(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135973
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ブース
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20230922BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230922BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20230922BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L2/10
F24F8/22
E04H1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041348
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】奥村 洋治
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真伊知
(72)【発明者】
【氏名】小谷 朋央貴
(72)【発明者】
【氏名】木村 健一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋
(72)【発明者】
【氏名】和田 智之
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴代
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD13
4C058DD16
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK12
4C058KK23
4C058KK26
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH05
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL04
(57)【要約】
【課題】ウイルスまたは菌の拡散を防止するブースを提供すること。
【解決手段】ブースは、天井部および少なくとも2つの壁部を含む内部空間が形成されるようにフレームで骨組みされた枠体と、内部空間への人の入室が可能なように少なくとも2つの壁部の一方を覆う被覆材と、内部空間に第1のUV光を照射可能な光源ユニットと、内部空間の外の人を感知する第1のセンサと、内部空間の中の人を感知する第2のセンサと、第1のセンサおよび第2のセンサの少なくとも一方からの検出信号に基づき、光源ユニットを制御する制御部と、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井部および少なくとも2つの壁部を含む内部空間が形成されるようにフレームで骨組みされた枠体と、
前記内部空間への人の入室が可能なように前記少なくとも2つの壁部の一方を覆う被覆材と、
前記内部空間に第1のUV光を照射可能な光源ユニットと、
前記内部空間の外の前記人を感知する第1のセンサと、
前記内部空間の中の前記人を感知する第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサの少なくとも一方からの検出信号に基づき、前記光源ユニットを制御する制御部と、を含む、ブース。
【請求項2】
前記少なくとも2つの壁部の他方は開口されている、請求項1に記載のブース。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のUV光の強度が変化するように前記光源ユニットを制御する、請求項1または請求項2に記載のブース。
【請求項4】
前記第1のUV光は、200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有する、請求項1または請求項2に記載のブース。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1のセンサからの前記検出信号に基づき、前記第1のUV光を照射しないように前記光源ユニットを制御する、請求項4に記載のブース。
【請求項6】
前記第1のUV光は、200nm以上230nm以下の範囲内の波長を有する、請求項1または請求項2に記載のブース。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1のセンサからの前記検出信号に基づき、前記第1のUV光を照射するように前記光源ユニットを制御する、請求項6に記載のブース。
【請求項8】
前記光源ユニットは、さらに、第2のUV光を照射可能であり、
前記第2のUV光は、200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有する、請求項6に記載のブース。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1のセンサからの前記検出信号に基づき、前記第1のUV光を照射し、かつ、前記第2のUV光を照射しないように前記光源ユニットを制御する、請求項8に記載のブース。
【請求項10】
前記光源ユニットは、複数設けられている、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のブース。
【請求項11】
さらに、前記光源ユニットを駆動可能な駆動部を含む、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のブース。
【請求項12】
さらに、前記天井部に送風ユニットが設置されている、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、感染症を予防するため、任意の場所において簡易的に設置可能なブースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年流行しているインフルエンザまたは新型コロナウイルスをはじめとする感染症が拡大する要因として、飛沫感染、空気感染、および接触感染が知られており、感染症の予防としては、これらの要因に対する予防を講じることが重要である。特に、患者の集まる病院などの医療施設では、感染リスクは高く、上述した要因によって医療施設内で感染症が拡大するクラスターが発生しやすい。そのため、医療施設内の空調機または室内に殺菌灯を設け、ウイルスを不活性化する技術が知られている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-116924号公報
