(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135883
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】紙葉類識別装置、紙葉類処理装置及び紙葉類識別方法
(51)【国際特許分類】
G07D 7/12 20160101AFI20230922BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230922BHJP
G06V 10/143 20220101ALI20230922BHJP
G06V 10/60 20220101ALI20230922BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20230922BHJP
G06T 7/62 20170101ALI20230922BHJP
G06T 7/40 20170101ALI20230922BHJP
G06V 10/54 20220101ALI20230922BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G07D7/12
G06T7/00 610B
G06V10/143
G06V10/60
G06T7/60 150S
G06T7/62
G06T7/40
G06V10/54
G06T1/00 400E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041194
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 紀和
(72)【発明者】
【氏名】池田 泰
(72)【発明者】
【氏名】大西 聖司
(72)【発明者】
【氏名】宮口 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】田井 雅人
【テーマコード(参考)】
3E041
5B047
5L096
【Fターム(参考)】
3E041AA02
3E041BA01
3E041BA05
3E041BB01
3E041BB02
3E041BB03
3E041BB05
3E041BB06
3E041BC06
5B047AA04
5B047AB02
5B047AB04
5B047BA01
5B047BB02
5B047BC01
5B047BC05
5B047BC12
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA16
5L096DA02
5L096FA05
5L096FA70
5L096JA09
5L096JA13
(57)【要約】
【課題】紙葉類の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能な紙葉類識別装置、紙葉類処理装置、紙葉類識別方法、紙葉類識別システム、及び紙葉類識別プログラムを提供する。
【解決手段】紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、前記紙葉類の複数種類の画像を取得する画像取得部と、前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成し、前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行する制御部と、を備える紙葉類識別装置である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、
前記紙葉類の複数種類の画像を取得する画像取得部と、
前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成し、
前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行する制御部と、を備える
ことを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記紙葉類の種類に基づいて前記少なくとも1種の形状情報を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉類識別装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の紙葉類識別装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記選択式形状判定処理の前に、前記複数種類の形状情報のうちから予め設定された形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である固定式形状判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙葉類識別装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記固定式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項4記載の紙葉類識別装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定し、
判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類識別装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定し、
判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記サイズ判定処理を再度実行する
ことを特徴とする請求項5記載の紙葉類識別装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記選択式形状判定処理としての前記サイズ判定処理を実行した後、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項7記載の紙葉類識別装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様から前記紙葉類の種類を判定し、
判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の紙葉類識別装置。
【請求項10】
前記制御部は、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行し、
判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項9記載の紙葉類識別装置。
【請求項11】
前記画像取得部は、前記複数種類の画像として少なくとも前記紙葉類の透過画像及び反射画像を取得し、
前記制御部は、前記透過画像から前記紙葉類のエッジを検出して第1の形状情報を生成するとともに、前記透過画像及び前記反射画像をOR処理してOR処理画像を生成し、生成した前記OR処理画像から前記紙葉類のエッジを検出して第2の形状情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の紙葉類識別装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記紙葉類が端部に透明部を有する場合、前記第2の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行し、
前記紙葉類が端部に透明部を有さない場合、前記第1の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行する
ことを特徴とする請求項11記載の紙葉類識別装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の紙葉類識別装置を備える
ことを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項14】
紙葉類を識別する紙葉類識別方法であって、
前記紙葉類の複数種類の画像を取得するステップと、
