(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135827
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】送信回路および送受信回路
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
H04L25/02 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041114
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】石原 寛明
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA02
5K029CC01
5K029DD12
5K029DD24
5K029EE02
5K029FF05
5K029JJ03
5K029LL01
(57)【要約】
【課題】送信エネルギーの増加を抑えつつ、受信性能を改善することを目的とする。
【解決手段】本実施形態の送信回路は、入力信号に応じて、複数のパルス波形を含む波形を出力する送信部を備え、前記パルス波形は、第1送信パルス波形と、前記第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に応じて、複数のパルス波形を含む波形を出力する送信部を備え、
前記パルス波形は、第1送信パルス波形と、前記第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きい
送信回路。
【請求項2】
前記パルス波形を生成する送信パルス生成部をさらに備え、
前記送信パルス生成部は、第1開閉器を有する第1電流源と、第2開閉器を有する第2電流源を有し、
前記第1開閉器および前記第2開閉器の開閉に基づく前記第1電流源および前記第2電流源の出力の組み合わせによって前記パルス波形を生成する
請求項1に記載の送信回路。
【請求項3】
少なくとも1個以上の第2電流源を有し、前記第2開閉器が開閉する個数によって、前記第1送信パルス波形の振幅の大きさが定まる
請求項2に記載の送信回路。
【請求項4】
前記第1電流源の出力は、前記第2電流源の出力の2倍である
請求項2又は3に記載の送信回路。
【請求項5】
前記パルス波形の出力のタイミングを示すトリガー信号と、前記パルス波形を出力するパルスの極性を示すデータ信号に基づき前記送信パルス生成部の出力を制御する制御信号生成部をさらに備える、
請求項2~4のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項6】
前記パルス波形は、電流パルスであり、差動電流もしくは疑似差動電流に基づき出力される
請求項2~5のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項7】
前記パルス波形は、電圧パルスであり、差動電圧もしくは疑似差動電圧に基づき出力される
請求項2~5のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項8】
前記送信部は、前記パルス波形をアナログ波形である第1波形として出力し、
前記第1波形は、少なくとも2個の前記パルス波形を含む
請求項1~7のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項9】
アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換するAD変換部をさらに備え、
前記AD変換部は、クロック信号のタイミングに基づき、前記デジタル入力信号を出力し、
前記送信部は、前記クロック信号のタイミングに基づき、前記AD変換部の出力が変化しないタイミングで前記デジタル入力信号を取り込み、前記パルス波形を送信する
請求項1~8のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項10】
第1送信パルス波形の振幅は、前記第2送信パルス波形の振幅の3倍である
請求項1~9のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項11】
入力信号に応じて、複数のパルス波形を含む第1波形を出力する送信部と、
前記第1波形を電磁界の結合により伝送し、第2波形として出力する伝送部を備え、
前記パルス波形は、第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きく、 前記第2波形は、第1送信パルス波形に基づく第1受信パルス波形および第2送信パルス波形に基づく第2受信パルス波形を含む
送信回路。
【請求項12】
前記伝送部は、ハイパスフィルタの特性を有する
請求項11に記載の送信回路。
【請求項13】
前記伝送部は、ローパスフィルタの特性を有する
請求項11に記載の送信回路。
【請求項14】
前記伝送部は、低周波側のカットオフ周波数が、前記第1波形のパルス幅の逆数の10分の1よりも大きい、
請求項11に記載の送信回路。
【請求項15】
前記伝送部は、絶縁素子である
請求項11~14のいずれか一項に記載の送信回路。
【請求項16】
前記絶縁素子は、絶縁体、またはコンデンサである
請求項15に記載の送信回路。
【請求項17】
入力信号に応じて、複数のパルス波形を含む第1波形を出力する送信部と、
前記第1波形を電磁界の結合により伝送し、第2波形として出力する伝送部と、
前記第2波形を受信する受信部を備え、
前記パルス波形は、第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きく、
前記第2波形は、第1送信パルス波形に基づく第1受信パルス波形および第2送信パルス波形に基づく第2受信パルス波形を含む
送受信回路。
【請求項18】
アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換するAD変換部をさらに備え、
前記AD変換部は、クロック信号の送信タイミングに基づき、前記デジタル入力信号を出力し、
前記送信部は、前記クロック信号に基づき、前記AD変換部の出力が変化しないタイミングで前記デジタル入力信号を取り込み、前記パルス波形を送信する
請求項17に記載の送受信回路。
【請求項19】
前記伝送部は、前記第1波形の周波数成分を強調して前記第2波形を出力し、
前記第2波形は、前記周波数成分が強調されることで、前記第1波形に含まれる前記パルス波形よりも少なくとも1個以上多くの前記パルス波形を含む
請求項17又は18に記載の送受信回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送信回路および送受信回路に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁素子を介して、送信部から受信部に入力信号を伝送する絶縁信号伝送する方法がある。絶縁信号伝送においては、ハイレベル、またはローレベルのパルスによりデジタル信号を送信する方法がある。
絶縁素子は、一般的に帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)型の周波数特性を持つため、送信部から絶縁素子を介して受信部側に出力される出力波形は、特定周波数以外の成分が除去されたパルス波形を含むアナログ波形となる。
受信部は、受信したアナログ波形から送信信号に含まれるデジタル信号のハイレベル、ローレベルを判定し、情報を再生する。
【0003】
つまり、入力信号に含まれる信号を受信するためには、出力されたアナログ波形をもとにパルスを再生するため、パルスに含まれるハイレベル、ローレベルの信号を判定する必要がある。
【0004】
しかしながら、アナログ波形は、雑音等の影響のため、一部のパルスでハイレベル、ローレベルの判定ができない場合がある。
このような場合、当該パルスがボトルネックとなって、受信性能が制限される。
【0005】
