(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135723
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】コンピュータ装置、処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01K 15/00 20060101AFI20230922BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20230922BHJP
G01R 35/00 20060101ALI20230922BHJP
G01R 11/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G01K15/00
G01R31/00
G01R35/00 E
G01R35/00 F
G01R11/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040950
(22)【出願日】2022-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】佛木 孝史
【テーマコード(参考)】
2F056
2G036
【Fターム(参考)】
2F056XA07
2G036AA18
2G036AA27
2G036BA35
(57)【要約】
【課題】処理装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定することのできるコンピュータ装置を提供する。
【解決手段】コンピュータ装置は、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶し、第1期間、および第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、負荷ツールおよび時間に基づいて処理装置に同様の負荷をかけ、処理装置に設けた温度センサが第1期間に検出した温度の変化と温度センサが第2期間に検出した温度の変化、処理装置に設けた電力センサが第1期間に検出した電力の変化と電力センサが第2期間に検出した電力の変化、および、処理装置に設けた電流センサが第1期間に検出した電流の変化と電流センサが第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較し、比較結果に基づいて、温度センサ、電力センサ、および電流センサの少なくとも1つについて正常であるかを判定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶する記憶手段と、
第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかける負荷手段と、
前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定する判定手段と、
を備えるコンピュータ装置。
【請求項2】
前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つが検出する値を記憶する管理コントローラ、
を備える請求項1に記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記処理装置は、CPU、メモリ、ディスク、I/Oカード、またはマザーボードである、
請求項1または請求項2に記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記処理装置は、CPUであり、
前記CPUは、専用アプリケーションプログラムを実行することにより、前記負荷手段、前記比較手段、および、前記判定手段を実現する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶することと、
第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかけることと、
前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較することと、
比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定することと、
を含む処理方法。
【請求項6】
コンピュータ装置に、
処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶することと、
第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかけることと、
前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較することと、
比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ装置、処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信の普及による情報の増大に伴いコンピュータ装置の重要性が増している。コンピュータ装置では、安定した処理を実現するために、温度などの環境を検出するセンサが使用されている。特許文献1には、関連する技術として、センサの異常の検出に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンピュータ装置では、プロセッサを含むモジュールなどの処理装置が熱暴走しないように、温度などの環境を検出するセンサが用いられている。しかしながら、そのセンサ自体に不具合が発生した場合には、処理装置が熱暴走してしまう可能性がある。そのため、コンピュータ装置では、処理装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできるコンピュータ装置、処理方法、およびプログラムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、コンピュータ装置は、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶する記憶手段と、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかける負荷手段と、前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、処理方法は、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶することと、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかけることと、前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較することと、比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定することと、を含む。