前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成するステップと、
前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行するステップと、を備える
ことを特徴とする紙葉類識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紙葉類識別装置、紙葉類処理装置、紙葉類識別方法、紙葉類識別システム、及び紙葉類識別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣(銀行券)や商品券、小切手等の紙葉類には、偽造防止のために様々なセキュリティ特徴が付与されている。例えば、紙葉類に用いられる紙は、植物繊維を素材にした紙が主流だが、耐久性や耐水性、セキュリティ性等の向上を目的として、合成繊維を素材とした紙を用いたり、合成樹脂のシートであるポリマーシートが用いられることがある。ポリマーシートから作られた紙幣は、ポリマー紙幣と呼ばれ、クリアウインドウ(透明の窓)等の透明部が設けられたポリマー紙幣は偽造が難しい。
【0003】
紙葉類の形状やその有無といった情報を採取する場合、通常、光学ラインセンサ等の光学センサが用いられるが、透明部は光学センサから照射された光を透過するため、透明部を有する紙葉類には、透明部を有さない通常の紙葉類とは異なる処理が求められることがある。
【0004】
例えば、特許文献1には、透明部を有する紙葉類の場合は、透過画像からは当該紙葉類の外形形状や欠損を正確に抽出できないとの課題を解決するための技術として、光量が異なる2つの透過画像から紙葉類の不透明部と透明部のそれぞれにおいて外形形状や欠損等の特徴を検出する方法が記載されている。
【0005】
同様に、特許文献2には、透過画像から透明部を有する紙葉類の外形形状を正確に検出するために、透過画像及び反射画像それぞれの二値化画像を互いにOR処理し、当該OR処理画像から紙葉類の形状や有無を検出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-113270号公報
【特許文献2】国際公開第2018/167876号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、紙葉類の種類等によって、透過画像から紙葉類の形状を検出する方が、精度が良い場合もあれば、特許文献1や2に記載の方法を用いて紙葉類の形状を検出する方が、精度が良い場合もある。例えば、透明部を有する紙葉類であれば、特許文献1や2記載の方法を用いて紙葉類の形状を検出する方が、精度が良い場合もあるし、透明部を有さない紙幣に対しては、透過画像から紙葉類の形状を検出する方が、精度が良い場合もある。
【0008】
しかしながら、従来は、単一の紙葉類識別装置においては、予め設定された1つの方法でしか紙葉類の形状を検出していないため、その紙葉類識別装置が取り扱う紙葉類の種類が多くなる場合に、紙葉類の種類等によっては、予め設定された方法では、形状検出の精度が低くなり、その結果、検出された形状情報に基づく判定処理、例えば、紙葉類のサイズや欠損を判定する処理の精度も低くなる可能性があった。
【0009】
本開示は、上記現状に鑑みてなされたものであり、紙葉類の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能な紙葉類識別装置、紙葉類処理装置、紙葉類識別方法、紙葉類識別システム、及び紙葉類識別プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、(1)本開示の第1の態様に係る紙葉類識別装置は、紙葉類を識別する紙葉類識別装置であって、前記紙葉類の複数種類の画像を取得する画像取得部と、前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成し、前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行する制御部と、を備える。
【0011】
(2)上記(1)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記紙葉類の種類に基づいて前記少なくとも1種の形状情報を選択してもよい。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記選択式形状判定処理の前に、前記複数種類の形状情報のうちから予め設定された形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である固定式形状判定処理を実行してもよい。
【0014】
(5)上記(4)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記固定式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよい。
【0015】
(6)上記(5)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0016】
(7)上記(5)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記サイズ判定処理を再度実行してもよい。
【0017】
(8)上記(7)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記選択式形状判定処理としての前記サイズ判定処理を実行した後、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0018】
(9)上記(1)~(3)のいずれかに記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様から前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよい。
【0019】
(10)上記(9)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0020】
(11)上記(1)~(10)のいずれかに記載の紙葉類識別装置において、前記画像取得部は、前記複数種類の画像として少なくとも前記紙葉類の透過画像及び反射画像を取得してもよく、前記制御部は、前記透過画像から前記紙葉類のエッジを検出して第1の形状情報を生成してもよく、前記透過画像及び前記反射画像をOR処理してOR処理画像を生成してもよく、生成した前記OR処理画像から前記紙葉類のエッジを検出して第2の形状情報を生成してもよい。
【0021】
(12)上記(11)に記載の紙葉類識別装置において、前記制御部は、前記紙葉類が端部に透明部を有する場合、前記第2の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよく、前記紙葉類が端部に透明部を有さない場合、前記第1の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよい。
【0022】
(13)また、本開示の第2の態様に係る紙葉類処理装置は、上記(1)~(12)のいずれかに記載の紙葉類識別装置を備える。
【0023】
(14)また、本開示の第3の態様に係る紙葉類識別方法は、紙葉類を識別する紙葉類識別方法であって、前記紙葉類の複数種類の画像を取得するステップ(A)と、前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成するステップ(B)と、前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行するステップ(C)と、を備える。
【0024】
(15)上記(14)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記紙葉類の種類に基づいて前記少なくとも1種の形状情報を選択してもよい。
【0025】
(16)上記(14)又は(15)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0026】
