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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135909
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】振動モータ
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041234
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 誠也
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA03
5D107AA13
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
5D107FF10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型で高効率な振動モータを提供する。
【解決手段】振動モータは、永久磁石を含む振動体と、配線パターン23が形成された基板20と、基板20の上に設けられ、基板20に形成されている配線パターン23と電気的に接続されたコイル30と、を有する。コイル30は、内側コイル31と内側コイル31の周囲に設けられた外側コイル32とを含む。内側コイル31を形成している第1巻線の巻始め端部33a及び巻終り端部33bは、コイル30の内側で配線パターン23に接続され、外側コイル32を形成している第2巻線の巻始め端部34a及び巻終り端部34bも、コイル30の内側で配線パターン23に接続される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を含む振動体と、
配線パターンが形成された基板と、
前記基板の上に設けられ、前記基板に形成されている前記配線パターンと電気的に接続されたコイルと、を有し、
前記コイルは、内側コイルと前記内側コイルの周囲に設けられた外側コイルとを含み、
前記配線パターンは、前記内側コイル及び前記外側コイルを横断して前記コイルの内外に跨る第1配線パターン及び第2配線パターンを含み、
前記内側コイルを形成している第1巻線の巻始め端部及び前記外側コイルを形成している第2巻線の巻始め端部は、前記コイルの内側で前記第1配線パターンに接続され、
前記内側コイルを形成している前記第1巻線の巻終り端部及び前記外側コイルを形成している前記第2巻線の巻終り端部は、前記コイルの内側で前記第2配線パターンに接続されている、振動モータ。
【請求項2】
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻始め端部は、互いに平行であり、かつ、隣接しており、
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻終り端部は、互いに平行であり、かつ、隣接している、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻始め端部と、前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻終り端部とは、前記コイルの内側に向かって互いに逆向きに引き出されている、請求項1又は2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記第1配線パターン及び前記第2配線パターンは、前記内側コイル及び前記外側コイルを横断して前記コイルの内外に伸びる第1直線部をそれぞれ含み、
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻始め端部は、前記コイルの内側で前記第1配線パターンの前記第1直線部に接続され、
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻終り端部は、前記コイルの内側で前記第2配線パターンの前記第1直線部に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻始め端部は、前記第1配線パターンの前記第1直線部に設けられている共通の接続部に接続されており、
前記第1巻線及び前記第2巻線の前記巻終り端部は、前記第2配線パターンの前記第1直線部に設けられている共通の接続部に接続されており、
それぞれの前記接続部は、前記配線パターンを覆っている絶縁層に設けられた開口部から露出している前記第1直線部の一部である、請求項4に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記第1配線パターン及び前記第2配線パターンは、それぞれの前記第1直線部と交差する方向に伸びる第2直線部をさらに含む、請求項4又は5に記載の振動モータ。
【請求項7】
