(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135835
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】管理装置、作業管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20230922BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041124
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 忠行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】複数の作業者が順に複数の各工程の作業を引き継いで対応するライン作業において、複数の異なる対象を投入する際の能率を向上させる投入順を決定する技術を提供する。
【解決手段】対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を、作業者が工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる工程の対応を工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる対象物に対する作業を順にライン作業で行う。この際 、複数の異なる対象物を順にライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、複数の異なる対象物のうちの最後の対象物のライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短くなる、複数の異なる対象物をライン作業で作業する順番を特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対する前記作業を順に行うライン作業の管理手段が、
前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する順番特定手段と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記順番特定手段は、
前記ライン作業において前記作業者が前記対象物を順に引き継いで前記作業を行う作業順番を取得し、
前記作業順番が示す前記作業者のうち前記ライン作業における所定の作業順番までの作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号を特定し、
複数の前記異なる対象物それぞれについて特定した前記到達番号のうち、大きい到達番号に対応する対象物の作業を優先して前記ライン作業で順に作業する場合の前記ライン投入順番を特定する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記順番特定手段は、
前記ライン作業における前記所定の作業順番Kまでの作業者に割り当てられた工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号の特定を、前記作業順番K=1の場合から順にKに1加えながら繰り返し行い、その繰り返しごとに前記ライン作業で順に作業する場合の前記対象物のライン投入順番を特定する
請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記順番特定手段は、前記所定の作業順番Kの最大値を、前記ライン作業を担当する前記作業者の総数N-1に設定し、
前記ライン作業における前記所定の作業順番Kまでの作業者に割り当てられた工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号の特定を、前記K=1の場合から順にKに1加えながら前記Kが前記総数N-1に達するまで繰り返し行い、その繰り返しごとに前記ライン作業で順に作業する場合の前記対象物のライン投入順番を特定する
請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
前記順番特定手段は、前記到達番号の算出の繰り返しの度に特定した前記ライン作業で順に作業する前記対象物の前記ライン投入順番ごとに、前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間を算出し、その作業時間のうち最も短い作業時間の算出に利用した前記ライン投入順番を特定する
請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
前記順番特定手段は、前記作業順番が示す前記作業者のうち前記ライン作業における所定の作業順番までの作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号と、当該作業場所における作業終了時刻とに基づいて算出した前記対象物の作業の到達の程度の値を、前記到達番号の代わりに用いて、前記ライン投入順番を特定する
請求項2から請求項4の何れか一項に記載の管理装置。
【請求項7】
対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対するライン作業を順に行う際に、
前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する
を備える作業管理方法。
【請求項8】
対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対する前記作業を順に行うライン作業の管理手段、
