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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135755
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B60R11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041000
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 真矢
(72)【発明者】
【氏名】岩田 明道
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB06
3D020BC13
3D020BD03
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】アンテナおよび通信装置に対するエンジンの排熱の影響を低減して、通信に障害が発生するおそれを低減する。
【解決手段】作業車両は、エンジンと、ステアリングコラムと、エンジンとステアリングコラムとの間に位置する仕切部材と、アンテナと、アンテナと電気的に接続される通信装置と、を備える。アンテナおよび通信装置は、仕切部材とステアリングコラムとの間に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
ステアリングコラムと、
前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に位置する仕切部材と、
アンテナと、
前記アンテナと電気的に接続される通信装置と、を備え、
前記アンテナおよび前記通信装置は、前記仕切部材と前記ステアリングコラムとの間に位置する、作業車両。
【請求項2】
前記アンテナおよび前記通信装置は、前記仕切部材から離れた位置に配置される、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
電装部品と、
前記電装部品を支持する電装部品支持部材と、をさらに備え、
前記電装部品支持部材は、前記仕切部材と前記ステアリングコラムとの間に位置し、
前記通信装置は、前記仕切部材と前記電装部品支持部材との間に位置する、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記エンジンを覆うボンネットと、
前記ボンネットと前記ステアリングコラムとの間に位置するダッシュボードをさらに備え、
前記アンテナおよび前記通信装置は、前記ダッシュボードの内部に位置する、請求項1から3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記通信装置は、前記仕切部材と前記アンテナとの間に位置し、
前記ダッシュボードは、
前記通信装置を覆う第1カバーと、
前記アンテナを覆う第2カバーと、を有する、請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第2カバーは、樹脂を含む、請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第1カバーは、金属を含む、請求項5または6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記仕切部材と前記ステアリングコラムとの間に位置する燃料タンクをさらに備え、
前記アンテナおよび前記通信装置は、前記燃料タンクの上面よりも上方に位置する、請求項1から7のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、自車位置を検知するGPS機能と、自車で生成した情報を外部に通信回線を用いて送信するデータ回線通信機能と、を有するトウモロコシ収穫機(以下、作業車両とも称する)が開示されている。この作業車両では、運転席がキャビンで覆われている。そして、キャビンの後方底部に通信装置を配置し、通信装置とアンテナとを接続する配線(アンテナケーブル)を、キャビンの後部において上方向に引き出している。これにより、アンテナを高い位置に設置して、良好な電波受信性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-020675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運転席がキャビンで覆われていないタイプの作業車両では、アンテナケーブルをキャビンに沿って這わすことができないため、アンテナおよび通信装置の設置を工夫する必要がある。例えば、アンテナおよび通信装置を、操縦ハンドルが設置されるステアリングコラムよりも前方で、エンジンよりも後方に配置する構成が考えられる。しかし、エンジンの後方にアンテナおよび通信装置を配置する構成では、エンジンの排熱がアンテナおよび通信装置に届いてアンテナおよび通信装置が高温になる場合がある。