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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135818
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】送受信回路、方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H04L25/02 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041102
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】石原 寛明
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA13
5K029CC01
5K029EE02
5K029GG03
(57)【要約】
【課題】消費電力の増加を抑えることを目的とする。
【解決手段】本実施形態の送受信回路は、入力信号に応じて、N(Nは2以上の自然数)個のパルス波形を含む第1波形を出力する送信部と、前記第1波形を少なくともN+1個のパルス波形を含む第2波形として電磁界結合により伝送する伝送部と、前記第2波形を受信し、少なくともN+1個の前記パルス波形に基づき入力信号を判定する受信部と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に応じて、N(Nは2以上の自然数)個のパルス波形を含む第1波形を出力する送信部と、
前記第1波形を少なくともN+1個のパルス波形を含む第2波形として電磁界結合により伝送する伝送部と、
前記第2波形を受信し、少なくともN+1個の前記パルス波形に基づき入力信号を判定する受信部と、を備える
送受信回路。
【請求項2】
前記受信部は、前記第2波形に含まれる前記パルス波形を検出するコンパレータを備え、
前記コンパレータは、前記パルス波形の極性に応じた信号を出力する
請求項1に記載の送受信回路。
【請求項3】
前記コンパレータは、第1調整信号に基づき、前記コンパレータの動作速度を変更する
請求項2に記載の送受信回路。
【請求項4】
前記コンパレータは、第1コンパレータと、第2コンパレータを備え、
前記第1コンパレータの反転入力と前記第2コンパレータの非反転入力が接続され、前記第1コンパレータの非反転入力と前記第2コンパレータの反転入力が接続される
請求項2又は3に記載の送受信回路。
【請求項5】
前記受信部は、前記第2波形に含まれる前記パルス波形をあらかじめ特定したパルスパタンに基づき判定するパルス検出部を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項6】
前記パルスパタンを記憶した記憶部を備え、
前記パルス検出部は、前記第2波形に含まれる前記パルス波形が、前記記憶部に記憶された前記パルスパタンと一致するか判定する
請求項5に記載の送受信回路。
【請求項7】
N+1個の直列に接続されたフリップフロップと、N+1個目に接続された前記フリップフロップが出力する第1出力信号を判定する信号判定部をさらに備え、
M(Mは1以上N以下の自然数)個目に接続された前記フリップフロップは、前記第2波形に含まれるM個目の前記パルス波形に応じてM+1個目に接続された前記フリップフロップに前記第1出力信号を出力し、
前記信号判定部は、N+1個目に接続された前記フリップフロップから前記第1出力信号が出力されたことを判定して第2出力信号を出力し、
前記パルス検出部は、前記第2出力信号に基づき、前記パルス波形を検出する
請求項5又は6に記載の送受信回路。
【請求項8】
前記伝送部は、前記第1波形の特定周波数帯を抽出し、前記第2波形を出力する帯域通過の特性を有するフィルタである
請求項1~7のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項9】
前記伝送部は、第2調整信号に基づき、前記特定周波数帯を変更する
請求項8に記載の送受信回路。
【請求項10】
前記伝送部は、絶縁素子である
請求項8又は9に記載の送受信回路。
【請求項11】
前記絶縁素子は、トランス、またはコンデンサである
請求項10に記載の送受信回路。
【請求項12】
前記送信部は、前記パルス波形を生成する送信パルス生成部を備え、
前記送信パルス生成部は、少なくとも2個以上の第1電流源と、
前記第1電流源の出力を制御する第1開閉器を有し、
前記第1開閉器の開閉に基づく前記第1電流源の出力の組み合わせによって前記パルス波形を生成する
請求項1~11のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項13】
前記パルス波形を出力するパルスの極性を示すデータ信号に基づき前記送信パルス生成部の出力を制御する制御信号生成部をさらに備える
請求項12に記載の送受信回路。
【請求項14】
前記制御信号生成部は、更に、前記パルス波形の出力のタイミングを示すトリガー信号に基づき前記送信パルス生成部の出力を制御する
請求項13に記載の送受信回路。
【請求項15】
前記パルス波形は、電流パルスであり、差動電流もしくは疑似差動電流に基づき出力される
請求項1~14のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項16】
前記パルス波形は、電圧パルスであり、差動電圧に基づき出力される
請求項1~14のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項17】
前記送信部は、前記第1波形をアナログ波形として出力する
請求項1~16のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項18】
アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換するAD変換部をさらに備え、
前記AD変換部は、クロック信号のタイミングに基づき、前記デジタル入力信号を出力し、
前記送信部は、前記クロック信号のタイミングに基づき、前記AD変換部の出力が変化しないタイミングで前記デジタル入力信号を取り込み、前記パルス波形を送信する
請求項1~17のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項19】
前記パルス波形は、第1送信パルス波形と、前記第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きい
請求項1~18のいずれか一項に記載の送受信回路。
【請求項20】
入力信号に応じて、N(Nは2以上の自然数)個のパルス波形を含む第1波形を出力し、
前記第1波形を少なくともN+1個のパルス波形を含む第2波形として電磁界結合により伝送し、
前記第2波形を受信し、少なくともN+1個の前記パルス波形に基づき入力信号を判定する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送受信回路、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁信号伝送で伝送される入力信号は、絶縁素子による帯域通過フィルタ型の周波数特性により入力信号に含まれるパルスのエッジが強調されたアナログ波形として出力される。
