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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135894
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20230922BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20230922BHJP
   A61L 2/10 20060101ALN20230922BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041214
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】591023985
【氏名又は名称】千代田工販株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(72)【発明者】
【氏名】出口 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】中垣 弘
(72)【発明者】
【氏名】堀江 和峰
【テーマコード(参考)】
4C058
4D037
4G075
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK14
4C058KK28
4C058KK32
4C058KK46
4D037AA02
4D037AA11
4D037AB03
4D037AB11
4D037BA18
4G075AA13
4G075AA37
4G075AA65
4G075BA04
4G075BA05
4G075BB10
4G075CA03
4G075CA23
4G075CA33
4G075DA02
4G075EA05
4G075EB01
4G075EC25
4G075FC04
4G075FC11
4G075FC20
(57)【要約】
【課題】紫外線源を処理流体の流れの中に配置して紫外線LEDの劣化を抑制でき、かつ紫外線源の冷却に伴う圧力損失を抑えることができる紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】紫外線LEDの紫外線源を効果的に冷却して紫外線LEDの劣化を抑制するため、処理流体が流通される円形又は角形の筒体で形成され、一端に前記処理流体の流入口と他端近くの側壁に前記処理流体の排出口が形成されてなる処理部と、基板に搭載された複数の紫外線LEDを有した紫外線源と、前記紫外線源を収容する伝熱部材で形成された防水容器とを備え、前記筒状容器に形成された紫外線透過窓を前記処理流体の流入口に向けて前記排出口側の筒体端部の閉塞板に支持させて前記処理流体中に位置させてなる紫外線照射装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理流体が流通される断面が円形又は角形の筒体で形成され、一端に前記処理流体の流入口と他端近くの側壁に前記処理流体の排出口が形成されてなる処理部と、基板に搭載された複数の紫外線LEDを有し前記処理流体に紫外線を照射する紫外線源とを備え、
前記紫外線源は、防水容器に収容されてなり、
前記防水容器は、伝熱部材で形成された有底の筒状容器の底部内面に前記紫外線LEDの基板が支持され、前記筒状容器の開口に紫外線透過部材で形成された紫外線透過窓が水密に装着されてなり、前記紫外線透過窓を前記処理流体の流入口に向けて前記処理流体中に位置させて、前記排出口側の筒体端部の閉塞板に支持部材を介して支持されてなる紫外線照射装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記防水容器の容器壁に固定された複数の支持具と、前記支持具に固定された複数の支持体と、前記支持体を前記排出口側の筒体端部の閉塞板の内面に固定する支持具とを有してなることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
さらに、前記排出口側の筒体端部の閉塞板を水密に貫通して処理部の筒体内に挿入され電源配線が挿通される配線管と、前記防水容器の筒状容器の底部に設けられ、前記配線管と前記防水容器とを水密に連結する引込み口を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記紫外線源よりも前記流入口側の前記処理部の内面に紫外線の反射層が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
前記流入口側の筒体端部の閉塞板に間隔をあけて配置されてなる超音波洗浄器を設け、 前記超音波洗浄器は、超音波射出面を前記紫外線透過窓に向けてなることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項6】
前記超音波洗浄器よりも前記紫外線透過窓側に位置させて紫外線の光度を計測する紫外線強度計を配置してなり、前記紫外線強度計は、前記紫外線源から照射される紫外線の光度を計測する機能と、前記反射層で反射される紫外線の光度を計測する機能を備えていることを特徴とする請求項5に記載の紫外線照射装置。
【請求項7】
処理流体が流通される断面が円形又は角形の筒体で形成され、一端に前記処理流体の流入口と他端近くの側壁に前記処理流体の排出口が形成されてなる処理部と、基板に搭載された複数の紫外線LEDを有し前記処理流体に紫外線を照射する紫外線源とを備え、
前記処理部は、前記筒体の両端の開口をフランジ接続で着脱自在に閉塞する上流端閉塞板と下流端閉塞板を有し、
前記紫外線源は、防水容器に収容されてなり、