前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する順番特定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、作業管理方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の製品を一つのラインで異なる工程ごとに複数人で順番に担当して製造すること、複数の作業を一つのラインで異なる工程ごとに複数人で順番に担当して作業することが行われている。例えば、パーソナルコンピュータなどの電子製品を、一つのラインで異なる工程ごとに複数人で順番に担当して製造することが行われている。このような作業をライン作業などと呼ぶ。ライン作業においては、できるだけ各作業者ができるだけ効率よく作業して、作業の短縮が図れるための工夫をしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、多種少量生産ラインにおける製品の生産能率を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような複数の作業者が順に複数の各工程の作業を引き継いで対応するライン作業において、より能率を向上させる技術が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する管理装置、作業管理方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、管理装置は、対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対する前記作業を順に行うライン作業の管理手段が、前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する順番特定手段と、を備える。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、作業管理方法は、対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対するライン作業を順に行う際に、前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を前記作業者が前記工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる前記工程の対応を前記工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる前記対象物に対する前記作業を順に行うライン作業の管理手段、前記複数の異なる対象物を順に前記ライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、前記複数の異なる対象物のうちの最後の対象物の前記ライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短い、前記複数の異なる対象物を前記ライン作業で作業するライン投入順番を特定する順番特定手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の作業者が順に複数の各工程の作業を引き継いで対応するライン作業において、能率を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態によるライン作業を説明する図である。
【
図2】本実施形態による製品Aの工程設計情報を示す。
【
図3】本実施形態による製品Bの工程設計情報を示す。
【
図4】本実施形態による製品Cの工程設計情報を示す。
【
図5】本実施形態による製品Dの工程設計情報を示す。
【
図6】本実施形態によるライン作業において作業の遅延を説明する図である。
【
図7】本実施形態による管理装置のハードウェア構成図である。
【
図8】本実施形態による管理装置の機能ブロック図である。
【
図9】第一の実施形態による管理装置の処理フローを示す図である。
【
図10】第一の実施形態による本実施形態の管理装置の処理の概要を示す図である。
【
図11】本実施形態による管理装置の最小構成を示す図である。
【
図12】本実施形態による最小構成の管理装置による処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態によるライン作業の管理装置を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態によるライン作業を説明する図である。
図1で示すライン作業は、1から12の番号が付与された作業場所において、作業者1、作業者2、作業者3の3人の作業者が順番に、対象に関する作業工程の各作業を順に行う。一例として作業の対象は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと呼ぶ)などの電子製品である。PCは複数の部品により構成される。例えば、PCは購入を希望するユーザの選択により、構成するPCのメモリ容量、HDD容量、CPU種別、RAID構成などが様々である。これらの違いにより、PCを製品A、製品B、製品Cなどと、異なる名称で呼ぶ場合がある。ライン作業を行う作業場所は作業工程の順に、作業場所の番号(識別子)に対応する場所と定まっている。例えば、製品Aを製造するためには、作業者1は作業場所1~5を利用し、作業者2は作業場所6~8を利用し、作業場所3は作業場所9~12を利用して、各作業場所に対応する工程の作業を行う。他の製品を製造するための各作業工程の作業場所は異なっていてよい。ただし、各製品の作業工程の順番と、各作業工程を行う作業場所の番号の順番は、昇順に対応している。そして、各作業者には、予め各製品についての複数の作業工程のうち、いずれの作業工程を行うかが定められている。各作業者は、各製品についての作業を行う際に、自身が担う作業工程の番号と、各作業工程の番号に対応する作業場所を特定し、各作業工程の作業を、対応する作業場所で行う。各作業者は、ある製品について自身に割り当てられた一つまたは連続する複数の作業工程の作業を終了すると、次の作業工程を行う作業者に製品を渡す。これにより、各作業者が順番に自身に割り当てられた作業工程の作業を行い、製品に対応する各作業が行われる。本実施形態による管理装置は、このようなライン作業における複数の異なる製品の投入順番を決定する。