(17)上記(14)~(16)のいずれかに記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記選択式形状判定処理の前に、前記複数種類の形状情報のうちから予め設定された形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である固定式形状判定処理を実行してもよい。
【0027】
(18)上記(17)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記固定式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよい。
【0028】
(19)上記(18)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0029】
(20)上記(18)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記サイズ判定処理の結果に基づき前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記サイズ判定処理を再度実行してもよい。
【0030】
(21)上記(20)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記選択式形状判定処理としての前記サイズ判定処理を実行した後、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0031】
(22)上記(14)~(16)のいずれかに記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様から前記紙葉類の種類を判定してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよい。
【0032】
(23)上記(22)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類のサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよく、判定した前記種類に基づいて前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択してもよく、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理として前記紙葉類の欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。
【0033】
(24)上記(14)~(23)のいずれかに記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(A)は、前記複数種類の画像として少なくとも前記紙葉類の透過画像及び反射画像を取得してもよく、前記ステップ(B)は、前記透過画像から前記紙葉類のエッジを検出して第1の形状情報を生成してもよく、前記透過画像及び前記反射画像をOR処理してOR処理画像を生成してもよく、生成した前記OR処理画像から前記紙葉類のエッジを検出して第2の形状情報を生成してもよい。
【0034】
(25)上記(24)に記載の紙葉類識別方法において、前記ステップ(C)は、前記紙葉類が端部に透明部を有する場合、前記第2の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよく、前記紙葉類が端部に透明部を有さない場合、前記第1の形状情報に基づいて前記選択式形状判定処理を実行してもよい。
【0035】
(26)また、本開示の第4の態様に係る紙葉類識別システムは、紙葉類を識別する紙葉類識別システムであって、前記紙葉類の複数種類の画像を取得する画像取得部と、前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する形状情報生成部と、前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択する形状情報選択部と、前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行する選択式形状判定部と、を備える。
【0036】
(27)また、本開示の第5の態様に係る紙葉類識別プログラムは、紙葉類を識別する紙葉類識別プログラムであって、前記紙葉類の複数種類の画像を取得する処理と、前記複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する処理と、前記複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した前記少なくとも1種の形状情報に基づく前記紙葉類の形状に関する判定処理である選択式形状判定処理を実行する処理と、を紙葉類識別装置に実行させる。
【発明の効果】
【0037】
本開示によれば、紙葉類の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能な紙葉類識別装置、紙葉類処理装置、紙葉類識別方法、紙葉類識別システム、及び紙葉類識別プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明する模式図であり、紙幣の搬送路を側方から見た図である。
【
図2】実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明する模式図であり、斜め方向から見た図である。
【
図4】実施形態1に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図5】実施形態2に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図6】実施形態2に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図8】実施形態3に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図9】実施形態4に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図10】実施形態4に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図11】実施形態5に係る紙葉類処理装置の一例の外観を示した斜視模式図である。
【
図12】実施形態5に係る紙葉類処理装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図13】実施形態5に係る紙葉類識別装置が備える画像取得部の構成の一例を説明する断面模式図である。
【
図14】実施形態6に係る紙葉類処理装置による処理を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して、本開示に係る紙葉類識別装置、紙葉類処理装置、紙葉類識別方法、紙葉類識別システム、及び紙葉類識別プログラムの実施形態を詳細に説明する。本開示の対象となる紙葉類としては、紙幣、小切手、商品券、手形、帳票、有価証券、カード状媒体等の様々な紙葉類が適用可能であるが、以下においては、紙幣を対象とする装置を例として、本開示を説明する。
【0040】
なお、紙葉類識別プログラムは、紙葉類識別装置や紙葉類処理装置、紙葉類識別システムに予め導入されてもよいし、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、又は、ネットワークを介して、操作者に提供されてもよい。
【0041】
このように、本開示に係る紙葉類識別装置や紙葉類識別システムは、半導体メモリ(RAMやROM)、ハードディスク等の記憶装置から構成される記憶部を備えていてもよい。
【0042】
また、以下の説明において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して適宜用い、その繰り返しの説明は適宜省略する。また、構造を説明する図面には、互いに直交するXYZ座標系を適宜示している。