【特許文献2】特開2017-18442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、医療施設では、医療従事者の移動も多く、医療従事者の移動に伴い空気中に浮遊したウイルスまたは菌が部屋から部屋へと拡散される場合も少なくない。そのため、感染症の予防対策としては、ウイルスまたは菌を不活性化するだけでなく、ウイルスまたは菌の拡散を防止することも重要である。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、ウイルスまたは菌の拡散を防止するブースを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るブースは、天井部および少なくとも2つの壁部を含む内部空間が形成されるようにフレームで骨組みされた枠体と、内部空間への人の入室が可能なように少なくとも2つの壁部の一方を覆う被覆材と、内部空間に第1のUV光を照射可能な光源ユニットと、内部空間の外の人を感知する第1のセンサと、内部空間の中の人を感知する第2のセンサと、第1のセンサおよび第2のセンサの少なくとも一方からの検出信号に基づき、光源ユニットを制御する制御部と、を含む。
【0007】
少なくとも2つの壁部の他方は開口されていてもよい。
【0008】
制御部は、第1のUV光の強度が変化するように光源ユニットを制御してもよい。
【0009】
第1のUV光は、200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有してもよい。また、制御部は、第1のセンサからの検出信号に基づき、第1のUV光を照射しないように光源ユニットを制御してもよい。
【0010】
第1のUV光は、200nm以上230nm以下の範囲内の波長を有してもよい。また、制御部は、第1のセンサからの検出信号に基づき、第1のUV光を照射するように光源ユニットを制御してもよい。
【0011】
光源ユニットは、さらに、第2のUV光を照射可能であり、第2のUV光は、200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有してもよい。また、制御部は、第1のセンサからの検出信号に基づき、第1のUV光を照射し、かつ、第2のUV光を照射しないように光源ユニットを制御してもよい。
【0012】
光源ユニットは、複数設けられていてもよい。
【0013】
ブースは、さらに、光源ユニットを駆動可能な光源ユニット駆動部を含んでいてもよい。
【0014】
ブースは、さらに、天井部に送風ユニットが設置されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態に係るブースにはUV光の照射可能な光源ユニットが設けられており、外部空間から隔離されたブースの内部空間ではUV光の照射によってウイルスまたは菌が不活性化される。そのため、ブースの内部空間は、外部空間よりもウイルスまたは菌の数が低減した清浄化された空気を有する。したがって、人の移動経路や作業場所において、ブースを使用することにより、ウイルスまたは菌の拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明の一実施形態に係るブースの外観を示す模式的な斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係るブースの外観を示す模式的な斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブースの光源ユニットおよび光源ユニット支持部を示す模式的な斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るブースの制御の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るブースの使用態様を示す模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るブースの制御方法を示すフローチャート図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るブースの使用態様を示す模式図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るブースの使用態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施形態はあくまで一例にすぎず、当業者が、発明の主旨を保ちつつ適宜変更することによって容易に想到し得るものについても、当然に本発明の範囲に含まれる。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、または形状などが模式的に表される場合がある。しかし、図示された形状などはあくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0018】
本明細書において、説明の便宜上、「上」もしくは「上方」または「下」もしくは「下方」という語句を用いて説明するが、これらの語句は各構成の上下関係を説明しているに過ぎない。例えば、構造物が設置される場合、構造物が通常設置される設置面側を「下」または「下方」とする。
【0019】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、または「第3」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0020】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これらの複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、大文字のアルファベットを添えて表記する場合がある。また、1つの構成のうちの複数の部分を区別して表記する際には、ハイフンと自然数を用いる場合がある。
【0021】
<第1実施形態>
図1A~
図6を参照して、本発明の一実施形態に係るブース10について説明する。
【0022】
[1.ブース10の構成]
図1Aおよび
図1Bの各々は、本発明の一実施形態に係るブース10の外観を示す模式的な斜視図である。具体的には、
図1Aは、ブース10の正面11の上方から俯瞰した斜視図であり、
図1Bは、ブース10の背面12の上方から俯瞰した斜視図である。
【0023】
ブース10は、複数のフレーム材によって骨組みされた枠体100を含む。すなわち、枠体100は、ブース10の骨格を形成するものである。複数のフレーム材が支柱または梁として接続されることにより、枠体100の床部101、天井部102、および複数の壁部103が形成される。また、枠体100は、床部101、天井部102、および複数の壁部103によって囲まれた内部空間を有する。なお、枠体100の内部空間は、ブース10の内部にも対応することから、以下では、枠体100の内部空間を、ブース10の内部として説明する場合がある。
【0024】
図1Aおよび
