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特開2023-135746情報処理システム、プリンタ、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135746
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、プリンタ、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230922BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20230922BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20230922BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
B41J5/30 B
H04N1/21
H04N1/00 127Z
G06F3/12 303
G06F3/12 342
G06F3/12 353
G06F3/12 357
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040986
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】吉田 富士夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 有香
【テーマコード(参考)】
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C187AC05
2C187AE01
2C187BF23
2C187BG32
2C187BG34
2C187BG40
2C187CD12
2C187CD18
2C187DB23
2C187FB14
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC24
5C062AC38
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プリンタにおいて作成したデータのバックアップを確実に行う。
【解決手段】サーバと、コンピュータ装置と、プリンタを含む情報処理システムにおいて、プリンタは、レイアウトデータと、印字を行う際に参照される参照データと、を記憶するストレージ32と、ユーザの操作入力に基づいて参照データを編集し、編集後の参照データである編集済みデータを記憶部に記録するか又は更新するデータ編集部と、ストレージにある編集済みデータをコンピュータ装置に定期的にバックアップする自動バックアップ処理部と、記憶部にある編集済みデータを外部の記憶装置に、ユーザによる操作を契機としてバックアップする手動バックアップ処理部と、を備える。サーバは、プリンタの最新の編集による編集済みデータと前回の編集による編集済みデータとの差分がある場合に、バックアップ対象の編集済みデータを記憶部に記録するデータ記録部を備える。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムであって、
前記プリンタは、
印字を行う際のレイアウトを示すレイアウトデータと、前記レイアウトデータに対応付けられ、印字を行う際に参照される参照データと、を記憶する記憶部と、
ユーザの操作入力に基づいて前記参照データを編集し、編集後の参照データである編集済みデータを前記記憶部に記録し、又は前記記憶部にある編集済みデータを随時更新するデータ編集部と、
前記記憶部にある編集済みデータを前記情報処理装置に、定期的に、又は前記プリンタの起動時にバックアップする第1バックアップ処理部と、
前記記憶部にある編集済みデータを外部の記憶装置に、ユーザによる操作を契機としてバックアップする第2バックアップ処理部と、を備えた、
前記情報処理装置は、
前記プリンタの最新の編集による編集済みデータと前回の編集による編集済みデータとの差分がある場合に、バックアップ対象の編集済みデータを記憶部に記録するデータ記録部を備えた、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プリンタは、前記情報処理装置がバックアップする編集済みデータの数の最大値を、ユーザの操作入力に基づいて設定する設定部を備え、
前記情報処理装置は、前記設定部によって設定された前記最大値に基づいて、前記記憶部に過去に記録された編集済みデータを削除するデータ削除部を備えた、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記第2バックアップ処理部は、前記編集済みデータのバックアップを行う際に前記ユーザによるテキストの入力を受け付け、入力されたテキストをバックアップ対象の編集済みデータと関連付ける、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記プリンタは、前記記憶装置にバックアップされた編集済みデータに基づいてリストアを行うリストア処理部を備え、
前記リストア処理部は、リストアを行う際に、前記記憶装置にバックアップされた編集済みデータを、関連付けられたテキストとともに表示する、
請求項3に記載された情報処理システム。
【請求項5】
情報処理装置と通信可能なプリンタであって、
前記プリンタによって印字を行う際のレイアウトを示すレイアウトデータと、前記レイアウトデータに対応付けられ、印字を行う際に参照される参照データと、を記憶する記憶部と、
ユーザの操作入力に基づいて前記参照データを編集し、編集後の参照データである編集済みデータを前記記憶部に記録し、又は前記記憶部にある編集済みデータを随時更新するデータ編集部と、
前記記憶部にある編集済みデータを前記情報処理装置に、定期的に、又は前記プリンタの起動時にバックアップする第1バックアップ処理部と、
前記記憶部にある編集済みデータを外部の記憶装置に、ユーザによる操作を契機としてバックアップする第2バックアップ処理部と、
を備えたプリンタ。
【請求項6】
情報処理装置と通信可能なプリンタにおいて実行されるプログラムであって、
前記プリンタは、
前記プリンタによって印字を行う際のレイアウトを示すレイアウトデータと、前記レイアウトデータに対応付けられ、印字を行う際に参照される参照データと、を記憶する記憶部を備え、
前記プログラムは、コンピュータを、
ユーザの操作入力に基づいて前記参照データを編集し、編集後の参照データである編集済みデータを前記記憶部に記録し、又は前記記憶部にある編集済みデータを随時更新するデータ編集部、
前記記憶部にある編集済みデータを前記情報処理装置に、定期的に、又は前記プリンタの起動時にバックアップする第1バックアップ処理部、及び、
前記記憶部にある編集済みデータを外部の記憶装置に、ユーザによる操作を契機としてバックアップする第2バックアップ処理部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プリンタ、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のチェーン店において商品に貼付するラベル等に印字される内容に齟齬がないように、複数のプリンタで印字する内容をサーバによって一元的に管理することが行われている。そのように一元的に管理される印字用のデータは、定期的、あるいは不定期に更新される。
例えば特許文献1には、管理サーバが、接続された代表プリンタから、この代表プリンタに記憶されている登録画像データを取得し、取得した登録画像データに基づいて、代表プリンタ以外の他のプリンタに記憶された登録画像データを更新することにより、代表プリンタが記憶する登録画像データと、他のプリンタが記憶する登録画像データとの同一性を維持することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-210727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数のチェーン店の印字の内容をサーバによって一元的に管理する場合であっても、店舗によっては店舗独自の商品があり、そのような独自商品に貼付するラベルを印字するためのデータを店舗の担当者が作成してプリンタに保存する場合がある。しかし、店舗が独自に作成したデータを保存したプリンタが故障した場合、独自商品のために作成したデータが失われてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタにおいて作成したデータのバックアップを確実に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、情報処理装置と、前記情報処理装置と通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムである。
前記プリンタは、
印字を行う際のレイアウトを示すレイアウトデータと、前記レイアウトデータに対応付けられ、印字を行う際に参照される参照データと、を記憶する記憶部と、
ユーザの操作入力に基づいて前記参照データを編集し、編集後の参照データである編集済みデータを前記記憶部に記録し、又は前記記憶部にある編集済みデータを随時更新するデータ編集部と、
前記記憶部にある編集済みデータを前記情報処理装置に定期的にバックアップする第1バックアップ処理部と、
前記記憶部にある編集済みデータを外部の記憶装置に、ユーザによる操作を契機としてバックアップする第2バックアップ処理部と、を備える。
前記情報処理装置は、
