(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135914
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】基板搬送用の台車
(51)【国際特許分類】
B65G 65/02 20060101AFI20230922BHJP
H01L 21/50 20060101ALI20230922BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230922BHJP
B62B 3/04 20060101ALI20230922BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65G65/02
H01L21/50 C
B65G1/00 501C
B62B3/04 A
B62B5/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041241
(22)【出願日】2022-03-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】522105861
【氏名又は名称】日本徳森精密株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(72)【発明者】
【氏名】江 傑
【テーマコード(参考)】
3D050
3F022
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB02
3D050BB23
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3F022EE05
3F022HH05
3F022LL02
3F022LL19
3F022MM03
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】基板搬送装置との間でマガジンラックを自動で受け渡しすることのできる基板搬送用の台車を提供する。
【解決手段】台車10は、複数の基板71を収容可能なマガジンラック60を搬送するものであり、ローダ50などの基板搬送装置との間でマガジンラック60の受け渡しを行う。台車10は、キャスター11と、マガジンラック60を載置する載置台12とを備えている。載置台12は、上下方向に移動可能である。載置台12は、マガジンラック60を前後方向に移動させるコンベア13と、ローダ50などの外部の装置と接続される接続部14とを有している。載置台12が第1の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置へマガジンラック60を送り出し、載置台12が第2の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置からマガジンラック60を受け取る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を収容可能な収容体を搬送する台車であって、
移動用部材と、
前記収容体を載置し、上下方向に移動可能な載置台と
を備え、
前記載置台は、
前記収容体を前記上下方向と直交する前後方向に移動させる搬送部と、
外部の装置と接続される接続部と
を有し、
前記載置台が第1の位置にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置へ前記収容体を送り出し、
前記載置台が第2の位置にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置から前記収容体を受け取る、台車。
【請求項2】
前記外部の装置は、基板供給装置であり、
前記載置台が前記第1の位置にあるとき、前記搬送部は、前記基板供給装置に対して、複数の基板を収容している前記収容体を送り出し、
前記載置台が前記第2の位置にあるとき、前記搬送部は、基板を収容していない前記収容体を前記基板供給装置から受け取る、
請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記外部の装置は、基板収納装置であり、
前記載置台が前記第1の位置にあるとき、前記搬送部は、前記基板収納装置に対して、基板を収容していない前記収容体を送り出し、
前記載置台が前記第2の位置にあるとき、前記搬送部は、複数の基板を収容している前記収容体を前記基板収納装置から受け取る、
請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記載置台は、前記前後方向に複数の収容体を並べて配置可能となっている、
請求項1から3の何れか1項に記載の台車。
【請求項5】
前記搬送部の動作を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記接続部が前記外部の装置と接続されているときに、前記搬送部を動作させる、