図1Bに示す枠体100は、矩形箱体状(すなわち、床面に平行な断面視において矩形状)を有し、4つの壁部103(第1の壁部103-1、第2の壁部103-2、第3の壁部103-3、および第4の壁部103-4)が形成されている。但し、枠体100の形状はこれに限られない。枠体100は、フレーム材の組み合わせにより様々な形状を有することが可能であり、枠体100の形状は、人の入室が可能な出入口として機能する第1の壁部103-1および第2の壁部103-2を有する構造であれば、ブース10の設置場所に対応した形状とすることができる。例えば、ブース10を通路の曲がり角に設置する場合、枠体100は、L字箱体状(すなわち、床面に平行な断面視においてL字形状)を有していてもよい。なお、枠体100のフレーム材としては、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属材を用いることができる。
【0025】
枠体100の天井部102および3つの壁部103(第1の壁部103-1、第3の壁部103-3、および第4の壁部103-4)の各々は、被覆材110によって覆われている。一方、枠体100の残りの1つの壁部(第2の壁部103-2)は、被覆材110によって覆われていない。具体的には、ブース10の正面11を構成する枠体100の第1の壁部103-1には、被覆材110が設けられているが、ブース10の背面12を構成する枠体100の第2の壁部103-2には、被覆材110が設けられおらず、ブース10の背面12は開口されている。
【0026】
被覆材110としては、例えば、塩化ビニルなどの柔軟性を有する樹脂シートを用いることができる。なお、被覆材110は、帯電防止の樹脂シートであることが好ましい。例えば、被覆材110は、透明な帯電防止ビニルカーテンのような構成とすることができる。この場合、ブース10の正面11では、被覆材110は、枠体100のフレーム材に設けられたカーテンレールに吊り下げる構成とすることができる。このような構成とすることで、人は、吊り下げられた被覆材110を開いて、ブース10内に入室することができる。なお、ブース10の正面11において、吊り下げられた被覆材110は2つに分割されていてもよい。例えば、2つの被覆材110は、お互いの端部が重畳して吊り下げられ、一方の被覆材110を開くことによってブース10の正面11の一部が開口され、人は、ブース10内に入室することができる。
【0027】
ブース10は、枠体100の内部空間に紫外線(以下、「UV光」とする。)を照射可能な複数の光源ユニット120を備えている。光源ユニット120は、枠体100のフレーム材に接続された光源ユニット支持部130によって支持されている。光源ユニット支持部130は、枠体100の天井部、第3の壁部103-3、および第4の壁部103-4に配置されている。
【0028】
ここで、
図2を参照して、光源ユニット支持部130による光源ユニット120の支持の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るブース10の光源ユニット120および光源ユニット支持部130を示す模式的な斜視図である。光源ユニット支持部130は、3つの平板で構成される断面コの字状を有し、対向する2つの平板の各々には、一定の間隔で複数の貫通孔131が設けられている。光源ユニット120は、対向する2つの平板の間に配置され、貫通孔131に挿通された係止片132によって光源ユニット支持部130に係止されている。光源ユニット120は、係止片132を挿通する貫通孔131の位置を変えることによって、ブース10における光源ユニット120の高さを調整することができる。また、光源ユニット120の傾きを変えて光源ユニット支持部130に係止することによって、光源ユニット120からのUV光の照射方向を調整することができる。光源ユニット支持部130は、断面コの字状でなくてもよい。また、光源ユニット支持部130は、複数設けられていてもよい。
【0029】
光源ユニット支持部130には、1つまたは複数の光源ユニット120を係止することができる。光源ユニット120の数は、枠体100の内部空間の大きさ、またはUV光の照射範囲を考慮して決定することができる。また、光源ユニット支持部130の配置も、枠体100の内部空間の大きさ、またはUV光の照射範囲を考慮して決定することできる。
【0030】
上述したように、光源ユニット120は、枠体100の内部空間にUV光を照射することができる。光源ユニット120から照射されるUV光は、200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有する。例えば、光源ユニット120として、紫外線LED(UV-LED)を含むことができる。また、光源ユニット120には、上述した範囲外の波長をカットする波長カットフィルタが含まれていてもよい。上述した範囲に波長のピークを有するUV光は、ウイルスまたは菌(以下、便宜上、単に「ウイルス」と記載して説明する。)を不活性化することができる。すなわち、ブース10の内部に浮遊し、または付着したウイルスは、光源ユニット120から照射されるUV光によって不活性化される。UV光の照射時間は、例えば、0.1秒以上であり、好ましくは180秒以上である。この時間のUV光の照射であれば、ウイルスを十分に不活性化することができる。なお、UV光は、ブース10の内部全体にわたって照射されてもよく、ブース10の内部の一部にのみ照射されてもよい。また、光源ユニット120には、UV光の照射形状を変化させる光学素子が含まれていてもよい。
【0031】
光源ユニット支持部130は、上述した構成に限られない。光源ユニット支持部130は、光源ユニット120を一定方向に移動させ、または光源ユニット120の照射方向を変更する駆動部が設けられていてもよい。駆動部が設けられることにより、ブース10の内部の任意の場所にUVを照射することができる。また、UV光の照射範囲が広がるため、光源ユニット120の数を削減することができる。
【0032】
ブース10は、ブース10の内部の空気を排出し、またはブース10の外部の空気を吸入する送風ユニット140を備えていてもよい。送風ユニット140は、枠体100の天井部102を形成するフレーム材に接続された送風ユニット支持部150上に配置されている。送風ユニット140は、例えば、空気の流れを形成する送風ファンおよび空気を清浄化する空気清浄フィルタを含む。送風ファンによってブース10の内部の空気が排出される場合には、空気だけでなく、光源ユニット120によって生じる熱も排出することができる。また、空気清浄フィルタは、フィルタ繊維を含み、フィルタ繊維を通過する空気に含まれる微粒子またはウイルスを捕集することができる。空気清浄フィルタとして、例えば、HEPAフィルタまたはULPAフィルタなどを用いることができる。また、空気清浄フィルタは、フィルタ繊維に酵素が固定化された殺菌空気清浄フィルタであってもよい。この場合、フィルタ繊維に捕集されたウイルスは、酵素によって分解される。すなわち、ウイルスを不活性化させることができる。また、送風ユニット140は、さらに、上述した光源ユニット120と同様の光源ユニットを含んでいてもよい。送風ユニット140がUV光の照射可能な光源ユニットを含むことにより、空気清浄フィルタにUV光を照射し、空気清浄フィルタに捕集されたウイルスを不活性化することができる。これにより、ブース10の外部へ排出する空気またはブース10の内部へ吸入する空気中のウイルスを低減することができる。したがって、ブース10が設置されることにより、ブース10の内部またはブース10の近傍の空気が清浄化される。