入力信号の受信性能を改善するためには、当該パルスの振幅、パルス幅を増加させる必要がある。すなわち、送信部が出力する信号のエネルギーである送信エネルギーを増加させる課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許 US7728680B2号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、送信エネルギーの増加を抑えつつ、受信性能を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の送信回路は、入力信号に応じて、複数のパルス波形を含む波形を出力する送信部を備え、前記パルス波形は、第1送信パルス波形と、前記第1送信パルス波形の後ろの第2送信パルス波形を含み、前記第1送信パルス波形は、前記第2送信パルス波形よりも振幅が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【
図3】トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
【
図4】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
【
図5】送信回路がアナログ波形を送信する動作の一例を示すフローチャート。
【
図7】ハイパスフィルタのカットオフ周波数を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す図。
【
図8】
図6において第1送信パルスの振幅を増幅して送信した場合のパルスの変化を示す図。
【
図9】ハイパスフィルタのカットオフ周波数を特定の周波数にした場合のパルスの変化を示す図。
【
図10】全体消費電流を一定にして比較した電流パルスの関係を示す図。
【
図11】消費電力がパルス振幅に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと他の送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す図。
【
図12】消費電力がパルス振幅の二乗に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと他の送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す図。
【
図13】変形例に係る送信パルス生成回路の構成を示す図。
【
図14】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
【
図15】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【
図16】変形例に係る送信パルス生成回路の回路構成を示す図。
【
図17】トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
【
図18】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
【
図19】変形例に係る送信パルス生成回路の構造を示す図。
【
図20】信号送付時のスイッチのON、OFFを示す図。
【
図22】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【
図23】データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
【
図24】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【
図25】データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す図。
【
図26】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【
図27】パルス波形の数が2である場合のハイパスフィルタのカットオフ周波数を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す図。
【
図28】
図27において第1送信パルスの振幅を増幅して送信した場合のパルスの変化を示す図。
【
図29】消費電力がパルス振幅に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと第2送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す図。
【
図30】消費電力がパルス振幅の二乗に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと第2送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す図。
【
図31】変形例に係る送受信回路の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る送受信回路1000の全体構成を示す。
図2は、送信パルス生成回路(送信パルス生成部)110の回路構成を示す。
図3は、トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
図4は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
送受信回路1000は、送信回路100と、絶縁素子200と、受信回路300とを含む。
送受信回路1000は、入力側である送信回路100と、出力側である受信回路300が、電気的な絶縁体である絶縁素子200で絶縁し、信号を伝送する送受信回路である。
【0011】
送信回路100は、入力信号に応じてアナログ波形(第1波形)を出力する。詳細には、送信回路100は入力信号の遷移に同期してアナログ波形(第1波形)を出力する。送信回路100は送信部と称してもよい。
入力信号は、例えば、電流センサもしくは、電圧センサで出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換した信号である。
入力信号には、電流センサもしくは、電圧センサが観測した増幅対象の電気信号でない信号、例えば、雑音などが含まれる。
入力信号の遷移は、入力信号の状態の変化を示す。入力信号の遷移は、例えば、入力信号の立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジである。
送信回路100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120を含む。
【0012】
送信回路100が出力するアナログ波形は、連続したパルス波形を含む波形である。
連続したパルス波形とは、パルス波形同士の間隔が0である場合に加えて、パルス波形同士が一定の周期間隔ごとである場合も含まれる。例えば、パルス波形とパルス波形同士の間隔が1秒ごとである場合も含まれる。
【0013】
例えば、パルス波形の数N(Nは2以上の自然数)とした場合、送信回路100は、入力信号をN個の連続したパルス波形のアナログ波形として送信する。
当該パルス波形は、振幅に基づき、ハイレベル、もしくはローレベルを判別することでブーリアン値とすることができる。
例えば、当該アナログ波形は、N個のビットで表されるデジタル信号とみなすことができる。
【0014】
以下では、アナログ波形に含まれるパルス波形の数Nを3として説明する。
送信回路100は、入力信号を3個のパルス波形を有するアナログ波形に変換して送信する。
【0015】
本説明では、送信回路100が出力する3個のパルスの中で最初に出力されるパルスを第1送信パルス(第1送信パルス波形)、次に出力されるパルスを第2送信パルス(第2送信パルス波形)、次に出力されるパルスを第3送信パルスとする。
【0016】
送信パルス生成回路110は、パルス波形を生成する。本実施形態では、送信パルス生成回路110は、差動電流パルスによりパルス波形を生成する。
送信パルス生成回路110は、電流源111_1~111_8と、スイッチ112_1~112_8と、を含む。
【0017】
電流源111_1、111_3、111_5、111_7(第1電流源)は、I1の電流を流す。同様に、電流源111_2、111_4、111_6、111_8(第2電流源)は、I2の電流を流す。
スイッチ112_1、112_3、112_5、112_7(第1開閉器)は、電流源111_1、111_3、111_5、111_7に接続されている。
同様に、スイッチ112_2、112_4、112_6、112_8(第2開閉器)は、電流源111_1、111_3、111_5、111_7に接続されている。
スイッチ112_1~112_8は、開閉により、電流源の出力を制御する、例えば、ONとなることで電流源の電流が回路に流れる。
【0018】
スイッチ112_1~112_8は、電流源の出力制御の開閉に機械的な接点による開閉に限らない。