請求項1から4の何れか1項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の製造工程、基板実装工程、及び半導体製造工場などにおいて、基板供給装置(ローダ)などへ基板を供給したり、基板収納装置(アンローダ)から基板を回収したりするために用いられる基板搬送用の台車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器に内蔵されている配線基板などのプリント基板は、例えば、回路パターン形成工程、部品実装工程、洗浄工程、検査工程などの種々の工程を経て製造される。このような各工程が行われるプリント基板の製造工場には、材料となるプリント基板の供給を行う基板供給装置(ローダとも呼ばれる)や、製造されたプリント基板、または半導体基板などを収納して搬送する基板収納装置(アンローダとも呼ばれる)などの基板を搬送するための装置が備えられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、回路基板などの基板を搬送するための基板搬送装置が開示されている。この基板搬送装置は、工場の床面などに設置される搬送装置本体2を備え、この搬送装置本体2は、その上流側部に配設される上流側搬送部4と、その下流側に配設される下流側搬送部6から構成されている。上流側搬送部4の上流側には第1装置8が配設され、下流側搬送部6の下流側には第2装置10が配設され、第1装置8から搬送された基板12は、この基板搬送装置(上流側搬送部4及び下流側搬送部6)を通して第2装置10に搬送される。
【0004】
多くのプリント基板の製造工場、および半導体製造工場では、製造に供される基板は、例えば、特許文献1の基板ストック手段72などのように、複数枚積層された状態で、前工程の装置から後工程の装置へと搬送される。このような複数枚の基板を積層した状態で収納する収容体は、マガジンラックとも呼ばれる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-230749号公報
【特許文献2】特開2001-85492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなマガジンラックに積層された状態で収納された基板は、基板供給装置(ローダ)から一枚ずつ取り出されて所定の工程を行うための処理装置へ供給される(例えば、特許文献2参照)。また、所定の工程を経た各基板は、処理装置から一枚ずつ取り出されて基板収納装置(アンローダ)へと搬送され、マガジンラック内に積層された状態で収納される。
【0007】
このように、マガジンラックから処理装置への基板の供給、および、処理装置からマガジンラックへの基板の収納は、ローダおよびアンローダを用いて人手を介することなく実施することができる。
【0008】
しかしながら、工場内でのマガジンラックの運搬は、依然として、台車などを用いて人手で行われる場合が多い。すなわち、例えば、保管庫に収納されている原材料の絶縁基板を収納したマガジンラックを台車に載せたり、台車に載置されたマガジンラックをローダおよびアンローダへ供給したりする場面では、依然として人手を介した重労働が必要となる。また、複数の基板が収納されたマガジンラックを人手で運搬すると、運搬時の振動などが原因で基板に傷などが付き、プリント基板、および半導体基板の品質が低下する可能性がある。
【0009】
そこで、本発明では、基板搬送装置との間でマガジンラックを自動で受け渡しすることのできる台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面にかかる台車は、複数の基板を収容可能な収容体を搬送する。この台車は、移動用部材と、前記収容体を載置し、上下方向に移動可能な載置台とを備えている。前記載置台は、前記収容体を前記上下方向と直交する前後方向に移動させる搬送部と、外部の装置と接続される接続部とを有し、前記載置台が第1の位置にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置へ前記収容体を送り出し、前記載置台が第2の位置にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置から前記収容体を受け取る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一局面にかかる台車によれば、基板搬送装置との間でマガジンラックを自動で受け渡しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態にかかる基板供給システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】基板を収容したマガジンラックを収納する第1収納棚と、空のマガジンラックを収納する第2収納棚とを示す模式図である。
【
図3】
図1に示す基板供給システムにおいて台車からローダへラックを送り出す様子を示す模式図である。
【
図4】
図1に示す基板供給システムにおいて台車がローダからラックを受け取る様子を示す模式図である。
【
図5】一実施形態にかかる台車の構成を示すブロック図である。
【
図6】基板供給システムおよび基板回収システムにおいて、台車の載置台とローダのマガジンラック送給機構とが接続される前の状態を示す平面模式図である。
【
図7】基板供給システムおよび基板回収システムにおいて、台車の載置台とローダのマガジンラック送給機構とが接続された状態を示す平面模式図である。
【