前記防水容器は、伝熱部材で形成された有底の筒状容器の底部内面に前記紫外線LEDの前記基板が支持され、前記筒状容器の開口に紫外線透過部材で形成された紫外線透過窓が水密に装着されてなり、
前記筒状容器は、外形が前記処理部の筒体の内法寸法よりも小さい円形又は角形の容器壁を有して形成され、前記紫外線透過窓を前記処理流体の流入口に向けて前記処理流体中に位置させて前記下流端閉塞板に支持部材を介して支持されてなり、
前記支持部材は、前記下流端閉塞板に中心を一致させて支持された筒状の隔壁筒と、前記隔壁筒の自由端の開口に固定して同軸に設けられた環状の隔壁板と、前記隔壁板の前記流入口側の面に前記隔壁筒と同軸に固定された支持筒とを有し、前記防水容器を前記支持筒の自由端の開口端に挿入して固定され、
前記隔壁筒と前記支持筒の筒壁には、それぞれ前記処理流体を流通する複数の開口が形成され、
前記隔壁板の周縁は、前記排出口よりも前記流入口側に位置され筒壁面との間に間隙を介して接する形状に形成されてなる紫外線照射装置。
【請求項8】
前記隔壁板は、前記周縁と面一の外周面を有する筒状の摺動筒を有して形成されてなることを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項9】
前記紫外線源は、前記下流端閉塞板を水密に貫通して前記支持筒内に挿入された前記電源配線が挿通される配線管と、
前記防水容器の前記筒状容器の底部を貫通して設けられ前記配線管と前記防水容器を水密に連結する引込み口を備えてなることを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項10】
前記紫外線源よりも前記流入口側の前記処理部の内面に紫外線の反射層が形成されてなることを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項11】
前記排出口側の筒体端部の閉塞板に支持された前記支持部材に吊り下げ支持された超音波洗浄器を有し、
前記超音波洗浄器は、超音波射出面を前記紫外線透過窓に向けて前記流入口側の筒体端部の閉塞板に間隔をあけて配置されてなることを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射装置。
【請求項12】
前記超音波洗浄器よりも前記紫外線透過窓側に位置させて紫外線の光度を計測する紫外線強度計を配置してなり、
前記紫外線強度計は、前記紫外線源から照射される紫外線の光度を計測する機能と、前記反射層で反射される紫外線の光度を計測する機能を備えていることを特徴とする請求項7に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体等の流体に紫外線を照射して流体中の有害物を無害化するのに好適な紫外線照射装置に係り、特に、紫外線LED(UV‐Light Emitting Diode)により紫外線を発生する紫外線源を備えた紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、有害物とは、流体中に存在する微生物、菌類、ウイルス等の他、NDMA、1,4-ジオキサン、2-MIB、ジェオスミン、ホルムアルデヒド、ハロ酢酸類、等の有害化学物質や消毒副生物等をいう。無害化とは、有害物を死滅、不活化、殺菌、滅菌、有害物の分解(化学変化)、等することをいう。また、無害化対象の流体(以下、処理流体という。)には、上水、食品、飲料などの他、下水などを含むものとする。
【0003】
このような様な紫外線照射装置の技術においては、紫外線水銀ランプに変えて紫外線を発光する紫外線LEDを用いることにより、水銀レス環境を実現することが提案されている。また、紫外線LEDは無害化対象の有害物に適した波長の紫外線を発光するように形成される。
【0004】
一般に、紫外線LEDは紫外線の指向性が強く紫外線が拡散しにくいため、処理流体の流路に対する紫外線源の配置について種々の提案がなされている。特に、紫外線を処理流体に効果的に照射するために、紫外線の照射方向を処理流体の流れに対向させて、あるいは流れに並行に、紫外線源を配置することが望ましい。これによれば、処理流体に対する照射時間を長くすることが容易である。
【0005】
さらに、紫外線を処理流体の流れに対向させて、あるいは流れに並行に照射する場合において、紫外線LEDの発光強度を高くするとともに実装密度を高くして、処理流体の流路断面に対する紫外線の照射強度を高くすることが要望される。しかし、紫外線LEDの発光強度を高くし、かつ実装密度を高くすると、紫外線LEDの発熱による性能劣化が懸念される。
【0006】
従来は、紫外線LEDを効果的に冷却するために紫外線源を処理流路の流出端の流路内に設置して、紫外線源を流量の大きい処理流体によって冷却することが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1に記載の紫外線照射装置によれば、直状の処理流路で処理された処理流体を排出する排出流路と処理流路の連結部に、一対の厚い円盤状の連結部材を重ねて配置し、それらの連結部材の合わせ面の一方の連結部材に紫外線源を収容する円柱状の窪みを形成し、その円柱状の窪みに紫外線源を収容し、円柱状の窪みの開口を紫外線透過部材で塞いでいる。他方の連結部材の前記紫外線透過部材が対向する面には、前記円柱状の窪みよりも大きな円柱状の窪みを形成し、その窪みの底部に処理流体が流入する開口が設けられている。また、一方の連結部材の円柱状窪みの底部の背面側には、排出流路に連通された開口が形成されている。さらに、一方の連結部材には、円柱状窪みの外周側を取り囲んで複数の冷却流路が形成され、これらの冷却流路は、他方の連結部材の処理流体の流入開口と一方の連結部材の排出開口とを連通して設けられている。紫外線源は、紫外線の射出面を処理流体が流入する開口に向け、紫外線LEDの基板を円柱状の窪みの底部に位置させて収容されている。これにより、紫外線源の紫外線LEDは、一対の連結部材に形成された複数の冷却流路を流れる処理流体によって冷却されると認められる。
