(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135738
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】遊星歯車装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20230922BHJP
F16C 19/34 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
F16H1/28
F16C19/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040972
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悟
【テーマコード(参考)】
3J027
3J701
【Fターム(参考)】
3J027FA36
3J027FA37
3J027FB31
3J027GC13
3J027GC24
3J027GE01
3J027GE14
3J701AA26
3J701AA54
3J701AA62
3J701FA15
3J701FA53
3J701GA55
(57)【要約】
【課題】小型化を図りながら、入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる遊星歯車装置を提供する。
【解決手段】遊星歯車装置10aは、回転プレート20aと、太陽歯車30aと、第1遊星歯車41a,42a,43aと、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aと、を備える。回転プレート20aは、円板状のプレート部21aと、プレート部21aよりも小さい径であって内歯車24aが設けられた円環部22aと、を含む。太陽歯車30aは、第1外歯車35aが設けられた第1円板部31aと、第1円板部31aよりも小さい径であって、第2外歯車36aが外周面に設けられた第2円板部32aと、を含む。第1遊星歯車41a,42a,43aは、第3外歯車44a,45a,46aが設けられている。第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aは、第4外歯車56a,57a,58a,59a,60aが設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸受を介して入力軸と連結され、前記入力軸の回転により自転を行う回転プレートと、
前記入力軸の回転により前記回転プレートと逆の向きに自転を行う太陽歯車と、
前記入力軸の回転により自転および公転を行う第1遊星歯車と、
前記回転プレートに回転可能に支持されており、前記入力軸の回転により自転および公転を行う第2遊星歯車と、を備え、
前記回転プレートは、
円板状のプレート部と、
前記プレート部の厚さ方向にリング状に突出し、前記プレート部よりも小さい径であって内歯車が設けられた円環部と、を含み、
前記太陽歯車は、
第1外歯車が設けられた第1円板部と、
前記第1円板部と厚さ方向の異なる位置に配置され、前記第1円板部よりも小さい径であって、前記内歯車と対向するように第2外歯車が外周面に設けられた第2円板部と、を含み、
前記第1遊星歯車は、
径方向において前記第2外歯車と前記内歯車との間に配置され、外周面に前記第2外歯車および前記内歯車と噛み合う第3外歯車が設けられており、
前記第2遊星歯車は、
前記太陽歯車の外径側に配置されており、外周面に前記第1外歯車と噛み合う第4外歯車が設けられている、遊星歯車装置。
【請求項2】
前記第1遊星歯車は、前記太陽歯車に回転可能に支持されている、請求項1に記載の遊星歯車装置。
【請求項3】
前記第1軸受は、第1内輪と、第2外輪と、を含むクロスローラベアリングを含み、
前記第1内輪は、前記回転プレートに連結されており、
前記第1外輪は、固定されている、請求項1または請求項2に記載の遊星歯車装置。
【請求項4】
第2軸受をさらに備え、
前記第2遊星歯車は、前記第2軸受を介して前記回転プレートに回転可能に支持されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊星歯車装置。
【請求項5】
前記第2軸受は、第2内輪と、第2外輪と、を含むクロスローラベアリングを含み、
前記第2内輪は、前記回転プレートに連結されており、
前記第2外輪は、前記第2遊星歯車に連結されている、請求項4に記載の遊星歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遊星歯車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを遊星歯車機構により自転および公転させながらラッピング加工を施すようにしたウェーハ用ラップ機が知られている(例えば特許文献1参照)。また、シャフトに回転自在に取り付けられると共に、ハウジングにシャフトと同軸に形成された内歯歯車に噛合し、シャフトの回転に応じて遊星運動を行う複数の遊星歯車を備えるツル―イング装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-193002号公報