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、プログラムは、コンピュータ装置に、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶することと、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかけることと、前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較することと、比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の各態様によれば、処理装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態によるコンピュータ装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるモジュールの構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態におけるセンサ構成テーブルの一例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による第5処理部が記録するセンサ構成テーブルの一例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による第6処理部による比較結果に基づくCPU温度センサが正常であるか否かの判定を説明するための図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるコンピュータ装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態によるコンピュータ装置の最小構成を示す図である。
【
図8】本開示の実施形態による最小構成のコンピュータ装置の処理フローの一例を示す図である。
【
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
図1は、本開示の一実施形態によるコンピュータ装置1の構成の一例を示す図である。コンピュータ装置1は、
図1に示すように、マザーボード10、モジュール20、30、40、50(処理装置の一例)、温度センサ10a、20a、30a、40a、50aを備える。
【0012】
マザーボード10には、モジュール20、30、40、50のそれぞれが接続される。マザーボード10は、
図1に示すように、BMC(Baseboard Management Controller)101を備える。
【0013】
BMC101は、マザーボード10に実装されるコントローラチップである。BMC101は、温度センサ10a、20a、30a、40a、50aを含むコンピュータ装置1が備える各センサを管理する。例えば、BMC101は、温度センサ10aが検出したマザーボード10の温度、温度センサ20aが検出したモジュール20の温度、温度センサ30aが検出したモジュール30の温度、温度センサ40aが検出したモジュール40の温度、温度センサ50aが検出したモジュール50の温度のそれぞれを記憶する。
【0014】
モジュール20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。本開示の一実施形態において、CPU(ここで示す例では、モジュール20)は、専用アプリケーションプログラムを実行することにより、温度センサ10a、20a、30a、40a、50aのそれぞれが正常に動作しているか否かを判定する。モジュール20は、BMC101にアクセスすることにより、温度センサ10aが検出したマザーボード10の温度、温度センサ20aが検出したモジュール20の温度、温度センサ30aが検出したモジュール30の温度、温度センサ40aが検出したモジュール40の温度、温度センサ50aが検出したモジュール50の温度のそれぞれを取得できる。
【0015】
モジュール30は、例えば、メモリである。モジュール40は、例えば、ディスクである。モジュール50は、例えば、I/O(Input/Output)カードである。なお、コンピュータ装置1において、モジュールのうち少なくとも1つは、CPUである。なお、専用アプリケーションプログラムを実行することにより、CPUがマザーボード10および各モジュール(ここで示す例では、モジュール20、30、40、50)の温度を検出する温度センサ(ここで示す例では、温度センサ10a、20a、30a、40a、50a)のそれぞれが正常に動作しているか否かを判定でき、コンピュータ装置1が装置として正常に動作できる範囲において、CPU以外のモジュール(ここで示す例では、モジュール30、40、50)は、どのようなモジュールであってもよい。
【0016】
次に、本開示の一実施形態によるコンピュータ装置1が行う処理について説明する。
図2は、本開示の一実施形態によるモジュール20の構成の一例を示す図である。
【0017】
CPUであるモジュール20は、専用アプリケーションプログラムを実行することにより、例えば、
図2に示す第1処理部201、第2処理部202、第3処理部203、第4処理部204、第5処理部205、第6処理部206、第7処理部207を実現する。専用アプリケーションプログラムは、オペレーティングシステム上で起動され、温度センサ10a、20a、30a、40a、50aのそれぞれが正常であるか否かをCPUであるモジュール20に判定させるプログラムである。
【0018】