【0043】
(実施形態1)
図1を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。
図1は、実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明する模式図であり、紙幣の搬送路を側方から見た図である。
図2は、実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0044】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置1は、紙葉類としての紙幣BNを識別する装置であって、画像取得部10及び制御部20を備えている。
【0045】
画像取得部10は、紙幣BNの複数種類の画像(画像データ)を取得する。複数種類の画像は、互いに異なる条件(照明環境)で紙幣BNに光が照射された状態で取得(撮像)された画像(画像データ)である。異なる条件(照明環境)としては、具体的には、例えば、紙幣BNに対して異なる方向から光を照射する、紙幣BNに対して光量が異なる光を照射する、紙幣BNに対して異なる波長帯域の光を照射する等の条件が挙げられる。なお、ここで、「光量」とは、入射光の放射強度及び入射時間に比例する物理量を意味する。
【0046】
図1に示すように、画像取得部10は、紙幣BNに光を照射する光源11と、紙幣BNを透過した透過光、及び/又は紙幣BNで反射した反射光を受光する受光部13と、を有していてもよい。識別対象となる紙幣BNは、XY平面内をX方向に搬送されてもよい。
【0047】
画像取得部10は、光源11として、紙幣BNに対して受光部13と反対側に設けられた光源11aと、紙幣BNに対して受光部13と同じ側に設けられた光源11bと、を有していてもよい。この場合、光源11bから照射されて紙幣BNの一方の主面(以下、A面)で反射した反射光と、光源11aから紙幣BNの他方の主面(以下、B面)に照射されて紙幣BNを透過した透過光と、がそれぞれ受光部13に受光される。
【0048】
光源11が照射する光は、ピーク波長とその近傍の波長を含む波長帯域の光であってもよい。光源11から照射される光の種類(波長)は、特に限定されず、白色光、赤色光、緑色光、青色光等の可視光や、紫外光、赤外光等が挙げられる。
【0049】
光源11a及び11bは、互いに異なる波長帯域の光を照射してもよいし、同一波長帯域の光(例えば、緑色光又は赤外光)を照射してもよい。後者の場合、光源11a及び11bによる光の照射期間は、互いに重なり合わなくてもよい。
【0050】
受光部13は、光源11aが光を照射する間、その光が紙幣BNのB面に照射されて紙幣BNを透過した透過光と、光源11bが光を照射する間、その光が紙幣BNのA面で反射した光と、をそれぞれ受光してもよい。このとき、受光部13は、少なくとも、紙幣BNを透過した透過光の波長帯域と、紙幣BNで反射した反射光の波長帯域とに、感度をもつセンサとして機能し得る。受光部13は、受光した光の光量に応じた電気信号を画像データとして出力する。より詳細には、受光部13は、受光素子を備えてもよく、受光素子は、光を受光して入射光量に応じた電気信号に変換し、出力してもよい。
【0051】
図3は、実施形態1に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明する模式図であり、斜め方向から見た図である。
【0052】
図3に示すように、画像取得部10は、Y方向に延在する光学ラインセンサを構成していてもよい。この場合、Y方向は、光学ラインセンサの主走査方向に対応し、X方向は、光学ラインセンサの副走査方向に対応する。
【0053】
光源11(各光源11a、11b)は、紙幣BNのY方向の長さよりも長く、Y方向に延びる直線状に光を紙幣BNのY方向全体に照射してもよい。この場合、光源11(各光源11a、11b)は、透明な直線的な棒状の導光体と、導光体の両端面の少なくとも一方に対向する発光素子(通常では複数、例えばLED(Light Emitting Diode))と、を備えていてもよく、導光体を介して紙幣BNに光を照射してもよい。
【0054】
受光部13は、紙幣BNのY方向の長さよりも長く、紙幣BNのY方向全体で透過又は反射した光を受光してもよい。また、受光部13は、Y方向に一列に配列された複数の受光素子(受光画素)を備えていてもよく、リニアイメージセンサを構成していてもよい。すなわち、受光部13は、入射光量に応じた電気信号を、複数の受光素子(Y方向の位置)に対応する複数のチャンネル(列)にて出力してもよい。なお、チャンネル(列)とは、Y方向に順に受光素子に割り当てられた番号である。このとき、受光部13は、画像データとして、各チャンネルで同時に受光した光に係るデータであるラインデータを出力してもよい。紙幣BNをX方向(副走査方向)に搬送しながら、この光源11(11a、11b)による光の照射と受光部13による光の受光とを繰り返すことによって、紙幣BN全体の画像データを出力する。
【0055】
このように、画像取得部10は、所定のサイクルの撮像を1周期として、これを連続して繰り返し実行することにより、紙幣BN全体の画像を取得してもよい。
【0056】
画像取得部10によって取得される画像データは、Y方向(主走査方向)及びX方向(副走査方向)にマトリクス状に配列された複数の画素から構成されており、各画素のアドレスは、Y方向の位置に対応する受光部13のチャンネル(列)と、X方向の位置に対応するライン(行)によって特定される。なお、ライン(行)とは、受光部13が順次出力するラインデータに順に割り当てられた番号である。
【0057】
画像取得部10は、複数種類の画像として少なくとも紙幣BNの透過画像及び反射画像を取得してもよい。
【0058】
なお、透過画像とは、紙幣BNに対して受光部13と反対側に配置された光源11aから照射され、紙幣BNを透過した光に基づく画像である。反射画像は、紙幣BNに対して受光部13と同じ側に配置された光源11bから照射され、紙幣BNで反射された光に基づく画像である。
【0059】
その他、画像取得部10は、複数種類の画像として少なくも紙幣BNの第1の透過画像及び第2の透過画像を撮像してもよい。第1の透過画像及び第2の透過画像は、紙幣BNに照射される光(例えば赤外光)の光量(1照射当たりの光量)が互いに異なる透過画像であり、例えば、第1の透過画像が高光量の赤外光による画像であり、第2の透過画像が低光量の赤外光による画像である。
【0060】
図2に示すように、制御部20は、形状情報生成部21及び選択式形状判定部23を有している。
【0061】
制御部20は、紙葉類識別装置1の各部を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))等を備えるコンピュータシステムとして構成される。制御部20は、そのCPUにおいて、所定のソフトウエアプログラムを実行することによって、各種の処理を実現する。
【0062】
形状情報生成部21は、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する。ここで、形状情報は、画像内において紙幣BNのエッジに相当する各画素の二次元座標を示す情報(データ)を含んでいる。例えば、形状情報生成部21は、画像データを構成する各ラインデータ(行データ)において紙幣BNの両端に相当する画素を検出するとともに、画像データを構成する各チャンネルのデータ(列データ)において紙幣BNの両端に相当する画素を検出することによって、紙幣BNの全周のエッジに相当する画素の二次元座標を特定する。また、形状情報は、紙幣BNのエッジに相当する各画素の二次元座標を検出するのに直接用いた画像(例えば、後述する二値化画像やOR処理画像)の情報(画像データ)を含んでいてもよい。
【0063】
なお、複数種類の画像と、複数種類の形状情報とは、一対一の関係にあってもよいし、一対一の関係になくてもよい。前者の場合、各種類の画像からそれぞれ1種ずつ形状情報が生成される。後者の場合、各形状情報は、1種以上の画像から生成され、異なる種類の形状情報に利用される画像の種類の一部が共通してもよいし、異なる種類の形状情報に利用される画像の種類は、互いに共通していなくてもよい(全く異なっていてもよい)。
