(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135695
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 9/37 20160101AFI20230922BHJP
【FI】
F03D9/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040908
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】新納 薫
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA18
3H178AA22
3H178AA43
3H178AA62
3H178AA66
3H178BB31
3H178CC02
3H178DD12Z
3H178DD29X
(57)【要約】
【課題】発電効率を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】発電装置100は、太陽光を透過可能であり、気体の流路を形成する流路形成部10と、流路形成部10の下方に配置され、液体(水)を貯留する貯留部20と、流路形成部10に気体(水)を供給する気体供給部30と、貯留部20に液体を供給する液体供給部40と、流路形成部10の上方に配置され、気体を放出する放出部50と、流路形成部10の内部であって、貯留部20と放出部50との間に配置され、流路形成部10に発生する上昇気流Uを利用して発電する発電部60と、を備えている。太陽光Sが照射されると、貯留部20の水が温まり蓄熱され、貯留部20の水が気化されるとともに、流路形成部10の内部の空気が膨張して上昇気流Uが発生する。そして、上昇気流Uが発電部60の風車61を通過することにより、風車61が回転して電気が発生する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を透過可能であり、気体の流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部の下方に配置され、液体を貯留する貯留部と、
前記流路形成部に気体を供給する気体供給部と、
前記貯留部に液体を供給する液体供給部と、
前記流路形成部の上方に配置され、気体を放出する放出部と、
前記流路形成部の内部であって、前記貯留部と前記放出部との間に配置され、前記流路形成部に発生する上昇気流を利用して発電する発電部と、
を備える発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置において、
前記貯留部の周囲の少なくとも一部に配置され、断熱の機能、防水の機能、保水の機能のうち少なくとも1つの機能を有する所定部材を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発電装置において、
前記流路形成部の内部に配置され、垂直方向に延びる支柱部を備え、
前記発電部は、前記支柱部に取り付けられていることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発電装置において、
前記支柱部の上端から外側下方に向かって延びる複数の第1支持部と、
前記複数の第1支持部に支持される環状の第2支持部と、を備え、
前記流路形成部は、上端部が、前記第2支持部に支持されていることを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の発電装置において、
前記流路形成部は、膜状の部材により形成されており、
前記膜状の部材は、下端部が外側に引っ張られて固定され、下端部が上端部よりも外側に配置されており、
前記流路形成部の流路は、下端部から上端部に向けて先細りに形成されていることを特徴とする発電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の発電装置において、
前記気体供給部及び前記液体供給部は、気体の逆流を防止する気体逆流防止部を備えていることを特徴とする発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、水の気化を利用した風力発生方法及び装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、一旦上昇させた気流を降下させ、降下した気流を用いて風車式発電装置の風車を駆動させているため、発電効率が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、発電効率を向上させることができる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