【0033】
ブース10は、さらに、ブース10の正面11から入室し、または退室する人を感知する第1のセンサ160-1、およびブース10に入室している人、またはブース10の背面12から入室し、もしくは退室する人を感知する第2のセンサ160-2を備えている。第1のセンサ160-1および第2のセンサ160-2の各々は、人を感知すると検出信号を生成することができる。第1のセンサ160-1は、正面11を構成する枠体100の上方に位置するフレーム材(天井部102を形成する枠体100を形成するフレーム材)に設置することができる。また、第2のセンサ160-2は、正面11を構成する枠体100の上方に位置するフレーム材(天井部102を形成する枠体100を形成するフレーム材)を挟んで、第1のセンサ160-1の反対の位置に設置することができる。但し、第1のセンサ160-1および第2のセンサ160-2の設置位置はこれに限られない。第2のセンサ160-2は、ブース10内に人が入室することを検知できる場所に設置されていればよく、例えば、第2のセンサ160-2は、天井部102を形成する枠体100に、または天井部102に設けられた支持部に、設置することもできる。なお、第1のセンサ160-1および第2のセンサ160-2の各々として、例えば、赤外線センサ、画像センサなどを用いることができる。
【0034】
ブース10は、さらに、光源ユニット120を制御する制御部170を含む。ここで、
図3を参照して、ブース10の制御について説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るブース10の制御の構成を説明するブロック図である。制御部170は、データまたは情報を用いて演算処理を行うことができるコンピュータである。制御部170は、例えば、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ(Micro Processing Unit:MPU)、またはランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)などを含む。制御部170は、有線または無線によって、光源ユニット120、第1のセンサ160-1、および第2のセンサ160-2と通信可能に接続されている。具体的には、制御部170は、プログラムを実行し、第1のセンサ160-1または第2のセンサ160-2からの検出信号を受信し、検出信号に基づいてUV光の照射を開始し、または停止するように、光源ユニット120に制御信号を送信することができる。なお、制御部170は、枠体100の天井部の上方に制御ボックスのような構成で配置することができるが、これに限定されない。
【0035】
再び、
図1Aおよび
図1Bに戻ると、ブース10は、さらに、操作部180を備えていてもよい。操作部180は、光源ユニット120および送風ユニット140の動作を設定し、または変更することができる。例えば、操作部180からの操作指示に基づいて、光源ユニット120の照射時間または照射強度を設定し、または変更することができる。また、光源ユニット支持部130に光源ユニット駆動部が設けられている場合には、光源ユニット120の移動速度または照射方向を設定し、変更することができてもよい。さらに、操作部180には、ブース10に入退室する人を記録するために、情報端末装置、およびRFIDタグまたはバーコードなどを読み取るリーダ装置が含まれていてもよい。これにより、ブース10を通過する人の入室時間を管理することができる。また、詳細は後述するが、人にUV光が照射される場合には、人へのUV光の照射時間を管理することもできる。
【0036】
[2.ブース10の使用態様]
図4は、本発明の一実施形態に係るブース10の使用態様を示す模式図である。
図4に示すように、第1の空間500-1と第2の空間500-2とは、扉510が設けられた壁520を挟んで接続されている。すなわち、人は、扉510を開き、第1の空間500-1から第2の空間500-2へ、または第2の空間500-2から第1の空間500-1へ移動することができる。第1の空間500-1および第2の空間500-2は、部屋の空間であってもよく、通路の空間であってもよい。
【0037】
第1の空間500-1において、ブース10は、背面12が壁520に接するように設置されている。この場合、枠体100の第2の壁部103-2の開口が壁520によって塞がれるため、ブース10の内部空間は、外部空間から隔離される。また、ブース10の背面12は壁520の扉510を覆っている。そのため、正面11からブース10に入室した人は、ブース10の内部を通り、扉510を開き、ブース10の背面12から退室する。また、扉510を開き、背面12からブース10に入室した人は、ブース10の内部を通り、ブース10の正面11から退室する。上述したように、ブース10の内部では、ウイルスが不活性化され、空気が清浄化されている。そのため、第1の空間500-1がウイルスで汚染されていても、扉510が開かれたときに、第1の空間500-1の汚染された空気が第2の空間500-2に直接流れ込むことを防止することができる。また、人に付着していたウイルスは、人がブース10を通過する際に離れ、人に付着したウイルスの数が低減する効果も期待できる。したがって、人の移動経路の途中にブース10を設置することによりウイルスの拡散を防止することができ、主に、空気感染および接触感染を抑制することができる。
【0038】
[3.ブース10の制御方法]
ブース10では、人の通過の有無にかかわらず、光源ユニット120からUV光が照射されていてもよい。例えば、人がUV光を遮光する防護服またはシールドを着用している場合、光源ユニット120からUV光が照射されていても、UV光が人に影響を及ぼすことはほとんどない。むしろ、人がブース10を通過する際に、付着していたウイルスにUV光が照射されるため、付着したウイルスが不活性化され、ウイルスの拡散をさらに防止することができる。
【0039】
一方、UV光の200nm以上400nm以下の範囲の波長には、人に有害なUV光も含まれる。そのため、人がUV光を遮光する防護服またはシールドを着用していない場合には、人がブース10を通過する際には、光源ユニット120からのUV光の照射が停止されていることが好ましい場合もある。そこで、
図5および
図6を参照して、この場合におけるブース10の制御方法について説明する。
【0040】
図5および