前記配線パターンを覆っている絶縁層の隙間から露出している前記第2直線部の一部によって、電源回路に接続される端子部が形成されている、請求項6に記載の振動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、スマートフォンやタブレット端末などの各種電子機器に振動モータ(“振動アクチュエータ”と呼ばれることもある)が内蔵されている。電子機器に内蔵される振動アクチュエータの一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されている振動アクチュエータは、マグネットを備える振動部と、振動部を支持する板バネと、振動部の近傍に配置されたコイルと、コイルと電気的に接続されたフレキシブル基板と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-200460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
振動モータには、小型化や高効率化が求められている。
【0006】
本発明の目的は、小型で高効率な振動モータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の振動モータは、永久磁石を含む振動体と、配線パターンが形成された基板と、前記基板の上に設けられ、前記基板に形成されている前記配線パターンと電気的に接続されたコイルと、を有する。前記コイルは、内側コイルと前記内側コイルの周囲に設けられた外側コイルとを含む。前記配線パターンは、前記内側コイル及び前記外側コイルを横断して前記コイルの内外に跨る第1配線パターン及び第2配線パターンを含む。そして、前記内側コイルを形成している第1巻線の巻始め端部及び前記外側コイルを形成している第2巻線の巻始め端部は、前記コイルの内側で前記第1配線パターンに接続される。また、前記内側コイルを形成している前記第1巻線の巻終り端部及び前記外側コイルを形成している前記第2巻線の巻終り端部は、前記コイルの内側で前記第2配線パターンに接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型で高効率な振動モータが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、振動モータの外観を示す斜視図である。
図2図2は、振動モータの内部を示す斜視図である。
図3図3は、振動モータの分解斜視図である。
図4図4は、基板の分解斜視図である。
図5A図5Aは、コイルの分解斜視図である。
図5B図5Bは、コイルの平面図である。
図6図6は、配線パターンとコイルとの接続状態を示す斜視図である。
図7図7は、配線パターンとコイルとの接続状態を示す平面図である。
図8図8は、配線パターンの一変形例を示す平面図である。
図9図9は、配線パターンの他の一変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0011】
<振動モータの概要>
図1は、本実施形態に係る振動モータ1の外観を示す斜視図である。図2は、振動モータ1の内部を示す斜視図である。図3は、振動モータ1の分解斜視図である。
【0012】
振動モータ1は、外殻を構成する筐体10を有する。筐体10は、金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって形成されている。より特定的には、筐体10は、金属板によって形成されたカバー11と、金属板によって形成されたベースプレート12と、から構成されている。カバー11は、一面が開口した箱形形状を有する。ベースプレート12は、カバー11の開口面を塞いでいる。
【0013】
筐体10の内部には、基板20,コイル30,振動体40,弾性部材50などの振動モータ1の構成要素が収容されている。振動体40は、筐体10の内部で筐体10の長手方向(ベースプレート12の長辺方向)に往復動する。別の見方をすると、振動体40は、筐体10の長手方向の振動を発生させる。つまり、本実施形態に係る振動モータ1は、リニア型振動モータである。
【0014】
<筐体>
筐体10は、互いに対向する正面部13及び背面部14と、互いに対向する上面部15及び下面部16と、互いに対向する右側面部17及び左側面部18と、を有する。既述のとおり、振動体40は筐体10の長手方向に往復動する。別の見方をすると、振動体40は、右側面部17と左側面部18との対向方向に往復動する。
【0015】
図示は省略されているが、筐体10の内部には一対の規制部が設けられている。それら規制部は、振動体40の振動方向において、振動体40の両側に配置されている。別の見方をすると、振動体40は、対向する一対の規制部の間に配置されている。この結果、振動体40の振動が所定範囲内に制限される。つまり、振動体40は、一対の規制部の対向間隔の範囲内で振動する。もっとも、通常の振動状態では、振動体40が規制部に接触することはない。振動体40が何らかの理由によって通常よりも大きく振動したり、変位したりすると、振動体40がいずれか一方の規制部に接触し、振動体40の過剰な振動や変位が防止される。