【0008】
また、特許文献2には、処理流体が流れる流路の流入側とは反対側に紫外線照射部を設け、透明部材からなる窓部を介して流入側に紫外線を照射する紫外線照射装置が記載されている。また、流路の流入側の拡径部に紫外線源の窓部を洗浄する洗浄機器を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6458779号公報
【特許文献2】特許第6721487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1では、紫外線源が収容された一対の円盤状の連結部材の連結面に形成された円柱状の窪みの周りを取り囲んで、処理流体を流通する複数の冷却流路を設けている。しかし、その冷却流路の流路断面が小さく、しかも形状は紫外線源の外側を囲んでU字状に曲折して形成されている。このような形状の冷却流路の製作は煩雑になるおそれがあると同時に、処理流体の圧力損失が大きくなるおそれがある。また、紫外線LEDに電源を供給する具体的な構成、例えば紫外線源に至る電源配線の防水構造については配慮されていない。
【0011】
また、特許文献2では、紫外線源の冷却面は、処理流体の流路に面する紫外線の透過窓の一面だけであるから、紫外線LEDの冷却効率が低いので、紫外線LEDの劣化を抑制する効果が低い。
【0012】
本発明が解決しようとする第1の課題は、紫外線LEDを用いた紫外線源を処理流体の流れの中に配置して紫外線LEDの劣化を抑制でき、かつ紫外線源の冷却に伴う圧力損失を抑えることができる紫外線照射装置を提供することにある。
【0013】
また、第2の課題は第1の課題に加えて、紫外線源の電源供給を簡単な構成で実現することにある。
【0014】
さらに、第3の課題は、第1と第2の課題に加えて、紫外線源を処理流体の流れの中に配置したことによって生ずる処理流体の偏流に伴うショートパスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の紫外線照射装置の第1の態様は、処理流体が流通される断面が円形又は角形の筒体で形成され、一端に前記処理流体の流入口と他端近くの側壁に前記処理流体の排出口が形成されてなる処理部と、基板に搭載された複数の紫外線LEDを有し前記処理流体に紫外線を照射する紫外線源とを備え、前記紫外線源は、防水容器に収容されてなり、前記防水容器は、伝熱部材で形成された有底の筒状容器の底部内面に前記紫外線LEDの基板が支持され、前記筒状容器の開口に紫外線透過部材で形成された紫外線透過窓が水密に装着されてなり、前記紫外線透過窓を前記処理流体の流入口に向けて前記処理流体中に位置させて、前記排出口側の筒体端部の閉塞板に支持部材を介して支持されてなることを特徴とする。
【0016】
このように、本発明の紫外線照射装置の第1の態様によれば、紫外線源を伝熱部材で形成された防水容器に収容して処理部の処理流体中に配置したことから、流入口から供給される処理流体は、筒体内を流れて紫外線源の防水容器の位置に達すると防水容器の外周と処理部の筒体内壁との間を流れて排出口から排出される。つまり、紫外線源が収容された防水容器の外周の全面を処理流体が流れるので、基板に実装された複数の紫外線LEDが発生する熱は、防水容器の外面及び紫外線透過窓から処理流体に伝熱し、紫外線LEDの熱が処理流体によって効果的に冷却され、紫外線LEDの劣化を抑制できる。また、防水容器の外周を流れる流路には狭い箇所がないので、紫外線源の冷却に伴う処理流体の圧力損失を抑えることができる。
【0017】
また、処理流体の流れに対向させて紫外線を照射しているから、流入口から紫外線透過窓に向かって流れる処理流体に紫外線が照射されている時間を長くできるので、紫外線の照射効率が向上し、処理流体中の有害物を効果的に無害化することができる。
【0018】
ここで、第1の態様において、以下の構成を備えることが好ましい。
(1)前記支持部材は、前記防水容器の容器壁に固定された複数の支持具と、前記支持具に固定された複数の支持体と、前記支持体を前記排出口側の筒体端部の閉塞板の内面に固定する支持具を有して構成することができる。
(2)前記排出口側の筒体端部の閉塞板を水密に貫通して処理部の筒体内に挿入され電源配線が挿通される配線管と、前記防水容器の筒状容器の底部に設けられ、前記配線管と前記防水容器とを水密に連結する引込み口を有して構成することができる。これによれば、紫外線源に電力を水密かつ容易に供給することができる。
(3)前記紫外線源よりも前記流入口側の前記処理部の内面に紫外線の反射層が形成されてなることが好ましい。
(4)前記流入口側の筒体端部の閉塞板に間隔をあけて配置されてなる超音波洗浄器を設け、 前記超音波洗浄器は、超音波射出面を前記紫外線透過窓に向けてなることが好ましい。
(5)前記超音波洗浄器よりも前記紫外線透過窓側に位置させて紫外線の光度を計測する紫外線強度計を配置してなり、前記紫外線強度計は、前記紫外線源から照射される紫外線の光度を計測する機能と、前記反射層で反射される紫外線の光度を計測する機能を備えていることが好ましい。
【0019】
