(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135684
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/08 20090101AFI20230922BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20230922BHJP
H04B 17/318 20150101ALI20230922BHJP
H04B 17/391 20150101ALI20230922BHJP
【FI】
H04W24/08
H04W84/06
H04B17/318
H04B17/391
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040882
(22)【出願日】2022-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船越 水祥
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA22
5K067DD20
5K067EE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】無線信号の伝搬特性のシミュレーション精度を向上する。
【解決手段】飛行体含むシステムにおいて、情報処理装置300は、物体の位置及び形状を含む地図情報を格納する格納部と、通信端末が上空を飛行している飛行体に送信した無線信号の送信電力情報と、飛行体が無線信号を受信した受信電力情報と、通信端末が無線信号を送信したときの通信端末位置情報と、飛行体が無線信号を受信したときの飛行体位置情報とを受信する情報受信部と、通信端末位置情報と、飛行体位置情報と、地図情報とに基づいて物体による無線信号の反射を含む反射伝搬経路を決定する伝搬経路決定部と、受信電力情報に基づいて飛行体が反射伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する受信電力決定部と、送信電力情報と、反射伝搬経路受信電力と、反射伝搬経路とに基づいて、物体の反射減衰率を決定する反射減衰率決定部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の位置を示す物体位置情報及び前記物体の形状を示す物体形状情報を含む地図情報を格納する格納部と、
通信端末が上空を飛行している飛行体に送信した無線信号の送信電力を示す送信電力情報と、前記飛行体が受信した前記無線信号の受信電力を示す受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信したときの位置を示す飛行体位置情報とを受信する情報受信部と、
前記通信端末位置情報と、前記飛行体位置情報と、前記地図情報とに基づいて、前記無線信号が前記通信端末から前記飛行体まで伝搬するまでの間に前記物体による前記無線信号の反射を含む伝搬経路である反射伝搬経路を決定する伝搬経路決定部と、
前記受信電力情報によって示される前記受信電力に基づいて、前記飛行体が前記反射伝搬経路を伝搬した前記無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する受信電力決定部と、
前記送信電力情報によって示される前記送信電力と、前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する反射減衰率決定部と
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記受信電力決定部は、予め定められた受信電力閾値より大きい前記受信電力に基づいて、前記反射伝搬経路受信電力を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記格納部は、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを示す屋内外情報とを対応付けて格納し、
前記情報処理装置は、前記格納部に格納されている複数の前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報と、前記屋内外情報とを教師データとして用いて、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報とから、前記通信端末が前記無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを推定する推定モデルを機械学習により生成するモデル生成部をさらに備え、
前記反射減衰率決定部は、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報とから、前記推定モデルを用いて、屋外で送信したと推定した前記通信端末の前記無線信号の前記送信電力と、前記飛行体が当該無線信号を受信した前記受信電力に基づいて前記受信電力決定部が決定した前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の前記反射減衰率を決定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記伝搬経路決定部は、前記反射伝搬経路における前記物体が前記無線信号を反射したポイントである反射ポイントを決定し、
前記反射減衰率決定部は、前記物体の前記反射ポイントにおける前記反射減衰率を決定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気を示す天気情報をさらに受信し、
前記反射減衰率決定部は、前記物体の前記反射減衰率と前記天気情報とを対応付けて前記格納部に格納する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気を示す天気情報をさらに受信し、
前記反射減衰率決定部は、前記天気情報によって示される前記天気が予め定められた好天条件を満たす前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む前記範囲の雲量を示す雲量情報を含む前記天気情報を受信し、
前記反射減衰率決定部は、前記天気情報に含まれる前記雲量情報によって示される前記雲量が予め定められた雲量閾値より低い前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人の数を示す人流情報をさらに受信し、
前記反射減衰率決定部は、前記人流情報によって示される前記人の数が予め定められた人流閾値より少ない前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量を示す通信量情報をさらに受信し、
前記反射減衰率決定部は、前記通信量情報によって示される前記基地局の前記通信量が予め定められた通信量閾値より低い前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記反射減衰率決定部が決定した前記物体の前記反射減衰率に基づいて、前記物体位置情報によって示される前記物体の前記位置を含む予め定められた範囲に基地局を配置した場合における、前記基地局が通信端末から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションするシミュレーション部をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理装置は、前記飛行体に搭載される、請求項1から10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記飛行体と
を備える、システム。
【請求項14】
前記飛行体は、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内の前記通信端末に無線通信サービスを提供する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記情報処理装置は、反射減衰率を決定する対象物体を含む対象エリアを示す対象エリア情報を前記飛行体に送信する情報送信部をさらに備え、
前記飛行体は、前記無線通信エリアを構成する複数のサブセルのうちの、前記情報処理装置から受信した前記対象エリア情報によって示される前記対象エリアを含むサブセルに在圏する前記通信端末に、前記通信端末位置情報を送信することを指示する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
通信端末が上空を飛行している飛行体に送信した無線信号の送信電力を示す送信電力情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信した受信電力を示す受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信したときの位置を示す飛行体位置情報とを受信する情報受信段階と、
前記通信端末位置情報と、前記飛行体位置情報と、前記コンピュータに格納されている、物体の位置を示す物体位置情報及び前記物体の形状を示す物体形状情報を含む地図情報とに基づいて、前記無線信号が前記通信端末から前記飛行体まで伝搬するまでの間に前記物体による前記無線信号の反射を含む伝搬経路である反射伝搬経路を決定する伝搬経路決定段階と、
前記受信電力情報によって示される前記受信電力に基づいて、前記飛行体が前記反射伝搬経路を伝搬した前記無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する受信電力決定段階と、
前記送信電力情報によって示される前記送信電力と、前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する反射減衰率決定段階と
を備える、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電波伝搬の理論モデルとしてレイトレーシング(Ray Tracing)法を用いたシミュレーションモデルを採用し、本モデルにより模擬電波強度を算出する電波強度推定装置が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2021-170738号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、情報処理装置が提供される。情報処理装置は、物体の位置を示す物体位置情報及び前記物体の形状を示す物体形状情報を含む地図情報を格納する格納部を備えてよい。情報処理装置は、通信端末が上空を飛行している飛行体に送信した無線信号の送信電力を示す送信電力情報と、前記飛行体が受信した前記無線信号の受信電力を示す受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信したときの位置を示す飛行体位置情報とを受信する情報受信部を備えてよい。情報処理装置は、前記通信端末位置情報と、前記飛行体位置情報と、前記地図情報とに基づいて、前記無線信号が前記通信端末から前記飛行体まで伝搬するまでの間に前記物体による前記無線信号の反射を含む伝搬経路である反射伝搬経路を決定する伝搬経路決定部を備えてよい。情報処理装置は、前記受信電力情報によって示される前記受信電力に基づいて、前記飛行体が前記反射伝搬経路を伝搬した前記無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する受信電力決定部を備えてよい。情報処理装置は、前記送信電力情報によって示される前記送信電力と、前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する反射減衰率決定部を備えてよい。
【0004】
