(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135817
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】電波時計レピータ
(51)【国際特許分類】
H04B 7/15 20060101AFI20230922BHJP
G04G 5/00 20130101ALN20230922BHJP
【FI】
H04B7/15
G04G5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041099
(22)【出願日】2022-03-16
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000232461
【氏名又は名称】日本電波株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三枝 宏美
【テーマコード(参考)】
2F002
5K072
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AF02
2F002FA16
2F002GA06
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB14
5K072BB17
5K072DD16
5K072GG01
5K072GG12
5K072GG13
5K072GG14
(57)【要約】
【課題】 周囲環境の影響を受けることなく、壁掛け式の電波時計に疑似標準電波を届けることが可能な電波時計レピータを提供する。
【解決手段】 電波時計レピータは、標準時に応じた時刻情報信号を送信する親機1と、親機1からの時刻情報信号を受信して疑似標準電波を出力する子機11と、を備えている。子機11は、壁掛け式の電波時計Cに重なるように、電波時計Cの背面と壁面Wとの間に取付けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標準時に応じた時刻情報信号を送信する親機と、前記親機からの前記時刻情報信号を受信して疑似標準電波を出力する子機と、を備えた電波時計レピータであって、
前記子機は、壁掛け式の電波時計に重なるように、前記電波時計の背面と壁面との間に取付けられることを特徴とする電波時計レピータ。
【請求項2】
前記子機は、前記電波時計の垂直方向に沿って前記電波時計に対する相対的な位置を調整することができるアジャスタ機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電波時計レピータ。
【請求項3】
前記子機は、
前記時刻情報信号を受信する子機側通信部と、
アンテナとしてのコイルを有し、前記時刻情報信号に基づいて前記コイルから前記疑似標準電波を出力する疑似標準電波出力部と、を備え、
前記アジャスタ機構は、前記電波時計の垂直方向に対して前記コイルの位置を調整することができることを特徴とする請求項2に記載の電波時計レピータ。
【請求項4】
前記疑似標準電波出力部は、前記コイルに電気的に接続されたコンデンサを備え、
前記コイルおよび前記コンデンサは、Q値が40kHzまたは60kHzとなる共振回路を構成したことを特徴とする請求項3に記載の電波時計レピータ。
【請求項5】
前記子機は、前記子機側通信部および前記疑似標準電波出力部を制御する子機制御手段をさらに備え、
前記子機制御手段は、1日以上30日以内の予め決められた所定期間毎に、前記疑似標準電波出力部から前記疑似標準電波を出力させることを特徴とする請求項3または4に記載の電波時計レピータ。
【請求項6】
前記子機制御手段は、前記所定期間が経過したときに、当日の夜間のうち予め決められた開始時刻から終了時刻までの間にわたって、前記疑似標準電波出力部から前記疑似標準電波を出力させることを特徴とする請求項5に記載の電波時計レピータ。
【請求項7】
前記子機制御手段は、40kHzまたは60kHzのいずれかの周波数で前記疑似標準電波を前記疑似標準電波出力部から出力させることを特徴とする請求項5に記載の電波時計レピータ。
【請求項8】
前記子機側通信部は、前記親機と他の子機との間の通信を中継する機能を備えていることを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の電波時計レピータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電波時計に向けて疑似標準電波を出力可能な電波時計レピータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電波時計に向けて標準電波と同じ仕様の疑似的な標準電波(以下、疑似標準電波という)を出力する電波時計レピータが開示されている。この電波時計レピータは、例えばインターネット等を経由して時刻情報を取得し、この時刻情報に基づいて電波時計に向けて疑似標準電波を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された電波時計レピータは、40kHzまたは60kHzの長波の搬送波に時刻データをAM変調させた疑似標準電波を出力している。しかしながら、長波の特性上、波長が長いため、ビル等の内部には標準電波が伝搬されないことが知られている。このため、一般的な性能として10m程度の通信可能距離を持つ電波時計レピータであっても、例えば建物構造によって、電波時計レピータを設置している部屋とは別室に設置された電波時計には、標準電波を伝搬させることができないことがある。この結果、電波時計レピータの通信距離の範囲内であっても、電波時計が疑似標準電波を受信できない場合がある。
【0005】
