(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135886
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】血圧計用腕帯
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61B5/022 300H
A61B5/022 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041198
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 庸平
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AB01
4C017AD12
4C017AD30
4C017EE01
(57)【要約】
【課題】カバー生地のダメージを防止しながら、収納時にコンパクトなサイズによる折れ曲げ巻き付け形状を安定して実現する血圧計用腕帯を提供すること。
【解決手段】血圧計用腕帯10は、カバー11と、コア20と、第1の面ファスナー17と、第2の面ファスナー18と、を備える。コア20は、巻き付け方向Pで被検体Aを取り巻くコア本体部21と、コア本体部21における巻き付け方向Pの一端21bからコア本体部21に対して遠ざかる方向に開いているコア延長ガイド部22と、を有する。カバー11は、コア延長ガイド部22の先端部付近を幅方向Dwに横断する領域に形成された折り曲げ部31と、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って設けられた第3の面ファスナー32と、を有する。折り曲げ部31は、第1の面ファスナー17と第3の面ファスナー32とに挟まれた位置に配置され、曲げ剛性を両側領域の曲げ剛性より低く設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に巻き付けられる巻き付け方向が幅方向に対して長い帯状のカバーと、
前記カバーに収容され、弾性を有するとともに前記巻き付け方向に湾曲されたコアと、
前記カバーのうちコア収容範囲以外のカバー内面に設けられた第1の面ファスナーと、
前記カバーのうちコア収容範囲のカバー外周面に設けられ、前記第1の面ファスナーが着脱自在の第2の面ファスナーと、を備え、
前記コアは、前記巻き付け方向で前記被検体を取り巻くコア本体部と、前記コア本体部における前記巻き付け方向の一端から前記コア本体部に対して遠ざかる方向に開いている装着ガイド部と、を有し、
前記カバーは、前記装着ガイド部の先端部付近を前記幅方向に横断する領域に形成された折り曲げ部と、前記折り曲げ部より前記コア本体部に近い領域のカバー内面を覆って設けられたカバー生地保護部材と、を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の面ファスナーと前記カバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、曲げ剛性を両側領域の曲げ剛性より低く設定する
ことを特徴とする血圧計用腕帯。
【請求項2】
前記カバー生地保護部材は、前記第2の面ファスナーと着脱可能な第3の面ファスナーである
ことを特徴とする請求項1に記載の血圧計用腕帯。
【請求項3】
前記装着ガイド部は、前記コア本体部の湾曲に対する前記一端での接線方向において、前記コア本体部の端部よりも外側まで延び、前記コア本体部よりも幅方向寸法が小さいコア延長ガイド部であり、
前記折り曲げ部は、前記コア延長ガイド部の先端部付近を幅方向に横断し、幅方向の辺を長辺とし巻き付け方向の辺を短辺とする長方形領域に形成する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血圧計用腕帯。
【請求項4】
前記カバーは、1枚の表布に対して、前記第1の面ファスナーを縫合した第1カバー生地と、裏布を縫合した第2カバー生地と、前記裏布と前記カバー生地保護部材とを縫合した第3カバー生地と、カバー全周縁を包み込んで縫合した周縁生地と、を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の面ファスナーと前記カバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、前記周縁生地により前記表布と前記裏布を縫合した前記第2カバー生地に設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の血圧計用腕帯。
【請求項5】
前記カバーは、1枚の表布に対して、前記第1の面ファスナーを縫合した第1カバー生地と、裏布を縫合した第2カバー生地と、前記裏布と前記カバー生地保護部材とを縫合した第3カバー生地と、カバー全周縁を包み込んで縫合した周縁生地と、を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の面ファスナーと前記カバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、前記周縁生地により前記表布と前記裏布を縫合した前記第2カバー生地から前記裏布を除いた生地に設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の血圧計用腕帯。