【0016】
下面部16を除く筐体10の各部(正面部13,背面部14,上面部15,右側面部17及び左側面部18)は、カバー11によって形成されている。一方、筐体10の下面部16は、ベースプレート12によって形成されている。なお、以下の説明では、正面部13,背面部14,右側面部17及び左側面部18を“周面部”と総称する場合がある。
【0017】
周面部がカバー11やベースプレート12とは別の金属板によって形成される実施形態もある。例えば、両端が互いに固定された帯状の金属板によって周面部が形成される実施形態もある。かかる実施形態では、長方形又は略長方形に打ち抜かれた平坦な金属板によって上面部15が形成される。
【0018】
<振動体>
振動体40は、錘41,バックヨーク42,永久磁石43を含んでいる。なお、図2では、便宜上の理由によりバックヨーク42が省略されている。錘41は、金属合金(例えば、タングステン合金)のブロックである。錘41の中央には2つの磁石収容部44が形成されている。それぞれの磁石収容部44は、長方形又は略長方形の孔であって、錘41を貫通している。
【0019】
それぞれの磁石収容部44に、永久磁石43が収容されている。それぞれの永久磁石43は角柱形状を有する。より特定的には、永久磁石43は、磁石収容部44内にほぼ隙間なく収まる形状及び寸法を有している。
【0020】
コイル30に電流が供給されると(コイル30に電圧が印加されると)、コイル30の周囲に発生する磁界と永久磁石43の周囲に発生する磁界との相互作用により、永久磁石43を含む振動体40が振動する。
【0021】
バックヨーク42は、錘41の上に重ねられ、磁石収容部44の一方の開口部を閉塞している。この結果、バックヨーク42は、磁石収容部44に収容されている永久磁石43と重なり合っている。バックヨーク42は、永久磁石43と磁気回路を形成し、振動モータ1のパワーを増大させる。
【0022】
<弾性部材>
弾性部材50は、所定形状に加工された板ばねである。それぞれの弾性部材50の一端側には、筐体10に固定される第1固定部51が設けられている。一方、それぞれの弾性部材50の他端側には、振動体40に固定される第2固定部52が設けられている。弾性部材50の第1固定部51は、例えば、筐体10の内面に溶接される。また、弾性部材50の第2固定部52は、例えば、錘41の外面に溶接される。
【0023】
以下の説明では、第1固定部51を“基端部51”と呼び、第2固定部52を“先端部52”と呼ぶ場合がある。また、基端部51と先端部52との間の部分を“中央部53”と呼ぶ場合がある。別の見方をすると、第1固定部51が設けられている側が弾性部材50の基端側であり、第2固定部52が設けられている側が弾性部材50の先端側である。
【0024】
それぞれの弾性部材50の基端部51及び先端部52は、中央部53に対して直角又は略直角に屈曲している。この結果、それぞれの弾性部材50は、コ字形(U字形)又は略コ字形の外観を呈している。
【0025】
振動体40は、対向する2つの弾性部材50の間に配置され、これら弾性部材50によって振動可能に支持されている。別の見方をすると、それぞれの弾性部材50は、振動体40を筐体10に対して振動可能に支持する支持部材である。
【0026】
なお、それぞれの弾性部材50に、ダンパーゴムが装着される実施形態もある。ダンパーゴムは、例えば、弾性部材50の中央部53に装着される。弾性部材50に装着されたダンパーゴムは、振動体40の振動が減衰するのに要する時間を短縮させる。
【0027】
<基板>
図4は、基板20の分解斜視図である。基板20は、フレキシブルプリント基板(FPC/Flexible Printed Circuits)である。基板20は、対向する絶縁層21,22と、それら絶縁層21,22の間に形成された配線パターン23と、を備えている。別の見方をすると、配線パターン23は、絶縁層21の上に形成され、絶縁層22によって覆われている。
【0028】
絶縁層21,22は、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムによって形成されている。以下の説明では、絶縁層21を“ベースフィルム21”と呼び、絶縁層22を“カバーフィルム22”と呼ぶ場合がある。なお、絶縁層21,22は、同一素材によって形成されていなくともよい。例えば、絶縁層21をプラスチックフィルムによって形成する一方、絶縁層22をソルダーレジスト膜によって形成してもよい。
【0029】
配線パターン23は、銅箔その他の導電性金属によって形成されている。配線パターン23には、第1配線パターンとしての電源パターン24と、第2配線パターンとしてのグラウンドパターン25と、が含まれる。さらに、電源パターン24は、第1直線部24a及び第2直線部24bを含む複数の直線部や曲げ部を含んでいる。同様に、グラウンドパターン25は、第1直線部25a及び第2直線部25bを含む複数の直線部や曲げ部を含んでいる。