また、一般的な電波時計レピータは、電波の出力を十分に確保して疑似標準電波を広い範囲に届くようにするために、例えば1~2ワット程度の消費電力が必要であり、駆動電源として商用電源に接続されている。これに対し、壁掛け式の電波時計は、商用電源から離れた位置に設置されている。このため、電波時計レピータは、例えば電波時計の背面のように、電波時計に近接した場所に配置することができなかった。
【0006】
本発明の目的は、周囲環境の影響を受けることなく、壁掛け式の電波時計に疑似標準電波を届けることが可能な電波時計レピータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、標準時に応じた時刻情報信号を送信する親機と、前記親機からの前記時刻情報信号を受信して疑似標準電波を出力する子機と、を備えた電波時計レピータであって、前記子機は、壁掛け式の電波時計に重なるように、前記電波時計の背面と壁面との間に取付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、壁掛け式の電波時計の背面に配置された子機が疑似標準電波を出力することによって、周囲環境の影響を受けることなく、電波時計に疑似標準電波を届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態による電波時計レピータを示す全体構成図である。
【
図5】子機を壁に取付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】親機による標準電波データ送信処理を示す流れ図である。
【
図9】子機による疑似標準電波送信処理を示す流れ図である。
【
図10】第2の実施形態による電波時計レピータを示す全体構成図である。
【
図11】電波時計レピータの自動ルーティング機能によってネットワークが再構成された状態を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態による電波時計レピータを添付図面に従って詳細に説明する。なお、
図8、
図9に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用いる(例えば、ステップ1は「S1」とする)。
【0011】
図1ないし
図9は、第1の実施形態を示している。電波時計レピータは、標準時に応じた時刻情報信号(標準電波データ)を送信する親機1と、親機1からの時刻情報信号を受信して疑似標準電波を出力する子機11と、を備えている。
【0012】
図1ないし
図2に示すように、親機1は、箱型の親機ケーシング2を備えている。また、親機1は、親機リアルタイムクロック3(以下、親機RTC3という)、主電源部4、無線モジュール5、親機コントローラ8を備えている。親機RTC3、無線モジュール5および親機コントローラ8は、親機ケーシング2内に収容されている。これに加えて、親機1は、時刻設定部6、表示部7を備えている。
【0013】
図3に示すように、親機RTC3は、例えば水晶振動子等を用いて構成され、時刻を計時する。親機RTC3は、親機コントローラ8に接続されている。親機RTC3には、親機コントローラ8を介して主電源部4から電力が供給される。このため、主電源部4が商用交流電源(商用AC電源)に接続された状態では、親機RTC3は、主電源部4から供給される電力によって駆動する。親機RTC3は、入力された初期時刻に基づいて現在の時刻を求める。親機RTC3は、現在の時刻に応じた信号を親機コントローラ8に出力する。
【0014】
また、親機RTC3は、例えばボタン型電池、コンデンサ等からなるバックアップ電源3Aに接続されている。これにより、親機RTC3は、主電源部4からの電力供給が一時的に停止された状態でも、バックアップ電源3Aからの電力供給によって駆動を継続し、時刻を刻み続ける。
【0015】
商用AC電源で動作する機器であっても、一般的にRTC(リアルタイムクロック)を利用して時刻を管理する。RTCは、周囲の環境(主に温度)によって時刻に誤差が生じる。この誤差を回避するために、親機RTC3には、補正機能が組み込まれている。具体的には、親機RTC3は、基準発信器(例えば32.768kHz)の周波数クロックが「所定カウント数」入ったら1秒を加算するところ、20秒に1回だけ「所定カウント数+設定値」で1秒を加算する。これにより、親機RTC3は、時刻カウントを補正する。
【0016】
主電源部4は、親機コントローラ8に接続されている。主電源部4は、親機コントローラ8に向けて電力を供給する。主電源部4は、電源アダプタ4A、AC-DC変換回路4B、低電圧電源回路4Cを備えている。電源アダプタ4Aは、例えば差込みプラグ等によって構成され、商用AC電源のコンセント(図示せず)に接続される。電源アダプタ4Aは、商用電源の交流電力をAC-DC変換回路4Bに供給する。AC-DC変換回路4Bは、各種のコンバータ回路によって構成され、交流電力を直流電力に変換する。低電圧電源回路4Cは、AC-DC変換回路4Bから供給される直流電力の電圧を、親機コントローラ8が必要な一定の低電圧(例えば、3.3V)に変換する。低電圧電源回路4Cは、例えば各種のDC-DCコンバータ回路によって構成されている。低電圧電源回路4Cは、低電圧の直流電力を親機コントローラ8に供給する。
【0017】
また、主電源部4は、AC信号抽出回路4Dを備えている。AC信号抽出回路4Dは、電源アダプタ4Aから出力される商用電源の交流電圧を検出し、この交流電圧に応じた信号を親機コントローラ8に出力する。主電源部4は、電源アダプタ4Aを除いて、親機ケーシング2内に収容されている。即ち、AC-DC変換回路4B、低電圧電源回路4C、AC信号抽出回路4Dは、親機ケーシング2内に収容されている。
【0018】