前記プリンタの最新の編集による編集済みデータと前回の編集による編集済みデータとの差分がある場合に、バックアップ対象の編集済みデータを記憶部に記録するデータ記録部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタにおいて作成したデータのバックアップを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る情報処理システムのシステム構成図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置のプロジェクトファイル作成画面の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置において呼出しテーブル定義を表示する手順を示す図である。
図4】実施形態に係る情報処理装置において呼出しテーブルを表示する手順を示す図である。
図5】実施形態に係る情報処理装置において漢字テーブルと店名テーブルを表示する手順を示す図である。
図6】実施形態に係る情報処理装置においてサーバにプロジェクトファイルをアップロードする手順を示す図である。
図7】実施形態に係るプリンタの操作手順を示す図である。
図8】実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成を示す図である。
図9】実施形態に係る情報処理システムの機能ブロック図である。
図10】実施形態に係る情報処理システムにおいて、プリンタによってラベルを発行するときのシーケンスチャートの一例である。
図11】実施形態に係るプリンタにおいて呼出しテーブルを編集するときの手順を示す図である。
図12】実施形態に係るプリンタにおいてストレージのディレクトリの構成例を示す図である。
図13】実施形態に係る情報処理装置のプロジェクトファイル作成画面において各テーブルが選択されたときのオブジェクトプロパティ設定部の表示例を示す図である。
図14】実施形態に係るプリンタがテーブルを参照するときの処理を示すフローチャートである。
図15】実施形態に係るプリンタにおいて自動バックアップの設定を行う手順を示す図である。
図16】実施形態に係るサーバにおいてストレージのディレクトリの構成例を示す図である。
図17】実施形態に係る情報処理システムにおいて編集済みテーブルの自動バックアップ処理を行うときのシーケンスチャートである。
図18】実施形態に係るプリンタにおいて手動バックアップの設定を行う手順を示す図である。
図19】実施形態に係るプリンタにおいてデータのリストアを行う手順を示す図である。
図20】実施形態に係るサーバにおいてストレージのディレクトリの別の構成例を示す図である。
図21】実施形態に係る情報処理システムにおいて編集済みテーブルの差分データの自動バックアップ処理を行うときのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示における「記憶装置」は、プリンタに内蔵されるメモリあるいはストレージであってもよいし、プリンタの外部の装置(例えば、HDD(Hard Disk Drive)あるいはUSB(Universal Serial Bus)ストレージ等の外部の記憶装置やデータベースサーバ)であってもよい。
本開示における「参照データ」とは、印字を行う際に参照されるデータであれば如何なるデータでもよい。例えば、印字を行う際に参照されるレイアウトデータ及びテキストを参照するデータ、印字対象の文字データを呼び出す際に参照されるデータ、印字される際に使用されるレイアウトデータの配信先を示すデータが挙げられる。また、印字を行う際に参照される設定情報等も参照データとなり得る。
【0010】
(1)システム概要
以下、本発明の情報処理システムの一実施形態である情報処理システム1について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1のシステム構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の情報処理システム1では、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークNWを介して、コンピュータ装置2と複数のプリンタ3-A,3-B,3-C,3-D,3-E,…が、サーバ5に接続されている。
本実施形態の例では、情報処理システム1は、複数の店舗を運営する販売業者によって運用され、各店舗で販売する商品にラベルを発行するためのシステムである。なお、本実施形態では、ラベルが発行される場所が店舗である場合を例として説明するが、実際には工場等でラベルが発行される場合もある。
【0012】
販売業者の本部にはコンピュータ装置2が配置される。コンピュータ装置2(以下、適宜「PC2」という。)は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末等のコンピュータ装置である。各店舗には、少なくとも1台のプリンタが配置される。例えば、プリンタ3-A,3-B,3-C,3-D,3-EがそれぞれA店、B店、C店、D店、E店に配置されるといった具合である。なお、以下の説明では、複数のプリンタに対して共通した事項について言及するときには、「プリンタ3」と表記する。
本部では、PC2を使用してラベルの基本的なレイアウトデザインを設計する。各店舗では、本部から提供されるラベルのレイアウトデザインを基に、商品に貼付するラベルを発行する。
【0013】
PC2には、ラベルのレイアウトデザインについてのデータのほか、ラベルに含まれる各項目のデータ、各種設定、店舗の情報等を包含するプロジェクトファイルを作成するラベル作成アプリケーションプログラム(以下、適宜「ラベル作成アプリケーション」という。)がインストールされている。ラベル作成アプリケーションを実行することで作成されたプロジェクトファイルは、フォーマットファイルとして、PC2からプリンタ3にサーバ5を介して配信される。つまり、ユーザの所定の操作に応じてコンピュータ装置2からサーバ5に対してプロジェクトファイルがフォーマットファイルとしてアップロードされ、所定のタイミングでサーバ5からプリンタ3にダウンロードされる。
【0014】
プリンタ3には、フォーマットファイルを基にラベルを発行するラベル発行アプリケーションプログラム(以下、適宜「ラベル発行アプリケーション」という。)がインストールされている。ラベル発行アプリケーションを実行することで、ラベルのレイアウトデザイン、ラベルに含まれる各項目のデータ等を特定する発行データを選択し、あるいは必要に応じて選択した発行データを編集し、発行データを基にラベルを発行することができる。店舗の従業員は、プリンタ3によって発行されたラベルを店舗内の商品に貼付する。
プロジェクトファイルおよび発行データについては後述する。
【0015】
(2)ラベル発行までの流れ
次に、図2図7を参照して、PC2によってプロジェクトファイルが作成され、プリンタ3によってラベルが発行されるまでの一連の流れについて説明する。
図2は、PC2のプロジェクトファイル作成画面の一例を示す図である。図3は、PC2において呼出しテーブル定義を表示する手順を示す図である。図4は、PC2において呼出しテーブルを表示する手順を示す図である。図5は、PC2において漢字テーブルと店名テーブルを表示する手順を示す図である。図6は、PC2においてサーバにフォーマットファイルをアップロードする手順を示す図である。図7は、プリンタ3においてラベルを発行するときの操作手順を示す図である。
【0016】
(2-1)プロジェクトファイルの作成
図2は、ラベル作成アプリケーションを起動したときにPC2に表示されるPC画面G1(プロジェクトファイル作成画面)の一例である。プロジェクトファイル作成画面においてユーザは、ラベルの印字有効範囲に配置すべきオブジェクトを設定することで、プリンタ3によって発行されるラベルをデザインすることができる。
【0017】
ラベル作成アプリケーションでは、プロジェクトファイルによってデータが管理される。プロジェクトファイルは、ラベル作成アプリケーションによって作成されたデータの管理単位を示すファイルであり、フォーマットファイルとして各プリンタ3にサーバ5を介して配信される。
【0018】
図2に示すように、PC画面G1は、指示ボタン群101、オブジェクトボタン群102、デザインウィンドウ103、プロジェクト設定部104、および、オブジェクトプロパティ設定部105を含む。
プロジェクト設定部104には、プロジェクトファイルに含まれるデータが階層構造で表示される。この階層構造で示すように、プロジェクトファイルは、呼出しテーブル、レイアウトデータ、漢字テーブル、及び、店名テーブルを含む。図示しないが、プロジェクトファイルはさらに、各テーブル情報ファイルを含む。テーブル情報ファイルは、テーブルごとの各種設定に関する情報を含むファイルである。
【0019】
呼出しテーブルは、プリンタ3のラベル発行アプリケーションにおいてラベルを印字するためのデータである。呼出しテーブルは、プリンタ3によって印字を行う際に参照されるレイアウトデータ及びテキストを参照するための参照データの一例である。
レイアウトデータは、呼出しテーブルと組み合わせてプリンタ3でラベルを発行するためのデザインデータであり、例えば編集の際にPC画面G1のデザインウィンドウ103に表示される。
漢字テーブルは、入力された数値を登録された文字データに変換するためのテーブルである。漢字テーブルにおいて登録番号と対応付けて文字データを登録可能である。例えば後述する文字列オブジェクトに文字を入力する際に漢字テーブルを参照するように設定することで、文字データを入力するのに代えて登録番号を指定することが可能である。漢字テーブルは、レイアウトデータに基づいて印字を行う際にテキストを呼び出すための参照データの一例である。