受信部では、送信部から送信したアナログ波形に含まれるパルスと同数のパルスを受信し、信号を判定する。この伝送について、消費電力を抑える方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許 US7728680B2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、消費電力の増加を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の送信回路は、入力信号に応じて、N(Nは2以上の自然数)個のパルス波形を含む第1波形を出力する送信部と、前記第1波形を少なくともN+1個のパルス波形を含む第2波形として電磁界結合により伝送する伝送部と、前記第2波形を受信し、少なくともN+1個の前記パルス波形に基づき入力信号を判定する受信部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る送受信回路の全体構成を示す図。
図2】送信パルス生成回路の回路構成を示す図。
図3】トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
図4】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
図5】送信回路がアナログ波形を送信する動作の一例を示すフローチャート。
図6】絶縁素子と受信回路の構造を示す図。
図7】絶縁素子のカットオフ周波数(fc_hpf)を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す図。
図8】パルス検出回路の構造を示す概念図。
図9】送信信号とパルスパタンの関係を示す図。
図10】パルス検出回路の構成を示す図。
図11】パルス検出回路の動作概念図を示す図。
図12】パルス波形の数Nが3個の場合、および2個の場合の比較を示す図。
図13】アナログ波形に含まれるパルスの数における消費電力の関係を示す図。
図14】第1送信パルスを増加させた場合の信号振幅および消費電力を示す図。
図15】変形例に係るパルス検出回路の全体構成を示す図。
図16】変形例に係る送信パルス生成回路の構成を示す図。
図17】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
図18】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
図19】変形例に係る送信パルス生成回路の回路構成を示す図。
図20】トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
図21】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
図22】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
図23】変形例に係る受信回路の構成を示す。
図24】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
図25】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
図26】データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
図27】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本実施形態に係る送受信回路1000の全体構成を示す。図2は、送信パルス生成回路(送信パルス生成部)110の回路構成を示す。図3は、トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。図4は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
送受信回路1000は、送信回路100と、絶縁素子200と、受信回路300と、を含む。
送受信回路1000は、入力側である送信回路100と、出力側である受信回路300が、電気的な絶縁体である絶縁素子200で絶縁し、信号を伝送する。
【0008】
送信回路100は、入力信号に応じてアナログ波形(第1波形)を出力する。詳細には、送信回路100は入力信号の遷移に同期してアナログ波形(第1波形)を出力する。送信回路100は送信部と称してもよい。
入力信号は、例えば、電流センサもしくは、電圧センサで出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換した信号である。
入力信号には、電流センサもしくは、電圧センサが観測した増幅対象の電気信号でない信号、例えば、雑音などが含まれる。
入力信号の遷移は、入力信号の状態の変化を示す。入力信号の遷移は、例えば、入力信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジである。
送信回路100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120を含む。
【0009】
送信回路100が出力するアナログ波形は、連続したパルス波形を含む波形である。
連続したパルス波形とは、パルス波形同士の間隔が0である場合に加えて、パルス波形同士が一定の周期間隔ごとである場合も含まれる。例えば、パルス波形とパルス波形同士の間隔が1秒ごとである場合も含まれる。
【0010】
例えば、パルス波形の数N(Nは2以上の自然数)とした場合、送信回路100は、入力信号をN個の連続したパルス波形のアナログ波形として送信する。
当該パルス波形は、振幅に基づき、ハイレベル、もしくはローレベルを判別することでブーリアン値とすることができる。
例えば、当該アナログ波形は、N個のビットで表されるデジタル信号とみなすことができる。
【0011】
以下では、アナログ波形に含まれるパルス波形の数Nを2として説明するが、Nがその他の数であっても排除されない。
送信回路100は、入力信号を2個のパルス波形を有するアナログ波形に変換して送信する送信部として機能する。
【0012】
本説明では、送信回路100が出力するパルスの中で最初に出力されるパルスを第1送信パルス(第1送信パルス波形)、次に出力されるパルスを第2送信パルス(第2送信パルス波形)とする。
【0013】
送信パルス生成回路110は、パルス波形を生成する。本実施形態では、送信パルス生成回路110は、差動電流パルスによりパルス波形を生成する。
送信パルス生成回路110は、電流源111_1~111_4と、スイッチ112_1~112_4と、を含む。
【0014】
電流源111_1~111_4(第1電流源)は、I1の電流を流す電流源であり、それぞれスイッチ112_1~112_4(第1開閉器)に接続されている。
スイッチ112_1~112_4は、開閉により、電流源の出力を制御する、例えば、ONとなることで電流が回路に流れる。
【0015】
スイッチ112_1~112_4は、電流源の出力制御の開閉に機械的な接点による開閉に限らない。
スイッチ112_1~112_4は、論理ゲートにより電流源の出力制御をしてもよい。例えば、スイッチ112_1~112_4は、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0016】
送信パルス生成回路110は、極性の異なる送信パルスを組み合わせることで送信信号としてH、またはLの2種類の信号を伝達する。
信号Hは、例えば、デジタル信号のハイレベルを示す信号であり、信号Lは、例えば、デジタル信号のローレベルを示す信号である。
