(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135848
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】半導体パッケージおよび高周波モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20230922BHJP
H01L 25/10 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01L23/12 501P
H01L25/10 Z
H01L23/12 E
H01L23/12 Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041146
(22)【出願日】2022-03-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】冨田 道和
(57)【要約】
【課題】高周波特性を確保しながら接続する基板を小型化することが可能な半導体パッケージおよび半導体パッケージと基板で構成される高周波モジュールを提供する。
【解決手段】半導体パッケージは、RFICチップと、平面視において前記RFICチップを囲うモールド樹脂と、複数のはんだバンプと、前記RFICチップを前記複数のはんだバンプに接続する複数の再配線と、を備え、前記複数のはんだバンプには、平面視において、前記RFICチップと重なる位置に配置された第1バンプ群と、前記モールド樹脂と重なる位置に配置された第2バンプ群と、が含まれ、前記第2バンプ群には、少なくとも、前記RFICチップの高周波端子に接続される高周波バンプと、前記RFICチップのGND端子に接続されるGNDバンプとが含まれ、前記第2バンプ群における最小ピッチは前記第1バンプ群における最小ピッチよりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFICチップと、
平面視において前記RFICチップを囲うモールド樹脂と、
複数のはんだバンプと、
前記RFICチップを前記複数のはんだバンプに接続する複数の再配線と、を備え、
前記複数のはんだバンプには、平面視において、前記RFICチップと重なる位置に配置された第1バンプ群と、前記モールド樹脂と重なる位置に配置された第2バンプ群と、が含まれ、
前記第2バンプ群には、少なくとも、前記RFICチップの高周波端子に接続される高周波バンプと、前記RFICチップのGND端子に接続されるGNDバンプとが含まれ、
前記第2バンプ群における最小ピッチは前記第1バンプ群における最小ピッチよりも大きい、半導体パッケージ。
【請求項2】
前記RFICチップが有する全ての高周波端子は、前記第2バンプ群に接続されている、請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記RFICチップが有する全てのデジタル信号端子は、前記第1バンプ群に接続されている、請求項1または2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記複数の再配線および前記複数のはんだバンプは、前記RFICチップが有する高周波回路ブロックに対して、平面視において重ならないように配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記RFICチップは少なくとも2つの高周波回路ブロックを有し、
前記第1バンプ群の少なくとも一部が、平面視において、前記2つの高周波回路ブロックの間に位置している、請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記複数のはんだバンプは、平面視において、互いに直交する第1中心線および第2中心線の双方に対して対称に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体パッケージと、
前記半導体パッケージが実装された基板と、を備え、
前記基板は、前記高周波バンプに接合される高周波パッドと、前記GNDバンプに接合されるGNDパッドと、を有し、