図6は、本発明の一実施形態に係るブース10の制御方法を説明するフローチャートである。
【0041】
図5は、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS100~ステップS140の処理を含む。
【0042】
ステップS100では、第1のセンサ160-1が、ブース10の正面11に近づく人を感知し、検出信号を生成する。第1のセンサ160-1からの検出信号は、制御部170に送信される。これにより、制御部170は、ステップS110~ステップS140の処理を実行することができる。
【0043】
ステップS110では、制御部170が、UV光の照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オフ状態となる。具体的には、光源ユニット120がUV光を照射していない場合には、UV光照射オフ状態が維持され、光源ユニット120がUV光を照射している場合には、UV光の照射が停止され、UV光源ユニット120がUV光照射オフ状態となる。したがって、人がブース10の正面11に近づくと、人にUV光が照射されないように光源ユニット120が制御される。
【0044】
ステップS120では、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS120:YES)、ステップS110が再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知し、検出信号を生成する。第2のセンサ160-2から検出信号が制御部170に送信されている間は、第1のセンサ160-1で感知された人がブース10に入室したと判断することができる。そのため、ステップS110が実行されて、ブース10に入室している人にUV光が照射されない。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS120:NO)、ステップS130が実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、扉510を開き、ブース10の背面12から退室したと判断することができる。
【0045】
ステップS130では、制御部170が、UV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オン状態となる。なお、制御部170は、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しなくなった後、所定の時間の経過後にUV光の照射を開始するように制御することもできる。光源ユニット120からUV光が照射されることにより、ブース10の内部に残留するウイルスを不活性化し、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0046】
ステップS140では、制御部170が、UV光の照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オフ状態となる。ステップS140が実行されると、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法に関する処理が終了する。
【0047】
図6は、人が背面12からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS200~ステップS240の処理を含む。
【0048】
ステップS200では、第2のセンサ160-2が、扉510を開き、扉510からブース10内に入ろうとする人を感知すると、検出信号を生成する。第2のセンサ160-2からの検出信号は、制御部170に送信される。これにより、制御部は、ステップS210~ステップS240の処理を実行することができる。
【0049】
ステップS210では、制御部170が、UVの照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オフ状態となる。具体的には、光源ユニット120がUV光を照射していない場合には、UV光照射オフ状態が維持され、光源ユニット120がUV光を照射している場合は、UV光の照射が停止され、UV光照射オフ状態となる。したがって、人がブース10の背面12から入室する場合、人にUV光が照射されないように光源ユニット120が制御される。
【0050】
ステップS220では、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS220:YES)、ステップS210が再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知するため、第2のセンサ160-2から検出信号が送信されている間は、人がブース10から退室していないと判断する。そのため、ステップS210が実行されて、ブース10に入室している人にUV光が照射されない。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS220:NO)、ステップS230が実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、ブース10の正面11から退室したと判断することができる。
【0051】
ステップS230では、制御部170が、UV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オン状態となる。なお、制御部170は、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しなくなった後、所定の時間の経過後にUV光の照射を開始するように制御することもできる。光源ユニット120からUV光が照射されることにより、ブース10の内部に残留するウイルスを不活性化し、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0052】
ステップS240では、制御部170が、UV光の照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV照射のオフ状態となる。ステップS240が実行されると、人が背面12からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法に関する処理が終了する。
【0053】
なお、上述の制御方法では、光源ユニット120がUV光照射オフ状態となるステップS140またはステップS240が実行されて処理が終了するが、その後、周期的にUV光照射オフ状態とUV光照射オン状態とが繰り返されるように、光源ユニット120が制御されてもよい。これにより、定常的に、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係るブース10は、扉510を覆うように壁520に接して設置されることにより、ブース10の内部空間は、外部空間から隔離される。また、ブース10にはUV照射可能な光源ユニット120が設けられており、ブース10の内部空間の空気を清浄化することができる。そのため、扉が開かれても、一方の空間500の汚染された空気が、他方の空間500に直接流入することを抑制することができる。したがって、人の移動や作業において、ブース10を使用することにより、ウイルスの拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【0055】