スイッチ112_1~112_8は、論理ゲートにより電流源の出力制御をしてもよい。例えば、スイッチ112_1~112_8は、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0019】
送信パルス生成回路110は、極性の異なる送信パルスを組み合わせることで送信信号としてH、またはLの2種類の信号を伝達する。
信号Hは、例えば、デジタル信号のハイレベルを示す信号であり、信号Hは、例えば、デジタル信号のローレベルを示す信号である。
【0020】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ112_1、112_2、112_7、112_8(第1開閉器)を同時にONにすることで、IoutにI1+I2の電流を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ112_3、112_5を同時にONにすることで、Ioutに-I1の電流を出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ112_1、112_7を同時にONにすることで、IoutにI1の電流を出力する。
【0021】
つまり、信号Hを送信する場合には、
図4に示すように、スイッチ112_1をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ112_2をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_3をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_4をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_5をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_6をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_7をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ112_8をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0022】
Ioutに流れる電流は、I1+I2、-I1、I1の順番で出力される。
第1送信パルス、第2送信パルス、第3送信パルスは、当該電流の出力の大きさに比例して出力される。つまり、第1送信パルスは、I2大きい電流に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0023】
電流源が流す電流を調節することで、送信パルスの電流の振幅を調節することができる。
例えば、I2=2×I1 の関係を満たすように電流源が流す電流を調整することで、第1送信パルスの電流の振幅をほかのパルスに対して3倍に設定することができる。他にも、電流源が流す電力を調整することで、第1送信パルスの振幅を他のパルスの任意の倍率に設定することができる。
【0024】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ112_3、112_4、112_5、112_6を同時にONにすることで、Ioutに-(I1+I2)の電流を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ112_1、112_7を同時にONにすることで、IoutにI1の電流を出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ112_3、112_5を同時にONにすることで、Ioutに-I1の電流を出力する。
【0025】
つまり、信号Lを送信する場合には、
図4に示すように、スイッチ112_1をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ112_2をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_3をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ112_4をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_5をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ112_6をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_7をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ112_8をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0026】
Ioutに流れる電流は、-(I1+I2)、I1、-I1の順番で出力される。
第1送信パルス、第2送信パルス、第3送信パルスは、当該電流の出力の大きさに比例して出力される。つまり、第1送信パルスは、I2大きい電流に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0027】
制御信号生成部120は、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチの動きを制御する制御信号を生成する。
制御信号生成部120は、データ信号とトリガー信号の2種類の信号から送信パルス生成回路110のスイッチの動作を制御する。
【0028】
トリガー信号は、送信パルス生成回路110がパルスを送信するタイミングを示す信号である。トリガー信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部120は、トリガー信号の立ち上がりエッジに応じて、パルス信号を送信する。
【0029】
データ信号は、送信パルスが出力する信号の種類を示す信号である。トリガー信号と同様に、データ信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部120は、データ信号のハイレベル、ローレベルに応じた送信パルスを出力するように、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチを制御する。
本実施形態では、データ信号がハイレベルならば、制御信号生成部120は、信号Hを送信する。データ信号がローレベルならば、制御信号生成部120は、信号Lを送信する。
【0030】
例えば、
図3に示すように、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がハイレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路110は、信号Hを送信する。
例えば、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がローレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路110は、信号Lを送信する。
トリガー信号とデータ信号は、組み合わせることで、アナログ波形(第1波形)を出力する入力信号としてもよい。
【0031】
本実施形態では、送信回路100に送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120が含まれ一体となっているが、別体で設けてもよい。
例えば、送信回路100は、アナログ波形を出力し、送信回路100の外部に送信パルス生成回路110と、制御信号生成部120をそれぞれもしくは一方を設けてもよい。
【0032】
図5は、送信回路100がアナログ波形を送信する動作の一例を示す。
制御信号生成部120は、トリガー信号の立ち上がりエッジを受信したか判定する(S1001)。トリガー信号を受信した場合、S1002に進み、受信していない場合、処理を終了する。
【0033】
制御信号生成部120は、データ信号を受信したか判定する(S1002)。データ信号を受信した場合、S1003に進み、受信していない場合、処理を終了する。
【0034】
制御信号生成部120は、受信したデータ信号の種類を判定する(S1003)。ハイレベルのデータ信号を受信した場合、S1004に進み、ローレベルのデータ信号を受信した場合、S1005に進む。