【請求項6】
前記カバーは、1枚の表布に対して、前記第1の面ファスナーを縫合した第1カバー生地と、裏布を縫合した第2カバー生地と、前記裏布と前記カバー生地保護部材とを縫合した第3カバー生地と、カバー全周縁を包み込んで縫合した周縁生地と、を有し、
前記折り曲げ部は、前記第1の面ファスナーと前記カバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、前記周縁生地の内側から布を取り除き、前記周縁生地のみを残した開口空間に設定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の血圧計用腕帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計用腕帯に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧計は、血圧を計測する際に、腕、手首、指等の被検体に巻き付けられる血圧計用腕帯(血圧計用カフともいう)を備えるものがある。血圧計用腕帯は、収容する空気袋の膨らみで被検体を適切に圧迫するために被検体に装着される。
【0003】
血圧計としては、本体部と、弾性体のコアを有するカフと、を備える。カフは、本体部よりも長手方向の他端の側に設けられた第1の面ファスナーと、本体部に設けられ、第1の面ファスナーに着脱自在の第2の面ファスナーと、を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この血圧計は、あらかじめ定められた所望の向きで腕や手首に容易に装着することを可能としていることが、この文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記血圧計におけるコアを有するカフは、カフが本体部に取付けられている状態で、又は、カフが本体部から取り外せる場合は取り外した状態で、収納用のケース等に収納することがある。このようにカフを収納するときに、収納するケースの収納部が狭い場合などは、カフをできる限りコンパクトなサイズの巻き付け形状にする必要がある。一般的なカフは、表地と裏地の外周を縫製したカバー生地によりカフの形状を作っていて、カフの収納部が狭い場合などは、収納部の形状に応じて、収納時、カバーの所望位置にて、カフを部分的に鋭角に折り曲げながら巻き付ける折り曲げ巻き付け形状にし、収納形状のコンパクト化を図りたいという要求もある。
【0006】
しかし、巻き付けられるカバーの内面には、生地厚が厚い帯状の雌型による第1の面ファスナーが設けられているため、カバーの所望位置から鋭角に折り曲げようとしても円弧状に膨らんでしまう。このため、カバーの所望位置にて鋭角に折り曲げたいという要求に応えられない。この結果、収納時、カバーの折り曲げ巻き付け形状が大きなサイズになり、コンパクト性が損なわれるし、膨らみ位置や膨らみ量のバラツキにより折り曲げ巻き付け形状も安定しない。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、カバー生地のダメージを防止しながら、収納時にコンパクトなサイズによる折れ曲げ巻き付け形状を安定して実現する血圧計用腕帯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の血圧計用腕帯は、被検体に巻き付けられる巻き付け方向が幅方向に対して長い帯状のカバーと、前記カバーに収容され、弾性を有するとともに前記巻き付け方向に湾曲されたコアと、前記カバーのうちコア収容範囲以外のカバー内面に設けられた第1の面ファスナーと、前記カバーのうちコア収容範囲のカバー外周面に設けられ、前記第1の面ファスナーが着脱自在の第2の面ファスナーと、を備える。前記コアは、前記巻き付け方向で前記被検体を取り巻くコア本体部と、前記コア本体部における前記巻き付け方向の一端から前記コア本体部に対して遠ざかる方向に開いている装着ガイド部と、を有する。前記カバーは、前記装着ガイド部の先端部付近を前記幅方向に横断する領域に形成された折り曲げ部と、前記折り曲げ部より前記コア本体部に近い領域のカバー内面を覆って設けられたカバー生地保護部材と、を有する。前記折り曲げ部は、前記第1の面ファスナーと前記カバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、曲げ剛性を両側領域の曲げ剛性より低く設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の血圧計用腕帯によれば、カバー生地のダメージを防止しながら、収納時にコンパクトなサイズによる折れ曲げ巻き付け形状を安定して実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の血圧計用腕帯により測定している様子を示す模式図である。
【
図2】