前記受信電力決定部は、予め定められた受信電力閾値より大きい前記受信電力に基づいて、前記反射伝搬経路受信電力を決定してよい。前記格納部は、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを示す屋内外情報とを対応付けて格納してよい。前記情報処理装置は、前記格納部に格納されている複数の前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報と、前記屋内外情報とを教師データとして用いて、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報とから、前記通信端末が前記無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを推定する推定モデルを機械学習により生成するモデル生成部を備えてよい。前記反射減衰率決定部は、前記通信端末位置情報と、前記送信電力情報と、前記受信電力情報とから、前記推定モデルを用いて、屋外で送信したと推定した前記通信端末の前記無線信号の前記送信電力と、前記飛行体が当該無線信号を受信した前記受信電力に基づいて前記受信電力決定部が決定した前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の前記反射減衰率を決定してよい。前記伝搬経路決定部は、前記反射伝搬経路における前記物体が前記無線信号を反射したポイントである反射ポイントを決定してよい。前記反射減衰率決定部は、前記物体の前記反射ポイントにおける前記反射減衰率を決定してよい。
【0005】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気を示す天気情報をさらに受信してよい。前記反射減衰率決定部は、前記物体の前記反射減衰率と前記天気情報とを対応付けて前記格納部に格納してよい。前記反射減衰率決定部は、前記天気情報によって示される前記天気が予め定められた好天条件を満たす前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定してよい。前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む前記範囲の雲量を示す雲量情報を含む前記天気情報を受信してよい。前記反射減衰率決定部は、前記天気情報に含まれる前記雲量情報によって示される前記雲量が予め定められた雲量閾値より低い前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定してよい。
【0006】
前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人の数を示す人流情報をさらに受信してよい。前記反射減衰率決定部は、前記人流情報によって示される前記人の数が予め定められた人流閾値より少ない前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定してよい。前記情報受信部は、前記通信端末が前記無線信号を送信したとき又は前記飛行体が前記無線信号を受信したときにおける、前記反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量を示す通信量情報をさらに受信してよい。前記反射減衰率決定部は、前記通信量情報によって示される前記基地局の前記通信量が予め定められた通信量閾値より低い前記反射伝搬経路に基づいて、前記物体の反射減衰率を決定してよい。
【0007】
情報処理装置は、前記反射減衰率決定部が決定した前記物体の前記反射減衰率に基づいて、前記物体位置情報によって示される前記物体の前記位置を含む予め定められた範囲に基地局を配置した場合における、前記基地局が通信端末から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションするシミュレーション部を備えてよい。前記情報処理装置は、前記飛行体に搭載されてよい。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、前記情報処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、システムが提供される。システムは、前記情報処理装置を備えてよい。システムは、前記飛行体を備えてよい。
【0010】
前記飛行体は、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して前記無線通信エリア内の前記通信端末に無線通信サービスを提供してよい。前記情報処理装置は、反射減衰率を決定する対象物体を含む対象エリアを示す対象エリア情報を前記飛行体に送信する情報送信部を備えてよい。前記飛行体は、前記無線通信エリアを構成する複数のサブセルのうちの、前記情報処理装置から受信した前記対象エリア情報によって示される前記対象エリアを含むサブセルに在圏する前記通信端末に、前記通信端末位置情報を送信することを指示してよい。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行される情報処理方法が提供される。情報処理方法は、通信端末が上空を飛行している飛行体に送信した無線信号の送信電力を示す送信電力情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信した受信電力を示す受信電力情報と、前記通信端末が前記無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報と、前記飛行体が前記無線信号を受信したときの位置を示す飛行体位置情報とを受信する情報受信段階を備えてよい。情報処理方法は、前記通信端末位置情報と、前記飛行体位置情報と、前記コンピュータに格納されている、物体の位置を示す物体位置情報及び前記物体の形状を示す物体形状情報を含む地図情報とに基づいて、前記無線信号が前記通信端末から前記飛行体まで伝搬するまでの間に前記物体による前記無線信号の反射を含む伝搬経路である反射伝搬経路を決定する伝搬経路決定段階を備えてよい。情報処理方法は、前記受信電力情報によって示される前記受信電力に基づいて、前記飛行体が前記反射伝搬経路を伝搬した前記無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する受信電力決定段階を備えてよい。情報処理方法は、前記送信電力情報によって示される前記送信電力と、前記反射伝搬経路受信電力と、前記反射伝搬経路とに基づいて、前記物体の反射減衰率を決定する反射減衰率決定段階を備えてよい。
【0012】
尚、前記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定する一例を説明するための説明図である。
【
図3】情報処理装置300の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図4】情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する一例を説明するための説明図である。
【
図5】情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する他の一例を説明するための説明図である。
【
図6】情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する他の一例を説明するための説明図である。
【
図7】飛行体100が通信端末200に指示する一例を概略的に示す。
【
図8】情報処理装置300の処理の流れの一例を説明するための説明図である。
【
図9】情報処理装置300として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ネットワーク(network;NW)を構築する場合、まず、基地局を配置した場合における、無線信号の伝搬特性をシミュレーションで計算し、その後、基地局を実際に配置するフローとなる。このフローで基地局を実際に配置した場合に、シミュレーションで計算した無線信号の伝搬特性と実際に配置した基地局が実測したデータから計算した無線信号の伝搬特性との間に誤差が発生してしまう場合がある。当該誤差の原因の1つとして、送信側の装置によって送信された無線信号が建物等の物体に反射することで複数の伝搬経路を伝搬して受信側の装置で受信されるマルチパス現象に起因する信号干渉が挙げられる。そこで、無線信号の伝搬特性のシミュレーションの精度を向上させるためには、無線信号が伝搬した複数の伝搬経路のそれぞれの伝搬特性から、マルチパス現象に起因する信号干渉の影響を高精度に決定する必要がある。複数の伝搬経路のうち物体による無線信号の反射を含む伝搬経路の伝搬特性を決定するためには、無線信号を反射した物体の反射減衰率が必要である。また、物体の反射減衰率は、物体の材質によって異なる。以上より、無線信号の伝搬特性のシミュレーションの精度を向上させるためには、無線信号の伝搬空間に存在する物体の反射減衰率の精度が重要となる。物体の反射減衰率を決定する方法の1つとして、送信側の装置が無線信号を送信した送信結果及び受信側の装置が無線信号を受信した受信結果から、無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬するまでの間に物体による無線信号の反射を含む伝搬経路を決定し、当該伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する方法が挙げられる。しかしながら、無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬する伝搬経路の数が多くなるほど、各伝搬経路を高精度に決定することが困難になる。また、無線信号が伝搬経路において反射される回数が多くなるほど、特定の物体による無線信号の反射によって無線信号がどれだけ減衰したかを高精度に決定することが困難になる。本実施形態に係るシステム10において、例えば、情報処理装置は、通信端末が通信端末の位置情報を付与したメジャメントレポート(Measurement Report;MR)を送信した送信結果、及び上空を飛行している飛行体がMRを受信した受信結果を収集する。情報処理装置は、収集した送信結果及び受信結果から、レイトレーシング法を用いて、無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬するまでの間に物体による無線信号の反射を含む伝搬経路を決定し、無線信号の反射した物体の反射減衰率を決定する。これにより、無線信号の伝搬特性のシミュレーション精度の向上に貢献できる。
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。システム10は、飛行体100及び情報処理装置300を備えてよい。システム10は、天気情報管理装置400を備えてよい。システム10は、人流情報管理装置500を備えてよい。システム10は、基地局管理装置600を備えてよい。
【0017】
飛行体100は、通信端末200に無線通信サービスを提供する。飛行体100は、例えば、無人航空機である。飛行体100は、例えば、成層圏プラットフォームとして機能し、ビームを照射することによって無線通信エリアを形成して無線通信エリア内の通信端末200に無線通信サービスを提供する飛行体である。当該飛行体は、例えば、HAPS(High Altitude Platform Station)である。飛行体100は、ドローンであってもよい。飛行体100は、有人航空機であってもよい。
図1では、飛行体100がHAPSである場合の一例を主に説明する。
【0018】
飛行体100は、例えば、主翼部121、本体部122、プロペラ124、太陽電池パネル130、SL(Service Link)アンテナ132、及びFL(Feeder Link)アンテナ134を有する。主翼部121及び本体部122の少なくともいずれかにバッテリが配置される。バッテリは、太陽電池パネル130によって発電された電力を蓄電する。本体部122は、制御装置150を含んでよい。
【0019】