【0013】
つまり本実施形態による管理装置1は、対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を作業者が工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる工程の対応を工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる対象物に対する前記作業を順に行うライン作業を管理する。
【0014】
図2は、本実施形態による製品Aの工程設計情報を示す。
図3は、本実施形態による製品Bの工程設計情報を示す。
図4は、本実施形態による製品Cの工程設計情報を示す。
図5は、本実施形態による製品Dの工程設計情報を示す。
工程設計情報は、製品の製造工程のうち、各作業者に割り当てる作業工程に対応する作業場所、その作業場所で対応する作業工程を行う為に十分な作業時間、各作業者が自身に割り当てられた1つまたは連続する作業工程にかかる総時間(設計値)を示す情報である。各作業者は、この工程設計情報に基づいて作業を行う。また管理装置は、この工程設計情報の条件が満たされるように、製品のライン作業への投入順番を決定する。製品A、製品B、製品C、製品Dの各工程設計情報は所定のデータベースに記録される。管理装置1は、この情報を読み取って処理を行う。
【0015】
図6はライン作業において作業の遅延を説明する図である。
製品A、製品B、製品C、製品Dの順番で各ライン作業を行うとする。この場合、製品Aについては、作業者1が作業場所1,2においてその場所で行う作業工程の作業を行い、作業者2が作業場所3,4,5においてそれらの場所で行う作業工程の作業を行い、作業者3が作業場所6,7,8,9においてそれらの場所で行う作業工程の作業を行う。
図6で示す1つ目の製品Aに関するスケジュール表は、製品Aの作業工程の何れかを担う作業者と、当該作業者が作業する作業場所の番号と、作業場所に対応する作業工程にかけることのできる時間を示す表を示している。当該表において一つのマス目の横方向は1秒を示す。この製品Aのスケジュール表は以下の各規定を表す。なお説明の便宜上、
図6を用いた例では作業場所が1~9までの例を用いて説明する。
【0016】
作業場所1で作業者1が製品Aの作業にかけることのできる時間は20秒と規定する。
作業場所2で作業者1が製品Aの作業にかけることのできる時間は9秒と規定する。
作業場所3で作業者2が製品Aの作業にかけることのできる時間は12秒と規定する。
作業場所4で作業者2が製品Aの作業にかけることのできる時間は16秒と規定する。
作業場所5で作業者2が製品Aの作業にかけることのできる時間は2秒と規定する。
作業場所6で作業者3が製品Aの作業にかけることのできる時間は9秒と規定する。
作業場所7で作業者3が製品Aの作業にかけることのできる時間は5秒と規定する。
作業場所8で作業者3が製品Aの作業にかけることのできる時間は15秒と規定する。
作業場所9で作業者3が製品Aの作業にかけることのできる時間は1秒と規定する。
【0017】
また製品Bについては、作業者1が作業場所1,2,3においてそれらの場所で行う作業工程の作業を行い、作業者2が作業場所5,6,7においてそれらの場所で行う作業工程の作業を行い、作業者3が作業場所8,9においてそれらの場所で行う作業工程の作業を行う。
図6で示す2つ目の製品Bに関するスケジュール表は、製品Bの作業工程の何れかを担う作業者と、当該作業者が作業する作業場所の番号と、作業場所に対応する作業工程にかけることのできる時間を示す表を示している。この製品Aのスケジュール表は以下の各規定を表す。
【0018】
作業場所1で作業者1が製品Bの作業にかけることのできる時間は9秒と規定する。
作業場所2で作業者1が製品Bの作業にかけることのできる時間は2秒と規定する。
作業場所3で作業者1が製品Bの作業にかけることのできる時間は2秒と規定する。
作業場所4で作業者1が製品Bの作業にかけることのできる時間は17秒と規定する。
作業場所5で作業者2が製品Bの作業にかけることのできる時間は9秒と規定する。
作業場所6で作業者2が製品Bの作業にかけることのできる時間は4秒と規定する。
作業場所7で作業者2が製品Bの作業にかけることのできる時間は17秒と規定する。
作業場所8で作業者3が製品Bの作業にかけることのできる時間は15秒と規定する。
作業場所9で作業者3が製品Bの作業にかけることのできる時間は15秒と規定する。
【0019】
製品C、Dの説明は冗長のため割愛する。ここで、
図6のスケジュール表は、製品Aをライン作業に投入した後に、作業者1が作業場所1,作業場所2での作業を終えて、作業場所3で作業を行う作業者2に製品Aを引き継いだ後、次にライン作業に投入される製品Bの作業場所1と作業場所2の両方の作業場所での作業を終える時刻は、作業場所3で作業者2が製品Aの作業を行う時刻よりも1秒早いことを示す。従って、作業者1は製品Bの作業場所2での作業を終了した後に、1秒待機して、製品Bを作業者2に引き継ぐ必要がある。
【0020】
また作業者1が作業場所3でその場所での製品Bの作業工程を終了して、作業場所4に移動する時刻は、作業者2による製品Aの作業場所4での作業の終了時刻よりも14秒早い。従って、作業者1が作業場所3でその場所での製品Bの作業工程を終了して、作業場所4に移動する際に、作業者2による作業場所4での作業を14秒待機して、作業場所4に移動する必要がある。
【0021】
このように作業の対象の複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を、各作業者が工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる工程の対応を、工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行う場合、各作業者の待機の時間が短くなるように、各製品の投入順番を決定する必要がある。
【0022】