前記高周波パッドおよび前記GNDパッドはそれぞれ、前記基板に形成されたビアホール上に配置されている、高周波モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージおよび高周波モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RFICがモールド樹脂に埋め込まれた構造の半導体パッケージが開示されている。このような半導体パッケージは、複数のはんだバンプを介して、基板などに実装される。半導体パッケージを基板に実装するためのはんだバンプ間のピッチは、一定とされることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波信号を扱う半導体パッケージでは、高周波特性を満足しながら小型化することが求められる。ここで、半導体パッケージを小型化するため、単にはんだバンプのピッチを小さくすると、高周波特性を維持しながら基板側の高周波回路を配置すること、および基板側の高周波回路の引き回しが困難となるという課題があった。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされ、高周波特性を確保しながら接続する基板を小型化することが可能な半導体パッケージおよび半導体パッケージと基板で構成される高周波モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体パッケージは、RFICチップと、平面視において前記RFICチップを囲うモールド樹脂と、複数のはんだバンプと、前記RFICチップを前記複数のはんだバンプに接続する複数の再配線と、を備え、前記複数のはんだバンプには、平面視において、前記RFICチップと重なる位置に配置された第1バンプ群と、前記モールド樹脂と重なる位置に配置された第2バンプ群と、が含まれ、前記第2バンプ群には、少なくとも、前記RFICチップの高周波端子に接続される高周波バンプと、前記RFICチップのGND端子に接続されるGNDバンプとが含まれ、前記第2バンプ群における最小ピッチは前記第1バンプ群における最小ピッチよりも大きい。
【0007】
ここで、前記RFICチップが有する全ての高周波端子は、前記第2バンプ群に接続されてもよい。
【0008】
また、前記RFICチップが有する全てのデジタル信号端子は、前記第1バンプ群に接続されてもよい。
【0009】
また、前記複数の再配線および前記複数のはんだバンプは、前記RFICチップが有する高周波回路ブロックに対して、平面視において重ならないように配置されてもよい。
【0010】
また、前記RFICチップは少なくとも2つの高周波回路ブロックを有し、前記第1バンプ群の少なくとも一部が、平面視において、前記2つの高周波回路ブロックの間に位置してもよい。
【0011】
また、前記複数のはんだバンプは、平面視において、互いに直交する第1中心線および第2中心線の双方に対して対称に配置されてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、上記いずれかの半導体パッケージと、前記半導体パッケージが実装された基板と、を備え、前記基板は、前記高周波バンプに接合される高周波パッドと、前記GNDバンプに接合されるGNDパッドと、を有し、前記高周波パッドおよび前記GNDパッドはそれぞれ、前記基板に形成されたビアホール上に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の上記態様によれば、高周波特性を確保しながら接続する基板を小型化することが可能な半導体パッケージおよび半導体パッケージと基板で構成される高周波モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る半導体パッケージの平面図である。
【
図2】本実施形態に係る半導体パッケージの一部分についての、厚さ方向に沿う断面の概略図である。
【
図3】本実施形態に係る高周波モジュールの一部分についての、厚さ方向に沿う断面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態の半導体パッケージおよび高周波モジュールについて図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の半導体パッケージ1を、その厚さ方向から見た図である。
図2は、半導体パッケージ1の一部分についての、厚さ方向に沿った断面の概略図である。
図1および
図2に示すように、半導体パッケージ1は、RFICチップ10と、モールド樹脂20と、第1絶縁層30と、第2絶縁層40と、複数の再配線50と、複数のバンプBと、を備えている。
【0016】
図3に示すように、半導体パッケージ1は、高周波モジュール3を構成する部品として用いられる。高周波モジュール3は、基板2と、基板2に実装された半導体パッケージ1と、を備える。基板2は、複数のパッド(高周波パッド2s、GNDパッド2g等)を有しており、これらのパッドに対してバンプB(高周波バンプBs、GNDバンプBg等。ともに後述する。)が接合される。これにより、基板2と半導体パッケージ1とが電気的に接続される。
【0017】
(方向定義)
半導体パッケージ1を厚さ方向から見ることを平面視という。半導体パッケージ1の厚さ方向は、半導体パッケージ1と基板2とが対向する方向でもある。半導体パッケージ1を平面視した図を平面図という。