制御装置150は、飛行体100を制御する。制御装置150は、例えば、バッテリに蓄電された電力を用いてプロペラ124を回転させることによって、飛行体100を飛行させる。飛行体100は、制御装置150による制御に従って飛行してよい。
【0020】
制御装置150は、例えば、飛行体100の通信を制御する。飛行体100は、制御装置150による制御に従って通信してよい。
【0021】
飛行体100は、例えば、SLアンテナ132を用いてビームを照射することによって無線通信エリア140を形成して、無線通信エリア140内の通信端末200に無線通信サービスを提供する。飛行体100は、例えば、SLアンテナ132を用いて無線通信エリア140内の通信端末200とサービスリンクを確立する。飛行体100は、例えば、電波無線通信で通信端末200とサービスリンクを確立する。この場合、SLビームの周波数は、例えば、マイクロ波帯域である。SLビームの周波数は、ミリ波帯域であってもよい。飛行体100は、光無線通信で通信端末200とサービスリンクを確立してもよい。この場合、SLビームの周波数は、例えば、赤外光帯域である。
【0022】
SLアンテナ132は、例えば、マルチビームアンテナである。この場合、SLアンテナ132によって形成される無線通信エリア140は、マルチセルであってよい。
【0023】
通信端末200は、飛行体100とサービスリンクを確立することが可能な通信端末であればどのような通信端末であってもよい。例えば、通信端末200は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット端末及びウェアラブル端末等である。通信端末200は、PC(Personal Computer)であってもよい。通信端末200は、IoT(Internet of Thing)端末であってもよい。通信端末200は、IoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0024】
飛行体100は、例えば、FLアンテナ134を用いてビームを照射することによってゲートウェイ40とフィーダリンクを確立する。飛行体100は、フィーダリンクを確立したゲートウェイ40を介して、ネットワーク20にアクセスしてよい。
【0025】
ネットワーク20は、通信事業者によって提供されるコアネットワークを含んでよい。コアネットワークは、例えば、5G(5th Generation)通信システムに準拠する。コアネットワークは、6G(6th Generation)通信システム以降の移動体通信システムに準拠してもよい。コアネットワークは、3G(3rd Generation)通信システムに準拠してもよい。コアネットワークは、LTE(Long Term Evolution)通信システムに準拠してもよい。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0026】
飛行体100は、例えば、カバー対象の地上のエリアの上空を巡回しながら、飛行体100によって当該エリアをカバーする。飛行体100は、カバー対象の地上エリアの一部を無線通信エリア140によってカバーしながら、地上エリアの上空を飛行することによって、地上エリアの全体をカバーしてもよい。
【0027】
飛行体100は、例えば、飛行体100の位置を示す飛行体位置情報を取得する。飛行体100は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)機能を用いて、飛行体位置情報を取得する。飛行体100は、例えば、GPS(Global Positioning System)機能を用いて、飛行体位置情報を取得する。飛行体100は、RTK(Real Time Kinematic)機能を用いて、飛行体位置情報を取得してもよい。
【0028】
位置情報は、例えば、経度情報を含む。位置情報は、例えば、緯度情報を含む。位置情報は、例えば、高度情報を含む。
【0029】
飛行体100は、例えば、無線通信エリア140内の通信端末200に、無線信号を飛行体100に送信することを指示する送信指示を送信する。飛行体100は、当該送信指示に従って通信端末200によって送信された無線信号を受信してよい。
【0030】
送信指示は、例えば、予め定められたコンフィグ(Config)で無線信号を送信するよう通信端末200に指示することを含む。コンフィグは、例えば、予め定められた送信電力で無線信号を送信することを含む。コンフィグは、例えば、予め定められた周波数で無線信号を送信することを含む。コンフィグは、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報を取得可能な場合に、当該通信端末位置情報を付与させて無線信号を送信することを含む。コンフィグは、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの時刻を示す送信時刻情報を付与させて無線信号を送信することを含む。コンフィグは、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの移動速度を示す通信端末移動速度情報を付与させて無線信号を送信することを含む。コンフィグは、通信端末200が無線信号を送信したときの移動方向を示す通信端末移動方向情報を付与させて無線信号を送信することを含んでもよい。
【0031】
無線信号は、例えば、飛行体100が送信した参照信号(Reference Signal;RS)の受信信号品質を報告するMRである。受信信号品質は、例えば、受信信号強度(Received Signal Strength Indicator;RSSI)を含む。受信信号品質は、例えば、雑音電力に対する信号電力の比である信号対雑音比(Signal-to-Noise Ratio;SNR)を含む。受信信号品質は、雑音電力及び干渉電力の和に対する信号電力の比である信号対干渉プラス雑音比(Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio;SNIR)を含んでもよい。
【0032】
飛行体100は、例えば、通信端末200から受信した無線信号が複数の伝搬経路を伝搬している場合、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、例えば、通信端末200から受信した無線信号の位相に基づいて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、例えば、通信端末200から受信した無線信号の周波数に基づいて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の移動速度及び移動方向から通信端末200の移動によるドップラーシフトを決定し、決定したドップラーシフトに基づいて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、飛行体100が無線信号を受信したときの飛行体100の移動速度及び移動方向から飛行体100の移動によるドップラーシフトを決定し、決定したドップラーシフトに基づいて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解してもよい。
【0033】
飛行体100は、例えば、ブラインド信号分離法を用いて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、例えば、通信端末200から受信した無線信号をフーリエ変換することによって、それぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解する。飛行体100は、その他の任意の手法を用いて、通信端末200から受信した無線信号をそれぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号に分解してもよい。
【0034】
飛行体100は、例えば、ネットワーク20を介して、通信端末200が上空を飛行している飛行体100に無線信号を送信した送信結果及び飛行体100が通信端末200から無線信号を受信した受信結果を送信する。飛行体100は、通信端末200から受信した無線信号が複数の伝搬経路を伝搬している場合、それぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号について、受信結果を送信してもよい。
【0035】
飛行体100は、例えば、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を情報処理装置300に送信する。飛行体100は、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を、飛行体100を管理する飛行体管理装置に送信してもよい。
【0036】
送信結果は、例えば、通信端末200が送信した無線信号の送信電力を示す送信電力情報を含む。送信結果は、例えば、通信端末200が送信した無線信号の周波数を示す送信周波数情報を含む。送信結果は、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの時刻を示す送信時刻情報を含む。送信結果は、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報を含む。送信結果は、例えば、通信端末200が無線信号を送信したときの移動速度を示す通信端末移動速度情報を含む。送信結果は、通信端末200が無線信号を送信したときの移動方向を示す通信端末移動方向情報を含んでもよい。
【0037】
受信結果は、例えば、飛行体100が受信した無線信号の受信電力を示す受信電力情報を含む。受信結果は、例えば、無線信号が複数の伝搬経路で伝搬している場合、飛行体100が受信した、それぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号の合計受信電力を示す合計受信電力情報を含む。合計受信電力は、受信電力の一例であってよい。受信結果は、例えば、飛行体100が受信した無線信号の周波数を示す受信周波数情報を含む。受信結果は、例えば、飛行体100が受信した無線信号の位相を示す位相情報を含む。受信結果は、例えば、飛行体100が受信した無線信号の波長を示す波長情報を含む。受信結果は、例えば、飛行体100が無線信号を受信したときの時刻を示す受信時刻情報を含む。受信結果は、例えば、飛行体100が無線信号を受信したときの位置を示す飛行体位置情報を含む。受信結果は、例えば、飛行体100が無線信号を受信したときの移動速度を示す飛行体移動速度情報を含む。受信結果は、飛行体100が無線信号を受信したときの移動方向を示す飛行体移動方向情報を含んでもよい。
【0038】
情報処理装置300は、無線信号の伝搬経路を決定する。情報処理装置300は、例えば、無線信号の伝搬経路の伝搬距離を決定する。情報処理装置300は、例えば、無線信号の伝搬経路の伝搬方向を決定する。
【0039】
情報処理装置300は、例えば、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬するまでの間の伝搬経路を決定する。情報処理装置300は、例えば、飛行体100からネットワーク20を介して受信した、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果と、物体の位置を示す物体位置情報及び物体の形状を示す物体形状情報を含む地図情報とに基づいて、伝搬経路を決定する。物体は、例えば、ビルや住宅等の建物を含む。物体は、例えば、看板や道路標識等の情報表示装置を含む。物体は、樹木や岩等の自然物を含んでもよい。
【0040】
情報処理装置300は、例えば、送信点から放射される電磁波をレイ(Ray)と見なして、送信点から受信点に到達するレイを幾何学的にトレース(Trace)することによって電磁波が送信点から受信点まで伝搬する伝搬経路を決定するレイトレーシング法を用いて、無線信号の伝搬経路を決定する。情報処理装置300は、その他の任意の手法を用いて、無線信号の伝搬経路を決定してもよい。