解決手段1:本解決手段の発電装置は、太陽光を透過可能であり、気体の流路を形成する流路形成部と、前記流路形成部の下方に配置され、液体を貯留する貯留部と、前記流路形成部に気体を供給する気体供給部と、前記貯留部に液体を供給する液体供給部と、前記流路形成部の上方に配置され、気体を放出する放出部と、前記流路形成部の内部であって、前記貯留部と前記放出部との間に配置され、前記流路形成部に発生する上昇気流を利用して発電する発電部と、を備える発電装置である。
【0008】
本解決手段の発電装置は、以下の構成を備えている。
(1)太陽光を透過可能であり、気体(空気)の流路を形成する流路形成部(筒状の部材)を備えている。
(2)流路形成部の下方に配置され、液体(水)を貯留する貯留部(窪み)を備えている。
【0009】
(3)流路形成部に気体を供給する気体供給部(空気を供給する装置、空気投入口)を備えている。
(4)貯留部に液体を供給する液体供給部(水を供給する装置、水投入口)を備えている。
【0010】
(5)流路形成部の上方に配置され、気体を放出する放出部(開口)を備えている。
(6)流路形成部の内部であって、貯留部と放出部との間に配置され、流路形成部に発生する上昇気流を利用して発電する発電部(発電機付きの風車)を備えている。
【0011】
本解決手段によれば、流路形成部に発生する上昇気流を利用して発電する発電部を備えているため、上昇後に降下した気流を利用する方式と比較して、上昇気流を直接的に利用して発電することができ、発電効率を向上させることができる。
【0012】
解決手段2:本解決手段の発電装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記貯留部の周囲の少なくとも一部に配置され、断熱の機能、防水の機能、保水の機能のうち少なくとも1つの機能を有する所定部材を備えることを特徴とする発電装置である。
【0013】
本解決手段では、貯留部の周囲の少なくとも一部に配置され、断熱の機能、防水の機能、保水の機能のうち少なくとも1つの機能を有する所定部材を備えている。所定部材は、これらの3つの機能のうち、1つの機能だけを有していてもよく、いずれか2つの機能を有していてもよく、3の機能を全て有していてもよい。周囲は、貯留部の上方、側方、下方を含む。
【0014】
本解決手段によれば、貯留部の周囲に所定部材が配置されているため、貯留部に貯留されている液体の熱を逃がさないようにしたり、貯留部に貯留されている液体が漏れないようにしたり、貯留部に貯留されている液体が維持されるようにしたりすることができ、熱や液体が失われることを抑制して、発電効率を向上させることができる。
【0015】
解決手段3:本解決手段の発電装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記流路形成部の内部に配置され、垂直方向に延びる支柱部を備え、前記発電部は、前記支柱部に取り付けられていることを特徴とする発電装置である。
【0016】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)流路形成部の内部に配置され、垂直方向に延びる支柱部(ポール)を備えている。
(2)発電部は、支柱部に取り付けられている。
【0017】
本解決手段によれば、発電部は、支柱部に取り付けられているため、上昇気流が進行する方向に沿って発電部を配置することができ、発電部で上昇気流を受けやすくすることができる。
【0018】
解決手段4:本解決手段の発電装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記支柱部の上端から外側下方に向かって延びる複数の第1支持部と、前記複数の第1支持部に支持される環状の第2支持部と、を備え、前記流路形成部は、上端部が、前記第2支持部に支持されていることを特徴とする発電装置である。
【0019】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)支柱部の上端から外側下方に向かって延びる複数の第1支持部(アーム)を備えている。
(2)複数の第1支持部に支持される環状の第2支持部(リング状の部材)を備えている。
(3)流路形成部は、上端部が、第2支持部に支持されている。
【0020】
本解決手段によれば、流路形成部は、上端部が、第2支持部に支持されているため、第2支持部から流路形成部を吊り下げるようにして、流路形成部を簡単に形成することができる。
【0021】
解決手段5:本解決手段の発電装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記流路形成部は、膜状の部材により形成されており、前記膜状の部材は、下端部が外側に引っ張られて固定され、下端部が上端部よりも外側に配置されており、前記流路形成部の流路は、下端部から上端部に向けて先細りに形成されていることを特徴とする発電装置である。