図2、
図3に示すように、厚さ方向をZ軸によって表す。厚さ方向において、半導体パッケージ1側を下側あるいは-Z側と表し、基板2側を上側あるいは+Z側と表す。なお、+Z側が重力方向における上側でなくてもよい。
図1は、半導体パッケージ1を+Z側から見た平面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の半導体パッケージ1は、平面視において矩形状に形成されており、互いに直交する第1中心線Xおよび第2中心線Yを定義することができる。すなわち、半導体パッケージ1は、第1中心線Xに平行な2つの辺と、第2中心線Yに平行な2つの辺と、を有する。以下、第1中心線Xに沿う方向をX方向といい、第2中心線Yに沿う方向をY方向という場合がある。
【0019】
本実施形態では、平面視でRFICチップ10に重なる位置に配置された複数のはんだバンプBを第1バンプ群G1といい、平面視でモールド樹脂20に重なる位置に配置された複数のはんだバンプBを第2バンプ群G2という。各はんだバンプBは、
図2に示すように、略球状である。また、各はんだバンプBは、第2絶縁層40から+Z側に突出している。これらのはんだバンプBの材質としては、SAC305、SAC405等を採用できる。
【0020】
RFICチップ10の内部には、高周波信号(例えば28GHz帯、60GHz帯の信号)を処理する、複数の高周波回路ブロック11が設けられている。RFICチップ10は、デジタル信号の処理を行うデジタル回路をさらに含んでもよい。
図1では、高周波回路ブロック11の位置を破線によって示している。各高周波回路ブロック11は、アナログ回路(インダクタ等)を含んでおり、高周波信号を処理するように構成されている。
【0021】
複数の高周波回路ブロック11には、第1中心線X上に配置された2つの第1高周波回路ブロック11aと、Y方向において第1中心線Xから離れて配置された16個の第2高周波回路ブロック11bと、が含まれる。第1高周波回路ブロック11aのX方向における幅は第2高周波回路ブロック11bよりも大きい。第1高周波回路ブロック11aおよび第2高周波回路ブロック11bは、いずれも、第1中心線Xおよび第2中心線Yの双方に対して対称に配置されている。ただし、
図1に示す第1高周波回路ブロック11aおよび第2高周波回路ブロック11bの数、形状、配置などは一例であり、適宜変更してもよい。
【0022】
モールド樹脂20は、平面視においてRFICチップ10を囲っている。
図2に示すように、RFICチップ10およびモールド樹脂20は、厚さ方向において同じ位置にある。RFICチップ10はモールド樹脂20に埋め込まれており、RFICチップ10とモールド樹脂20とは接している。モールド樹脂20の具体的な材質としては、例えばエポキシを採用できる。また、モールド樹脂20にシリカなどのフィラーが含まれてもよい。
【0023】
半導体パッケージ1の製法としては、いわゆるFOWLP(Fan Out Wafer Level Package)を採用できる。具体例として、複数のRFICチップ10を格子状に配置し、それらのRFICチップ10間の隙間にモールド樹脂20を充填し、再配線50等を形成した後でモールド樹脂20を切断してもよい。このような製法によれば、一度に複数の半導体パッケージ1を効率よく得ることができる。
【0024】
図2に示すように、RFICチップ10の下面(-Z側の端面)には、モールド樹脂20等を設けず、RFICチップ10を剥き出しにすることが好ましい。これにより、RFICチップ10の放熱性を高めることができる。あるいは、放熱性を高めるための構造物(放熱シート、放熱フィン等)をRFICチップ10の下面に設けてもよい。
【0025】
図2に示すように、RFICチップ10の上面(+Z側の端面)には、複数の端子12が設けられている。各端子12は、例えばアルミニウム製のパッドである。複数の端子12は、機能に応じて、高周波端子12s、GND端子12g、デジタル信号端子12d、電源端子(不図示)に分類できる。高周波端子12sは、高周波回路ブロック11に電気的に接続されて、高周波信号が流される端子12である。GND端子12gは、RFICチップ10のGND回路(不図示)に電気的に接続されて、GND電位とされる端子12である。デジタル信号端子12dは、RFICチップ10のデジタル回路(不図示)に電気的に接続されて、デジタル信号が流される端子12である。電源端子は、RFICチップ10の各部に駆動電力を供給するための端子12である。
【0026】
図2に示されるように、高周波端子12sは、再配線50を介して、はんだバンプB
に電気的に接続されている。図示は省略するが、他の端子12(GND端子12g、デジタル信号端子12d、電源端子)もそれぞれ、再配線50を介して、はんだバンプBに電気的に接続されている。