【0035】
受信したデータ信号がハイレベルであった場合、制御信号生成部120は、信号Hを出力するように、送信パルス生成回路110を制御する(S1004)。
同様に、受信したデータ信号がローレベルであった場合、制御信号生成部120は、信号Lを出力するように、送信パルス生成回路110を制御する(S1005)。
【0036】
図6は、絶縁素子200の構造を示す。
絶縁素子200は、送信回路100から送信されたアナログ波形を電磁界結合により伝送する。絶縁素子200は伝送部と称してもよい。その際、絶縁素子200は、送信回路100から送信された信号から特定周波数帯を抽出する(帯域通過特性を有する)。すなわち、絶縁素子200は特定周波数帯を抽出する(帯域通過特性を有する)フィルタとして機能する。フィルタはフィルタ部と称してもよい。結果として、送信回路100から送信されたアナログ波形は、絶縁素子200の伝送によって変形する。
絶縁素子200は、入力信号に含まれる伝送対象の電気信号でない信号、例えば、雑音などを取り除く。
絶縁素子200は、ハイパスフィルタ210と、ローパスフィルタ220を含む。
【0037】
ハイパスフィルタ210は、遮断周波数よりも高い周波数の成分を減衰させず、遮断周波数よりも低い周波数の成分を逓減させるフィルタである。
ローパスフィルタ220は、遮断周波数よりも低い周波数の成分を減衰させず、遮断周波数よりも高い周波数の成分を逓減させるフィルタである。
【0038】
ハイパスフィルタ210とローパスフィルタ220は、組み合わせることで特定の周波数帯の成分を抽出するバンドパスフィルタとして機能する。
【0039】
絶縁素子200は、ハイパスフィルタ210およびローパスフィルタ220によって送信回路100が出力したアナログ波形から特定の周波数帯の成分を抽出する。
例えば、低周波側のカットオフ周波数が送信パルスのパルス幅の逆数の10分の1よりも大きいなどである。
絶縁素子200は、当該抽出によって送信信号のアナログ波形からパルスのエッジが強調されたアナログ波形である受信信号(第2波形)を出力する。
受信信号は、送信信号に含まれる送信パルスに対応する受信パルスを含む。例えば、第1送信パルスに対応する第1受信パルス(第1受信パルス波形)を含む。
【0040】
なお、本実施形態では、絶縁素子200は、バンドパスフィルタとして絶縁トランスで構成されているが、その他の素子で構成してもよい。例えば、コンデンサ、キャパシタのような素子で構成されていてもよい。
絶縁素子200は、アンテナを用いて受信回路300と接続してもよい。
【0041】
受信回路300は、アナログ波形を受信する。受信回路300は、受信部と称してもよい。
受信回路300で受信するアナログ波形は、絶縁素子200により、送信信号から、例えば、雑音などを取り除かれた信号である。
受信回路300は、受信したアナログ波形に含まれる受信パルスから、デジタル信号のハイレベル、ローレベルを判定し、入力信号を再生する。
【0042】
図7は、ハイパスフィルタ210のカットオフ周波数を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す。
図8は、
図6において第1送信パルスの振幅を増幅して送信した場合のパルスの変化を示す。
図9は、ハイパスフィルタ210のカットオフ周波数を特定の周波数にした場合のパルスの変化を示す。
送受信回路1000では、送信回路100で送信したアナログ波形が、ハイパスフィルタ210を通過し、ローパスフィルタ220を通過した後、受信回路300で受信する。
【0043】
パルス幅をtpulse、基本周波数f0=1/tpulseとした場合、
図6のA、B、Cの各端子においてハイパスフィルタ210のカットオフ周波数(fc_hpf)を0.02f0~f0の範囲で変更した波形は、
図7、
図8のように示される。
図7では、アナログ波形に含まれるパルス波形の大きさが全て同じである場合を示し、
図8では、アナログ波形に含まれるパルス波形のうち、第1送信パルスが他の送信パルスよりも大きい場合について示している。
【0044】
図6の端子Aで測定した波形は、送信回路100からの送信直後のアナログ波形、つまり送信パルスを測定した波形である。
図6の端子Bで測定した波形は、ハイパスフィルタ210を通過直後のアナログ波形である。
図6の端子Cで測定した波形は、ローパスフィルタ220を通過直後のアナログ波形、つまり受信パルスを測定した波形である。
【0045】
絶縁素子200に含まれるハイパスフィルタ210およびローパスフィルタ220において、適切なカットオフ周波数を選択することで、端子Cで測定した受信パルスの概形が再現される。
【0046】
端子Bで測定したアナログ波形は、第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が、第2送信パルス、第3送信パルスのエッジに対応する信号よりも小さくなる。
同様に、端子Cで測定したアナログ波形は、端子Bで測定したアナログ波形の第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が、第2送信パルス、第3送信パルスのエッジに対応する信号よりも小さくなる。
【0047】
アナログ波形に含まれるパルス波形の大きさが全て同じである場合は、
図7に示すように、端子Cで測定したアナログ波形は、第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が、第2送信パルス、第3送信パルスのエッジに対応する信号よりも小さくなる。
それに対して、アナログ波形に含まれるパルス波形のうち、第1送信パルスが他の送信パルスよりも大きい場合は、
図8に示すように、端子Cで測定したアナログ波形は、アナログ波形の第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が第2送信パルス、第3送信パルスのエッジに対応する信号と同程度の大きさとなる。
【0048】
第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号の傾向は、fc_hpfが高いほど顕著となる。例えば、fc_hpf>0.1f0程度の場合において第2送信パルス、第3送信パルスのエッジに対応する信号よりも特に小さくなる。
【0049】
さらに、端子Cで測定したアナログ波形に含まれる受信パルスは、第1受信パルスに対応する出力波形の振幅が小さくなる。
【0050】
送受信回路1000は、端子Cで測定したアナログ波形に含まれる受信パルスを受信回路300で受信する。
受信パルスは、コンパレータ等で受信パルスを再生することで送信パルスを復元し、入力信号の受信ができる。
【0051】
つまり、端子Cで測定したアナログ波形の第1受信パルスがハイレベル、ローレベルの判定ができれば、第2受信パルス(第2受信パルス波形)、第3受信パルスのハイレベル、ローレベルの判定ができ、受信回路300で受信パルスから送信パルスを復元することが可能である。
すなわち、送受信回路1000の受信性能は、送信パルスに対応する受信パルスのうち、最小振幅となるパルスである第1受信パルスに基づき決定する。
【0052】
端子Cにおけるアナログ波形は、振幅の大きさに信号エネルギーが比例する。
受信回路300は、信号に対する雑音等を考えた場合、信号エネルギーが最も小さいパルス、すなわち第1受信パルスによって受信性能が制限されることになる。
【0053】
端子Cで測定したアナログ波形全体にかかる信号エネルギーを増加する、つまり送信回路100で送信する信号のエネルギーを増加させることで、第1受信パルスの振幅も増加し、受信回路300の受信性能も改善することができる。
【0054】
送信回路100が消費する電力は、一般にパルスの高さ、または、その高さの二乗に比例する。
本説明では、消費電力がパルス振幅に比例するとして説明する。
送信回路100で送信する信号のエネルギーが増加すれば、比例して消費電力も増加する。
【0055】
本実施形態の送受信回路1000は、送信回路100で、第1送信パルスの振幅を増加する。これにより、第1受信パルスに対応する端子Cで測定したアナログ波形の振幅を増加することができる。
【0056】
例えば、
図9の実線で示すようにfc_hpf=0.4f0の場合には端子Cにおける第1送信パルスの振幅は他のパルスに比べて0.4倍程度である。
ここで、