図8】基板供給システムにおいて、台車の載置台に2つのマガジンラックが置かれている場合のローダへのマガジンラックの送り出しを説明するための模式図である。
【
図9】第2の実施形態にかかる基板回収システムにおいて台車からアンローダへマガジンラックを送り出す様子を示す模式図である。
【
図10】
図9に示す基板回収システムにおいて台車がアンローダからマガジンラックを受け取る様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の各実施形態では、半導体基板の製造工場などにおいて、基板搬送装置(例えば、ローダ、アンローダなど)と基板搬送用の台車との間で基板(具体的には、複数の基板を収容したマガジンラック)の受け渡しを行うことのできるシステムについて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
<第1の実施形態>
(基板供給システムの全体構成)
第1の実施形態では、基板供給システム1を例に挙げて説明する。基板供給システム1は、主として、基板搬送用の台車の一例である台車10と、基板供給装置の一例であるローダ50とで構成される。
【0015】
まず、基板供給システム1の全体構成について説明する。
図1には、本実施形態にかかる基板供給システム1を示す。基板供給システム1は、主な構成要素として、台車10と、ローダ50とを含んでいる。
【0016】
台車10(具体的には、送受信部23)とローダ50(具体的には、送受信部55)との間では、無線での信号の送受信が行われる。ここでの信号の送受信には、例えば、NFC、RFID、Bluetooth、赤外線通信などの近距離無線通信が利用される。なお、別の実施形態では、台車10とローダ50との間で行う信号の送受信は、サーバ(例えば、クラウドサーバなど)を介して行ってもよい。
【0017】
台車10は、複数の基板71を収容可能なマガジンラック(収容体)60を搬送する。マガジンラック60(以下、単にラック60ともいう)には、複数の基板71が積み重ねられた状態で収容される。
【0018】
台車10は、例えば、基板71を保管している工場内の第1収納棚91などから取り出されたラック60を、プリント基板および半導体基板製造設備に備えられているローダ50にまで搬送する。
図2には、ラック60が保管されている収納棚の一例を示す。第1収納棚91には、基板71を収容した状態の複数のラック60が、縦横に並べて配置されている。第2収納棚92には、空の状態の複数のラック60が、縦横に並べて配置されている。
【0019】
各ラック60には、例えば、バーコード、二次元コードなどの識別コードを表示するコード表示部61が取り付けられている。外部の端末は、コード表示部61の内容を読み取ることで、各ラック60に関する情報(例えば、基板71を収容しているか否か、収容されている基板71の種類および枚数、収納棚内のラック60の配置場所など)を確認することができる。例えば、台車10およびローダ50などに設けられているコード読み取り装置によって、各ラック60に関する情報を取得することができる。コード表示部61は、例えば、液晶パネル、電子タグなどで形成されており、コード表示部61に表示される識別コードは、ラック60の状況に応じて書き換えることができる。
【0020】
ローダ50は、半導体製造における各工程において基板71を処理装置へ供給するための装置である。ローダ50は、ラック60内に収納されている複数の基板71を一枚ずつ取り出し、次の工程の処理装置に供給する。
【0021】
図3には、基板供給システム1において台車10からローダ50へラック60を送り出す様子を示す。
図4には、基板供給システム1において台車10がローダ50からラック60を受け取る様子を示す。
【0022】
ローダ50は、例えば、ラック送給機構51、ラック送出機構52、送受信部55などを備えている。ラック送給機構51は、ローダ50の上方側に配置されており、ラック送出機構52は、ローダ50の下方側に配置されている。なお、別の実施態様では、ラック送給機構51がローダ50の下方側に配置されており、ラック送出機構52がローダ50の上方側に配置されていてもよい。
【0023】
ラック送給機構51には、基板71を収容した状態のラック60が台車10の載置台12から供給される(
図3参照)。ラック送出機構52は、基板71が取り出された後の空のラック60を台車10の載置台12へ送り出す(
図4参照)。ローダ50において、台車10との間で行われる動作に関する構成以外については、従来の一般的なローダの構成を適用することができる。
【0024】
(台車の構成)
続いて、台車10のより具体的な構成について説明する。
図5には、台車10の内部構成を示す。
図6および
図7には、台車10の載置台12の上面、および、ローダ50のラック送給機構51の上面を示す。
【0025】
台車10は、主として、本体部20と、キャスター(移動用部材)11と、載置台12とを備えている。
【0026】
本体部20は、台車10の外形の大部分を形成している。本体部20の外観構成については、ラック60を搬送するために利用される一般的な台車と同様の構成が適用できる。本体部20内には、例えば、制御ユニット21、操作パネル22、および送受信部23などが備えられている。
【0027】
