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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135740
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】燃焼装置及びそれを備えた焼却炉
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/00 20060101AFI20230922BHJP
   F23H 7/08 20060101ALI20230922BHJP
   F23H 9/12 20210101ALI20230922BHJP
【FI】
F23G5/00 109
F23H7/08
F23H9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040976
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】角吉 弘憲
(72)【発明者】
【氏名】飯野 浩成
【テーマコード(参考)】
3K261
【Fターム(参考)】
3K261AA04
3K261BA06
3K261BA11
3K261BA12
(57)【要約】
【課題】火格子の空気口の閉塞を防止する機構を備えた燃焼装置及びその燃焼装置を備えた焼却炉を提供すること。
【解決手段】複数の可動火格子と、前記可動火格子を前後方向に揺動させると共に当該可動火格子の前端を上下方向に揺動させる機能を有する駆動部と、前記駆動部を作動させるアクチュエータと、を含む。前記駆動部は、前記可動火格子を後方に移動させたとき、前記前端を上方に持ち上げて前記可動火格子を傾斜させるよう作動してもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可動火格子と、
前記可動火格子を前後方向に揺動させると共に当該可動火格子の前端を上下方向に揺動させる機能を有する駆動部と、
前記駆動部を作動させるアクチュエータと、
を含む、燃焼装置。
【請求項2】
前記駆動部は、前記可動火格子を後方に移動させたとき、前記前端を上方に持ち上げて前記可動火格子を傾斜させるよう作動する、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記複数の可動火格子の下方において左右方向に延在する支持ロッドと、前記支持ロッドと前記可動火格子とを連結する連結ロッドと、を有し、
前記連結ロッドは、前記可動火格子に対して回動可能に連結される、請求項1又は2に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記可動火格子は、左右方向に隣接して並ぶ複数の可動火格子で構成され、
前記連結ロッドは、左右方向に隣接して並ぶ前記複数の可動火格子のそれぞれと連結される、請求項3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
複数の固定火格子をさらに含み、
前記可動火格子及び前記固定火格子は、左右方向において交互に配置される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記駆動部は、前記アクチュエータに連結されたリンク機構を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、伸縮自在の動力シリンダであり、
前記動力シリンダは、作用部が上下方向に揺動可能となるように、回動可能に支持されている、請求項6に記載の燃焼装置。
【請求項8】
前記駆動部は、前後方向に並ぶ前記複数の可動火格子を一括して揺動させる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の燃焼装置。
【請求項9】
燃焼室と、
前記燃焼室に配置された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の燃焼装置と、