アンテナおよび通信装置が耐熱温度を超えると、通信が不安定になるなど、通信に障害が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、アンテナおよび通信装置に対するエンジンの排熱の影響を低減して、通信に障害が発生するおそれを低減することができる作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る作業車両は、エンジンと、ステアリングコラムと、前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に位置する仕切部材と、アンテナと、前記アンテナと電気的に接続される通信装置と、を備え、前記アンテナおよび前記通信装置は、前記仕切部材と前記ステアリングコラムとの間に位置する。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、アンテナおよび通信装置に対するエンジンの排熱の影響を低減して、通信に障害が発生するおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態に係る作業車両の一例であるトラクタの概略の構成を示す側面図である。
図2】上記トラクタが備えるダッシュボードの後方斜視図である。
図3】上記ダッシュボードの内部の構成を、第2カバーおよび操縦ハンドルを取り外した状態で示す斜視図である。
図4】上記ダッシュボードの内部の構成を、第1カバーをさらに取り外した状態で示す斜視図である。
図5】上記ダッシュボードの内部の構成を、ウレタンカバーをさらに取り外した状態で示す斜視図である。
図6】上記ダッシュボードの内部の構成を、ウレタンカバーをさらに取り外した状態で示す平面図である。
図7】上記第1カバーを斜め上方から見たときの斜視図である。
図8】上記第1カバーを斜め下方から見たときの斜視図である。
図9】上記トラクタが備えるアンテナを支持する第1支持ステーを後方から見たときの斜視図である。
図10】上記第1支持ステーを前方から見たときの斜視図である。
図11】上記トラクタが備える通信装置の支持構造を示す後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施形態では、作業車両としてトラクタを例に挙げて説明するが、作業車両としては、トラクタの他、各種の収穫機、田植機、コンバイン、土木・建築作業装置、除雪車等の乗用型作業車両を考えることができる。
【0010】
また、本明細書では、方向を以下のように定義する。まず、作業車両としてのトラクタが作業時に進行する方向を「前」とし、その逆方向を「後」とする。また、トラクタの進行方向に向かって右側を右とし、左側を左とする。そして、トラクタの前後方向および左右方向に垂直な方向を上下方向とする。このとき、重力方向を下とし、その反対側を上とする。図面では、適宜、前方向をFで示し、後方向をBで示し、左方向をLで示し、右方向をRで示し、上方向をUで示し、下方向をDで示す。
【0011】
図1は、本実施形態の作業車両の一例であるトラクタ1の概略の構成を示す側面図である。トラクタ1は車体2を備える。車体2の前部は、左右一対の前輪3で支持される。車体2の後部は、左右一対の後輪4で支持される。
【0012】
車体2の前部には、ボンネット5が配置される。ボンネット5の下方には、駆動源としてのエンジン6が配置される。すなわち、トラクタ1は、エンジン6と、エンジン6を覆うボンネット5と、を備える。エンジン6は、例えばディーゼルエンジンで構成されるが、これに限定されるわけではなく、例えばガソリンエンジンで構成されてもよい。
【0013】
車体2におけるエンジン6の後方には、操縦者(運転者)が搭乗する運転席7が設けられる。運転席7には、運転者が操向操作するための操縦ハンドル8と、運転者の運転座席9と、が設けられる。操縦ハンドル8は、ステアリングコラム10により、旋回可能に支持される。すなわち、トラクタ1は、運転席7に位置するステアリングコラム10を備える。運転席7には、運転者によって操作される操作レバーLV、ペダルP等も設けられる。
【0014】
車体2の後方側には、3点リンク機構が設けられる。3点リンク機構は、左右一対のロアリンク11と、アッパリンク(図示せず)と、を含んで構成される。3点リンク機構には、作業機を装着することが可能である。作業機としては、例えば耕耘装置、プラウ、施肥装置を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。また、車体2の後方側には、昇降シリンダ等の油圧装置を有する昇降装置(図示せず)が設けられる。昇降装置が3点リンク機構を昇降させることにより、上記作業機を昇降させることができる。
【0015】
車体2において、運転席7(運転座席9)の後部には、ロプスフレーム12が設けられる。本実施形態のトラクタ1は、運転座席9がキャビンで覆われていないタイプである。そのため、トラクタ1の転倒時に運転者を保護する目的で、ロプスフレーム12が設けられる。
【0016】