【特許文献2】特開平11-48143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遊星歯車装置が、例えばウェーハ用ラップ機やツル―イング装置に用いられる際には、入力軸に対してモーメント荷重が負荷される。研磨効率の向上等を図る観点から、入力軸の回転数の増加等を図ると、モーメント荷重も大きくなる。このような場合において、入力軸に負荷される荷重を受ける軸受を大きくして、大きなモーメント荷重を受けることも可能である。しかし、軸受の大型化に伴い、遊星歯車装置自体の大型化を招くことになり、好ましくない。特許文献1および特許文献2に開示の技術では、このような場合に対応することが困難である。
【0005】
そこで、小型化を図りながら、入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる遊星歯車装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った遊星歯車装置は、第1軸受を介して入力軸と連結され、入力軸の回転により自転を行う回転プレートと、入力軸の回転により回転プレートと逆の向きに自転を行う太陽歯車と、入力軸の回転により自転および公転を行う第1遊星歯車と、回転プレートに回転可能に支持されており、入力軸の回転により自転および公転を行う第2遊星歯車と、を備える。回転プレートは、円板状のプレート部と、プレート部の厚さ方向にリング状に突出し、プレート部よりも小さい径であって内歯車が設けられた円環部と、を含む。太陽歯車は、第1外歯車が設けられた第1円板部と、第1円板部と厚さ方向の異なる位置に配置され、第1円板部よりも小さい径であって、内歯車と対向するように第2外歯車が外周面に設けられた第2円板部と、を含む。第1遊星歯車は、径方向において第2外歯車と内歯車との間に配置され、外周面に第2外歯車および内歯車と噛み合う第3外歯車が設けられている。第2遊星歯車は、太陽歯車の外径側に配置されており、外周面に第1外歯車と噛み合う第4外歯車が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
上記遊星歯車装置によれば、小型化を図りながら、入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施の形態1における遊星歯車装置を示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1における遊星歯車装置の一部を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に示す遊星歯車装置を含む研磨装置の一例を示す概略側面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1の遊星歯車装置を含む研磨装置の他の例に含まれるセラミックプレートの一例を示す概略平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1の遊星歯車装置を含む研磨装置の他の例を示す概略側面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の遊星歯車装置を含む研磨装置の他の例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示の遊星歯車装置は、第1軸受を介して入力軸と連結され、入力軸の回転により自転を行う回転プレートと、入力軸の回転により回転プレートと逆の向きに自転を行う太陽歯車と、入力軸の回転により自転および公転を行う第1遊星歯車と、回転プレートに回転可能に支持されており、入力軸の回転により自転および公転を行う第2遊星歯車と、を備える。回転プレートは、円板状のプレート部と、プレート部の厚さ方向にリング状に突出し、プレート部よりも小さい径であって内歯車が設けられた円環部と、を含む。太陽歯車は、第1外歯車が設けられた第1円板部と、第1円板部と厚さ方向の異なる位置に配置され、第1円板部よりも小さい径であって、内歯車と対向するように第2外歯車が外周面に設けられた第2円板部と、を含む。第1遊星歯車は、径方向において第2外歯車と内歯車との間に配置され、外周面に第2外歯車および内歯車と噛み合う第3外歯車が設けられている。第2遊星歯車は、太陽歯車の外径側に配置されており、外周面に第1外歯車と噛み合う第4外歯車が設けられている。
【0010】
本開示の遊星歯車装置においては、入力軸が回転すると入力軸の回転により回転プレートが自転を行う。この時、円環部も自転を行う。これに伴って、円環部の内歯車と噛み合う第3外歯車が設けられた第1遊星歯車が自転および公転を行う。そうすると、第3外歯車と噛み合う第2外歯車が設けられた第2円板部を含む太陽歯車が、回転プレートと逆の向きに自転する。そして、太陽歯車に含まれ、第1外歯車が設けられた第1円板部も、第2円板部と同じ方向、すなわち、回転プレートと逆の向きに自転する。第2遊星歯車は、回転プレートに回転可能に支持されており、第1外歯車と噛み合う第4外歯車が設けられているため、自転および公転を行う。
【0011】
ここで、円環部は、プレート部よりも小さい径のリング状であり、第1遊星歯車、円環部、第1円板部および第2円板部を含む回転機構を内側、すなわち、径方向において入力軸に近い側に集約することができる。そうすると、発生するモーメント荷重の低減を図ることができる。また、入力軸の負荷を受ける第1軸受を大きくしても、径方向に大きくなりすぎず、遊星歯車装置が大型化することを抑制することができる。その結果、このような遊星歯車装置によると、小型化を図りながら、入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる。