本明細書では、高周波端子12sに接続されるバンプBを「高周波バンプBs」といい、GND端子12gに接続されるバンプBを「GNDバンプBg」といい、デジタル信号端子12dに接続されるバンプBを「デジタルバンプBd」という。
【0027】
はんだバンプBおよび再配線50は、平面視において、高周波回路ブロック11と重ならないように配置されている。このように、金属部分(はんだバンプBおよび再配線50)が高周波回路ブロック11と重ならないように配置することで、RFICチップ10の高周波特性(例えばインダクタンス値)への影響を抑制できる。
【0028】
図2に示すように、RFICチップ10の上面には、パッシベーション膜13が設けられている。パッシベーション膜13は、例えば窒化膜、酸化膜等であり、RFICチップ10を保護する役割を有する。ただし、端子12と再配線50との接続のために、パッシベーション膜13のうち端子12と重なる部分には開口が形成されている。
【0029】
RFICチップ10およびモールド樹脂20の+Z側に、第1絶縁層30および第2絶縁層40が積層されている。第1絶縁層30および第2絶縁層40の材質としては、透明な樹脂(例えばポリイミド等)が好ましい。第1絶縁層30および第2絶縁層40が透明であることで、再配線50およびはんだバンプBが高周波回路ブロック11に対して重なっていないことを、容易に検査することが可能となる。
【0030】
再配線50の材質としては、例えば銅を採用できる。再配線50は、端子接合部51と、貫通部52と、ファンアウト部53と、を有する。端子接合部51は端子12に接合されている。貫通部52は端子接合部51から+Z側に延び、厚さ方向において第1絶縁層30を貫通している。ファンアウト部53は、厚さ方向に直交する方向に延びており、平面視において、RFICチップ10およびモールド樹脂20の境界を跨ぐように配置されている。
図2の例では、ファンアウト部53のうち、平面視においてモールド樹脂20と重なる部分に、はんだバンプBが接合されている。これにより、モールド樹脂20と重なる位置に配置されたはんだバンプB(高周波バンプBs)を、端子12(高周波端子12s)に接続することができる。ただし、再配線50の形状は適宜変更可能である。例えば、第1バンプ群G1と端子12とを接続する再配線50については、ファンアウト部を有していなくてもよい。
【0031】
本実施形態では、RFICチップ10が有する全ての高周波端子12sが、それぞれ再配線50を介して、第2バンプ群G2に接続されている。つまり、半導体パッケージ1が有する複数のはんだバンプBのうち、高周波バンプBsは、全て第2バンプ群G2に含まれている。
【0032】
また、本実施形態では、RFICチップ10が有する全てのデジタル信号端子12dが、それぞれ再配線50を介して、第1バンプ群G1に接続されている。つまり、半導体パッケージ1が有する複数のはんだバンプBのうち、デジタルバンプBdは、全て第1バンプ群G1に含まれている。半導体パッケージ1が有する複数のはんだバンプBのうち、GNDバンプBgは、第1バンプ群G1および第2バンプ群G2の両方に含まれている。
【0033】
例えば、
図1に示す領域A1に含まれるはんだバンプBは、全てGNDバンプBgである。領域A1は、半導体パッケージ1の2か所の最外周部(第1中心線Xに平行な2つの辺の近傍)に設けられている。この配置によれば、領域A1に含まれるGNDバンプBgがシールドとして機能し、半導体パッケージ1と外部との間における高周波信号の干渉を抑制することができる。
【0034】
また、
図1に示す領域A2に含まれるはんだバンプBは、全てデジタルバンプBdである。領域A2は、X方向における半導体パッケージ1の中央部(第2中心線Yの近傍)に設けられている。デジタルバンプBdにはデジタル信号が流されるが、デジタル信号が高周波回路ブロック11に与える影響は小さい。このため、デジタルバンプBdを高周波回路ブロック11に近い位置に密集して配置しても、半導体パッケージ1の高周波特性を確保することが可能である。本実施形態では、全てのデジタルバンプBdを平面視においてRFICチップ10に重なるように密集して配置することで、半導体パッケージ1のサイズを小さくしている。
【0035】
また、高周波バンプBsは、複数のGNDバンプBgによって囲まれることが好ましい。例えば