【0017】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ112_1、112_4を同時にONにすることで、IoutにIの電流を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ112_2、112_3を同時にONにすることで、Ioutに-I1の電流を出力する。
【0018】
つまり、信号Hを送信する場合には、図4に示すように、スイッチ112_1をON、OFFの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ112_2をOFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ112_3をOFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ112_4をON、OFFの状態となる順番で操作する。
【0019】
Ioutに流れる電流は、I1、-I1の順番で出力される。
【0020】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ112_2、112_3を同時にONにすることで、Ioutに-I1の電流を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ112_1、112_4を同時にONにすることで、IoutにI1の電流を出力する。
【0021】
つまり、信号Lを送信する場合には、図4に示すように、スイッチ112_1をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ112_2をON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_3をON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_4をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
【0022】
Ioutに流れる電流は、-I1、I1の順番で出力される。
【0023】
制御信号生成部120は、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチの動きを制御する制御信号を生成する。
制御信号生成部120は、データ信号とトリガー信号の2種類の信号から送信パルス生成回路110のスイッチの動作を制御する。
【0024】
トリガー信号は、送信パルス生成回路110がパルスを送信するタイミングを示す信号である。トリガー信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部120は、トリガー信号の立ち上がりエッジに応じて、パルス信号を送信する。
【0025】
データ信号は、送信パルスが出力する信号の種類を示す信号である。トリガー信号と同様に、データ信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部120は、データ信号のハイレベル、ローレベルに応じた送信パルスを出力するように、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチを制御する。
本実施形態では、データ信号がハイレベルならば、制御信号生成部120は、信号Hを送信する。データ信号がローレベルならば、制御信号生成部120は、信号Lを送信する。
【0026】
例えば、図3に示すように、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がハイレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路110は、信号Hを送信する。
例えば、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がローレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路110は、信号Lを送信する。
トリガー信号とデータ信号は、組み合わせることで、アナログ波形(第1波形)を出力する入力信号としてもよい。
【0027】
本実施形態では、送信回路100に送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120が含まれ一体となっているが、別体で設けてもよい。
例えば、送信回路100は、アナログ波形を出力し、送信回路100の外部に送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120をそれぞれもしくは一方を設けてもよい。
【0028】
図5は、送信回路100がアナログ波形を送信する動作の一例を示す。
制御信号生成部120は、トリガー信号の立ち上がりエッジを受信したか判定する(S1001)。トリガー信号を受信した場合、S1002に進み、受信していない場合、処理を終了する。
【0029】
制御信号生成部120は、データ信号を受信したか判定する(S1002)。データ信号を受信した場合、S1003に進み、受信していない場合、処理を終了する。
【0030】
制御信号生成部120は、受信したデータ信号の種類を判定する(S1003)。ハイレベルのデータ信号を受信した場合、S1004に進み、ローレベルのデータ信号を受信した場合、S1005に進む。
【0031】
受信したデータ信号がハイレベルであった場合、制御信号生成部120は、信号Hを出力するように、送信パルス生成回路110を制御する(S1004)。
同様に、受信したデータ信号がローレベルであった場合、制御信号生成部120は、信号Lを出力するように、送信パルス生成回路110を制御する(S1005)。
【0032】
図6は、絶縁素子200と受信回路300の構造を示す。図7は、絶縁素子200のカットオフ周波数(fc_hpf)を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す。
絶縁素子200は、送信回路100から送信されたアナログ波形を電磁界結合により伝送する。絶縁素子200は伝送部と称してもよい。
その際、絶縁素子200は、送信回路100から送信された信号から特定周波数帯を抽出する(帯域通過特性)フィルタとして機能する。結果として、送信回路100から送信されたアナログ波形は変形する。
【0033】
本実施形態では、絶縁素子200は、耐電圧性能を高めるために絶縁素子で構成されたハイパスフィルタ特性を有する絶縁トランスであるが、その他の種類の素子、例えば、コンデンサ、キャパシタであってもよい。
【0034】
絶縁素子200は、ハイパスフィルタとしての特性により、パルス幅に対応した周波数の成分を強調してアナログ波形(第2波形)を出力する。絶縁素子200が周波数の成分を強調するアナログ波形には、雑音のような増幅対象の電気信号でない信号も含まれている。
絶縁素子200が出力するアナログ波形は、第1送信パルスに基づく第1受信パルス、第2送信パルスに基づく第2受信パルスが含まれる。絶縁素子200が出力するアナログ波形は、他に、第1送信パルス、第2送信パルスが絶縁素子200によって周波数の成分を強調されたことに基づく強調パルス波形である第3受信パルスを含む。
【0035】
絶縁素子200は、受信回路300に3個のパルス波形を含むアナログ波形を出力する。つまり、絶縁素子200は、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれる2個のパルス波形よりも多い個数のパルス波形を出力する。