<変形例1>
UV光の波長が200nm以上230nm以下の範囲内である場合、このUV光は、人に対する安全性が確認されている。そのため、人がブース10に入室していても、200nm以上230nm以下の範囲の波長を有するUV光の照射が人に及ぼす影響は小さい。むしろ、人がブース10を通過する際に、付着していたウイルスにUV光が照射されるため、付着したウイルスが不活性化され、ウイルスの拡散をさらに防止することができる。そのため、この場合、ブース10では、人の通過の有無にかかわらず、光源ユニット120からUV光が照射されてもよい。一方、この場合、上述したブース10の制御方法とは別の制御方法を用いることもできる。そこで、
図7および
図8を参照して、一変形例に係るブース10の制御方法について説明する。
【0056】
図7および
図8は、本発明の一実施形態に係るブース10の制御方法を説明するフローチャートである。なお、以下では、上述した構成と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
【0057】
図7は、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS100A~ステップS120AおよびステップS140Aの処理を含む。ステップS100AおよびステップS140Aは、それぞれ、ステップS100およびステップS140と同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
ステップS110Aでは、制御部170が、UV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オン状態となる。具体的には、光源ユニット120がUV光を照射していない場合には、UV光の照射が開始され、UV光源ユニット120がUV光照射オン状態となり、光源ユニット120がUV光を照射している場合には、UV光照射オン状態が維持される。したがって、人がブース10の正面11に近づくと、人にUV光が照射されるように光源ユニット120が制御される。
【0059】
ステップS120Aでは、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS120A:YES)、ステップS110Aが再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知するため、第2のセンサ160-2から検出信号が送信されている間は、第1のセンサ160-1で感知された人がブース10に入室したと判断する。そのため、ステップS110Aが実行されて、ブース10に入室している人にUV光が照射される。光源ユニット120からUV光が照射されることにより、ブース10内の空気を清浄化することができるとともに、人に付着したウイルスを不活性化することができる。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS120A:NO)、ステップS140Aが実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、扉510を開き、ブース10の背面12から退室したと判断することができる。
【0060】
図8は、人が背面12からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS200A~ステップS220AおよびステップS240Aの処理を含む。ステップS200AおよびステップS240Aは、それぞれ、ステップS200およびステップS240と同様であるため、その説明を省略する。
【0061】
ステップS210Aでは、制御部170がUV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV照射オン状態となる。具体的には、光源ユニット120がUV光を照射していない場合には、UV光の照射が開始され、UV光源ユニット120がUV光照射オン状態となり、光源ユニット120がUV光を照射している場合には、UV光照射オン状態が維持される。したがって、人がブース10の背面12から入室する場合、人にUV光が照射されるように光源ユニット120が制御される。
【0062】
ステップS220Aでは、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS220A:YES)、ステップS210Aが再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知するため、第2のセンサ160-2から検出信号が送信されている間は、人がブース10から退室していないと判断する。そのため、ステップS210Aが実行されて、ブース10に入室している人にUV光が照射される。光源ユニット120からUV光が照射されることにより、ブース10内の空気を清浄化することができるとともに、人に付着したウイルスを不活性化することができる。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS220A:NO)、ステップS240Aが実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、ブース10の正面11から退室したと判断することができる。
【0063】
なお、上述の制御方法では、光源ユニット120がUV光照射オフ状態となるステップS140AまたはステップS240Aが実行されて処理が終了するが、その後、周期的にUV光照射オフ状態とUV光照射オン状態とが繰り返されるように、光源ユニット120が制御されてもよい。これにより、定常的に、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0064】
また、上述の制御方法では、制御部170が、UV光照射オフ状態またはUV光照射オフ状態となるように光源ユニット120を制御したが、制御部170は、UV光の強度が変化するように光源ユニット120を制御することもできる。例えば、人がブース10内に入室していないときにはUV光の強度を大きくし、人がブース10内に入室しているときには、UV光の強度を小さくしてもよい。このように、UV光の強度が調整されることにより、UV光を人に照射した際の安全性を高めることができる。
【0065】