【0041】
伝搬経路は、例えば、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬するまでの間に物体による反射を含まない伝搬経路である直接伝搬経路を含む。伝搬経路は、例えば、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬するまでの間に物体による無線信号の反射を含む伝搬経路である反射伝搬経路を含む。
図1に示す一例では、無線信号が直接伝搬経路210及び建物50による無線信号の反射を含む反射伝搬経路220で通信端末200から飛行体100まで伝搬している。
【0042】
情報処理装置300は、受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の受信電力に基づいて、飛行体100が反射伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した受信電力である反射伝搬経路受信電力を決定する。情報処理装置300は、受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の受信電力に基づいて、飛行体100が直接伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した受信電力である直接伝搬経路受信電力を決定してもよい。
図1に示す一例では、情報処理装置300は、飛行体100が反射伝搬経路220を伝搬した無線信号の反射伝搬経路受信電力を決定する。
【0043】
情報処理装置300は、例えば、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。
図1の一例において、情報処理装置300は、例えば、送信電力情報によって示される通信端末200が送信した無線信号の送信電力と、飛行体100が反射伝搬経路220を伝搬した無線信号の反射伝搬経路受信電力と、反射伝搬経路220とに基づいて、反射伝搬経路220において無線信号を反射した建物50の反射減衰率を決定する。
【0044】
物体の反射率は、1-(物体の反射減衰率)である。したがって、情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定することは、情報処理装置300が物体の反射率を決定することを含んでよい。
【0045】
情報処理装置300は、例えば、地上に配置される。情報処理装置300は、飛行体100に搭載されてもよい。
【0046】
天気情報管理装置400は、天気を示す天気情報を管理する。天気情報は、例えば、予め定められた範囲の空間に占める雲の割合である雲量を示す雲量情報を含む。天気情報は、例えば、降雨量を示す降雨量情報を含む。天気情報は、例えば、降雪量を示す降雪量情報を含む。天気情報は、例えば、気温を示す気温情報を含む。天気情報は、湿度を示す湿度情報を含んでもよい。情報処理装置300は、例えば、天気情報管理装置400から、ネットワーク20を介して、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気情報を受信する。
【0047】
人流情報管理装置500は、予め定められた時刻における人の数を示す人流情報を管理する。情報処理装置300は、例えば、人流情報管理装置500から、ネットワーク20を介して、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人流情報を受信する。
【0048】
基地局管理装置600は、基地局を管理する。基地局管理装置600は、例えば、地上に配置された基地局を管理する。基地局管理装置600は、飛行体に搭載された基地局を管理してもよい。情報処理装置300は、例えば、基地局管理装置600から、ネットワーク20を介して、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量を示す通信量情報を受信する。
【0049】
ネットワークを構築する場合、まず、基地局を配置した場合における、無線信号の伝搬特性をシミュレーションで計算し、その後、基地局を実際に配置するフローとなる。このフローで基地局を実際に配置した場合に、シミュレーションで計算した無線信号の伝搬特性と実際に配置した基地局が実測したデータから計算した無線信号の伝搬特性との間に誤差が発生してしまう場合がある。当該誤差の原因の1つとして、送信側の装置によって送信された無線信号が建物等の物体に反射することで複数の伝搬経路を伝搬して受信側の装置で受信されるマルチパス現象に起因する信号干渉が挙げられる。特に、無線信号の周波数が高周波数である場合、マルチパス現象に起因する信号干渉の影響が大きくなる。そこで、無線信号の伝搬特性のシミュレーションの精度を向上させるためには、無線信号が伝搬した複数の伝搬経路のそれぞれの伝搬特性から、マルチパス現象に起因する信号干渉の影響を高精度に決定する必要がある。複数の伝搬経路のうち物体による無線信号の反射を含む伝搬経路の伝搬特性を決定するためには、無線信号を反射した物体の反射減衰率が必要である。また、物体の反射減衰率は、物体の材質によって異なる。以上より、無線信号の伝搬特性のシミュレーションの精度を向上させるためには、無線信号の伝搬空間に存在する物体の反射減衰率の精度が重要となる。
【0050】
物体の反射減衰率を決定する方法の1つとして、送信側の装置が無線信号を送信した送信結果及び受信側の装置が無線信号を受信した受信結果から、無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬するまでの間に物体による無線信号の反射を含む伝搬経路を決定し、当該伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する方法が挙げられる。従来のシステムでは、通信端末を送信側の装置とし、地上の基地局を受信側の装置として、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬するまでの間に物体による無線信号の反射を含む伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定していた。しかしながら、地上の基地局の受信アンテナの高度と物体の高度との間の高度差が小さいので、地上の基地局を受信側の装置とした場合、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬するまでの間に無線信号が複数の物体によって反射される可能性が高い。特に、都市部や住宅街等の建物が密集している地域を無線信号が伝搬する場合、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬するまでの間に無線信号が複数の物体によって反射される可能性がより一層高くなる。さらに、地上の基地局の受信アンテナの地面からの高度が低いので、地上の基地局を受信側の装置とした場合、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬するまでの間に無線信号が地面によって反射される可能性が高い。無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬するまでの間に反射される可能性が高いほど、無線信号が送信側の装置から受信側の装置まで伝搬する伝搬経路の数が多くなる可能性が高い。伝搬経路の数が多くなるほど、各伝搬経路を高精度に決定することが困難になる。また、無線信号が伝搬経路において反射される回数が多くなるほど、特定の物体による無線信号の反射によって無線信号がどれだけ減衰したかを高精度に決定することが困難になる。したがって、地上の基地局を受信側の装置とする従来のシステムでは、無線信号の伝搬空間に存在する物体の反射減衰率を高精度に決定することができない場合があった。
【0051】
これに対して本実施形態に係るシステム10によれば、情報処理装置300は、通信端末200を送信側の装置とし、上空を飛行している飛行体100を受信側の装置として、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。上空を飛行している飛行体100の受信アンテナの高度と物体の高度との間の高度差は、地上の基地局の受信アンテナの高度と物体の高度との間の高度差と比較して大きい。特に、上空を飛行している飛行体100が成層圏を飛行しているHAPSである場合、SLアンテナ132の高度と物体の高度との間の高度差は、地上の基地局の受信アンテナの高度と物体の高度との間の高度差と比較して著しく大きい。よって、上空を飛行している飛行体100を受信側の装置とした場合、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬するまでの間に無線信号が複数の物体によって反射される可能性は、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬する場合と比較して低い。さらに、上空を飛行している飛行体100の受信アンテナの地面からの高度は、地上の基地局の受信アンテナの地面からの高度と比較して高い。特に、上空を飛行している飛行体100が成層圏を飛行しているHAPSである場合、SLアンテナ132の地面からの高度は、地上の基地局の受信アンテナの地面からの高度と比較して著しく高い。よって、上空を飛行している飛行体100を受信側の装置とした場合、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬するまでの間に無線信号が地面によって反射される可能性は、無線信号が通信端末から地上の基地局まで伝搬する場合と比較して低い。したがって、上空を飛行している飛行体100を受信側の装置とした場合、情報処理装置300は、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬する少ない数の伝搬経路の中から、無線信号が反射される回数が少ない反射伝搬経路を決定できる。これにより、本実施形態に係るシステム10は、無線信号の伝搬空間に存在する物体の反射減衰率を高精度に決定することができ、無線信号の伝搬特性のシミュレーション精度の向上に貢献できる。特に、成層圏を飛行しているHAPSを受信側の装置とした場合、HAPSは長期間定点滞空することが可能であるので、物体の反射減衰率のデータをより安定して取得することができる。これにより、天気が好天である場合の物体の反射減衰率のデータを確実に取得することができる。また、例えば、天気が好天である場合の物体の反射減衰率のデータや天気が悪天である場合の物体の反射減衰率のデータ等、天気の状態に応じた物体の反射減衰率のデータを取得することもできる。
【0052】
図2は、情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定する一例を説明するための説明図である。
図2では、情報処理装置300が反射伝搬経路220における建物50の反射減衰率を決定する一例を主に説明する。
【0053】
情報処理装置300は、例えば、飛行体100から受信した、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末位置情報及び飛行体100が無線信号を受信したときの飛行体位置情報に基づいて、反射伝搬経路220の伝搬距離を決定する。
図2に示されるように、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の位置から建物50が無線信号を反射したポイントである反射ポイントまでの伝搬距離はd
1であり、反射ポイントから飛行体100が無線信号を受信したときの飛行体100の位置までの伝搬距離はd
2である。したがって、反射伝搬経路220の伝搬距離は、d
1+d
2である。
【0054】