を備える、焼却炉。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、燃焼装置及びそれを備えた焼却炉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市ごみ等の廃棄物を焼却処理するごみ焼却施設としてストーカ式焼却炉が知られている(例えば、特許文献1)。ストーカ式焼却炉とは、火格子と呼ばれる部材を階段状に並べた燃焼装置を用いて廃棄物を焼却処理する焼却施設である。通常、ストーカ式焼却炉では、火格子の下部に空気を送り、火格子の先端等に設けられた空気口から廃棄物に向かって空気を供給する。廃棄物に供給された空気は、燃焼に必要な酸素を廃棄物に供給し、廃棄物の燃焼を助ける。また、供給された空気は、炉内の温度を安定化させる役割も担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-91054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電気代削減等を理由に炉内に供給する空気量を抑える傾向にあり、その結果、燃焼物の外周部の温度が1500℃を超える場合も多くなっている。燃焼物の外周部温度が上昇すると、焼却灰に混在する低温度溶融物(融点の低い、アルミニウム、ガラスなどの素材)が火格子上で溶融する。このとき、溶融した低温度溶融物が火格子の空気口で空気に触れて冷却され、空気口を塞いでしまう場合がある。火格子の空気口が塞がってしまうと、正常に機能する空気の吹き出し口が偏ってしまい、炉内の温度分布が安定しなかったり、未燃ガスが発生して炉内で部分爆発が発生したりする場合がある。特に、炉内温度の安定化は、ダイオキシンの分解上重要な要素であり、未燃ガスの爆発は、炉壁の損傷を招く結果となる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、火格子の空気口の閉塞を防止する機構を備えた燃焼装置及びそれを備えた焼却炉を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における燃焼装置は、複数の可動火格子と、前記可動火格子を前後方向に揺動させると共に当該可動火格子の前端を上下方向に揺動させる機能を有する駆動部と、前記駆動部を作動させるアクチュエータと、を含む。
【0007】
前記駆動部は、前記可動火格子を後方に移動させたとき、前記前端を上方に持ち上げて前記可動火格子を傾斜させるよう作動してもよい。
【0008】
前記駆動部は、前記複数の可動火格子の下方において左右方向に延在する支持ロッドと、前記支持ロッドと前記可動火格子とを連結する連結ロッドと、を有していてもよい。このとき、前記連結ロッドは、前記可動火格子に対して回動可能に連結されてもよい。
【0009】
前記可動火格子は、左右方向に隣接して並ぶ複数の可動火格子で構成されてもよい。前記連結ロッドは、左右方向に隣接して並ぶ前記複数の可動火格子のそれぞれと連結されてもよい。
【0010】
前記燃焼装置は、複数の固定火格子をさらに含んでもよい。このとき、前記可動火格子及び前記固定火格子は、左右方向において交互に配置されてもよい。
【0011】
前記駆動部は、前記アクチュエータに連結されたリンク機構を含んでもよい。
【0012】
前記アクチュエータは、伸縮自在の動力シリンダであってもよい。前記動力シリンダは、前記リンク機構との連結部が上下方向に揺動可能となるように、回動可能に支持されていてもよい。
【0013】
前記駆動部は、前後方向に並ぶ前記複数の可動火格子を一括して揺動させてもよい。
【0014】
本発明の一実施形態における焼却炉は、燃焼室と、前記燃焼室に配置された上述した燃焼装置のいずれかと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるストーカ式の焼却炉の構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態における燃焼装置の構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態における燃焼装置を側面から見た構成を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態における燃焼装置を正面から見た内部構成を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態における燃焼装置の一部を上面から見た構成を示す模式図である。
図6】本発明の一実施形態における燃焼装置の動作を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態における燃焼装置を側面から見た構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の大きさ、幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0017】
(第1実施形態)
[焼却炉の構成]
図1は、本発明の一実施形態におけるストーカ式の焼却炉10の構成を示す模式図である。焼却炉10は、搬入された都市ごみ等の廃棄物を焼却する設備であり、廃棄物を焼却処理により灰化して減容化及び無害化する。