第1処理部201は、管理コントローラ101にアクセスして装置のモジュール構成や温度センサ10a、20a、30a、40a、50aを含むセンサの有無をチェックする。専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合、第1処理部201は、センサ構成テーブルTBL1を作成する。そして、第1処理部201は、モジュール20、30、40、50、およびマザーボード10のそれぞれについて、センサ名、負荷ツール、および負荷実行時間を設定する。
【0019】
図3は、本開示の一実施形態におけるセンサ構成テーブルTBL1の一例を示す図である。このセンサ構成テーブルTBL1は、オペレーティングシステム上でファイルとして管理する。負荷ツールの例としては、オペレーティングシステム上で動作し一般的に公開されている汎用ツール、モジュールのベンダーが効果的に負荷をかけられるように専用に作成したツールなどが挙げられる。また、第1処理部201は、負荷実行時間をモジュール毎に設定する。第1処理部201は、温度が上がり易い温度センサについては短い時間、温度が上がり難い温度センサについては長い時間を設定する。
図3に示すセンサ構成テーブルTBL1の例では、モジュール20については、センサ名がCPU温度センサに設定され、負荷ツールがCPU負荷ツールに設定され、負荷実行時間が3分に設定されている。また、例えば、マザーボード10については、センサ名がマザーボード温度センサに設定され、負荷ツールがCPU負荷ツールおよびメモリ負荷ツールに設定され、負荷実行時間が5分に設定されている。
【0020】
なお、コンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合、センサ構成テーブルTBL1が既に存在していたとしても、センサ構成テーブルTBL1を再度作成する。この作成は、コンピュータ装置1の構成が変更されたことにより、温度センサが追加されていたり、コンピュータ装置1内部の空冷の状況が変化したりし、各温度センサの温度上昇の傾きが変化するため行われるものである。
【0021】
第2処理部202は、管理コントローラ101から対象モジュールの温度センサの値を取得する。第3処理部203は、センサ構成テーブルTBL1で割り当てられている負荷ツールを負荷実行時間実行する。第4処理部204は、管理コントローラ101から対象モジュールの温度センサの値を再度取得する。
【0022】
第5処理部205は、第2処理部202が取得した温度センサの値と、第4処理部204が取得した温度センサの値との差分を計算する。専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合、あるいは、コンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合、第5処理部205は、計算した差分の値をベース取得差分値としてセンタ構成テーブルTBL1に登録し、処理を終了する。
【0023】
また、専用アプリケーションプログラムの実行が2回目以降である場合、あるいは、コンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が2回目以降である場合、第6処理部206および第7処理部207により、以下で示すように、温度センサが正常であるか否かを判定する処理が行われる。
【0024】
この場合、第1処理部201は、専用アプリケーションプログラムを実行して以降、コンピュータ装置1の構成を変更していないことを確認する。そして、第2処理部202、第3処理部203、第4処理部204のそれぞれにおいて、上述した処理と同様の処理が行われる。第5処理部205は、差分の値を計算する。そして、第5処理部205は、計算した差分の値を、最終取得差分値としてセンサ構成テーブルTBL1に記録する。
図4は、本開示の一実施形態による第5処理部205が記録するセンサ構成テーブルTBL1の一例を示す図である。第5処理部205は、
図4に示すように、最終取得差分値を記録する。
【0025】
第6処理部206は、ベース取得差分値と最終取得差分値とを比較する。第6処理部206は、比較結果であるベース取得差分値と最終取得差分値との差(乖離)が、所定のしきい値よりも大きいと判定した場合、温度センサに不具合が発生していると判定する。そして、第7処理部207は、エラーを通知する。
【0026】
また、第6処理部206は、比較結果であるベース取得差分値と最終取得差分値との差(乖離)が、所定のしきい値以下であると判定した場合、温度センサが正常に動作していると判定する。そして、各温度センサについて、上述した第2処理部202、第3処理部203、第4処理部204、第5処理部205、第6処理部206それぞれの処理が行われる。
【0027】
図5は、第6処理部206による比較結果に基づくCPU温度センサが正常であるか否かの判定を説明するための図である。
図5において、横軸は時間を示している。また、縦軸は温度上昇幅を示している。
図5における線17は、モジュール20について設定した負荷実行時間である3分間、負荷ツールであるCPU負荷ツールを実行した場合のベース取得差分値(10℃)を表している。
図5における線18は、最終取得差分値を表している。
図5に示す最終取得差分値の例は9℃である。この場合、ベース取得差分値と最終取得差分値との差が1℃であり、温度センサが正常であると第6処理部206が判定する例である。なお、最終取得差分値が
図5における線19や線21によって表される場合、第6処理部206は、それらの最終取得差分値と、線17が示すベース取得差分値との差が所定のしきい値よりも大きいと判定し、不具合が発生していると判定する。
【0028】
次に、本開示の一実施形態によるコンピュータ装置1が行う処理について説明する。
図6は、本開示の一実施形態によるコンピュータ装置1の処理フローの一例を示す図である。ここでは、
図6を参照してコンピュータ装置1が行う処理について説明する。
【0029】
CPUであるモジュール20は、専用アプリケーションプログラムを実行することにより、第1処理部201、第2処理部202、第3処理部203、第4処理部204、第5処理部205、第6処理部206、第7処理部207を実現する。
【0030】
