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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135940
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230922BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B5/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041290
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 好文
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304CA04
3F304ED14
3F304ED15
3F304ED16
(57)【要約】
【課題】地震復旧対応が必要なエレベータに対して効率よく保守員を割当てることができる管理装置および管理方法を提供する。
【解決手段】メモリ112は、エレベータが設置されたビルの情報と、エレベータを保守する保守員53の情報とを含むデータベース情報161を記憶する。プロセッサ111は、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの地震に関連した第1情報と、対応エレベータの対応に関連した保守員53の第2情報とを含むリアルタイム情報162を取得する。プロセッサ111は、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき、保守員53の中から対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定する。プロセッサ111は、対応保守員が使用する保守員端末300に対して対応エレベータへのルート情報を送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する管理装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記メモリは、前記エレベータが設置されたビルの情報と、前記エレベータを保守する保守員の情報とを含むデータベース情報を記憶し、
前記プロセッサは、
前記地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの前記地震に関連した第1情報と、前記対応エレベータの対応に関連した前記保守員の第2情報とを含むリアルタイム情報を取得し、
前記データベース情報と前記リアルタイム情報とに基づき、前記保守員の中から前記対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定し、
前記対応保守員が使用する保守員端末に対して前記対応エレベータへのルート情報を送信する、管理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記データベース情報と前記リアルタイム情報とに基づき、前記対応エレベータが設置されたビルへの前記対応保守員の到着予想時間を推定し、
前記リアルタイム情報を定期的に取得し、
前記データベース情報と、定期的に取得される前記リアルタイム情報とに基づき、前記到着予想時間を更新する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記ビルには、前記管理装置から送信された情報に基づき表示を行う表示装置が設けられており、
前記プロセッサは、前記表示装置に前記到着予想時間を表示させるために、更新された前記到着予想時間を定期的に送信する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記管理装置は、前記エレベータの利用者が使用する利用者端末と通信可能に構成されており、
前記プロセッサは、前記利用者端末に前記到着予想時間を表示させるために、前記管理装置に接続した前記利用者端末に対して、更新された前記到着予想時間を定期的に送信する、請求項2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記ルート情報は、前記対応保守員が選択可能な複数のルートを含み、
前記プロセッサは、前記複数のルートのうち、前記対応保守員が選択したルートを前記対応保守員に割当てる、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記管理装置は、前記対応エレベータを監視する監視装置と通信可能に構成されており、
前記第1情報は、前記監視装置から受信した情報と、前記対応エレベータに関して受けた電話の情報と、閉じ込め状態の有無と、前記対応エレベータにおける負傷者の有無とを含み、
前記閉じ込め状態は、前記対応エレベータのかごの扉が開かないために前記かご内に乗客が閉じ込められた状態であり、
前記第2情報は、前記対応保守員の位置情報と、前記対応エレベータに対する前記対応保守員の対応状況とを含む、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記ビルの情報は、前記ビルの用途と、前記ビルを優先的に対応するか否かの指定と、前記ビルの所在地と、前記エレベータに関する情報と、前記監視装置の設置有無と、前記エレベータに対応して設置された地震感知器に関する情報とを含み、
前記保守員の情報は、前記保守員の、年齢と、居所と、前記保守に関するスキル情報と、地理に関する知識とを含む、請求項6に記載の管理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記地震に起因して対応が必要になったエリアにおける前記対応エレベータの対応台数を推定し、
前記対応台数には、前記監視装置が設置されていない前記ビルに設置されている前記対応エレベータの台数が含まれる、請求項7に記載の管理装置。
【請求項9】
前記メモリは、学習済モデルをさらに記憶し、
前記プロセッサは、前記データベース情報および前記リアルタイム情報を前記学習済モデルに入力することで、前記学習済モデルから対応情報を推定結果として出力し、
前記対応情報は、前記対応保守員と、前記対応保守員の前記ルート情報と、前記対応保守員の前記到着予想時間とを含み、
前記学習済モデルは、前記データベース情報および前記リアルタイム情報の履歴が入力された際に、前記対応情報を前記推定結果として出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施されたモデルである、請求項2~請求項8のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項10】
地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する管理方法であって、
前記エレベータが設置されたビルの情報と、前記エレベータを保守する保守員の情報とを含むデータベース情報を記憶するステップと、
前記地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの前記地震に関連した第1情報と、前記対応エレベータの対応に関連した前記保守員の第2情報とを含むリアルタイム情報を取得するステップと、
前記データベース情報と前記リアルタイム情報とに基づき、前記保守員の中から前記対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定するステップと、