【0036】
例えば、アナログ波形に含まれるパルス波形の数がNの場合、受信回路300で少なくともN+1個のパルス波形に基づき信号の判定をする。
【0037】
送受信回路1000では、送信回路100で送信したアナログ波形が、絶縁素子200を通過し、後述するローパスフィルタ310を通過した後、パルス検出回路330等で受信する。
【0038】
パルス幅をtpulse、基本周波数f0=1/tpulseとした場合、図6のA、B、Cの各端子においてハイパスフィルタ210のカットオフ周波数(fc_hpf)を0.02f0~f0の範囲で変更した波形は、図7のように示される。
受信回路300が、送信回路100が送信したアナログ波形に含まれるパルス波形の数Nよりも大きい個数のパルス波形を受信する場合には、絶縁素子200のカットオフ周波数を適切に設定する必要がある。
【0039】
例えば、本実施形態において、図6に示す端子A、B、Cにおける絶縁素子200のカットオフ周波数を変更した場合、図7のように示される。
図5の端子Aで測定した波形は、送信回路100からの送信直後のアナログ波形、つまり送信パルスを測定した波形である。図6の端子Bで測定した波形は、絶縁素子200を通過直後のアナログ波形である。図6の端子Cで測定した波形は、ローパスフィルタ310を通過直後のアナログ波形、つまり受信パルスを測定した波形である。
【0040】
fc_hpfが0.02fcの場合、端子Cには送信した2個の送信パルスに対応する2個の受信パルスが観測されている。
このとき、受信回路300は、2個の受信パルスに基づくパルスが再生され、3個の受信パルスに基づく受信ができない。
【0041】
fc_hpfが0.1fc~0.4fcの場合、端子Cには送信した2個の送信パルス波形に対して3個の受信パルスが観測されている。
つまり、絶縁素子200において、適切なカットオフ周波数を選択することで、端子Cで測定した受信パルスの概形が再現される。
【0042】
受信回路300は、アナログ波形を受信する。受信回路300は、受信部と称してもよい。 受信回路300で受信するアナログ波形は、絶縁素子200により、送信信号から、例えば、雑音などを取り除かれた信号である。
受信回路300は、受信したアナログ波形に含まれる受信パルスから、デジタル信号のハイレベル、ローレベルを判定し、入力信号を再生する。
【0043】
受信回路300は、ローパスフィルタ310と、コンパレータ320と、パルス検出回路330と、を含む。
【0044】
ローパスフィルタ310は、遮断周波数よりも低い周波数の成分を減衰させず、遮断周波数よりも高い周波数の成分を逓減させるフィルタである。
絶縁素子200から出力された信号は、絶縁素子200のハイパスフィルタとしての特性により、遮断周波数よりも高い周波数の成分を主として含む(遮断周波数よりも低い周波数の成分は逓減された)信号である。
【0045】
ローパスフィルタ310は、当該信号から遮断周波数よりも高い周波数の成分を逓減させることで、適切な周波数成分の信号を抽出する。
絶縁素子200から出力された信号が周波数の成分を抽出しないでよい場合、例えば、送信回路100が、主に、特定の低い周波数の成分で構成されている場合は、ローパスフィルタ310を介さなくてもよい。
【0046】
いずれの場合であっても、受信回路300で受信する受信パルスは、バンドパスフィルタを透過した信号と同様に、特定の周波数成分を抽出したパルスとなる。
【0047】
コンパレータ320は、パルス信号を検出する。
コンパレータ320は、検出したパルス信号の極性に応じた信号を出力する。
本実施形態では、コンパレータ320は、ローパスフィルタ310が抽出した信号から矩形波に整形する。詳細には、コンパレータ320は、パルス信号がハイレベルならば、ハイレベルの矩形波を出力する。コンパレータ320は、パルス信号がローレベルならば、出力をしない。
コンパレータ320は、矩形波を、パルス検出回路330へ送信する。
【0048】
本実施形態では、コンパレータ320は、2個のコンパレータ320_1、320_2を有している。
コンパレータ320_1(第1コンパレータ)、320_2(第2コンパレータ)は、非反転入力と反転入力が逆に接続されている。
例えば、コンパレータ320_1の非反転入力に接続された回路は、コンパレータ320_2の反転入力に接続されている。同様に、コンパレータ320_1の反転入力に接続された回路は、コンパレータ320_2の非反転入力に接続されている。
【0049】
コンパレータ320_1、320_2は、それぞれCMPOUT1、CMPOUT2を出力し、パルス検出回路330に出力する。
【0050】
図8は、パルス検出回路330の構造を示す概念図である。図9は、送信信号とパルスパタンの関係を示す。
図10は、パルス検出回路330の回路構造を示す。図11は、パルス検出回路330の動作概念図を示す。
【0051】
パルス検出回路330は、コンパレータ320が出力したパルス波形を検出する。詳細には、パルス検出回路330は、検出したパルス波形を特定のパルスパタンと比較して信号を出力する。パルス検出回路330は、パルス検出部と称してもよい。
【0052】
パルス検出回路330は、入力されるCMPOUT1、およびCMPOUT2の波形があらかじめ定めたパルスパタン1、およびパルスパタン2のいずれかに合致するかを判定する。
例えば、パルスパタン1に合致する場合にはハイレベル、パルスパタン2に一致する場合にはローレベルを出力するよう構成することで、送信したパルスパタンに応じて出力信号を判定することができる。
【0053】
パルス検出回路330は、コンパレータ320の出力のうち、立ち上がりエッジを検出することで判定する。
【0054】
例えば、パルスパタン1を検出する場合には、図9に示すように、CMPOUT1から入力あり、入力なし、入力ありの波形が入力される。
パルス検出回路330は、CMPOUT1の立ち上がりエッジを検出することで波形を認識する。
以下同様に、CMPOUT2から入力なし、入力あり、入力なしの波形が入力される。
パルス検出回路330は、CMPOUT2の立ち上がりエッジを検出することで波形を認識する。
【0055】
パルス検出回路330は、CMPOUT1からの入力による立ち上がりエッジ、CMPOUT2からの入力による立ち上がりエッジ、CMPOUT1からの入力による立ち上がりエッジの順番に波形を認識する。
【0056】
パルス検出回路330は、認識した波形をパルスパタン1と比較することで、合致するかを判定する。パルス検出回路330は、パルスパタン1に応じたハイレベルの信号を出力する。
【0057】
例えば、パルスパタン2を検出する場合には、図9に示すように、CMPOUT1から入力なし、入力あり、入力なしの波形が入力される。
以下同様に、CMPOUT2から入力あり、入力なし、入力ありの波形が入力される。
【0058】
パルス検出回路330は、CMPOUT2からの入力による立ち上がりエッジ、CMPOUT1からの入力による立ち上がりエッジ、CMPOUT2からの入力による立ち上がりエッジの順番に波形を認識する。
【0059】
パルス検出回路330は、認識した波形をパルスパタン1と比較することで、合致するかを判定する。パルス検出回路330は、パルスパタン2に応じたローレベルの信号を出力する。
【0060】
詳細には、パルス検出回路330は、3つの直列に接続されたフリップフロップ331、332と、ANDゲート333と、NORゲート334と、信号判定回路335と、を含む。
【0061】
フリップフロップ331は、3つに直列に接続されたフリップフロップである。