店名テーブルには、フォーマットファイルの配信先の店舗に配置されているプリンタのプリンタID(プリンタ識別情報)に対応する情報が登録されている。店名テーブルは、レイアウトデータに基づいて印字を行うプリンタ3のプリンタIDを含む参照データの一例である。
【0020】
なお、図2では、漢字テーブルと店名テーブルがそれぞれ1つずつ設定されている場合について示しているが、その限りではない。漢字テーブルと店名テーブルはそれぞれ複数設定することができる。例えば、漢字テーブル1,漢字テーブル2,漢字テーブル3,…、店名テーブル1,店名テーブル2,店名テーブル3,…といった具合に設定可能である。
【0021】
デザインウィンドウ103は、ラベルの作成・編集エリアに相当し、この作成・編集エリア内にオブジェクトを配置・移動する操作を行うことで、ラベルがデザインされる。つまり、デザインウィンドウ103は、ラベルのレイアウトデザインを行うウィンドウである。本実施形態の例では、「品名」項目に対応するオブジェクトOBJ1、「名称」項目に対応するオブジェクトOBJ2、「内容量」項目に対応するオブジェクトOBJ3、および、「消費期限」項目に対応する日時オブジェクトであるオブジェクトOBJ4の4つのオブジェクトを含むラベルがデザインされる場合が例示される。
ボタンb2(「入力画面」)を操作すると、デザインウィンドウ103に代えて、各オブジェクトに含まれる文字列又はコードを入力するウィンドウ(図示せず)が表示される。当該ウィンドウが表示された状態でボタンb1(「レイアウト」)を操作すると、デザインウィンドウ103に戻る。
【0022】
オブジェクトボタン群102は、デザインウィンドウ103上のオブジェクトを選択して移動させる操作、あるいは、オブジェクトを新たに設定する操作を行う部分である。オブジェクトボタン群102では、オブジェクトとして文字列オブジェクト、価格オブジェクト、バーコードオブジェクト、日時オブジェクト、グラフィックオブジェクト等が選択可能である。オブジェクトの各種設定は、オブジェクトプロパティ設定部105において行うことが可能である。
図2に示す例では、選択されているオブジェクトOBJ1に対する各種設定をオブジェクトプロパティ設定部105において行うことができる。例えば、オブジェクトプロパティ設定部105の項目名(この例では「品名」)によって、デザインウィンドウ103内のレイアウトデザイン内で使用される項目が設定される。入力方法として「固定」又は「発行時」が選択可能である。入力方法として「固定」が選択された場合には、「データ」の欄にセットされた値(この例では、「チキンカツサンド」)が印字される設定であることを示し、入力方法として「発行時」が選択された場合には、「データ」の欄にセットされた初期値がプリンタ3のラベル発行アプリケーションにおいて変更可能であることを示す。
【0023】
指示ボタン群101内のボタン操作を行うことで、プロジェクトファイルのストレージからの読み出すこと、プロジェクトファイルをストレージに保存すること、あるいは、プロジェクトファイルをフォーマットファイルとしてサーバ5にアップロードすること等が可能である。
【0024】
次に、図3図5を参照して、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルについて説明する。
ラベルに印字するためのデータを呼出しテーブルに登録するには、予めデータを定義する必要がある。そのデータ定義を行うためには、図3に示すように、プロジェクト設定部104の「呼出しテーブル」を操作する(例えば、右クリックして「定義」を選択操作する)ことで呼出しテーブル定義のウィンドウW1を表示させる。ウィンドウW1の呼出しテーブル定義データTL1には、「品名」、「名称」、「内容量」、「消費期限」の4個の項目名が定義された例が示されている。呼出しテーブル定義データTL1の各項目名に対応するレコードには、例えば「桁数」、「桁数チェック」、「文字種チェック」等の各フィールドの値が入力される。
【0025】
「桁数」、「桁数チェック」、「文字種チェック」等の各フィールドの値は、ラベルレイアウト、ラベル上の表示内容の整合性等の観点から、ユーザによって入力される各項目名に対応する文字列に対するチェックを行うために設けられているが、必須ではない。
「桁数」フィールドの値は、各項目名に対応する文字列の最大桁数の値を示す。「桁数チェック」フィールドの値は、呼出しテーブルにおいて項目名に対応する文字列が入力されているかのチェックの有無、あるいは、項目名に対応する文字列の桁数が「桁数」フィールドの値以下であるかについてのチェックの有無を示す。「文字種チェック」フィールドの値は、項目名に対応する文字列の文字種(数字、あるいは数字以外の文字列)のチェックの有無、チェックする場合の文字種の指定を示す。
ユーザがウィンドウW1において入力を行い、呼出しテーブル定義データTL1を作成することで、ラベルに印字するための項目名が呼出しテーブルに登録される(つまり、項目が定義される)。
【0026】
呼出しテーブル定義データTL1を作成した後に、ユーザは、呼出しテーブルにおいて印字データの登録を行う。図4に示すように、プロジェクト設定部104の「呼出しテーブル」を操作する(例えば、ダブルクリックするか、あるいは右クリックして「開く」を選択操作する(図3参照))ことで呼出しテーブルTL2が表示される。
呼出しテーブルTL2には、呼出しテーブル定義データTL1(図3参照)で定義された「品名」、「名称」、「内容量」、「消費期限」の4個の項目名のフィールドに加え、「呼出しNo.」と「レイアウト指定」の各フィールドが設けられる。
【0027】
呼出しテーブルTL2の各レコードは1つのラベルを発行するためのラベルレイアウトと定義された各項目名のデータ(文字列)を示している。この各レコードのデータを以下では、「発行データ」という。ユーザは、呼出しテーブルTL2に各項目名に対応する文字列を入力することで、ラベルのレイアウトと各項目名に対応する文字列とを対応付けることができる。なお、呼出しテーブルTL2には複数のレコードを設けなくてもよく、1つのレコード(つまり、1つの発行データ)のみであってもよい。
呼出しテーブルTL2では、呼出しNo.によって発行データが特定される。プリンタ3のラベル発行アプリケーションでは、呼出しNo.によって発行データが呼び出される。
【0028】
呼出しテーブルTL2において「レイアウト指定」フィールドの値は、デザインウィンドウ103(図2参照)で作成された1又は複数のレイアウトデータのいずれかのレイアウトデータを示す値である。この例では、「レイアウト指定」フィールドの値は、[1]内容表示ラベルと[2]期限ラベルの2つのレイアウトデータが作成済みである場合に、各発行データがこの2つのレイアウトデータのうちいずれのレイアウトデータに対応するかを示している。
【0029】
例えば、図2のPC画面G1に示したデザインウィンドウ103内のラベルデザインでは、呼出しテーブルTL2の呼出しNo.:1(呼出し名:「チキンカツサンド」)のレコードに対応する発行データが表示されている。
この例では、デザインウィンドウ103のラベルデザインは、呼出しNo.:1に対応するレコードの「レイアウト指定」フィールドの値([1]内容表示ラベル)に対応する。品名に対応するオブジェクトOBJ1内の文字列は、呼出しテーブルTL2の呼出しNo.:1のレコードの「品名」フィールドの値に対応する。名称に対応するオブジェクトOBJ2内の文字列は、呼出しテーブルTL2の呼出しNo.:1のレコードの「名称」フィールドの値に対応する。内容量に対応するオブジェクトOBJ3内の文字列は、呼出しテーブルTL2の呼出しNo.:1のレコードの「内容量」フィールドの値に対応する。
【0030】
呼出しNo.:1に対応するレコードの「消費期限」フィールドの値は、消費期限に対応する日時オブジェクトであるオブジェクトOBJ4内の日付の最大桁数を示す。デザインウィンドウ103のラベルデザインにおいて、消費期限に対応するオブジェクトOBJ4内の日付として、例えばPC2の基準日付あるいは現在日付が表示される。
【0031】
以上のようにしてPC2のユーザは、呼出しテーブルTL2にデータを登録することで、異なるレイアウトのラベルや、同一のレイアウトであるが各項目の印字内容が異なるラベルを設計することができる。例えば、図4に示す例では、呼出しNo.:1~3の各々に対応する発行データは、同一のレイアウト([1]内容表示ラベル)であるが各項目の印字内容が異なるラベルに対応する。呼出しNo.:100に対応する発行データは、呼出しNo.:1~3とは異なるレイアウト([2]期限ラベル)のラベルに対応する。
【0032】
図5に示すように、プロジェクト設定部104の「漢字テーブル」を操作する(例えば、ダブルクリックする)ことで漢字テーブルTL3を表示させることができる。
図示の例では、漢字テーブルTL3の各レコードは、「登録番号」、「文字データ」の各フィールドの値を含む。「登録番号」フィールドの値は、例えば文字列オブジェクトに文字を入力するときに指定される番号である。「文字データ」フィールドの値は、対応する登録番号が指定されたときに入力される文字データである。
【0033】
図5に示すように、プロジェクト設定部104の「店名テーブル」を操作する(例えば、ダブルクリックする)ことで店名テーブルTL4を表示させることができる。
図示の例では、店名テーブルTL4の各レコードは、「登録番号」、「店名」、「住所」、「電話番号」の各フィールドの値を含む。登録番号は、フォーマットファイルの配信先となるプリンタ3を特定する値であり、プリンタID(プリンタ識別情報)と対応づけられている。店舗によっては複数のプリンタ3が配置されている場合があるため、登録番号と店名は必ずしも1対1で対応しない。図5の例では、F店に登録番号:6,7の2台のプリンタ3が配置されていることを示している。なお、図5には図示しないが、所定のユーザ操作に基づいて、店名テーブルTL4に新たな登録番号のレコードを追加し、あるいは店名テーブルTL4から既存のレコードを削除することが可能である。