【0064】
例えば、形状情報生成部21は、紙幣BNの透過画像から紙幣BNのエッジを検出して第1の形状情報を生成してもよい。より詳細には、この場合、形状情報生成部21は、紙幣BNの透過画像を所定の閾値により二値化し、当該二値化画像において媒体が存在する領域(例えば白領域)のエッジを検出する。なお、この場合、形状情報生成部21は、紙幣BNの透過画像の二値化画像のみではなく、当該二値化画像とその他の画像とを用いて第1の形状情報を生成してもよい。
【0065】
また、形状情報生成部21は、紙幣BNの透過画像及び反射画像をOR処理してOR処理画像を生成し、生成したOR処理画像から紙幣BNのエッジを検出して第2の形状情報を生成してもよい。より詳細には、この場合、形状情報生成部21は、紙幣BNの透過画像及び反射画像をそれぞれ所定の閾値により二値化し、当該2つの二値化画像をOR処理してOR処理画像を生成する。すなわち、2つの二値化画像の対応する画素同士を参照し、少なくとも一方が媒体あり(例えば白)の場合は当該画素データが媒体ありを示し、両方が媒体なし(例えば黒)の場合は当該画素データが媒体なしを示す画像を生成する。そして、形状情報生成部21は、生成したOR処理画像において媒体が存在する領域(例えば白領域)のエッジを検出する。
【0066】
なお、第1の形状情報の生成に用いられる透過画像と、第2の形状情報の生成に用いられる透過画像とは、通常では同じ画像であるが、異なる種類の透過画像(例えば異なる波長帯域の光による画像)であってもよい。
【0067】
また、第2の形状情報の生成に用いられる透過画像及び反射画像は、同じ波長帯域の光(例えば赤外光)による画像であってもよし、互いに異なる波長帯域の光による画像であってもよい。
【0068】
その他、形状情報生成部21は、光量(1照射当たりの光量)が互いに異なる上述の第1の透過画像及び第2の透過画像の少なくとも一方に基づいて形状情報を生成してもよい。例えば、形状情報生成部21は、第1の透過画像の二値化画像から紙幣BNのエッジを検出して形状情報を生成してもよいし、第2の透過画像の二値化画像から紙幣BNのエッジを検出して形状情報を生成してもよい。
【0069】
選択式形状判定部23は、複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択式形状判定処理を実行する。ここで、選択式形状判定処理とは、選択した少なくとも1種の形状情報に基づく紙幣BNの形状に関する判定処理である。これにより、識別対象の紙幣の種類等に応じて形状情報を選択し、選択した形状情報に基づいて当該紙幣の形状に関する判定処理(選択式形状判定処理)を実行できることから、紙幣の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能である。
【0070】
このように、選択式形状判定部23は、紙幣BNに応じて、すなわち、まさに識別を行う対象となっている紙幣の属性や特性、状態(例えば搬送状態)等の特徴に応じて、複数種類の形状情報から少なくとも1種の形状情報を選択してもよい。
【0071】
より具体的には、選択式形状判定部23は、紙幣BNの種類に基づいて少なくとも1種の形状情報を選択してもよい。これにより、識別対象の紙幣の種類に応じて形状情報を選択し、選択した形状情報に基づいて当該紙幣の形状に関する判定処理(選択式形状判定処理)を実行できることから、多種多様な紙幣の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能である。
【0072】
この場合、識別対象の紙幣の種類毎に、選択される1種以上の形状情報が対応付けられたテンプレート情報を予め準備しておいてもよい。そして、選択式形状判定部23は、このテンプレート情報を参照し、紙幣BNの種類に対応する少なくとも1種の形状情報を選択してもよい。
【0073】
なお、テンプレート情報とは、識別処理に利用される基準情報であり、識別対象の紙幣の種類毎に当該紙幣の少なくとも1種以上(通常では2種以上)の属性(特徴)を定義するものである。
【0074】
選択式形状判定部23による選択式形状判定処理の具体的な種類(内容)やその数は特に限定されないが、選択式形状判定部23は、選択式形状判定処理として紙幣BNの欠損を判定する欠損判定処理を実行してもよい。これにより、選択した形状情報に基づいて当該紙幣の欠損が判定されることから、紙幣の欠損判定処理の精度を向上することが可能である。
【0075】
欠損判定処理では、例えば、紙幣BNの折れや破れ、穴等の有無を判定してもよい。
【0076】
また、選択式形状判定部23は、選択式形状判定処理として紙幣BNのサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよい。サイズ判定処理とは、紙幣BNのサイズを検出する処理であり、例えば、札長及び札幅を検出してもよい。なお、札長は、紙葉類の短手方向の長さであり、札幅は、紙葉類の長手方向の長さである。
【0077】
更に、選択式形状判定部23は、実行し得る全ての選択式形状判定処理を実行してもよい。
【0078】
選択式形状判定部23は、紙幣BNが端部に透明部を有する場合、第2の形状情報に基づいて選択式形状判定処理を実行し、紙幣BNが端部に透明部を有さない場合、第1の形状情報に基づいて選択式形状判定処理を実行してもよい。これにより、透明部を有する紙幣であれば、OR処理画像による第2の形状情報に基づいて当該紙幣の形状に関する判定処理をより高精度に実行することができ、端部に透明部を有さない紙幣であれば、透過画像による第1の形状情報に基づいて当該紙幣の形状に関する判定処理をより高精度に実行することができる。
【0079】
このように、識別対象の紙幣BNは、照射された光、例えば赤外光や可視光を透過する、クリアウインドウ等と呼ばれる透明部と、不透明部とを有していてもよい。透明部を有する紙幣BNは、ポリマーシートから形成されたポリマー紙幣であってもよい。透明部の材質は、合成樹脂(ポリマー)であってもよい。また、透明部及び不透明部を有する紙幣BNは、透明部がポリマーシートから形成され、不透明部が植物繊維又は合成繊維を素材にした紙から形成されたもの(ハイブリッド紙幣)であってもよい。このように、紙幣BNの母材は、ポリマー、又は、紙及びポリマーの複合材のいずれかであってもよい。なお、透明部には、レインボーホログラム等の光学可変素子(OVD)が部分的に形成されていてもよい。
【0080】
なお、紙幣BNが端部に透明部を有する場合、紙幣BNのエッジ(外周)の少なくとも一部が透明部から構成され、紙幣BNが端部に透明部を有さない場合、紙幣BNのエッジ(外周)の全部が不透明部から構成される。紙幣BNの透明部は、例えば、赤外光(例えば、波長範囲:760~1100nm)の透過率が30~90%の領域であり、表面及び裏面それぞれに図柄が印刷されている。紙幣BNの不透明部は、例えば、赤外光の透過率が10%以下の領域であり、表面及び裏面それぞれに肖像画、金額等の図柄が印刷されている。
【0081】
次に、
図4を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置1の動作について説明する。
図4は、実施形態1に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0082】
図4に示すように、まず、画像取得部10が、紙幣BNの複数種類の画像を取得する(ステップS11)。
【0083】
次に、形状情報生成部21が、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する(ステップS12)。
【0084】
その後、選択式形状判定部23が、複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理を実行し(ステップS13)、紙葉類識別装置1の動作が終了する。
【0085】