図1に示すI-I線に沿って得られた構成を示す断面図である。
【
図3】実施例1の血圧計用腕帯を示す斜視図である。
【
図4】実施例1の血圧計用腕帯のカバーの構成を示すカバー内面図である。
【
図5】実施例1の血圧計用腕帯の要部構成を示す拡大カバー斜視図である。
【
図6】
図5のII-II線による折り曲げ部構成を示すカバー断面図である。
【
図7】実施例1の血圧計用腕帯のコアの構成を示すコア斜視図である。
【
図8】コアを幅方向から見た構成を示すコア端面図である。
【
図9】コアが腕に接近される様子を示す説明図である。
【
図10】コア延長ガイド部が腕に宛がわれた様子を示す説明図である。
【
図11】
図10と同じ場面のコアを幅方向から見た様子を示す端面図である。
【
図12】
図11の場面からコア(そのコア本体部)の右側(他端側)が持たれてコアが開かれる途中の状態を示す端面図である。
【
図13】
図11の場面からコアが腕に押し当てられた様子を示す端面図である。
【
図14】コアが腕に嵌められた様子を示す端面図である。
【
図15】コアが腕に対して傾けられつつ接近された様子を示す説明図である。
【
図16】比較例の血圧計用腕帯のカバーの構成を示すカバー内面図である。
【
図17】比較例において血圧計用腕帯を収納するときの折り曲げ巻き付け形状を示す斜視図である。
【
図18】実施例1において血圧計用腕帯を収納するときの折り曲げ巻き付け形状を示す斜視図である。
【
図19】実施例1の血圧計用腕帯を血圧計本体に付設されている腕帯収納部に収納している様子を示す斜視図である。
【
図20】実施例2の血圧計用腕帯の要部構成を示す拡大カバー斜視図である。
【
図21】
図20のIII-III線による折り曲げ部構成を示すカバー断面図である。
【
図22】実施例3の血圧計用腕帯の要部構成を示す拡大カバー斜視図である。
【
図23】
図22のIV-IV線による折り曲げ部構成を示すカバー断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の血圧計用腕帯を実施するための形態を、図面に示す実施例1、実施例2、実施例3に基づいて説明する。
【実施例0012】
以下、実施例1の血圧計用腕帯10を、
図1~
図19を用いて説明する。実施例1における血圧計用腕帯10は、被検体の上腕部(以下、単に「腕A」という。)に装着して巻き付け、血圧(最高血圧、最低血圧)や心拍数を計測する上腕式の電子血圧計(血圧計の一例)に適用される。以下の説明において、腕Aに巻き付けられる方向を巻き付け方向Pとし、巻き付け方向Pに直交する方向(巻き付けられた状態における腕Aに沿う方向)を幅方向Dwとする。また、巻き付け対象となる腕Aの手のひらを上方(鉛直方向の上側)に向けた状態において、その腕Aに適切に取り付けられる姿勢とされた際の鉛直方向を上下方向Dvとし、上下方向Dvと幅方向Dwとに直交する方向を左右方向Dhとする。
【0013】
まず、実施例1の血圧計用腕帯10が適用される上腕式の電子血圧計の概要構成を、
図1~
図3を参照しながら説明する。上腕式の電子血圧計は、血圧計用腕帯10と、血圧計本体50と、を備えている。
【0014】
血圧計用腕帯10は、上腕用ハードカフと呼ばれ、
図1に示すように、被検体である被検者の腕Aに巻き付けられ、
図2に示すように、カバー11の内部に空気袋12とコア20とが収容されて構成されている。
【0015】
カバー11は、
図1~
図3に示すように、巻き付け方向Pが幅方向Dwに対して長い帯状とされており、表布13と裏布14とを有する(
図2参照)。表布13は、腕Aに巻き付けられた状態で外周側に配置され、裏布14は、腕Aに巻き付けられた状態で内周側に配置される。この表布13と裏布14とは、布や樹脂等の屈曲自在な材料が用いられ、周縁の全周に亘って周縁生地30によって縫合される。これにより、カバー11は、表布13と裏布14との間に空気袋12とコア20とを収容する収容空間15が形成される。
【0016】
カバー11は、収容空間15に設けられた仕切り布16を有する。仕切り布16は、収容空間15を、外側すなわち表布13側と、内側すなわち裏布14側とに仕切るものであり、表布13および裏布14と平行に配置されて互いに縫合されている。このため、収容空間15は、表布13と仕切り布16との間に位置される外側収容空間15aと、裏布14と仕切り布16との間に位置される内側収容空間15bと、に区画される。そして、収容空間15のうち、外側収容空間15aにはコア20を収容し、内側収容空間15bには空気袋12を収容する。
【0017】
空気袋12は、
図2に示すように、例えばポリ塩化ビニル(PVC)製で、2つの袋体が積み重ねられた2層構造の矩形の袋状とされている。空気袋12は、エアチューブ19(
図1、
図3等参照)が接続され、エアチューブ19を通じて血圧計本体50から内部に空気が供給されて膨張する。また、空気袋12は、エアチューブ19を通じて血圧計本体50へと内部の空気が排出されて収縮する。
【0018】
血圧計本体50は、
図1に示すように、本体ケース51と、腕帯収納ケース52と、を備えていて、血圧計用腕帯10とはエアチューブ19により接続されている。