第1処理部201は、コンピュータ装置1内のマザーボード10に実装されている管理コントローラ101から、モジュール20、30、40、50の装置構成情報を取得する(ステップS1)。装置構成情報とは、各モジュールの製品種別と実装数のことである。例えば、モジュールがCPUである場合、装置構成情報は、CPUの種別(例えば、CPUクロック周波数3GHz)やCPUの実装数(例えば、x2個)である。また、モジュールがメモリの場合、装置構成情報は、メモリの種別(例えば、ディスク容量300GB)やメモリの実装数(例えば、x4個)である。第1処理部201は、専用アプリケーションプログラムの実行が初回であるか、あるいはコンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が初回であるかを判定する(ステップS2)。
【0031】
第1処理部201は、専用アプリケーションプログラムの実行が初回であると判定した場合、あるいはコンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が初回であると判定した場合(ステップS2においてYES)、センサ構成テーブルTBL1を作成、または再度作成する(ステップS3)。そして、第1処理部201は、作成したセンサ構成テーブルTBL1を新規にオペレーティングシステム上のファイルとして格納する。以下、CPUであるモジュール20についての具体例を挙げて説明する。
【0032】
第2処理部202は、モジュール20の温度情報を取得するために、管理コントローラ101を経由して、温度センサ20aから温度センサの値を取得する(ステップS4)。次に、第3処理部203は、センサ構成テーブルTBL1に格納されている負荷ツールおよび負荷実行時間に基づいて、モジュール20を対象にCPU負荷ツールを3分間実行する(ステップS5)。
【0033】
ステップS5の処理が終わると、第4処理部204は、温度センサ20aから温度センサの値を再度取得する(ステップS6)。第5処理部205は、第2処理部202が取得した温度センサの値と第4処理部204が取得した温度センサの値との差分を計算する。例えば、第5処理部205は、差分を10℃と計算(温度上昇が10℃であると計算)する。そして、第5処理部205は、この値(すなわち、10℃)をベース取得差分値としてセンサ構成テーブルTBL1に記録する(ステップS7)。
【0034】
なお、モジュール20以外のモジュール(すなわち、モジュール30、40、50)の温度センサ(すなわち、温度センサ30a、40a、50a)、およびマザーボード10の温度センサ10aについても、ステップS4~ステップS7の処理が繰り返される。これにより、専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合、あるいはコンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が初回である場合のコンピュータ装置1の処理を終了する。
【0035】
なお、専用アプリケーションプログラムの実行が2回目以降である場合、あるいは、コンピュータ装置1の構成を変更した後の専用アプリケーションプログラムの実行が2回目以降である場合、第1処理部201は、コンピュータ装置1の構成をチェックする。そして、第1処理部201は、チェックしたコンピュータ装置1の構成と、以前作成しオペレーティングシステム上のファイルとして格納させているセンサ構成テーブルTBL1におけるコンピュータ装置1の構成情報とを比較する(ステップS1)。第1処理部201は、コンピュータ装置1の構成が変更されているか否かを判定する(ステップS2)。第1処理部201は、コンピュータ装置1の構成が変更されていないと判定した場合(ステップS2においてNO)、センサ構成テーブルTBL1を改めて作成することはしない。そして、第1処理部201は、ステップS8の処理に進める。
【0036】
第2処理部202は、モジュール20の温度情報を取得するために、管理コントローラ101を経由して、温度センサ20aから温度センサの値を取得する(ステップS8)。次に、第3処理部203は、センサ構成テーブルTBL1に格納されている負荷ツールおよび負荷実行時間に基づいて、モジュール20を対象にCPU負荷ツールを3分間実行する(ステップS9)。
【0037】
ステップS9の処理が終わると、第4処理部204は、温度センサ20aから温度センサの値を再度取得する(ステップS10)。第5処理部205は、第2処理部202が取得した温度センサの値と第4処理部204が取得した温度センサの値との差分を計算する。例えば、第5処理部205は、差分を9℃と計算(温度上昇が9℃であると計算)する。そして、第5処理部205は、この値(すなわち、9℃)を最終取得差分値としてセンサ構成テーブルTBL1に記録する(ステップS11)。
【0038】
第6処理部206は、モジュール20について、ベース取得差分値と最終取得差分値とを比較する。第6処理部206は、比較結果であるベース取得差分値と最終取得差分値との差(乖離)が、所定のしきい値よりも大きいか否かを判定する(ステップS12)。
【0039】
第6処理部206は、差(乖離)が所定のしきい値よりも大きいと判定した場合(ステップS12においてYES)、温度センサ20aに不具合が発生していると判定する。そして、第7処理部207は、エラーを通知する(ステップS13)。また、第6処理部206は、差(乖離)が所定のしきい値以下であると判定した場合(ステップS12においてNO)、温度センサ20aは正常であると判定する(ステップS14)。
【0040】
なお、モジュール20以外のモジュール(すなわち、モジュール30、40、50)の温度センサ(すなわち、温度センサ30a、40a、50a)、およびマザーボード10の温度センサ10aについても、ステップS8~ステップS14の処理が繰り返される。
【0041】
(利点)
以上、本開示の一実施形態によるコンピュータ装置1について説明した。コンピュータ装置1は、センサ構成テーブルTBL1(記憶手段の一例)、モジュール20(負荷手段の一例、比較手段の一例、判定手段の一例)を備える。センサ構成テーブルTBL1は、処理装置(マザーボード10、モジュール20、30、40、50)に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶する。モジュール20(負荷手段)は、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかける。モジュール20(比較手段)は、前記処理装置に設けた温度センサ(温度センサ10a、20a、30a、40a、50a)が前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサ(電力センサ10b、20b、30b、40b、50b)が前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサ(電流センサ10c、20c、30c、40c、50c)が前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較する。モジュール20(判定手段)は、前記モジュール20による比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定する。このコンピュータ装置1により、モジュールなどの処理装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定することができる。