図7は本実施形態による管理装置のハードウェア構成図である。
この図が示すように管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、HDD(Hard Disk Drive)104、データベース105、通信モジュール106等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。
【0023】
図8は本実施形態による管理装置の機能ブロック図である。
管理装置1は、CPU101が、管理プログラムを起動することにより、制御部11、管理部12、出力部13の機能を発揮する。管理部12は、異なる製品のライン作業への投入の順番を特定する順番特定部21の機能を発揮する。
【0024】
制御部11は、各機能を制御する。
管理部12は、対象の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を作業者が工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる工程の対応を工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる対象に対する作業を順に行うライン作業の管理を行う。
順番特定部21は、複数の異なる対象を順にライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、複数の異なる対象物のうちの最後の対象物のライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間が短くなるように、複数の異なる対象物をライン作業で作業する順番を特定する。
出力部13は、処理結果をディスプレイなどの出力先に出力する。
【0025】
図9は本実施形態の管理装置の処理フローを示す図である。
図10は本実施形態の管理装置の処理の概要を示す図である。
次に管理装置の処理フローを順を追って説明する。
管理装置の管理部12は、管理者などからの処理の開始の指示を受け付ける(ステップS101)。この時、管理装置1の管理部12は、ライン作業に投入する複数の製品のID、担当する作業者の人数の情報を、入力インタフェースから取得する(ステップS102)。管理部12は、順番特定部21に処理の開始を指示する。今、管理装置の管理部12は、製品A,B,C,Dの4つの製品のIDと、作業者1~作業者3の3人の作業者の人数の情報を取得したとする。
【0026】
順番特定部21は、ライン作業に投入する複数の製品のID、担当する作業者の人数の情報を取得する。順番特定部21は、取得した複数の製品のIDに基づいて、各製品の工程設計情報をデータベース105等から取得する(ステップS103)。
【0027】
順番特定部21は作業者の番号KにK=1を設定する(ステップS104)。順番特定部21は、製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、当該製品Aの複数の工程のうち、作業者1(K=1)に割り当てられた製品Aの1つまたは複数の連続する工程の最後の工程の作業場所番号を取得する(ステップS105)。なおKは、作業者を示すと共に、その作業の順番を示す。順番特定部21は、その取得した作業場所番号を、製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号と特定する(ステップS106)。到達番号は、ライン作業で作業を行う対象の到達の程度を示す値である。例えば
図10の例では、製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号は「6」を示す。
【0028】
順番特定部21は同様に、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、当該製品Bの複数の工程のうち、作業者1に割り当てられた製品Bの1つまたは複数の連続する工程の最後の工程の作業場所番号を取得する。順番特定部21は、その取得した作業場所番号を、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号と特定する。例えば
図10の例では、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号は「2」を示す。
【0029】
順番特定部21は同様に、製品Cをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号を特定する。また順番特定部21は同様に、製品Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号を特定する。
図10の例では、製品Cをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号は「4」を示す。
図10の例では、製品Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号は「5」を示す。
【0030】
順番特定部21は、製品A、B、C、Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達番号(製品A=「6」,製品B=「2」,製品C=「4」,製品D=「5」)をそれぞれ比較する。順番特定部21は、その比較に基づいて、K=1における、到達番号の大きい順に製品を投入した場合の投入順候補を決定する(ステップS107)。つまり、順番特定部21投入順候補として「製品A、製品D、製品C、製品B」の順番を示す投入順候補(K=1)を決定する。
【0031】
順番特定部21は、作業者の順番Kが、作業者の総数N-1に達したか否かを判定する(ステップS108)。順番特定部21は、作業者の順番Kが、作業者の総数N-1に達していない場合には、K=K+1を設定する。
【0032】