【0018】
本実施形態の焼却炉10は、投入ホッパ11、燃焼室12、再燃焼室13、燃焼装置100、落下灰コンベヤ14、及び、灰搬出装置15を含む。ただし、図1に示す焼却炉10の構成は、焼却炉10の一部の構成に関する一例に過ぎない。図示は省略するが、焼却炉10は、廃棄物を投入するためのごみクレーン、燃焼装置100に送る燃焼用空気を生成する熱交換器、燃焼室12及び再燃焼室13に空気を送るための送風機など、他の要素を備えていてもよい。
【0019】
投入ホッパ11は、燃焼室12に廃棄物を投入する投入口として機能する。図示は省略するが、投入ホッパ11の内部には、投入ホッパ11の蓋として機能するホッパゲートが設けられている。一般的に、外部から搬送された都市ごみ等の廃棄物は、燃焼室12に併設されたごみピット(図示せず)に貯留される。その後、廃棄物は、ごみクレーンによりごみピットから搬送され、投入ホッパ11を介して燃焼室12へと投入される。
【0020】
燃焼室12は、投入された廃棄物を燃焼させるための空間であり、燃焼装置100が配置される。燃焼室12では、燃焼装置100の上で廃棄物の乾燥処理、燃焼処理及び後燃焼処置が行われる。燃焼処理では、空気と混合しながら効率よく廃棄物を燃焼させる。廃棄物の燃焼によって発生した一次燃焼ガスは、燃焼室12の上方に配置された再燃焼室13に供給される。
【0021】
燃焼装置100は、複数の火格子(ストーカ)を並べて配置した構造を有し、ごみを搬送しながら効率的に燃焼させる装置である。複数の火格子は、可動式の火格子(可動火格子)と固定された火格子(固定火格子)とを含み、可動火格子が前後方向に揺動することにより、火格子上のごみを下流側へと搬送する。
【0022】
燃焼装置100は、目的に応じて複数の段に区分されてもよく、例えば、乾燥段、燃焼段、後燃焼段等に区分されてもよい。図1に示すように、燃焼装置100の下部には、図示しない送風機等から燃焼用空気が送り込まれている。燃焼装置100の具体的な構成については後述する。
【0023】
再燃焼室13は、燃焼室12で発生した一次燃焼ガスを再燃焼させるための空間である。再燃焼室13の内部では、供給された一次燃焼ガスが約950℃の温度で2秒間以上滞留する。そのため、再燃焼室13では、一次燃焼ガスに含まれる未燃ガスが完全燃焼する。本実施形態において、再燃焼室13で完全燃焼して生成された二次燃焼ガスは、煙道13aを経由して図示しない熱交換器へ供給される。焼却炉10から排出された排ガスは、最終的に減温、無害化された後、大気へ放出される。
【0024】
落下灰コンベヤ14は、燃焼装置100から落下した焼却灰等を搬送する設備である。図示は省略するが、本実施形態では、落下灰コンベヤ14で搬送された焼却灰等が、送風機からの空気と一緒に再び燃焼室12に送り込まれる。
【0025】
灰搬出装置15は、燃焼室12で燃焼された焼却灰を灰ピット(図示せず)に搬送する設備である。灰ピットに貯留された焼却灰は、灰クレーン(図示せず)等を用いて外部に搬出される。
【0026】
[燃焼装置の構成]
図2は、本発明の一実施形態における燃焼装置100の構成を示す図である。具体的には、図2(A)は、燃焼装置100の外観を示す斜視図であり、図2(B)は、図2(A)に示した部分100aの拡大図である。図2(A)に示すように、燃焼装置100は、廃棄物が移動する経路における上流側(後方)が高く、下流側(前方)が低くなるように設計されている。なお、説明の便宜上、燃焼装置100を構成する一部の要素(例えば、後述する駆動部130など)の図示を省略している。
【0027】
図2(A)に示すように、燃焼装置100は、装置本体110に対して複数の火格子120を配列した構造を有する。装置本体110は、サイドフレーム111、上流側の支持フレーム112及び下流側の支持フレーム113を含む。複数の火格子120は、互いに向かい合う2枚のサイドフレーム111の間に配置される。
【0028】
複数の火格子120は、可動火格子121及び固定火格子122を含む。可動火格子121及び固定火格子122は、上流側から下流側にかけて階段状に配列され、前後方向(D1方向)に隣接する火格子は、互いに一部重畳している。また、可動火格子121及び固定火格子122は、左右方向(D2方向)において交互に配置される。すなわち、燃焼装置100は、複数の可動火格子121で構成される可動列と、複数の固定火格子122で構成される固定列とが左右方向に交互に配置された構成を有する。ただし、燃焼装置100の構成は、この例に限られるものではなく、上流側から下流側にかけて各火格子120が略同一面上に配置され、廃棄物が水平搬送される構造であってもよい。
