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特開2023-135665無線品質の効率的な改善のための端末装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135665
(43)【公開日】2023-09-28
(54)【発明の名称】無線品質の効率的な改善のための端末装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20230921BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20230921BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20230921BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20230921BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W64/00
H04W88/02 151
H04W16/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072636
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2022040699の分割
【原出願日】2022-03-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 泰成
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ51
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】無線品質の測定値と端末装置の位置情報との整合性を向上させること。
【解決手段】端末装置は、基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行し、端末装置の位置を特定し、端末装置の位置が特定された第1のタイミングと、無線品質の測定が実行された第2のタイミングとに基づいて、測定の結果を基地局装置へ通知するか破棄するかを決定し、通知すると決定された測定の結果と、第1のタイミングにおいて特定された端末装置の位置とを基地局装置へ通知する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行する実行手段と、
前記端末装置の位置を特定する特定手段と、
前記端末装置の位置が特定された第1のタイミングと、前記無線品質の測定が実行された第2のタイミングとに基づいて、当該測定の結果を前記基地局装置へ通知するか破棄するかを決定する決定手段と、
通知すると決定された前記測定の結果と、前記第1のタイミングにおいて特定された前記端末装置の位置とを、前記基地局装置へ通知する通知手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記第1のタイミングより前の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が短い方から所定数の前記測定の結果以外の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記第1のタイミングより前の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が所定時間長より大きい前記第2のタイミングで実行された前記測定の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記第1のタイミングより後の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が短い方から所定数の前記測定の結果以外の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記決定手段は、前記第1のタイミングより後の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が所定時間長より大きい前記第2のタイミングで実行された前記測定の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1又は4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記第2のタイミングと前記第1のタイミングとの時間差が短い方から所定数の前記測定の結果以外の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記第2のタイミングと前記第1のタイミングとの時間差が所定時間長より大きい前記第2のタイミングで実行された前記測定の結果を破棄すると決定する、ことを特徴とする請求項1又は6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記所定時間長を示す情報を前記基地局装置から取得する取得手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項3、5、又は7のいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項9】