そして順番特定部21は製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、当該製品Aの複数の工程のうち、作業者2(K=2)に割り当てられた製品Aの1つまたは複数の連続する工程の最後の工程の作業場所番号を取得する。順番特定部21は、その取得した作業場所番号を、製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号と特定する。例えば
図10の例では、製品Aをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号は「8」を示す。
【0033】
順番特定部21は同様に、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、当該製品Bの複数の工程のうち、作業者2に割り当てられた製品Bの1つまたは複数の連続する工程の最後の工程の作業場所番号を取得する。順番特定部21は、その取得した作業場所番号を、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号と特定する。例えば
図10の例では、製品Bをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号は「6」を示す。
【0034】
順番特定部21は同様に、製品Cをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号を特定する。また順番特定部21は同様に、製品Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号を特定する。
図10の例では、製品Cをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号は「9」を示す。
図10の例では、製品Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者2における到達番号は「10」を示す。
【0035】
順番特定部21は、製品A、B、C、Dをライン作業にそれぞれ最初に投入した場合の、作業者2における到達番号(製品A=「8」,製品B=「6」,製品C=「9」,製品D=「10」)をそれぞれ比較する。順番特定部21は、その比較に基づいて、K=2における、到達番号の大きい順に製品を投入した場合の投入順候補を決定する。つまり、順番特定部21投入順候補として「製品A、製品D、製品C、製品B」の順番を示す投入順候補(K=2)を決定する。
【0036】
順番特定部21は、作業者の順番Kが、作業者の総数N-1に達したか否かを判定する。順番特定部21は、作業者の順番Kが、作業者の総数N-1に達していない場合には、K=K+1を設定する。順番特定部21は、作業者の順番Kが、作業者の総数N-1に達した場合には、投入順候補の決定を終了する。ここで、作業者の総数N=3の為、K(K=2)が、N-3の示す2に達しているため、順番特定部21は、投入順候補の決定を終了する。
【0037】
ここで、順番特定部21は、到達番号の大きい順に製品を投入した場合の投入順候補を決定している。より遠くの作業場所まで到達できる製品を先に投入することは、作業者間の製品の受け渡しの待ち時間を減らすことに繋がる。従って、順番特定部21は、各製品を最初に投入した場合に、最も先に到達する製品から順番に投入するような投入順候補を決定している。
【0038】
また順番特定部21は、K=1の場合の投入順候補と、K=2の場合の投入順候補を用いて、どちらの投入順候補を、投入順番とするかを判定する。具体的には、順番特定部21は、K=1の場合の投入順候補により、各製品A~Dをライン作業に投入した場合に、最初にライン作業に投入した製品の作業の開始時刻から、最後にライン作業に投入した製品の最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間を算出する(ステップS109)。
図6で示すような各作業場所における各工程の各作業者においてかかる時間を用いれば、当該作業時間を算出することができることは明らかである。より具体的には、順番特定部21は、製品A、B、C、Dの各工程設計情報を取得する。順番特定部21は、投入順候補に基づいて最初にライン作業に投入する製品の各作業場所の作業時間に基づいて、各作業場所における作業終了時刻を算出する。当該作業終了時刻は、最初の工程の作業開始時刻を0とした相対的な時刻であってよい。また順番特定部21は、投入順候補に基づいて、次に投入する製品の各作業場所の作業時間に基づいて、各作業場所における作業時刻を算出し、その算出時刻が、ライン作業に先に投入された製品の対応する作業場所の作業終了時刻より前であれば、その作業終了時刻の1秒後の時刻を作業開始時刻として設定して、その製品の各作業工程における作業終了時刻を算出する。そして順番特定部21は、投入順候補の順番で各製品の各作業場所における作業終了時刻を算出して、各製品A~Dをライン作業に投入した場合に、最初にライン作業に投入した製品の作業の開始時刻から、最後にライン作業に投入した製品の最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間を算出する。
【0039】
順番特定部21は、K=1から、K=N-1までの全てにおいて算出した作業時間を比較する。つまり上述の例では、K=1の場合の作業時間と、K=2の場合の作業時間を算出した後、K=1の場合の作業時間と、K=2の場合の作業時間とを比較する(ステップS110)。順番特定部21は最も短い作業時間の算出に利用したKの値を特定する(ステップS111)。順番特定部21は特定したKの値を用いて算出した投入順候補を、最終的な製品の投入順番と決定する(ステップS112)。例えば、K=1の場合の作業時間が180秒、K=2の場合の作業時間が190秒であれば、K=1の場合の投入順候補を、最終的な投入順番と決定する。
【0040】
順番特定部21は、投入順番の情報を出力部13へ出力する。出力部13は、投入順番の情報を、ディスプレイに出力する(ステップS112)。管理部12は、順番特定部21に特定した投入順番に基づいて、