前記対応保守員が使用する保守員端末に対して前記対応エレベータへのルート情報を送信するステップとを備える、管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震が発生した場合、エレベータの保守を行う保守会社は、保守員を現場に向かわせてエレベータの地震復旧対応を行わせている。その際、保守員は、端末を用いて保守会社が提供する管理装置にアクセスし、地震復旧対応が必要な近隣のエレベータおよび復旧対応の優先度等を確認する。そして、保守員は、各自の判断で地震復旧対応を行うエレベータを選択している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-24871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように保守員が地震復旧対応を行うエレベータを自由に選択した場合、あるエリアには多くの保守員が駆けつけるものの、別のエリアには保守員の数が足りなくなる等、全体として復旧効率が悪くなるケースがあった。このため、地震復旧対応の際の保守員の割当て方法については、改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、地震復旧対応が必要なエレベータに対して効率よく保守員を割当てることができる管理装置および管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る管理装置は、地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する装置である。管理装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。メモリは、エレベータが設置されたビルの情報と、エレベータを保守する保守員の情報とを含むデータベース情報を記憶する。プロセッサは、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの地震に関連した第1情報と、対応エレベータの対応に関連した保守員の第2情報とを含むリアルタイム情報を取得する。プロセッサは、データベース情報とリアルタイム情報とに基づき、保守員の中から対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定する。プロセッサは、対応保守員が使用する保守員端末に対して対応エレベータへのルート情報を送信する。
【0007】
本開示に係る管理方法は、地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する方法である。管理方法は、エレベータが設置されたビルの情報と、エレベータを保守する保守員の情報とを含むデータベース情報を記憶するステップと、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの地震に関連した第1情報と、対応エレベータの対応に関連した保守員の第2情報とを含むリアルタイム情報を取得するステップと、データベース情報とリアルタイム情報とに基づき、保守員の中から対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定するステップと、対応保守員が使用する保守員端末に対して対応エレベータへのルート情報を送信するステップとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、地震復旧対応が必要なエレベータに対して効率よく保守員を割当てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態におけるマップ画面について説明するための図である。
図2】管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】管理装置が実行する処理を説明するための図である。
図4】マップ生成処理のフローチャートである。
図5】対応者決定処理のフローチャートである。
図6】ルート選択画面の一例を示す図である。
図7】ルート情報を表示する画面の一例を示す図である。
図8】乗場表示装置での到着予想時間表示の一例を示す図である。
図9】利用者端末での到着予想時間表示の一例を示す図である。
図10】保守員の対応時間を説明するための図である。
図11】従業員情報の一例を示す表である。
図12】エリアE1の商業エリアでの対応者決定を説明するための図である。
図13】エリアE1の住宅エリアでの対応者決定を説明するための図である。
図14】対応者割当て優先度の判断要素を説明するための図である。
図15】学習用データセットを説明するための図である。
図16】学習処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本実施の形態におけるマップ画面141について説明するための図である。本実施の形態における管理装置100(後述の図2)は、マップ画面141を表示可能である。管理装置100は、地震が発生した場合のエレベータに対する対応(地震復旧対応)を管理する装置である。マップ画面141には、地震が発生したエリアにおけるビル情報および地震情報が表示される。
【0012】
地震が発生した場合、エレベータにおいて地震復旧対応(復旧作業)が必要になることがある。エレベータに設置された地震感知器が所定以上の揺れを検知した場合、エレベータのかごは最寄階に停止(着床)した後に戸開する。これにより乗客は降車し、その後、エレベータは運転を休止する。
【0013】
この場合、エレベータの保守を行う保守員は、エレベータが設置されたビルに出向いて、エレベータの地震復旧対応(復旧作業)を行う。保守員は、エレベータの点検作業後に平常運転に復帰させ、地震感知器をリセットする。地震感知器は、たとえば、ピット(地下)または機械室(屋上)に設置される。地震感知器が機械室に設置され、かつ、高層ビルなど、ビルの階床数が多い場合、地震感知器を操作するためには屋上まで階段を上る必要がある。時間がかかる上に、保守員が高齢である場合、このような作業には適していない。
【0014】
さらに大きな地震が発生した場合、あるいは、地震に伴いエレベータに何らかの異常または停電が発生したような場合、たとえば、かごが階床間で停止したために乗客が降車できずかご内に閉じ込められた閉じ込めが発生することある。この場合、保守員は、かごを最寄階まで移動させて乗客を救出する必要がある。この作業には時間を要するとともに一定以上の保守に関するスキルを要する。また、病院・警察・消防等の緊急度の高い建物や、負傷者が発生するなど緊急度の高い状況に対する対応、高速エレベータの対応なども、一定以上のスキルを要する。
【0015】
本実施の形態においては、地震復旧対応(復旧作業)が必要なエレベータに対して効率よく保守員を割当てるように構成している。たとえば、上述のような、高いスキルを要する現場や緊急度の高い現場に対してスキルの高い適切な人材を割当て、また、時間がかかりそうなエリア(高層ビルが多い、渋滞が発生している等)には多くの保守員を割当てるなど、地震発生エリアの全体的な状況を加味して保守員の割当てを行う。
【0016】
図1の例において、エリアE1~E4において地震が発生したとする。マップ画面141の地図上には、地震が発生したエリアE1~E4の地図が表示されている。マップ画面141には、震度情報が表示されている。エリアE1の震度はM1であり、エリアE3の震度はM2であり、エリアE2の震度はM3であり、エリアE4の震度はM4であることが示されている。ここで、M1>M2>M3>M4であるとする。
【0017】
マップ画面141の地図上には、ビルおよびビルの状態が表示されている。ビル152,153は、地震の発生によりエレベータの復旧作業(地震復旧対応)が必要となったビルであることを示す。一方、ビル151は、地震の影響がなく、現在エレベータは正常に稼働していることを示す。ビル152は、地震の発生によってかごが最寄階で停止後に休止しているために復旧作業が必要な状態である。ビル153は、地震の発生によって閉じ込めが発生したために復旧作業が必要な状態である。
【0018】
管理装置100は、復旧作業が必要な各ビルに対して、復旧作業を行う保守員53を割当てる。マップ画面141の地図上には、各保守員53の現在地情報と、復旧作業を行うビル152,153へのルート(経路71a~e)が表示されている。
【0019】
エリアE1には、1人の保守員53に3つのビル152が割当てられ、経路71aを移動して順次復旧作業(地震復旧対応)を行う予定であることが示されている。また、近くにいる別の保守員53には2つのビル152が割当てられ、経路71bを移動して順次復旧作業を行う予定であることが示されている。さらに、別の保守員53は、経路71cを移動してビル153の復旧作業(閉じ込め状態から乗客を救出)を行う予定であることが示されている。
【0020】
同様に、エリアE3においても、2人の保守員53がそれぞれ経路71d,eを移動してビル152の復旧作業を行う予定であることが示されている。一方、エリアE2,E4においては、復旧作業が必要なビル152,153が存在しないため、保守員53の割当ては行われていない。
【0021】
なお、マップ画面141においては、保守員53の位置および経路71a~eを表示しなくてもよい。また、マップ画面141において、保守員53の位置および経路71a~eの表示に代えて、各ビル152,153への保守員53の到着予想時間等の情報を表示するようにしてもよい。
【0022】
図2は、管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。管理システムは、管理装置100と、監視装置200と、エレベータシステム10と、保守員端末300と、利用者端末400とを備える。