店名テーブルTL4は、フォーマットファイルの配信先であるプリンタ3を特定するためのデータであり、各店舗についての「住所」および「電話番号」の各フィールドは必ずしも必要ない。
【0034】
以上説明したようにして、PC2のラベル作成アプリケーションでは、レイアウトデータ、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルが作成される。そして、指示ボタン群101内の出力ボタンを操作することで、レイアウトデータ、呼出しテーブル、漢字テーブル、店名テーブル、及び、各テーブル情報ファイルを含むプロジェクトファイルがフォーマットファイルとしてサーバ5にアップロードされる。
具体的には、指示ボタン群101内の出力ボタンを操作すると、図6に示すようにデータ出力のウィンドウW2が表示される。ウィンドウW2の出力先選択部204では、出力先としてPC2内のストレージ(「デバイスとドライブ」)又はサーバ5(「サーバ」)が選択可能である。ここで、「サーバ」を選択すると、ウィンドウW3が表示される。ウィンドウW3において、サーバ5に対応するアドレス(URL)、ログインID、および、プロジェクトファイルのファイル名を入力してOKボタンを操作することでプロジェクトファイルに対応するフォーマットファイルのアップロードが行われる(ウィンドウW4)。なお、ウィンドウW3では、安全のためにパスワードによる認証を行ってもよい。
図6に示す例では、「サンドイッチ」というファイル名のフォーマットファイルがサーバ5にアップロードされる。
【0035】
(2-2)ラベルの発行
プリンタ3においてラベルを発行するときの手順は以下のとおりである。
先ず、プリンタ3のラベル発行アプリケーションを起動させ、フォーマットファイルをサーバ5からダウンロードする操作を行う。次いで、図7のプリンタ画面g1に示すように、ダウンロードしたフォーマットファイルの中から、ユーザが発行したいラベルに対応するフォーマットファイルとして、「サンドイッチ」を選択する。
次いで表示されるプリンタ画面g2は、選択されたフォーマットファイルにおいて呼出しNo.を入力するための入力ボックスbx1を含む。ここで入力される呼出しNo.は、フォーマットファイル内の呼出しテーブル(図4参照)の呼出しNo.に対応する。例えば、入力ボックスbx1に呼出しNo.:003を入力した場合には、図4の呼出しテーブルの呼出しNo.:003に対応するレコードの発行データが呼び出され、プリンタ画面g3が表示される。
【0036】
プリンタ画面g3には、初期値として呼出しNo.:003に対応する発行データの各項目の値が発行データ表示部206に表示される。発行データ表示部206では、消費期限に対応する値は、プリンタ3の基準日付である。
プリンタ画面g3において確定ボタンが操作された場合、プリンタ画面g4が表示される。プリンタ画面g4は、プレビューボタンb4、確定ボタンb5、発行枚数を入力するための入力ボックスbx2、および、入力ボックス群207を含む。
入力ボックス群207は、発行データの各項目に対応する入力ボックスからなる。ラベル作成アプリケーションにおいてデータの入力方法が「発行時」(図2のオブジェクトプロパティ設定部105参照)に設定されていた場合には、入力ボックスを選択し、例えばソフトウェアキーボードSKを操作することでユーザが文字列を編集することができる。
プリンタ画面g4において確定ボタンb5を操作することでラベルが発行される。なお、ラベル発行前にプレビューボタンb4を操作することで、ラベルのプレビュー画像を表示させることができる。
【0037】
後述するが、プリンタ3のユーザは、プリンタ3がダウンロードしたフォーマットファイルに含まれる呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルを、それぞれ個別に編集することができる。
以下では、PC2によって配信され、プリンタ3がサーバ5からダウンロードした直後のフォーマットファイルに含まれる呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルをそれぞれ、適宜、「マスタ呼出しテーブル」、「マスタ漢字テーブル」、及び、「マスタ店名テーブル」と表記する。マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、及び、マスタ店名テーブルを総称して「マスタファイル」ということがある。
また、プリンタ3のユーザによりマスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、及び、マスタ店名テーブルを編集した後のテーブルをそれぞれ、適宜、「編集済み呼出しテーブル」、「編集済み漢字テーブル」、及び、「編集済み店名テーブル」と表記する。編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、及び、編集済み店名テーブルを総称して「編集済みテーブル」又は「マスタ編集ファイル」ということがある。
【0038】
(3)情報処理システム1の構成
次に、図8を参照して、情報処理システム1に含まれるPC2、プリンタ3、および、サーバ5の構成について説明する。
【0039】
(3-1)PC2
図8に示すように、PC2は、制御部21、ストレージ22、操作入力部23、表示部24、LANインタフェース25、及び、USBインタフェース26を備える。
【0040】
制御部21は、マイクロプロセッサを主体として構成され、PC2全体を制御する。例えば、制御部21に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ22に記録されているラベル作成アプリケーションプログラムをロードして実行し、その実行結果を表示部24に表示する。
ストレージ22は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)であってもよい。ストレージ22は、ラベル作成アプリケーションプログラムのほか、ラベル作成アプリケーションを実行することで作成されたプロジェクトファイル、各店舗に配置されるプリンタ3のプリンタID(店名テーブルの登録番号に対応するプリンタID)等を記憶する。
プロジェクトファイルは、レイアウトデータ、呼出しテーブル、漢字テーブル、店名テーブル、及び、各テーブル情報ファイルを含む。ここで、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルはそれぞれ、参照データの一例である。
【0041】
ラベル作成アプリケーションを実行することで、制御部21は、マスタファイルの編集可否を設定してもよい。マスタファイルの編集可否の設定については、後述する。
【0042】
操作入力部23は、例えば、ポインティングデバイス、タッチパネル等の入力デバイスを含む。表示部24がタッチパネル入力用表示パネルを備える場合、表示部24は、操作入力部23の一部を構成する。
表示部24は、例えば液晶表示パネルを含み、ラベル作成アプリケーションの実行結果を表示する。
LANインタフェース25は、サーバ5との間で通信を行う通信インタフェースである。
USBインタフェース26は、プリンタ3との間で直接通信を行う場合のインタフェースである。
【0043】
(3-2)プリンタ3
図8に示すように、プリンタ3は、制御部31、ストレージ32(記憶部の一例)、操作入力部33、表示部34、搬送部35、印字部36、LANインタフェース37、及び、USBインタフェース38を備える。
【0044】
制御部31は、マイクロプロセッサを主体として構成され、プリンタ3の全体を制御する。ストレージ32は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDである。
例えば、制御部31に含まれるマイクロプロセッサは、ストレージ32に記録されているファームウェアおよびラベル発行アプリケーションプログラムをロードして実行する。
制御部31は、サーバ5に対してフォーマットファイルの送信を要求し、当該要求に応じて送信されるフォーマットファイルをLANインタフェース37を介して受信し、ストレージ32に保存する。制御部31がサーバ5に対してフォーマットファイルの送信を要求するタイミングは限定するものではないが、例えば、プリンタ3の起動時、毎日の所定の時刻、あるいは、ユーザによって所定のダウンロード操作が行われたタイミング等である。
【0045】
ストレージ32は、ファームウェアおよびラベル発行アプリケーションプログラムのほか、プリンタ3のプリンタIDを記憶する。このプリンタIDは、PC2に記録される店名テーブルの登録番号に対応している。
ストレージ32は、サーバ5からダウンロードした1又は複数のフォーマットファイルを記憶する。
【0046】
制御部31は、ファームウェアを実行することで、発行データを印字用のビットマップデータ(印字データ)に変換し、印字データのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部36へ送出する。搬送部35および印字部36は、順次送出されるラインデータに基づいて印字を行う。
搬送部35は、図示しないプラテンローラ、モータ駆動回路、及び、ステッピングモータを含み、プリンタ3内の連続紙の搬送を行う。例えば、ファームウェアによる搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
印字部36は、図示しないサーマルヘッド及びヘッド駆動回路を含む。ヘッド駆動回路は、ラインデータに基づきサーマルヘッドの各発熱素子に選択的に電流を流すことで、連続紙のラベル上に印字を行う。