以上説明したように、一変形例に係るブース10の制御方法では、ブース10を通過する人にUV光を照射することができるため、人に付着したウイルスを不活性化することができる。そのため、人の移動において、ウイルスまたは菌の拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【0066】
<変形例2>
光源ユニット120は、波長の異なる複数のUV-LEDを含んでいてもよい。例えば、光源ユニット120は、200nm以上230nm以下の範囲内の波長を有する第1のUV光および200nm以上400nm以下の範囲に波長のピークを有する第2のUV光を照射することもできる。この場合、上述したブース10の制御方法とは別の制御方法を用いることもできる。そこで、
図9および
図10を参照して、一変形例に係るブース10の制御方法について説明する。
【0067】
図9および
図10は、本発明の一実施形態に係るブース10の制御方法を説明するフローチャートである。なお、以下では、上述した構成と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
【0068】
図9は、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS100B~ステップS140Bの処理を含む。ステップS100Bは、ステップS100と同様であるため、その説明を省略する。
【0069】
ステップS110Bでは、制御部170が、第1のUV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、第1のUV光のみを照射するUV光照射オン状態となる。したがって、人がブース10の正面11に近づくと、人に第1のUV光のみが照射されるように光源ユニット120が制御される。
【0070】
ステップS120Bでは、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS120B:YES)、ステップS110Bが再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知するため、第2のセンサ160-2から検出信号が送信されている間は、第1のセンサ160-1で感知された人がブース10に入室したと判断する。そのため、ステップS110Bが実行されて、ブース10に入室している人に第1のUV光が照射される。光源ユニット120から第1のUV光が照射されることにより、ブース10内の空気を清浄化することができるとともに、人に付着したウイルスを不活性化することができる。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS120B:NO)、ステップS130Bが実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、扉510を開き、ブース10の背面12から退室したと判断することができる。
【0071】
ステップS130Bでは、制御部170が、第1のUV光の照射を停止し、第2のUV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、第2のUV光のみを照射するUV光照射オン状態となる。なお、制御部170は、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しなくなった後、所定の時間の経過後に第1のUV光の照射を停止し、第2のUV光の照射を開始するように制御することもできる。光源ユニット120から第2のUV光が照射されることにより、ブース10の内部に残留するウイルスを不活性化し、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0072】
ステップS140Bでは、制御部170が、第2のUV光の照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オフ状態となる。ステップS140Bが実行されると、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法に関する処理が終了する。
【0073】
図10は、人が背面12からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法を示すフローチャートであり、この場合、ブース10の制御方法は、ステップS200B~ステップS240Bの処理を含む。ステップS200Bは、ステップS200と同様であるため、その説明を省略する。
【0074】
ステップS210Bでは、制御部170が、第1のUV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、第1のUV光のみを照射するUV光照射オン状態となる。したがって、人がブース10の背面12から入室する場合、人に第1のUV光のみが照射されるように光源ユニット120が制御される。
【0075】
ステップS220Bでは、制御部170が、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているか否かを判定する。制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しているとき(ステップS220B:YES)、ステップS210Bが再度実行される。第2のセンサ160-2は、ブース10に入室している人を感知するため、第2のセンサ160-2から検出信号が送信されている間は、人がブース10から退室していないと判断する。そのため、ステップS210Bが実行されて、ブース10に入室している人に第1のUV光が照射される。光源ユニット120から第1のUV光が照射されることにより、ブース10内の空気を清浄化することができるとともに、人に付着したウイルスを不活性化することができる。一方、制御部170が第2のセンサ160-2からの検出信号を受信していないとき(ステップS220B:NO)、ステップS230Bが実行される。第2のセンサ160-2から検出信号が送信されなくなった場合には、人が、ブース10の正面11から退室したと判断することができる。
【0076】
ステップS230Bでは、制御部170が、第1のUV光の照射を停止し、第2のUV光の照射を開始する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、第2のUV光のみを照射するUV光照射オン状態となる。なお、制御部170は、第2のセンサ160-2からの検出信号を受信しなくなった後、所定の時間の経過後に第1のUV光の照射を停止し、第2のUV光の照射を開始するように制御することもできる。光源ユニット120から第2のUV光が照射されることにより、ブース10の内部に残留するウイルスを不活性化し、ブース10内の空気を清浄化することができる。
【0077】
ステップS240Bでは、制御部170が、第2のUV光の照射を停止する制御信号を光源ユニット120に送信する。これにより、光源ユニット120は、UV光照射オフ状態となる。ステップS240Bが実行されると、人が正面11からブース10に入室する場合におけるブース10の制御方法に関する処理が終了する。