図1に示す領域A3には6つのはんだバンプBが含まれているが、そのうち1つは高周波バンプBsであり、残り5つがGNDバンプBgである。1つの高周波バンプBsを囲うように、5つのGNDバンプBgが配置されている。このような配置によれば、GNDバンプBgがシールドとなり、高周波バンプBsからノイズが放射されること、あるいは、空間中のノイズが高周波バンプBsを流れる高周波信号に影響すること、を抑制できる。同様に、領域A4には3つのはんだバンプBが含まれているが、そのうち1つは高周波バンプBsであり、残り2つがGNDバンプBgである。そして、2つのGNDバンプBgが高周波バンプBsを挟むように配置されている。このように、高周波バンプBsを2以上のGNDバンプBgで挟むように配置することでも、一定のノイズ対策効果が得られる。
【0036】
高周波回路ブロック11の配置については、RFICチップ10のサイズを可能な限り小さくできるように決定することが好ましい。半導体パッケージ1全体のコストにおいて、RFICチップ10が占める割合が大きいため、RFICチップ10のサイズダウンによって半導体パッケージ1のコスト抑制に寄与できる。本実施形態では、RFICチップ10のサイズが小さくなるように、高周波回路ブロック11の配置を優先的に決定し、これに伴ってはんだバンプBのピッチを不均一にしている。
【0037】
また、はんだバンプBの配置は、第1中心線Xおよび第2中心線Yの双方に対して対称である。この配置によれば、半導体パッケージ1を基板2に実装するためにはんだバンプBを加熱する際、半導体パッケージ1および基板2に生じる温度分布も、第1中心線Xおよび第2中心線Yに対して略対象となる。これにより、非対称な熱応力が生じることが抑制され、実装信頼性を向上させることができる。なお、「対称に配置されている」ことには、製造誤差を除けば対称とみなせる場合も含む。
【0038】
図3に示すように、基板2には、複数のビアホール2bが形成されている。ビアホール2bは、スルーホールビアであってもよいし、ブラインドビアであってもよい。また、ビアホール2b上に、パッド(高周波パッド2s、GNDパッド2g等)が形成されている。つまり、いわゆるパッドオンビア構造が採用されている。高周波パッド2sは高周波バンプBsに接合され、GNDパッド2gはGNDバンプBgに接合される。
高周波パッド2sは、ビアホール2bを介して、アンテナ2c(例えばパッチアンテナなど)に接続される。高周波モジュール3はアンテナモジュールと呼ぶこともできる。
GNDパッド2gは、ビアホール2bを介して、基板2のGND層2dに接続されている。
【0039】
ここで、第2バンプ群G2における最小ピッチは、第1バンプ群G1における最小ピッチよりも大きい。「ピッチ」とは、隣り合うはんだバンプBの中心間の距離である。「第1バンプ群G1における最小ピッチ」とは、第1バンプ群G1に含まれるはんだバンプB間のピッチの最小値である。「第2バンプ群G2における最小ピッチ」とは、第2バンプ群G2に含まれるはんだバンプB間のピッチの最小値である。一例として、第2バンプ群G2における最小ピッチは0.5mm以上であり、第1バンプ群G1における最小ピッチは0.4mm以下である。第1バンプ群G1の最小ピッチを小さくすることで、RFICチップ10のサイズが小さくなり、コストダウンを図ることができる。第2バンプ群G2には、高周波バンプBsが含まれている。基板2における高周波パッド2sの配置は、高周波モジュール3の高周波特性に与える影響が大きい。したがって、高周波パッド2sの配置に関しては制約が多い。そこで、高周波パッド2sに接合される高周波バンプBsが含まれる第2バンプ群G2の最小ピッチを大きくすることで、基板2における高周波回路の配置の自由度が高まり、高周波特性を確保しやすくなる。また、第2バンプ群G2の最小ピッチを大きくすることで、基板2内での高周波回路の引き回しが容易になり、基板2を小型化することができる。
【0040】
基板2のうち、第2バンプ群G2に接合される部位は、
図3に示すように、いわゆるパッドオンビア構造とすることが望ましい。このような構造を採用することで、基板2内での高周波回路の引き回しがさらに容易になり、基板設計の難易度を下げてコストダウンを図ることができる。さらに、基板2内での伝送距離を小さくすることで、高周波信号の損失を小さくする効果も得られる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の半導体パッケージ1は、複数の端子12を有するRFICチップ10と、平面視においてRFICチップ10を囲うモールド樹脂20と、複数のはんだバンプBと、複数の端子12と複数のはんだバンプBとを接続する複数の再配線50と、を備える。複数の端子12には、GND端子12gと高周波端子12sとが含まれ、複数のはんだバンプBには、平面視において、RFICチップ10と重なる位置に配置された第1バンプ群G1と、モールド樹脂20と重なる位置に配置された第2バンプ群G2と、が含まれる。第2バンプ群G2には、少なくとも、高周波端子12sに接続される高周波バンプBsと、GND端子12gに接続されるGNDバンプBgと、が含まれ、第2バンプ群G2における最小ピッチは第1バンプ群G1における最小ピッチよりも大きい。このような構成により、基板2における高周波回路の配置の自由度が高まり、高周波特性を確保しやすくなる。またこのような構成により、基板2内での高周波回路の引き回しが容易になり、基板2を小型化することができる。