無線モジュール5は、親機側通信部を構成している。親機1の無線モジュール5は、子機11の無線モジュール23との間で、LPWA(Low Power Wide Area-network)の無線通信を行う。無線モジュール5は、例えば920MHz帯でのLoRa通信方式を使用する。これにより、無線モジュール5は、比較的外乱に強く長距離通信が可能になっている。無線モジュール5は、アンテナ(図示せず)から920MHz帯の電波を送信または受信する。920MHz帯の電波を用いるため、受信感度が高く、建物の壁等にも強く、入り組んだ屋内でも通信が可能になっている。
【0019】
時刻設定部6は、親機ケーシング2の正面に取付けられている。時刻設定部6は、例えば複数のボタンスイッチ等によって構成され、親機コントローラ8に接続されている。時刻設定部6は、親機1の初期時刻を設定するために使用される。具体的には、時刻設定部6は、初期時刻を進退させるスイッチを備えている。例えば親機1を初めて起動するとき、長期間にわたって親機1の電源を入れていなかったときに、使用者は、時刻設定部6を用いて親機1の初期時刻を設定する。
【0020】
表示部7は、親機ケーシング2の正面に取付けられている。表示部7は、例えば7セグメントのLEDや単色のチップLED、フルカラーLED等によって構成され、親機コントローラ8に接続されている。表示部7は、例えば現在時刻、初期時刻等を表示する。表示部7は、エラー表示として、親機1等に異常が生じたときに点灯する。
【0021】
親機コントローラ8は、例えばマイコンピュータ等によって構成されている。親機コントローラ8は、メモリ8Aに格納されたプログラムに従って駆動する。親機コントローラ8は、親機RTC3に基づく時刻を、商用交流電源(商用AC電源)の電圧信号に基づいて修正する。
【0022】
商用AC電源の周波数は、電力会社により高精度に制御されている。このため、商用AC電源の電圧信号を時計の発振回路として使用すると、水晶振動子のように一定の割合で「誤差/月」が発生することが無く、1年を通じて累積誤差を±10秒程度の範囲に維持することできる。従って、長期的な観点でみると、RTCを用いずにAC電源同期で時刻管理を行う方が高精度になる。そこで、親機コントローラ8は、商用AC電源によって駆動しているときに、定期的に親機RTC3とAC同期時刻の偏差を求める。親機コントローラ8は、この偏差に基づいて、親機RTC3の補正設定値を変更する。これにより、親機コントローラ8は、親機RTC3を用いて正確な時刻情報を取得することができる。
【0023】
なお、親機1は、親機RTC3を用いて時刻情報を取得するものに限らない。親機1は、例えば、特許文献1に開示された電波時計レピータと同様に、有線または無線によってインターネットに接続され、インターネットを経由して時刻情報を取得してもよい。
【0024】
親機コントローラ8は、標準電波データ設定回路9に接続されている。親機コントローラ8は、親機RTC3等を用いて取得した正確な時刻情報を標準電波データ設定回路9に出力する。標準電波データ設定回路9は、親機コントローラ8から入力された時刻情報に基づいて、疑似標準電波のデータとなるタイムコードを設定する。タイムコードには、例えば、年、月、日、時、分等の時刻情報が含まれる。標準電波データ設定回路9は、設定した標準電波データ(タイムコード)を親機コントローラ8に出力する。
【0025】
親機コントローラ8は、常時はスリープ状態になっている。親機コントローラ8は、予め決められた起動日時D10になると起動して、子機11からの呼出信号が届くのを待つ。親機コントローラ8は、子機11からの呼出信号を受信すると、子機11との間の通信を確立し、時刻情報信号としての標準電波データを、無線モジュール5を用いて子機11に送信する。
【0026】
図4ないし
図6に示すように、子機11は、子機ケーシング12、掛止め具13、アジャスタ機構14を備えている。子機ケーシング12は、所定の厚さ寸法を有する平板状に形成され、本体収容部12Aと、蓋部12Bとによって構成されている。本体収容部12Aは、例えば四角形の箱状に形成され、前面側が開口している。本体収容部12Aの内部には、後述する電源部22、無線モジュール23、疑似標準電波出力部24、子機コントローラ30等が収容されている。
【0027】
蓋部12Bは、平板状に形成され、ねじ止め等によって本体収容部12Aに取付けられている。蓋部12Bは、本体収容部12Aの前面側に位置して、本体収容部12Aの開口部分を覆っている。蓋部12Bの中央部分には、窓部12Cが形成されている。窓部12Cは、例えば四角形の貫通穴によって構成され、その内部には電源スイッチ22C、表示部25、設定部26、アクセススイッチ27等が露出している。
【0028】
掛止め具13は、L字型に屈曲した長方形の平板によって形成され、子機ケーシング12の上部に取付けられている。掛止め具13の中央部分には、例えば五角形の貫通孔からなる壁掛け穴13Aが形成されている。壁掛け穴13Aのうち最上部に位置する角部13Bには、例えば建物の壁面Wに取付けられたフック状の取付具Fの先端が挿入される。これにより、掛止め具13は、子機11を壁に掛止め状態で固定する。掛止め具13には、閂部材13Cが取付けられている。閂部材13Cは、掛止め具13の左右方向の両端に設けられた保持部13D,13Eに取付けられている。閂部材13Cは、壁掛け穴13Aの角部13Bよりも下側に位置して、壁掛け穴13Aを跨いで掛止め具13の左右方向に延びている。壁面Wに固定された取付具Fは、閂部材13Cを取外した状態で、壁掛け穴13Aに挿入され、角部13Bの位置で固定される。これにより、閂部材13Cは、壁(壁面W)に固定された取付具Fが壁掛け穴13Aの角部13Bに挿入されるのを許す。閂部材13Cは、壁掛け穴13Aに取付具Fが挿入された後に、掛止め具13に取付けられる。これにより、閂部材13Cは、電波時計Cを子機11から取外すときに、子機11から取付具Fが抜けるのを阻止する。