フリップフロップ331は、フリップフロップ331_1~331_3で構成される。フリップフロップ331は、受信回路300が受信するパルス波形の個数のフリップフロップを直列に接続した回路である。
【0062】
本実施形態では、受信回路300は、3個のパルス波形を受信するため、3個のフリップフロップがフリップフロップの間にANDゲートを挟み直列に接続する。
例えば、受信回路300がN+1個のパルス波形を受信するならば、N+1個のフリップフロップがフリップフロップの間にANDゲートを挟み直列に接続する。
【0063】
フリップフロップ331_1は、CMPOUT1をセット端子Sに接続し、NORゲート334_1をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ331_1は、出力結果(第1出力信号)を出力端子Qから出力し、ANDゲート333_1に送信する。
フリップフロップ331_2は、ANDゲート333_1の出力結果をセット端子Sに接続し、NORゲート334_1をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ331_2は、出力結果(第1出力信号)を出力端子Qから出力し、ANDゲート333_2に送信する。
フリップフロップ331_3は、ANDゲート333_2の出力結果をセット端子Sに接続し、NORゲート334_1をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ331_3は、出力結果をDET_H(第2出力信号)として出力端子Qから出力し、信号判定回路335に送信する。
【0064】
フリップフロップ331は、例えば、CMPOUT1、CMPOUT2がCMPOUT1、CMPOUT2、CMPOUT1の順番にハイレベルになった場合に、DET_Hをハイレベルとして出力する。
【0065】
フリップフロップ332は、3つに直列に接続されたフリップフロップである。
フリップフロップ332は、フリップフロップ332_1~332_3で構成される。フリップフロップ332は、受信回路300が受信するパルス波形の個数のフリップフロップを直列に接続した回路である。
本実施形態では、受信回路300は、3個のパルス波形を受信するため、3個のフリップフロップがフリップフロップの間にANDゲートを挟み直列に接続する。
【0066】
フリップフロップ332_1は、CMPOUT1をセット端子Sに接続し、NORゲート334_2をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ332_1は、出力結果を出力端子Qから出力し、ANDゲート333_3に送信する。
フリップフロップ332_2は、ANDゲート333_3の出力結果をセット端子Sに接続し、NORゲート334_2をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ332_2は、出力結果を出力端子Qから出力し、ANDゲート333_4に送信する。
フリップフロップ332_3は、ANDゲート333_4の出力結果をセット端子Sに接続し、NORゲート334_2をリセット端子Rに接続する。フリップフロップ332_3は、出力結果をDET_L(第2出力信号)として出力端子Qから出力し、信号判定回路335に送信する。
【0067】
フリップフロップ332は、例えば、CMPOUT1、CMPOUT2がCMPOUT2、CMPOUT1、CMPOUT2の順番にハイレベルになった場合に、DET_Lをローレベルとして出力する。
【0068】
つまり、直列に接続されたM(Mは1以上N以下の自然数)個目のフリップフロップは、アナログ波形に含まれる受信パルスのM個目のパルス波形が、パルスパタン1もしくはパルスパタン2の対応するパルス波形と一致する場合に、次に接続されたフリップフロップであるM+1個目のフリップフロップに出力する。
同様にして、フリップフロップ331、332は、1個目からN+1個目のフリップフロップまで繰り返し、DET_HまたはDET_Lを出力する。
【0069】
フリップフロップ331、332は、受信されたパルス信号以外の雑音成分などによる誤判定を防止するため、送信するパルス信号に対して一定以上短いパルスや長いパルスに対しては反応しないよう構成してもよい。
例えば、フリップフロップ331、332の応答時間を適切に設定することで短いパルスを除去することができる。
例えば、フリップフロップ331、332自身にタイムアウトによるリセット機構を追加することで長いパルスを除去してもよい。
【0070】
NORゲート334は、それぞれフリップフロップ331、332をリセットするためのNORゲートである。
受信回路300が受信する信号が終了する、つまり、CMPOUT1、CMPOUT2がともにローレベルになるとき、NORゲート334は、それぞれフリップフロップ331、332をリセットし、次に受信する信号の判定に影響がでないようにする。
【0071】
信号判定回路335は、DET_HとDET_Lに基づき、送信された信号のハイレベル、ローレベルを判定する。信号判定回路335は、信号判定部と称してもよい。
図11に示すように、CMPOUT1、CMPOUT2の出力に基づくDET_HおよびDET_Lに基づき出力を判定する。
【0072】
図12は、パルス波形の数Nが3個の場合、および2個の場合の比較を示す。
図13は、アナログ波形に含まれるパルスの数における消費電力の関係を示す。
アナログ波形に含まれるパルスは、振幅に基づき、ハイレベル、もしくはローレベルを判別することができる。
このとき、ハイレベルは、正の出力方向にハイレベルである場合と、負の出力方向にハイレベルである場合がある。
アナログ波形に含まれるパルスは、正の出力(P)と負の出力(N)を繰り返して出力する。例えば、アナログ波形は、第1送信パルスをハイレベルで示す場合、正のハイレベルで出力する。
次に第2送信パルスをハイレベルで示す場合、負のハイレベルで出力する。以下同様に正の出力と負の出力を繰り返す。
【0073】
例えば、図12(A)で示すように、アナログ波形に含まれるパルスの数Nが3個である場合、第1送信パルス、第3送信パルスを正のハイレベルで出力し、第2送信パルスを負のハイレベルで出力する。
【0074】
この場合、出力されたパルスは、絶縁素子200によって図12(B)で示すようなアナログ波形として出力される。
次に、当該波形は、コンパレータ320によって図12(C)で示すような出力がされる。パルス検出回路330は、当該出力の立ち上がりエッジを検出することでパルスを検出する。
【0075】
例えば、図12(D)で示すように、アナログ波形にアナログ波形に含まれるパルスの数Nが2個である場合、第1送信パルスを正のハイレベルで出力し、第2送信パルスを負のハイレベルで出力する。
【0076】
この場合、出力されたパルスは、絶縁素子200によって図12(E)で示すようなアナログ波形として出力される。
次に、当該波形は、コンパレータ320によって図12(F)で示すような出力がされる。パルス検出回路330は、当該出力の立ち上がりエッジを検出することでパルスを検出する。
【0077】
パルスの数Nが3個、2個のいずれの場合であっても、パルス検出回路330は3つの立ち上がりエッジを検出できる。つまり、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の数が少ない場合であっても、同じパルス波形の数の出力の立ち上がりエッジを検出することができる。
【0078】