【0012】
上記遊星歯車装置において、第1遊星歯車は、太陽歯車に回転可能に支持されていてもよい。このようにすることにより、内歯車と第1外歯車との間に配置される第1遊星歯車を適切に支持することができ、第1遊星歯車の自転および公転を安定させることができる。
【0013】
上記遊星歯車装置において、第1軸受は、第1内輪と、第1外輪と、を含むクロスローラベアリングを含んでもよい。第1内輪は、回転プレートに連結されていてもよい。第1外輪は、固定されていてもよい。このように、入力軸を支持する軸受としてあらゆる方向の荷重を受けることができるクロスローラベアリングを採用して、より適切に入力軸を支持することができる。
【0014】
上記遊星歯車装置において、第2軸受をさらに備えてもよい。第2遊星歯車は、第2軸受を介して回転プレートに回転可能に支持されていてもよい。このようにすることにより、第2遊星歯車に負荷される荷重を第2軸受によって受けながら、第2遊星歯車を円滑に回転させることができる。
【0015】
上記遊星歯車装置において、第2軸受は、第2内輪と、第2外輪と、を含むクロスローラベアリングを含んでもよい。第2内輪は、回転プレートに連結されていてもよい。第2外輪は、第2遊星歯車に連結されていてもよい。このように、第2遊星歯車を回転可能に支持する軸受としてあらゆる方向の荷重を受けることができるクロスローラベアリングを採用し、より適切な第2遊星歯車の回転運動を確保することができる。
【0016】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の遊星歯車装置の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0017】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1における遊星歯車装置を示す概略側面図である。
図2は、実施の形態1における遊星歯車装置の一部を示す概略平面図である。
図2は、後述する第1遊星歯車を含む状態を示す。なお、
図1および以下に示す図において、矢印Zまたはその逆で示す方向は、荷重が負荷される方向を示し、後述する入力軸の軸方向である。
図2は、Z方向である入力軸の軸方向から見た図である。また、
図2において、後述する回転プレートの外形形状を一点鎖線で概略的に示す。
【0018】
図1~
図2を参照して、本開示の実施の形態1に係る遊星歯車装置10aは、例えば、ウェーハの表面を研磨する研磨装置に用いられる。研磨装置として用いる場合については、後に詳述する。
【0019】
遊星歯車装置10aは、モータ11aの回転軸を回転の入力軸12aとする。遊星歯車装置10aは、回転プレート20aと、第1軸受14aと、太陽歯車30aと、複数の第1遊星歯車41a,42a,43aと、複数の第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aと、複数の第2軸受61aと、を含む。本実施形態においては、第1遊星歯車41a,42a,43aは、合計3つ設けられている。また、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aは、合計5つ設けられている。なお、モータ11aの外径側を覆うようにして、中空円筒状の取り付け部材13aが、モータ11aおよび入力軸12aと径方向に間隔をあけて配置されている。取り付け部材13aは、固定されており、回転しないよう構成されている。なお、入力軸12aの回転中心軸19aを、
図1において一点鎖線で示す。
【0020】
ここで、まず回転プレート20aの構成について説明する。回転プレート20aは、第1軸受14aを介して入力軸12aと連結され、入力軸12aの回転により自転を行う。回転プレート20aの外形形状は、厚さ方向(Z方向)に見て、円板状である。回転プレート20aは、円板状のプレート部21aと、円環部22aと、複数の第1軸部23aと、を含む。円環部22aは、プレート部21aの厚さ方向にリング状に突出する。円環部22aは、プレート部21aよりも小さい径である。円環部22aの内周面には、内歯車24aが設けられている。複数の第1軸部23aは、円環部22aと同じ厚さ方向に突出する。複数の第1軸部23aは、周方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態においては、複数の第1軸部23aは、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aの数に合わせて、合計5つ設けられている。第1軸部23aはそれぞれ、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aの自転の中心軸となっている。回転プレート20aは、一体構造、すなわち、一体型となるよう形成されている。
【0021】
本実施形態においては、第1軸受14aは、クロスローラベアリングである。第1軸受14aは、第1内輪15aと、第1外輪16aと、図示しない複数のローラと、を含む。第1内輪15aは、入力軸12aに連結されている。第1内輪15aは、プレート部21aと連結されている。モータ11aから伝達された回転力により入力軸12aが回転し、第1内輪15aと共に一体型の回転プレート20aが回転(自転)する。第1外輪16aは、固定された中空円筒状の取り付け部材13aに固定されている。すなわち、第1外輪16aは、回転せずに固定された状態である。第1軸受14aは、入力軸12aに負荷されるモーメント荷重を受ける。