【0023】
管理装置100は、たとえば、エレベータの保守会社の情報センタ90内に設置されている。情報センタ90では、各地のエレベータの情報を集中管理している。管理装置100は、プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113と、表示部121とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0024】
プロセッサ111は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリ112は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶部とを備えるように構成してもよい。記憶部は、不揮発性の記憶装置である。記憶部は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0025】
プロセッサ111は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、管理装置100の各種機能を実現する。ROMは、管理装置100の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAMは、プロセッサ111がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0026】
管理装置100は、通信インターフェイス113を介して、監視装置200、保守員端末300および利用者端末400と無線で接続可能である。管理装置100は、監視装置200と有線による通信を行ってもよい。表示部121は、各種情報の表示を行う。表示部121は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0027】
監視装置200は、エレベータシステム10を監視する装置である。監視装置200は、エレベータシステム10から取得したエレベータの各種情報を管理装置100に対して送信(発報)可能である。監視装置200は、プロセッサ(CPU)211と、メモリ212と、通信インターフェイス213とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ212も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0028】
プロセッサ211は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、監視装置200の各種機能を実現する。ROMは、監視装置200の処理手順が記されたプログラムを格納する。監視装置200は、通信インターフェイス213を介して管理装置100と通信する。
【0029】
保守員端末300は、保守員53が使用する端末である。保守員端末300は、たとえば、スマートフォン等のモバイル端末である。保守員53は、エレベータの保守会社の保守員である。本実施の形態においては、保守員端末300は、保守会社から支給される端末である。
【0030】
保守員端末300は、プロセッサ(CPU)311と、メモリ312と、通信インターフェイス313と、入力部320と、表示部321とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ312も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0031】
プロセッサ311は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、保守員端末300の各種機能を実現する。ROMは、保守員端末300の処理手順が記されたプログラムを格納する。保守員端末300は、通信インターフェイス313を介して、管理装置100と接続可能である。
【0032】
入力部320は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部320は、たとえば、タッチパネルであるが、キーボード、マウスであってもよい。表示部321は、各種情報の表示を行う。表示部321は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0033】
利用者端末400は、エレベータが設置されたビルの管理人またはオーナー、あるいは、エレベータの乗客(たとえば、かご内に閉じ込められた乗客)が使用する端末である。利用者端末400は、たとえば、スマートフォン等のモバイル端末である。
【0034】
利用者端末400は、プロセッサ(CPU)411と、メモリ412と、通信インターフェイス413と、入力部420と、表示部421とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ412も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0035】
プロセッサ411は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、利用者端末400の各種機能を実現する。ROMは、利用者端末400の処理手順が記されたプログラムを格納する。利用者端末400は、通信インターフェイス413を介して、管理装置100と接続可能である。
【0036】
入力部420は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部420は、たとえば、タッチパネルであるが、キーボード、マウスであってもよい。表示部421は、各種情報の表示を行う。表示部421は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0037】
エレベータシステム10は、群管理制御装置20と、各台管理制御装置30と、かご装置40と、地震感知器25と、乗場表示装置26とを備える。エレベータシステム10は、複数のエレベータ(本例では、2台)を備えるが、1台のエレベータを備えるものであってもよい。エレベータのかごは、ビル内に設けられた昇降路内に設置されている。かごは、昇降路内を走行して複数の階床間を移動する。
【0038】
昇降路の直上には、機械室が設けられている。機械室には、巻上機および制御盤が設けられている。巻上機は、かごを昇降させるために駆動するモータである。制御盤内には、群管理制御装置20および各台管理制御装置30が設置されている。かご装置40は、かご内に設けられている電子機器であり、かごの位置・方向を表示する表示器等を備える。
【0039】
エレベータシステム10には、かごの動作の制御等、エレベータを制御する制御部として群管理制御装置20および各台管理制御装置30が設けられている。群管理制御装置20は、複数台(本例では、2台)のエレベータを制御する装置である。各台管理制御装置30は、各エレベータを制御する装置である。
【0040】
群管理制御装置20および各台管理制御装置30は、互いに通信し、エレベータに関する各種データをやり取りする。各台管理制御装置30は、かご装置40から信号データを取得あるいは、かご装置40に対して制御指令を行う。
【0041】
群管理制御装置20は、乗場表示装置26を含む各種乗場機器と接続されている。乗場表示装置26は、各階の乗場に設置されており、乗客に対して各種情報を表示する。
【0042】
群管理制御装置20は、地震感知器25と接続されている。地震感知器25は、地震を感知する装置である。各台管理制御装置30は、群管理制御装置20を介して地震感知器25からの地震信号(たとえば、P波、S波等の信号)を取得する。各台管理制御装置30は、地震感知器25が検知した地震信号に基づく動作(地震時管制運転)をかごに行わせることができる。具体的には、各台管理制御装置30は、地震信号に基づき、かごを最寄り階に着床させた後に休止、あるいは、かごを停止させる。
【0043】
また、管理装置100は、監視装置200を介して、エレベータシステム10と通信可能である。監視装置200は、地震感知器25が検出した地震信号を含む各種エレベータの信号を管理装置100に対して発報(送信)可能である。
【0044】
これにより、管理装置100は、エレベータの各種情報を取得可能であるとともに、エレベータが設置されたビルにおいて地震が発生していることを把握することができる。管理装置100が取得する信号は、地震信号(P波、S波等)に限らず、地震発生によりエレベータが休止している旨を示す信号、閉じ込め状態を特定可能な信号等であってもよい。
【0045】