前記決定手段は、前記第1のタイミングより前の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が最も短い前記測定の第1の結果、及び、前記第1のタイミングより後の前記第2のタイミングにおいて実行された前記測定の結果のうち、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとの時間差が最も短い前記測定の第2の結果とを用いて算出される前記無線品質を示す値を前記基地局装置へ通知すると決定し、
前記通知手段は、前記第1の結果と前記第2の結果とを用いて算出された前記無線品質を示す値と、前記第1のタイミングにおいて特定された前記端末装置の位置とを通知する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項10】
端末装置であって、
前記端末装置の位置を特定する特定手段と、
前記端末装置の位置が特定されたことを契機として、基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行する実行手段と、
前記端末装置の位置が特定されたことを契機として実行された前記測定の結果と、当該端末装置の位置とを前記基地局装置へ通知する通知手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項11】
端末装置によって実行される制御方法であって、
基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行することと、
前記端末装置の位置を特定することと、
前記端末装置の位置が特定された第1のタイミングと、前記無線品質の測定が実行された第2のタイミングとに基づいて、当該測定の結果を前記基地局装置へ通知するか破棄するかを決定することと、
通知すると決定された前記測定の結果と、前記第1のタイミングにおいて特定された前記端末装置の位置とを前記基地局装置へ通知することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
端末装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置の位置を特定することと、
前記端末装置の位置が特定されたことを契機として、基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行することと、
前記端末装置の位置が特定されたことを契機として実行された前記測定の結果と、当該端末装置の位置とを前記基地局装置へ通知することと、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1から10のいずれか1項に記載の端末装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効果的な無線品質の収集技術に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)において、エリア品質改善等のために端末装置に無線品質の測定を実行させるMDT(Minimization of Driving Tests)が規定されている(非特許文献1参照)。MDTの測定は、例えば、端末装置が基地局装置と接続状態となったことに応じて設定が行われ、その設定に含まれるタイマが満了するまで端末装置において無線品質の測定が行われる。そして、端末装置は、ネットワーク(基地局装置)からの報告要求を受信するまではその測定結果を保持しておき、報告要求に応じて、保持していた測定結果をネットワークへ通知する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP TS37.320 V16.7.0、2021年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線品質の測定結果が端末装置の位置情報と関連付けられることにより、その位置情報によって示される位置における無線品質が特定され、例えば、エリア品質の改善に利用することができる。一方で、端末装置における位置の測定と無線品質の測定とがそれぞれ独立して実行されるため、無線品質の測定値と端末装置の位置との不整合が生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、無線品質の測定値と端末装置の位置情報との整合性を向上させる技術を提供する。
【0006】
本発明の一態様による端末装置は、基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行する実行手段と、前記端末装置の位置を特定する特定手段と、前記端末装置の位置が特定された第1のタイミングと、前記無線品質の測定が実行された第2のタイミングとに基づいて、当該測定の結果を前記基地局装置へ通知するか破棄するかを決定する決定手段と、通知すると決定された前記測定の結果を、前記第1のタイミングにおいて特定された前記端末装置の位置と関連付けて前記基地局装置へ通知する通知手段と、を有する。
【0007】
本発明の別の一態様による端末装置は、前記端末装置の位置を特定する特定手段と、前記端末装置の位置が特定されたことを契機として、基地局装置から送出された電波に関する無線品質の測定を実行する実行手段と、前記端末装置の位置が特定されたことを契機として実行された前記測定の結果を、当該端末装置の位置と関連付けて前記基地局装置へ通知する通知手段と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線品質の測定値と端末装置の位置情報との整合性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態による無線環境の測定結果の選択基準の例を説明する図である。