本発明の紫外線照射装置の第2の態様は、処理流体が流通される断面が円形又は角形の筒体で形成され、一端に前記処理流体の流入口と他端近くの側壁に前記処理流体の排出口が形成されてなる処理部と、基板に搭載された複数の紫外線LEDを有し前記処理流体に紫外線を照射する紫外線源とを備え、前記処理部は、前記筒体の両端の開口をフランジ接続で着脱自在に閉塞する上流端閉塞板と下流端閉塞板を有し、前記紫外線源は、防水容器に収容されてなり、前記防水容器は、伝熱部材で形成された有底の筒状容器の底部内面に前記紫外線LEDの前記基板が支持され、前記筒状容器の開口に紫外線透過部材で形成された紫外線透過窓が水密に装着されてなり、前記筒状容器は、外形が前記処理部の筒体の内法寸法よりも小さい円形又は角形の容器壁を有して形成され、前記紫外線透過窓を前記処理流体の流入口に向けて前記処理流体中に位置させて前記下流端閉塞板に支持部材を介して支持されてなり、前記支持部材は、前記下流端閉塞板に中心を一致させて支持された筒状の隔壁筒と、前記隔壁筒の自由端の開口に固定して同軸に設けられた環状の隔壁板と、前記隔壁板の前記流入口側の面に前記隔壁筒と同軸に固定された支持筒とを有し、前記防水容器を前記支持筒の自由端の開口端に挿入して固定され、前記隔壁筒と前記支持筒の筒壁には、それぞれ前記処理流体を流通する複数の開口が形成され、前記隔壁板の周縁は、前記排出口よりも前記流入口側に位置され筒壁面との間に間隙を介して接する形状に形成されてなる構成を採用することが好ましい。
【0020】
このように構成した場合の処理流体の流れと、紫外線源の冷却作用を詳細に説明する。まず、処理部から排出部に流入する処理流体は、紫外線源の紫外線透過窓に遮られて紫外線源を支持する支持筒と排出部の筒壁との間の領域に流入する。この領域に流入した処理流体は隔壁板で遮られるから、支持筒に形成された複数の開口から支持筒の内部に流入して、紫外線LEDの基板が支持された防水容器の底部の外面に沿って流れる。これにより、紫外線LEDが発生する熱は、紫外線透過窓、防水容器の筒壁、及び底部の外面を介して処理流体によって効果的に冷却される。
【0021】
紫外線LEDを冷却した処理流体は、支持筒内に開口された隔壁板の開口から隔壁筒の内部に流入する。隔壁筒に流入した処理流体は隔壁筒に形成された複数の開口から、隔壁筒と処理部の筒体との間に形成された環状の領域に流入し、その領域から排出口に流入して排出される。また、支持筒内から隔壁筒に至る領域、および隔壁筒と処理部の筒体とで形成される環状の領域は、紫外線源の防水容器によって乱された処理流体の整流を行う整流域として作用する。したがって、第2の態様によれば、紫外線源を処理流体の流れの中に配置する構成を簡単化でき、しかも防水容器の外周を流れる流路には狭い箇所がないので、紫外線源の冷却に伴う処理流体の圧力損失を低く抑えることができる。また、処理部の処理流体の主流の多くが排出口に近い紫外線源と筒体との隙間を通って、排出口に偏って流れるショートパスを低減できる。その結果、紫外線源から照射される紫外線に対する処理流体の不均一な流れを低減して、処理流体に対する紫外線の照射効率を向上することが可能である。
【0022】
また、本発明の第2の態様によれば、下流側閉塞板に隔壁筒を固定し、隔壁筒の他端に隔壁板を固定して支持し、隔壁板の周縁は処理部の筒壁に対して間隙を空けて設けているから、隔壁板と隔壁筒が熱伸びなどにより変形しても、処理部の筒壁に対して自由に変形できるので、両者に加わる不測の応力を軽減することができる。
【0023】
しかも、隔壁板が処理部の筒壁に固定されていないから、紫外線源を取り外して保守等する場合、下流側閉塞板を処理部から取り外して、防水容器に収容された紫外線源を隔壁板ごと処理部から分離できるので、紫外線源などの部材の保守を容易に行うことができる。
【0024】
さらに、隔壁板の周縁に、周縁と面一の外周面を有する筒状の摺動筒を固定して設けてもよい。これによれば、隔壁板の周縁と処理部の筒壁との間に形成される隙間の筒軸方向の長さを長くできるので、この隙間から排出口にショートパスする処理流体の流れを一層抑制することができる。その結果、支持筒の筒内に位置する防水容器の盤状の外表面に接触する処理流体を多くすることができるので、紫外線源の冷却効果を高めることが可能である。
【0025】
また、本発明の第2の態様の紫外線照射装置は、処理部の筒体を縦型に配置しても、横型に配置してもかまわない。縦型に配置する場合は、処理流体の流入口を下部に、排出口を上部に位置させて、紫外線源を収容した防水容器を下流端閉塞板から吊り下げた状態に設置することが好ましい。一方、横型に配置する場合は、紫外線源を収容した防水容器は支持部材である隔壁筒、隔壁板及び支持筒を介して下流端閉塞板に片持ち支持されることになる。この場合、紫外線源を収容した防水容器および支持部材の重みで支持部材の全体が撓むことがある。その場合は、隔壁板の周縁と処理部筒体の内壁との間に、処理部筒体の軸方向に沿って転動するローラを隔壁板の周縁の適宜個所に設け、このローラを支承するローラ受けを内壁に設けることが好ましい。
【0026】
また、前記紫外線源は、前記下流端閉塞板を水密に貫通して前記支持筒内に挿入された前記電源配線が挿通される配線管と、前記防水容器の前記筒状容器の底部を貫通して設けられ前記配線管と前記防水容器を水密に連結する引込み口を備えて構成することができる。また、処理流体に照射される紫外線の光量を多くするために、紫外線源よりも流入口側の処理部の内壁面に紫外線の反射層を形成することが好ましい。
【0027】
さらに、前記排出口側の筒体端部の閉塞板に支持された前記支持部材に吊り下げ支持された超音波洗浄器を設け、前記超音波洗浄器は、超音波射出面を前記紫外線透過窓に向けて前記流入口側の筒体端部の閉塞板に間隔をあけて配置されてなる構成を採用することができる。これによれば、紫外線透過窓の紫外線放射面及び処理部の筒壁内面や反射層の内面に超音波を照射することにより、それらの面に付着する処理流体内の異物を除去することができる。
【0028】
また、前記超音波洗浄器よりも前記紫外線透過窓側に位置させて紫外線の光度を計測する紫外線強度計を配置してなり、前記紫外線強度計は、前記紫外線源から照射される紫外線の光度を計測する機能と、前記反射層で反射される紫外線の光度を計測する機能を備えている配置することが好ましい。
