した取引に関するトランザクションを作成し、イーサリアム・ネットワークにブロードキャストする。これにより、手数料の節約が可能になる。イーサリアム・ネットワークにブロードキャストしなかった個々の取引履歴は、ペイメント・ゲートウェイ70が内部の記憶部に記録する。
【0152】
また、この取引履歴を、ブロックチェーンノード40のトランザクションに含める実装によって、複数の分散型台帳に記録してもよい。
[情報処理方法の例]
図5は、本実施形態に係る情報処理方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、情報収集端末10とサーバ30が実行する処理を説明する。また、以下では、1つの情報収集端末10から環境価値情報を取得した場合の例を説明するが、複数の情報収集端末10のそれぞれから環境価値情報を取得し、それらに基づいて証明書データを生成し、記録することも可能である。
【0153】
S1では、情報収集端末10が、住宅に附随する設備機器から、環境価値に関する情報すなわち環境価値情報を取得する。例えば、情報収集端末10は、上記設備機器がCO2排出削減に寄与した程度を示す情報を環境価値情報として取得してもよい。
【0154】
S2では、サーバ30が、S1で取得された情報を情報収集端末10から取得する。続いて、S3では、サーバ30は、S2で取得した情報を定量化した評価値を作成する。そして、S4では、サーバ30は、S3で作成した評価値を用いて証明書データを作成する。なお、ここでサーバ30は作成した証明書データの根拠データについても作成してもよい。評価値、証明書データ、及び根拠データの作成方法については上述したとおりであるから説明を繰り返さない。
【0155】
S5では、サーバ30は、S4で作成した証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。より詳細には、サーバ30は、証明書データの発行が行なわれることを表すトランザクションを作成してノード40に送信する。これにより、ノード40による当該トランザクションの検証が行なわれ、検証の終了後、当該トランザクションを含むブロックがノード40の記憶部すなわち分散型台帳に記録される。これにより、
図5に示す情報処理方法は終了する。
【0156】
以上のように、サーバ30は、住宅に備えられた情報収集端末10により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得し、取得した情報を定量化した評価値を作成し、作成した評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録する。これにより、住宅から環境価値に関する情報を集め、それを定量化し、信頼性などを担保しつつデジタル市場で流通させることが可能になる。
【0157】
また、以上のように、本実施形態に係る情報処理方法は、住宅に備えられた情報収集端末10により収集された、前記住宅に附随する設備機器の環境価値に関する情報を取得することと、取得した情報を定量化した評価値を作成することと、作成した評価値を含む証明書データをブロックチェーン技術に基づく分散型台帳に記録することと、を含む。よって、住宅から環境価値に関する情報を集め、それを定量化し、信頼性などを担保しつつデジタル市場で流通させることが可能になる。
【0158】
なお、上述した情報処理方法は、1または複数の情報処理装置(プロセッサと言い換えることもできる)に実行させることもできる。例えば、S2~S5の全処理を1つのサーバに実行させてもよいし、S2~S3の処理はセンタサーバ31に実行させ、S4~S5の処理は証明書電子交付サーバ32に実行させてもよい。
【符号の説明】
【0159】
10 情報収集端末
20 ネットワーク
30,31,32 サーバ