情報処理装置300は、例えば、送信電力情報によって示される通信端末200が送信した無線信号の送信電力Ptと、飛行体100が反射伝搬経路220を伝搬した無線信号を受信した反射伝搬経路受信電力Prと、反射伝搬経路220の伝搬距離d1+d2とに基づいて、下記の数式1から建物50の反射減衰率γを計算する。尚、下記数式1において、λは、無線信号の波長である。
【0055】
【0056】
図3は、情報処理装置300の機能構成の一例を概略的に示す。情報処理装置300は、格納部302、情報送信部304、情報受信部306、伝搬経路決定部308、受信電力決定部310、反射減衰率決定部312、モデル生成部314、及びシミュレーション部316を有する。尚、情報処理装置300がこれらの全ての構成を有することが必須とは限らない。
【0057】
格納部302は、各種情報を格納する。格納部302は、例えば、地図情報を格納する。
【0058】
格納部302は、例えば、地図情報に含まれる物体の反射減衰率を格納する。例えば、情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定していない場合、物体の反射減衰率はデフォルト値に設定されている。デフォルト値は、例えば、0である。
【0059】
格納部302は、例えば、反射減衰率を決定する対象物体を含む対象エリアを示す対象エリア情報を格納する。対象物体は、例えば、情報処理装置300が反射減衰率を決定していない物体を含む。対象物体は、情報処理装置300が最後に反射減衰率を決定してから予め定められた期間が経過している物体を含んでもよい。格納部302は、例えば、予め定められた受信電力閾値を格納する。
【0060】
格納部302は、予め定められた伝搬経路条件を格納してもよい。伝搬経路条件は、例えば、無線信号が反射伝搬経路において反射された回数が予め定められた回数より少ないことを含む。予め定められた回数は、例えば、2回である。予め定められた回数は、2回より多い回数であってもよい。
【0061】
伝搬経路条件は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気が予め定められた好天条件を満たすことを含む。好天条件は、例えば、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の雲量が予め定められた雲量閾値より低いことを含む。好天条件は、例えば、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の降雨量が予め定められた降雨量閾値より低いことを含む。好天条件は、例えば、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の降雪量が予め定められた降雪量閾値より低いことを含む。好天条件は、例えば、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の気温が予め定められた気温領域に含まれることを含む。好天条件は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の湿度が予め定められた湿度閾値より低いことを含んでもよい。
【0062】
伝搬経路条件は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人の数が予め定められた人流閾値より少ないことを含んでもよい。伝搬経路条件は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量が予め定められた通信量閾値より低いことを含んでもよい。
【0063】
情報送信部304は、各種情報を送信する。情報送信部304は、例えば、ネットワーク20を介して、各種情報を送信する。
【0064】
情報送信部304は、例えば、各種情報を飛行体100に送信する。情報送信部304は、例えば、送信指示を飛行体100に送信する。飛行体100は、情報処理装置300から受信した送信指示を無線通信エリア140内の通信端末200に送信してよい。情報送信部304は、対象エリア情報を飛行体100に送信してもよい。情報送信部304は、飛行体100に送信した情報と同様の情報を飛行体管理装置に送信してもよい。
【0065】
情報受信部306は、各種情報を受信する。情報受信部306は、例えば、ネットワーク20を介して、各種情報を受信する。
【0066】
情報受信部306は、例えば、飛行体100から、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を受信する。情報受信部306は、例えば、飛行体100を管理する飛行体管理装置から、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を受信してもよい。情報受信部306は、受信した通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を格納部302に格納してよい。
【0067】
伝搬経路決定部308は、無線信号の伝搬経路を決定する。伝搬経路決定部308は、例えば、通信端末200が送信した無線信号が、通信端末200から上空を飛行している飛行体100まで伝搬する無線信号の伝搬経路を決定する。
【0068】
伝搬経路決定部308は、例えば、格納部302に格納されている通信端末200による無線信号の送信結果に基づいて、伝搬経路を決定する対象となる通信端末200による無線信号の送信結果を決定する。伝搬経路決定部308は、例えば、通信端末200による無線信号の送信結果のうち、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の通信端末位置情報を含む通信端末200による無線信号の送信結果を、伝搬経路を決定する対象とする。
【0069】
伝搬経路決定部308は、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の通信端末位置情報及び格納部302に格納されている地図情報に基づいて、伝搬経路を決定する対象となる通信端末200による無線信号の送信結果を決定してもよい。伝搬経路決定部308は、例えば、通信端末200による無線信号の送信結果のうち、通信端末位置情報によって示される無線信号を送信したときの通信端末200の位置と、地図情報に含まれる物体位置情報によって示される通信端末200の当該位置から最も近い建物の位置との間の距離が予め定められた距離閾値より長い通信端末200による無線信号の送信結果を、伝搬経路を決定する対象とする。
【0070】
伝搬経路決定部308は、例えば、格納部302に格納されている、通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の通信端末位置情報と、飛行体100が無線信号を受信したときの飛行体100の飛行体位置情報と、地図情報とに基づいて、伝搬経路を決定する。伝搬経路決定部308は、例えば、伝搬経路を決定する対象である通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の通信端末位置情報に基づいて、伝搬経路を決定する。
【0071】
伝搬経路決定部308は、例えば、レイトレーシング法を用いて、無線信号の伝搬経路を決定する。伝搬経路決定部308は、その他の任意の手法を用いて、無線信号の伝搬経路を決定してもよい。
【0072】
伝搬経路決定部308は、例えば、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬する反射伝搬経路を決定する。この場合、伝搬経路決定部308は、反射伝搬経路における物体が無線信号を反射した反射ポイントを決定してよい。伝搬経路決定部308は、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬する直接伝搬経路を決定してもよい。
【0073】
伝搬経路決定部308は、決定した無線信号の反射伝搬経路を反射伝搬経路情報として、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果に対応付けて格納部302に格納してよい。伝搬経路決定部308は、決定した無線信号の直接伝搬経路を直接伝搬経路情報として、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果に対応付けて格納部302に格納してもよい。
【0074】
情報受信部306は、例えば、天気情報管理装置400から、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気情報を受信する。情報受信部306は、例えば、人流情報管理装置500から、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人流情報を受信する。情報受信部306は、基地局管理装置600から、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量情報を受信してもよい。情報受信部306は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に複数の基地局が配置されている場合、複数の基地局のそれぞれの通信量情報を受信してよい。
【0075】
受信電力決定部310は、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路を伝搬した無線信号を飛行体100が受信した反射伝搬経路受信電力を決定する。受信電力決定部310は、例えば、格納部302に格納されている飛行体100による無線信号の受信結果に基づいて、反射伝搬経路受信電力を決定する対象となる飛行体100による無線信号の受信結果を決定する。受信電力決定部310は、例えば、飛行体100による無線信号の受信結果のうち、受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の受信電力が格納部302に格納されている受信電力閾値より大きい飛行体100による無線信号の受信結果を、反射伝搬経路受信電力を決定する対象とする。受信電力決定部310は、例えば、飛行体100による無線信号の受信結果が複数の伝搬経路で伝搬した無線信号の受信結果である場合、飛行体100による無線信号の受信結果のうち、合計受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の合計受信電力が受信電力閾値より大きい飛行体100による無線信号の受信結果を、反射伝搬経路受信電力を決定する対象としてもよい。
【0076】
受信電力決定部310は、例えば、受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の受信電力に基づいて、飛行体100が反射伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した反射伝搬経路受信電力を決定する。受信電力決定部310は、例えば、受信電力閾値より大きい受信電力に基づいて、飛行体100が反射伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した反射伝搬経路受信電力を決定する。受信電力決定部310は、例えば、受信電力閾値より大きい合計受信電力のそれぞれの受信電力に基づいて、飛行体100が反射伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した反射伝搬経路受信電力を決定する。受信電力決定部310は、決定した反射伝搬経路受信電力を反射伝搬経路受信電力情報として、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果に対応付けて格納部302に格納してよい。
【0077】