図9の破線で示すように、第1送信パルスの振幅を3倍にすると、fc_hpf=0.4f0における第1受信パルスの振幅は第3受信パルスの0.8倍程度となり、送信パルスに対応する受信パルスの振幅が増加する。
【0057】
つまり、第1送信パルスを3倍にすることで、受信性能を決める第1受信パルスに対応する振幅が約3倍に改善する。
【0058】
第1送信パルスを単純に3倍にする場合、受信回路300が受信する第1受信パルスの振幅も3倍となるため、受信性能のボトルネックが解消する。
【0059】
図10は、全体消費電流を一定にして比較した電流パルスの関係を示す。
図10では、横軸で、第1送信パルスの増加倍率を示し、縦軸で受信パルスのパルスピーク電圧を示す。
図10は、一点鎖線で第1受信パルス、鎖線で第2受信パルス、実線で第3受信パルスを示している。
例えば、第1送信パルスを単純に3倍にする場合、送信回路100の消費電力は、5/3倍に増加する。
このとき、送受信回路1000は、第1送信パルス~第3送信パルスを全て3倍にする場合と比較すると消費電力は小さくなる。
【0060】
送受信回路1000の受信性能は、上述のように、最小となる受信パルスの大きさで決定する。
つまり、本実施形態では、最小である第1受信パルスの大きさで決定する。
例えば、送信回路100の消費電力を一定にした場合、第1送信パルスの増加に従い、その他の送信パルスは小さくなる。
例えば、
図10に示すように、第1送信パルスを3倍に増幅した場合であっても、最小となる受信パルスは、パルスピーク電圧の大きさから第1受信パルスである。
つまり、消費する電力を増加せずに、送受信回路1000は、最小となる受信パルスである第1受信パルスが増幅することで受信性能は改善することができる。
【0061】
図11は、消費電力がパルス振幅に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと他の送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す。
図12は、消費電力がパルス振幅の二乗に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと他の送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す。
【0062】
端子Cに現れる最小のパルス振幅は、絶縁素子200のfc_hpfによって変化する。
図11に示すように、絶縁素子200の第1送信パルスが他の送信パルスよりも増加するに従い、第1受信パルスの比が増加する。
図11では、第1送信パルスと他の送信パルスの比が1である場合における第1受信パルスを基準として第1受信パルスの比率を表す。
例えば、fc_hpfが0.3f0において、第1送信パルスと他の送信パルスの比が1である場合、第1受信パルスの大きさの比率も1である。しかし、第1送信パルスと他の送信パルスの比が増加する、つまり、第1送信パルスが他の送信パルスよりも大きくなるに従い、第1受信パルスの比も増加する。
最小である第1受信パルスが増加することで、受信性能が改善される。
【0063】
図11では、消費電力がパルス振幅に比例する場合について説明したが、
図12のように、消費電力がパルス振幅の二乗に比例する場合も同様の傾向を示す。
図12でも、第1送信パルスと他の送信パルスの比率が1である場合における第1受信パルスを基準として第1受信パルスの比を表す。
例えば、fc_hpfが0.3f0において、第1送信パルスと他の送信パルスの比率が1である場合、第1受信パルスの大きさの比率も1である。しかし、第1送信パルスと他の送信パルスの比率が増加する、つまり、第1送信パルスが他の送信パルスよりも大きくなるに従い、第1受信パルスの比も増加する。
最小である第1受信パルスが増加することで、受信性能が改善される。
【0064】
これにより、第1送信パルスの振幅を増加することで、全ての送信パルスの振幅を増加させる必要がなく、送信回路100の消費電力を増加することなく、送受信回路1000の受信性能を改善できる。
【0065】
(変形例1)
図13は、本変形例に係る送信パルス生成回路2110の構成を示す。
図14は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
変形例1では、送受信回路2000は、送信回路2100を含む。送受信回路2000は、送信回路2100以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信回路2100は、送信パルス生成回路2110と、制御信号生成部120と、を含む。
送信パルス生成回路2110は、電圧パルスを用いて送信パルスを生成する。
【0066】
送信パルス生成回路2110は、電圧V1、V1より大きいV2が印加された端子2111_1、2111_2と、スイッチ2112_1~2111_8と、を含む。
本説明においては、スイッチは、8個ある場合について説明しているが、それ以外の数であってもよい。
スイッチ2112は、スイッチ112と同様に、例えば、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0067】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ2112_2、2112_8を同時にONにすることで、Voutに電圧V2が出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ2112_3、2112_5を同時にONにすることで、Voutに電圧-V1が出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ2112_1、2112_7を同時にONにすることで、Voutに電圧V1が出力する。
【0068】
つまり、信号Hを送信する場合には、
図14に示すように、スイッチ2112_1をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ2112_2をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_3をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_4をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_5をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_6をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_7をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_8をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0069】
Voutに出力される電圧は、V2、-V1、V1の順番で出力される。
第1送信パルス、第2送信パルス、第3送信パルスは、当該電圧の出力の大きさに比例して出力される。つまり、第1送信パルスは、V1より大きい電圧V2に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0070】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ2112_4、2112_6を同時にONにすることで、Voutに電圧-V2が出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ2112_1、2112_7を同時にONにすることで、Voutに電圧V1が出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ2112_3、2112_5を同時にONにすることで、Voutに電圧V1が出力する。
【0071】
つまり、信号Lを送信する場合には、
図14に示すように、スイッチ2112_1をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ2112_2をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_3をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_4をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_5をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_6をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_7をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ2112_8をOF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0072】