図6で示すスケジュール表を生成してもよい。そして出力部13は、スケジュール表をディスプレイに出力してもよいし、印刷装置を用いてそのスケジュール表を印刷してもよい。
【0041】
以上、上述の管理装置1の処理によれば、対象物の作業に関する複数の工程のうち作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程を作業者が工程に対応する作業場所で作業し、予め定められた作業順番の複数の作業者で順に異なる工程の対応を工程の順番に応じた番号の作業場所で引き継いで行うことで、複数の異なる対象物に対する作業を順に行うライン作業における、作業時間が短縮できる製品の投入順番を特定することができる。
【0042】
上述の第一の実施形態の処理は、順番特定部21が、ライン作業において作業者が対象物を順に引き継いで作業を行う作業順番を取得し、作業順番が示す作業者のうちライン作業における所定の作業順番までの作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号を特定し、複数の異なる対象物それぞれについて特定した到達番号のうち、大きい到達番号に対応する対象物の作業を優先してライン作業で順に作業する場合のライン投入順番を特定する処理の一態様である。
【0043】
また上述の第一の実施形態の処理は、順番特定部21が、ライン作業における所定の作業順番Kまでの作業者に割り当てられた工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号の特定を、作業順番K=1の場合から順にKに1加えながら繰り返し行い、その繰り返しごとにライン作業で順に作業する場合の対象物のライン投入順番を特定する処理の一態様である。
【0044】
また上述の第一の実施形態の処理は、順番特定部21が、所定の作業順番Kの最大値を、ライン作業を担当する作業者の総数N-1に設定し、ライン作業における所定の作業順番Kまでの作業者に割り当てられた工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号を示す到達番号の特定を、K=1の場合から順にKに1加えながらKが総数N-1に達するまで繰り返し行い、その繰り返しごとにライン作業で順に作業する場合の対象物のライン投入順番を特定する処理の一態様である。
【0045】
また上述の第一の実施形態の処理は、順番特定部21が、到達番号の算出の繰り返しの度に特定したライン作業で順に作業する対象物のライン投入順番ごとに、複数の異なる対象物を順にライン作業で作業する際の最初の対象物の作業の開始時刻から、複数の異なる対象物のうちの最後の対象物のライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間を算出し、その作業時間のうち最も短い作業時間の算出に利用したライン投入順番を特定する処理の一態様である。
【0046】
(第二の実施形態)
管理装置1は、上述の処理によれば、複数の異なる対象それぞれについて算出した到達番号のうち、大きい到達番号に対応する対象の作業を優先してライン作業で順に作業するような投入順番を特定している。しかしながら、到達番号に代えて、到達の程度を示す他の数値を用いて、その到達の程度が大きい値に対応する対象の作業を優先してライン作業で順に作業するような投入順番を特定してもよい。
【0047】
例えば、順番特定部21は、
図9のような各製品を最初に投入した場合の、K番目の作業者における1つまたは連続する複数の工程の最後の工程を作業する作業場所の番号nと、その作業場所でK番目の作業者が作業を終えた作業時刻の、K=1番目の作業者の作業開始時刻からの作業時間Tとを取得する。順番特定部21は、作業場所の番号nを作業時間Tで割った数値αを、到達の程度の遠さを示す値(以下、到達程度値と呼ぶ)として特定する。
【0048】
順番特定部21は、製品A、B、C、Dをライン作業に最初に投入した場合の、作業者1における到達程度値をそれぞれ比較する。順番特定部21は、その比較に基づいて、K=1における、到達程度値の大きい順に製品を投入した場合の投入順候補を決定する。順番特定部21は、K=N-1となるまで同様に処理を繰り返し、第一の実施形態と同様に、複数の投入順候補のうち、作業時間が短くなる投入順候補を、投入順番と決定する。
【0049】
第二の実施形態の処理は、順番特定手段が、作業順番が示す作業者のうちライン作業における所定の作業順番までの作業者に割り当てられた一つまたは連続する複数の工程のうちの最後の工程に対応する作業場所の番号と、当該作業場所における作業終了時刻とに基づいて算出した対象物の作業の到達の程度の値を、到達番号の代わりに用いて、ライン投入順番を特定する処理の一態様である。
【0050】
なお上述の各実施形態の処理の一部または全部の処理を人手で行ってもよい。上述の各実施形態の処理の一部を人手で行う場合には、それ以外の処理をコンピュータである管理装置1が行うようにしてよい。
【0051】
(最小構成の実施形態)
図11は本実施形態による管理装置の最小構成を示す図である。
図12は本実施形態による最小構成の管理装置による処理フローを示す図である。
管理装置1は、少なくとも、順番特定部21を備える。
順番特定部21は、複数の異なる対象を順にライン作業で作業する際の最初の対象の作業の開始時刻から、複数の異なる対象のうちの最後の対象のライン作業における最後の作業を担当する作業者の作業終了時刻までの作業時間を算出する(ステップS201)。
順番特定部21は、その作業時間が短い、複数の異なる対象のライン作業への作業順番を特定する(ステップS202)。
【0052】
上述の管理装置1は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0053】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1・・・管理装置
11・・・制御部
12・・・管理部
13・・・出力部
21・・・順番特定部(順番特定手段)