なお、地震感知器25は、群管理制御装置20に接続されるものに限らず、各台管理制御装置30に接続されるものであってもよく、エレベータごとに地震感知器25が設置されるものであってもよい。また、エレベータシステム10は、群管理制御装置20を備えず、各台管理制御装置30同士が通信し、各台管理制御装置30が監視装置200と直接通信するものであってもよい。
【0046】
図3は、管理装置100が実行する処理を説明するための図である。管理装置100は、地震を感知した場合に本処理を起動する。たとえば、気象庁からの地震情報を受信した場合に本処理を起動するようにしてもよいし、情報センタ90において受信した情報に基づいて本処理を起動するようにしてもよい。
【0047】
以下、地震に起因して対応(地震復旧対応)が必要になったエレベータを、「対応エレベータ」とも称する。また、対応エレベータの地震復旧対応を行う保守員53を「対応保守員」とも称する。
【0048】
処理が開始すると、まず、管理装置100は、データベース情報161を要求する。そして、管理装置100は、データベース情報161を受信する。
【0049】
データベース情報161は、たとえば、メモリ112に記憶されている。この場合、管理装置100は、メモリ112からデータベース情報161を取得する。あるいは、データベース情報161は、管理装置100とは異なる別のサーバ装置に記憶されていてもよい。この場合、管理装置100は、サーバ装置に対してデータベース情報161を要求し、サーバ装置からデータベース情報161を取得する。
【0050】
データベース情報161は、エレベータが設置されたビルのビル情報と、エレベータ情報と、エレベータを保守する保守員53の保守員情報とを含む。ビル情報には、各ビルにおける、ビル用途、特急対象指定、ビル所在地、交通機関で移動する場合の、ビルの最寄駅、最寄駅からの移動時間、車で移動する場合の、ビルの最寄インターチェンジ、ビルの駐車場有無等が記録されている。
【0051】
特急対象指定とは、優先的にビルの地震復旧対応を行うか否かの指定である。顧客との契約により特急対象指定がされている場合は、他のビルよりも優先的に地震復旧対応を行う。ビル用途には、病院、消防、警察、オフィスビル、商業ビル等の、ビルの用途が記録されている。ビル用途が、病院、消防、警察である場合は、地震復旧対応の緊急度が高い。
【0052】
エレベータ情報には、各ビルにおける、監視装置200の有無、エレベータ設置台数、地震感知器25(以下、単に「感知器」とも称する)設置台数、階床数、エレベータ機種、感知器設置位置、感知器機種等の情報が記録されている。
【0053】
保守員情報には、各保守員の、従業員ID、所属、職務、メールアドレス、自宅の住所(居所)、保守に関するスキル情報(人的スキル、技術スキル)、年齢、地理知識等の情報が記録されている。
【0054】
所属には、従業員が所属する支社名等の職場の所在地を特定可能な情報が記録されている。本実施の形態においては、支社ごとに管轄(担当)するエリアがある。たとえば、A支社が担当するエリアがBエリアである場合、A支社に所属する保守員53は、Bエリア内にあるビルのエレベータの保守を担当している。
【0055】
職務には、従業員の職務が記録され、たとえば、エレベータの保守を行う「保守員」、事務を行う「事務員」等の区分が記録されている。メールアドレスには、保守員53が使用する保守員端末300のメールアドレスが記録されている。
【0056】
スキル情報としては、人的スキルおよび技術スキルの情報が記録されている。技術スキルは、エレベータの保守に関する技能レベルを示す。本実施の形態においては、技能レベルを示す情報として、技能レベルA、技能レベルB、技能レベルCといった情報が記載されている。技能レベルA、技能レベルB、技能レベルCの順にエレベータの保守に関する技能レベル(スキル)が高いことを示す。
【0057】
人的スキルは、技術スキル以外の一般的なスキルである。たとえば、車の運転ができるか否か、高層ビルの最上階(機械室)まで階段で上がれるか否か等の情報が記録されている。
【0058】
次に、管理装置100は、リアルタイム情報162を要求する。そして、管理装置100は、リアルタイム情報162を受信する。リアルタイム情報162は、気象庁情報と、地震情報と、交通情報と、対応者情報とを含む。
【0059】
気象庁情報は、気象庁が提供する情報であり、各地の震度情報を含む。管理装置100は、気象庁のサーバにアクセスし、地震の各地の震度情報を取得する。
【0060】
地震情報は、情報センタ90のサーバにおいて管理されている地震に関する情報であって、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの地震に関連した情報を含む。地震情報は、監視装置200からの受信情報(たとえば、P波、S波などの地震信号)、対応エレベータに関し、客先からの電話情報と、閉じ込めの有無と、負傷者の有無とを含む。管理装置100は、情報センタ90のサーバに対して地震情報を要求し、情報センタ90のサーバから地震情報を受信する。
【0061】
閉じ込め状態は、エレベータのかごの扉が開かないためにかご内に乗客が閉じ込められた状態である。電話情報は、対応エレベータに関して受けた電話の情報である。ビルの管理人から受けた電話の情報、閉じ込めが発生したかご内から受けた電話の情報等を含む。
【0062】
交通情報は、交通情報を提供する会社が所有するサーバから取得可能である。交通情報は、渋滞情報を含む。管理装置100は、上記サーバに対して交通情報を要求し、上記サーバから交通情報を受信する。また、交通情報は、電車等の交通機関の乗り換え情報も含む。
【0063】
対応者(「対応保守員」とも称する)情報は、対応エレベータの対応に関連した保守員53(対応保守員)の情報である。対応者情報は、保守員が所持する保守員端末300から取得可能である。対応者情報は、保守員53の位置情報(現在置)と、現在状態情報(対応完了情報等)と、車の使用有無とを含む。管理装置100は、保守員端末300から対応者情報を受信する。これらの情報については後述する。
【0064】
なお、データベース情報161、地震情報、対応者情報は、管理装置100のメモリ112に記憶されていてもよいし、管理装置100とは異なる別のサーバ装置に記憶されていてもよい。前者の場合は、管理装置100は、メモリ112から情報を取得する。後者の場合は、管理装置100は、サーバ装置に対してデータを要求し、サーバ装置からデータを取得する。
【0065】
次に、管理装置100は、マップ生成処理を実行する。管理装置100は、マップ生成処理において、地震に起因して対応が必要になったエレベータ(対応エレベータ)が設置されたビルの位置情報(所在地)と、地震感知器25の検知結果と、各地の震度情報とを重ね合わせたマップ情報を生成する。
【0066】
図4は、マップ生成処理のフローチャートである。管理装置100は、マップ生成処理を実行する。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0067】
マップ生成処理において、図1で示したようなマップ画面141を生成する。ただし、この段階においては、保守員53は割当てられていないため、この情報は表示されない。本例においては、エリアE1およびエリアE2において復旧作業が必要である。
【0068】
図4に示すように、マップ生成処理が開始すると、管理装置100は、S201において、データベース情報161およびリアルタイム情報162を取得する。
【0069】
管理装置100は、S202において、地図情報にビル情報をセットする。図1の例において、地図情報は、エリアE1~E4の地図である。また、図1の例において、ビル情報は、ビル151~153の位置情報等である。
【0070】
管理装置100は、S203において、地図情報に震度情報をセットする。図1の例においては、エリアE1~E4の震度情報(震度M1~M4)がセットされる。
【0071】
管理装置100は、S204において、地図情報に地震感知器25の情報をセットする。図1の例において、ビル情報は、ビル152,153における地震感知器25の情報である。本例では、かごの最寄階停止(休止)により復旧作業が必要となったか否かの情報と、閉じ込め発生により復旧作業が必要になったか否かの情報である。
【0072】
管理装置100は、S205において、地図情報にその他情報をセットし、マップ生成処理を終了する。その他情報は、震度を含むP波・S波の情報、その他、監視装置200経由でエレベータから取得された各種信号であってもよい。また、その他情報は、客先・エレベータ利用者からの電話情報あるいはスマートフォンによる情報(負傷者の有無、閉じ込めの有無)等であってもよい。
【0073】