Voutに出力される電圧は、-V2、V1、-V1の順番で出力される。
第1送信パルス、第2送信パルス、第3送信パルスは、当該電圧の出力の大きさに比例して出力される。つまり、第1送信パルスは、V1より大きい電圧V2に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0073】
変形例1によれば、送信回路2100が送信する送信パルスは、電流パルス以外のパルス、例えば、差動電圧を用いることもできる。
【0074】
(変形例2)
図15は、本変形例に係る送受信回路3000の全体構成を示す。
図16は、本変形例に係る送信パルス生成回路3110の回路構成を示す。
図17は、トリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
図18は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
変形例2では、送受信回路3000は、送信回路3100と、絶縁素子3200とを含む。送受信回路3000は、当該部分以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信回路3100が送信する送信パルスは、差動電流パルス以外のパルス、例えば、疑似差動電流パルスを用いることもできる。
送信回路3100は、疑似差動電流パルスに基づき送信パルスを生成する送信パルス生成回路3110と、制御信号生成部120と、を含む。
【0075】
送信パルス生成回路3110は、例えば、中点に接地点を接続した絶縁素子3200と接続することで、疑似差動構成のために出力されるIoutpとIoutnが等しくならない場合についても対応できる。
絶縁素子3200は、接地点に接続するのならば、絶縁トランス以外の素子、例えば、キャパシタ、コンデンサであってもよい。
【0076】
例えば、
図17に示すように、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がハイレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路3110は、信号Hを送信する。
例えば、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がローレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路3110は、信号Lを送信する。
【0077】
送信パルス生成回路3110は、電流源3111_1~3111_4と、スイッチ3112_1~3112_4と、を含む。
本説明においては、電流源とスイッチは、それぞれ4個ずつある場合について説明しているが、それ以外の数であってもよい。
スイッチ3112は、スイッチ112と同様に、例えば、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0078】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ3112_3、3112_4を同時にONにすることで、Ioutpに電流I1+I2を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ3112_1をONにすることで、電流I1をIoutnに出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ3112_3をONにすることで、電流I1をIoutpに出力する。
【0079】
つまり、信号Hを送信する場合には、
図18に示すように、スイッチ3112_1をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ3112_2をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_3をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_4をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0080】
Ioutpに流れる電流は、I1+I2、出力なし、I1の順番で出力される。Ioutnに流れる電流は、出力なし、I1、出力なしの順番で出力される。
第1送信パルス、第3送信パルスは、Ioutpに流れる電流の出力の大きさに比例して出力される。第2送信パルスは、Ioutnに流れる電流の出力の大きさに比例して出力される。
つまり、第1送信パルスは、I2大きい電流に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0081】
例えば、信号Lを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ3112_1、3112_2を同時にONにすることで、Ioutnに電流I1+I2を出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ3112_3をONにすることで、電流I1をIoutpに出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ3112_1をONにすることで、電流I1をIoutnに出力する。
【0082】
つまり、信号Lを送信する場合には、
図18に示すように、スイッチ3112_1をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ3112_2をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_3をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ3112_4をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。
【0083】
Ioutpに流れる電流は、出力なし、I1、出力なしの順番で出力される。Ioutnに流れる電流は、I1+I2、出力なし、I1の順番で出力される。
第1送信パルス、第3送信パルスは、Ioutnに流れる電流の出力の大きさに比例して出力される。第2送信パルスは、Ioutpに流れる電流の出力の大きさに比例して出力される。
つまり、第1送信パルスは、I2大きい電流に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0084】
変形例2によれば、送信回路が送信する送信パルスは、疑似差動電流に基づく電流パルスを用いることもできる。
【0085】
(変形例3)
図19は、本変形例に係る送信パルス生成回路4110の構造を示す。
図20は、信号送付時のスイッチのON、OFFを示す。
変形例3では、送受信回路4000は、送信回路4100と、を含む。送受信回路4000は、当該部分以外の構成は、送受信回路3000から変更がないため、当該部分については、割愛する。当該部分は、例えば、
図17に示されるトリガー信号およびデータ信号との組み合わせにより出力される送信信号である。
【0086】
送信回路4100が送信する送信パルスは、疑似差動電圧パルスを用いることもできる。
送信回路4100は、疑似差動電圧パルスに基づき送信パルスを生成する送信パルス生成回路4110と、制御信号生成部120と、を含む。
【0087】
送信パルス生成回路4110は、例えば、中点に接地点を接続した絶縁素子3200と接続することで、疑似差動構成のために出力されるVoutpとVoutnが等しくならない場合についても対応できる。
【0088】
例えば、
図17に示すようにトリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がハイレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路4110は、信号Hを送信する。