【0029】
アジャスタ機構14は、レール部材14A、スペーサ14C、スライダ14D、取付具14Eを備えている。レール部材14Aは、掛止め具13の前面に位置して上下方向に延びている。レール部材14Aの中央部分には、上下方向に延びる細長いスリットからなるガイド穴14Bが形成されている。レール部材14Aは、例えば3個のスペーサ14Cを介して掛止め具13の前面側に取付けられている。スペーサ14Cは、レール部材14Aの上端部分に1個配置されると共に、レール部材14Aの下端部分に2個配置されている。レール部材14Aと掛止め具13との間にスペーサ14Cが介在することによって、レール部材14Aは、間隔をもって掛止め具13と対面している。レール部材14Aと掛止め具13との間には、閂部材13Cが挿通されている。
【0030】
スライダ14Dは、レール部材14Aを挟んで互いに対面した2枚の板状部材によって構成されている。スライダ14Dの中央部分は、レール部材14Aのガイド穴14Bに挿入されている。スライダ14Dは、ガイド穴14Bに沿って上下方向に位置をずらすことができる。
【0031】
スライダ14Dの中央部分には、取付具14Eの基端が挿入されている。取付具14Eは、電波時計Cの壁掛け穴(図示せず)に挿入され、電波時計Cを支持する。取付具14Eは、円柱状の棒状部と、棒状部の先端に形成され棒状部よりも径方向寸法の大きな円板部とによって構成されている。取付具14Eは、例えば金属材料によって形成されている。円板部の外周面には、ローレット加工が施されている。取付具14Eの円板部は、電波時計Cが取付具14Eから抜け落ちるのを防止する抜止め部となっている。
【0032】
取付具14Eの棒状部の基端には、ボルトが形成されている。このボルトが締まる方向に取付具14Eの円板部を回転させたときに、スライダ14Dの2枚の板状部材は、互いに接近する方向に変位する。これにより、スライダ14Dは、2枚の板状部材によってレール部材14Aを挟持した状態となって、上下方向に対する変位が規制され、位置決め固定される。
【0033】
ボルトが緩む方向に取付具14Eの円板部を回転させたときに、スライダ14Dの2枚の板状部材は、互いに離間する方向に変位する。これにより、スライダ14Dは、2枚の板状部材によるレール部材14Aの挟持状態が解除され、上下方向に対する変位が可能になる。
【0034】
図7に示すように、子機11は、子機リアルタイムクロック21(以下、子機RTC21という)、電源部22、無線モジュール23、疑似標準電波出力部24、子機コントローラ30を備えている。子機RTC21、無線モジュール23、疑似標準電波出力部24および子機コントローラ30は、子機ケーシング12内に収容されている。これに加えて、子機11は、表示部25、設定部26を備えている。
【0035】
子機RTC21は、親機RTC3とほぼ同様に構成されている。このため、子機RTC21は、例えば水晶振動子等を用いて構成され、時刻を計時する。子機RTC21は、子機コントローラ30に接続されている。子機RTC21には、子機コントローラ30を介して電源部22から電力が供給される。このため、子機RTC21は、電源部22から供給される電力によって駆動する。子機RTC21は、子機11の時刻設定部(図示せず)によって入力された初期時刻に基づいて現在の時刻を求める。子機RTC21の初期時刻は、必ずしも子機11によって設定する必要はなく、親機1と子機11との間の通信を使用して、親機1によって設定してもよい。子機RTC21は、現在の時刻に応じた信号を子機コントローラ30に出力する。また、子機RTC21にも、親機RTC3と同様に、誤差を修正するための補正機能が組み込まれている。なお、子機RTC21にも、親機RTC3と同様に、例えばボタン型電池、コンデンサ等からなるバックアップ電源に接続してもよい。
【0036】
電源部22は、子機コントローラ30に接続されている。電源部22は、子機コントローラ30に向けて電力を供給する。電源部22は、電池ユニット22A、過放電保護回路22B、電源スイッチ22C、電池電圧確認回路22D、レギュレータ22Eを備えている。
【0037】
電池ユニット22Aは、例えば互いに直列接続された複数の電池(図示せず)を備えている。電池ユニット22Aは、複数の電池を収容するソケット(図示せず)を有している。電池ユニット22Aは、過放電保護回路22Bとレギュレータ22Eを介して子機コントローラ30に向けて電力を供給する。過放電保護回路22Bは、過放電から電池を保護する。レギュレータ22Eは、電池ユニット22Aからの出力電圧を子機コントローラ30が必要な一定の低電圧(例えば、3.3V)に変換する。電源スイッチ22Cは、過放電保護回路22Bに接続されている。電源スイッチ22CがONのときには、電池ユニット22Aから子機コントローラ30に電力が供給される。電源スイッチ22CがOFFのときには、電池ユニット22Aから子機コントローラ30への電力供給が遮断される。電池電圧確認回路22Dは、過放電保護回路22Bと子機コントローラ30に接続されている。電池電圧確認回路22Dは、電池ユニット22Aからの出力電圧を検出し、検出信号を過放電保護回路22Bと子機コントローラ30に出力する。
【0038】
無線モジュール23は、子機側通信部を構成している。無線モジュール23は、無線モジュール5と同様に構成されている。子機11の無線モジュール23は、親機1の無線モジュール5との間で、LPWAの無線通信を行う。無線モジュール23は、例えば920MHz帯でのLoRa通信方式を使用する。無線モジュール23は、アンテナ(図示せず)から920MHz帯の電波を送信または受信する。
【0039】