図3】端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4】端末装置の機能構成例を示す図である。
図5】端末装置によって実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。本無線通信システムは、例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のロングタームエボリューション(LTE)や第5世代(5G)の無線通信規格に準拠したセルラ通信システムであり、基地局装置101と端末装置102とを含んで構成される。基地局装置101は、セルを形成し、そのセル内に存在する端末装置102との間で接続を確立して、その端末装置102に対して無線通信サービスを提供する。なお、図1は、1つの基地局装置と1つの端末装置のみを示しているが、当然に多数の基地局装置および多数の端末装置が存在しうる。
【0012】
端末装置102は、基地局装置101と通信可能な、例えば3GPPの無線通信規格のいずれかに準拠したセルラ通信システムにおけるUE(User Equipment)である。本実施形態の端末装置102は、例えば基地局装置101によって形成されるセルのエリア品質改善等のために、ネットワークとの接続が確立されていない待ち受け中の非接続状態において、無線品質を測定し、ネットワークからの要求に従って、その測定結果を報告するように構成される。なお、待ち受け中の状態とは、RRC_IdleやRRC_Inactiveの状態でありうる。なお、RRCは、無線リソース制御のことを示す。ここで、端末装置102は、基地局装置101から、測定のための設定を示す情報を取得する。端末装置102は、この設定を用いて、基地局装置101から送出された電波に関する無線品質の測定を実行する。端末装置102は、さらに、例えば全地球測位システム(GPS)等を用いて自装置の位置の測定を実行する。
【0013】
端末装置102は、位置の測定と無線品質の測定とを、それぞれ独立して実行する。このため、位置を測定したタイミングと、無線品質の測定が行われたタイミングとが乖離することがある。例えば、測位が行われる頻度は相対的に高くなく、無線品質の測定が行われる頻度は相対的に高い。このため、例えば無線品質の測定結果を、その時点で最新の測位結果と関連付けたとしても、実際にその無線品質の測定が行われた位置と、測位が行われた位置との乖離が大きくなる場合が想定される。このような乖離が大きい情報が基地局装置101に通知された場合、例えば無線品質が劣化する位置を高精度に特定することができず、例えば、その情報に基づくエリア品質の改善などの効果が低下してしまいうる。
【0014】
本実施形態では、このような事情に鑑みて、無線品質の測定が行われた位置と、測位が行われた位置との乖離を抑制するための手法を提供する。本実施形態では、端末装置102が、例えば、測位が実行された第1のタイミングと、無線品質の測定が行われた第2のタイミングとに基づいて、その無線品質の測定の結果を破棄するか記憶するかを決定する。すなわち、端末装置102が、無線品質の測定の結果のうち、記憶しておくべき結果をその測定のタイミングに基づいて選択して、選択された測定結果のみを位置情報と関連付けて記憶し、選択されなかった測定結果については破棄する。そして、端末装置102は、位置情報、および、その位置情報と関連付けられて記憶された無線品質の測定結果を、基地局装置101(ネットワーク)へ通知するようにする。
【0015】
端末装置102は、例えば、第1のタイミングより前の第2のタイミングにおいて実行された無線品質の測定の結果のうち、その第1のタイミングに最も近い方から(すなわち、第1のタイミングとの時間差が最も短い方から)所定数の測定の結果のみを記憶する対象とし、残りの測定の結果を破棄しうる。すなわち、端末装置102は、位置の特定が行われた第1のタイミングより前に測定された無線品質の測定結果を所定数だけ記憶して、それ以降の測定結果については破棄するようにしうる。例えば、端末装置102は、無線品質の測定が行われる度にその測定結果を一時的に記憶し、その個数が所定数を超える場合には最も古い測定結果を破棄し、位置の測定が行われたタイミングにおいて一時的に記憶されている所定数の測定結果を、その測定された位置と関連付けて記憶する。なお、位置の測定が行われたタイミングより前のタイミングで実行された無線品質の測定の結果を所定数だけ保持することが可能な他の手順が使用されてもよい。例えば、端末装置102は、無線品質の測定結果をその測定のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶すると共に、測位の結果をその測位のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶しておく。そして、基地局装置101へ測定の結果を通知する際に、1つ以上の測位の結果のそれぞれに対して、その測位のタイミングより前に実行された所定数の無線品質の測定結果を関連付けて基地局装置101へ通知するようにしてもよい。すなわち、基地局装置101への通知の時点で、報告する対象の情報をフィルタリングするようにしてもよい。
【0016】