【0029】
さらに、第2の課題を解決するため、本発明の第1の態様と同様、下流端閉塞板を水密に貫通して支持筒内に挿入され電源配線が挿通される配線管と、防水容器の筒状容器の底部に設けられ配線管と防水容器を水密に連結する引込み口を備えてなることが好ましい。これによれば、紫外線源の電源供給を水密で、かつ簡単な構成で実現することができる。なお、電源配線が挿通される配線管を下流端閉塞板に固定する構造を採用した場合であって、配線管により防水容器の支持部材の熱伸びを吸収する必要がある場合は、引込み口の連結部を管軸方向に伸縮可能なユニバーサルジョイント等の連結構造をすることが好ましい。また、これに代えて、配線管が下流端閉塞板を貫通する部分の構造を、貫通方向に配線管が摺動可能なシール構造を採用することが好ましい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の紫外線照射装置によれば、紫外線源を処理流体の流れの中に配置して紫外線LEDの劣化を抑制でき、かつ紫外線源の冷却に伴う圧力損失を抑えることができる紫外線照射装置を提供することができる。また、これに加えて紫外線源の電源供給を簡単な構成で実現できる。さらに紫外線源を処理流体の流れの中に配置したことによって生ずる処理流体の偏流に伴うショートパスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の紫外線照射装置の第1実施形態の縦断面図である。
図2】本発明の紫外線照射装置の第2実施形態の縦断面図である。
図3】第2実施形態の紫外線強度計の部分の断面図である。
図4】本発明の紫外線照射装置の第3実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
【0033】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。図1に、本発明の紫外線照射装置の第1実施形態の縦断面図を示す。図示のように、本実施形態は、処理流体が流通されるステンレス製の円筒状の筒体1を有して形成される。筒体1の両端は、それぞれフランジ継手により着脱可能なステンレス製の閉塞板2、3で閉じられている。上流端(図において筒体1の下端)の閉塞板2には処理流体の流入口4が設けられ、下流端の閉塞板3に近い筒体1の筒壁には排出口5が設けられている。また、本実施形態は、基板11に搭載された複数の紫外線LED12を有し処理流体に紫外線を照射する紫外線源10とを備えている。
【0034】
紫外線源10は、伝熱部材で形成されたステンレス製の防水容器13に収容されている。防水容器13は、有底の筒状容器14の内底面に紫外線LED12の基板11が支持され、筒状容器14の開口に紫外線透過部材で形成された紫外線透過窓15が装着されている。そして、紫外線透過窓15を処理流体の流入口4に向けて処理流体中に位置させて、排出口5側の筒体端部の閉塞板3に支持部材20を介して支持されている。支持部材20は、ステンレス材で形成され、筒状容器14の容器壁に固定された複数の支持具18と、この支持具18にボルト等で連結された板状の複数の支持体27と、この支持体27をボルト等で閉塞板3の内面に固定する支持具28を有して構成されている。なお、防水容器13は、ステンレス製の他、より伝熱性に優れ、処理流体に侵されない金属、例えば鉛レス銅合金(砲金)、銅などを用いることができる。また、支持体27は、帯状の板材、その板材をL字形に曲げた部材あるいは丸棒を用いて構成してもよい。
【0035】
さらに、本実施形態では、閉塞板3を水密に貫通して筒体1の筒内にステンレス製の配線管30が挿入されている。配線管30には、紫外線源LED12に電力を供給するケーブルなどの電線が挿通される。配線管が閉塞板3を貫通する部分に円形の座板33が溶接され、座板33と閉塞板3との接触面にOリングなどのシール部材を介在させてボルト等により締め付けて固定されている。
【0036】
処理部の筒体1の筒内に挿入された配線管30は、筒状容器14の底部を貫通して形成された引込み口31にユニバーサル継手32を介して連結されている。ユニバーサル継手32は、支持部材20及び支持筒24が熱伸びした場合に、防水容器13の位置が配線管30の軸方向に変位するのを吸収するために用いる。なお、ユニバーサル継手32に代えて、配線管30が閉塞板3を貫通する部分の構造を、貫通方向に配線管30が摺動可能なシール構造を採用することも可能である。
【0037】
本実施形態においては、一般的に設けられているように、筒体1の内面に紫外線の反射層40を設けている。反射層40は、紫外線により劣化しにくく、かつ反射率に優れているPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いて形成されている。これにより、紫外線源10から照射される紫外線が処理流体で屈折したり曲げられても、反射層40で反射されて処理流体に再度照射される確率が高くなる。その結果、処理流体に照射される紫外線の光量を多くして、処理流体中に含まれる有害物を効果的に無害化することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、紫外線源10を伝熱部材で形成された防水容器13に収容して筒体1の処理流体中に配置したことから、流入口4から供給される処理流体は、筒体内を流れて紫外線源10の防水容器13の位置に達すると、防水容器13の外周と筒体1の内壁との間を流れて排出口5から排出される。つまり、紫外線源10が収容された防水容器13の外周を処理流体が流れるので、基板11に実装された複数の紫外線LED12が発生する熱は、防水容器13の外面及び紫外線透過窓15から処理流体に伝熱し、紫外線LED12の熱が処理流体によって効果的に冷却される。その結果、紫外線LED12の劣化を抑制できる。