受信電力決定部310は、例えば、受信電力情報によって示される飛行体100が受信した無線信号の受信電力を反射伝搬経路受信電力として決定する。例えば、飛行体100による無線信号の受信結果が複数の伝搬経路で伝搬した無線信号の受信結果である場合、受信電力決定部310は、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路の伝搬距離に基づいて、反射伝搬経路を伝搬した無線信号の位相を決定する。受信電力決定部310は、それぞれの伝搬経路で伝搬した無線信号のそれぞれの位相情報によって示される位相から、決定した位相に対応する位相の無線信号を決定する。受信電力決定部310は、決定した無線信号の受信電力情報によって示される、飛行体100が当該無線信号を受信した受信電力を反射伝搬経路受信電力として決定する。
【0078】
受信電力決定部310は、飛行体100が直接伝搬経路を伝搬した無線信号を受信した直接伝搬経路受信電力を決定してもよい。受信電力決定部310は、反射伝搬経路受信電力を決定する場合と同様にして、直接伝搬経路受信電力を決定してよい。受信電力決定部310は、決定した直接伝搬経路受信電力を直接伝搬経路受信電力情報として、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果に対応付けて格納部302に格納してもよい。
【0079】
反射減衰率決定部312は、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、例えば、格納部302に格納されている、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる送信電力情報によって示される通信端末200が送信した無線信号の送信電力と、受信電力決定部310が決定した反射伝搬経路受信電力と、反射伝搬経路とに基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、例えば、格納部302に格納されている伝搬経路条件を満たす反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、例えば、上記数式1を用いて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、決定した物体の反射減衰率と、地図情報に含まれる当該物体の物体位置情報とを対応付けて格納部302に格納してよい。
【0080】
反射減衰率決定部312は、例えば、伝搬経路決定部308が決定した物体の反射ポイントにおける反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、物体の反射ポイントにおける反射減衰率と、格納部302に格納されている地図情報に含まれる当該物体の反射ポイントの位置を示す反射ポイント位置情報とを対応付けて格納部302に格納してよい。物体の反射ポイントにおける反射減衰率と、当該物体の反射ポイントの位置を示す反射ポイント位置情報とを対応付けて格納部302に格納することは、物体の反射減衰率と、当該物体の物体位置情報とを対応付けて格納部302に格納することの一例であってよい。
【0081】
物体が複数の異なる反射減衰率を有する場合、物体の反射減衰率は、物体が無線信号を反射した反射ポイントによって異なる。例えば、物体が建物である場合において、反射ポイントがコンクリートである場合と反射ポイントがガラスである場合とでは反射減衰率が異なる。そこで、反射減衰率決定部312は、物体の反射ポイント毎に反射減衰率を決定する。これより、情報処理装置300は、物体が複数の異なる反射減衰率を有する場合でも物体の反射減衰率を高精度に決定することができる。
【0082】
反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる送信周波数情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信周波数情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。
【0083】
反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる送信時刻情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信時刻情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。
【0084】
反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、情報受信部306が天気情報管理装置400から受信した、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、情報受信部306が人流情報管理装置500から受信した、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人流情報とをさらに対応付けて格納部302に格納する。反射減衰率決定部312は、決定した物体の反射減衰率と、情報受信部306が基地局管理装置600から受信した、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量情報とをさらに対応付けて格納部302に格納してもよい。
【0085】
反射減衰率決定部312は、特定の物体の反射減衰率が格納部302に複数格納されている場合、格納部302に格納されている複数の当該物体の反射減衰率に対して統計処理を実行して、当該物体の反射減衰率を決定してもよい。反射減衰率決定部312は、例えば、複数の当該物体の反射減衰率の平均の反射減衰率である平均反射減衰率を、当該物体の反射減衰率として決定する。反射減衰率決定部312は、複数の当該物体の反射減衰率の中央値に対応する反射減衰率を、当該物体の反射減衰率として決定してもよい。
【0086】
情報受信部306は、材質毎の反射減衰率の特性を示す反射減衰率特性データを格納している反射減衰率特性データベースから、反射減衰率特性データを受信してもよい。反射減衰率の特性は、例えば、反射減衰率の周波数特性を含む。反射減衰率の特性は、反射減衰率の温度数特性を含んでもよい。
【0087】
反射減衰率決定部312は、例えば、決定した物体の反射減衰率と、格納部302に格納されている、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる送信周波数情報及び飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信周波数情報の少なくともいずれかと、情報受信部306が反射減衰率特性データベースから受信した反射減衰率特性データとに基づいて、物体の材質を決定する。反射減衰率決定部312は、格納部302に格納されている、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気情報に含まれる気温情報にさらに基づいて、物体の材質を決定してもよい。反射減衰率決定部312は、決定した物体の材質を材質情報として、決定した物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納してよい。
【0088】
反射減衰率決定部312は、反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている材質情報と、情報受信部306が反射減衰率特性データベースから受信した反射減衰率特性データとに基づいて、物体の反射減衰率を決定してもよい。反射減衰率決定部312は、例えば、物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている送信周波数情報によって示される周波数とは異なる周波数の物体の反射減衰率を決定してもよい。反射減衰率決定部312は、反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている受信周波数情報によって示される周波数とは異なる周波数の物体の反射減衰率を決定してもよい。
【0089】
情報受信部306は、情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定するために必要なデータを収集する作業に従事する作業員が所有する通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を受信してもよい。通信端末200は、通信端末200に搭載された入力デバイスを用いて、通信端末200が無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを示す屋内外情報の作業員による入力を受け付けてよい。通信端末200は、屋内外情報を付与させて無線信号を送信してよい。この場合、情報受信部306は、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる通信端末位置情報及び送信電力情報と、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信電力情報と、屋内外情報とを対応付けて格納部302に格納してよい。
【0090】
モデル生成部314は、通信端末200が無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを推定する推定モデルを機械学習により生成する。モデル生成部314は、例えば、格納部302に格納されている複数の通信端末位置情報と、送信電力情報と、受信電力情報と、屋内外情報とを教師データとして用いて、情報受信部306が受信した通信端末位置情報と、送信電力情報と、受信電力情報とから、通信端末200が無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを推定する推定モデルを機械学習により生成する。モデル生成部314は、例えば、複数の通信端末位置情報と、送信電力情報と、受信電力情報と、通信端末200が無線信号を屋外で送信したことを示す屋内外情報とを、教師データとして用いる。モデル生成部314は、例えば、複数の通信端末位置情報と、送信電力情報と、受信電力情報と、通信端末200が無線信号を屋内で送信したこと示す屋内外情報とを、教師データとして用いる。
【0091】
反射減衰率決定部312は、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる通信端末位置情報及び送信電力情報と、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信電力情報とから、モデル生成部314が生成した推定モデルを用いて、通信端末200が無線信号を屋外で送信したか屋内で送信したかを推定してもよい。反射減衰率決定部312は、屋外で送信したと推定した通信端末200の無線信号の送信電力と、飛行体100が当該無線信号を受信した受信電力に基づいて受信電力決定部310が決定した反射伝搬経路受信電力と、伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路とに基づいて、物体の反射減衰率を決定してよい。
【0092】
伝搬経路決定部308は、例えば、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率に基づいて、無線信号の伝搬経路を決定する。伝搬経路決定部308は、例えば、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率に基づいて、通信端末200から上空を飛行している飛行体100まで伝搬する無線信号の伝搬経路を決定する。伝搬経路決定部308は、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率に基づいて、飛行体100から地上に配置された基地局まで伝搬する無線信号の伝搬経路を決定してもよい。情報処理装置300は、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率に基づいて無線信号の伝搬経路を決定することによって、無線信号が反射された回数が多い無線信号の伝搬経路でも高精度に決定することができる。