なお、端末装置102は、第1のタイミングより前に測定された無線品質の測定結果が所定数に満たない場合であっても、第1のタイミングより所定時間以上前に取得された無線品質の測定結果については破棄するようにしてもよい。端末装置102は、例えば、上述のようにして一時的に記憶されている測定結果のそれぞれについて、その測定結果が得られたタイミングの情報を併せて一時的に記憶しておき、そのタイミングからの経過時間が所定時間を超えた場合に、その測定結果の情報を破棄するようにしうる。このようにして、端末装置102は、第1のタイミングの後に測定された無線品質の測定結果のうち、その測定が行われたタイミングが早い方から所定数以内であることを前提として、さらに、その測定タイミングと第1のタイミングとの時間差が所定時間長を超えない測定結果を限定的に記憶するようにしうる。なお、所定数を定めず、測定タイミングと第1のタイミングとの時間差が所定時間長を超える測定結果の破棄のみが行われてもよい。これによれば、測位が行われたタイミングから大きくずれたタイミングで実行された無線品質の測定の結果が、その測位の結果と関連付けられて記憶され、ネットワークに通知されることを防ぐことができる。なお、この所定時間の範囲内に含まれるタイミングで実行された無線品質の測定の結果のみが基地局装置101へ通知されるようにするために、上述のようなフィルタリングが用いられてもよい。すなわち、端末装置102は、無線品質の測定結果をその測定のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶すると共に、測位の結果をその測位のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶しておく。そして、端末装置102は、1つ以上の測位の結果のそれぞれに対して、その測位のタイミングより所定時間だけ早いタイミングから測位のタイミングまでの間の期間に実行された無線品質の測定の結果を関連付けて基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0017】
ここで、所定数が1である場合について、図2を用いて説明する。図2では、横軸を時間として、測位が行われたタイミングを破線矢印により示しており、無線品質が行われたタイミングを実線矢印で示している。端末装置102は、例えば、タイミングPにおいて測位を実行した場合に、そのタイミングPより前の最も近いタイミングで実行された無線品質の測定の結果として、タイミングAにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定しうる。端末装置102は、同様に、タイミングQの測位に対して、タイミングEにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定し、タイミングRの測位に対して、タイミングIにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定する。タイミングB~D、タイミングF~H、及びタイミングJにおいて実行された無線品質の測定の結果は破棄される。なお、所定数が2である場合、例えば、端末装置102は、タイミングQの測位に対して、タイミングE及びタイミングDにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定し、タイミングRの測位に対して、タイミングI及びタイミングHにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定する。また、例えば、端末装置102は、タイミングRから所定時間長だけ遡ったタイミングXよりも前に実行された無線品質の測定の結果については破棄するようにしうる。例えば、端末装置102は、所定数が2の場合にも、タイミングHで実行された無線品質の測定の結果については、基地局装置101へ通知せずに破棄しうる。端末装置102は、同様に、タイミングPやタイミングQについても、所定時間長だけ遡ったタイミングよりも前に実行された無線品質の測定の結果については破棄するようにしうる。
【0018】
別の実施形態では、端末装置102は、例えば、第1のタイミングの後の第2のタイミングにおいて実行された無線品質の測定の結果のうち、その第1のタイミングに最も近い方から(すなわち、第1のタイミングとの時間差が最も短い方から)所定数の測定の結果のみを記憶する対象とし、残りの測定の結果を破棄しうる。すなわち、端末装置102は、位置の特定が行われた第1のタイミングの後に測定された無線品質の測定結果を所定数だけ記憶して、それ以降の測定結果については破棄するようにしうる。例えば、端末装置102は、測位が実行されたタイミングより後に実行された無線品質の測定の結果をその測位の結果と関連付けて記憶し、その個数が所定数に達した後は、測定の結果を記憶せずに破棄する。なお、位置の測定が行われたタイミングの後のタイミングで実行された無線品質の測定の結果を所定数だけ保持することが可能な他の手順が使用されてもよい。例えば、端末装置102は、無線品質の測定結果をその測定のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶すると共に、測位の結果をその測位のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶しておく。そして、端末装置102は、基地局装置101へ測定の結果を通知する際に、1つ以上の測位の結果のそれぞれに対して、その測位のタイミングより後に実行された所定数の無線品質の測定結果を関連付けて、その通知を行ってもよい。すなわち、基地局装置101への通知の時点で、報告する対象の情報をフィルタリングするようにしてもよい。
【0019】