なお、選択式形状判定部23が複数種類の選択式形状判定処理を実行する場合、それらを実行する順序は特に限定されず、例えばテンプレートの設定等により適宜設定可能である。
【0086】
(実施形態2)
図5を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。
図5は、実施形態2に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0087】
図5に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置2は、制御部20が固定式形状判定部25及び種類判定部26aを更に備える点で、実施形態1に係る紙葉類識別装置1と異なっている。
【0088】
固定式形状判定部25は、選択式形状判定部23による選択式形状判定処理の前に、固定式形状判定処理を実行する。ここで、固定式形状判定処理とは、複数種類の形状情報のうちから予め設定された形状情報に基づく紙幣BNの形状に関する判定処理である。この形状情報は、人によって予め設定されたものであってもよいし、紙葉類識別装置2によって自動で予め設定されたものであってもよい。後者の場合、例えば、紙葉類識別装置2は、紙葉類識別装置2が保持している全テンプレート情報を参照し、使用する形状情報を指定したテンプレート情報が1つでもあれば、その形状情報を固定式形状判定処理用の形状情報に予め設定してもよい。
【0089】
固定式形状判定部25による固定式形状判定部25の具体的な種類(内容)やその数は特に限定されないが、固定式形状判定部25は、固定式形状判定処理として紙幣BNのサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよい。
【0090】
種類判定部26aは、固定式形状判定部25によるサイズ判定処理の結果に基づき紙幣BNの種類を判定する。この場合、識別対象の紙幣の種類毎に、その紙幣の札長及び札幅の基準値(数値範囲でもよい)が対応付けられたテンプレート情報を予め準備しておいてもよい。そして、種類判定部26aは、固定式形状判定部25により判定された札長及び札幅をこのテンプレート情報と照合することにより、紙幣BNの種類を判定してもよい。
【0091】
なお、固定式形状判定部25により判定された札長及び/又は札幅が該当するテンプレート情報がない場合、紙葉類識別装置2は、当該紙幣BNを損券又は異常券として扱ってもよい。
【0092】
なお、本明細書において、紙幣の種類とは、金種(当該紙幣の発行国(地域を含む)や通貨と金額を示す概念)だけでなく、金額を問わずに米ドル、ユーロ、日本円、香港ドル等というように当該紙幣の発行国(地域を含む)や通貨を示す概念を包含するものである。
【0093】
また、種類判定部26aは、実施形態4で説明する種類判定部26bと同様に複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様からも紙幣BNの種類を判定してもよく、当該模様による判定結果と、上述のサイズによる判定結果とに基づいて紙幣BNの種類を最終判定してもよい。
【0094】
そして、本実施形態では、選択式形状判定部23は、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行する。これにより、識別対象の紙幣の種類に応じて選択した形状情報に基づいて当該紙幣の欠損が判定されることから、紙幣の欠損判定処理の精度をより向上することが可能である。
【0095】
次に、
図6を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置2の動作について説明する。
図6は、実施形態2に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0096】
図6に示すように、まず、画像取得部10が、紙幣BNの複数種類の画像を取得する(ステップS21)。
【0097】
次に、形状情報生成部21が、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する(ステップS22)。
【0098】
その後、固定式形状判定部25が、固定式形状判定処理、例えばサイズ判定処理を実行する(ステップS23)。
【0099】
次に、種類判定部26aが、少なくとも固定式形状判定部25によるサイズ判定処理の結果に基づき紙幣BNの種類を判定する(ステップS24)。
【0100】
そして、選択式形状判定部23が、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行し(ステップS25)、紙葉類識別装置2の動作が終了する。
【0101】
(実施形態3)
図7を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。
図7は、実施形態3に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0102】
図7に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置3は、実施形態2と同様に、制御部20が固定式形状判定部25及び種類判定部26aを更に備える点で、実施形態1に係る紙葉類識別装置1と異なっている。
【0103】
固定式形状判定部25及び種類判定部26aは実施形態2の場合と同様であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態においても、固定式形状判定部25は、固定式形状判定処理として紙幣BNのサイズを判定するサイズ判定処理を実行してもよい。
【0104】
本実施形態では、選択式形状判定部23は、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理としてサイズ判定処理を再度実行する。これにより、識別対象の紙幣の種類に応じて選択した形状情報に基づいて当該紙幣のサイズが再度判定されることから、紙幣のサイズをより高精度に判定することが可能である。
【0105】
また、本実施形態では、選択式形状判定部23は、選択式形状判定処理としてのサイズ判定処理を実行した後、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行する。これにより、識別対象の紙幣の種類に応じて選択した形状情報に基づいて当該紙幣の欠損が判定されることから、紙幣の欠損判定処理の精度をより向上することが可能である。
【0106】
なお、二度目のサイズ判定処理用に選択される1種の形状情報と、欠損判定処理用に選択される少なくとも1種の形状情報とは、互いに共通する種類の形状情報を含んでいてもよいし、互いに共通する種類の形状情報を含んでいなくてもよい(全て異なる種類であってもよい)。
【0107】
次に、
図8を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置3の動作について説明する。
図8は、実施形態3に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0108】
図8に示すように、まず、画像取得部10が、紙幣BNの複数種類の画像を取得する(ステップS31)。
【0109】
次に、形状情報生成部21が、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する(ステップS32)。
【0110】
その後、固定式形状判定部25が、固定式形状判定処理、例えばサイズ判定処理を実行する(ステップS33)。
【0111】
次に、種類判定部26aが、少なくとも固定式形状判定部25によるサイズ判定処理の結果に基づき紙幣BNの種類を判定する(ステップS34)。
【0112】
次に、選択式形状判定部23が、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理としてサイズ判定処理を再度実行する(ステップS35)。
【0113】
そして、選択式形状判定部23が、種類判定部26aが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行し(ステップS36)、紙葉類識別装置3の動作が終了する。