キャスター11は、本体部20の底面に配置されている。本実施形態の台車10は、複数個のキャスター11を有している。各キャスター11は、車輪を有しており、台車10を所望の方向に移動させることができる。
【0028】
複数のキャスター11の少なくとも一つは、電気などによって駆動される駆動部(図示しない)と接続されており、駆動部からの動力によって車輪が回転する。また、駆動部に接続されているキャスター11は、駆動部からの動力によって向きを変えることができる。駆動部の動作は、制御ユニット21を介して接続されている操作パネル22を操作することで制御される。これにより、例えば、作業者が、操作パネル22を操作することで、台車10の移動の開始および停止、並びに台車10の進行方向を決めることができる。またあるいは、制御ユニット21内のメモリ32に記憶されているプログラムによってCPU31が、自動でキャスター11を動作させてもよい。
【0029】
なお、別の実施態様では、例えば、リモートコントローラなどの外部の端末を操作することによって、台車10を移動させてもよい。さらに別の実施態様では、台車10に、キャスター11を駆動する駆動部が備えられておらず、人が手押しで移動させるものであってもよい。
【0030】
載置台12は、ラック60を載置するための台である。載置台12上には、少なくとも一つのラック60が載置される。
【0031】
載置台12は、本体部20に対して上下方向(
図1の矢印Aの方向)に移動可能な状態で配置されている。載置台12は、例えば、コンベア(搬送部)13、接続部14、および昇降機構15などを備えている。
【0032】
コンベア13は、載置台12の載置面に沿って配置されている。コンベア13は、
図1の矢印Aで示す上下方向に直交する載置台12の前後方向(
図1の矢印Bの方向)に沿って配置されている。本実施形態では、コンベア13は、2つのベルト13aおよび13bで構成されている。コンベア13は、制御ユニット21からの指令に応じて動作を開始したり停止したりする。このようなコンベア13を有していることで、載置台12上に配置されたラック60などの物体は、載置台12上を前後方向(
図1の矢印Bの方向)に移動することができる。
【0033】
接続部14は、載置台12の前後方向の一端部に配置されている。接続部14は、ローダ50のラック送給機構51側の接続部56と接続される。接続部14と接続部56との接続は、例えば、接続部14側の凸部が、接続部56側の凹部に嵌まり込むような方法で行われる。また、別の方法では、磁石などを用いて行うこともできる。なお、接続部14と接続部56との接続が実行されると、その旨の情報が、台車10の制御ユニット21へ送信される。また、この情報は、各送受信部23および55を介して、ローダ50側へも送信される。
【0034】
接続部14と接続部56との接続が行われると、台車10側のコンベア13と、ローダ50のラック送給機構51側のコンベア53とがほぼ同一直線上に配置される(
図7参照)。この状態で各コンベア13および53を動作させると、載置台12上のラック60は、ローダ50のラック送給機構51の方へ移送される。
【0035】
昇降機構15は、制御ユニット21からの指令に応じて、載置台12を上下方向に移動させる。載置台12は、昇降機構15を有していることで、第1の位置(例えば、
図3に示す上段の位置)と第2の位置(例えば、
図4に示す下段の位置)との間を上下に移動することができる。ここで、第1の位置とは、載置台12の上面が、ローダ50のラック送給機構51の上面とほぼ同じ高さ(すなわち、略面一)になる位置をいう。また、第2の位置とは、載置台12の上面が、ローダ50のラック送出機構52の上面とほぼ同じ高さ(すなわち、略面一)になる位置をいう。
【0036】
なお、昇降機構15は、台車10と接続されるローダ50のラック送給機構51の高さに応じて、第1の位置の高さを調整可能に構成されていることが好ましい。同様に、昇降機構15は、台車10と接続されるローダ50のラック送出機構52の高さに応じて、第2の位置の高さを調整可能に構成されていることが好ましい。これにより、種類の異なるローダ50に対して使用することのできる汎用性の高い台車10を得ることができる。
【0037】
制御ユニット21は、本体部20内に備えられている。制御ユニット21には、CPU31、メモリ32、タイマ33、およびバッテリ34などが内蔵されている。
【0038】
CPU31は、メモリ32に記憶されているプログラムを実行することによって、台車10の各部を制御する。たとえば、CPU31は、操作パネル22、送受信部23、および接続部14などから送信された信号に基づいて、メモリ32に格納されているプログラムを実行することによって、キャスター11、コンベア13、および昇降機構15などを動作させる。
【0039】
メモリ32は、各種のRAM(Random Access Memory)、各種のROM(Read-Only Memory)などによって実現される。メモリ32は、CPU31によって実行されるプログラム、および、送受信部23から送信された各種データなどを記憶する。
【0040】
バッテリ34は、動力源(電源)を台車10内の各部(例えば、キャスター11、コンベア13、昇降機構15、操作パネル22など)へ供給する。バッテリ34は、例えば、二次電池で構成されており、電源接続部(図示せず)を介して充電が行われる。