例えば、トリガー信号の立ち上がりエッジを検知し、かつデータ信号がローレベルを示すタイミングでは、送信パルス生成回路4110は、信号Lを送信する。
【0089】
送信パルス生成回路4110は、電圧V1、V1より大きいV2が印加された端子4111_1、4111_2と、スイッチ4112_1~4111_6と、を含む。
本説明においては、スイッチは、6個ある場合について説明しているが、それ以外の数であってもよい。
スイッチ4112は、スイッチ112と同様に、例えば、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0090】
例えば、信号Hを送信する場合には、第1送信パルスにおいて、スイッチ4112_2、4112_6を同時にONにすることで、Voutpに電圧V2が出力する。
次に、第2送信パルスにおいて、スイッチ4112_3、4112_5を同時にONにすることで、Voutnに電圧V1が出力する。
最後に、第3送信パルスにおいて、スイッチ4112_1、4112_6を同時にONにすることで、Voutpに電圧V1が出力する。
【0091】
つまり、信号Hを送信する場合には、
図20に示すように、スイッチ4112_1をOFF、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
以下同様に、スイッチ4112_2をON、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ4112_3をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ4112_4をOFF、OFF、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ4112_5をOFF、ON、OFFの状態となる順番で操作する。スイッチ4112_6をON、OFF、ONの状態となる順番で操作する。
【0092】
Voutpに出力される電圧は、V2、出力なし、V1の順番で出力される。Voutnに流れる電流は、出力なし、V1、出力なしの順番で出力される。
第1送信パルス、第3送信パルスは、Voutpに当該電圧の出力の大きさに比例して出力される。第2送信パルスは、Voutnに当該電圧の出力の大きさに比例して出力される。
つまり、第1送信パルスは、V1より大きい電圧V2に基づき出力されるため、第3送信パルスよりも大きくなる。
【0093】
変形例3によれば、送信回路4100が送信する送信パルスは、疑似差動電圧を用いることもできる。
【0094】
(変形例4)
図21は、本変形例に係る送信パルス生成回路5110の構造を示す。
変形例4では、送受信回路5000は、送信回路5100と、を含む。送受信回路5000は、送信パルス生成回路5110以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信パルス生成回路5110は、第1送信パルスの振幅を増加させる倍率nを変化させることができる。
第1送信パルスの最適な振幅は、信号が伝送される経路のフィルタ特性によって大きく影響を受ける。
送信パルス生成回路5110が接続する絶縁素子200は、バンドパスフィルタとして機能し、その特性は、事前に予測することができる。
【0095】
しかし、製造時のばらつきや、絶縁素子200を使用する周囲の温度、環境によって、フィルタ特性の大幅な変動がある場合がある。
このような場合、絶縁素子200がバンドパスフィルタとして機能するフィルタ特性を事前に予測することは困難である。
【0096】
送信パルス生成回路5110は、変動するフィルタ特性に伴う第1送信パルスの振幅増加の倍率nを変更することで、フィルタ特性にかかわらず最適な第1送信パルスの振幅に増加することができる。
【0097】
送信パルス生成回路5110は、1個ずつのI1の電流を流す電流源5111_1、5111_3、5111_5、5111_7と、少なくとも1個以上の複数(M)個ずつのI2の電流を流す電流源5111_2、5111_4、5111_6、5111_8と、それぞれの電流源に接続したスイッチ5112_1~5112_8と、を含む。
スイッチ5112は、スイッチ112と同様に、例えば、トランジスタ、集積回路(IC)などのデジタル回路であってもよい。
【0098】
スイッチ5112_1~5112_8は、電流源5111_1~5111_8にそれぞれ接続されており、ONとなることで電流を出力する。
【0099】
M個ずつのI2の電流を流す電流源5111_2、5111_4、5111_6、4111_8は、スイッチをONにする個数を調節することにより、流れる電流の値を変更することができる。
【0100】
これにより、第1送信パルスの振幅を他のパルスに対して何倍にするかを伝送経路の特性に合わせて選択することで、伝送経路の特性にかかわらず、適した倍率nで第1送信パルスの振幅を増加させることができる。
【0101】
(変形例5)
図22は、本変形例に係る送受信回路6000の全体構成を示す。
図23は、データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
変形例5では、送受信回路6000は、送信回路6100を含む。送受信回路6000は、送信回路6100以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
送信回路6100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部6120と、を含む。
制御信号生成部6120は、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチの動きを制御する制御信号を生成する。詳細には、制御信号生成部6120は、データ信号から送信パルス生成回路110のスイッチの動作を制御する。
【0102】
データ信号は、送信パルスが出力する信号の種類を示す信号である。データ信号は、ハイレベルもしくはローレベルの判別できる信号である。
制御信号生成部5120は、データ信号のハイレベル、ローレベルの変化に応じた送信パルスを出力するように、送信パルス生成回路110に含まれるスイッチを制御する。
本変形例では、データ信号の立ち上がりエッジを検知すれば、制御信号生成部120は、信号Hを送信する。データ信号の立ち下がりエッジを検知すれば、制御信号生成部120は、信号Lを送信する。
データ信号は、データ信号の遷移によりアナログ波形(第1波形)を出力する入力信号としてもよい。
【0103】
変形例5によれば、制御信号生成部6120は、データ信号で信号の送受信を制御することができる。
【0104】
(変形例6)
図24は、本変形例に係る送受信回路7000の全体構成を示す。
図25は、データ信号との組み合わせにより出力される送信信号を示す。
送受信回路7000の送信回路7100は、送信パルス生成回路3110と、制御信号生成部5120と、を含む。
データ信号から送信パルス生成回路110のスイッチの動作を制御する制御信号生成部5120は、疑似電流パルスを用いる送信パルス生成回路3110と組み合わせることができる。
【0105】
本変形例では、
図25に示すように。データ信号の立ち上がりエッジを検知すれば、制御信号生成部5120は、IoutpとIoutnから所定のパルスを送信することで信号Hを送信する。データ信号の立ち下がりエッジを検知すれば、IoutpとIoutnから所定のパルスを送信することで、制御信号生成部5120は、信号Lを送信する。
【0106】
(変形例7)
図26は、本変形例に係る送受信回路8000の全体構成を示す。
送受信回路8000は、送信回路8100と、絶縁素子200と、受信回路300と、AD変換回路400と、を含む。
送信回路8100は、送信パルス生成回路110と、制御信号生成部8120と、を含む。
送受信回路8000は、入力信号がアナログ入力信号である送受信回路である。送受信回路7000はアナログ信号を絶縁伝送するアイソレーションアンプとして動作する。
【0107】
AD変換回路400は、アナログ入力信号をデジタル入力信号に変換する変換回路である。AD変換回路400は、AD変換部と称してもよい。
AD変換回路400は、アナログ-デジタル変換回路とも呼ばれ、フラッシュADC、パイプラインADC、ΔΣ変調器などを利用できる。
【0108】
AD変換回路400と、制御信号生成部7120には、CLK信号(クロック信号)が入力される。