疑似標準電波出力部24は、標準電波出力回路24A、コイル24B、コンデンサ24Cを備えている。標準電波出力回路24Aは、子機コントローラ30に接続されている。標準電波出力回路24Aは、例えば40kHzの搬送波信号に子機コントローラ30から入力されるタイムコード(標準電波データ)を変調して、コイル24Bに供給する。コイル24Bは、アンテナコイルを構成している。コイル24Bは、直径が5~10mm程度(例えば7mm)で、軸方向の長さ寸法が8~15mm程度(例えば10mm)の小型のインダクタである。コイル24Bとコンデンサ24Cは、制御回路基板24Dに実装されると共に、互いに並列接続されている(
図6、
図7参照)。このとき、コイル24Bとコンデンサ24Cは、Q値が40kHzとなった共振回路を構成している。コイル24Bは、標準電波出力回路24Aから供給される信号に基づいて、40kHzの疑似的な標準電波(疑似標準電波)を放射する。
【0040】
図4に示すように、標準電波を受信する電波時計Cの受信アンテナAは、電波時計Cの左右方向の中央部分に配置される傾向がある。この点を考慮して、コイル24Bは、子機ケーシング12の左右方向の中央部分に配置されている。即ち、コイル24Bは、子機ケーシング12の左右方向に対して、アジャスタ機構14の取付具14Eと略同じ位置に配置されている。一方、電波時計Cの壁掛け穴は、電波時計Cの左右方向に対して、中央部分に配置されている。これにより、子機11を電波時計Cの背面に取付けたときには、コイル24Bは、電波時計Cの受信アンテナAと近付いた位置に配置される。この結果、電波時計Cの受信アンテナAは、コイル24Bからの疑似標準電波に対する感度が高くなる。また、コイル24Bは、子機ケーシング12の上側部分に配置されている。
【0041】
表示部25は、子機ケーシング12の正面に取付けられている。表示部25は、例えば単色のチップLED、フルカラーLED等によって構成されている。表示部25は、例えば2個のLEDによって構成され、子機コントローラ30に接続されている。表示部25は、現在の子機11の状態(ステータス)に応じて点灯する。具体的には、表示部25は、スリープ状態、駆動状態、親機1との通信状態、エラー状態等に応じて、消灯、点灯、点滅、点灯色等が切り換わる。
【0042】
設定部26は、例えば表示部25と隣り合う位置に取付けられている。設定部26は、例えばロータリースイッチによって構成され、子機コントローラ30に接続されている。設定部26は、ロータリースイッチを操作することによって、子機11の番号を設定する。これにより、複数の子機11が単一の親機1と通信を行う場合でも、親機1は、これらの子機11を個々に判別して、子機11に標準電波データを送信することができる。
【0043】
アクセススイッチ27は、例えば表示部25の下側位置に取付けられ、子機コントローラ30に接続されている。アクセススイッチ27を押すと、親機1に子機11の設定部26に応じた子機番号が通知され、親機1に子機11が登録される。
【0044】
電源スイッチ22Cは、例えば設定部26の下側位置に取付けられ、子機コントローラ30に接続されている。電源スイッチ22Cを押すことによって、子機11は駆動を開始する。これにより、子機コントローラ30は、メモリ30Aに格納されたプログラムを実行する。
【0045】
子機コントローラ30は、無線モジュール23および疑似標準電波出力部24を制御する子機制御手段である。子機コントローラ30は、例えばマイコンピュータ等によって構成されている。子機コントローラ30は、メモリ30Aに格納されたプログラムに従って駆動する。子機コントローラ30は、子機RTC21に基づく時刻を、親機コントローラ8からの標準電波データに基づいて修正する。これにより、子機コントローラ30は、子機RTC21を用いて正確な時刻情報を取得することができる。
【0046】
子機コントローラ30は、疑似標準電波出力部24に接続されている。子機コントローラ30は、子機RTC21を用いて取得した正確な時刻情報を疑似標準電波出力部24に出力する。疑似標準電波出力部24は、取得した時刻情報に基づいて、タイムコード(標準電波データ)が変調された疑似標準電波の信号を生成し、コイル24Bから疑似標準電波を放射させる。
【0047】
子機コントローラ30は、常時はスリープ状態になっている。子機コントローラ30は、予め決められた起動日時D11になると起動して、親機コントローラ8に呼出信号を送信する。呼出信号に基づいて、子機11と親機1との間で通信が確立されたときには、親機コントローラ8は、標準電波データ設定回路9から取得した標準電波データを、無線モジュール5を用いて子機11に送信する。子機コントローラ30は、無線モジュール23を用いて標準電波データを受信したときに、子機RTC21に基づく時刻を、標準電波データに基づいて修正する。その後、子機コントローラ30は、再びスリープ状態になり、予め決められた開始時刻Tsになるまで待機する。
【0048】
開始時刻Tsになると、子機コントローラ30は、開始時刻Tsから終了時刻Teにわたって、子機RTC21を用いて取得した正確な時刻情報を疑似標準電波出力部24に出力する。これにより、子機11は、開始時刻Tsから終了時刻Teにわたって、コイル24Bから疑似標準電波を放射させる。なお、疑似標準電波は、開始時刻Tsから終了時刻Teにわたって、連続的に出力してもよく、一定時間毎に間欠的に出力してもよい。
【0049】
親機1は、商用AC電源に接続されるため、常時起動してもよい。しかしながら、消費電力を低減するために、親機1は、起動日時D10から必要な時間だけ駆動するのが好ましい。なお、親機1の起動日時D10は、子機11の起動日時D11と同日である。しかしながら、子機RTC21による時刻の誤差を許容できるように、起動日時D10の時刻は、起動日時D11の時刻よりも数分程度(例えば5分程度)早くなっている。これにより、子機11が呼出信号を送信するときには、親機1は駆動状態になっている。
【0050】