【0042】
<実施形態の変形例1>
なお、本開示の一実施形態の変形例1では、コンピュータ装置1は、温度を検出する温度センサ10a、20a、30a、40a、50aに代わってまたは加えて、電力を検出する電力センサ10b、20b、30b、40b、50bを備えて用いてもよい。また、温度センサ10a、20a、30a、40a、50a、電力センサ10b、20b、30b、40b、50bに代わってまたは加えて、電流を検出する電流センサ10c、20c、30c、40c、50cを備えて用いるものであってもよい。
【0043】
<実施形態の変形例2>
なお、本開示の一実施形態の変形例2では、コンピュータ装置1全体に負荷をかけ、コンピュータ装置1の内部に実装されている空冷用のファンの回転数を制御することによる、温度センサの遷移を確認することにより、コンピュータ装置1が温度センサが正常であるか否かを判定するものであってもよい。
【0044】
図7は、本開示の実施形態によるコンピュータ装置1の最小構成を示す図である。コンピュータ装置1は、
図7に示すように、記憶部1a(記憶手段の一例)、負荷部1b(負荷手段の一例)、比較部1c(比較手段の一例)、および判定部1d(判定手段の一例)を備える。記憶部1aは、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶する。この記憶部1aは、例えば、
図3に記載されているセンサ構成テーブルTBL1により実現することができる。負荷部1bは、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかける。この負荷部1bは、例えば、
図1に記載のモジュール20により実現することができる。比較部1cは、前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較する。この比較部1cは、例えば、
図1に記載のモジュール20により実現することができる。判定部1dは、前記比較部1cによる比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定する。この判定部1dは、例えば、
図1に記載のモジュール20により実現することができる。
【0045】
図8は、本開示の実施形態による最小構成のコンピュータ装置1の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成のコンピュータ装置1の処理について
図8を参照して説明する。
【0046】
記憶部1aは、処理装置に負荷をかける負荷ツールと、前記処理装置に前記負荷ツールによる負荷をかける時間との情報を記憶する(ステップS101)。負荷部1bは、第1期間、および前記第1期間よりも後の期間である第2期間のそれぞれにおいて、前記負荷ツールおよび前記時間に基づいて、前記処理装置に、同様の負荷をかける(ステップS102)。比較部1cは、前記処理装置に設けた温度センサが前記第1期間に検出した温度の変化と前記温度センサが前記第2期間に検出した温度の変化、前記処理装置に設けた電力センサが前記第1期間に検出した電力の変化と前記電力センサが前記第2期間に検出した電力の変化、および、前記処理装置に設けた電流センサが前記第1期間に検出した電流の変化と前記電流センサが前記第2期間に検出した電流の変化のうちの少なくとも1つを比較する(ステップS103)。判定部1dは、前記比較部1cによる比較結果に基づいて、前記温度センサ、前記電力センサ、および前記電流センサの少なくとも1つについて正常であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0047】
以上、本開示の実施形態による最小構成のコンピュータ装置1について説明した。このコンピュータ装置1により、処理装置に設けられたセンサが正常であるか否かを判定することができる。
【0048】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0049】
本開示の実施形態について説明したが、上述のコンピュータ装置1、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0050】
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ5は、
図9に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
【0051】
例えば、上述のコンピュータ装置1、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0052】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0053】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0054】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0055】
1・・・コンピュータ装置
1a・・・記憶部
1b・・・負荷部
1c・・・比較部
1d・・・判定部
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10a、20a、30a、40a、50a・・・温度センサ
20、30、40、50・・・モジュール
101・・・管理コントローラ
201・・・第1処理部
202・・・第2処理部
203・・・第3処理部
204・・・第4処理部
205・・・第5処理部
206・・・第6処理部
207・・・第7処理部