なお、端末装置102は、第1のタイミングより後に測定された無線品質の測定結果が所定数に満たない場合であっても、第1のタイミングより所定時間以上後に取得された無線品質の測定結果については破棄するようにしてもよい。端末装置102は、例えば、測位を実行した第1のタイミングからの経過時間が所定時間を超えた後に取得された無線品質の測定結果を破棄するようにしうる。このようにして、端末装置102は、第1のタイミングの後に測定された無線品質の測定結果のうち、その測定が行われたタイミングが第1のタイミングに近い方から所定数以内であることを前提として、さらに、その測定タイミングと第1のタイミングとの時間差が所定時間長を超えない測定結果を限定的に記憶するようにしうる。なお、所定数を定めず、測定タイミングと第1のタイミングとの時間差が所定時間長を超える測定結果の破棄のみが行われてもよい。これによれば、測位が行われたタイミングから大きくずれたタイミングで実行された無線品質の測定の結果が、その測位の結果と関連付けられて記憶され、ネットワークに通知されることを防ぐことができる。なお、この所定時間の範囲内に含まれるタイミングで実行された無線品質の測定の結果のみが基地局装置101へ通知されるようにするために、上述のようなフィルタリングが用いられてもよい。すなわち、端末装置102は、無線品質の測定結果をその測定のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶すると共に、測位の結果をその測位のタイミングを示す情報と関連付けて一時記憶しておく。そして、端末装置102は、1つ以上の測位の結果のそれぞれに対して、その測位のタイミングより後でそのタイミングから所定時間が経過する前の期間に実行された無線品質の測定の結果を関連付けて基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0020】
ここで、所定数が1である場合について、図2を用いて説明する。端末装置102は、例えば、タイミングPにおいて測位を実行した場合に、そのタイミングPより後の最も近いタイミングで実行された無線品質の測定の結果として、タイミングBにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定しうる。端末装置102は、同様に、タイミングQの測位に対して、タイミングFにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定し、タイミングRの測位に対して、タイミングJにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定する。タイミングA、タイミングC~E、及び、タイミングG~Iにおいて実行された無線品質の測定の結果は破棄される。なお、所定数が2である場合、例えば、端末装置102は、タイミングPの測位に対して、タイミングB及びタイミングCにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定し、タイミングQの測位に対して、タイミングF及びタイミングGにおいて実行された無線品質の測位の結果を基地局装置101へ通知すると決定する。また、例えば、端末装置102は、測位のタイミングから所定時間長経過した後に実行された無線品質の測定の結果については破棄しうる。
【0021】
また、別の実施形態では、端末装置102は、例えば、第1のタイミングの前後を問わず、その第1のタイミングに最も近い方から(すなわち、第1のタイミングとの時間差が最も短い方から)所定数の第2のタイミングにおいて実行された測定の結果のみを記憶する対象とし、残りの測定の結果を破棄しうる。例えば、端末装置102は、無線品質の測定が行われる度にその測定結果を一時的に記憶し、その個数が所定数を超える場合には最も古い測定結果を破棄する。また、端末装置102は、無線品質の測定が行われたタイミングを示す情報を、この測定結果の情報と関連付けて一時的に記憶しておく。そして、端末装置102は、測位が実行された第1のタイミングより後の第2のタイミングにおいて無線品質の測定を実行すると、その第1のタイミングと第2のタイミングとの第1の時間差と、既に記憶されている測定結果に関連付けられたタイミングと第1のタイミングとの第2の時間差とを比較する。端末装置102は、第2の時間差より第1の時間差の方が短い場合に、既に記憶されている測定結果を破棄し、新たに得られた無線品質の測定結果を一時的に記憶する。その後も同様にして、測位が実行された第1のタイミングに近い方から所定数の第2のタイミングにおいて行われた無線品質の測定結果が基地局装置101へ通知されるようにする。なお、この場合も、第1のタイミングから所定時間長より離れたタイミングにおいて実行された無線品質の測定結果については破棄されるようにしうる。また、所定数の定めなく、第1のタイミングから所定時間長より離れたタイミングにおいて実行された無線品質の測定結果の破棄のみが行われてもよい。例えば、図2において、所定数が1の場合、測位のタイミングPに対して、タイミングAの無線品質の測定結果が基地局装置101へ通知されるようにしうる。また、タイミングQに対するタイミングFの無線品質の測定結果、及び、タイミングRに対するタイミングJの無線品質の測定結果が基地局装置101へ通知されるようにしうる。
【0022】