【0093】
シミュレーション部316は、基地局を配置した場合における、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。無線信号の伝搬特性は、例えば、無線信号の伝搬損失を含む。無線信号の伝搬特性は、例えば、無線信号の伝搬方向を含む。
【0094】
シミュレーション対象の基地局は、例えば、地上に配置予定の基地局である。シミュレーション対象の基地局は、例えば、上空に配置予定の飛行体100に搭載される基地局である。シミュレーション対象の基地局は、例えば、上空に配置予定のHAPSに搭載される基地局である。
【0095】
シミュレーション部316は、例えば、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率に基づいて、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。例えば、シミュレーション部316は、伝搬経路決定部308を用いて、通信端末200から当該基地局まで伝搬する無線信号の伝搬経路をシミュレーションする。シミュレーション部316は、無線信号の伝搬経路をシミュレーションした結果、無線信号の伝搬経路に反射伝搬経路が含まれる場合、反射減衰率決定部312が決定した、当該反射伝搬経路において無線信号を反射するとシミュレーションされた物体の反射減衰率を用いて、当該反射伝搬経路を伝搬する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。その後、シミュレーション部316は、当該反射伝搬経路を伝搬する無線信号の伝搬特性が、直接伝搬経路を伝搬する無線信号の伝搬特性に与える影響をシミュレーションする。
【0096】
シミュレーション部316は、例えば、物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気情報にさらに基づいて、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、当該天気情報によって示される天気の状態毎に、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、天気が好天条件を満たす場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性と、天気が格納部302に格納されている好天条件を満たさない場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性とをそれぞれシミュレーションする。
【0097】
シミュレーション部316は、例えば、物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人流情報にさらに基づいて、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、当該人流情報によって示される人の数毎に、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、人の数が格納部302に格納されている人流閾値より少ない場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性と、人の数が人流閾値より多い場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性とをそれぞれシミュレーションする。
【0098】
シミュレーション部316は、例えば、物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている他の基地局の通信量情報にさらに基づいて、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、当該通信量情報によって示される他の基地局の通信量毎に、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、他の基地局の通信量が格納部302に格納されている通信量閾値より少ない場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性と、他の基地局の通信量が通信量閾値より多い場合における当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性とをそれぞれシミュレーションする。
【0099】
シミュレーション部316は、例えば、物体の反射減衰率に対応付けて格納部302に格納されている、送信時刻情報又は受信時刻情報の少なくもいずれかにさらに基づいて、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション部316は、例えば、送信時刻情報又は受信時刻情報の少なくもいずれかを含む予め定められたシミュレーション期間毎に、当該基地局が通信端末200から受信する無線信号の伝搬特性をシミュレーションする。シミュレーション期間は、例えば、3月である。シミュレーション期間は、例えば、1月である。シミュレーション期間は、例えば、1週間である。シミュレーション期間は、例えば、1日である。シミュレーション期間は、1時間であってもよい。
【0100】
図4は、情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する一例を説明するための説明図である。
図4では、通信端末200から飛行体100まで伝搬する反射伝搬経路が反射伝搬経路220及び反射伝搬経路225を含む一例を主に説明する。
【0101】
反射減衰率決定部312は、例えば、情報受信部306が天気情報管理装置400から受信した天気情報によって示される、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気が好天条件を満たす反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、例えば、情報受信部306が天気情報管理装置400から受信した雲量情報によって示される、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の雲量が雲量閾値より低い反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。
図4に示す一例において、情報受信部306は、飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の雲量情報及び反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の雲量情報をそれぞれ受信する。
図4では、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の雲量情報によって示される雲量が雲量閾値より低く、雲60の存在により、反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の雲量情報によって示される雲量が雲量閾値より高いものとして、説明を続ける。
【0102】
反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の雲量が雲量閾値より低いので、反射伝搬経路220において無線信号を反射した建物50の反射減衰率を決定する。一方で、反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の雲量が雲量閾値より高いので、反射伝搬経路225において無線信号を反射した建物55の反射減衰率を決定しない。
【0103】
雲量が多い場合等の天気が悪天である場合、通信端末200が送信した無線信号が大気を伝搬する間に生じる伝搬損失は、天気が好天である場合と比較して大きくなる。したがって、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率の精度に天気が与える悪影響は、悪天である場合の方が好天である場合より大きくなる。
【0104】
これに対して、
図4に示す一例では、反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の天気が好天条件を満たす反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。これにより、情報処理装置300は、より確実に、物体の反射減衰率を高精度に決定できる。
【0105】
図5は、情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する他の一例を説明するための説明図である。
図5では、通信端末200から飛行体100まで伝搬する反射伝搬経路が反射伝搬経路220及び反射伝搬経路225を含む一例を主に説明する。
【0106】
反射減衰率決定部312は、例えば、情報受信部306が人流情報管理装置500から受信した人流情報によって示される、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より少ない反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。
図5に示す一例において、情報受信部306は、飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の人流情報及び反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の人流情報をそれぞれ受信する。
図5では、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より少なく、反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より多いものとして、説明を続ける。
【0107】
反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より少ないので、反射伝搬経路220において無線信号を反射した建物50の反射減衰率を決定する。一方で、反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より多いので、反射伝搬経路225において無線信号を反射した建物55の反射減衰率を決定しない。
【0108】
通信端末200が送信した無線信号は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に在圏する人の所有する通信端末が通信するための無線信号と信号干渉を引き起こす可能性がある。また、通信端末200が送信した無線信号は、反射伝搬経路において当該範囲に在圏する人に反射する可能性がある。したがって、当該範囲に在圏する人は、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率の精度に悪影響を与える可能性が高い。
【0109】
これに対して、
図5に示す一例では、反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲の人の数が人流閾値より少ない反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。これにより、情報処理装置300は、より確実に、物体の反射減衰率を高精度に決定できる。
【0110】
図6は、情報処理装置300が反射減衰率の決定対象となる反射伝搬経路を決定する他の一例を説明するための説明図である。
図6では、通信端末200から飛行体100まで伝搬する反射伝搬経路が反射伝搬経路220及び反射伝搬経路225を含む一例を主に説明する。
【0111】