【0022】
本解決手段では、以下の特徴が追加される。
(1)流路形成部は、膜状の部材により形成されている。
(2)膜状の部材は、下端部が外側に引っ張られて固定され、下端部が上端部よりも外側に配置されている。
(3)流路形成部の流路は、下端部から上端部に向けて先細りに形成されている。
【0023】
本解決手段によれば、膜状の部材を利用して、流路形成部の流路を先細りに形成しているため、簡単な構成で流路形成部を形成しながら、先細りの形状によって上昇気流を集中させて発電効率を向上させることができる。
【0024】
解決手段6:本解決手段の発電装置は、上述したいずれかの解決手段において、前記気体供給部及び前記液体供給部は、気体の逆流を防止する気体逆流防止部を備えていることを特徴とする発電装置である。
【0025】
本解決手段では、気体供給部及び液体供給部は、気体の逆流を防止する気体逆流防止部(逆止弁付きパイプ)を備えている。
【0026】
本解決手段によれば、気体供給部及び液体供給部の両方の供給部において気体の逆流を防止しているため、意図しない場所から気体が外部に出ないようにすることができ、上昇気流の風力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態の発電装置100を示す正面図である。
【
図2】実施形態の発電装置100を示す断面図である。
【
図3】実施形態の発電装置100の使用方法を説明する図である。
【
図4】実施形態の発電装置100の使用方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の発電装置100を示す正面図である。
図2は、実施形態の発電装置100を示す断面図である。なお、
図2においては、理解を容易にするために、断面部分であってもハッチングを省略して図示している部分もある。
図1に示すように、発電装置100は、所定の設置面200(例えば地面)に設置される装置であり、水の気化等による上昇気流を利用して発電する装置である。
図2に示すように、発電装置100は、流路形成部10と、貯留部20と、気体供給部30と、液体供給部40と、放出部50と、発電部60と、所定部材70と、支柱部80と、複数の第1支持部91と、第2支持部92と、を備えている。
【0030】
流路形成部10は、太陽光Sを透過可能であり、空気(気体)の流路を形成する部分である。流路形成部10の内部には、空間が形成されており、その空間を上昇気流Uが通過する。流路形成部10は、円筒形状の下方が外側に広がった形状となっている。
【0031】
貯留部20は、流路形成部10の下方に配置され、水(液体)を貯留する部分である。貯留部20は、円筒形状であってもよく、立方体形状であってもよい。貯留部20は、流路形成部10の下方に中央に配置しているが、より多くの上昇気流Uを発生させるために、流路形成部10の下方の全体に配置してもよい。
【0032】
気体供給部30は、流路形成部10に空気を供給する装置である。気体供給部30は、一部が流路形成部10の内部に配置され、残りの一部が流路形成部10の外部に配置されている。気体供給部30は、流路形成部10の外部から空気を取り込んで、流路形成部10の内部に空気を供給する。
【0033】
液体供給部40は、貯留部20に水を供給する装置である。液体供給部40は、一部が流路形成部10及び貯留部20の内部に配置され、残りの一部が流路形成部10の外部に配置されている。液体供給部40は、流路形成部10の外部から水を取り込んで、貯留部20に水を供給する。
【0034】
放出部50は、流路形成部10の上方に配置され、空気を放出する部分である。放出部50は、円形の開口を備えており、流路形成部10の内部の空気(上昇気流U)を、流路形成部10の外部に放出する(放出気流R)。
【0035】
発電部60は、流路形成部10の内部であって、貯留部20と放出部50との間に配置され、流路形成部10に発生する上昇気流Uを利用して発電する装置である。発電部60は、発電機付きの風車61を備えており、上昇気流Uを受けて風車61が回転することによって発電する。
【0036】
所定部材70は、貯留部20の側面及び底面に配置され、断熱の機能、防水の機能、保水の機能のうち少なくとも1つの機能を有する部材である。所定部材70は、例えば、ウレタンフォーム等の断熱材とすることができる。なお、所定部材70は、断熱の機能、防水の機能、保水の機能のうち少なくとも1つの機能を有する部材であれば、ウレタンフォーム以外の材料によって構成してもよい。
【0037】
支柱部80は、流路形成部10の内部の中央に配置され、垂直方向に延びる棒状の部材(ポール)である。発電部60は、支柱部80の上部(放出部50の下方)に取り付けられている。