なお、上述のように第1のタイミングから所定時間長より離れたタイミングにおいて実行された無線品質の測定結果が破棄される場合、その所定時間長を示す情報は、基地局装置101(ネットワーク)から端末装置102へ通知されるようにしうる。一例において、端末装置102の移動速度が低速である場合には所定時間長が長く設定され、その移動速度が高速である場合には所定時間長が短く設定されうる。端末装置102は、この所定時間長を示す情報を取得した場合、上述のようにして、測位のタイミングからその所定時間長より離れたタイミングで取得された無線品質の測定結果を破棄しうる。なお、端末装置102は、例えば所定時間長の初期値をネットワークからの通知によらずに保持していてもよく、ネットワークからの通知がない場合には、その所定時間長を用いて、無線品質の測定結果を破棄するか否かを決定してもよい。また、端末装置102は、ネットワークからの通知がない場合には、所定時間長に基づく無線品質の測定結果の破棄を行わないようにしてもよい。
【0023】
また、端末装置102は、測位の第1のタイミングを挟む2つ以上の第2のタイミングにおいて実行された無線品質の測定結果に基づいて、基地局装置101へ通知すべき無線品質の値を算出するようにしてもよい。例えば、第1のタイミングより前の第2のタイミングのうち第1のタイミングとの時間差が最も短い第2のタイミングにおいて実行された無線品質の測定の第1の結果と、第1のタイミングより後の第2のタイミングのうち第1のタイミングとの時間差が最も短い第2のタイミングにおいて実行された無線品質の測定の第2の結果と、を少なくとも用いて算出された無線品質を示す値が、基地局装置へ通知されるようにしうる。例えば、タイミングPでの測位の結果に対して、タイミングAおよびタイミングBにおいて実行された無線品質の測定結果を用いて、無線品質を示す値が算出されうる。例えば、2つの無線品質の平均値が、無線品質を示す値として算出されうる。また、例えば、測位のタイミングと無線品質の測定のタイミングとの時間差が長いほど小さい値を取る重み係数を用いた加重平均値が、無線品質を示す値として算出されてもよい。なお、3つ以上の無線品質を用いて、無線品質を示す値が算出されてもよい。例えば、測位のタイミングQに対して、タイミングE~Gのそれぞれに対する無線品質の測定値を用いて、無線品質を示す値が算出されてもよい。
【0024】
また、端末装置102は、測位が実行された第1のタイミングから上述の所定時間長の範囲内の第2のタイミングで実行された無線品質の測定の結果を全て、またはそれらの測定の結果に基づいて算出される無線品質を示す値を、基地局装置101へ通知するようにしてもよい。
【0025】
上述の各実施形態によれば、測位が行われたタイミングと乖離したタイミングで実行された無線品質の測定結果が、その測位の結果と関連付けられてネットワーク側へ通知されることを防ぐことができる。このため、ネットワーク側において、通知された位置に適切に対応する無線品質の情報を取得することができ、効果的にエリア品質の改善等の措置を取ることが可能となる。
【0026】
上述の実施形態では、端末装置102が、測位と無線品質の測定とを継続的に実行している場合について説明した。これに代えて、端末装置102が、測位を実行したことを契機として、無線品質の測定を実行するようにしてもよい。そして、端末装置102は、その無線品質の測定値を、その測位の結果と関連付けて基地局装置101へ通知しうる。これによれば、端末装置は、測位が実行されたタイミングと乖離しないタイミングで無線品質を測定し、その測定結果をネットワーク側へ通知することが可能となる。また、例えば、端末装置102は、Idle状態においてDiscontinuous Reception(DRX)での省電力動作を行っている間には、短周期での無線品質の測定を行わない。これに対して、端末装置102が測位を実行したことを契機として、無線品質の測定を実行することにより、測位の実行タイミングと無線品質の測定のタイミングとの乖離を防ぐことが可能となる。
【0027】
(装置の構成)
図3は、端末装置102のハードウェア構成例を示す図である。端末装置102は、一例において、プロセッサ301、ROM302、RAM303、記憶装置304、及び通信回路305を含んで構成される。プロセッサ301は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM302や記憶装置304に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM302は、端末装置102が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM303は、プロセッサ301がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置304は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路305は、例えば、LTEや5Gの無線通信用の回路によって構成される。なお、図3では、1つの通信回路305が図示されているが、端末装置102は、複数の通信回路を有しうる。例えば、端末装置102は、LTE用および5G用の無線通信回路と共通のアンテナを有しうる。なお、端末装置102は、LTE用のアンテナと5G用のアンテナとを別個に有してもよい。
【0028】
図4は、端末装置102の機能構成例を示している。端末装置102は、例えば、測位部401、無線品質測定部402、通知情報決定部403、記録部404、及び測定結果報告部405を含む。また、端末装置102は、必要に応じて、情報取得部406を有してもよい。なお、これらの機能部は、例えば、プロセッサ301が、ROM302や記憶装置304に記憶されたプログラムを実行することによって実装されうる。ただし、これに限られず、例えばこれらの機能部の一部または全部が専用のハードウェアを用いて実装されてもよい。なお、端末装置102が実行すべき処理については上述したため、ここでは端末装置102の機能構成を大まかに概説するにとどめる。