反射減衰率決定部312は、例えば、情報受信部306が基地局管理装置600から受信した通信量情報によって示される、通信端末200が無線信号を送信したとき又は飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置されている基地局の通信量が通信量閾値より低い反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。
図6に示す一例において、情報受信部306は、飛行体100が無線信号を受信したときにおける、反射伝搬経路220を含む予め定められた範囲に配置されている基地局70の通信量情報及び反射伝搬経路225を含む予め定められた範囲に配置されている基地局75の通信量情報をそれぞれ受信する。
図6では、基地局70の通信量が通信量閾値より低く、基地局75の通信量が通信量閾値より高いものとして、説明を続ける。
【0112】
反射減衰率決定部312は、基地局70の通信量が通信量閾値より低いので、反射伝搬経路220において無線信号を反射した建物50の反射減衰率を決定する。一方で、反射減衰率決定部312は、基地局75の通信量が通信量閾値より高いので、反射伝搬経路225において無線信号を反射した建物55の反射減衰率を決定しない。
【0113】
通信端末200が送信する無線信号は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置された基地局が通信するための無線信号と信号干渉を引き起こす可能性がある。したがって、当該範囲に配置された基地局の通信は、反射減衰率決定部312が決定した物体の反射減衰率の精度に悪影響を与える可能性が高い。
【0114】
これに対して、
図6に示す一例では、反射減衰率決定部312は、反射伝搬経路を含む予め定められた範囲に配置された基地局の通信量が通信量閾値より低い反射伝搬経路に基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。これにより、情報処理装置300は、より確実に、物体の反射減衰率を高精度に決定できる。
【0115】
図7は、飛行体100が通信端末200に指示する一例を概略的に示す。
図7では、飛行体100がサブセル142、サブセル144、サブセル146、及びサブセル148を含む無線通信エリア140を形成している場合の一例を主に説明する。
【0116】
飛行体100は、例えば、情報処理装置300から、ネットワーク20を介して、対象エリア情報を受信する。
図7では、飛行体100が、反射減衰率を決定する対象物体である建物50を含む対象エリア80を示す対象エリア情報を受信したものとして説明を続ける。
【0117】
飛行体100は、例えば、無線通信エリアを構成する複数のサブセルのうちの、情報処理装置300から受信した対象エリア情報によって示される対象エリアを含むサブセルに在圏する通信端末200に、通信端末位置情報を送信することを指示する。飛行体100は、例えば、対象エリアを含むサブセルに在圏する通信端末200に送信指示を送信することによって、通信端末位置情報を送信することを指示する。
図7では、飛行体100が、無線通信エリア140を構成するサブセル142、サブセル144、サブセル146、及びサブセル148のうちの、対象エリア80を含むサブセル142に在圏する通信端末200に、通信端末位置情報を送信することを指示する送信指示を送信したとして説明を続ける。
【0118】
サブセル142に在圏する通信端末200は、飛行体100から送信指示を受信したことに応じて、通信端末200が無線信号を送信したときの位置を示す通信端末位置情報を取得可能な場合に、当該通信端末位置情報を付与させて無線信号を送信する。飛行体100は、サブセル142に在圏する通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を、情報処理装置300に送信する。
【0119】
図7に示す一例によれば、飛行体100は、情報処理装置300から受信した対象エリア情報に示される対象エリアを含むサブセルに在圏する通信端末200に対してのみ、通信端末位置情報を送信することを指示する。これにより、情報処理装置300が対象物体の反射減衰率を決定するために必要なデータを効率的に収集することができるので、システム10全体として、物体の反射減衰率を効率的に決定できる。
【0120】
図7に示す一例において、飛行体100は、対象エリア情報を含む送信指示を無線通信エリアに在圏する通信端末200に送信してもよい。この場合、通信端末200は、通信端末200の位置が対象エリア情報によって示される対象エリアに含まれるか否かを判定し、通信端末200の位置が対象エリアに含まれる場合、無線信号を送信する。
【0121】
図8は、情報処理装置300の処理の流れの一例を説明するための説明図である。
図8では、情報処理装置300が物体の反射減衰率を決定する処理の流れの一例を主に説明する。
【0122】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102において、情報受信部306は、飛行体100から、ネットワーク20を介して、通信端末200による無線信号の送信結果及び飛行体100による無線信号の受信結果を受信する。S104において、受信電力決定部310は、S102で情報受信部306が飛行体100から受信した、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信電力情報によって示される、飛行体100が受信した無線信号の受信電力が格納部302に格納されている受信電力閾値より大きいか否かを判定する。飛行体100が受信した無線信号の受信電力が受信電力閾値より大きいと受信電力決定部310が判定した場合、S106に進む。飛行体100が受信した無線信号の受信電力が受信電力閾値より小さいと受信電力決定部310が判定した場合、情報処理装置300の処理が終了する。
【0123】
S106において、伝搬経路決定部308は、S102で情報受信部306が受信した、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる通信端末200が無線信号を送信したときの通信端末200の通信端末位置情報及び飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる飛行体100が無線信号を受信したときの飛行体100の飛行体位置情報と、格納部302に格納されている地図情報とに基づいて、反射伝搬経路を決定する。
図8では、無線信号が通信端末200から飛行体100まで伝搬した伝搬経路に反射伝搬経路が含まれているものとして説明を続ける。
【0124】
S108において、反射減衰率決定部312は、S106で伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路が、格納部302に格納されている伝搬経路条件を満たすか否かを判定する。反射伝搬経路が伝搬経路条件を満たすと反射減衰率決定部312が判定した場合、S110に進む。反射伝搬経路が伝搬経路条件を満たさないと反射減衰率決定部312が判定した場合、情報処理装置300の処理が終了する。
【0125】
S110において、受信電力決定部310は、S102で情報受信部306が受信した、飛行体100による無線信号の受信結果に含まれる受信電力情報によって示される、飛行体100が受信した無線信号の受信電力に基づいて、S108で伝搬経路決定部308が決定した反射伝搬経路を伝搬した無線信号を飛行体100が受信した反射伝搬経路受信電力を決定する。S112において、反射減衰率決定部312は、S102で情報受信部306が受信した、通信端末200による無線信号の送信結果に含まれる送信電力情報によって示される通信端末200が送信した無線信号の送信電力と、S110で受信電力決定部310が決定した反射伝搬経路受信電力と、S306で反射伝搬経路とに基づいて、反射伝搬経路において無線信号を反射した物体の反射減衰率を決定する。反射減衰率決定部312は、決定した物体の反射減衰率と、格納部302に格納されている地図情報に含まれる当該物体の物体位置情報とを対応付けて格納部302に格納する。その後、情報処理装置300の処理が終了する。
【0126】
図9は、情報処理装置300として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上記実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0127】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブ1226は、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0128】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0129】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1227等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0130】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0131】
プログラムは、DVD-ROM1227又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0132】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM1227、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0133】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ1226(DVD-ROM1227)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0134】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0135】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0136】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0137】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0138】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0139】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0140】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0141】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0142】
10 システム、20 ネットワーク、40 ゲートウェイ、50 建物、55 建物、60 雲、70 基地局、75 基地局、80 対象エリア、100 飛行体、121 主翼部、122 本体部、124 プロペラ、130 太陽電池パネル、132 SLアンテナ、134 FLアンテナ、140 無線通信エリア、142 サブセル、144 サブセル、146 サブセル、148 サブセル、150 制御装置、200 通信端末、210 直接伝搬経路、220 反射伝搬経路、225 反射伝搬経路、300 情報処理装置、302 格納部、304 情報送信部、306 情報受信部、308 伝搬経路決定部、310 受信電力決定部、312 反射減衰率決定部、314 モデル生成部、316 シミュレーション部、400 天気情報管理装置、500 人流情報管理装置、600 基地局管理装置、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1226 DVDドライブ、1227 DVD-ROM、1230 ROM、1240 入出力チップ、1242 キーボード