【0041】
操作パネル22は、例えば、本体部20の上方側に備えられている。操作パネル22には、台車10に対して各種の操作及び設定を行うための操作ボタンが複数設けられている。作業者が操作パネル22に対して入力を行うと、制御ユニット21内のCPU31に信号が送信される。
【0042】
送受信部23は、例えば、本体部20の上方側に備えられている。送受信部23は、アンテナやコネクタによって実現される。送受信部23は、無線通信によってローダ50との間で信号のやり取りをする。
【0043】
(台車とローダとの間でのラックの受け渡しについて)
続いて、台車10とローダ50との間でのラック60の受け渡し動作について説明する。
【0044】
先ず、基板71を収容したラック60を台車10からローダ50へ送り出すときの動作について、
図1、
図3、
図6、および
図7などを参照しながら説明する。
図6は、台車10の載置台12とローダ50のラック送給機構51とが接続される前の状態を示す。
図7は、台車10の載置台12とローダ50のラック送給機構51とが接続された状態を示す。
【0045】
台車10がローダ50へラック60を送り出すときには、台車10の載置台12は、第1の位置(すなわち、ラック送給機構51とほぼ同じ高さ)にある。例えば、
図1に示すように、2つのラック60を載せた台車10は、ローダ50のラック送給機構51の手前に移動する。そして、
図6の矢印で示すように、台車10の載置台12は、ラック送給機構51へと接近し、互いの接続部14および56の接続が行われる。載置台12とラック送給機構51とが接続されると、
図7に示すように、台車10側のコンベア13と、ローダ側のコンベア53とがほぼ同一直線上に配置される。
【0046】
載置台12とラック送給機構51との接続が完了すると、その旨の情報が、台車10の制御ユニット21(具体的には、CPU31)およびローダ50の制御部(図示せず)へ送信される。CPU31は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア13の動作を開始させる。同様に、ローダ50の制御部は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア53の動作を開始させる。
【0047】
これにより、載置台12上に置かれたラック60は、ローダ50のラック送給機構51へ移送される(
図3参照)。ラック60がラック送給機構51へ置かれると、ラック60内に収容された基板71は、一枚ずつ取り出されて所定の工程を行うための処理装置へ供給される。
【0048】
収容されたすべての基板71が取り出されたラック60は、空の状態となり、ラック送給機構51の下方に位置するラック送出機構52へと移動する。空の状態のラック60は、後述するように、台車10によって回収される。空の状態のラック60の回収は、基板71を収容したラック60のローダ50への送り渡し動作が終了した後に、同一の台車10に対して連続して行ってもよい。またあるいは、基板71を収容したラック60のローダ50への送り渡し動作が終了すると、台車10は、ローダ50から離れてもよい。
【0049】
なお、載置台12上に複数のラック60が置かれている場合には、一つ目のラック60をラック送給機構51に送り出した後に、2つ目のラック60をラック送給機構51に送り出す。
図8には、台車10の載置台12に2つのラック60が置かれている場合に、載置台12からラック送給機構51へラック60が移動する様子を示す。
【0050】
図8に示す例では、台車10の載置台12は、ラック送給機構51により近い側の前方部12aと、ラック送給機構51から離れた側の後方部12bとで構成されている。載置台12の前方部12aにはコンベア13が設けられている一方、載置台12の後方部12bにはコンベア13は設けられていない。台車10を用いて2つのラック60を搬送する際には、一つ目のラック60は、載置台12の前方部12a上に置かれ、2つの目のラック60は、載置台12の前方部12a上に置かれる。
【0051】
台車10の載置台12がローダ50のラック送給機構51に接続されると、一つ目のラック60は、上述した方法で、ラック送給機構51に送り出される。
【0052】
その後、後方部12bに置かれている2つ目のラック60が、台車10に設けられているラック60の送り出し機構16によって、前方部12a側へ押し出される。送り出し機構16は、例えば、2つのアーム16aおよび16bを有しており、各アームの間にラック60を挟み込んだ状態でラック60を前後方向に移動させることができる。前方部12a側へ移動した2つ目のラック60は、1つ目のラック60と同様にしてラック送給機構51に送り出される。
【0053】
続いて、台車10が、空の状態のラック60をローダ50から受け取るときの動作について、
図1、および
図4などを参照しながら説明する。空の状態のラック60の回収は、基板71を収容したラック60のローダ50への送り渡し動作が終了した後に同一の台車10が連続して行うこともできるし、同一の台車10がローダ50から離れた後に、新たに近づく別の台車10が行うこともできる。
【0054】