【0029】
測位部401は、例えばGPS測位などによって、端末装置102自身の位置を特定する。無線品質測定部402は、基地局装置101からの設定情報に従って、無線品質の測定を実行する。通知情報決定部403は、測位部401において測位が実行された第1のタイミングと、無線品質測定部402において無線品質の測定が実行された第2のタイミングとに基づいて、無線品質の測定結果を基地局装置101へ通知するか破棄するかを決定する。記録部404は、基地局装置101へ通知すると決定された無線品質の測定結果の情報を、測位の結果と関連付けて記憶する。測定結果報告部405は、例えば基地局装置101からの指示に基づいて、記録部404に記憶されている無線品質の測定結果の情報およびその情報と関連付けられている測位結果の情報を、基地局装置101へ通知する。
【0030】
なお、上述のように、記録部404は、測位部401において特定された端末装置102の位置及び測位タイミングを示す情報と、無線品質測定部402において実行された無線品質の測定の結果及びその測定が実行されたタイミングを示す情報を保持してもよい。この場合、通知情報決定部403によって基地局装置101へ通知する測位結果と無線品質の測定結果との組み合わせが決定され、測定結果報告部405は、その組み合わせを基地局装置101へ通知しうる。
【0031】
情報取得部406は、通知情報決定部403によって測位のタイミングから所定期間長より離れたタイミングで実行された無線品質の測定の結果が破棄されるようにするために、その所定期間長の情報を、基地局装置101から取得しうる。なお、情報取得部406は、一例において、測位のタイミングの前と後とのいずれにおいて実行された無線品質の測定の結果を報告すべきか、又は、測位のタイミングの前後を問わずに近いタイミングで実行された無線品質の測定の結果を報告すべきかを示す情報を基地局装置101から取得してもよい。すなわち、情報取得部406は、無線品質の測定報告のための各種情報を取得しうる。
【0032】
(処理の流れ)
続いて、図5を用いて、端末装置102によって実行される処理の流れについて概説する。なお、端末装置102が実行すべき処理の詳細については上述したため、ここでは処理の流れを大まかに概説するにとどめる。
【0033】
端末装置102は、任意の測位技術を用いて、例えば定期的に自装置の位置を特定する(S501)。また、端末装置102は、基地局装置101から送出された電波に関する無線品質の測定を定期的に実行する(S502)。なお、S501とS502の処理は並行して行われうる。また、例えば、S501で測位が実行されたことを契機として、無線品質の測定が行われるようにしてもよい。その後、端末装置102は、S502で測定された無線品質のうちのいずれを基地局装置101へ通知するかを決定する(S503)。端末装置102は、上述のように、測位が実行された第1のタイミングと、1回以上行われた無線品質の測定のそれぞれについての第2のタイミングとに基づいて、いずれの無線品質の測定結果を通知するかを決定する。なお、端末装置102は、例えば、第1のタイミングから所定時間長より離れた第2のタイミングで実行された無線品質の測定の結果を破棄する場合に、S503より前に、基地局装置101からその所定時間長の情報を取得してもよい。このときに、端末装置102は、測位の結果と、その測位が実行された第1のタイミングに基づいて通知すると決定された無線品質の測定結果を関連付けて記録しうる。その後、端末装置102は、S503で通知すると決定された無線品質の測定結果を、その測定結果と関連付けられた測位の結果とともに、基地局装置101へ通知する(S504)。
【0034】
なお、端末装置102は、例えば測位の結果と、無線品質の測定結果とを、特定の関連付けを行わずに基地局装置101へ通知してもよい。例えば、通知される測位の結果が1つである場合や、1つの測位の結果に対して、関連付けられるべき無線品質の測定結果の数が予め定められている場合には、端末装置102において測位結果と無線品質の測定結果との関連付けを行わなくても、基地局装置101等のネットワーク側においてその関連付けを行うことができる。また、例えば端末装置102は、測位や無線品質の測定が行われたタイミングを示す情報をネットワークへ通知してもよい。この場合、ネットワークにおいて、タイミングに基づいて測位結果と無線品質の測定結果との関連付けを行うことができる。このため、端末装置102においては、タイミングに応じて無線品質の測定結果を報告するか破棄するかを決定するにとどめ、測位結果と無線品質の測定結果との明示的な関連付けを行わなくてもよく、そのような関連付けが行われた情報を通知しなくてもよい。すなわち、端末装置102は、単純に、測位結果と、破棄せずに保持していた無線品質の測定結果とを、基地局装置101へ通知するだけでよい。
【0035】
以上のようにして、端末装置102は、測位のタイミングから乖離したタイミングで実行された無線品質の測定結果については破棄することにより、測位の結果と無線品質の測定結果との関連性を向上させることが可能となる。そして、この情報がネットワークに通知されることにより、例えば、エリア品質を高効率に向上させることが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0036】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5