また、図1に示したように、復旧作業が必要なエレベータに保守員53が割当てられた後は、保守員53の現在地情報および保守員53が移動する経路(ルート)を地図情報にセットしてもよい。
【0074】
図3の説明に戻る。管理装置100は、対応者決定処理を実行する。対応者決定処理は、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき、学習済モデル168を用いて、保守員53の中から対応エレベータの対応を行う対応保守員(地震復旧対応が可能な保守員53)の決定等を行う。
【0075】
図5は、対応者決定処理のフローチャートである。管理装置100は、対応者決定処理を実行する。図5に示すように、対応者決定処理が開始すると、管理装置100は、S301において、所定値以上の震度(たとえば、震度5)である「対象エリア」を抽出する。
【0076】
管理装置100は、S302において、対象エリアにおけるデータベース情報161およびリアルタイム情報162を抽出する。管理装置100は、S303において、対象エリア内で地震復旧対応が必要なビル情報を抽出する。たとえば、図1の例では、地震復旧対応が必要なビル152,153が抽出される。
【0077】
管理装置100は、S304において、対象エリア内で居住または滞在する保守員53を抽出する。具体的には、管理装置100は、データベース情報161の「保守員情報」の「住所」データを用いて、所定値以上の震度(震度5)である「対象エリア」内に住所が含まれている保守員53を抽出する。また、管理装置100は、リアルタイム情報162の「対応者情報」の保守員53の「位置情報(現在地)」を取得する。
【0078】
本実施の形態においては、管理装置100は、保守員端末300のGPS情報を用いて、保守員53の位置情報を取得可能に構成されているものとする。そして、位置情報が「対象エリア」内である(対象エリアに滞在している)保守員53を抽出する。
【0079】
管理装置100は、S305において、学習済モデル168を用いて対応保守員、対応ルート、対応時間情報を推定し、対応者決定処理を終了する。学習済モデル168の詳細については、図15図16を用いて後述する。
【0080】
図3に戻り、管理装置100は、対応保守員が使用する保守員端末300に対して、対応エレベータへのルート情報を送信する。ルートは複数用意されており、保守員53は好きなルートを選択することができる。管理装置100は、複数のルートのうち、対応保守員が選択したルートを対応保守員に割当てる。
【0081】
図6は、ルート選択画面の一例を示す図である。図6の例においては、従業員ID「123」の保守員53に対して送信されたルート選択画面の表示例が示されている。保守員端末300の表示部321には、従業員IDが「123」であり、保守員53の名前が「ABC」であり、区分(職務)が「保守員」であり、住所(居所)が「エリアE1」に含まれることが示されている。また、保守員53が現在「エリアE1」内にいることが示されている。
【0082】
画面下部には、「ルート選択」として、ルート1およびルート2の選択肢が表示され、地震復旧対応するルートを選択して送信ボタンをクリックする旨の指示が表示されている。
【0083】
ルート1は、Aビル、Bビル、Cビルの順に対応するルートである。また、「詳細情報」へのリンクが表示されており、本リンクをクリックすると、ルート1の詳細情報が表示される。ルート2は、Dビル、Eビルの順に対応するルートである。また、「詳細情報」へのリンクが表示されており、本リンクをクリックすると、ルート2の詳細情報が表示される。
【0084】
選択したいルートにチェックを入れて送信ボタンをクリックすると、上記情報が管理装置100に送信される。本例では、保守員53は、ルート1を選択し、選択したルートを管理装置100に送信する。
【0085】
これにより、管理装置100は、選択されたルートを保守員53に正式に割当てる。図7は、ルート情報を表示する画面の一例を示す図である。図6で示した画面において、「次へ」をクリックすると、本画面が表示されるようにしてもよい。
【0086】
本例では、保守員53がルート2を選択したため、図7に示すように、Dビルの対応を行った後にEビルの対応を行うように、ルート情報の指示が行われている(保守員53に割当てられた対応エレベータは、DビルおよびEビルである)。
【0087】
そして、Dビルの情報として、Dビルへの移動にかかる予想時間が「T1分」であり、Dビルに設置された地震感知器25の設置台数が「1台」であり、地震発生により最寄階に停止して休止しているエレベータ(復旧対応が必要なエレベータ)が2台であることが表示されている。「その他詳細情報を表示」のリンクをクリックすると、Dビルへの道順等、Dビルに関するさらに詳しい情報が表示される。
【0088】
また、Eビルの情報として、Dビルへの移動にかかる予想時間が「T2分」であり、Dビルに設置された地震感知器25の設置台数が「1台」であり、地震発生により最寄階に停止して休止しているエレベータ(復旧対応が必要なエレベータ)が1台であることが表示されている。「その他詳細情報を表示」のリンクをクリックすると、Eビルへの道順等、Eビルに関するさらに詳しい情報が表示される。保守員53は、このルート内のビルの地震復旧対応を行うために現場に向かう。
【0089】
図3の説明に戻る。管理装置100は、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき、対応エレベータが設置されたビルへの対応保守員の到着予想時間(到着時間の予想時間)を推定する。
【0090】
管理装置100は、リアルタイム情報162を定期的に取得する。管理装置100は、データベース情報161と、定期的に取得されるリアルタイム情報162とに基づき、到着予想時間を更新する。
【0091】
管理装置100は、保守員53に割当てられたルート内のビルのエレベータおよびエレベータの利用者に対して、保守員53の到着予想時間を通知する。到着予想時間は、乗場表示装置26および利用者端末400において表示可能である。
【0092】
図8は、乗場表示装置26での到着予想時間表示の一例を示す図である。管理装置100は、監視装置200に対して到着予想時間を含む情報を送信する。監視装置200は、群管理制御装置20に対して到着予想時間を含む情報を送信する。群管理制御装置20は、乗場表示装置26に当該情報を表示させる。
【0093】
たとえば、図8に示すように、乗場表示装置26には、「現在復旧作業に向かっています。」の文字が表示されるとともに、到着予想時間が「14:25」であることが表示されている。また、復旧対象となるのが、A号機およびB号機であることを示している。
【0094】
到着予想時間は、利用者端末400においても確認可能である。図9は、利用者端末400での到着予想時間表示の一例を示す図である。
【0095】
たとえば、図9に示すように、利用者端末400の表示部421には、復旧対象となるビルが「ABCビル」であり、復旧対象となるエレベータが「A号機」および「B号機」であることが示されている。また、「現在復旧作業に向かっています。」の文字が表示されるとともに、到着予想時間が「14:25」であることが表示されている。
【0096】
この利用者端末400は、復旧対象となっているビルのオーナーあるいは管理者が所有する端末であってもよい。この場合、所定のURLを経由して管理装置100にアクセスすることで、到着予想時間を確認することができる。
【0097】
また、利用者端末400は、エレベータのかご内に閉じ込められた乗客が所有する端末であってもよい。この場合、かご内に付された二次元コードを利用者端末400から読み込むことで、到着予想時間を確認することができる。この二次元コートには、ビルおよびエレベータを特定可能な情報と管理装置100にアクセスするためのURL情報とが含まれる。
【0098】
このように、ビルには、管理装置100から送信された情報に基づき表示を行う乗場表示装置26が設けられている。管理装置100は、乗場表示装置26に到着予想時間を表示させるために、更新された到着予想時間を定期的に送信している。さらに、管理装置100は、エレベータの利用者が使用する利用者端末400と通信可能に構成されている。管理装置100は、利用者端末400に到着予想時間を表示させるために、管理装置100に接続した利用者端末400に対して、更新された到着予想時間を定期的に送信している。
【0099】
図10は、保守員53の対応時間を説明するための図である。図10の例は、図1におけるエリアE1の経路71bおよびエリアE2の状態を示している。
【0100】