送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の数は、多くなるほど消費する電力は増大する。つまり、送受信回路1000の消費電力は、アナログ波形に含まれるパルス波形の数に比例する。
例えば、図13では、横軸で送信電流を示し、縦軸で送受信回路1000が消費する電流の概算について示している。図13は、実線で、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の数が3個の場合を示し、破線で送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の数が2個の場合を示している。
送受信回路1000の消費電流は、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の数が3個の場合と比較して2個の場合の方が少なくすることができる。
【0079】
図14は、第1送信パルスを増加させた場合の信号振幅および消費電力を示す。
本実施形態では、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形は、いずれも同じ高さであるが、別々の高さであってもよい。
例えば、第1送信パルスが他の送信パルスよりも高出力、つまり信号振幅が大きくてもよい。
【0080】
第1送信パルスと他の送信パルスが同じ出力である場合、絶縁素子200の伝送によって、第1受信パルスが最も信号振幅が小さくなる。
図14(A)に示すように、第1送信パルスである正のハイレベル出力の信号振幅が、第2送信パルスである負のハイレベル出力の信号振幅のα倍であることで、第1受信パルスの信号振幅が増加し、受信回路300で信号の受信ができる。
【0081】
図14(B)では、横軸で、第1送信パルスの増加倍率を示し、縦軸で受信パルスのパルスピーク電圧を示す。図14(B)は、実線で第1受信パルス、鎖線で第2受信パルス、一点鎖線で第3受信パルスを示している。
例えば、図14(B)に示すように、第1送信パルスが1倍以上である場合、パルスピーク電圧の最も低い第1受信パルスよりも他の受信パルスが大きくなる。つまり、第1受信パルスの信号振幅よりも、他の受信パルスの信号振幅が大きい。
【0082】
いずれの場合であっても、第1送信パルスを第2送信パルスのα倍にしたことで、送信したN個のパルスを含むアナログ波形は、N+1個パルスを含むアナログ波形を出力することを妨げず、同時に実施をすることができる。
【0083】
以上、本実施形態によれば、送受信回路1000は、送信回路100が送信した2個のパルスを含むアナログ波形から、受信回路300が受信するアナログ波形で3個のパルスを受信することができる。
これにより、受信回路300は、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれるパルス波形の個数よりも多い個数のパルス波形に基づき、信号の判定をすることができる。
すなわち、送受信回路1000は、少ない消費電力で信号の送信ができる。また、送受信回路は、雑音や外乱に対する耐性のある信号の送信ができる。
【0084】
(変形例1)
図15は、本変形例に係るパルス検出回路2330の全体構成を示す。
変形例1では、送受信回路2000は、受信回路2300を含む。受信回路2300は、パルス検出回路2330と、を含む。
送受信回路2000は、受信回路2300およびパルス検出回路2330以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
パルス検出回路2330は、波形パタン比較部2331と、波形メモリ2332、2333とを含む。
パルス検出回路2330は、コンパレータ320が出力した出力CMPOUT1、CMPOUT2を、フリップフロップなどを介さず、波形パタン比較部2331で受信する。
【0085】
パルス検出回路2330は、記憶部に記憶したパルスパタンに基づき、入力した信号を判定する。
【0086】
波形パタン比較部2331は、入力された波形であるCMPOUT1、CMPOUT2の出力と波形メモリ2332、2333の波形とを比較し、一致度がしきい値以上の場合に対応した信号を出力する。
例えば、波形メモリ2332の波形と一致した場合には信号H、波形メモリ2333の波形と一致した場合には信号Lを受信したとして出力する。
波形パタン比較部2331は、一致度を判定するしきい値を適切に設定することで、雑音等に対する誤判定を防止するよう構成することができる。
【0087】
波形メモリ2332、2333は、あらかじめ特定のパルスパタンに対応する波形を記憶する記憶素子である。
波形メモリ2332、2333は、記憶部と称してもよい。
本実施形態では、波形メモリ2332には、パルスパタン1を記憶する。同様に、波形メモリ2333には、パルスパタン2を記憶する。
【0088】
本変形例によれば、波形パタン比較部2331は、DET_HおよびDET_Lを介さず、つまり、フリップフロップ以外の要素を利用した電子回路で送信された信号を判定することができる。
【0089】
(変形例2)
図16は、送信パルス生成回路3110の構成を示す。図17は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
変形例2では、送受信回路3000は、送信回路3100を含む。送信回路3100は、送信パルス生成回路3110と、を含む。
送受信回路3000は、送信回路3100および送信パルス生成回路3110以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信回路3100は、送信パルス生成回路3110と、制御信号生成部120と、を含む。
送信パルス生成回路3110は、パルス波形を生成する。本実施形態では、送信パルス生成回路3110は、差動電圧パルスによりパルス波形を生成する。
【0090】
送信パルス生成回路3110は、電圧V1が印加された端子3111_1と、スイッチ3112_1~3111_4と、を含む。
本説明においては、スイッチは、4個ずつある場合について説明しているが、それ以外の数であってもよい。
【0091】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ3112_1、3112_4を同時にONにすることで、Voutに電圧V1が出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ3112_2、3112_3を同時にONにすることで、Voutに電圧-V1が出力する。
【0092】
つまり、信号Hを送信する場合には、図17に示すように、スイッチ3112_1をON、OFFの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ3112_2をOFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_3をOFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_4をON、OFFの状態となる順番で操作する。
【0093】
Voutに出力される電圧は、V1、-V1の順番で出力される。
【0094】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ3112_2、3112_3を同時にONにすることで、Voutに電圧-V1が出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ3112_1、3112_4を同時にONにすることで、Voutに電圧V1が出力する。
【0095】