【0042】
また、複数の再配線50および複数のはんだバンプBは、RFICチップ10が有する高周波回路ブロック11に対して、平面視において重ならないように配置されている。この構成によれば、高周波回路ブロック11に対して金属の要素が重なることによって半導体パッケージ1の高周波特性に影響が及ぼされることを抑制できる。
【0043】
また、半導体パッケージ1が有する複数のはんだバンプBは、平面視において、互いに直交する第1中心線Xおよび第2中心線Yの双方に対して対称に配置されていている。この構成によれば、半導体パッケージ1を基板2に実装する際の熱分布が非対称となることを抑制し、実装信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、RFICチップ10が有する全ての高周波端子12sは、第2バンプ群G2に接続されている。この構成によれば、ピッチの大きい第2バンプ群G2に基板2の高周波パッド2sを接合することとなり、基板2における高周波回路の配置の自由度がより高まる。またこの構成によれば、基板2内での高周波回路の引き回しがより容易になり、基板2をより小型化することができる。
【0045】
また、RFICチップ10が有する全てのデジタル信号端子12dは、第1バンプ群G1に接続されていてもよい。基板2におけるデジタル信号を扱う回路については、配置上の制約が小さく、高周波特性に与える影響も小さい。したがって、デジタル信号を扱う回路を、ピッチの小さい第1バンプ群G1に接続することで、高周波特性への影響を抑制しながら小型化に寄与できる。
【0046】
また、RFICチップ10は少なくとも2つの高周波回路ブロック11bを有し、第1バンプ群G1の少なくとも一部が、平面視において、2つの高周波回路ブロック11bの間に位置していてもよい。第1バンプ群G1には、高周波端子12s以外の端子(デジタル信号端子12d、GND端子12g等)が接続されるため、高周波回路ブロック11bの近傍に第1バンプ群G1を配置しても高周波特性に与える影響は少ない。したがって、高周波回路ブロック11b間の小さな隙間に第1バンプ群G1を密に配置し、スペースを有効活用することで、半導体パッケージ1の全体としての小型化を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態の高周波モジュール3は、半導体パッケージ1と、半導体パッケージ1が実装された基板2と、を備える。
図3に示すように、基板2は、高周波バンプBsに接合される高周波パッド2sと、GNDバンプBgに接合されるGNDパッド2gと、を有する。高周波パッド2sおよびGNDパッド2gはそれぞれ、基板2に形成されたビアホール2b上に配置されている。このように、高周波バンプBsおよびGNDバンプBgがそれぞれ、基板2のいわゆるパッドオンビア構造に接合されることで、高周波モジュール3の高周波特性を安定させることができる。特に、高周波バンプBsの周囲を複数のGNDバンプBgで囲み、これらの高周波バンプBsおよびGNDバンプBgを基板2のパッドオンビア構造に接合した場合、疑似的な同軸構造が実現され、高周波特性をさらに安定させることができる。また、基板2内での高周波回路の引き回しがさらに容易になり、基板設計の難易度を下げてコストダウンを図ることができる。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
例えば、前記実施形態では、はんだバンプBが第1中心線Xおよび第2中心線Yの双方に対して対称に配置されていると説明した。しかしながら、はんだバンプBが、第1中心線Xおよび第2中心線Yの一方に対してのみ対称に配置されてもよいし、中心線X、Yの双方に対して対称でなくてもよい。この場合も、基板2に半導体パッケージ1を実装する際の熱を制御することで、実装信頼性を確保することは可能である。また、半導体パッケージ1の形状として、第1中心線Xまたは第2中心線Yが定義できない形状を採用してもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…半導体パッケージ 2…基板 2b…ビアホール 2g…GNDパッド 2s…高周波パッド 3…高周波モジュール 10…RFICチップ 11…高周波回路ブロック 12…端子 12d…デジタル信号端子 12g…GND端子 12s…高周波端子 20…モールド樹脂 50…再配線 B…バンプ Bg…GNDバンプ Bs…高周波バンプ G1…第1バンプ群 G2…第2バンプ群 X…第1中心線 Y…第2中心線