車体2において、エンジン6の後方、かつ、運転席7の下方には、ミッションケース13が位置する。ミッションケース13の内部には、動力伝達装置(図示せず)が配置される。エンジン5の回転動力は、ミッションケース13内の動力伝達装置を介して、前輪3および後輪4の少なくとも一方に伝達される。
【0017】
車体2において、ボンネット5とステアリングコラム10との間には、ダッシュボード14が配置される。すなわち、トラクタ1は、ボンネット5とステアリングコラム10との間に位置するダッシュボード14を備える。図2は、ダッシュボード14を後方から見たときの斜視図である。ダッシュボード14は、第1カバー141と、第2カバー142と、を有する。
【0018】
第1カバー141の大部分は、第2カバー142よりも前方に位置する。第1カバー141は、SUSなどの金属で構成される。
【0019】
第2カバー142は、第1カバー141の後部上方に位置する。第2カバー142は、樹脂で構成される。つまり、第2カバー142は、樹脂を含む。上記樹脂としては、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)などが挙げられる。第2カバー142の後端には、速度計、燃料計、水温計などを示すメータパネル142aが設置される。
【0020】
図3は、ダッシュボード14の内部の構成を、第2カバー142および操縦ハンドル8を取り外した状態で示す斜視図である。図4は、ダッシュボード14の内部の構成を、第1カバー141をさらに取り外した状態で示す斜視図である。また、図5および図6はそれぞれ、ダッシュボード14の内部の構成を、図4のウレタンカバー44をさらに取り外した状態で示す斜視図および平面図である。
【0021】
これらの図に示すように、ボンネット5とステアリングコラム10との間、より詳しくは、ボンネット5の内部のエンジン6(図1参照)と、ステアリングコラム10との間には、仕切部材である仕切板20が位置する。仕切板20は、ボンネット5の内部とダッシュボード14の内部とを仕切る隔壁である。仕切板20は、厚さが例えば10mm程度の金属製の板で構成される。
【0022】
ダッシュボード14の内部には、アンテナ31と、通信装置32と、が位置する。すなわち、トラクタ1は、アンテナ31と、通信装置32と、を備える。アンテナ31は、GPS(全地球測位システム)衛星からの電波を受信するGPSアンテナである。
【0023】
図7は、ダッシュボード14の第1カバー141を斜め上方から見たときの斜視図である。図8は、第1カバー141を斜め下方から見たときの斜視図である。アンテナ31は、円柱形状のアンテナ本体31aと、軸部31bと、を有する。軸部31bは、アンテナ本体31aの底面から下方に突出して位置する。軸部31bの外周面には、螺旋状のねじ山が設けられている。アンテナ31は、第1カバー141の内側に位置するフレーム部141F(特に後述する突片部141F1)に、第1支持ステー143を介して取り付けられる。
【0024】
フレーム部141Fは、金属製であり、第1カバー141の内側で左右方向に延びて位置する。フレーム部141Fの左端部および右端部は、第1カバー141の内面に溶接によって連結される。フレーム部141Fの右端側には、前方に向かって斜め上方に突出する突片部141F1が設けられている。突片部141F1には、ボルトB1およびB2(図7参照)が挿通される挿通孔(図示せず)が設けられている。
【0025】
フレーム部141Fの中央部は、ペダルフレーム70(図6参照)に連結される。フレーム部141Fとペダルフレーム70との連結形態は、例えばボルト締結であるが、溶接であってもよい。ペダルフレーム70は、複数のペダルP(図2図5参照)を支持するフレームであり、図1で示した車体2のシャーシ(図示せず)に固定される。図2で示した第2カバー142は、フレーム部141Fを上方から覆うように位置する。
【0026】
図9は、上記の第1支持ステー143を後方から見たときの斜視図である。図10は、第1支持ステー143を前方から見たときの斜視図である。第1支持ステー143は、金属製であり、1枚の平板の折り曲げによって形成される。具体的には、第1支持ステー143は、第1平板部143aと、第2平板部143bと、を有する。第2平板部143bは、第1平板部143aの下端部に、第1平板部143aと鈍角で傾斜するように連結される。
【0027】
第1平板部143aは、挿通口143a1を有する。挿通口143a1には、アンテナ31の軸部31bが上方から挿通される。挿通口143a1に挿通された軸部31bは、大径ナットなどの締結部(図示せず)と締結される。これにより、アンテナ31が第1支持ステー143に固定される。
【0028】
図9に示すように、第2平板部143bは、2個の貫通孔143b1および143b2を有する。第2平板部143bにおいて、貫通孔143b1および143b2は、フレーム部141Fの突片部141F1に設けられた2個の上記挿通孔と対応する位置に設けられている。貫通孔143b1および143b2には、対応する上記挿通孔を介して、ボルトB1およびB2が挿入される。第2平板部143bにおいて、ボルトB1およびB2の挿入側とは反対側には、図10に示すように、ナット143N1および143N2が溶接により一体化されている。