台車10がローダ50からラック60を受け取るときには、台車10の載置台12は、第2の位置(すなわち、ラック送出機構52とほぼ同じ高さ)にあり、載置台12上にはラック60は載せられていない。この状態の台車10は、ローダ50のラック送出機構52の手前に移動する。そして、台車10の載置台12は、ラック送出機構52へと接近し、接続部14および56の接続のときと同様に、互いの接続部の接続が行われる。載置台12とラック送出機構52とが接続されると、台車10側のコンベア13と、ローダ50のラック送出機構52のコンベア(図示せず)とがほぼ同一直線上に配置される。
【0055】
載置台12とラック送出機構52との接続が完了すると、その旨の情報が、台車10の制御ユニット21(具体的には、CPU31)およびローダ50の制御部(図示せず)へ送信される。CPU31は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア13の動作を開始させる。同様に、ローダ50の制御部は、この接続完了の情報を受けた後に、ラック送出機構52のコンベアの動作を開始させる。
【0056】
これにより、ラック送出機構52上に置かれたラック60は、台車10の載置台12へ移送される(
図4参照)。台車10の載置台12に載せられたラック60は、例えば、第2収納棚92へと移動し、第2収納棚92内の所定の位置に格納される。
【0057】
なお、ラック60の大きさは、内部に収容される基板71のサイズに応じて種々に異なっている。そのため、コンベア13を構成する2つのベルト13aおよび13b間の距離は、ラック60の大きさに応じて適宜変更される。載置台12に配置された2つのベルト13aおよび13b間の距離は、変更可能に構成されていてもよい。これにより、台車10は、種々の大きさのラック60を搬送し、ローダ50へ供給することができる。
【0058】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる基板供給システム1は、台車10と、基板供給装置の一例であるローダ50とを備えている。台車10は、複数の基板71を収容可能なマガジンラック60を搬送するものであり、ローダ50との間でマガジンラック60の受け渡しを行う。台車10は、キャスター11と、マガジンラック60を載置する載置台12とを備えている。載置台12は、上下方向に移動可能である。載置台12は、マガジンラック60を前後方向に移動させるコンベア13と、ローダ50などの外部の装置と接続される接続部14とを有している。載置台12が第1の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置へマガジンラック60を送り出し、載置台12が第2の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置からマガジンラック60を受け取る。
【0059】
上記の構成によれば、ローダ50へのマガジンラック60の搬送作業を、人手を介することなく自動で行うことができる。特に、自動化の進んでいない小規模の半導体製造工場では、マガジンラックを載せた台車は人手を介して工場内を移動し、ローダなどの基板搬送装置との間のマガジンラックの受け渡し作業も、人力で行われることが多い。本実施形態にかかる基板供給システム1は、このような場面で利用されることで、工場内の重労働の軽減、および、人件費の削減に貢献できる。
【0060】
また、マガジンラックに収容される基板が、プリント配線基板などの場合には、基板表面に半田が形成されている。このようなプリント配線基板を収容したマガジンラックを、人力でローダへ搬送すると、運搬時の振動で半田にクラックが生じる可能性があり、基板の信頼性が損なわれる。
【0061】
そのため、本実施形態にかかる台車10からローダ50へ(人手を介することなく)自動でラック60を送り出すことで、振動の少ない状態でよりスムーズにラック60を移動させることができる。これにより、搬送される基板71の信頼性の低下を抑えることができる。
【0062】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、基板回収システム101を例に挙げて説明する。基板回収システム101は、主として、基板搬送用の台車の一例である台車10と、基板収納装置の一例であるアンローダ150とで構成される。
【0063】
(基板回収システムの全体構成)
まず、基板回収システム101の全体構成について説明する。
図9には、本実施形態にかかる基板回収システム101を示す。基板回収システム101は、主な構成要素として、台車10と、アンローダ150とを含んでいる。本実施形態にかかる基板回収システム101は、ローダ50の代わりにアンローダ150を構成要素としている点が第1の実施形態とは異なっている。以下では、第1の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0064】
台車10(具体的には、送受信部23)とアンローダ150(具体的には、送受信部155)との間では、無線での信号の送受信が行われる。ここでの信号の送受信の方法については、第1の実施形態と同様の方法が適用できる。
【0065】
台車10は、例えば、空のラック60が収納されている第2収納棚92(