【0019】
本体ケース51は、ケース前面には、血圧測定値(最高値及び最低値)や脈拍数等を表示する液晶パネル等による表示部51aと、表示部51aの下部に配置され、各種の指令を入力する操作スイッチ部51bと、が配置される。ケース側面には、エアチューブ19を接続するエアチューブ接続部51cが配置される。本体ケース51には、図示を省略しているが、空気を供給するポンプ、空気袋12の圧力を検出する圧力センサ、ポンプ作動制御や圧力検出値から血圧値等の算出処理を行う制御部、必要データを記憶する記憶部、等の各種機器が内蔵されている。
【0020】
腕帯収納ケース52は、本体ケース51の背面下部に取り付けられ、血圧計用腕帯10を折り曲げ巻き付け形状にして収納する(
図19参照)。この腕帯収納ケース52は、腕帯収納機能以外に、板面に載置したときに本体ケース51を所定角度による傾斜載置姿勢に保つスタンド機能を兼用する。
【0021】
次に、実施例1の血圧計用腕帯10において、空気袋12とコア20を除いたカバー11の構成を、
図3~
図6を参照しながら説明する。カバー11は、
図3に示すように、第1の面ファスナー17と、第2の面ファスナー18と、周縁生地30と、折り曲げ部31と、第3の面ファスナー32(カバー生地保護部材の一例)と、を備えている。
【0022】
第1の面ファスナー17は、
図3及び
図4に示すように、カバー11のうちコア収容範囲以外のカバー内面(裏布14側の面)に、折り曲げ部31からカバー端部域までの広い範囲で設けられている。第1の面ファスナー17は、雌型面ファスナーであり、ループ状の起毛が密集して面全体に形成されている。
【0023】
第2の面ファスナー18は、
図3及び
図4に示すように、カバー11のうちコア収容範囲のカバー外周面(表布13側の面)の一部の領域に設けられ、第1の面ファスナー17が着脱自在とされる。第2の面ファスナー18は、雄型面ファスナーであり、フック状の起毛が面全体に形成されている。
【0024】
折り曲げ部31は、
図3~
図6に示すように、後述するコア20のコア延長ガイド部22(装着ガイド部の一例)の先端部付近を幅方向に横断し、幅方向Dwの辺を長辺とし巻き付け方向Pの辺を短辺とする長方形領域に形成されている。折り曲げ部31は、第1の面ファスナー17と第3の面ファスナー32とに挟まれた位置に配置され、その曲げ剛性を両側領域である第1の面ファスナー17の領域と第3の面ファスナー32の領域の曲げ剛性より低く設定している。
【0025】
第3の面ファスナー32は、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って設けられる。第3の面ファスナー32は、第2の面ファスナー18と着脱可能な雌型面ファスナーにすることで、カバー生地保護機能以外に被検体の腕Aが細いときに面結合力を確保する結合力確保機能を持たせている。
【0026】
カバー11は、
図4に示すように、第1カバー生地33と、第2カバー生地34と、第3カバー生地35と、周縁生地30と、を有する。第1カバー生地33は、カバー全体形状による1枚の表布13に対して第1の面ファスナー17を縫合した生地である。第2カバー生地34は、空気袋12やコア20を除いた領域において、1枚の表布13に対して裏布14を縫合した生地である。第3カバー生地35は、1枚の表布13に対して裏布14と第3の面ファスナー32とを縫合した生地である。周縁生地30は、カバー全周縁を包み込んで縫合した生地である。なお、周縁生地30にはエアチューブ19の位置を特定する目印36が設けられている。
【0027】
ここで、裏布14と第1の面ファスナー17とは、カバー11のみを製造する工程において、巻き付け方向Pの中央部の位置で一部をオーバーラップさせた状態とされる。そして、空気袋12やコア20の挿入工程において、三方向外周を周縁生地30により閉じられた裏布14によるポケット状の開口端部から空気袋12やコア20を挿入し、その後、オーバーラップ部分を縫合することで空気袋12やコア20の位置決めをしている。
【0028】
折り曲げ部31は、
図5に示すように、第1の面ファスナー17を有する第1カバー生地33と、第3の面ファスナー32を有する第3カバー生地35と、に挟まれた位置に配置される。そして、折り曲げ部31は、
図6に示すように、周縁生地30により表布13と裏布14とを縫合した第2カバー生地34により設定している。即ち、折り曲げ部31については、厚みを有する第1の面ファスナー17や第3の面ファスナー32を配置しないで、表布13と裏布14とを周縁生地30により縫合しただけの生地としている。これによって、折り曲げ部31の曲げ剛性が両側領域の曲げ剛性より低く設定され、鋭角な角度で折れ曲がる折り曲げ性を確保している。
【0029】
次に、実施例1の血圧計用腕帯10におけるコア20の構成を、
図7及び
図8を参照しながら説明する。コア20は、例えばポリプロピレン(PP)製の弾性を有する板材で形成され、コア本体部21と、コア延長ガイド部22と、を有する。
【0030】