経路71bが割当てられた保守員53は、Dビルの対応作業を行った後にEビルの対応作業を行う予定である。Dビルには2台のエレベータが設置されており、いずれのエレベータも対応作業が必要である。Eビルにも2台のエレベータが設置されており、いずれのエレベータも対応作業が必要である。
【0101】
管理装置100は、Dビルへの移動時間をT1分と予測しており、Dビルでの対応作業時間をTa分と予測しており、その後、Eビルへの移動時間をT2分と予測している。このため、Dビルに対しては、到着予想時間が「T1分」である旨の通知がされる。一方で、Eビルに対しては、到着予想時間が「T1+Ta+T2分」である旨の通知がされる。
【0102】
たとえば、保守員53がDビルでの対応作業を完了した場合、保守員端末300にその旨の登録を行う。これにより、管理装置100は、Eビルまでの到着予想時間を再計算し、再計算した到着予想時間がEビルに対して通知される。
【0103】
図1に示したように、エリアE2においては、対応作業が必要なエレベータが存在しない。このため、図4に示すように、エリアE2において保守員53の割当ては行われていない。
【0104】
図3の説明に戻る。到着予想時間の送信処理が終わると、再び、リアルタイム情報162を取得し、マップ生成処理~到着予想時間の送信までの処理を行う。以下、所定時間(たとえば、1秒)ごとに処理を繰り返す。つまり、本実施の形態においては、地震の復旧対応をする保守員53を決定し、その後、リアルタイムで更新されるリアルタイム情報162に基づき、図1で示したマップ画面141、対応者の割当て、客先に提示する到着予想時間等の情報を更新するように構成されている。
【0105】
上述のように、対応者情報には、保守員53の位置情報(現在地)、現在状態情報(対応完了情報)等が含まれる。保守員53の位置情報は時間ごとに更新されるため、ビルまでの距離や渋滞情報等に基づき、到着予想時間がより精度が高いもの更新されることになる。
【0106】
また、保守員53は、保守員端末300に、対応作業が完了したビルの情報を入力する、あるいは、作業にかかる予測時間を入力するようにしてもよい。これらの情報が更新されるたびに到着予想時間が再計算されるため、より精度が高い到着予想時間に更新されることになる。また、対応作業が完了したビルの情報が入力された場合、新たに別のルートが割当てられるようにしてもよいし、ルートを見直して再割当てが行われるようにしてもよい。
【0107】
以下、図11以降の図を用いて、保守員53の割当て(保守員53のスキルと緊急度との関係等)の具体的に説明する。図11は、従業員情報の一例を示す表である。図11に示すように、従業員情報の項目として、「従業員ID」、「所属」、「職務」、「メールアドレス」、「住所」、「スキル情報」が示されている。
【0108】
たとえば、従業員情報には、従業員ID「10023」の保守員53の所属が「S1支社」であり、職務が「保守員」であり、メールアドレスが「xx1@xx.xx」であり、住所が「T1県S1市」であり、スキル情報が「技能レベルB」であることが記録されている。
【0109】
なお、本実施の形態の例では、地震発生エリアE1(対象エリア)を管轄(担当)する支社はS1支社であるとする。S1支社には、技能レベルBの従業員ID「10023」の保守員53、技能レベルAの従業員ID「10024」の保守員53、技能レベルCの従業員ID「10025」の保守員53、技能レベルCの従業員ID「10026」の保守員53が在籍している。従業員ID「10027」の従業員は事務員である。
【0110】
以下、エリアE1における対応者の決定例について説明する。本例では、エリアE1は、商業エリア(図12)と住宅エリア(図13)とから構成されているものとする。
【0111】
商業エリアにおいては高層ビルが多く、高層ビルの対応には保守員のスキルが高いことが望ましいものとする。一方、住宅エリアにおいては階床数の少ない雑居ビルあるいはマンションが多く、低いスキルの保守員でも対応可能であるものとする。
【0112】
図12は、エリアE1の商業エリアでの対応者決定を説明するための図である。エリアE1の商業エリアには高層ビル155が多く、雑居ビル156(マンションを含む)は少ない。ここで、マーク157は、ビルに監視装置200が設置されており、かつ、復旧対応が必要であることを示す。マーク158は、ビルに監視装置200が設置されており、かつ、復旧対応が不要であることを示す。マーク159は、ビルに監視装置200が設置されておらず、復旧対応の要否が不明であることを示す。
【0113】
E1の復旧対応には、エリアE1を管轄するS1支社に所属しかつエリアE1内に住所がある保守員53を割当ててもよいし、単にエリアE1内に住所がある保守員53を割当ててもよい。ただし、現場に慣れており周辺の地理にも詳しいため、S1支社の保守員53を割当てる方がより望ましい。また、管理装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155において、低速エレベータが設置された雑居ビル156よりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。
【0114】
たとえば、管理装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155に対しては技能レベルA,Bの保守員53dを割当て、低速エレベータが設置された雑居ビル156に対しては技能レベルCの保守員を割当てるようにしてもよい。
【0115】
エリアE1に対して割当てるべき保守員53の数が不足した場合は、管理装置100は、現在地がエリアE1内である保守員53(たとえば、出張者、休日でたまたま滞在している者)を割当ててもよいし、E1に隣接するエリアにいる保守員53あるいはS1支社の隣の支社の保守員53から割当ててもよい。
【0116】
また、本実施の形態において、管理装置100は、緊急度の高いビルは、緊急度の低いビルよりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。たとえば、ビル用途が、病院、消防、警察である場合は、緊急度を高く設定する。ビル用途が、オフィスビル、商業ビル等である場合は、上記のものよりも緊急度が低く設定される。
【0117】
たとえば、ビル用途が、病院、消防、警察である場合は、技能レベルAの保守員53が割当てられる確率が高く、その他のビル用途の場合は、技能レベルB,Cの保守員53が割当てられる確率が高くなるようにしてもよい。また、緊急度が高い状況(負傷者が発生している、閉じ込めが発生している)においても、同様の割当てを行う。
【0118】
従業員情報(図11)の具体例を用いて説明する。図11に示した保守員のうち、住所(居所)がエリアE1内にあり、かつ、技能レベルA,Bの保守員(従業員ID:10023,10024)が抽出される。また、現在地がエリアE1内にある技能レベルA,Bの保守員53も抽出するようにしてもよい。
【0119】
そして、従業員ID:10023,10024の保守員が「対応可」として割当てられる。たとえば、図1の例では、技能レベルAである従業員ID:10024の保守員53を、高いスキルを要する経路71cのビル153(閉じ込め発生)に割当てる。
【0120】
次に、エリアE1の住宅エリアでの対応者決定について説明する。図13は、エリアE1の住宅エリアでの対応者決定を説明するための図である。エリアE1の住居エリアには高層ビル155が存在せず、低速エレベータの設置された雑居ビル156(マンションを含む)のみであるとする。
【0121】
上述のように、管理装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155において、低速エレベータが設置された雑居ビル156よりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。たとえば、管理装置100は、低速エレベータの設置された雑居ビル156(マンションを含む)に対しては技能レベルCの保守員53gを割当てるようにしてもよい。
【0122】
従業員情報(図11)の具体例を用いて説明する。図11に示した保守員のうち、住所(居所)がエリアE1内にあり、かつ、技能レベルCの保守員(従業員ID:10025,10026)が抽出される。また、現在地がエリアE1内にある技能レベルCの保守員53も抽出するようにしてもよい。そして、従業員ID:10025,10026の保守員が「対応可」として割当てられる。
【0123】
ここで、マーク159が付されたビル156は、管理装置100に対して地震情報を送信する監視装置200が設置されていない。この場合、当該ビルからの電話連絡等がない限り、保守員53は、当該ビル内に対応作業が必要なエレベータが存在するのか否かを知ることができない。