【0022】
次に、太陽歯車30aの構成について説明する。太陽歯車30aは、入力軸12aの回転により回転プレート20aと逆の向きに自転を行う。太陽歯車30aは、第1円板部31aと、第2円板部32aと、連結部33aと、複数の第2軸部34aと、を含む。第1円板部31aおよび第2円板部32aはそれぞれ、円板状である。第1円板部31aの外周面には、第1外歯車35aが設けられている。第1外歯車35aは、後述する第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aのそれぞれの第4外歯車56a,57a,58a,59a,60aと噛み合うよう構成されている。
【0023】
第2円板部32aは、第1円板部31aと厚さ方向の異なる位置に配置される。本実施形態においては、第2円板部32aは、厚さ方向(Z方向)において第1円板部31aよりも回転プレート20a側に配置される。第2円板部32aは、第1円板部31aよりも小さい径である。すなわち、第1円板部31aの径の方が第2円板部32aの径よりも大きい。第2円板部32aは、内歯車24aと対向するように第2外歯車36aが外周面に設けられている。すなわち、第2円板部32aの外周面には、第2外歯車36aが設けられている。第2外歯車36aは、後述する第1遊星歯車41a,42a,43aのそれぞれの第3外歯車44a,45a,46aと噛み合うよう構成されている。
【0024】
連結部33aは、第1円板部31aと第2円板部32aとの間に配置され、第1円板部31aと第2円板部32aとを連結する。複数の第2軸部34aは、第2円板部32aと同じ厚さ方向に突出する。複数の第2軸部34aは、周方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態においては、複数の第2軸部34aは、第1遊星歯車41a,42a,43aの数に合わせて、合計3つ設けられている。第2軸部34aはそれぞれ、第1遊星歯車41a,42a,43aの自転の中心軸となっている。太陽歯車30aは、一体構造、すなわち、一体型となるよう形成されている。
【0025】
3つの第1遊星歯車41a,42a,43aはそれぞれ、入力軸12aの回転により自転および公転を行う。第1遊星歯車41a,42a,43aはそれぞれ、径方向において第2外歯車36aと内歯車24aとの間に配置される。3つの第1遊星歯車41a,42a,43aはそれぞれ、周方向に間隔をあけて配置されている。第1遊星歯車41a,42a,43aはそれぞれ、外周面に第2外歯車36aおよび内歯車24aと噛み合う第3外歯車44a,45a,46aが設けられている。3つの第1遊星歯車41a,42a,43aはそれぞれ、太陽歯車30aに含まれる複数の第2軸部34aにより図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。
【0026】
5つの第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、回転プレート20aに回転可能に支持されており、入力軸12aの回転により自転および公転を行う。第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aは、複数の第2軸受61aを介して回転プレート20aに回転可能に支持されている。本実施形態においては、複数の第2軸受61aはそれぞれ、第2内輪62aと、第2外輪63aと、を含むクロスローラベアリングである。第2内輪62aは、回転プレート20aに連結されている。第2外輪63aは、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aにそれぞれ連結されている。
【0027】
5つの第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、太陽歯車30aの外径側に配置されている。5つの第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、周方向にそれぞれ間隔をあけて配置されている。5つの第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、第1外歯車35aと噛み合うように外周面に第4外歯車56a,57a,58a,59a,60aが設けられている。すなわち、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aの外周面にはそれぞれ、第1外歯車35aと噛み合うように第4外歯車56a,57a,58a,59a,60aが設けられている。
【0028】
次に、上記した遊星歯車装置10aの動作について、特に
図2を参照して説明する。まず、モータ11aからの動力の伝達により入力軸12aが回転すると、入力軸12aの回転により回転プレート20aが矢印R
0の向きに自転を行う。この時、円環部22aも矢印R
0で示す向きに自転を行う。これに伴って、円環部22aの内歯車24aと噛み合う第3外歯車44a,45a,46aが設けられた第1遊星歯車41a,42a,43aがそれぞれ矢印R
2、R
3、R
4の向きに自転を行う共に、公転を行う。そうすると、第3外歯車44a,45a,46aと噛み合う第2外歯車36aが設けられた第2円板部32aを含む太陽歯車30aが、回転プレート20aと逆の向きである矢印R