コア本体部21は、血圧計用腕帯10の腕Aへの巻き付け作業を容易とするために、自身の弾性力により巻き付くように腕Aに嵌められる箇所である。コア本体部21は、略矩形の薄板状とされ、略円筒状に湾曲されている。コア本体部21は、略円筒状を平板状に開くような荷重を作用させても、その荷重を取り除けば元の略円筒状に復元する。コア本体部21は、被検体としての腕Aへの巻き付けの補助の観点から曲率が設定されている。
【0031】
コア本体部21は、4つの隅部21aに設けられた切欠箇所23を有する。その4つの隅部21aは、略矩形とされたコア本体部21の角に位置するもので、巻き付け方向Pに位置する2つの端縁(以下では一方を一端21bとし、他方を他端21cとする)における幅方向Dwでの2つの端部である。各切欠箇所23は、互いに等しい大きさとされており、コア本体部21の輪郭線と略平行とされた2つの辺部により、対応する隅部21aをL字形状に切り欠いた形状としている。
【0032】
各切欠箇所23は、切り欠く際に形成される各角が丸められている。詳細には、各切欠箇所23は、上記のように切り欠かれた形状であることから、2つの凸状の角部分23aと、1つ凹状の角部分23bと、を有し、それぞれの角部分(23a、23b)が丸められている。
【0033】
コア本体部21は、4つの切欠箇所23が設けられることにより、巻き付け方向Pの中央部が相対的に幅方向Dwの寸法の大きい幅広部分24とされ、巻き付け方向Pの両端縁(一端21b、他端21c)近傍が相対的に幅方向Dwの寸法の小さい幅狭部分25とされている。この2つの幅狭部分25は、幅方向Dwの中央に位置しており、幅広部分24から巻き付け方向Pに突出されている。
【0034】
また、コア本体部21は、空気穴26を有する。この空気穴26は、空気袋12への空気の供給および空気袋12からの空気の排出のためのもので、コア本体部21を貫通している。空気穴26は、コア本体部21における上端位置21Uに設けられている。この上端位置21Uは、巻き付け方向Pにおいて、巻き付ける対象となる腕Aの手のひらを上方(鉛直方向の上側)に向けた状態において、その腕Aの上端と対向される位置である。このため、空気袋12は、腕Aの上端と上端位置21Uと間を中心として、巻き付け方向Pの両側に向けて膨張することとなり、効率良く膨らむとともに血圧を測定する観点から腕Aを適切に圧迫できる。
【0035】
さらに、コア本体部21は、他端21cに返し部27を有する。返し部27は、他端21cから外側に折り返されて形成されており、他端21cにおける幅方向Dwの全域に亘って設けられている。返し部27は、
図8に示すように、コア本体部21における湾曲の中心となる湾曲中心Cからの半径方向の外側に面するように傾斜された傾斜面27aを形成している。この傾斜面27aは、コア本体部21が腕Aに宛がわれた際に、コア本体部21の両端縁(一端21b、他端21c)を開かせる方向の分力を生じさせる(
図13参照)。
【0036】
コア延長ガイド部22は、コア本体部21を腕Aに嵌めることを容易とするために、腕Aに対するコア本体部21の位置や移動方向を案内する箇所である。コア延長ガイド部22は、略矩形の薄板状とされ、略平坦な面に沿う平板状とされている。コア延長ガイド部22は、幅方向Dwで幅狭部分25の中央の位置から伸びており、コア本体部21の幅狭部分25よりも幅方向Dwの寸法が小さくされている。このため、コア延長ガイド部22は、同じ部材からコア本体部21と一体に形成されていても、そのコア本体部21よりも弾性力を弱くする、すなわちコア本体部21よりも撓み易くされている。
【0037】
コア延長ガイド部22は、コア本体部21の一端21bから、コア本体部21における接線方向Dtに沿って突出されている。その接線方向Dtは、湾曲中心Cに直交する平面(
図8参照)上において、コア延長ガイド部22の付け根(幅狭部分25の一端21b)における湾曲中心Cを中心とする円に対する接線に沿うものである。これにより、コア延長ガイド部22は、コア本体部21の一端21bからそのコア本体部21との間隔を徐々に拡げるように、すなわちコア本体部21に対して遠ざかる方向に延びている。
【0038】
コア延長ガイド部22は、突出端となる先端22aにおける2つの角が丸められている。詳細には、先端22aは、コア延長ガイド部22が略矩形とされていることから、2つの凸状の角を有することとなるが、その角が丸められていることにより、略半円形状とされている。
【0039】
コア延長ガイド部22は、湾曲中心Cに直交する平面上において、接線方向Dtで見てコア本体部21の端部よりも外側まで延びている。詳細には、コア延長ガイド部22は、上端位置21Uを上方に位置させた状態において、先端22aを少なくとも接線方向Dtで下端位置21Dよりも下側に位置させている。その下端位置21Dは、湾曲中心Cに直交する平面上で見て、コア本体部21における湾曲中心Cを介して上端位置21Uと対向する位置である。このため、上端位置21Uと湾曲中心Cと下端位置21Dとを結ぶ直線は上下方向Dvと平行となり、そこに直交しつつ下端位置21Dを含む面を下端基準面Prとすると、コア延長ガイド部22が下端基準面Prと交差するものとされて、先端22aが下端基準面Prよりも下方に位置されている。このことから、下端位置21Dは、一端21bでの接線方向Dtにおけるコア本体部21の端部となる。