【0124】
図13に示したように、エリアE1の住宅エリアにおいては、監視装置200が設置されたビルは4件あり、監視装置200が設置されていないビルは4件ある。監視装置200が設置された4件のビルのうち、2件(50%)は対応作業が必要である。
【0125】
監視装置200が設置されていない4件のビルのうち、対応作業が必要なビルが何件であるのか不明である。しかしながら、過去に発生した地震のリアルタイム情報の履歴から、監視装置200が設置されていないビルのうち、対応作業が必要なビルが何件あるのかを推定することは可能である。
【0126】
たとえば、過去の履歴から、監視装置200が設置されている場合と監視装置200が設置されていない場合とで、対応作業が必要なビルの割合が等しいとの結果が得られたとする。この場合、今回、監視装置200が設置されたビルにおいて対応作業が必要なビルの割合は50%であるので、監視装置200が設置されていないビルにおいて対応作業が必要なビル数は、4件×50%=2件と推測することができる。
【0127】
このように、管理装置100は、地震に起因して対応が必要になったエリアにおける対応エレベータの対応台数を推定する。対応台数には、監視装置200が設置されていないビルに設置されている対応エレベータの台数が含まれる。
【0128】
推定は、上述のような方法で行ってもよい。以下、本実施の形態においては、過去の履歴データに基づきAIを用いて学習を行った学習済モデルを用いて推定するように構成する。また、これに限らず、過去の履歴データを用いた公知の推定手法に基づき推定モデルを導出し、これを用いて推定を行うようにしてもよい。
【0129】
図14は、対応者割当て優先度の判断要素を説明するための図である。対応者(対応保守員)は、所定の優先度に基づき割当てられる。この優先度には、「緊急度」および「合理性」といった要素が含まれる。
【0130】
たとえば、エレベータの閉じ込めが発生した状況、あるいは、かご内に負傷者がいるような状況である場合、緊急度が高くなる。このような緊急性が高い状況においては、優先的に救出を行う必要がある。
【0131】
合理性は、復旧作業(対応作業)が完了する時間に関連する要素である。たとえば、保守員53を割当てた際にビルまでの移動ルートに無駄がないか(早く移動できるか)、あるいは、保守員53がその現場に対応可能なスキルを持っているか(スキルがなく無駄に時間がかかってしまわないか)といったものである。
【0132】
管理装置100は、緊急度および合理性といった要素を考慮して保守員53を割当てることによって最適な割当てを行う(緊急度の高い現場に素早く対応しつつ、全体としての対応時間も早くする)。
【0133】
具体的には、データベース情報161およびリアルタイム情報162に含まれる要素として、「緊急度」および「合理性」を示すものは、図11の表に示したものが挙げられる。
【0134】
「緊急度」に対応する項目としては、震度、ビル用途(病院、消防、警察)、特急対象指定、客先からの電話情報、閉じ込めの有無、負傷者の有無などが含まれる。
【0135】
「合理性(復旧時間)」に対応する項目は、「移動時間」に関するものと「作業時間」に関するものとに分類される。「移動時間」に対応する項目としては、保守員53の位置情報、ビルの住所、渋滞情報、感知器設置場所(階床数)、年齢(階床間移動)、地理知識(移動時間)などが含まれる。「作業時間」に対応する項目としては、スキル情報(人的スキル、技術スキル)、感知器の設置台数、機種、エレベータ機種(高速エレベータ)などが含まれる。
【0136】
たとえば、震度が大きく、かつ、渋滞が発生している場合、そのエリアに対する割当て人数を大きくする必要がある。病院、消防、警察は、優先度が高く、技術スキルの高い保守員53を割当てる必要がある。特急対象指定、閉じ込め発生、客先からの電話連絡あり、負傷者ありの場合は、優先的に対応する必要がある。
【0137】
高速エレベータ等、エレベータの機種によっては、技術スキルの高い保守員53を割当てる必要がある。高層ビル、商業エリアである場合も、この傾向が強い。低速エレベータの場合、技術スキルの低い保守員53を割当てても差し支えがない。雑居ビル、住宅エリアであっても、この傾向が強い。
【0138】
また、地震感知器25が機械室(屋上)に設置されている場合は、屋上まで階段で上がる時間を考慮する必要がある。この場合、階床数が多く、保守員の年齢が高い場合、機械室への移動に時間がかかる。また、特殊な地震感知器25が設置されている場合は、その操作に時間がかかる。
【0139】
また、ビルの住所と保守員53の位置情報とに基づき、移動距離・移動時間が短くかつ作業時間が短くなる保守員を割当てる必要がある。その際、時間帯・地域に応じた渋滞情報を加味する必要がある。
【0140】
高層ビルが立ち並ぶ商業エリアにおいては、階床数が多くエレベータ台数が多いために時間がかかる等、エリアによっても多くの人員を配備すべき場所がある。こういった、どの時間帯のどのエリアが渋滞し、どのエリアの作業に時間がかかり、多くの人員を配置すべきかといった傾向は、過去の履歴情報から把握することができる。
【0141】
以上例示したように、データベース情報161およびリアルタイム情報162の履歴(入力データ)と、実際にルートが割当てられた保守員53(対応保守員)に関する対応情報(出力データ)との間には、一定の相関関係がある。ここで、「対応情報」は、対応保守員と、対応保守員のルートと、対応保守員の到着予想時間・作業予想時間とを含む。
【0142】
このため、本実施の形態においては、AI(Artificial Intelligence)を用いた「対応情報」の決定を行う。たとえば、入力データおよび出力データの組合せからなる学習用データに基づいて、入力Xから出力Yを推論する学習済モデルを生成する。たとえば、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習を用いて、学習を行うことができる。モデル生成に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもできる。
【0143】
本実施の形態では、メモリ112は、学習済モデル168を記憶する。管理装置100は、データベース情報161およびリアルタイム情報162を学習済モデル168に入力することで、学習済モデル168から対応情報を推定結果として出力する。学習済モデル168は、データベース情報161およびリアルタイム情報162の履歴が入力された際に、対応情報(対応保守員、対応保守員の対応ルート、対応保守員の対応時間情報(到着予想時間、作業予想時間))を推定結果として出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施されたモデルである。
【0144】
具体的には、上述した入出力データのセットを用いて、学習処理を行う。そして、得られた学習済モデルを用いて、データベース情報161およびリアルタイム情報162を入力データし、対応情報を出力データ(推定結果)とする推定処理を行う。以下、図15図16を用いて、学習処理について説明する。
【0145】
上記の「入力データ」および「出力データ」は、図15に示す通りである。図15は、学習用データセット167を説明するための図である。図15に示すように、入力データ165は、データベース情報163と履歴情報164とを含む。出力データ166は、対応情報を含む。
【0146】
ここで、対応情報は、対応保守員と、対応保守員の対応ルートと、対応保守員の対応時間情報(到着時間、作業時間)とを含む。対応保守員は、過去のリアルタイム情報162の履歴のうち、実際に割当てられた保守員53に関する情報の1つである。対応ルートは、割当てられた保守員53が、実際に対応したルートである。対応時間情報は、割当てられた保守員53が、実際に対応に要した時間であり、割当てられたビルまでの到着時間とエレベータの対応作業に要した作業時間を含む。
【0147】
この出力データ166に対応するデータベース情報161および過去のリアルタイム情報162が入力データ165(データベース情報163、履歴情報164(リアルタイム情報162の履歴))となる。入力データ165には、保守員53が実際に対応した際の震度情報、渋滞情報、ビル用途、保守員のスキル情報等の各種情報が含まれる。
【0148】
そして、学習用データセット167として、入力データ165に対する出力データ166の組合せを用意する。ここで、出力データ166が正解データとなる。
【0149】
たとえば、実際に、高層ビルや緊急度の高い現場には技術スキルの高い保守員53が割当てられ、また、現場に近い保守員53が対応している。このため、原則としては、抽出した入出力データをそのまま教師データとして使用することもできる。