【0039】
また、処理流体の流れに対向させて紫外線を照射しているから、流入口4から紫外線透過窓15に向かって流れる処理流体に照射される時間を長くすることができるので、紫外線の照射効率が向上し、処理流体中の有害物を効果的に無害化することができる。また、本実施形態によれば、紫外線源10を処理流体中に位置させても、容易に紫外線源10に電力を供給することができる。
【0040】
さらに、本実施形態において、紫外線源10と排出口5との距離を適切に調整して確保することにより、筒体1内の流動状態に対して排出口5による流れの乱れ(不均一化)の影響を実用上許せる程度に低減することができるため、処理部の処理流体の主流の多くが紫外線源10の排出口5側に偏って流れるショートパスを低減できる。その結果、紫外線源10から照射される紫外線に対する処理流体の不均一な流れを低減して、処理流体に対する紫外線の照射効率を向上することが可能である。
(第2実施形態)
【0041】
次に、本発明の第2実施形態について、図2を参照して説明する。本実施形態が、図1の第1実施形態と異なる点は、紫外線源10を収容する防水容器13の支持構造が異なること、及び紫外線源10の紫外線透過窓15を洗浄する超音波洗浄器41と、紫外線強度計50を設けたことにある。
【0042】
図示のように、本実施形態の紫外線照射装置は、処理流体が流通されるステンレス製の筒状の処理部の筒体1を有して形成される。処理部の筒体1の両端は、それぞれフランジ継手により着脱可能なステンレス製の閉塞板2、3で閉じられている。上流端の閉塞板2には処理流体の流入口4が設けられ、下流端の閉塞板3に近い処理部の筒体1の筒壁には排出口5が設けられている。
【0043】
紫外線源10は、基板11に搭載された複数の紫外線LED12を備えて形成されている。紫外線源10は、ステンレス製の防水容器13に水密に収容されている。防水容器13は、ステンレス製に限られるものではなく、ステンレスよりも伝熱性に優れ、かつ処理流体に侵されない金属、例えば鉛レス銅合金(砲金)、銅、などを用いてもよい。防水容器13は、扁平な形状のカップ状の有底筒状の筒状容器14を有して形成され、筒状容器14の開口には紫外線透過部材である石英ガラス等により形成された紫外線透過窓15が水密に装着されている。例えば、筒状容器14の筒内面と紫外線透過窓15の外周面との間に、Oリングなどのシールパッキンを介在させて筒状容器14に水密に接合されている。筒状容器14と紫外線透過窓15の水密接合は、これに限らず、種々の構成が適用できる。また、筒状容器14の底部16の外表面には放熱フィン17が複数設けられている。このように形成された防水容器13の外形は、処理部の筒体1の筒体の内法寸法よりも小さい円形又は角形の容器壁を有して形成されている。
【0044】
防水容器13に収容された紫外線源10は、ステンレス製の支持部材20を介して閉塞板3に支持されている。支持部材20は、閉塞板3に中心を一致させて支持された筒状の隔壁筒21と、隔壁筒21の自由端の開口に、例えば溶接等により固定して設けられた環状の隔壁板22と、隔壁板22の流入口4側の面に隔壁筒21と同軸に固定された支持筒24とを有して形成されている。隔壁筒21は、端部に環状の鍔部材22が閉塞板3に対向させて固定され、鍔部材22と閉塞板3との間にOリングパッキンを介在させてボルト等により締め付け固定されている。隔壁板23は、中心部に隔壁筒21の開口に対応した開口を有し、周縁が処理部の筒体1の内壁に接する形状に環状に形成されている。支持筒24の自由端である開口端に、防水容器13が挿入され、例えば固定材などを介して支持されている。さらに、隔壁筒21と支持筒24の筒壁には、それぞれ処理流体を流通する複数の開口25が形成されている。
【0045】
また、隔壁板22の周縁は、排出口5よりも流入口4側に位置され、処理部の筒体1の筒壁面との間に間隙を介して接する形状に形成されている。これにより、隔壁筒21と隔壁板22の熱伸びと、処理部の筒体1の筒壁との間に熱伸び差が生じても、その熱伸び差を吸収することができる。さらに、本実施形態では、隔壁板22の周縁に、周縁と面一の外周面を有する筒状の摺動筒26を固定して設けている。これによれば、隔壁板22の周縁と処理部の筒体1の筒壁との間に形成される隙間の筒軸方向の長さを長くできるので、この隙間から排出口5にショートパスする処理流体の流れを一層抑制することができる。その結果、支持筒24の筒内に位置する防水容器13の盤状の外表面に接触する処理流体を多くすることができるので、紫外線源10の冷却効果を高めることが可能である。
【0046】
さらに、本実施形態では、閉塞板3を水密に貫通して支持筒21内にステンレス製の配線管30が挿入されている。配線管30には、紫外線源LEDに電力を供給するケーブルなどの電線が挿通される。配線管30が閉塞板3を貫通する部分に円形の座板33が溶接され、座板33と閉塞板3との接触面にOリングなどのシール部材を介在させてボルト等により締め付けて固定されている。隔壁筒21内に挿入された配線管30は、筒状容器14の底部を貫通して形成された引込み口31にユニバーサル継手32を介して連結されている。ユニバーサル継手32は、支持部材20及び支持筒24が熱伸びした場合に、防水容器13の位置が配線管30の軸方向に変位するのを吸収するために用いる。なお、ユニバーサル継手32に代えて、配線管30が閉塞板3を貫通する部分の構造を、貫通方向に配線管30が摺動可能なシール構造を採用することも可能である。
【0047】