【0047】
操作入力部33は、プリンタ3の表示パネルに設けられるタッチパネル入力とその入力回路を含む。
表示部34は、表示パネルを有し、表示パネル上にラベル発行アプリケーションの実行結果を表示する。
LANインタフェース37は、サーバ5との間で通信を行う通信インタフェースである。
USBインタフェース38は、コンピュータ装置2との間で直接通信を行う場合のインタフェースである。
【0048】
(3-3)サーバ5
サーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
ストレージ52は、例えばHDD等の大容量記憶装置であり、PC2から送信されるフォーマットファイルをログインIDと対応付けて記憶する。
制御部51は、マイクロプロセッサを主体として構成され、サーバプログラムを実行することでサーバ5の全体を制御する。制御部51は、例えば、プリンタ3からの要求に応じてフォーマットファイルを送信するように通信部53を制御する。
通信部53は、PC2及びプリンタ3の各々との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0049】
図9を参照してさらに説明する。図9は、情報処理システム1のプリンタ3及びサーバ5の機能ブロック図である。
図9を参照すると、プリンタ3の制御部31は、ラベル発行アプリケーションを実行することで、データ更新部311、データ編集部312、印字制御部313、自動バックアップ処理部314、手動バックアップ処理部315、バックアップ世代設定部316、及び、リストア処理部317として機能する。
サーバ5の制御部51は、サーバプログラムを実行することで、データ記録部511、及び、データ削除部512として機能する。
【0050】
プリンタ3では、サーバ5からダウンロードしたフォーマットファイルを基にストレージ32に記録されたレイアウトデータ及びマスタファイル(つまり、マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、マスタ店名テーブル)は、定期的、又は不定期に更新される。このとき、データ更新部311は、データ更新タイミングで、コンピュータ装置2からサーバ5経由で受信するレイアウトデータ及びマスタファイルにより、ストレージ32の第1記憶領域にあるレイアウトデータ及びマスタファイルを更新する。データ更新のタイミングは限定するものではないが、例えば、プリンタ3の起動時、毎日の所定の時刻、あるいは、ユーザによって所定のダウンロード操作が行われたタイミング等である。
【0051】
ストレージ32は、ユーザがダウンロードしたフォーマットファイルに含まれるマスタファイルを編集した場合には、編集後のマスタ編集ファイル(つまり、編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、及び、編集済み店名テーブルの少なくともいずれか)を記憶する。このとき、マスタ編集ファイルは、ストレージ32において元となるマスタファイルが記憶されている記憶領域(第1記憶領域)とは異なる記憶領域(第2記憶領域)に記録される。すなわち、データ編集部312は、ユーザの操作入力に基づいてストレージ32の第1記憶領域にあるマスタファイルを編集し、編集後のマスタ編集ファイルを、ストレージ32の第2記憶領域に記録する。
【0052】
一実施形態では、マスタファイルの編集許否がPC2のラベル作成アプリケーションによって設定可能である。印字制御部313は、マスタファイルの編集が許可と設定されている場合には、マスタ編集ファイルに基づいて印字を行い、マスタファイルの編集が不許可と設定されている場合には、マスタファイルに基づいて印字を行う。
【0053】
一実施形態では、プリンタ3が故障した場合に備えて、プリンタ3のユーザが作成したマスタ編集ファイルをサーバ5及び外部のUSBストレージにバックアップすることができる。
自動バックアップ処理部314(第1バックアップ処理部の一例)は、ストレージ32にあるマスタ編集ファイルをサーバ5に定期的にバックアップする。
手動バックアップ処理部315(第2バックアップ処理部の一例)は、ストレージ32にあるマスタ編集ファイルを外部のUSBストレージに、ユーザによる操作を契機としてバックアップする。
【0054】
一実施形態では、バックアップしたデータ(バックアップデータ)に基づいて、プリンタ3を復旧(リストア)させることができる。
リストア処理部317は、外部のUSBストレージ又はサーバ5に記憶されているバックアップデータに基づいてプリンタ3のリストアを行う。
【0055】
後述するように、データの自動バックアップでは、サーバ5は、プリンタ3内のバックアップ対象のデータをそのまま記録するのではなく、前回のバックアップデータとの差分がある場合に記録する。バックアップ対象のデータがマスタ編集ファイルである場合、データ記録部511は、プリンタ3の最新の編集によるマスタ編集ファイルと前回の編集によるマスタ編集ファイルとの差分がある場合に、最新の編集によるマスタ編集ファイルをストレージ52に記録する。
【0056】
バックアップ世代設定部316は、サーバ5のストレージ52が記憶するマスタ編集ファイルの数の最大値を、プリンタ3のユーザの操作入力に基づいて設定する。
データ削除部512は、バックアップ世代設定部316によって設定された前記最大値に基づいて、ストレージ52に過去に記録されたマスタ編集ファイルを削除する。すなわち、ストレージ52では古いバックアップデータであるマスタ編集ファイルが順次削除される。
【0057】
図10を参照すると、ラベルの発行動作は以下のとおりである。
ユーザの操作に応じて、PC2のラベル作成アプリケーションは、各テーブル(マスタファイル)を含むフォーマットファイルをサーバ5に送信する(ステップS2)。サーバ5は、PC2から受信したフォーマットファイルをストレージ52に保存する(ステップS4)。
サーバ5は、プリンタ3からの要求(例えばデータ更新の要求)に応じて当該フォーマットファイルをプリンタ3に送信し(ステップS6)、プリンタ3は、受信したフォーマットファイルをストレージ32に保存する(ステップS8)。
【0058】
その後、プリンタ3は、図7に示したように、ユーザ操作に応じて選択されたフォーマットファイルを読み出し(ステップS10)、呼出しNo.の入力を受け付ける(ステップS12)。次いで、プリンタ3は、入力された呼出しNo.によって呼び出される発行データを、プリンタ画面g3(図7)に示したように表示し(ステップS14)、ラベルが発行可能な状態となる。いったんフォーマットファイルをサーバ5から取得すれば、プリンタ3のラベル発行アプリケーションは、オフラインの環境においても各呼出しNo.に対応するラベルを発行することができる。
【0059】
(4)編集済みテーブルの管理
次に、図11図14を参照して、プリンタ3における編集済みテーブルの管理について説明する。
前述したように、プリンタ3は、プリンタ3がダウンロードしたフォーマットファイルには、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブル(つまり、マスタファイル)が含まれる。このマスタファイルは、本部で管理するすべての店舗で汎用的に使用されるラベルに対応したデータである。他方、店舗におけるプリンタ3のユーザは、マスタファイルを編集し、マスタ編集ファイルとしてストレージ32に保存することができる。それによって店舗のユーザは、店舗独自の商品がある場合に、独自商品に貼付するラベルを印字するためのデータを作成し、保存することができる。
【0060】
図11に、店舗のプリンタ3のユーザが、一例として呼出しテーブル(マスタ呼出しテーブル)を編集するときの手順を示す図である。
図11を参照すると、設定に関するプリンタ画面g5において「マスタ編集」の項目を選択操作した場合、プリンタ画面g6に切り替わり、フォーマットファイルごとにマスタファイルの編集(マスタ編集)を行う画面が現れる。マスタ編集では、マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、及び、マスタ店名テーブルを個別に編集することができる。ここで、例えば、マスタ呼出しテーブルを編集対象として選択する操作を行うと、マスタ呼出しテーブルを編集するためのプリンタ画面g7が表示される。
プリンタ画面g7において、例えば「新規登録」を選択操作すると、マスタ呼出しテーブルに新たな呼出しNo.に対応する発行データを追加することができる。つまり、マスタ呼出しテーブルに対して新たな発行データを追加した編集済み呼出しテーブルを作成することができる。この場合、プリンタ画面g8~g9に表示されるように、発行データに含まれる各項目の値をユーザが入力することで新たな発行データを作成することが可能である。
【0061】
なお、図示しないが、プリンタ画面g7において「コピーして新規登録」を選択操作した場合には、マスタ呼出しテーブルに含まれる発行データをコピーして一部の項目の値を変更することで新たな発行データを可能である。プリンタ画面g7において「変更」を選択操作した場合には、マスタ呼出しテーブルに含まれる発行データの一部の項目を変更することが可能である。プリンタ画面g7において「削除」を選択操作した場合には、マスタ呼出しテーブルに含まれる少なくとも1つの発行データを削除することが可能である。いずれの場合も、マスタファイルを編集した新たなマスタ編集ファイルが作成されることになる。
図11では、マスタ呼出しテーブルを編集するときの手順について示したが、同様にして、マスタ漢字テーブル及びマスタ店名テーブルについても個別に編集することができる。
【0062】
図12に、実施形態に係るプリンタ3のストレージ32におけるディレクトリの構成例を示す。