【0030】
なお、以下の説明では、電源パターン24の第1直線部24aを“直線部24a”と略称し、第2直線部24bを“直線部24b”と略称する。また、グラウンドパターン25の第1直線部25aを“直線部25a”と略称し、第2直線部25bを“直線部25b”と略称する。
【0031】
電源パターン24の直線部24aとグラウンドパターン25の直線部25aとは、互いに平行である。また、電源パターン24の直線部24bとグラウンドパターン25の直線部25bとは、互いに平行である。もっとも、直線部24a,25aの向きと直線部24b,25bの向きとは90度異なっている。別の見方をすると、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは、交差する方向に伸びている。より特定的には、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは、直交する方向に伸びている。
【0032】
電源パターン24及びグラウンドパターン25は、コイル30と電気的に接続され、コイル30を含む電気回路を形成する。配線パターン23とコイル30との接続状態については後に改めて説明する。
【0033】
ベースフィルム21及びカバーフィルム22は、矩形又は略矩形の本体部26と、本体部26の一辺から突出している舌部27と、を含んでいる。さらに、カバーフィルム22の舌部27は、本体部26に連接している根元部27aと、本体部26及び根元部27aとは分離されている先端部27bと、から構成されている。
【0034】
カバーフィルム22の本体部26には、開口部28a,28bが設けられている。それぞれの開口部28a,28bは、カバーフィルム22(本体部26)の所定位置に形成された円形の貫通孔である。
【0035】
より特定的には、開口部28aは、電源パターン24の直線部24aと重なり合う位置に形成された貫通孔である。また、開口部28bは、グラウンドパターン25の直線部25aと重なり合う位置に形成された貫通孔である。この結果、電源パターン24の直線部24aの一部が開口部28aから露出している。また、グラウンドパターン25の直線部25aの一部が開口部28bから露出している。
【0036】
カバーフィルム22の舌部27が互いに分離している根元部27aと先端部27bとから構成されていることは既述のとおりである。別の見方をすると、カバーフィルム22の舌部27には隙間29がある。この結果、電源パターン24の直線部24b及びグラウンドパターン25の直線部25bの一部が舌部27にある隙間29からそれぞれ露出している。
【0037】
上記のようにして設けられている配線パターン23(電源パターン24,グラウンドパターン25)の露出部分により、コイル30が接続される複数の接続部が形成されている。また、配線パターン23の露出部分により、電源回路と接続される端子部が形成されている。別の見方をすると、配線パターン23の露出部分は、接続パッドや接続端子として利用される。接続部や端子部については後に改めて説明する。
【0038】
<コイル>
図5Aは、コイル30の分解斜視図であり、図5Bは、コイル30の平面図である。図6は、配線パターン23とコイル30との接続状態を示す斜視図である。また、図7は、配線パターン23とコイル30との接続状態を示す平面図である。
【0039】
コイル30は、基板20の上に設けられ、基板20が備える配線パターン23と電気的に接続されている。より特定的には、コイル30は、基板20のカバーフィルム22の上に搭載され、電源パターン24及びグラウンドパターン25と電気的に接続されている。
【0040】
コイル30は、鉄心を備えていない空芯コイル(コアレスコイル)である。より特定的には、コイル30は、仮想の鉄心の周囲に設けられた内側コイル31と、内側コイル31の周囲に設けられた外側コイル32と、を含んでいる。別の見方をすると、コイル30は、1次コイル31と、1次コイル31の周囲に設けられた2次コイル32と、を含んでいる。つまり、コイル30は二重構造を有している。
【0041】
内側コイル31は、所定の回数だけ巻かれた第1巻線33によって形成されている。外側コイル32は、内側コイル31の外周面上に所定の回数だけ巻かれた第2巻線34によって形成されている。別の見方をすると、内側コイル31の外周面と外側コイル32の内周面とは、実質的に接触している。さらに別の見方をすると、内側コイル31と外側コイル32との間には、接続パッドや接続端子を設けることが可能な隙間や空間は存在していない。このように、内側コイル31と外側コイル32との間に実効的なスペースを設けないことは、コイル30の小型化に寄与し、ひいては振動モータ1の小型化に寄与する。
【0042】