【0029】
図2(B)に示すように、本実施形態では、左右方向に並ぶ複数の火格子を1つのユニットとして可動火格子121及び固定火格子122を構成している。具体的には、可動火格子121は、3つの可動火格子121a~121cを左右方向に並べることにより構成されている。図示は省略するが、固定火格子122も同様に、左右方向に並ぶ複数の固定火格子を1つのユニットとしている。本実施形態のように複数の火格子をユニットとして用いた場合、各火格子の隙間から燃焼用空気が供給されるため、より効率的に廃棄物を燃焼させることができるというメリットがある。なお、本実施形態では、3つの可動火格子121a~121cを1つのユニットとする例を示したが、ユニットを構成する火格子の数に制限はない。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態における燃焼装置100を側面から見た構成を示す模式図である。図4は、本発明の一実施形態における燃焼装置100を正面から見た内部構成を示す模式図である。
【0031】
図3及び図4に示すように、燃焼装置100は、可動火格子121を駆動するための駆動部130及び駆動部130を作動させるアクチュエータ140を含む。駆動部130は、可動火格子121に連結されており、アクチュエータ140を用いて駆動部130を作動させることにより、可動火格子121を揺動させることができる。具体的には、駆動部130は、可動火格子121を前後方向に揺動させると共に可動火格子121の前端を上下方向に揺動させる機能を有する。
【0032】
本実施形態の燃焼装置100において、駆動部130は、アクチュエータ140に連結されたリンク機構131、リンクロッド132、サイドプレート133、支持ロッド134、及び連結ロッド135を含む。
【0033】
図3に示すように、リンク機構131は、回転軸31aを中心として回動する第1リンクアーム131a、第1リンクアーム131aの一端に回動可能に連結された第2リンクアーム131b、及び第2リンクアーム131bの一端に回動可能に連結された第3リンクアーム131cを含む。第1リンクアーム131aの他端は、アクチュエータ140に連結される。第3リンクアーム131cの一端は、リンクロッド132に連結される。
【0034】
図4に示すように、リンクロッド132は、サイドプレート133と係合する。詳細は後述するが、リンクロッド132は、サイドフレーム111に設けられた貫通孔111a(図3参照)に挿入され、さらにサイドプレート133に設けられた第1開口部133a(図6参照)に挿入されている。また、サイドプレート133は、サイドフレーム111に固定された台座114と、台座114から上方に向かって固定された一対のホールドプレート115とで構成されるレール部116によって支持される。したがって、サイドプレート133は、リンクロッド132の動き(厳密には、第3リンクアーム131cの動き)に従い、レール部116に沿って前後方向に移動可能である。
【0035】
なお、図3に示すように、サイドフレーム111に設けられた貫通孔111aは、湾曲した形状の長孔であることが好ましい。貫通孔111aは、第3リンクアーム131c及びリンクロッド132の動きを定義する。すなわち、リンク機構131が作動すると、第3リンクアーム131cは、貫通孔111aに沿って時計回りの回転運動を行う。
【0036】
また、図4に示すように、サイドプレート133には、さらに支持ロッド134が係合する。詳細は後述するが、支持ロッド134は、サイドプレート133に設けられた第2開口部133b(図6参照)に挿入されている。そのため、サイドプレート133が前後方向に移動すると、支持ロッド134も前後方向に移動する。
【0037】
支持ロッド134は、複数の火格子(可動火格子121及び固定火格子122)の下方において左右方向(D2方向)に延在して配置される。各可動火格子121a~121cの下方では、各可動火格子121a~121cに対応して複数の連結ロッド135が支持ロッド134に対して固定されている。
【0038】
各連結ロッド135は、上下方向(D3方向)に延在し、それぞれ可動火格子121a~121cに対して回動可能に連結されている。図4に示すように、可動火格子121aは、左右方向に固定された回動軸21aを有し、軸受21bを介して連結ロッド135に連結される。他の可動火格子121b及び121cについても同様の構造であるため、ここでは説明を省略する。サイドプレート133の移動に伴い、支持ロッド134と共に、連結ロッド135及び可動火格子121a~121cのそれぞれも前後方向に移動する。