【0040】
コア延長ガイド部22は、傾き限界線SL(
図15参照)と交わる位置まで延びている。この傾き限界線SLは、血圧計用腕帯10の腕Aへの巻き付けの際に、コア本体部21に切欠箇所23が設けられることにより、腕Aに対してコア本体部21を傾けることのできる限界を示す線である。傾き限界線SLは、コア本体部21を左右方向Dhで見た際、切欠箇所23における2つの凸状の角部分23aを結ぶものとされる。コア延長ガイド部22は、左右方向Dhで見た際、傾き限界線SLと交差するものとされて、先端22aが傾き限界線SLを超えてその下方に位置されている。
【0041】
次に、血圧測定時における血圧計用腕帯10の巻き付け作用を、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0042】
血圧計用腕帯10を腕Aに巻き付ける際には、コア20によって丸まった血圧計用腕帯10の巻き付け方向Pの両端部(コア20における一端21b、他端21c)を開いて、血圧計用腕帯10の丸まったコア本体部21を腕Aに装着する。そして、コア本体部21を腕Aに装着した状態において、血圧計用腕帯10の残り部分を腕Aに巻き付け、第1の面ファスナー17を丸まった部分の第2の面ファスナー18に貼り付けることで、血圧計用腕帯10を腕Aに巻き付けた状態を維持させる。その後、エアチューブ19を通じて血圧計用腕帯10に空気を供給し、空気袋12を膨張する際、空気袋12を外側から押さえることで、膨張による腕Aの圧迫が適切なものとされる。
【0043】
次に、血圧計用腕帯10を腕Aに装着する際のコア20の装着案内作用を、
図9~
図15を参照しながら説明する。なお、
図9~
図15は、カバー11内におけるコア20の腕Aに対する作用の把握の理解を容易とするために、血圧計用腕帯10におけるコア20以外の部材であるカバー11を省略し、コア20と腕Aのみを示す。
【0044】
コア20は、血圧計用腕帯10を腕Aに装着する際、
図9の矢印に示すように、コア本体部21における両端縁(一端21b、他端21c)の間に腕Aを押し入れるように腕Aに接近させる。このとき、コア20は、コア本体部21の一端21bから下方に向けて突出させ、コア本体部21の外側まで延ばしてコア延長ガイド部22を設けている。このため、コア延長ガイド部22を腕Aに接触する位置まで接近させると、
図10及び
図11に示すように、コア延長ガイド部22が腕Aに宛がわれ、コア本体部21の切れ目となる一端21bと他端21cとを腕Aに接近させることができる。
【0045】
その後、コア延長ガイド部22を腕Aに宛がったままで、コア本体部21の右側(他端21c側)を持って
図11の右側方向へと引く。このとき、コア20のコア延長ガイド部22が腕Aに宛がわれていて移動が妨げられているため、
図12に示すように、一端21bに対して他端21cが開く方向へと移動し、コア本体部21が開き変形していく。よって、コア延長ガイド部22は、湾曲されたコア本体部21の切れ目となる一端21bと他端21cとの間に腕Aを配置させるという位置案内作用を示す。
【0046】
そして、一端21bと他端21cとが所定の間隔を超えて離れるまでコア本体部21を開く方向へと移動させた後、コア本体部21を腕Aに近付ける方向(
図13を正面視して下側)に移動させる。このとき、コア本体部21の一端21b側がコア延長ガイド部22により腕Aに対する移動が妨げられているため、
図13に示すように、他端21cの返し部27の傾斜面27aが腕Aに当たった状態で、他端21c側に傾斜面27aによる分力が作用する。この分力が作用することで、コア本体部21の他端21cは、一端21bから離れるように両端縁の間隔が押し拡げられながら、腕Aの外周に沿って移動する。よって、コア延長ガイド部22は、コア本体部21を腕Aに装着する際に、一端21bと他端21cとの間を押し拡げることを補助する方向へと移動させる移動案内作用を示す。
【0047】
その後、コア本体部21をさらに下側へ移動して腕Aに近付けることで、
図14に示すように、コア本体部21の内方に腕Aを導かせて、腕Aを取り巻くようにコア本体部21を装着することができる。この結果、コア20は、上端位置21Uを上方に位置させた状態で、腕Aに取り付けられる。このため、コア20は、巻き付ける対象となる腕Aが手のひらを上方(鉛直方向の上側)に向けた状態とされていれば、上端位置21Uを腕Aの動脈の近傍に位置させることができる。
【0048】
血圧計用腕帯10は、上端位置21Uに空気穴26を設けるとともに、空気穴26に通されるエアチューブ19を巻き付け方向Pにおける空気袋12の中央位置に取り付けているため、その中央位置を腕Aの動脈の近傍に位置させることができる。よって、血圧計用腕帯10は、巻き付け方向Pにおける空気袋12の中央位置で動脈を圧迫することができるとともに、動脈を圧迫する圧迫方向(圧迫する強さ)の指向性が無くなり、測定毎の動脈の圧迫の指向性のばらつき影響を抑えることができる。これにより、血圧計用腕帯10は、血圧を測定する観点から腕Aを適切に圧迫できる姿勢で、腕Aに巻き付けられることになる。
【0049】