第1巻線33の巻始め端部33a及び巻終り端部33bは、コイル30の内側に、互いに平行に引き出されている。より特定的には、巻始め端部33a及び巻終り端部33bは、内側コイル31の内側に、互いに平行に引き出されている。
【0043】
第2巻線34の巻始め端部34a及び巻終り端部34bは、コイル30の内側に、互いに平行に引き出されている。より特定的には、巻始め端部34a及び巻終り端部34bは、内側コイル31を横断して、内側コイル31の内側に、互いに平行に引き出されている。別の見方をすると、巻始め端部34a及び巻終り端部34bは、基板20(カバーフィルム22)と内側コイル31との間を通して内側コイル31の内側に引き出されている。
【0044】
つまり、コイル30を形成している巻線の全ての端部がコイル30の内側に引き出されている。さらに、第1巻線33の巻始め端部33aと第2巻線34の巻始め端部34aとは、互いに平行であり、かつ、隣接している。同様に、第1巻線33の巻終り端部33bと第2巻線34の巻終り端部34bとは、互いに平行であり、かつ、隣接している。
【0045】
もっとも、巻始め端部33a,34aと巻終り端部33b,34bとは、コイル30の内側に向かって互いに逆向きに引き出されている。より特定的には、図5Bに示されている巻始め端部33a,34aは、紙面右側から左側に向かって引き出されている一方、巻終り端部33b,34bは紙面左側から右側に向かって引き出されている。
【0046】
<接続部>
既述のとおり、配線パターン23の露出部分によって、基板20上に複数の接続部が形成されている。具体的には、カバーフィルム22の開口部28aから露出している配線パターン23の一部によって、コイル30の内側に1つの接続部61が形成されている。また、カバーフィルム22の開口部28bから露出している配線パターン23の一部によって、コイル30の内側にもう1つの接続部62が形成されている。以下、接続部61,62についてより詳細に説明する。
【0047】
電源パターン24は、内側コイル31及び外側コイル32を横断してコイル30の内外に跨っている。より特定的には、電源パターン24の直線部24aは、内側コイル31及び外側コイル32を横断してコイル30の内外に伸びている。そして、コイル30の内側に位置している直線部24aの一側に接続部61が設けられている。別の見方をすると、接続部61は、コイル30の内側に設けられている開口部28aから露出している直線部24aの一部である。
【0048】
グラウンドパターン25も、内側コイ31ル及び外側コイル32を横断してコイル30の内外に跨っている。より特定的には、グラウンドパターン25の直線部25aは、内側コイル31及び外側コイル32を横断してコイル30の内外に伸びている。そして、コイル30の内側に位置している直線部25aの一側に接続部62が設けられている。別の見方をすると、接続部62は、コイル30の内側に設けられている開口部28bから露出している直線部25aの一部である。
【0049】
第1巻線33の巻始め端部33aは接続部61に接続されており、第2巻線34の巻始め端部34aも接続部61に接続されている。また、第1巻線33の巻終り端部33bは接続部62に接続されており、第2巻線34の巻終り端部34bも接続部62に接続されている。別の見方をすると、巻始め端部33a,34aは、共通の接続部61に接続されている。また、巻終り端部33b,34bは、共通の接続部62に接続されている。
【0050】
つまり、内側コイル31及び外側コイル32の両方がコイル30の内側で配線パターン23に接続されている。より特定的には、第1巻線33の巻始め端部33a及び第2巻線34の巻始め端部34aは、コイル30の内側で電源パターン24に接続されている。また、第1巻線33の巻終り端部33b及び第2巻線34の巻終り端部34bは、コイル30の内側でグラウンドパターン25に接続されている。
【0051】
別の見方をすると、内側コイル31及び外側コイル32の一端は共通の電源パターン24に接続されており、内側コイル31及び外側コイル32の他端は共通のグラウンドパターン25に接続されている。この結果、内側コイル31と外側コイル32とは並列接続されている。
【0052】
並列接続された2つのコイル(内側コイル31,外側コイル32)からなるコイル30は、巻き数が同一の単一コイルに比べて電気抵抗が低い。つまり、コイル30によれば、低電圧で十分な推力(ローレンツ力)が得られる。別の見方をすると、コイル30を用いることにより、振動モータ1の高効率化を実現することができる
また、本実施形態のコイル30は二重構造を有している。具体的には、内側コイル31の周囲に外側コイル32が設けられている。この結果、コイル30は、他の構造(例えば、2つのコイルが横並びで配置される構造や、上下に重ねて配置される構造)のコイルよりも小さなスペースに設置することができる。つまり、二重構造のコイル30を用いることにより、振動モータ1の小型化を実現することができる。
【0053】