つまり、信号Lを送信する場合には、図17に示すように、スイッチ3112_1をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ3112_2をON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_3をON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_4をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
【0096】
Voutに出力される電圧は、-V1、V1の順番で出力される。
【0097】
変形例1によれば、Voutに出力された電圧V1をハイレベル、電圧-V1をローレベルの出力とした場合、送信回路3100が送信する送信パルスは、電流パルス以外のパルス、例えば、差動電圧パルスを用いることもできる。
【0098】
(変形例3)
図18は、本変形例に係る送受信回路4000の全体構成を示す。
図19は、本変形例に係る送信パルス生成回路4110の回路構成を示す。
図20は、トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
図21は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
変形例3では、送受信回路4000は、送信回路4100を含む。送信回路4100は、送信パルス生成回路4110と、を含む。
送受信回路4000は、送信回路4100および送信パルス生成回路4110以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信パルス生成回路4110は、パルス波形を生成する。本実施形態では、送信パルス生成回路4110は、疑似差動電流パルスによりパルス波形を生成する。
【0099】
送信パルス生成回路4110は、例えば、中点に接地点を接続した絶縁素子4200と接続することで、疑似差動構成のために出力されるIoutpとIoutnが等しくならない場合についても対応できる。
本実施例では絶縁素子4200はトランスで構成されるが、接地点に接続するのならば、トランス以外の素子、例えば、キャパシタ、コンデンサであってもよい。
【0100】
例えば、図20に示すように、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がハイレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路4110は、信号Hを送信する。
例えば、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がローレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路4110は、信号Lを送信する。
【0101】
送信パルス生成回路4110は、電流源4111_1、4111_2と、スイッチ4112_1、4112_2と、を含む。
本説明においては、電流源とスイッチは、それぞれ2個ずつある場合について説明しているが、それ以外の数であってもよい。
【0102】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ4112_1を
ONにすることで、Ioutnに電流I1を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ4112_2をONにすることで、電流I1をIoutpに出力する。
【0103】
つまり、信号Hを送信する場合には、図21に示すように、スイッチ4112_1をON、OFFの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ4112_2をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
【0104】
Ioutpに流れる電流は、出力なし、I1の順番で出力される。Ioutnに流れる電流は、I1、出力なしの順番で出力される。
【0105】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ4112_1を同時にONにすることで、Ioutnに電流-I1を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ4112_2をONにすることで、電流I1をIoutpに出力する。
【0106】
つまり、信号Lを送信する場合には、図21に示すように、スイッチ4112_1をOFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ4112_2をON、OFFの状態となる順番で操作する。
【0107】
Ioutpに流れる電流は、I1、出力なしの順番で出力される。Ioutnに流れる電流は、出力なし、I1の順番で出力される。
【0108】
変形例3によれば、送信回路が送信する送信パルスは、疑似差動電流に基づく電流パルスを用いることもできる。
【0109】
(変形例4)
図22は、本変形例に係る送受信回路5000の全体構成を示す。図23は、本変形例に係る受信回路5300の構成を示す。
変形例4では、送受信回路5000は、送信回路5100と、絶縁素子5200と、受信回路5300と、を含む。
送信回路5100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部5120とを含む。受信回路5300は、コンパレータ5320と、パルス検出回路330と、制御部5340と、を含む。
送受信回路5000は、送信回路5100に含まれる制御信号生成部5120、絶縁素子5200、受信回路5300に含まれるコンパレータ5320および制御部5340以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送受信回路5000は、外部から受信した信号に基づき、カットオフ周波数とパルス幅の関係を適切に調整する。
【0110】
送受信回路5000において、パルス幅、つまりパルスの周期は、信号の伝送レートに影響を与える。パルス幅が小さければ小さいほど、つまり、パルスの周期が短いほど高速な信号の伝送が可能である。
受信回路5300は、パルス幅の小さいパルスを検出するために、コンパレータ5320の動作を高速にする必要がある。
受信回路5300は、コンパレータ5320の動作が高速になるほど消費電力が増加する。
【0111】
送受信回路5000は、信号の伝送に必要な最も高い伝送レートに基づきコンパレータ5320の動作速度を固定して設定した場合、動作速度に基づいた電力を消費する。
送受信回路5000は、最も高い伝送レートで信号を送信した後であっても、コンパレータ5320が高速のまま、高い消費電力で動作する必要がある。
【0112】
送受信回路5000は、必要な伝送レートに応じてコンパレータ5320の速度を調整することで、消費電力を軽減することができる。
【0113】
制御信号生成部5120は、パルス幅調整信号に基づき、送信パルスのパルス幅を制御する。
送信パルスのパルス幅を調整することで、後述する受信回路5300は、送信回路5100が送信する信号を受信することができる。
【0114】
絶縁素子5200は、カットオフ周波数調整信号(第2調整信号)に基づき、絶縁素子5200のカットオフ周波数を変更する。
カットオフ周波数を調整することで、送信回路5100が送信したN個のパルスを含むアナログ波形は、N+1個パルスを含むアナログ波形を出力する。