加えて、コア20は、コア本体部21における巻き付け方向Pでのそれぞれの端部(一端21b、他端21c)に切欠箇所23を有する。このため、
図15に示すように、コア20の切欠箇所23の2つの凸状の角部分23a,23aが腕Aに接触する傾き限界線SLまでは、コア本体部21が腕Aに接触することがなくコア20の傾きが許容される。よって、コア20の下端縁25aを腕Aに接触させた状態から腕Aに対して傾けられた場合であっても、コア20の傾斜角度が傾き限界以下の角度であればコア延長ガイド部22による位置案内作用や移動案内作用が得られ、腕Aへの装着を容易に行うことができる。なお、コア20の傾き方向は、
図15とは逆方向であっても同様に腕Aへの装着を容易に行うことができる。
【0050】
次に、血圧計用腕帯10を腕Aから外し、血圧計用腕帯10を折り曲げ巻き付け状態にして収納する腕帯収納作用を、
図16~
図19を参照しながら説明する。
【0051】
血圧計におけるコアを有するカフは、収納するときにできる限りコンパクトなサイズにする必要があるため、表地と裏地の外周を縫製したカバー生地によりカフの形状を作っている。具体例としては、
図16に示すように、1枚の表布に対して第1の面ファスナーを縫合した第1カバー生地と、1枚の表布に対して裏布を縫合した第2カバー生地と、カバー全周縁を包み込んで縫合した周縁生地と、を有する。
【0052】
一方、芯材であるコアは、円筒状のコア本体部と、コア本体部から遠ざかる方向に開いている装着ガイド部と、を有し、装着ガイド部によりカフを上腕や手首等へ装着するときの装着案内をしている。なお、
図16はカバーに沿って展開したコアを示す。
【0053】
よって、コアを有するカフを収納するときは、コアの装着ガイド部を避けた部分である装着ガイド部の先端部付近からカバーを折り曲げ、残りのカバーを円筒状のコア本体部と装着ガイド部による開いた形状に沿って巻き付けることになる。しかし、コアの装着ガイド部の先端部付近は、生地厚が厚い帯状の雌型面ファスナーになっていて折れ曲げ変形しにくい曲げ剛性を有する。このため、
図17に示すように、コアの装着ガイド部の先端部の先で鋭角に折り曲げようとしても、折り曲げ部分のカバー内面側が内側にだぶつき、円弧状に膨らんでしまう(円弧状膨隆部)。そして、円弧状に膨らんでしまうと、折り曲げ部の曲げ半径が大きくなって、カバーの折り曲げ巻き付け形状が大きなサイズになるし、膨らみ位置や膨らみ量のバラツキにより折り曲げ巻き付け形状も安定しない。この結果、カフをケースに収納しにくい、という問題になる。
【0054】
一方、円弧状に膨らむことを防止するため、コアの装着ガイド部の先端部付近から生地厚が厚い雌型面ファスナーを取り除いてしまうことが考えられる。しかし、雌型面ファスナーを取り除いてしまうと、コアの装着ガイド部の先端部付近のカバー生地が露出する。よって、コア本体部の外周面に配置された雄型面ファスナーに対して、露出したカバー生地が絡んで擦れることで、カバー生地がダメージを受ける。
【0055】
本発明者は、鋭角な角度による折り曲げ要求があるコアの装着ガイド部の先端部付近のカバーの断面構造に着目した。そして、血圧計用腕帯10において、下記の構成を採用した。カバー11は、コア延長ガイド部22の先端部付近を幅方向に横断する領域に形成された折り曲げ部31と、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って設けられた第3の面ファスナー32と、を有する。折り曲げ部31は、第1の面ファスナー17と第3の面ファスナー32とに挟まれた位置に配置され、曲げ剛性を両側領域の曲げ剛性より低く設定する。
【0056】
血圧計用腕帯10を腕Aから外して収納するときは、コア20のコア延長ガイド部22を避けた部分、具体的には、コア延長ガイド部22の先端の先の部分から折り曲げ、円筒状のコア本体部21とコア延長ガイド部22により規定される形状に沿って巻き付けることになる。これに対し、コア20のコア延長ガイド部22を避けた部分になるコア延長ガイド部22の先端部付近を幅方向に横断する領域には、折り曲げ部31が形成され、この折り曲げ部31は、曲げ剛性が両側領域の曲げ剛性より低く設定されている。このため、カバー11は、折り曲げ方向に力を加えなくても折り曲げ部31から簡単に折れ曲げ変形する。したがって、血圧計用腕帯10を収納するときには、コア20のコア延長ガイド部22を避けた部分に形成された折り曲げ部31から鋭角な角度により折り曲げた後、残りのカバー11を円筒状のコア本体部21とコア延長ガイド部22に沿って巻き付けられる。そして、収納時における血圧計用腕帯10の折り曲げ巻き付け形状は、
図18に示すように、少し離れた大きな円(コア本体部21による外周円)と小さな円(折り曲げ部31による円)を接線方向に繋ぐコンパクトで整然とした形状になる。よって、血圧計用腕帯10の収納時、カバーの折り曲げ巻き付け形状がコンパクトで小さなサイズになるし、折り曲げ巻き付け形状についても、折り曲げ部31による同じ位置からの折り曲げになることで常に安定した形状を保つ。この結果、血圧計用腕帯10の収納時には、