開始時刻Tsと終了時刻Teは、これらの間に電波時計Cが標準電波を受信して時刻を修正する時刻が含まれるように設定されている。一般的に、電波時計Cは、午前2:00から午前3:30の間に標準電波を受信して、時刻を修正している。このため、開始時刻Tsは、例えば午前1:55頃に設定されており、終了時刻Teは、午前3:35頃に設定されている。また、子機11の起動日時D11は、例えば開始時刻Tsの1時間前に設定されている。
【0051】
起動日時D10,D11は、例えば1日から30日の間で予め決められた日数間隔が設定されている。具体的には、起動日時D10,D11は、例えば2週間(14日)の日数間隔が設定されている。従って、例えば子機11の起動日時D11が1月1日の午前0:50頃に起動する場合、親機1は、起動日時D10として1月1日の午前0:45頃に起動する。また、次回に親機1および子機11が起動する日(次回の起動日)は、2週間後の1月15日になっている。起動日時D10,D11、開始時刻Ts、終了時刻Teは、使用者の要求や電波時計Cの仕様等に応じて、適宜変更可能としてもよい。また、本実施形態では、子機11から親機1を呼び出すものとしたが、親機1から子機11を呼び出す構成としてもよい。
【0052】
次に、
図8を参照して、親機1が標準電波データを送信するときの標準電波データ送信処理について説明する。
【0053】
親機1は常時はスリープ状態になっている。S1では、親機コントローラ8は、親機RTC3を用いて取得した時刻情報に基づいて、起動日時D10になったか否かを判定する。起動日時D10ではない場合には、S1で「NO」と判定し、起動日時D10に到達するまで、スリープ状態を維持する。一方、起動日時D10になった場合には、S1で「YES」と判定し、S2に移行する。
【0054】
S2では、親機コントローラ8は、子機11から通信があったか否か、具体的には、子機11からの呼出信号を無線モジュール5が受信したか否かを判定する。無線モジュール5が子機11からの呼出信号を受信しておらず、子機11からの通信がない場合には、親機コントローラ8は、S2で「NO」と判定し、S3に移行する。このとき、親機コントローラ8は、例えば子機11の起動日時D10から一定時間(1分程度)にわたって、子機11からの呼出信号を受信しない場合には、通信が失敗したものと判定する。親機コントローラ8は、この判定を所定時間毎(例えば1~2分毎)に繰り返す。
【0055】
S3では、親機コントローラ8は、子機11との通信が予め設定された所定回数(例えば3回)だけ連続して失敗したか否かを判定する。子機11との通信が連続して失敗した回数が所定回数よりも少ない場合には、親機コントローラ8は、S3で「NO」と判定し、S2に戻って子機11から呼出信号が届くのを待つ。
【0056】
一方、子機11との通信が連続して失敗した回数が所定回数に到達した場合には、親機コントローラ8は、S3で「YES」と判定し、親機1と子機11との間の通信に異常が発生したと判断して、S4に移行する。S4では、親機コントローラ8は、通信エラー処理を行い、親機1の表示部7のエラー表示用のLED等を点灯させる。これにより、親機1は、通信エラーが発生したことを報知する。
【0057】
無線モジュール5が子機11からの呼出信号を受信して、子機11からの通信があった場合には、親機コントローラ8は、S2で「YES」と判定し、S5に移行する。S5では、親機1と子機11との間で通信が確立したから、親機コントローラ8は、標準電波データ設定回路9から取得した標準電波データを、無線モジュール5を用いて子機11に送信する。なお、標準電波データの送信は1回に限らない。親機1は、複数回にわたって子機11に標準電波データを送信してもよい。S5の処理が終了すると、S1以降の処理を繰り返す。
【0058】
次に、
図9を参照して、子機11が疑似標準電波を送信するときの疑似標準電波送信処理について説明する。
【0059】
子機11は常時はスリープ状態になっている。S11では、子機コントローラ30は、子機RTC21を用いて取得した時刻情報に基づいて、起動日時D11になったか否かを判定する。起動日時D11ではない場合には、S11で「NO」と判定し、起動日時D11に到達するまで、スリープ状態を維持する。一方、起動日時D11になった場合には、S11で「YES」と判定し、S12に移行する。
【0060】
S12では、子機コントローラ30は、無線モジュール23を通じて、親機1に呼出信号を送信する。これにより、子機11と親機1との間で通信が確立される。なお、子機11から親機1に呼出信号を送信しても、子機11と親機1のいずれかに故障が生じたとき、子機11と親機1の間の電波状況が悪化したとき等には、通信が確立されないことがある。この場合には、親機1に限らず、子機11もエラー処理を行う構成としてもよい。また、子機11は、呼出信号に加えて、電池の消耗状態等のように、子機11の状態に応じた状態信号を親機1に送信してもよい。この場合、親機1は、子機11からの状態信号に基づいて、子機11の正常と異常を判定し、子機11が異常状態のときには、表示部7等を用いて子機11の異常を使用者に報知してもよい。
【0061】
子機11と親機1との間で通信が確立されると、S13に移行し、子機コントローラ30は、親機1から標準電波データが送信されて、時刻情報を取得したか否かを判定する。標準電波データを受信しない場合には、子機コントローラ30は、S13で「NO」判定し、S12に戻って、親機1から標準電波データが送信されるまで待機する。一方、親機1からの標準電波データが受信すると、子機コントローラ30は、S13で「YES」判定し、S14に移行する。
【0062】