【0029】
したがって、貫通孔143b1および143b2と、2個の上記挿通孔とを位置合わせした状態で、第1支持ステー143の第2平板部143bを、フレーム部141Fの突片部141F1に下方から接触させる。そして、第2平板部143bの貫通孔143b1および143b2に、対応する挿通孔を介してボルトB1およびB2を挿入する。ボルトB1およびB2を回転させて、それぞれをナット143N1および143N2と噛み合わせることにより、アンテナ31を固定した第1支持ステー143が、フレーム部141Fに取り付けられる。以上のようにして、アンテナ31が、第1支持ステー143を介してフレーム部141Fに取り付けられる。なお、第1支持ステー143を先にフレーム部141Fに取り付け、その後、アンテナ31を第1支持ステー143に固定してもよい。アンテナ31および第1支持ステー143は、フレーム部141Fとともに第2カバー142によって覆われる。
【0030】
通信装置32は、アンテナケーブルなどの配線(図示せず)を介して、アンテナ31と電気的に接続される。通信装置32は、アンテナ31を介して人工衛星(図示せず)と通信することにより、トラクタ1の現在位置を特定する。これにより、トラクタ1は、現在位置の情報と、予め設定された経路情報とに基づいて、自律走行することが可能となる。
【0031】
図11は、通信装置32の支持構造を示す斜視図である。通信装置32は、第2支持ステー33によって支持される。第2支持ステー33は、前後方向に延びて位置する。第2支持ステー33の前端部は、固定板33aと連結される。固定板33aは、上下方向および左右方向に延びる平板である。固定板33aには、2個の貫通孔33a1が左右方向に並んで設けられる。固定板33aの各貫通孔33a1およびヒンジカバー41の挿通孔(図示せず)にボルト(図示せず)を挿入し、ナットで締結する。これにより、第2支持ステー33は、固定板33aを介してヒンジカバー41に固定される。
【0032】
また、第2支持ステー33の後端部には、電装部品支持部材34が一体的に設けられている。電装部品支持部材34は、コネクタ、リレーなどの電装部品35を支持する部材(例えばステー)である。このように、本実施形態のトラクタ1は、電装部品35と、電装部品35を支持する電装部品支持部材34と、を備える。電装部品支持部材34は、左右方向に長尺状に形成されており、第2支持ステー33よりも左右方向に幅広である。
【0033】
電装部品支持部材34の後端部には、取付板34aが設けられている。取付板34aには、2個の挿通孔34a1および34a2が形成されている。取付板34aの各挿通孔34a1および34a2に上方からボルトB3およびB4(図6参照)を挿入し、ペダルフレーム70(図6参照)に設けられた固定穴(図示せず)を通過させてナット(図示せず)で締結する。これにより、第2支持ステー33は、電装部品支持部材34を介してペダルフレーム70に固定される。つまり、第2支持ステー33は、前側で固定板33aを介してヒンジカバー41に固定され、後側で電装部品支持部材34を介してペダルフレーム70に固定される。
【0034】
図6に示すように、ペダルフレーム70は、仕切板20とステリングコラム10との間に位置する。したがって、後端部が取付板34aを介してペダルフレーム70に固定された電装部品支持部材34は、ダッシュボード14内において、仕切板20とステアリングコラム10との間に位置すると言える。また、図6に示すように、第2支持ステー33は、仕切板20よりも後方で、電装部品支持部材34よりも前方に位置する。このことから、第2支持ステー33によって支持される通信装置32は、仕切板20と電装部品支持部材34との間に位置すると言える。
【0035】
図6および図11に示すように、ヒンジカバー41は、ボンネット5を上下方向に回動させる2つのヒンジ42の回動軸部43よりも後方に位置するカバーである。ヒンジカバー41は、仕切板20の後面に取り付けられ、ウレタンカバー44(図4参照)によって上方から覆われる。2つのヒンジ42における、回動軸部43とは反対側の端部は、取付板45を介してボンネット5の内面に固定される。これにより、回動軸部43を軸としてボンネット5を上下方向に回動させることが可能となる。ボンネット5を上方に回動させて開くことにより、ボンネット5の内部が露出し、エンジン6等のメンテナンスを行うことが可能となる。
【0036】
図5等に示すように、アンテナ31および通信装置32は、仕切板20とステアリングコラム10との間に位置する。仕切板20はエンジン6の後方に位置するため、エンジン6で発生して後方に放射される熱の大部分は、仕切板20によって遮断される。したがって、仕切板20とステリングコラム10との間にアンテナ31および通信装置32が位置することにより、アンテナ31および通信装置32に対するエンジン6の排熱の影響を低減することができる。つまり、エンジン6の排熱により、アンテナ31および通信装置32が耐熱温度を超えるほど高温になるおそれを低減することができる。その結果、エンジン6の排熱に起因して、アンテナ31を介して行われる通信装置32の通信が不安定になるなど、通信に障害が発生するおそれを低減することができる。