【0115】
受信回路5300は、コンパレータ動作速度調整信号(第1調整信号)に基づいて調整された動作速度のコンパレータ5320で信号を受信する。
制御部5340は、受信したコンパレータ動作速度調整信号(第1調整信号)に基づいて、コンパレータ5320の動作速度を調整する。
【0116】
本変形例では、コンパレータ5320は、コンパレータ320_1と、コンパレータ320_2とを含み、非反転入力と反転入力が逆に接続されている。
コンパレータ5320_1、5320_2は、制御部5340で調整された動作速度で動作する。
制御部5340は、一度調整したコンパレータ5320の動作速度を再度調整することができる。例えば、コンパレータ動作速度調整信号が変更された場合、当該信号に基づき、コンパレータ5320の動作速度を変更することができる。
【0117】
本変形例では、コンパレータ動作速度調整信号を受信する制御部5340と、コンパレータ5320とは、別体で構成されているが、一体であってもよい。例えば、コンパレータ5320は、直接コンパレータ動作速度調整信号を受信し、当該信号に基づき動作信号を調整してもよい。
【0118】
パルス幅調整信号、カットオフ周波数調整信号、コンパレータ動作速度調整信号は、本変形例では、外部から与えているが、製造時や出荷時などに固定の値を設定するよう構成してもよい。
【0119】
変形例4によれば、必要な伝送レートに合わせて、パルス幅、カットオフ周波数、コンパレータ動作速度を調整することで、どのような入力信号であっても、消費電力を少なくすることができる。
【0120】
(変形例5)
図24は、本変形例に係る送受信回路6000の全体構成を示す。
変形例5では、送受信回路6000は、送信回路6100と、絶縁素子200と、受信回路300と、AD変換回路400と、を含む。
送信回路6100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部6120とを含む。
送受信回路6000は、送信回路6100に含まれる制御信号生成部6120およびAD変換回路400以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
【0121】
送受信回路6000は、入力信号がアナログ入力信号である送受信回路である。送受信回路6000はアナログ信号を絶縁伝送するアイソレーションアンプとして動作する。
【0122】
AD変換回路400は、アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換する変換回路である。AD変換回路400は、AD変換部と称してもよい。 AD変換回路400は、アナログ-デジタル変換回路とも呼ばれ、フラッシュADC、パイプラインADC、ΔΣ変調器などを利用できる。
【0123】
AD変換回路400と、制御信号生成部6120には、CLK信号(クロック信号)が入力される。
AD変換回路400は、アナログ入力信号を、CLK信号のタイミングに基づき、デジタル信号を変換し、データ信号として出力する。
【0124】
制御信号生成部6120は、CLK信号に基づき、AD変換回路400の出力が変化しないタイミングでデータ信号を取り込み、送信パルス生成回路110への制御信号を生成する。
例えば、CLK信号の立ち上がりエッジでAD変換回路400の出力信号が変化して、立下りエッジで制御信号生成部6120がデータ信号を取り込み、制御信号を生成する。
【0125】
変形例5によれば、アナログ信号を入力信号としてデジタル信号に変換し、受信回路300に伝送することができる。
【0126】
(変形例6)
図25は、本変形例に係る送受信回路7000の全体構成を示す。
図26、データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
変形例6では、送受信回路7000は、送信回路7100と、絶縁素子200と、受信回路300と、を含む。
送信回路7100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部7120とを含む。
送受信回路7000は、送信回路7100に含まれる制御信号生成部7120以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
【0127】
送信回路7100は、データ信号の遷移に応じて信号を送信する。
制御信号生成部7120は、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチの動きを制御する制御信号を生成する。
制御信号生成部7120は、データ信号から送信パルス生成回路110のスイッチの動作を制御する。
【0128】
データ信号は、送信パルスが出力する信号の種類を示す信号である。データ信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部7120は、データ信号のハイレベル、ローレベルの変化に応じた送信パルスを出力するように、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチを制御する。
本変形例では、データ信号の立ち上がりエッジを検知すれば、制御信号生成部7120は、信号Hを送信する。データ信号の立ち上がりエッジを検知すれば、制御信号生成部7120は、信号Lを送信する。
データ信号は、データ信号の遷移によりアナログ波形(第1波形)を出力する入力信号としてもよい。
ここで、データ信号の遷移は、データ信号の状態の変化を示す。データ信号の遷移は、例えば、データ信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジである。
【0129】
変形例6によれば、制御信号生成部7120は、データ信号で信号の送受信を制御することができる。
【0130】
(変形例7)
図27は、本変形例に係る送受信回路8000の全体構成を示す。
変形例7では、送受信回路8000は、送信回路8100と、絶縁素子4200と、受信回路300と、を含む。
送信回路8100は、送信パルス生成回路4110と、制御信号生成部7120とを含む。
送受信回路8000は、送信回路8100に含まれる制御信号生成部8120以外の構成は、送受信回路4000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
【0131】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0132】
1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000 送受信回路
100、2100、3100、4100、5100、6100、7100、8100 送信回路
110、2110、3110、4110 送信パルス生成回路
120、5120、6120、7120、8120 制御信号生成部
111、4111 電流源
112、3112、4112 スイッチ
200、3200、4200、5200 絶縁素子
210 ハイパスフィルタ
310 ローパスフィルタ
3111 端子
300、5300 受信回路
320、5320 コンパレータ
330 パルス検出回路
331、332 フリップフロップ
333 ANDゲート
334 NORゲート
335 信号判定回路
400 AD変換回路
2330 パルス検出回路
2331 波形パタン比較部
2332、2333 波形メモリ
5340 制御部
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