2の向きに自転する。そして、太陽歯車30aに含まれ、第1外歯車35aが設けられた第1円板部31aも、第2円板部32aと同じ方向、すなわち、回転プレート20aと逆の向きである矢印R
5の向きに自転する。第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aは、回転プレート20aにそれぞれ回転可能に支持されているため、回転プレート20aと共に矢印R
0の向きに公転を行う。そして、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、第1外歯車35aと噛み合う第4外歯車56a,57a,58a,59a,60aが設けられているため、それぞれ矢印R
6、R
7、R
8、R
9、R
10の向きに自転を行う。
【0029】
ここで、円環部22aは、プレート部21aよりも小さい径のリング状であり、第1遊星歯車41a,42a,43a、円環部22a、第1円板部31aおよび第2円板部32aを含む回転機構を内側、すなわち、径方向において入力軸12aに近い側に集約することができる。そうすると、発生するモーメント荷重の低減を図ることができる。また、入力軸12aの負荷を受ける第1軸受14aを大きくしても、径方向に大きくなりすぎず、遊星歯車装置10aが大型化することを抑制することができる。その結果、このような遊星歯車装置10aによると、小型化を図りながら、入力軸12aに負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる。なお、太陽歯車30aの第1円板部31a、第2円板部32a、円環部22a、第1遊星歯車41a,42a,43aおよび第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aのそれぞれの径やギア比については、要求に応じて任意に定められる。
【0030】
本実施形態においては、第1遊星歯車41a,42a,43aは、太陽歯車30aに回転可能に支持されている。よって、内歯車24aと第1外歯車35aとの間に配置される第1遊星歯車41a,42a,43aを適切に支持することができ、第1遊星歯車41a,42a,43aの自転および公転を安定させることができる。
【0031】
本実施形態においては、第1軸受14aは、第1内輪15aと、第1外輪16aと、を含むクロスローラベアリングである。第1内輪15aは、回転プレート20aに連結されている。第1外輪16aは、固定されている。このように、入力軸12aを支持する軸受としてあらゆる方向の荷重を受けることができるクロスローラベアリングを採用して、より適切に入力軸12aを支持することができる。
【0032】
本実施形態においては、第2軸受61aを備える。第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aはそれぞれ、第2軸受61aを介して回転プレート20aに回転可能に支持されている。よって、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aに負荷される荷重を第2軸受61aによって受けながら、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aを円滑に回転させることができる。
【0033】
本実施形態においては、第2軸受61aは、第2内輪62aと、第2外輪63aと、を含むクロスローラベアリングである。第2内輪62aは、回転プレート20aに連結されている。第2外輪63aは、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aにそれぞれ連結されている。このように、第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aを回転可能に支持する軸受としてあらゆる方向の荷重を受けることができるクロスローラベアリングを採用し、より適切な第2遊星歯車51a,52a,53a,54a,55aの回転運動を確保することができる。
【0034】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態においては、第2遊星歯車を5つ備えることとしたが、これに限らず、他の数、例えば、1つ~4つであってもよいし、6つ以上であってもよい。具体的には、第2遊星歯車を3つ備える構成としてもよい。
【0035】
また、第1遊星歯車の数についても、上記の実施の形態においては3つ備えることとしたが、これに限らず、1つ~2つであってもよいし、4つ以上備えることにしてもよい。
【0036】
なお、上記実施の形態においては、
図3に示すように、遊星歯車装置10aにおいて、第2遊星歯車52a,55aの下側、具体的には、第2遊星歯車52a,55aに対して矢印Zで示す向きに砥石64a,65aを取り付けて、研磨装置17aとして用いることもできる。砥石64a,65aは、遊星歯車装置10aによりモータ11aの動力が伝達されて、自転および公転を行い、対象物を研磨する。