図2参照)などから取り出されたラック60を、半導体製造設備に備えられているアンローダ150にまで搬送する。そして、台車10は、アンローダ150から基板71を収容したラック60を受け取り、例えば、次工程のローダ50や第1収納棚91にまで搬送する。台車10は、第1の実施形態で説明した台車10と同様の構成を有している。
【0066】
アンローダ150は、半導体製造における各工程において処理装置での処理が施された基板71を一枚ずつ取り出してラック60へ収納するための装置である。
【0067】
図9には、基板回収システム101において台車10からアンローダ150へラック60を送り出す様子を示す。
図10には、基板回収システム101において台車10がアンローダ150からラック60を受け取る様子を示す。
【0068】
アンローダ150は、例えば、ラック送給機構151、ラック送出機構152、送受信部155などを備えている。ラック送給機構151は、アンローダ150の下方側に配置されており、ラック送出機構152は、アンローダ150の上方側に配置されている。なお、別の実施態様では、ラック送給機構151がアンローダ150の上方側に配置されており、ラック送出機構152がアンローダ150の下方側に配置されていてもよい。
【0069】
ラック送給機構151には、空のラック60が台車10の載置台12から供給される(
図9参照)。ラック送出機構152は、基板71が収容された状態のラック60を台車10の載置台へ送り出す(
図10参照)。アンローダ150において、台車10との間で行われる動作に関する構成以外については、従来の一般的なアンローダの構成を適用することができる。
【0070】
(台車とアンローダとの間でのラックの受け渡しについて)
続いて、台車10とアンローダ150との間でのラック60の受け渡し動作について説明する。
【0071】
先ず、空のラック60を台車10からアンローダ150へ送り出すときの動作について、
図9などを参照しながら説明する。
【0072】
台車10がアンローダ150へラック60を送り出すときには、台車10の載置台12は、第1の位置(すなわち、ラック送給機構151とほぼ同じ高さ)にある。ここでの第1の位置は、台車10における下方の位置であり、第1の実施形態における第2の位置に相当する(
図8参照)。
【0073】
例えば、
図9に示すように、2つのラック60を載せた台車10は、アンローダ150のラック送給機構151の手前に移動する。そして、台車10の載置台12は、ラック送給機構151へと接近し、互いの接続部14および56の接続が行われる(
図6参照)。載置台12とラック送給機構151とが接続されると、台車10側のコンベア13と、アンローダ側のコンベア53とがほぼ同一直線上に配置される(
図7参照)。
【0074】
載置台12とラック送給機構151との接続が完了すると、その旨の情報が、台車10の制御ユニット21(具体的には、CPU31)およびアンローダ150の制御部(図示せず)へ送信される。CPU31は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア13の動作を開始させる。同様に、アンローダ150の制御部は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア53の動作を開始させる。
【0075】
これにより、載置台12上に置かれたラック60は、アンローダ150のラック送給機構151へ移送される(
図9参照)。ラック60は、ラック送給機構151へ置かれた後、ラック送給機構151の上方に位置するラック送出機構152へと移動する。
【0076】
ラック送出機構152へ移動したラック60には、処理装置での処理が終了した基板71が一枚ずつ収容される。そして、ラック60内には、複数の基板71が積層された状態で収納される。基板71が収容された状態のラック60は、後述するように、台車10によって回収される。
【0077】
続いて、台車10が、基板71が収容された状態のラック60をアンローダ150から受け取るときの動作について、
図10などを参照しながら説明する。
【0078】
台車10がアンローダ150からラック60を受け取るときには、台車10の載置台12は、第2の位置(すなわち、ラック送出機構152とほぼ同じ高さ)にある。ここでの第2の位置は、台車10における上方の位置であり、第1の実施形態における第1の位置に相当する(
図10参照)。このとき、台車10の載置台12上にはラック60は載せられていない。この状態の台車10は、ローダ50のラック送出機構152の手前に移動する。そして、台車10の載置台12は、ラック送出機構152へと接近し、接続部14および56の接続のときと同様に、互いの接続部の接続が行われる。載置台12とラック送出機構152とが接続されると、台車10側のコンベア13と、アンローダ150のラック送出機構152のコンベア(図示せず)とがほぼ同一直線上に配置される。
【0079】
載置台12とラック送出機構152との接続が完了すると、その旨の情報が、台車10の制御ユニット21(具体的には、CPU31)およびアンローダ150の制御部(図示せず)へ送信される。CPU31は、この接続完了の情報を受けた後に、コンベア13の動作を開始させる。同様に、アンローダ150の制御部は、この接続完了の情報を受けた後に、ラック送出機構152のコンベアの動作を開始させる。
【0080】