【0039】
なお、本実施形態では、左右の両側に配置されたサイドフレーム111のそれぞれに対応して駆動部130を設け、支持ロッド134を左右に配置された2枚のサイドプレート133の間に架け渡した構成を採用している。しかし、本実施形態の燃焼装置100は、図4に示した構成に限られるものではなく、駆動部130を左右のいずれか一方のみに配置した構成であってもよい。ただし、その場合においても、支持ロッド134は、両端を支持する構成とすることが望ましい。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態における燃焼装置100の一部を上面から見た構成を示す模式図である。具体的には、図5は、可動火格子121a~121cで構成されるユニットを上方から見た図に対応している。図5に示すように、可動火格子121a~121cは、前後方向に延在する一対の支持プレート151の間に架け渡された複数の支持バー152の上に載置されている。
【0041】
支持プレート151は、装置本体110に対して固定されている。具体的には、支持プレート151は、サイドフレーム111、支持フレーム112、及び支持フレーム113のいずれかに固定されていてもよいし、他の方法で装置本体110に対して固定されていてもよい。
【0042】
複数の支持バー152は、所定の間隔を空けて配置される。本実施形態では、支持バー152として断面が円形の棒状部材を用いるが、この例に限られるものではなく、断面は多角形状や半円状であってもよい。後述するように、可動火格子121a~121cは、前後方向に揺動するが、このときの可動火格子121a~121cの移動距離は、各支持バー152の間隔以下となるように設定される。
【0043】
図3に戻って説明を続ける。本実施形態において、アクチュエータ140は、伸縮自在の動力シリンダである。動力シリンダとしては、電動シリンダ、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、水圧シリンダ等を用いることができる。図3に示すように、アクチュエータ140は、作用部141(リンク機構131との連結部)が上下方向(D3方向)に揺動可能となるように軸支されている。
【0044】
本実施形態の場合、アクチュエータ140として動力シリンダを用いているため、動力シリンダのピストンロッドが作用部141として機能する。アクチュエータ140は、左右方向(D2方向)に延在する回動軸142を回動中心として、回動可能に支持されている。したがって、アクチュエータ140が伸縮動作を行い、第1リンクアーム131aが回転運動を行うと、第1リンクアーム131aの回転軌跡に沿ってアクチュエータ140の作用部141が上下方向に揺動する。このような構成とすることにより、アクチュエータ140に連結された第1リンクアーム131aをスムーズに回動させることができる。
【0045】
[燃焼装置の動作]
図6は、本発明の一実施形態における燃焼装置100の動作を説明するための図である。本実施形態の燃焼装置100は、可動火格子121が、前後方向に揺動するだけでなく、前端を上方に持ち上げて傾斜するという特長的な動作を実現する。以下に、駆動部130及び可動火格子121の具体的な動作について説明する。
【0046】
図6(A)に示す状態は、初期状態、すなわち、可動火格子121が最も前方(下流側)の位置にあるとき(最も前方に押し出されたとき)の状態を示している。サイドプレート133は、第1開口部133a及び第2開口部133bを有する。第1開口部133aには、リンクロッド132(図4参照)が係合され、第2開口部133bには、支持ロッド134が係合されている。
【0047】
本実施形態では、第1開口部133aとして、上下に長手方向を有する矩形状の開口部を例示しているが、この例に限らず、図6(A)の右方(燃焼装置100の上流側)に向かって突出するような円弧状の開口部としてもよい。また、第2開口部133bは、支持ロッド134の上下方向への動きを妨げない形状であればよく、図6(A)に示すような多角形状であってもよい。後述するように、サイドプレート133は前端を持ち上げるように傾斜する。その際、第2開口部133bの内壁が支持ロッド134の動きを妨げないように、第2開口部133bの外形は、平行四辺形であることが好ましい。
【0048】
図6(A)に示す状態では、リンクロッド132は、第1開口部133aの上端近傍に位置する。また、支持ロッド134は、第2開口部133bの下端近傍に位置する。また、リンク機構131は、図3に示した状態となっている。すなわち、アクチュエータ140は、最も縮小した状態となっており、第3リンクアーム131cとリンクロッド132との連結部は、貫通孔111aの上端近傍に位置する。