前述したように、図11に示したようにして作成されたマスタ編集ファイルは、ストレージ32において元となるマスタファイルが記憶されている記憶領域(第1記憶領域)とは異なる記憶領域(第2記憶領域)に記録される。
【0063】
図12に示すように、ストレージ32は、FormatFilesフォルダと、Historiesフォルダと、LocalTablesフォルダと、Logsフォルダと、Settingsフォルダとを含む。
FormatFilesフォルダは、フォーマットファイルごとに、レイアウトデータ、マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、及び、マスタ店名テーブルを格納するフォルダである。
Historiesフォルダは、フォーマットファイルごとの発行履歴ファイルを含むフォルダである。発行履歴ファイルには、例えば、過去のラベルの発行履歴(いつどのようなラベルを何枚発行したかという内容)のデータ等が含まれる。
LocalTablesフォルダは、フォーマットファイルごとに、編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、及び、編集済み店名テーブルを格納するフォルダである。
Logsフォルダは、後のトラブルシューティングのためにラベル発行アプリケーションで生じたエラー情報が記録されたフォルダである。
Settingsフォルダは、設定情報ファイルを含むフォルダである。
【0064】
図12に示すように、ストレージ32では、マスタファイル(マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、及び、マスタ店名テーブル)とマスタ編集ファイル(編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、及び、編集済み店名テーブル)が、それぞれ異なるフォルダに保存される。つまり、マスタファイルとマスタ編集ファイルはストレージ32のそれぞれ異なる記憶領域に格納されている。
なお、マスタ編集ファイルをさらに編集した場合には、既にLocalTablesフォルダにあるマスタ編集ファイルに上書き保存される。
【0065】
プリンタ3の制御部31は、データ更新時には、サーバ5からダウンロードしたフォーマットファイルに含まれるマスタファイルにより、ストレージ32のFormatFilesフォルダ内の対応するフォーマットファイルに含まれるマスタファイルを上書き更新する。このデータ更新時には、ストレージ32のLocalTablesフォルダ内のマスタ編集ファイルは更新されない。そのため、実施形態の情報処理システム1では、PC2からサーバ5を経由して受信するフォーマットファイルを基にプリンタ3のデータの更新を行う場合に、プリンタ3で編集されたデータであるマスタ編集ファイルが削除されることを防止できる。
【0066】
一実施形態では、本部においてPC2のラベル作成アプリケーションにより、店舗のプリンタ3でのマスタ編集の可否を設定できるようにしてもよい。
図13に、実施形態に係るPC2のプロジェクトファイル作成画面において各テーブルが選択されたときのオブジェクトプロパティ設定部105の表示例を示す。図13では、左から順に、プロジェクト設定部104において呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルがそれぞれ選択されたときに、オブジェクトプロパティ設定部105の表示状態を示している。図13に示すように、各テーブルに対して「Printでのマスタ編集を許可」に対するボタンである編集許否ボタン211~213が設けられている。このボタンを操作することで、プリンタ3のラベル発行アプリケーションによるマスタ編集を許可するか否かについて設定することができる。
【0067】
編集許否ボタン211~213による設定は、各テーブル情報ファイルに含まれる編集許否フラグに反映される。プリンタ3のラベル発行アプリケーションは、サーバ5を経由して受信したフォーマットファイルに含まれる各テーブル情報ファイル内の編集許否フラグを参照して、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルについて個別に編集許否を決定する。つまり、ラベル発行アプリケーションは、各テーブル情報ファイルをサーバ5から取得し、取得した各テーブル情報ファイルに含まれる編集許否フラグが編集不可を示す場合には、マスタ編集を許可しない。
編集可否を行うことで、本部は、テーブル単位で、店舗側で編集を許可するテーブルと編集を許可しないテーブルを決定することができる。
【0068】
複数の漢字テーブルあるいは複数の店名テーブルが設けられている場合には、個々のテーブルに対してマスタ編集の許否を設定することができる。例えば、漢字テーブル1,漢字テーブル2,漢字テーブル3,…が設定されている場合、対応するテーブルNo.(1,2,3,…)を指定してマスタ編集の許否を個別に設定することができる。マスタ編集の許否を個別に設定することで、店舗側で独自のラベルを発行させる自由度を柔軟に設定することができる。
【0069】
次に、図14を参照して、プリンタ3において発行データを基にラベルを発行するときに参照すべきテーブルを決定するときの処理を示フローチャートである。図14のフローチャートは、プリンタ3の制御部31によって実行される。
図12に示したように、店舗にあるプリンタ3においてマスタファイルを編集した場合には、マスタファイルとマスタ編集ファイルとが併存することになる。その場合に、対応するフォーマットファイルから発行データを読み出してラベルを発行するときに参照すべきテーブルの優先度が、図14のフローチャートによって規定されている。
【0070】
図14において、例えば図7のプリンタ画面g1によりいずれかのフォーマットファイルが選択された場合(ステップS20:YES)、制御部31は先ず、選択されたフォーマットファイルに含まれる各テーブル情報ファイルから、編集許否フラグを読み出す(ステップS22)。前述したように、編集許否フラグは、個々のテーブルについてのマスタ編集の許否を示すフラグであり、呼出しテーブル、漢字テーブル、及び、店名テーブルの各々について設定されている。
【0071】
編集許否フラグを参照して、ステップS24~S30の各処理が各テーブルについて順に行われる(ステップS32)。具体的には、処理対象のテーブルに対応する編集許否フラグが「許可」を示す場合、ストレージ32のLocalTablesフォルダが優先して参照される。つまり、LocalTablesフォルダ内に編集済みテーブルがある場合には(ステップS26:YES)、制御部31は、LocalTablesフォルダ内の編集済みテーブルを参照する(ステップS28)。
ステップS24において処理対象のテーブルに対応する編集許否フラグが「不許可」を示す場合、又は、LocalTablesフォルダ内に編集済みテーブルがない場合(ステップS26:NO)、制御部31は、FormatFilesフォルダのテーブル(つまり、マスタ呼出しテーブル、マスタ漢字テーブル、又は、マスタ店名テーブル)を参照する(ステップS30)。
【0072】
図14のフローチャートに示したように、プリンタ3において発行データを基にラベルを発行するときには、LocalTablesフォルダに編集済みテーブルがある場合に当該編集済みテーブルが優先して参照される。そのため、店舗のプリンタ3の利用者は、本部で管理するすべての店舗で汎用的に使用されるラベルのためのデータを逐次更新しながら、汎用的に使用されるラベルとは異なるラベル(店舗独自の商品に貼付するラベル)も発行することができる。
【0073】
なお、図13を参照して説明したように、本部で、店舗側でのプリンタ3によるマスタ編集を許可するか否かについて設定を可能とすることは、以下の利点がある。
例えば、小売店によっては、ある時点からすべてのテーブルについて本部で一括管理をするという具合に運用を変更する場合がある。その場合、本部が、すべての店舗でマスタファイルを基にラベルを発行することを希望しても店舗のプリンタ3にマスタ編集ファイルがあるときには、図14のフローチャートに示したようにマスタ編集ファイルが優先して参照され、マスタファイルが参照されない。そこで、店舗側でのプリンタ3によるマスタ編集を許可するか否かについてテーブル単位で設定を本部側で可能とすることで、マスタ編集ファイルがあったとしてもマスタファイル(FormatFilesフォルダ内のデータ)を優先して参照されるように制御することができる。
【0074】
一実施形態では、制御部31は、データ更新タイミングにおいてプリンタ3から削除したフォーマットファイルに対応するマスタ編集ファイルを、ストレージ32から削除する。
データ更新タイミングにおいて、本部が管理するすべての店舗において不要になったフォーマットファイルが削除されることがある。そのような場合、プリンタ3は、サーバ5を経由したPC2からの指示に基づき、ストレージ32に格納されているいずれかのフォーマットファイルを削除する。このとき、削除されるフォーマットファイルと、当該フォーマットファイルを基に作成されたマスタ編集ファイルとは、それぞれ異なるフォルダに格納されているため、フォーマットファイルを削除した後もそのままストレージ32に格納することは可能である。しかし、マスタ編集ファイルが単独で残っても利用できず、ストレージ32の容量を圧迫させるため削除することが好ましい。
【0075】
以上説明したように、一実施形態の情報処理システム1によれば、プリンタ3は、サーバ5との間でデータ更新の対象となるマスタファイルと、プリンタ3のユーザによってマスタファイルに対して編集を行うことで作成されたマスタ編集ファイルとを、それぞれストレージ32の異なる記憶領域に記録する。そのため、店舗にとっては、本部との間でのマスタファイルの更新機能は維持しつつ、店舗独自の商品に使用するマスタ編集ファイルがデータ更新時にプリンタ3から削除されることを防止できる。