【0078】
なお、上述の制御方法では、光源ユニット120がUV光照射オフ状態となるステップS140BまたはステップS240Bが実行されて処理が終了するが、その後、周期的にUV光照射オフ状態と第1のUV光または第2のUV光を照射するUV光照射オン状態とが繰り返されるように、光源ユニット120が制御されてもよい。これにより、定常的に、ブース10内の空気を清浄化することができる。また、ステップS130およびステップS230では、第1のUV光の照射が停止されることなく、第2のUV光の照射が開始されてもよい。
【0079】
以上説明したように、一変形例に係るブース10の制御方法では、ブース10を通過する人にUV光を照射することができるため、人に付着したウイルスを不活性化することができる。そのため、人の移動において、ウイルスの拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【0080】
<第2実施形態>
図11を参照して、本発明の一実施形態に係るブース10の別の使用態様について説明する。なお、以下では、上述した構成と同様の構成については、その説明を省略する場合がある
【0081】
図11は、本発明の一実施形態に係るブース10の使用態様を示す模式図である。
図11に示すように、第1の空間500-1には第1のブース10-1が設置され、第2の空間500-2には第2のブース10-2が設置されている。具体的には、第1のブース10-1は、背面12が壁520に接するように設置され、第1のブース10-1の背面12は壁520の扉510の第1の空間500-1側を覆っている。また、第2のブース10-2は、背面12が壁520に接するように設置され、第2のブース10-2の背面12は壁520の扉510の第2の空間500-2側を覆っている。換言すると、第1のブース10-1と第2のブース10-2とは、お互いの背面12が扉510を挟んで向かい合うように設置されている。第1の空間500-1側の人は、第1のブース10-1の正面11から第1のブース10-1に入室し、扉510を開いて第2のブース10-2に入室し、第2のブース10-2の正面11から退室する。また、第2の空間500-2側の人は、第2のブース10-2の正面11から第2のブース10-2に入室し、扉510を開いて第1のブース10-1に入室し、第1のブース10-1の正面11から退室する。
【0082】
第1の空間500-1の天井には、給気ユニット530が設置されている。第1の空間500-1では給気ユニット530から清浄化された空気が取り込まれ、第1の空間500-1は陽圧となっている。一方、第2の空間500-2の天井には、排気ユニット540が設置されている。第2の空間500-2では排気ユニット540から空気が排出され、第2の空間500-2は陰圧となっている。ここで、第2の空間500-2は、例えば、医療施設の感染者隔離室のように、ウイルスで汚染された空気を有する空間とする。一般的に、空気は、陽圧である第1の空間500-1から陰圧である第2の空間500-2に流れる。しかしながら、このような場合であっても、第1のブース10-1および第2のブース10-2が設置されていないと、扉510を開いた際に、人の移動に伴って第2の空間500-2の汚染された空気が第1の空間500-1に流入する可能性がある。一方、本実施形態のように、第1のブース10-1および第2のブース10-2が設置されていると、扉510を開いても、第1のブース10-1および第2のブース10-2によって清浄化された空気が存在するため、人の移動に伴って第2の空間500-2の汚染された空気が第1の空間500-1に直接流入することを抑制することができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係るブース10の使用態様によれば、2つの空間500を隔てる壁520に設けられた扉510の両側に2台のブース10を設置する。2台のブース10の各々の内部空間の空気はUV光の照射によって清浄化されており、扉510の両側は清浄化された空気を有する。そのため、扉510が開かれても、一方の空間500の汚染された空気が、他方の空間500に直接流入することを抑制することができる。したがって、人の移動や作業において、ブース10を使用することにより、ウイルスの拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【0084】
<第3実施形態>
図12を参照して、本発明の一実施形態に係るブース10のさらに別の使用態様について説明する。なお、以下では、上述した構成と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
【0085】
図12は、本発明の一実施形態に係るブース10の使用態様を示す模式図である。
図12に示すように、空間500の壁520にブース10の背面12が接するようにブース10が設置されている。なお、壁520には扉は設けられていない。この場合、枠体100の第2の壁部103-2の開口が壁520によって塞がれるため、ブース10の内部空間は、外部空間から隔離される。
【0086】
なお、ブース10の枠体100の第2の壁部103-2に被覆材110が設けられていてもよい。この場合、壁520に接することなく、空間500内の任意の場所にブース10を設置することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係るブース10の使用態様によれば、空間500内に、外部空間から隔離されたブース10の内部空間が形成される。ブース10の内部空間の空気はUV光の照射によって清浄化されており、ブース10に入室した人は、清浄化されたブース10の内部空間の中で作業することができる。したがって、人の移動や作業において、ブース10を使用することにより、ウイルスの拡散を防止し、感染症の拡大を予防することができる。
【0088】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略、もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0089】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0090】
10:ブース、 11:正面、 12:背面、 100:枠体、 101:床部、 102:天井部、 103:壁部、 110:被覆材、 120:光源ユニット、 130:光源ユニット支持部、 131:貫通孔、 132:係止片、 140:送風ユニット、 150:送風ユニット支持部、 160-1:第1のセンサ、 160-2:第2のセンサ、 170:制御部、 180:操作部、 500:空間、 510:扉、 520:壁、 530:給気ユニット、 540:排気ユニット