支柱部80は、基礎部材81と、サポート部材82と、を備えている。基礎部材81は、支柱部80の土台となる部材である。サポート部材82は、支柱部80と基礎部材81とを連結する部材である。支柱部80は、基礎部材81及びサポート部材82によって支えられている。基礎部材81及びサポート部材82は、貯留部20の水の中に配置されている。
【0038】
複数の第1支持部91は、支柱部80の上端から外側下方に向かって延びる棒状の部材(アーム)である。第2支持部92は、複数の第1支持部91に支持される環状の部材(リング状の部材)である。流路形成部10は、上端部(矢印A)が、第2支持部92に支持されている。
【0039】
支柱部80及び複数の第1支持部91は、雨の日等に用いられる傘の上部の骨組み(傘上部)のような構成になっている。そして、支柱部80及び複数の第1支持部91は、このような構成によって、第2支持部92及び流路形成部10の上部を支えている。
【0040】
流路形成部10は、膜状の部材11により形成されている。膜状の部材11は、下端部(矢印B)が外側に引っ張られて固定され、下端部(矢印B)が上端部(矢印A)よりも外側に配置されている。
このため、流路形成部10の流路は、下端部(矢印B)から上端部(矢印A)に向けて先細りに形成されている。
【0041】
膜状の部材11は、太陽光Sを透過する透光性シートや、太陽光Sを透過する高耐久ビニル、太陽光Sを透過する透明膜とすることができる。膜状の部材11の具体例としては、ビニルシート、カーボンナノチューブシート等を採用することができる。膜状の部材11は、弾性のある部材、伸縮性のある部材、たわむ部材、湾曲する部材等とすることもできる。
【0042】
気体供給部30及び液体供給部40は、気体の逆流を防止する気体逆流防止部31を備えている。気体逆流防止部31は、逆止弁付きのパイプである。気体逆流防止部31は、流路形成部10の内部で膨張した空気が、気体供給部30及び液体供給部40から外部に逃げないようにしている。
【0043】
次に、発電装置100の各部材の長さの大小関係について説明する。
放出部50(第2支持部92)の開口の長さX1は、発電部60(風車61)の幅方向の長さX2よりも短い。発電部60(風車61)の幅方向の長さX2は、流路形成部10の幅方向の長さX3よりも短い。すなわち、長さの関係は、X1<X2<X3となっている。なお、長さX2は、発電部60(風車61)の左端から右端までの長さを示している。また、長さX3は、発電部60(風車61)が配置されている箇所又はその近傍における流路形成部10の幅方向の長さを示している。
そして、このような長さの関係とすることにより、発電部60(風車61)で上昇気流Uを効率良く受けることができ、結果として、発電効率を向上させることができる。
【0044】
また、発電部60(風車61)の幅方向の長さX2は、貯留部20の幅方向の長さX4よりも短い。すなわち、長さの関係は、X2<X4となっている。
そして、このような長さの関係とすることにより、発電部60(風車61)において、水の気化による上昇気流Uが受けられない部分を極力少なくすることができ、結果として、発電効率を向上させることができる。
【0045】
さらに、流路形成部10の幅方向の長さX3は、貯留部20の幅方向の長さX4よりも短い。すなわち、長さの関係は、X3<X4となっている。
そして、このような長さの関係とすることにより、水の気化による上昇気流Uを、流路形成部10の発電部60(風車61)が配置されている箇所に集中させることができ、結果として、発電効率を向上させることができる。
なお、長さの関係は、このような関係に限られるものではなく、発電装置100の大きさや、発電装置100の設置場所に応じて、適宜変更することができる。
【0046】
図3及び
図4は、実施形態の発電装置100の使用方法を説明する図である。
まず、
図3(A)に示すように、発電装置100の上側部分(貯留部20、気体供給部30、液体供給部40及び所定部材70以外の部分)を用意する。この時点では、膜状の部材11は外側に引っ張られておらず、流路形成部10は、円筒形状となっている。
【0047】
ついで、
図3(B)に示すように、発電装置100の下側部分(気体供給部30、液体供給部40及び貯留部20)を用意する。貯留部20に対しては、液体供給部40から水を供給する。
【0048】
さらに、
図4(A)に示すように、発電装置100の上側部分と発電装置100の下側部分とを結合し、膜状の部材11の下端部を外側に引っ張って固定する。この状態で、発電装置100の設置は完了となる。
【0049】
そして、
図4(B)に示すように、太陽光Sが照射されると、太陽光Sが流路形成部10の膜状の部材11を通過し、貯留部20の水が温まり蓄熱される。
流路形成部10の内部の空気や、貯留部20の水の温度が上昇することにより、貯留部20の水が気化されるとともに、流路形成部10の内部の空気が膨張する。