これにより、ラック送出機構152上に置かれたラック60は、台車10の載置台12へ移送される(
図10参照)。台車10の載置台12に載せられたラック60は、例えば、次工程のローダ50や第1収納棚91にまで搬送される。
【0081】
以上のように、本実施形態にかかる基板回収システム101は、台車10と、基板収納装置の一例であるアンローダ150とを備えている。台車10は、複数の基板71を収容可能なマガジンラック60を搬送するものであり、アンローダ150との間でマガジンラック60の受け渡しを行う。台車10は、キャスター11と、マガジンラック60を載置する載置台12とを備えている。載置台12は、上下方向の移動可能である。載置台12は、マガジンラック60を前後方向に移動させるコンベア13と、アンローダ150などの外部の装置と接続される接続部14とを有している。載置台12が第1の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置へマガジンラック60を送り出し、載置台12が第2の位置にあるとき、コンベア13は、外部の装置からマガジンラック60を受け取る。
【0082】
上記の構成によれば、アンローダ150へのマガジンラック60の搬送作業を、人手を介することなく自動で行うことができる。特に、自動化の進んでいない小規模のプリント基板製造工場および半導体製造工場では、マガジンラックを載せた台車は人手を介して工場内を移動し、ローダなどの基板搬送装置との間のマガジンラックの受け渡し作業も、人力で行われることが多い。本実施形態にかかる基板回収システム101は、このような場面で利用されることで、工場内の重労働の軽減、および、人件費の削減に貢献できる。
【0083】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる台車(例えば、台車10)は、複数の基板(例えば、基板71)を収容可能な収容体(例えば、マガジンラック60)を搬送する。この台車は、移動用部材(例えば、キャスター11)と、前記収容体を載置し、上下方向に移動可能な載置台(例えば、載置台12)とを備えている。前記載置台は、前記収容体を前記上下方向と直交する前後方向に移動させる搬送部(例えば、コンベア13)と、外部の装置(例えば、ローダ50、アンローダ150)と接続される接続部(例えば、接続部14)とを有し、前記載置台が第1の位置(例えば、上方の位置、または下方の位置)にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置へ前記収容体を送り出し、前記載置台が第2の位置(例えば、下方の位置、または上方の位置)にあるとき、前記搬送部は、前記外部の装置から前記収容体を受け取る。
【0084】
上記の本発明の一局面にかかる台車(例えば、台車10)において、前記外部の装置は、基板供給装置(例えば、ローダ50)であり、前記載置台(例えば、載置台12)が前記第1の位置にあるとき、前記搬送部(例えば、コンベア13)は、前記基板供給装置に対して、複数の基板(例えば、基板71)を収容している前記収容体(例えば、マガジンラック60)を送り出し、前記載置台が前記第2の位置にあるとき、前記搬送部は、基板を収容していない前記収容体を前記基板供給装置から受け取ってもよい。
【0085】
上記の本発明の一局面にかかる台車(例えば、台車10)において、前記外部の装置は、基板収納装置(例えば、アンローダ150)であり、前記載置台(例えば、載置台12)が前記第1の位置にあるとき、前記搬送部(例えば、コンベア13)は、前記基板収納装置に対して、基板を収容していない前記収容体(例えば、マガジンラック60)を送り出し、前記載置台が前記第2の位置にあるとき、前記搬送部は、複数の基板(例えば、基板71)を収容している前記収容体を前記基板収納装置から受け取ってもよい。
【0086】
上記の本発明の一局面にかかる台車(例えば、台車10)において、前記載置台(例えば、載置台12)は、前記前後方向に複数の収容体(例えば、マガジンラック60)を並べて配置可能となっていてもよい。
【0087】
上記の本発明の一局面にかかる台車(例えば、台車10)は、前記搬送部(例えば、コンベア13)の動作を制御する制御部(例えば、CPU31)をさらに備えており、前記制御部は、前記接続部(例えば、接続部14)が前記外部の装置(例えば、ローダ50、アンローダ150)と接続されているときに、前記搬送部を動作させてもよい。
【0088】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 :基板供給システム
10 :台車
11 :キャスター(移動用部材)
12 :載置台
13 :コンベア(搬送部)
14 :(台車側の)接続部
15 :昇降機構
20 :(台車の)本体部
21 :制御ユニット
22 :操作パネル
23 :送受信部
31 :CPU(制御部)
32 :メモリ
33 :タイマ
34 :バッテリ
50 :ローダ(基板供給装置)
51 :ラック送給機構
52 :ラック送出機構
53 :コンベア
55 :送受信部
56 :(ローダ側の)接続部
60 :マガジンラック(収容体)
61 :コード表示部
71 :基板
101:基板回収システム
150:アンローダ(基板収納装置)
151 :ラック送給機構
152 :ラック送出機構