【0076】
(5)マスタ編集ファイルのバックアップ及びリストア
次に、プリンタ3内のデータのバックアップ及びリストアについて、図15図19を参照して説明する。
プリンタ3が故障した場合には、例えば、店舗のユーザによって作成されたマスタ編集ファイル(編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、及び、編集済み店名テーブル)が失われてしまうため、マスタ編集ファイルのバックアップを確実に行うことができるように構成されている。バックアップ方法として、自動バックアップと手動バックアップが用意されている。なお、後述するように、バックアップの対象となるデータは、マスタ編集ファイルに限られない。
以下の説明では、プリンタ3によるバックアップ処理によりバックアップ先のサーバ5又はUSBストレージに記録されるデータを「バックアップデータ」ということがある。
【0077】
自動バックアップは、定期的に(例えば毎日の所定時刻)、あるいはプリンタ3の起動時にサーバ5にデータを送信、記録することにより、データのバックアップを行うことである。自動バックアップは、ユーザが意識せずに行われるため、ユーザがデータの手動バックアップをし忘れてプリンタ3の復旧に支障が生ずるということを回避できる。
【0078】
手動バックアップは、ユーザが自ら操作を行ってプリンタ3内のデータをUSBストレージに記録することにより、データのバックアップを行うことである。
手動バックアップが用意されているのは、以下の理由からである。第1に、サーバ5に接続しないでユーザがプリンタ3を使用する場合に、手動でバックアップできるようにした方がプリンタ3のユーザにとって利便性が良いためである。第2に、プリンタ3の製造会社や代理店のサービスマンが店舗のプリンタ3の故障等の原因調査に来たときに、プリンタ3のデータをUSBストレージにバックアップして持ち帰ることができるようにして、それによって迅速に解決を図ることができるようにするためである。
また、手動バックアップを行うことで、複数のプリンタ3のキッティング作業をUSBストレージを用いて行うことが容易となるという利点もある。例えば1台目のプリンタ3でデータをUSBストレージにバックアップし、USBストレージにバックアップしたデータを用いて2台目のプリンタ3をリストアする、といった作業を繰り返し行うことで多数のプリンタ3の設定を行うキッティング作業の負担が軽減する。
【0079】
後述するように、手動バックアップではバックアップ対象のデータのすべてについてバックアップを行うが、自動バックアップでは、バックアップ対象となるデータが前回のバックアップデータと差分がある場合にバックアップを行う。
【0080】
なお、データのバックアップ先は、USBストレージやサーバ5に限られず、プリンタ3の内部のストレージ32であってもよい。ストレージ32をデータのバックアップ先とすることで、ユーザが設定変更を誤ったり、マスタファイルを変更してしまったりした場合に容易に復帰することが可能となる。
【0081】
(5-1)自動バックアップ
次に、自動バックアップについて、図15図17を参照してさらに説明する。
図15に、プリンタ3での自動バックアップの設定を行う手順を示す。
図15を参照すると、設定に関するプリンタ画面g10において「外部ストレージ連携管理」の項目を選択操作した場合、プリンタ画面g11に切り替わる。次いで、「連携対象データ」の項目を選択すると、プリンタ画面g12が表示され、サーバ5とプリンタ3の間でのデータのダウンロード及びアップロードの詳細を設定することができる。なお、プリンタ画面g12は、プリンタ画面g11の「外部ストレージ連携管理」において「外部ストレージ連携」が有効になっている場合に表示可能となる。
プリンタ画面g12において、「アップロード」の項目では、「[バックアップ]マスタ編集ファイル」及び「[バックアップ]設定情報ファイル」の項目が設けられ、マスタ編集ファイルと設定情報ファイルの自動バックアップをそれぞれ有効とするか無効とするか設定するボタンが設けられる。このボタンを有効とする位置に操作することで、マスタ編集ファイルと設定情報ファイルの自動バックアップを個別に行うことができる。なお、図示しないが、自動バックアップを行うタイミング(例えば毎日の所定時刻)は、ユーザ操作によって設定可能である。
【0082】
自動バックアップの対象となるデータは、例えば、フォーマットファイル、マスタ編集ファイル(編集済み呼出しテーブル、編集済み漢字テーブル、編集済み店名テーブル)、及び、設定情報ファイルである。
【0083】
図16に、実施形態に係るサーバ5のストレージ52におけるディレクトリの構成例を示す。
図16に示すように、ストレージ52は、FormatFilesフォルダと、Logsフォルダと、BackupFilesフォルダと、Settingsフォルダとを含む。
FormatFilesフォルダは、PC2からアップロードされたフォーマットファイルを含むフォルダである。
Logsフォルダは、プリンタ3からアップロードされた発行履歴ファイルを含むフォルダである。
BackupFilesフォルダは、サーバ5に接続可能なプリンタ3のプリンタID(例えば「0001-SX-5555」)ごとにバックアップされたデータを含むフォルダである。
Settingsフォルダは、設定情報ファイルを含むフォルダである。
【0084】
図16に示すように、BackupFilesフォルダ内には、特定のプリンタ3について、自動バックアップが行われた時刻を示すフォルダ(YYYYMMDD-hhmmssフォルダ)が自動生成される。例えば、2022年4月25日21時08分38秒に自動バックアップが行われた場合には、自動生成されるフォルダ名は、「20220425-210838」になる。
YYYYMMDD-hhmmssフォルダは、LocalTablesフォルダとSettingsフォルダを有する。LocalTablesフォルダは、フォーマットファイルごとにマスタ編集ファイルがバックアップされたデータを含む。Settingsフォルダは、バックアップされた設定情報ファイルを含む。
【0085】
自動バックアップは例えば定期的に行われるが、このときプリンタ3は、LocalTablesフォルダに保存されているマスタ編集ファイルをサーバ5にアップロードする。サーバ5は、前回アップロードされたマスタ編集ファイルと今回アップロードされたマスタ編集ファイルとの差分がある場合、今回アップロードされた時刻を示すフォルダ(YYYYMMDD-hhmmssフォルダ)を生成し、YYYYMMDD-hhmmssフォルダ内に今回アップロードされたマスタ編集ファイルを記録する(図16参照)。
【0086】
次に、図17を参照して、情報処理システム1での自動バックアップの処理について説明する。
図17は、情報処理システム1において編集済みテーブルの自動バックアップ処理を行うときのシーケンスチャートである。
【0087】
図17のシーケンスチャートには、プリンタ3によるデータ更新の処理も含まれている。すなわち、データ更新のタイミングにおいて、プリンタ3は、データ更新要求をサーバ5に送信する(ステップS38)。サーバ5がデータ更新要求に対して、フォーマットファイルの更新用データ(例えば更新用のマスタファイルを含む)をプリンタ3に送信し(ステップS40)、プリンタ3が更新用データに基づいてデータ更新処理を行う(ステップS42)。データ更新処理では、例えば、更新用データに含まれるマスタファイルにより、ストレージ32に格納されているマスタファイルが上書き更新される。
【0088】
プリンタ3は、予め設定された自動バックアップの時刻になると、ストレージ32に格納されているマスタ編集ファイル及び/又は設定情報ファイルをサーバ5に送信する(ステップS44)。送信されるファイルは、図15のプリンタ画面g12の設定に従う。
サーバ5は、前回(例えば前日)の自動バックアップを行った時点のデータ(マスタ編集ファイル又は設定情報ファイル)とステップS44で受信したデータ(マスタ編集ファイル又は設定情報ファイル)との差分データがあるか判断する(ステップS46)。その結果、両方のファイル又はいずれか一方のファイルに差分があるには、サーバ5は、ステップS44でファイルを受信した時刻に基づいてYYYYMMDD-hhmmssフォルダ(図16参照)を生成し、生成したYYYYMMDD-hhmmssフォルダに、ステップS44で受信したデータ(マスタ編集ファイルと設定情報ファイル)を新たなバックアップデータとして記録する(ステップS48)。ステップS44で受信した設定情報ファイルはそのままYYYYMMDD-hhmmssフォルダに記録される。
一実施形態では、サーバ5は、古いバックアップデータを消去する(ステップS50)。すなわち、古いバックアップデータをいつまでも格納しておくとストレージ52の容量を圧迫するため、古いバックアップデータを順に消去していくことが好ましい。
【0089】
(5-2)手動バックアップ
次に、手動バックアップについて、図18を参照してさらに説明する。
図18は、プリンタ3において手動バックアップの設定を行う手順を示す図である。なお、図18に示す手順を行う際には、バックアップ先となるUSBストレージがプリンタ3に接続されていることが前提となる。
図18を参照すると、設定に関するプリンタ画面g13において「システム管理」の項目を選択操作した場合、プリンタ画面g14に切り替わる。次いで、「バックアップ・リストア」の項目を選択操作すると、プリンタ画面g15が表示される。ここで、「バックアップ」の項目を選択操作すると、プリンタ画面g16に示すように、バックアップを行う画面が表示される。プリンタ画面g16には、ユーザがコメントを入力するための入力領域301が含まれている。