本実施形態の反射層40は、第1実施形態と同様であるから説明を省略する。超音波洗浄器41は、紫外線照射装置に一般に用いられている。超音波洗浄器41は、直方体又は円筒体の外郭を有する防水容器内に超音波発生器を収容して形成され、防水容器14を支持する支持筒24と同様、隔壁板23の下面に固定された複数本の支持部材46によって吊り下げられている。超音波洗浄器41は、上流側閉塞板2に対して一定の間隔をあけて位置され、これによって処理流体の流れを妨げないようになっている。超音波洗浄器41の電源は、電源ケーブル47を介して供給される。電源ケーブル47は、下流側閉塞板3に貫通されたユニバーサル継手48を介して外部に引き出され、電源に接続されている。
【0048】
さらに、本実施形態では、処理流体に対する紫外線の照射量を計測する紫外線強度計50を設けている。紫外線強度計50は、超音波洗浄器41から紫外線透過窓に至る超音波の照射ルートを遮らないように位置されている。したがって、処理部の筒体1の断面図である図2には表れないことから同図では仮想線で示し、図3に超音波洗浄器41の詳細図を断面にして示す。図3に示すように、紫外線強度計50は円筒状に形成されたセンサ用スリーブ51内に収納して、処理部の筒体1の筒体を貫通して設けられている。紫外線強度計50は、センサ筒55に収容された一対のセンサ53を有している。一対のセンサ53は、紫外線源10から直接照射される紫外線を計測するセンサ53aと、反射層40で反射された紫外線を計測するセンサ53bで構成される。しかし、説明を簡単化するため、違いを明確にする場合を除いて、以下、単に特にセンサ53という。センサ53は、広く知られているように紫外線を可視光に変換する光変換物質をガラス管に封入して形成されている。センサ53と信号線54の先端部はセンサ筒55に覆われて形成され、保護管56内に摺動可能に挿入されている。センサ53の計測信号は、グラスファイバーなどの信号線54により外部に引き出され、図示していない光量計に導かれている。
【0049】
このように形成された紫外線強度計50のセンサ用スリーブ51は、処理部の筒体1の筒壁を貫通する支持スリーブ57に水密に支持されている。支持スリーブ57の端部開口は、着脱可能に形成されたカバー58で閉塞されている。また、カバー58には信号線54の引き出し口が設けられている。そして、カバー58を取り外すことにより、センサ53と信号線54を含めてセンサ筒55を保護管56から引き出して、必要な点検、保守を行えるようになっている。
【0050】
なお、センサ筒55には、軸方向に沿って計測対象の紫外線が透過される計測窓55a、55bが開口されている。一方のセンサ55の計測窓55aは、紫外線源10の全ての紫外線LED12を見込めるように形状が定められ、他方のセンサ55bの計測窓55bは、反射層40の予め設定された表面から反射される紫外線の反射量を計測するようになっている。つまり、計測窓55bの形状は、反射層40の一定の領域を見込めるように定められている。
【0051】
このように構成された本実施形態の特徴構成における処理流体の流れと、紫外線源10の冷却作用を詳細に説明する。まず、流入口4から流入される処理流体は、紫外線源10の紫外線透過窓15に遮られて、紫外線源10を支持する支持筒24と処理部の筒体1の筒壁との間の領域に流入する。この領域に流入した処理流体は隔壁板23で遮られるから、支持筒24に形成された複数の開口25から支持筒24の内部に流入して、紫外線LED12の基板11が支持された防水容器13の外面に沿って流れる。その外面には、伝熱性の放熱フィン17が設けられているから効果的に処理流体に放熱される。これに加えて、紫外線LED12が発生する熱は、紫外線透過窓15と防水容器13の筒壁を介して処理流体によって効果的に冷却される。
【0052】
紫外線LED12を冷却した処理流体は、支持筒24内に開口された隔壁板23の開口から隔壁筒21の内部に流入する。隔壁筒21に流入した処理流体は隔壁筒21に形成された複数の開口25から、隔壁筒21を取り巻いて処理部の筒体1の筒体との間に形成された環状の領域に流入し、その領域から排出口5に流入して排出される。つまり、支持筒24から隔壁筒21に至る領域、および隔壁筒21と処理部の筒体1の筒体とで形成される環状の領域は、紫外線源10の防水容器13によって乱された処理流体の整流を行う整流域として作用する。したがって、本実施形態によれば、紫外線源10を処理流体の流れの中に配置する構成を簡単化でき、しかも圧力損失を低く抑えることができる。また、処理部の処理流体の主流の多くが紫外線源10の排出口5側に偏って流れるショートパスを低減できる。その結果、紫外線源10から照射される紫外線に対する処理流体の不均一な流れを低減して、処理流体に対する紫外線の照射効率を向上することが可能である。
【0053】
また、本実施形態の支持部材20の構成によれば、処理部の筒体1の閉塞板3に隔壁筒21を固定し、隔壁筒21の他端に隔壁板23を固定して支持し、隔壁板23の周縁は処理部の筒体1の筒壁に間隙を介して接するように形成されている。そのため、隔壁筒21と隔壁板23が熱伸びなどにより処理部の筒体1の軸方向に変形しても、処理部の筒体1の筒体に対して自由に変形できるので、両者に加わる応力を軽減することができる。なお、隔壁板23の縁部と処理部の筒体1の筒壁との隙間を極小化することにより、その隙間を通して排出口5にショートパスする処理流体の流量を抑制することができる。また、隔壁板23の縁部に環状の筒体を固定して設けた場合は、処理部の筒体1の筒壁との間に形成される隙間の筒軸方向の長さを長くすることにより、その隙間から排出口5にショートパスする処理流体の流れを一層抑制することができる。
【0054】