【0114】
なお、ステップS35とステップS36の順序は、特に限定されず、反対であってもよい。
【0115】
(実施形態4)
図9を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置の構成について説明する。
図9は、実施形態4に係る紙葉類識別装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0116】
図9に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置4は、制御部20が種類判定部26bを更に備える点で、実施形態1に係る紙葉類識別装置1と異なっている。
【0117】
種類判定部26bは、複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様から紙幣BNの種類を判定する。より詳細には、予めテンプレート情報として、紙幣の種類毎に基準となるテンプレート画像を準備しておく。そして、種類判定部26bは、画像から紙幣領域を切り出し、切り出した領域と各テンプレート画像との一致度(類似度)を算出し、算出した一致度に基づいて当該紙幣の種類を判定する。例えば、最も一致度の高いテンプレート画像に対応する種類を当該紙幣BNの種類であると判定する。
【0118】
そして、本実施形態では、選択式形状判定部23は、種類判定部26bが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理を実行する。これにより、画像の模様から判定された紙幣の種類に応じて選択した形状情報に基づいて当該紙幣の形状に関する判定処理(選択式形状判定処理)を実行できることから、紙幣の形状に関する判定処理の精度をより向上することが可能である。
【0119】
選択式形状判定部23は、種類判定部26bが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理としてサイズ判定処理を実行してもよいし、種類判定部26bが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行してもよい。これにより、画像の模様から判定された紙幣の種類に応じてそれぞれ選択した形状情報に基づいて当該紙幣のサイズ及び欠損が判定されることから、紙幣のサイズ判定処理及び欠損判定処理の精度をより向上することが可能である。
【0120】
なお、サイズ判定処理用に選択される1種の形状情報と、欠損判定処理用に選択される少なくとも1種の形状情報とは、互いに共通する種類の形状情報を含んでいてもよいし、互いに共通する種類の形状情報を含んでいなくてもよい(全て異なる種類であってもよい)。
【0121】
次に、
図10を用いて、本実施形態に係る紙葉類識別装置4の動作について説明する。
図10は、実施形態4に係る紙葉類識別装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0122】
図10に示すように、まず、画像取得部10が、紙幣BNの複数種類の画像を取得する(ステップS41)。
【0123】
次に、形状情報生成部21が、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する(ステップS42)。
【0124】
次に、種類判定部26bが、複数種類の画像のうちの少なくとも1種の画像の模様から紙幣BNの種類を判定する(ステップS43)。
【0125】
次に、選択式形状判定部23が、種類判定部26bが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちから1種の形状情報を選択し、選択した1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理としてサイズ判定処理を実行する(ステップS44)。
【0126】
そして、選択式形状判定部23が、種類判定部26bが判定した紙幣BNの種類に基づいて複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択し、選択した少なくとも1種の形状情報に基づいて選択式形状判定処理として欠損判定処理を実行し(ステップS45)、紙葉類識別装置4の動作が終了する。
【0127】
なお、ステップS44とステップS45の順序は、特に限定されず、反対であってもよい。
【0128】
(実施形態5)
図11及び
図12を用いて、本実施形態に係る紙葉類処理装置の構成について説明する。
図11は、実施形態5に係る紙葉類処理装置の一例の外観を示した斜視模式図である。
図12は、実施形態5に係る紙葉類処理装置の構成の一例を説明するブロック図である。
【0129】
本実施形態に係る紙葉類処理装置は、例えば、
図11に示す構成を有するものであってもよい。
図11に示す紙葉類処理装置300は、紙幣の識別処理を行う紙葉類識別装置(
図12参照)を内蔵し、処理対象の複数の紙幣が積層状態で載置されるホッパ301と、リジェクト紙幣が排出される2つのリジェクト部302と、オペレータからの指示を入力するための操作部303と、筐体304内で種類(金種)、真偽及び正損が識別された紙幣を分類して集積するための4つの集積部306a~306dと、紙幣の識別計数結果や各集積部306a~306dの集積状況等の情報を表示するための表示部305とを備えている。
【0130】
また、
図12に示されるように、紙葉類処理装置300は、搬送部310、本体制御部320及び本体記憶部330を更に備えている。
【0131】
搬送部310は、紙幣を搬送するための搬送ローラ、当該搬送ローラを駆動する駆動機構(駆動源及び駆動力伝達機構)等を備えて構成される。
【0132】
本体記憶部330は、半導体メモリ(RAMやROM)、ハードディスク等の記憶装置から構成されており、紙葉類処理装置300を制御するための各種のプログラムや情報(データ)を記憶している。
【0133】
本体制御部320は、紙葉類処理装置300の各部を制御するものであり、CPU、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。本体制御部320は、そのCPUにおいて、本体記憶部330(本体記憶部330とは別に設けられた記憶部でもよい)に記憶されている所定のソフトウエアプログラムを実行することによって、各種の処理を実現する。
【0134】
図12に示すように、本実施形態に係る紙葉類識別装置200は、検出部210、制御部220及び記憶部230を備えている。
【0135】
検出部210は、搬送される紙幣の各種特性を検出するものであり、紙幣の搬送路に沿って、上述の画像取得部10に加え、磁気検出部211及び厚み検出部212を備えていてもよい。画像取得部10は、上述のように紙幣の複数種類の画像(画像データ)を取得して出力する。
【0136】
記憶部230は、半導体メモリ(RAMやROM)、ハードディスク等の記憶装置から構成されており、紙葉類識別装置200を制御するための各種のプログラムや情報(データ)を記憶している。
【0137】
制御部220は、紙葉類識別装置200の各部を制御するものであり、CPU、当該CPUによって制御される各種ハードウェア(例えばFPGA)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。制御部220は、そのCPUにおいて、記憶部230に記憶されている所定のソフトウエアプログラムを実行することによって、各種の処理を実現する。
【0138】
また、制御部220は、記憶部230に記憶されたプログラムにより、複数種類の画像に基づいて複数種類の形状情報を生成する処理、複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択する処理、選択した少なくとも1種の形状情報に基づく選択式形状判定処理を実行する処理等の処理を行う機能を有している。制御部220によるこれらの処理は、実施形態1~4で説明した制御部20による処理と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0139】