【0150】
ただし、人の手によって、不適切なデータを除外して、最適な入力データ165および出力データ166の組合せを選択するようにしてもよい。たとえば、技術スキルの低い保守員を割当ててしまったために、顧客からのクレームが発生した、あるいは、その対応に時間がかかってしまったようなデータは、教師データとして不適切であるので除外するようにしてもよい。
【0151】
図16は、学習処理のフローチャートである。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。図16に示すように、学習処理が開始すると、管理装置100は、S101において、学習用データセット167の中から学習用データを選択し、処理をS102に進める。
【0152】
管理装置100は、S102において、選択した学習用データを推定モデルに入力し、処理をS103に進める。管理装置100は、S103において、推定処理を実行し推定結果を出力し、処理をS54に進める。管理装置100は、S104において、推定結果と学習用データに対応する正解データとの誤差に基づき推定モデルのパラメータを更新し、処理をS105に進める。
【0153】
管理装置100は、S105において、全ての学習用データに基づき学習したか否かを判定する。管理装置100は、全ての学習用データに基づき学習したと判定した場合(S105でYES)、処理をS106に進める。管理装置100は、全ての学習用データに基づき学習したと判定しなかった場合(S105でNO)、処理をS101に戻す。
【0154】
管理装置100は、S106において、学習済みの推定モデルを学習済モデル168として記憶し、学習処理を終了する。
【0155】
以下、本実施の形態の主な構成および効果を説明する。管理装置100は、地震が発生した場合のエレベータに対する対応を管理する装置である。管理装置100は、プロセッサ111と、プロセッサ111によって実行可能なプログラムを記憶するメモリ112とを備える。メモリ112は、エレベータが設置されたビルの情報と、エレベータを保守する保守員53の情報とを含むデータベース情報161を記憶する。プロセッサ111は、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの地震に関連した第1情報と、対応エレベータの対応に関連した保守員53の第2情報とを含むリアルタイム情報162を取得する。プロセッサ111は、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき、保守員53の中から対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定する。プロセッサ111は、対応保守員が使用する保守員端末300に対して対応エレベータへのルート情報を送信する。このようにすることで、地震復旧対応が必要なエレベータに対して効率よく保守員53を割当てることができる。
【0156】
プロセッサ111は、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき、対応エレベータが設置されたビルへの対応保守員の到着予想時間を推定する。プロセッサ111は、リアルタイム情報162を定期的に取得する。プロセッサ111は、データベース情報161と、定期的に取得されるリアルタイム情報162とに基づき、到着予想時間を更新する。このようにすることで、利用者に対して、対応保守員のより正確な到着予想時間を通知することができる。到着予想時間を知ることで、利用者のイライラが解消され、安心感を得ることができる。
【0157】
ビルには、管理装置100から送信された情報に基づき表示を行う乗場表示装置26が設けられている。プロセッサ111は、乗場表示装置26に到着予想時間を表示させるために、更新された到着予想時間を定期的に送信する。このようにすることで、エレベータの利用者に対して、対応保守員のより正確な到着予想時間を通知することができる。到着予想時間を知ることで、利用者のイライラが解消され、安心感を得ることができる。
【0158】
管理装置100は、エレベータの利用者が使用する利用者端末400と通信可能に構成されている。プロセッサ111は、利用者端末400に到着予想時間を表示させるために、管理装置100に接続した利用者端末400に対して、更新された到着予想時間を定期的に送信する。このようにすることで、ビルの管理人・オーナー、あるいは、エレベータの利用者(とくに、かごの中に閉じ込められている乗客)に対して、対応保守員のより正確な到着予想時間を通知することができる。到着予想時間を知ることで、利用者のイライラが解消され、安心感を得ることができる。
【0159】
ルート情報は、対応保守員が選択可能な複数のルートを含む。プロセッサ111は、複数のルートのうち、対応保守員が選択したルートを対応保守員に割当てる。このようにすることで、保守員53のその場の状況に合わせて最適なルートを選択することができる。
【0160】
管理装置100は、対応エレベータを監視する監視装置200と通信可能に構成されている。第1情報は、監視装置200から受信した情報と、対応エレベータに関して受けた電話の情報と、閉じ込め状態の有無と、対応エレベータにおける負傷者の有無とを含む。閉じ込め状態は、対応エレベータのかごの扉が開かないためにかご内に乗客が閉じ込められた状態である。第2情報は、対応保守員の位置情報と、対応エレベータに対する対応保守員の対応状況とを含む。このようにすることで、たとえば、閉じ込め状態等の緊急度を示す情報と、対応保守員の位置情報等の合理性(復旧時間)を示す情報に基づき、地震復旧対応が必要なエレベータに対してより効率よく保守員53を割当てることができる。
【0161】
ビルの情報は、ビルの用途と、ビルを優先的に対応するか否かの指定と、ビルの所在地と、エレベータに関する情報と、監視装置200の設置有無と、エレベータに対応して設置された地震感知器25に関する情報とを含む。保守員53の情報は、保守員53の、年齢と、居所と、保守に関するスキル情報と、地理に関する知識とを含む。このようにすることで、たとえば、ビルの用途等の緊急度を示す情報と、ビルの所在地等の合理性(復旧時間)を示す情報に基づき、地震復旧対応が必要なエレベータに対してより効率よく保守員53を割当てることができる。
【0162】
プロセッサ111は、地震に起因して対応が必要になったエリアにおける対応エレベータの対応台数を推定する。対応台数には、監視装置200が設置されていないビルに設置されている対応エレベータの台数が含まれる。このようにすることで、監視装置200が設置されていないビルであっても、地震復旧対応が必要なエレベータに対して効率よく保守員53を割当てることができる。
【0163】
メモリ112は、学習済モデル168をさらに記憶する。プロセッサ111は、データベース情報161およびリアルタイム情報162を学習済モデル168に入力することで、学習済モデル168から対応情報を推定結果として出力する。対応情報は、対応保守員と、対応保守員のルート情報と、対応保守員の到着予想時間とを含む。学習済モデル168は、データベース情報161およびリアルタイム情報162の履歴が入力された際に、対応情報を推定結果として出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施されたモデルである。このようにすることで、過去の履歴情報が示す傾向を利用し、地震復旧対応が必要なエレベータに対してより効率よく保守員53を割当てることができる。
【0164】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0165】
10 エレベータシステム、20 群管理制御装置、25 地震感知器、26 乗場表示装置、30 各台管理制御装置、40 かご装置、53,53d,53g 保守員、54 従業員、71a~e 経路、90 情報センタ、100 管理装置、111,211,311,411 プロセッサ、112,212,312,412 メモリ、113,213,313,413 通信インターフェイス、121,321,421 表示部、141 マップ画面、151~153 ビル、155 高層ビル、156 雑居ビル、157~159 マーク、161 データベース情報、162 リアルタイム情報、163 データベース情報、164 履歴情報、165 入力データ、166 出力データ、167 学習用データセット、168 学習済モデル、200 監視装置、300 保守員端末、320,420 入力部、400 利用者端末。
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