図3は、実施の形態1に示す遊星歯車装置10aを含む研磨装置の一例を示す概略側面図である。すなわち、本開示の研磨装置17aは、第1軸受を介して入力軸と連結され、入力軸の回転により自転を行う回転プレートと、入力軸の回転により回転プレートと逆の向きに自転を行う太陽歯車と、入力軸の回転により自転および公転を行う第1遊星歯車と、回転プレートに回転可能に支持されており、入力軸の回転により自転および公転を行う第2遊星歯車と、第2遊星歯車に取り付けられる砥石と、を備える。回転プレートは、円板状のプレート部と、プレート部の厚さ方向にリング状に突出し、プレート部よりも小さい径であって内歯車が設けられた円環部と、を含む。太陽歯車は、第1外歯車が設けられた第1円板部と、第1円板部と厚さ方向の異なる位置に配置され、第1円板部よりも小さい径であって、内歯車と対向するように第2外歯車が外周面に設けられた第2円板部と、を含む。第1遊星歯車は、径方向において第2外歯車と内歯車との間に配置され、外周面に第2外歯車および内歯車と噛み合う第3外歯車が設けられている。第2遊星歯車は、太陽歯車の外径側に配置されており、外周面に第1外歯車と噛み合う第4外歯車が設けられている。
【0037】
このような研磨装置によると、小型化を図りながら、入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる。
【0038】
また、研磨装置として、以下の構成とすることもできる。
図4は、実施の形態1の遊星歯車装置10aを含む研磨装置17bの他の例に含まれるセラミックプレートの一例を示す概略平面図である。まず、
図4を参照して、研磨装置に含まれるセラミックプレート71bは、円板状であって、研磨対象となるウェーハを収容する3つの丸穴状の貫通孔72b,73b,74bが設けられている。貫通孔72b,73b,74bは周方向に等間隔となるように設けられている。
【0039】
図5および
図6は、実施の形態1の遊星歯車装置10aを含む研磨装置17bの他の例を示す概略側面図である。
図5は、後述する回転部をウェーハに押し当てる前の状態を示し、
図6は、回転部をウェーハに押し当てた状態を示す。
【0040】
まず
図5を参照して、研磨装置17bは、遊星歯車装置10aと、セラミックプレート71bと、テーブル75bと、を含む。遊星歯車装置10aに含まれる回転プレート、太陽歯車、第1遊星歯車および第2遊星歯車等を含む回転機構18aは、
図5および
図6において模式的に示している。なお、本実施形態においては、3つの第2遊星歯車を備える構成である。
【0041】
3つの第2遊星歯車にはそれぞれ、3つの回転部76b,77b,78bが取り付けられている。また、テーブル75b上には、セラミックプレート71bが載置されている。そして、3つの貫通孔72b,73b,74b内には、それぞれ研磨対象となるウェーハ81b,82b,83bが配置されている。
【0042】
このような構成において、
図5中の矢印F
1で示す向きに遊星歯車装置10aを移動させる。そうすると、3つの回転部76b,77b,78bがそれぞれ、貫通孔72b,73b,74b内のウェーハ81b,82b,83bと接触する。さらに矢印F
1の向きに力を加え、ウェーハ81b,82b,83bをテーブル75b側に押し当て、押圧する。
【0043】
このような状態でモータ11aの動力を遊星歯車装置10aに伝達すると、入力軸12aは、矢印D1に沿って回転(自転)する。この回転に伴って、回転機構18aは、矢印D2に沿って回転(自転)する。この時、回転部76b,77b,78bはそれぞれ公転を行いながら、矢印D3、矢印D4、矢印D5に沿ってそれぞれ自転を行っている。このようにして、ウェーハ81b,82b,83bのうちのテーブル75bに対向する面が研磨される。
【0044】
このような構成によると、小型化を図りながら入力軸に負荷されるモーメント荷重を適切に受けることができる遊星歯車装置10aを利用して、ウェーハを自転および公転させながら、効率よく研磨することができる。
【0045】
なお、このような構成において、貫通孔72b,73b,74b内に、回転部76b,77b,78bが円滑に入り込めるように、貫通孔72b,73b,74bの内壁面に回転機構18a側の開口が広くなるようテーパを形成してもよい。また、ウェーハが81b,82b,83bが適切な力で押圧されているか否かを検知するセンサを遊星歯車装置10a等に設けることにしてもよい。なお、テーブル75bは、自転を行うように構成してもよいし、固定されていてもよい。
【0046】
なお、上記の実施の形態においては、第1軸受および第2軸受としてクロスローラベアリングを採用することとしたが、これに限らず、第1軸受および第2軸受の少なくともいずれか一方は、他の軸受、例えばラジアル軸受とアキシャル軸受を組み合わせたものを採用することにしてもよい。また、滑り軸受であってもよい。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
10a 遊星歯車装置、11a モータ、12a 入力軸、13a 取り付け部材、14a 第1軸受、15a 第1内輪、16a 第1外輪、17a,17b 研磨装置、18a 回転機構、19a 回転中心軸、20a 回転プレート、21a プレート部、22a 円環部、23a 第1軸部、24a 内歯車、30a 太陽歯車、31a 第1円板部、32a 第2円板部、33a 連結部、34a 第2軸部、35a 第1外歯車、36a 第2外歯車、41a,42a,43a 第1遊星歯車、44a,45a,46a 第3外歯車、51a,52a,53a,54a,55a 第2遊星歯車、56a,57a,58a,59a,60a 第4外歯車、61a 第2軸受、62a 第2内輪、63a 第2外輪、64a,65a 砥石、71b セラミックプレート、72b,73b,74b 貫通孔、75b テーブル、76b,77b,78b 回転部、81b,82b,83b ウェーハ。