S14では、子機コントローラ30は、親機1から取得した標準電波データに基づいて正確な時刻情報を算出する。子機コントローラ30は、正確な時刻情報に基づいて、子機RTC21を用いて算出する時刻情報を修正する。S14の処理が終了すると、S15に移行して、子機コントローラ30は、再びスリープ状態に移行する。なお、S14の処理が終了する時刻と開始時刻Tsとの間の時間間隔が短い場合には、S15のスリープ処理は省いてもよい。
【0063】
続くS16では、子機コントローラ30は、開始時刻Tsに到達したか否かを判定する。開始時刻Tsに到達していない場合には、S16で「NO」と判定し、開始時刻Tsに到達するまで待機する。一方、開始時刻Tsに到達した場合には、S16で「YES」と判定し、S17に移行する。
【0064】
S17では、子機コントローラ30は、子機RTC21を用いて取得した正確な時刻情報を疑似標準電波出力部24に出力する。疑似標準電波出力部24は、取得した時刻情報に基づいて、タイムコード(標準電波データ)が変調された疑似標準電波の信号を生成し、コイル24Bから疑似標準電波を放射させる。このとき、疑似標準電波の放射は、連続して行う必要はなく、例えば所定時間(例えば数十秒から数分)間隔で行ってもよい。
【0065】
続くS18では、子機コントローラ30は、終了時刻Teに到達したか否かを判定する。終了時刻Teに到達していない場合には、S18で「NO」と判定し、S17に戻り、疑似標準電波の放射を継続する。一方、終了時刻Teに到達した場合には、S18で「YES」と判定し、S19に移行する。S19では、子機コントローラ30は、疑似標準電波の放射を停止した後、スリープ状態に移行する。S19の処理が終了すると、子機コントローラ30は、S11以降を繰り返す。
【0066】
かくして、本実施形態によれば、標準時に応じた時刻情報信号としての標準電波データを送信する親機1と、親機1からの標準電波データを受信して疑似標準電波を出力する子機11と、を備えた電波時計レピータであって、子機11は、壁掛け式の電波時計Cに重なるように、電波時計Cの背面と壁面Wとの間に取付けられる。これにより、電波時計Cの背面に位置する子機11が疑似標準電波を放射するから、周囲環境に影響されることなく電波時計Cに子機11からの疑似標準電波を届けることができる。
【0067】
また、親機1と子機11との間の通信には、標準電波に比べて波長が短い電波(例えば、900MHz帯の電波)が使用されている。このため、親機1と子機11が異なる部屋に配置された場合でも、親機1と子機11の間で通信が可能になる。この結果、子機11は、親機1からの時刻情報信号を受信することができ、時刻情報信号に基づいて疑似標準電波を出力することができる。なお、親機1と子機11の間は、LPWAの無線通信を行うものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば、親機1と子機11の間は、例えばBluetooth(登録商標)、BLE等を含む各種の無線通信を行う構成としてもよい。
【0068】
また、子機11は、電池ユニット22Aからの電力によって駆動するため、商用電源への接続が不要である。このため、壁掛け式の電波時計Cの近くに商用電源が配置されていない環境であっても、子機11を使用することができる。
【0069】
さらに、子機11は電波時計Cの背面に取付けられるから、疑似標準電波の届く範囲は10~50cm程度(例えば30cm)で十分であり、疑似標準電波の出力を小さくすることができる。このため、子機11の平均電流を例えば0.2mA/h以下まで低減することができ、子機11の電池交換の頻度を例えば1年当り1回程度まで低下させることができる。
【0070】
子機11は、電波時計Cの垂直方向に沿って電波時計Cに対する相対的な位置を調整することができるアジャスタ機構14を備えている。このため、電波時計Cの背面に子機11を配置した場合に、電波時計Cの上側または下側に子機11の一部が露出(はみ出す)するときであっても、アジャスタ機構14を用いて、電波時計Cに対する子機11の相対的な位置を調整することができる。これにより、子機11の全体または大部分を電波時計Cで覆うことができ、電波時計Cの背面に子機11を隠すことができる。
【0071】
また、子機11は、時刻情報信号を受信する無線モジュール23(子機側通信部)と、アンテナとしてのコイル24Bを有し、標準電波データ(時刻情報信号)に基づいてコイル24Bから疑似標準電波を出力する疑似標準電波出力部24と、を備え、アジャスタ機構14は、電波時計Cの垂直方向に対してコイル24Bの位置を調整することができる。このため、電波時計Cの受信アンテナAが疑似標準電波の受信するときの感度が高くなるように、子機11のコイル24Bと電波時計Cの受信アンテナAの相対位置を調整することができる。
【0072】
疑似標準電波出力部24は、コイル24Bに電気的に接続されたコンデンサ24Cを備え、コイル24Bおよびコンデンサ24Cは、Q値が40kHzとなる共振回路を構成している。このため、疑似標準電波出力部24は、低消費電力でコイル24Bから40kHzの疑似標準電波を効率よく放射することができる。
【0073】
なお、疑似標準電波出力部24は、40kHzの疑似標準電波を出力するものに限らず、60kHzの疑似標準電波を出力してもよい。この場合、コイル24Bおよびコンデンサ24Cは、Q値が60kHzとなる共振回路を構成する。また、疑似標準電波の周波数は、40kHzと60kHzのいずれか一方を選択して出力する構成としてもよい。
【0074】
子機11は、無線モジュール23および疑似標準電波出力部24を制御する子機コントローラ30(子機制御手段)をさらに備え、子機コントローラ30は、1日以上30日以内の予め決められた所定期間(例えば2週間)毎に、疑似標準電波出力部24から疑似標準電波を出力させる。このため、子機11は、稼働日以外はスリープ状態にすることができ、消費電力を低下させることができる。なお、第1の実施形態では、子機11が起動する日数間隔は、2週間である場合を例示したが、本発明はこれに限らない。例えば、子機11が起動する日数間隔は、1日ないし13日のいずれかの日数でもよく、15日ないし30日のいずれかの日数でもよい。子機11が起動する日数間隔は、電波時計Cの時刻精度や子機11の消費電力等を考慮して、適宜設定される。