流路形成部10の内部では、空気の逃げる箇所が上部の放出部50しかないため、上昇気流Uが発生する。そして、この上昇気流Uが発電部60の風車61を通過することにより、風車61が回転して電気が発生する(発電が行われる)。
【0050】
発電装置100の内部の空気と水は、次第になくなっていくが、下部に取り付けてある気体供給部30及び液体供給部40を利用して、空気と水の補充を行う。
空気の補充は、流路形成部10の内部の圧力が、外部の圧力よりも低くなるため、自動的に行われる。
水の補充は、作業員が行ってもよく、貯留部20の水の水面高さが一定の高さ以下になった場合にオンとなるセンサを取り付け、センサがオンを検出した場合に、一定量の水を供給するようにして、自動的に水を補充するようにしてもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)本実施形態によれば、流路形成部10に発生する上昇気流Uを利用して発電する発電部60を備えているため、上昇後に降下した気流を利用する方式と比較して、上昇気流を直接的に利用して発電することができ、発電効率を向上させることができる。
【0052】
(2)本実施形態によれば、貯留部20の周囲に所定部材70が配置されているため、貯留部20に貯留されている液体の熱を逃がさないようにしたり、貯留部20に貯留されている水が漏れないようにしたり、貯留部20に貯留されている水が維持されるようにしたりすることができ、熱や水が失われることを抑制して、発電効率を向上させることができる。
【0053】
(3)本実施形態によれば、発電部60は、支柱部80に取り付けられているため、上昇気流Uが進行する方向に沿って発電部60を配置することができ、発電部60で上昇気流Uを受けやすくすることができる。
【0054】
(4)本実施形態によれば、流路形成部10は、上端部(矢印A)が、第2支持部92に支持されているため、第2支持部92から流路形成部10を吊り下げるようにして、流路形成部10を簡単に形成することができる。
【0055】
(5)本実施形態によれば、膜状の部材11を利用して、流路形成部10の流路を先細りに形成しているため、簡単な構成で流路形成部10を形成しながら、先細りの形状によって上昇気流Uを集中させて発電効率を向上させることができる。
【0056】
(6)本実施形態によれば、気体供給部30及び液体供給部40の両方の供給部において気体の逆流を防止しているため、意図しない場所から空気が外部に出ないようにすることができ、上昇気流Uの風力を向上させることができる。
【0057】
(7)本実施形態によれば、水を使用することにより、日中に貯めた熱エネルギーを、夜間に使用することができる。
(8)本実施形態によれば、スケール効果が大きく、溜める水を多くするほど、より多くのエネルギーが溜められ、また、支柱部80の高さを高くするほど、支柱部80の上端と下端との差圧が大きくなるので、上昇気流Uの流速が大きくなり、より多くの発電が可能になる。
【0058】
(9)本実施形態によれば、発電装置100を簡単に設置することができ、また原理的に太陽光Sを利用していることから、太陽光Sが強い砂漠地帯や東南アジアほど、より多くのエネルギーを発生させることができる。
(10)本実施形態によれば、天候に左右されにくく、初期投資額が少ない、再生可能エネルギーを提供することができる。
【0059】
(11)本実施形態によれば、例えば、高さ(地面から発電装置の上端部までの高さ)が7mの支柱部80を建て、差圧だけを考慮すれば、地面と発電装置の上端部との間に、0.83hPa(約8.4×10-4kgf/cm2)程度の圧力差が発生し、かつ、熱膨張及び気化熱にてさらなる圧力が発生し、流路形成部10の幅の長さにもよるが、流路形成部10の幅が数メートル~数十メートル程度であれば、10L/s程度の上昇気流Uを発生させることができる。
【0060】
〔変形形態〕
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。
(1)流路形成部は、先細りの形状の例で説明したが、円筒形状であってもよい。
(2)流路形成部は、樹脂により構成されていてもよい。
(3)気体供給部と液体供給部とは、1つの装置で構成されていてもよい。
(4)発電部は、流路形成部の内部に、複数(垂直方向に複数段)設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 流路形成部
11 膜状の部材
20 貯留部
30 気体供給部
31 気体逆流防止部
40 液体供給部
50 放出部
60 発電部
61 風車
70 所定部材
80 支柱部
81 基礎部材
82 サポート部材
91 第1支持部
92 第2支持部
100 発電装置
200 所定の設置面
S 太陽光
U 上昇気流
R 放出気流