【0090】
入力領域301におけるコメント入力は、プリンタ3をリストアする際に有用である。手動バックアップを複数回行った場合に、各回でバックアップされたデータにコメント(テキスト)を関連付けておく。すなわち、プリンタ3の制御部31は、マスタ編集ファイルのバックアップを行う際にユーザによるテキストの入力を受け付け、入力されたテキストをバックアップ対象のマスタ編集ファイルと関連付ける。それによりユーザは、バックアップデータが複数ある場合に、その中からリストア時に使用するデータをコメントの内容に応じて選択することが可能となる。例えば、コメントとして「〇〇設定後のデータ」と入力しておくことで、リストア時にデータを選択しやすくなる。
【0091】
手動バックアップの場合も自動バックアップと同様に、バックアップ先のUSBストレージにYYYYMMDD-hhmmssフォルダが生成され、YYYYMMDD-hhmmssフォルダ内にバックアップデータが記録される。その際、生成されたYYYYMMDD-hhmmssフォルダと、入力領域301に入力されたテキストとが関連付けられる。
手動バックアップは、マスタ編集ファイル及び設定情報ファイルに限定されず、すべてのフォルダが対象となる。
【0092】
(5-3)リストア
次に、自動バックアップ又は手動バックアップによりバックアップされたデータに基づいて、プリンタ3をリストア(復旧)させるときの手順について、図19を参照して説明する。図19は、プリンタ3においてデータのリストアを行う手順を示している。なお、バックアップデータがUSBストレージに格納されているときには、当該USBストレージがプリンタ3に接続されていることが前提となる。
【0093】
図19を参照すると、設定に関するプリンタ画面g15において「リストア」の項目を選択操作した場合、プリンタ画面g17に切り替わる。プリンタ画面g17は、リストア対象のプリンタ3を選択するための選択ボタン302と、バックアップデータを選択するための選択ボタン303とをユーザが操作可能に構成される。なお、手動バックアップの安全性を確保するために、プリンタ画面g15(設定画面)は、ユーザのIDとパスワードによる認証が成功した場合に表示されるようにすることが好ましい。
【0094】
選択ボタン303では、自動バックアップ先であるサーバ5のYYYYMMDD-hhmmssフォルダの名称、又は、手動バックアップ先であるUSBストレージのYYYYMMDD-hhmmssフォルダの名称及びコメントを示すテキストが選択可能である。
リストア対象のプリンタ3とバックアップデータを選択した後にOKボタンを操作すると、リストアの確認画面としてプリンタ画面g18が表示される。選択ボタン303では、選択されたYYYYMMDD-hhmmssフォルダの名称を、関連付けられたテキスト(例えば「退避」)とともに表示されるため、複数のバックアップデータが存在する場合に、ユーザが所望のバックアップデータを選択しやすい。
プリンタ画面g18には、チェックボックス群304が設けられている。チェックボックス群304により、ユーザは、YYYYMMDD-hhmmssフォルダのうちリストア時に使用するフォルダ(FormatFilesフォルダ、LocalTablesフォルダ、及び、Settingsフォルダの少なくともいずれか)を選択可能である。プリンタ画面g18においてOKボタンを操作すると、リストアが実行される。
【0095】
なお、図19において設定に関するプリンタ画面g15には「バックアップ世代設定」の項目が設けられており、この項目を選択操作することで、サーバ5で保存するバックアップデータの世代を設定することができる。世代設定として例えば1~9のいずれかの値を選択できる。すなわち、プリンタ3の制御部31は、サーバ5のストレージ52が記憶するバックアップデータの数の最大値を、ユーザの操作入力に基づいて設定する。この最大値は、例えば自動バックアップ実行時にサーバ5に通知される。
例えば世代設定として「3」が選択されている場合、3回分のバックアップデータが保存されることを意味する。図17のステップS50では、サーバ5は、プリンタ3から取得したバックアップ世代設定の値に基づいて、消去すべきバックアップデータを決定する。すなわち、サーバ5の制御部51は、プリンタ3によって設定された上記最大値に基づいて、ストレージ52に過去に記録されたバックアップデータを削除するデータ削除部として機能する。
バックアップ世代設定は、自動バックアップ及び手動バックアップの両方に対して行うことができる。バックアップ世代設定を行うことで、リストア時に必要とされないほど古いバックアップデータをバックアップ先に記憶しておくことがなくなるため、ストレージ52又はUSBストレージの容量を圧迫させなくて済む。
【0096】
以上説明したように、一実施形態の情報処理システム1では、プリンタ3は例えば定期的にデータをサーバ5に自動バックアップするとともに、ユーザの必要に応じてユーザ自身の操作を契機としてUSBストレージにデータの手動バックアップを行うため、マスタ編集ファイル等、プリンタにおいて作成したデータのバックアップを確実に行うことができる。その際、自動バックアップでは、プリンタ3における編集によって変更になった場合に限りデータがサーバ5に保存されるため、サーバ5の容量を圧迫しないで済む、手動バックアップは、サーバ5にアクセスできないプリンタ3のユーザがプリンタ3に直接USBストレージを接続してバックアップでき、また、プリンタ3の故障診断を行うときにサービスマンがプリンタ3のデータを吸い上げる際にも便利である。
【0097】
自動バックアップでは、マスタ編集ファイルを、差分データとしてバックアップしてもよい。すなわち、自動バックアップは例えば定期的に行われるが、このときプリンタ3は、LocalTablesフォルダに保存されているマスタ編集ファイルをサーバ5にアップロードする。サーバ5は、前回アップロードされたマスタ編集ファイルと今回アップロードされたマスタ編集ファイルとの差分を示すデータ(差分データ)を記録する。その際、サーバ5は、今回アップロードされた時刻を示すフォルダ(YYYYMMDD-hhmmssフォルダ)を生成し、YYYYMMDD-hhmmssフォルダ内に差分データを記録する。
図20では、一実施形態に係るサーバ5のストレージ52におけるディレクトリの構成例を示す。図16と異なる点は、バックアップデータとして差分データがストレージ52に格納される点にある。図20では、今回の編集済み呼出しテーブルと前回の編集済み呼出しテーブルの差分を「差分呼出しテーブル」とし、今回の編集済み漢字テーブルと前回の編集済み漢字テーブルの差分を「差分漢字テーブル」とし、今回の編集済み店名テーブルと前回の編集済み店名テーブルの差分を「差分店名テーブル」としている。
マスタファイルはサーバ5において既知であるため、マスタファイルと、毎回自動バックアップされる1又は複数の差分データとに基づいて、後述するリストア時に最新のマスタ編集ファイルを再生することができる。
【0098】
図21は、差分データをバックアップするときの自動バックアップ処理を示すシーケンスチャートである。図21において、ステップS38~S44は図17のシーケンスチャートと同じであるため重複説明を省略する。
サーバ5は、マスタ編集ファイルをプリンタ3から受信すると、既にストレージ52にバックアップされている最新のファイルとステップS44で受信したマスタ編集ファイルとの差分データを抽出する(ステップS52)。サーバ5は、ステップS44でファイルを受信した時刻に基づいてYYYYMMDD-hhmmssフォルダ(図20参照)を生成し、生成したYYYYMMDD-hhmmssフォルダに差分データを記録する(ステップS54)。ステップS44で受信した設定情報ファイルはそのままYYYYMMDD-hhmmssフォルダに記録される。
一実施形態では、サーバ5は、古い差分データを消去する(ステップS56)。すなわち、古い差分データをいつまでも格納しておくとストレージ52の容量を圧迫するため、古い差分データを順に消去していくことが好ましい。
【0099】
以上、本発明の情報処理システム、プリンタ、プログラムの一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…情報処理システム
2…コンピュータ装置
21…制御部
22…ストレージ
23…操作入力部
24…表示部
25…LANインタフェース
26…USBインタフェース
3…プリンタ
31…制御部
311…データ更新部
312…データ編集部
313…印字制御部
314…自動バックアップ処理部
315…手動バックアップ処理部
316…バックアップ世代設定部
317…リストア処理部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
35…搬送部
36…印字部
37…LANインタフェース
38…USBインタフェース
5…サーバ
51…制御部
511…データ記録部
512…データ削除部
52…ストレージ
53…通信部
101…指示ボタン群
102…配置設定ボタン群
103…デザインウィンドウ
104…プロジェクト設定部
105…オブジェクトプロパティ設定部
204…出力先選択部
206…発行データ表示部
207…入力ボックス群
211~213…編集許否ボタン
301…入力領域
302,303…選択ボタン
304…チェックボックス群
OBJ1~OBJ4…オブジェクト
SK…ソフトウェアキーボード
TL1…呼出しテーブル定義データ
TL2…呼出しテーブル
TL3…漢字テーブル
TL4…店名テーブル
図1
図2
図3
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