このように、制御部220は、検出部210から取得した紙幣に係る各種信号を利用して識別処理を行う。制御部220は、紙幣の少なくとも種類(金種)及び真偽を識別する。制御部220は、紙幣の正損を判定する機能を有してもよい。その場合、制御部220は、紙幣の汚れ、折れ、破れ等を検出するとともに、紙幣の厚みから紙幣に貼り付けられたテープ等を検出することにより、紙幣を、市場で再利用できる正券及び市場流通に適さない損券のいずれとして処理するかを判定する機能を有してもよい。
【0140】
このとき、制御部220は、種類(金種)、真偽、正損等を識別するために画像取得部10が取得した紙幣の画像(画像データ)を用いる。
【0141】
次に、
図13を用いて、画像取得部10の構成について説明する。
図13は、実施形態5に係る紙葉類識別装置が備える画像取得部の構成の一例を説明する断面模式図である。
【0142】
図13に示すように、画像取得部10は、互いに対向配置されたセンサユニット110及び120を備えている。センサユニット110及び120は、各々、本実施形態に係る紙葉類処理装置の搬送路に対向するコンタクトイメージセンサから構成されており、Z方向において離間したセンサユニット110及び120の間には、紙幣BNがXY平面内をX方向に搬送される隙間が形成されており、この隙間は本実施形態に係る紙葉類処理装置の搬送路の一部を構成する。センサユニット110及び120は、それぞれ、搬送路の上側(+Z方向)及び下側(-Z方向)に位置している。Y方向がセンサユニット110、120の主走査方向に対応し、X方向がセンサユニット110、120の副走査方向に対応している。
【0143】
図13に示すように、各センサユニット110、120は、2つの反射用の光源111b、集光レンズ112、受光部113及び基板114を備えている。
【0144】
反射用の光源111bは、例えば、主走査方向に延在する導光体と、導光体の少なくとも一方の端面に対向し、複数波長の光をそれぞれ照射する複数種の発光素子とを備えている。センサユニット110の光源111bと、センサユニット120の光源111bとは、それぞれ、紙幣BNのA面とB面とに、複数波長の光を順次照射する。光源111bは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光(ピーク波長が互いに異なる複数種の赤外光でもよい)、赤色光、緑色光、青色光、白色光、紫外光等を用いることができる。
【0145】
集光レンズ112は、例えば、主走査方向に複数のロッドレンズが配列されたロッドレンズアレイから構成され、反射用の光源111bから出射され、紙幣BNのA面又はB面で反射された光を集光する。
【0146】
受光部113は、例えば、主走査方向に複数の受光素子(受光画素)が配列されたリニアイメージセンサを備えており、各受光素子は、光源111bが照射する複数波長の光の波長帯域に感度をもつ。
【0147】
各受光素子には、例えば、少なくとも可視領域から波長1100nmの赤外領域まで感度をもつ、シリコン(Si)フォトダイオードを用いることができる。各受光素子は、基板114上に実装されており、集光レンズ112によって集光された光を受光して、入射光量に応じた電気信号に変換して基板114に出力する。各受光素子は、光源111bによる各波長の光の照射タイミングに合わせて当該波長の光を受光する。
【0148】
基板114は、例えば、受光素子を駆動するための駆動回路と、受光素子からの信号を処理して出力するための信号処理回路とを含んでいる。基板114は、受光部113(各受光素子)の出力信号を増幅処理した後、デジタルデータにA/D変換した上で出力する。
【0149】
センサユニット120は、1つの透過用の光源111aを更に備えている。
【0150】
光源111aは、センサユニット110の集光レンズ112の光軸上に配置されており、光源111aから出射された光の一部は、紙幣BNを透過し、センサユニット110の集光レンズ112に集光されて受光部113で検出される。光源111aは、紙幣BNのB面に、波長帯域が互いに異なる光を順次、又は同時に照射する。光源111aは、複数波長の光として、例えばピーク波長が互いに異なる光を照射する。具体的には、例えば、赤外光、緑色光等を用いることができる。
【0151】
なお、「複数波長の光」とは、波長帯域が互いに異なる光であり、互いにピーク波長が異なっていてもよい。複数波長の光は、例えば、可視光については色が互いに異なる光であってもよく、赤外光及び紫外光については、波長帯域の一部のみが互いに重なる光又は波長帯域が互いに重ならない光であってもよい。
【0152】
本実施形態では、制御部220が実施形態1~4で説明した制御部20と同様の処理を行うことから、実施形態1~4と同様に、紙幣の形状に関する判定処理の精度を向上することが可能である。
【0153】
なお、実施形態1~5では、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置をそれぞれ一つの装置として構成する場合について説明したが、紙葉類識別装置及び紙葉類処理装置の各機能を適宜複数の装置に分散した分散処理システムにより実現してもよい。例えば、紙葉類識別装置の画像取得部及び制御部が異なる装置(端末)に設けられてもよい。また、例えば、選択式形状判定部による選択処理を抜き出し、複数種類の形状情報のうちの少なくとも1種の形状情報を選択する処理(形状情報選択部)と、選択式形状判定部による選択式形状判定処理とが異なる装置(端末)で実行されてもよい。
【0154】
(実施形態6)
図14を用いて、本実施形態に係る紙葉類処理装置について説明する。
図14は、実施形態6に係る紙葉類処理装置による処理を説明するための模式図である。なお、本実施形態に係る紙葉類処理装置は、実施形態5に係る紙葉類処理装置と同様の構成を有するものであってもよい。
【0155】
図14に示すように、本実施形態では、紙葉類識別装置によって計数された紙幣のデータは、紙葉類識別装置の記憶部の保存領域に保存される。このとき、各紙幣のデータには、紙葉類識別装置により判定されたカテゴリの情報が対応付けて記憶されている。ここで、カテゴリとは、ECB(ヨーロッパ中央銀行)で定められた以下の種類(5カテゴリ)であってもよい。
カテゴリ1:紙幣でない
カテゴリ2:偽造券
カテゴリ3:真偽不確定
カテゴリ4a:真券かつ正券(キレイな紙幣)
カテゴリ4b:真券かつ損券
【0156】
そして、紙葉類処理装置の使用者が操作部から計数された紙幣のデータを要求する際にカテゴリも併せて指定されると、紙葉類処理装置は、指定されたカテゴリの紙幣のデータを紙葉類識別装置の記憶部から選択的に取得し、紙葉類処理装置の表示部等に表示する。これにより、所望のカテゴリの紙幣のデータのみを効率的に取得することが可能である。
【0157】
なお、紙葉類識別装置から取得された特定のカテゴリの紙幣のデータは、当該紙葉類処理装置の上位の管理システムに送信されてもよい。
【0158】
また、このような特定カテゴリの紙幣のデータのみの取得は、人ではなく、設定条件に応じて紙葉類処理装置や上位の管理システムによって自動的に要求されてもよい。
【0159】
以上、図面を参照しながら実施形態を説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0160】
以上のように、本開示は、紙葉類の形状に関する判定処理の精度を向上するのに有用な技術である。
【符号の説明】
【0161】
1、2、3、4、200:紙葉類識別装置
10:画像取得部
11、11a、11b、111a、111b:光源
13、113:受光部
110、120:センサユニット
20、220:制御部
21:形状情報生成部
23:選択式形状判定部
25:固定式形状判定部
26a、26b:種類判定部
112:集光レンズ
114:基板
210:検出部
211:磁気検出部
212:厚み検出部
230:記憶部
300:紙幣処理装置
301:ホッパ
302:リジェクト部
303:操作部
304:筐体
305:表示部
306a~306d:集積部
310:搬送部
320:本体制御部
330:本体記憶部
BN:紙幣