AD変換回路400は、アナログ入力信号を、CLK信号のタイミングに基づき、デジタル信号を変換し、データ信号として出力する。
【0109】
制御信号生成部8120は、CLK信号に基づき、AD変換回路400の出力が変化しないタイミングでデータ信号を取り込み、送信パルス生成回路110への制御信号を生成する。
例えば、CLK信号の立ち上がりエッジでAD変換回路400の出力信号が変化して、立下りエッジで制御信号生成部7120がデータ信号を取り込み、制御信号を生成する。
【0110】
変形例7によれば、アナログ信号を入力信号としてデジタル信号に変換し、受信回路300に伝送することができる。
【0111】
(変形例8)
図27は、パルス波形の数が2である場合のハイパスフィルタ210のカットオフ周波数を変更した場合の特定の端子におけるパルスの変化を示す。
図28は、
図27において第1送信パルスの振幅を増幅して送信した場合のパルスの変化を示す。
【0112】
送受信回路1000は、送信回路100が送信するパルス波形の数Nを3以外にすることができる。
例えば、送受信回路1000は、パルス波形の数Nを2とした場合、送信回路100は、入力信号を2個の連続したパルス波形のアナログ波形として送信する。
例えば、当該アナログ波形は、2個のビットで表されるデジタル信号とみなすことができる。
【0113】
本説明では、送信回路100が出力する2個のパルスの中で最初に出力されるパルスを第1送信パルス、次に出力されるパルスを第2送信パルスとする。
【0114】
図6のA、B、Cの各端子においてハイパスフィルタ210のカットオフ周波数(fc_hpf)を0.02f0~f0の範囲で変更した波形は、
図27のように示される。
【0115】
図6の端子Aで測定した波形、端子Bで測定した波形、端子Cで測定した波形は、パルス波形の数Nを3とした場合と同様に、絶縁素子200において、適切なカットオフ周波数を選択することで、端子Cで測定した受信パルスの概形が再現される。
【0116】
端子Bで測定したアナログ波形は、第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が、第2送信パルスのエッジに対応する信号よりも小さくなる。
同様に、端子Cで測定したアナログ波形は、端子Bで測定したアナログ波形の第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号が、第2送信パルスのエッジに対応する信号よりも小さくなる。
【0117】
第1送信パルスの立ち上がりエッジに対応する信号の傾向は、パルス波形の数Nを3とした場合と同様に、fc_hpfが高いほど顕著となる。例えば、fc_hpf>0.1f0程度の場合において第2送信パルスのエッジに対応する信号よりも特に小さくなる。
さらに、端子Cで測定したアナログ波形に含まれる受信パルスは、第1受信パルスに対応する出力波形の振幅が小さくなる。
【0118】
つまり、パルス波形の数Nが2であっても、端子Cで測定したアナログ波形の第1受信パルスがハイレベル、ローレベルの判定ができれば、第2受信パルス(第2受信パルス波形)のハイレベル、ローレベルの判定ができ、受信回路300で受信パルスから送信パルスを復元することが可能である。
すなわち、送受信回路1000の受信性能は、送信パルスに対応する受信パルスのうち、最小振幅となるパルスである第1受信パルスに基づき決定する。
【0119】
図29は、消費電力がパルス振幅に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと第2送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す。
図30は、消費電力がパルス振幅の二乗に比例する場合において消費電力が一定である条件に基づき、第1送信パルスと第2送信パルスの比に対する第1受信パルスの比率を示す。
【0120】
端子Cに現れる最小のパルス振幅、つまり第2受信パルスは、絶縁素子200のfc_hpfによって大きくは変化しない。
図29に示すように、絶縁素子200の第1送信パルスが第2送信パルスよりも増加するに従い、第1受信パルスの比が増加する。
図29では、第1送信パルスと第2送信パルスの比が1である場合における第1受信パルスを基準として第1受信パルスの比率を表す。
例えば、
図29に示すように、第1送信パルスが第2送信パルスよりも1.5倍以上の大きさで送信した場合、第1受信パルスの比率は約1.2倍以上大きくなる。つまり、第1送信パルスが第2送信パルスよりも大きくなるに従い、第1受信パルスの比も増加する。
最小である第1受信パルスが増加することで、受信性能が改善される。
【0121】
絶縁素子200のfc_hpfがいずれの場合であっても同様の結果を示し、
図29ではグラフは重なって表されている。
【0122】
送信エネルギーがパルス振幅の二乗に比例する場合も同様の傾向を示す。
図30でも、第1送信パルスと第2送信パルスの比が1である場合における第1受信パルスを基準として第1受信パルスの比率を表す。
例えば、
図30に示すように、第1送信パルスが第2送信パルスよりも1.5倍以上の大きさで送信した場合、第1受信パルスの比率は約1.2倍以上大きくなる。つまり、第1送信パルスが第2送信パルスよりも大きくなるに従い、第1受信パルスの比も増加する。
最小である第1受信パルスが増加することで、受信性能が改善される。
【0123】
絶縁素子200のfc_hpfがいずれの場合であっても同様の結果を示し、
図30では
図29と同様に、グラフは重なって表されている。
【0124】
(変形例9)
図31は、本変形例に係る送受信回路9000の全体構成を示す。
変形例9では、送受信回路9000は、絶縁素子9200と、受信回路9300を含む。送受信回路9000は、当該部分以外の構成は、送受信回路1000から変更がないため、当該部分については、割愛する。
【0125】
絶縁素子9200は、送信回路100から送信されたアナログ波形を電磁界結合により伝送する。
その際、絶縁素子9200は、送信回路100から送信された信号から特定周波数帯を抽出する(帯域通過特性)バイパスフィルタとして機能する。結果として、送信回路100から送信されたアナログ波形は変形する。
【0126】
絶縁素子9200は、ハイパスフィルタとしての特性により、パルス幅に対応した周波数の成分を強調してアナログ波形(第2波形)を出力する。絶縁素子9200が周波数の成分を強調するアナログ波形には、雑音のような増幅対象の電気信号でない信号も含まれている。
【0127】
例えば、送信回路100が2個のパルスを含むアナログ波形を出力した場合、絶縁素子9200が出力するアナログ波形は、第1送信パルスに基づく第1受信パルス、第2送信パルスに基づく第2受信パルスが含まれる。絶縁素子9200が出力するアナログ波形は、他に、第1送信パルス、第2送信パルスが絶縁素子200によって周波数の成分を強調されたことに基づく強調パルス波形である第3受信パルスを含む。
【0128】
絶縁素子9200は、受信回路300に3個のパルス波形を含むアナログ波形を出力する。つまり、絶縁素子9200は、送信回路100が出力するアナログ波形に含まれる2個のパルス波形よりも多い個数のパルス波形を含むアナログ波形を出力する。
【0129】
受信回路9300は、絶縁素子9200が出力したアナログ波形を受信し、当該アナログ波形に含まれるパルス波形に基づき信号を判定する。
【0130】
つまり、アナログ波形に含まれるパルス波形の数がN個の場合、受信回路9300で少なくともN+1個のパルス波形に基づき信号の判定をする。
【0131】
変形例9によれば、送信回路100が出力するパルス波形を含むアナログ波形よりも多い数のパルス波形を含むアナログ波形によって信号を受信できる。
すなわち、送受信回路9000は、少ない消費電力で信号の送信ができる。また、送受信回路9000は、雑音や外乱に対する耐性のある信号の送信ができる。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000 送受信回路
100、2100、3100、5100、6100、7100 送信回路
110、、2110、3110、4110、7110 送信パルス生成回路
120、6120、8120 制御信号生成部
111、3111、5111 電流源
112、2112、3112、4112 スイッチ
200、3200、9200 絶縁素子
210 ハイパスフィルタ
220 ローパスフィルタ
2111 端子
300、9300 受信回路
400 AD変換回路