次に、本実施形態の紫外線照射装置の動作を説明する。基本的には、流入口4から流入される処理流体は処理部の筒体1の筒体内を図において上方に流れる。本実施形態では、処理流体中に配置された超音波洗浄器41と紫外線強度計50により流れが若干妨げられるが、処理部の筒体1の筒体内を上昇する過程で、紫外線源10の紫外線透過窓15から紫外線が照射される。紫外線LED12から放射される紫外線は指向性が強いことから処理流体の流れに対して平行に照射される。そのため、紫外線透過窓15に向かって流れる処理流体に照射される時間は、流入口から紫外線透過窓15までの長さに比例し、処理流体の流速に反比例する。そこで、処理部の筒体1の長さと、処理流体の流速を変えることで、処理流体に対する紫外線の照射量を調節できる。併せて、紫外線LED12の紫外線照射強度を調節して紫外線の照射量を調節できる。
【0055】
処理部の筒体1内を上昇する処理流体は、紫外線源10の紫外線透過窓15に遮られて、図中矢印44で示すように、紫外線源10を支持する支持筒24と処理部の筒体1の筒壁との間の領域に流れる。この流れは、隔壁板23で遮られ、支持筒24に形成された複数の開口25から支持筒24の内部に流入される。支持筒24の内部に流入した処理流体は、紫外線LED12の基板11が支持された防水容器13の図において上部の底部外面に沿って流れる。これにより、処理流体は防水容器13の放熱フィン17に接触して効果的に熱交換され、紫外線LED12が発生する熱が冷却される。紫外線LED12を冷却した処理流体は、隔壁板23の中心部の開口から隔壁筒21の内部に流入し、隔壁筒21に形成された複数の開口25から、図中矢印45に示すように、隔壁筒21と処理部の筒体1の筒壁との間を流れて排出口5から排出される。
【0056】
このように、本実施形態の紫外線照射装置によれば、紫外線源10を伝熱部材で形成された防水容器13に収容して処理流体の流路内に配置したことから、基板11に実装された複数の紫外線LED12が発生する熱は、防水容器13を介して処理流体によって冷却される。なお、隔壁板23と隔壁筒21で形成される領域は、筒状の支持筒24から排出口に至る処理流体の整流域として作用する。このように、本実施形態によれば、紫外線源10を処理流体の流れの中に配置する構成を簡単化できるとともに、圧力損失を抑えることができる。また、第1実施形態に比べて、処理部の処理流体の主流の多くが排出口5に近い紫外線源10と筒体1との隙間を通って、排出口5に偏って流れるショートパスを低減できるから、紫外線源10から照射される紫外線に対する処理流体の不均一な流れを低減して、処理流体に対する紫外線の照射効率を向上することが可能である。
【0057】
また、本実施形態によれば、紫外線源10の紫外線強度と反射層40からの紫外線強度をリアルタイムで計測できるので、処理流体に対する紫外線照射量を適切に管理することができる。さらに、紫外線透過窓15の紫外線射出面、処理部の筒体1の筒壁内面や反射層40の表面に、処理流体中に含まれる種々の異物等が付着すると、紫外線の透過率及び反射率が低下する。そこで、必要に応じて又は定期的に超音波洗浄器41を動作させて、図において上面から超音波を射出して、紫外線透過窓15の外表面及び反射層40の表面に超音波を照射し、それらの表面に付着した異物を超音波で加振して除去するようにしている。
【0058】
また、紫外線源10、防水容器13及び超音波洗浄器41は必要に応じて保守を要するが、本実施形態によれば、閉塞板3のフランジ部を外して筒体1から切り離し、支持部材20を引き出すことにより、紫外線源10、防水容器13及び超音波洗浄器41の全体を筒体1から引き出して保守することができる。
【0059】
本実施形態では、筒体1内の各部の保守を考慮すると、閉塞板3のフランジ部を外して、支持部材20を引き上げることによって、紫外線源10、防水容器13及び超音波洗浄器41の全体を容易に引き出すことができる。したがって、保守を容易にすることを考慮すると、処理部の筒体1の筒体を縦型に配置することが好ましい。しかし、処理部の筒体1の筒体は横型に配置してもかまわない。但し、横型に配置すると、紫外線源10を収容した防水容器13及び超音波洗浄器41は支持部材20を介して閉塞板3に片持ち支持されることになるから、紫外線源10、防水容器13、超音波洗浄器41及び支持部材20の重みで支持部材20の全体が撓むことがある。その場合は、隔壁板23の周縁と処理部の筒体1の筒体の内壁との間に、処理部の筒体1の軸方向に沿って転動するローラとローラ受けを、周方向の適宜個所に設けることが好ましい。
(第3実施形態)
【0060】
図4に、本発明の第3実施形態の断面図を示す。本実施形態が第1実施形態と異なる点は、超音波洗浄器41と紫外線強度計50を設けたことにある。つまり、紫外線源10を収容した防水容器13を支持する支持部材20を伸延した支持部材61の下端に、超音波洗浄器41を固定して筒体1内に保持するようにしている。また、筒体1を貫通して紫外線強度計50を設けている。紫外線照射装置の基本的な構成は第1実施形態と同一であり、超音波洗浄器と41と紫外線強度計50は、第2実施形態と同一であるから、それら実施形態と同一な部分は、説明を省略する。
【0061】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限られるものでなく種々の変形が可能であることは明らかであり、それらの変形は本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 筒体
2 上流側閉塞板
3 下流側閉塞板
4 流入口
5 排出口
10 紫外線源
11 基板
12 紫外線LED
13 防水容器
14 筒状容器
15 紫外線透過窓
20 支持部材
21 隔壁筒
23 隔壁板
24 支持筒
25 開口
26 摺動筒
30 配線管
31 引込み口
32 ユニバーサル継手
40 反射層
41 超音波洗浄器
50 紫外線強度計
51 センサ用スリーブ
53a、b センサ
54 信号線
55 センサ筒
図1
図2
図3
図4