【0049】
アクチュエータ140が伸長動作を開始すると、図6(B)に示す状態に遷移する。図6(B)に示す状態は、可動火格子121が最も後方(上流側)の位置にあるとき(最も後方に押し出されたとき)の状態を示している。図6(A)に示す状態から図6(B)に示す状態に至る過程では、第3リンクアーム131cが時計回りに回動することにより、第1開口部133aに挿入されたリンクロッド132が第1開口部133aの後方側の内壁を押しながら下方に向かって移動する。なお、図6(B)において点線で示した円132aは、図6(A)に示す状態におけるリンクロッド132の位置を示している。
【0050】
サイドプレート133は、第3リンクアーム131cの回動(すなわち、リンクロッド132の回動)に伴い、後方へと移動する。このサイドプレート133の移動に伴い、第2開口部133bの前方側の内壁に押されて支持ロッド134も後方に移動する。したがって、連結ロッド135を介して支持ロッド134に連結された可動火格子121も後方に移動する。
【0051】
ここで、図6(B)に示す状態へ遷移する際のリンク機構131の動作について図3を用いて説明する。アクチュエータ140が伸長動作を開始すると、第1リンクアーム131aが反時計回りに回動する。これにより、第2リンクアーム131bが左斜め上方に押し出され、第2リンクアーム131bの動きに連動して第3リンクアーム131cが前方(下流側)に移動しながら時計回りに回動する。このとき、第3リンクアーム131cの一端(リンクロッド132との連結部)は、サイドフレーム111に設けられた貫通孔111aに沿って下方に移動する。
【0052】
図6(B)に示す状態では、可動火格子121が最も後方の位置にあり、サイドプレート133も最も後方の位置にある。このとき、サイドプレート133の後端部(後方側の端部)、具体的には、サイドプレート133における第1開口部133aが設けられた部分は、台座114及びホールドプレート115から外れた位置に突出する。換言すれば、図6(B)に示す状態では、サイドプレート133の後端部が台座114及びホールドプレート115から後方に向かって飛び出した位置にあり、平面視において、第1開口部133aは、台座114と重畳しない。
【0053】
図6(B)に示す状態から、さらにアクチュエータ140の伸張動作が続けられると、図6(C)に示す状態に遷移する。図6(C)に示す状態は、可動火格子121の後端部が下方に押し下げられ、前端部(前方側の端部)が上方に持ち上げられた状態である。このとき、可動火格子121は、台座114の後方側における角部を回動支点として時計回りに回動する。
【0054】
図6(B)に示す状態から図6(C)に示す状態への過程では、アクチュエータ140の伸張動作に伴う第3リンクアーム131cの回動によって、リンクロッド132が下方に移動する。リンクロッド132は、第1開口部133aの下端に当接したままサイドプレート133の後端部を押し下げる。このとき、サイドプレート133の前端部が上方に持ち上がるため、第2開口部133bの下端に当接した支持ロッド134が上方に持ち上げられる。その結果、支持ロッド134に連結した連結ロッド135も上方に持ち上がり、可動火格子121の前端が上方に移動する。なお、連結ロッド135と可動火格子121とは回動可能に連結されているため、可動火格子121は前端を持ち上げた状態で傾斜する。
【0055】
図6(C)に示す状態からアクチュエータ140の縮小動作を開始すると、ここまで説明した動作と逆の動作によって図6(A)に示す状態に戻る。
【0056】
以上のように、本実施形態の燃焼装置100は、駆動部130の動作によって、可動火格子121を前後方向に揺動させると共に可動火格子121の前端を上下方向に揺動させることができる。本実施形態では、可動火格子121の前端を上方に持ち上げることにより、可動火格子121の前端に設けられた空気口付近に付着した低融点溶融物を物理的に剥がすことが可能である。すなわち、本実施形態によれば、運転中に可動火格子121の空気口の閉塞を防止するセルフクリーニング機構を備えた燃焼装置100を提供することができる。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態では、説明を簡単にするため、前後方向における可動火格子121の長さとサイドプレート133の長さとがほぼ同じ例を示した。しかしながら、部品点数を抑えるためには、1枚のサイドプレート133を用いて、前後方向に複数並ぶ火格子群を一括して駆動させることが好ましい。このような例について図7を用いて説明する。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態における燃焼装置100-1を側面から見た構成を示す模式図である。なお、図3と共通の要素については、同じ符号を用いて説明を省略する場合がある。