【0075】
子機コントローラ30は、所定期間が経過したときに、当日の夜間のうち予め決められた開始時刻Tsから終了時刻Teまでの間にわたって、疑似標準電波出力部24から疑似標準電波を出力させる。電波時計Cは、一般的に夜間の決められた時刻に標準電波を受信して、時刻を修正する。このため、開始時刻Tsから終了時刻Teの範囲に、電波時計Cが標準電波を受信する時刻が含まれるように、開始時刻Tsと終了時刻Teを設定する。これにより、電波時計Cは、子機11からの疑似標準電波を受信して、時刻を修正することができる。なお、電波時計Cが昼間に標準電波を受信して時刻を修正する場合には、その時刻の疑似標準電波を送信するように、開始時刻Tsと終了時刻Teを設定してもよい。
【0076】
子機コントローラ30は、40kHzで疑似標準電波を疑似標準電波出力部24から出力させる。これにより、疑似標準電波出力部24は、所定期間毎に40kHzで疑似標準電波を出力することができる。なお、子機コントローラ30は、60kHzで疑似標準電波を疑似標準電波出力部24から出力させる構成としてもよい。
【0077】
なお、子機11は、垂直方向(上下方向)に対して電波時計Cとの相対位置を調整可能なアジャスタ機構14を備えるものとしたが、本発明はこれに限らない。例えば子機11が電波時計Cの背面に隠れる程度に十分に小型で、かつ電波時計Cが子機11からの疑似標準電波を受信可能であれば、アジャスタ機構14を省いてもよい。即ち、取付具14Eは、上下方向に対して変位不能な状態で固定されたものでもよい。
【0078】
次に、
図10および
図11は第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、子機の無線モジュール(子機側通信部)が親機と他の子機との間の通信を中継する機能を備えていることにある。なお、第2の実施形態では、上述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図10および
図11は、親機1が例えば7台の子機41
1~41
7に接続する場合を例示している。第2の実施形態による子機41
1~41
7は、第1の実施形態による子機11とほぼ同様に構成されている。このため、子機41
1~41
7は、いずれも子機側通信部としての無線モジュール42を備えている。但し、無線モジュール42は、親機1と他の子機41
1~41
7との間の通信を中継する機能を備えている。即ち、子機41
1~41
7は、ホップ通信が可能となっている。
【0080】
図10では、2台の子機41
1,41
5は、親機1に直接的に接続されている。一方、例えば子機41
2は、親機1の無線モジュール5からの電波が届かない範囲に配置されている。この場合でも、電波の届く範囲に配置された子機41
1の無線モジュール42が電波を中継することによって、子機41
2と親機1との間で通信を行うことできる。また、子機41
1,41
2の無線モジュール42が電波を中継することによって、子機41
3,41
6と親機1との間で通信を行うことできる。子機41
1~41
3の無線モジュール42が電波を中継することによって、子機41
4,41
7と親機1との間で通信を行うことができる。
【0081】
さらに、子機411~417の無線モジュール42は、親機1までの通信経路を自動的に探索して、通信ネットワークを形成する自動ルーティング機能を備えている。このため、例えば子機411に不具合が生じた場合でも、残余の子機412~417は親機1に接続可能となっている。
【0082】
子機41
1に不具合が生じた場合、子機41
1と子機41
2の接続が遮断される。このとき、親機1と5台の子機41
2,41
3,41
4,41
6,41
7との間も接続が遮断される。この場合でも、親機1に直接的に接続された子機41
5を子機41
1の代わりに用いることによって、親機1と5台の子機41
2,41
3,41
4,41
6,41
7との間の接続を回復させることができる(
図11参照)。
【0083】
かくして、第2の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。また、第2の実施形態では、子機411~413の無線モジュール42(子機側通信部)が親機1と他の子機411~413との間の通信を中継する機能を備えている。この結果、1台の親機1によって稼働可能な子機411~413の適用位置の範囲を広げることができる。
【0084】
なお、第2の実施形態では、1台の親機1に7台の子機411~417を接続した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らない。1台の親機に接続される子機の台数は、2~6台でもよく、8台以上でもよい。また、親機1に全ての子機411~417が直接的に接続可能な場合には、無線モジュール42は、中継機能を省いたものでもよい。
【0085】
前記各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 親機
3 親機リアルタイムクロック(親機RTC)
5 無線モジュール(親機側通信部)
8 親機コントローラ
11,411~417 子機
12 子機ケーシング
13 掛止め具
14 アジャスタ機構
21 子機リアルタイムクロック(子機RTC)
22 電源部
23,42 無線モジュール(子機側通信部)
24 疑似標準電波出力部
25 表示部
26 設定部
30 子機コントローラ(子機制御手段)