【0037】
また、アンテナ31を、上記した第1支持ステー143を介してフレーム部141Fに取り付けることにより、アンテナ31を、仕切板20から(後方に)離れた位置に配置することができる。さらに、通信装置32を第2支持ステー33で支持し、この第2支持ステー33を、固定板33aおよびヒンジカバー41を介して仕切板20に固定することにより、通信装置32を仕切板20から(後方に)離れた位置に配置することができる。なお、通信装置32と仕切板20との距離は、ダッシュボード14の内部での他の部品の配置を考慮して適切に設定されればよい。
【0038】
このように、本実施形態では、アンテナ31および通信装置32が、仕切板20から(後方に)離れた位置に配置される。これにより、エンジン6の排熱によって仕切板20が高温になっても、仕切板20からアンテナ31および通信装置32に直接、熱が伝わりにくくなり、アンテナ31および通信装置32が高温になりにくくなる。つまり、アンテナ31および通信装置32に対するエンジン6の排熱の影響を確実に低減することができる。
【0039】
また、本実施形態では、上述のように、電装部品支持部材34は、仕切板20とステアリングコラム10との間に位置する。そして、通信装置32は、仕切板20と電装部品支持部材34との間に位置する。
【0040】
このような通信装置32の配置では、電装部品支持部材34とステアリングコラム10との間に、電装部品35と電気的に接続される部材(例えば図2のメータパネル142a)を配置するスペースを容易に確保することができる。
【0041】
また、本実施形態では、アンテナ31および通信装置32は、ダッシュボード14の内部に位置する(図2図6参照)。この構成では、アンテナ31および通信装置32がダッシュボード14で隠れるため、アンテナ31および通信装置32の存在が外部からわかりにくくなる。これにより、アンテナ31および通信装置32の盗難を防ぐことができる。
【0042】
図5等に示すように、通信装置32は、仕切板20とアンテナ31との間に位置する。詳しくは、通信装置32は、ダッシュボード14の第1カバー141の下方に位置し、第1カバー141によって覆われる。一方、上述のように、アンテナ31は、第2カバー142によって覆われる。
【0043】
このように、本実施形態では、ダッシュボード14が、通信装置32を覆う第1カバー141と、アンテナ142を覆う第2カバー142と、を有する。通信装置32を覆うカバーと、アンテナ31を覆うカバーとを、第1カバー141と第2カバー142とで分けることにより、第1カバー141および第2カバー142を互いに異なる材料で形成することができる。例えば、本実施形態のように、第1カバー141を金属で形成し、第2カバー142を樹脂で形成することができる。
【0044】
ここで、アンテナ31の周囲が金属製の部材で覆われると、アンテナ31で受信する電波が上記部材で遮断され、通信障害が発生するおそれがある。本実施形態では、アンテナ31を覆う第2カバー142は、樹脂製である。つまり、アンテナ31を覆う第2カバー142は樹脂を含む。これにより、アンテナ31で受信する電波が第2カバー142で遮断されるおそれを低減することができ、アンテナ31を介して行われる通信に障害が発生するおそれを低減することができる。
【0045】
一方、通信装置32を覆う第1カバー141は、金属製である。すなわち、第1カバー141は金属を含む。これにより、ダッシュボード14の強度を第1カバー141によって確保することができる。
【0046】
図4および図5に示すように、トラクタ1は、燃料タンク50を備える。燃料タンク50は、燃料を収容する容器である。燃料タンク50は、ダッシュボード14の内部に位置する。より詳しくは、燃料タンク50は、仕切板20とステアリングコラム10との間に位置する。燃料タンク50内の燃料は、燃料ポンプ(図示せず)により、燃料ホースを介してエンジン6に供給される。
【0047】
本実施形態では、アンテナ31および通信装置32は、ダッシュボード14内で、燃料タンク50の上面50aよりも上方に位置する。これにより、ダッシュボード14内で、燃料タンク50の上面50aよりも上方の空間を、アンテナ31および通信装置32の配置空間として有効活用して、コンパクトなトラクタ1を実現することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えばトラクタなどの作業車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 トラクタ(作業車両)
5 ボンネット
6 エンジン
10 ステアリングコラム
14 ダッシュボード
141 第1カバー
142 第2カバー
20 仕切板(仕切部材)
31 アンテナ
32 通信装置
34 電装部品支持部材
35 電装部品
50 燃料タンク
50a 上面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11