さらに、内側コイル31及び外側コイル32の両方がコイル30の内側で配線パターン23に接続されている。よって、コイル30の外側(周囲)のスペースが狭い場合であっても、内側コイル31及び外側コイル32の両方を配線パターン23に接続することができる。
【0054】
<端子部>
既述のとおり、配線パターン23の露出部分によって、基板20上に複数の端子部が形成されている。具体的には、カバーフィルム22の舌部27に設けられている隙間29から露出している電源パターン24の一部によって、端子部65が形成されている。また、カバーフィルム22の舌部27に設けられている隙間29から露出しているグラウンドパターン25の一部によって、端子部66が形成されている。端子部65,66は、不図示の電源回路に接続される。この結果、コイル30が配線パターン23を介して電源回路と電気的に接続される。つまり、内側コイル31及び外側コイル32がそれぞれ電源回路に接続された並列回路が形成される。
【0055】
<変形例>
上記実施形態では、電源パターン24の直線部24aとグラウンドパターン25の直線部25aとは平行である。また、電源パターン24の直線部24bとグラウンドパターン25の直線部25bとは平行である。さらに、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは直交する方向に伸びている。
【0056】
もっとも、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、内側コイル31及び外側コイル32の両方がコイル30の内側で配線パターン23と接続される結線状態を実現可能である限り、配線パターン23の配置や形状などは適宜変更することができる。また、巻始め端部33a,34aや巻終り端部33b,34bの方向,長さ,位置関係,接続先なども適宜変更することができる。
【0057】
図8図9は、配線パターン23の異なる変形例を示す平面図である。図8に示されている配線パターン23においても、直線部24aと直線部25aとは平行であり、直線部24bと直線部25bとは平行である。
【0058】
しかし、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは、交差する方向に伸びているが、直交する方向には伸びていない。別の見方をすると、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは、斜交する方向に伸びている。
【0059】
図9に示されている配線パターン23においても、直線部24a,25aと直線部24b,25bとは、斜交する方向に伸びている。さらに、図9に示されている配線パターン23では、直線部24aと直線部25aとは、非平行である。つまり、図9に示されている直線部24a,25aは、直線部24b,25bと斜交する方向に伸びており、かつ、互いに斜交する方向に伸びている。
【0060】
上記実施形態や変形例では、巻始め端部33a及び巻始め端部34aが同一又は略同一の位置から同方向に引き出されていた。また、巻終り端部33b,34bが同一又は略同一の位置から同方向に引き出されていた。
【0061】
しかし、巻始め端部33aと巻始め端部34aとが異なる位置から引き出されている実施形態や、巻終り端部33bと巻終り端部34bとが異なる位置から引き出されている実施形態も本発明の実施形態に含まれる。
【0062】
また、巻始め端部33aと巻始め端部34aとが離反していたり、非平行である実施形態や、巻終り端部33bと巻終り端部34bとが離反していたり、非平行である実施形態も本発明の実施形態に含まれる。
【0063】
さらに、巻始め端部33a,34aと巻終り端部33b,34bとが同じ向きに引き出されている実施形態も本発明の実施形態に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…振動モータ、10…筐体、11…カバー、12…ベースプレート、13…正面部、14…背面部、15…上面部、16…下面部、17…右側面部、18…左側面部、20…基板、21…絶縁層(ベースフィルム)、22…絶縁層(カバーフィルム)、23…配線パターン、24…電源パターン、24a,25a…第1直線部(直線部)、24b,25b…第2直線部(直線部)、25…グラウンドパターン、26…本体部、27…舌部、27a…根元部、27b…先端部、28a,28b…開口部、29…隙間、30…コイル、31…内側コイル、32…外側コイル、33…第1巻線、34…第2巻線、33a,34a…巻始め端部、33b,34b…巻終り端部、40…振動体、41…錘、42…バックヨーク、43…永久磁石、44…磁石収容部、50…弾性部材、51…第1固定部(基端部)、52…第2固定部(先端部)、53…中央部、61,62…接続部、65,66…端子部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9