【0059】
図7に示す例では、1つのサイドプレート233に対して前後方向に並ぶ3つの可動火格子221a~221cが係合されている。具体的には、サイドプレート233は、第1開口部233aと、第2開口部33ba、33bb及び33bcを有する。第1開口部233aは、図6に示した例と同様に、サイドプレート233の後端部に配置された矩形状の開口部である。第1開口部233aには、第3リンクアーム131cに連結されたリンクロッド132が挿入されている。
【0060】
第2開口部33ba、33bb及び33bcは、それぞれ可動火格子221a~221cに対応する位置に設けられている。各第2開口部33ba、33bb及び33bcには、各可動火格子221a~221cに連結ロッド135を介して連結された支持ロッド134が挿入されている。ただし、図7に示す例では、各第2開口部33ba、33bb及び33bcのそれぞれの高さH1~H3が異なる。具体的には、高さH1~H3は、サイドプレート233の前方に位置するほど高くなる。
【0061】
図7に示す例において、可動火格子221a~221cの具体的な動作については、図6(A)~図6(C)を用いて説明した動作と同様である。図6に示す例と異なる点は、サイドプレート233が最も後方の位置で傾斜した際に、3つの可動火格子221a~221cの前端を一括して持ち上げる点である。このとき、各可動火格子221a~221cに対応する各第2開口部33ba、33bb及び33bcは、サイドプレート233の回動支点(つまり、台座114の後方側の角部)からの距離の違いを吸収できるように、それぞれ高さH1~H3が異なっている。
【0062】
図7に示すように、第2開口部33baの下端から当該第2開口部33baに係合する支持ロッド134までの距離が最も長く、第2開口部33bcの下端から当該第2開口部33bcに係合する支持ロッド134までの距離が最も短い。つまり、サイドプレート233の最も前方に位置する可動火格子221aは、サイドプレート233の最も後方に位置する可動火格子221cよりも上方に持ち上がるタイミングが遅れる。したがって、各第2開口部33ba、33bb及び33bcそれぞれの高さH1~H3と、各可動火格子221a~221cに連結される支持ロッド134の位置とを調整することにより、各可動火格子221a~221cにおける前端の持ち上がり量を揃えることが可能である。
【0063】
以上のとおり、図7に示す例によれば、1枚のサイドプレート233によって前後方向に連続する3つの可動火格子221a~221cを一括して揺動させることが可能であり、さらに、各可動火格子221a~221cの前端を持ち上げた際における持ち上がり量を略同一にすることができる。
【0064】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。上述した各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0065】
また、上述した実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0066】
10…焼却炉、11…投入ホッパ、12…燃焼室、13…再燃焼室、13a…煙道、14…落下灰コンベヤ、15…灰搬出装置、21a…回動軸、21b…軸受、31a…回転軸、33ba、33bb、33bc…第2開口部、100、100-1…燃焼装置、110…装置本体、111…サイドフレーム、111a…貫通孔、112、113…支持フレーム、114…台座、115…ホールドプレート、116…レール部、120…火格子、121、121a~121c…可動火格子、122…固定火格子、130…駆動部、131…リンク機構、131a…第1リンクアーム、131b…第2リンクアーム、131c…第3リンクアーム、132…リンクロッド、133…サイドプレート、133a…第1開口部、133b…第2開口部、134…支持ロッド、135…連結ロッド、140…アクチュエータ、141…作用部、142…回動軸、151…支持プレート、152…支持バー、221a~221c…可動火格子、233…サイドプレート、233a…第1開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7