図19に示すように、折り曲げ巻き付け形状にした血圧計用腕帯10を、腕帯収納ケース52に対して無理に押し込んだりすることなく、スムーズに収納することができる。
【0057】
加えて、コア20のコア延長ガイド部22と重なる部分から生地厚が厚い雌の面ファスナーを取り除き、カバー生地を露出させるのではなく、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って第3の面ファスナー32を設けている。このため、コア本体部21の外周面に配置された第2の面ファスナー18に対して、第3の面ファスナー32が受け止めることになり、カバー生地が第2の面ファスナー18によりダメージを受けることを防止するカバー生地保護機能が発揮される。
【0058】
さらに、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆う部材を、第2の面ファスナー18に面接合する第3の面ファスナー32としている。例えば、実施例1のように、コア本体部21からコア延長ガイド部22が長く延びている場合には、コア延長ガイド部22の先端部付近に折り曲げ部31が形成されると、第1の面ファスナー17の巻き付け方向Pの長さが短くなる。第1の面ファスナー17が短縮化されると、周囲長が短い腕Aの場合、第1の面ファスナー17と第2の面ファスナー18との接合面積が狭くなり、要求される接合力に対して接合力が不足することがある。これに対し、第2の面ファスナー18に面接合する第3の面ファスナー32を設定することで、第3の面ファスナー32が不足する面ファスナーの接合面積を補完し、接合力不足を解消する接合面積補完機能が発揮される。
【0059】
以上説明したように、実施例1の血圧計用腕帯10にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0060】
(1)カバー11と、コア20と、第1の面ファスナー17と、第2の面ファスナー18と、を備える血圧計用腕帯10である。コア20は、巻き付け方向Pで被検体を取り巻くコア本体部21と、コア本体部21における巻き付け方向Pの一端からコア本体部21に対して遠ざかる方向に開いている装着ガイド部(コア延長ガイド部22)と、を有する。カバー11は、装着ガイド部の先端部付近を幅方向Dwに横断する領域に形成された折り曲げ部31と、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って設けられたカバー生地保護部材(第3の面ファスナー32)と、を有する。折り曲げ部31は、第1の面ファスナー17とカバー生地保護部材(第3の面ファスナー32)とに挟まれた位置に配置され、曲げ剛性を両側領域の曲げ剛性より低く設定する。このため、カバー生地のダメージを防止しながら、収納時にコンパクトなサイズによる折れ曲げ巻き付け形状を安定して実現する血圧計用腕帯10を提供することができる。
【0061】
(2)カバー生地保護部材は、第2の面ファスナー18と着脱可能な第3の面ファスナー32である。このため、折り曲げ部31よりコア本体部21に近い領域のカバー内面を覆って設けられたカバー生地保護部材として第3の面ファスナー32を用いたことで、カバー生地保護機能に加え、接合力不足を解消する接合面積補完機能を発揮することができる。
【0062】
(3)装着ガイド部は、コア本体部21の湾曲に対する一端21bでの接線方向において、コア本体部21の端部(21D)よりも外側まで延び、コア本体部21よりも幅方向寸法が小さいコア延長ガイド部22である。折り曲げ部31は、コア延長ガイド部22の先端部付近を幅方向Dwに横断し、幅方向Dwの辺を長辺とし巻き付け方向Pの辺を短辺とする長方形領域に形成する。このため、コア20にコア延長ガイド部22を有することで、被検体への装着容易性を確保しながら、カバー11の折り曲げ部31からの鋭角な角度による折れ曲がりを確保できる。
【0063】
(4)カバー11は、1枚の表布13に対して、第1の面ファスナー17を縫合した第1カバー生地33と、裏布14を縫合した第2カバー生地34と、裏布14とカバー生地保護部材(第3の面ファスナー32)とを縫合した第3カバー生地35と、カバー全周縁を包み込んで縫合した周縁生地30と、を有する。折り曲げ部31は、第1の面ファスナー17とカバー生地保護部材とに挟まれた位置に配置され、周縁生地30により表布13と裏布14を縫合した第2カバー生地34に設定する。このため、鋭角な折り曲げ角度が得られる折り曲げ部31を、表布13と裏布14を周縁生地30により縫合した第2カバー生地34により容易に形成することができる。
(5)折り曲げ部31’は、第1の面ファスナー17とカバー生地保護部材(第3の面ファスナー32)とに挟まれた位置に配置され、周縁生地30により表布13と裏布14を縫合した第2カバー生地34から裏布14を除いた生地に設定する。このため、面ファスナーを配置しないことで鋭角な折り曲げ角度が得られる折り曲げ部31’を、第2カバー生地34から裏布14を除いた生地(表布13と周縁生地30)により容易に形成することができる。加えて、実施例2での折り曲げ部31’の折り曲げ性は、裏布14を除いた分、実施例1の折り曲げ部31による折り曲げ性より高くすることができる。