(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135974
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置およびワイヤレス電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20230922BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230922BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20230922BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F27/28 K
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041349
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】野口 康次
(72)【発明者】
【氏名】宍倉 一輝
【テーマコード(参考)】
5E043
5G503
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB06
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】コイルにおける交流抵抗を効果的に低減することができるコイル装置を提供する。
【解決手段】巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、前記コイルの周囲に設けられる金属シールドとなる筐体と、を備え、前記筐体は、天板部と、前記天板部の周囲の一側から延びる第1側壁部と、前記第1側壁部と連結し前記一側とは異なる前記天板部の周囲から延びる第2側壁部と、を有しており、前記第1側壁部と前記コイルとが最も近接している距離と、前記第2側壁部と前記コイルとが最も近接している距離とは、等しい、コイル装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、
前記コイルの周囲に設けられる金属シールドとなる筐体と、を備え、
前記筐体は、天板部と、前記天板部の周囲の一側から延びる第1側壁部と、前記第1側壁部と連結し前記一側とは異なる前記天板部の周囲から延びる第2側壁部と、を有しており、
前記第1側壁部と前記コイルとが最も近接している距離と、前記第2側壁部と前記コイルとが最も近接している距離とは、等しい、
コイル装置。
【請求項2】
前記筐体の前記天板部は長方形であり、
前記コイルは楕円形である、
請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記コイルと前記筐体との間に配置される第1磁気シールドを載置するシールドと、
前記第1側壁部に固着された第2磁気シールドと、を備え、
前記第1磁気シールドの厚さは、前記第2磁気シールドの厚さよりも厚い、
請求項1または請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記コイルと前記筐体との間に配置される第1磁気シールドを載置するシールドと、
前記第2側壁部に固着された第2磁気シールドと、を備え、
前記第1磁気シールドの厚さは、前記第2磁気シールドの厚さよりも厚い、
請求項1または請求項2に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記第1磁気シールドと前記第2磁気シールドとの間に、所定の間隙が設けられている、
請求項3または請求項4に記載のコイル装置。
【請求項6】
ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置に電力を送電するワイヤレス送電装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル装置を備える、
ワイヤレス送電装置。
【請求項7】
ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置であって、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル装置を備える、
ワイヤレス受電装置。
【請求項8】
ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、
前記ワイヤレス送電装置と前記ワイヤレス受電装置との少なくとも一方は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル装置を備える、
ワイヤレス電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置およびワイヤレス電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送などにおいて、コイルを有するコイルユニットが用いられている。
【0003】
特許文献1に記載されたシールドは、電力の送電および受電の少なくとも一方を行うための非接触電力伝送に用いられる。当該シールドは、磁性シートと、銅シールドと、を備える。磁性シートは、銅シールドの内側に箱状に形成され、銅シールドと接するように配置されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、磁性シートが銅シールドの内側に箱状に形成されているため、例えば、製品自体の重量が重くなること、あるいは、コイルと部品との間を配線する配線ラインの接続に所定の制限が生じること、が問題であった。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、コイルにおける交流抵抗を効果的に低減することができるコイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置およびワイヤレス電力伝送システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、前記コイルの周囲に設けられる金属シールドとなる筐体と、を備え、前記筐体は、天板部と、前記天板部の周囲の一側から延びる第1側壁部と、前記第1側壁部と連結し前記一側とは異なる前記天板部の周囲から延びる第2側壁部と、を有しており、前記第1側壁部と前記コイルとが最も近接している距離と、前記第2側壁部と前記コイルとが最も近接している距離とは、等しい、コイル装置である。
【0008】
本開示の一態様は、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置に電力を送電するワイヤレス送電装置であって、前記コイル装置を備える、ワイヤレス送電装置である。
【0009】
本開示の一態様は、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置であって、前記コイル装置を備える、ワイヤレス受電装置である。
【0010】
本開示の一態様は、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、前記ワイヤレス送電装置と前記ワイヤレス受電装置との少なくとも一方は、前記コイル装置を備える、ワイヤレス電力伝送システムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係るコイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置およびワイヤレス電力伝送システムによれば、コイルにおける交流抵抗を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2A】実施形態に係るコイル装置の内部の一例およびコイルユニットの一方の面の一例を示す図である。
【
図2B】実施形態に係るコイル装置の外観の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るコイルユニットの他方の面の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るコイル装置の構成部の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るコイルと側壁部との距離の一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例に係るコイル装置の内部の構成の一例を示す図である。
【
図7】実施形態の変形例に係るコイルと側壁部との距離の一例を示す図である。
【
図8】実施形態の変形例に係るコイルと側壁部との距離の一例を示す図である。
【
図9】実施形態の変形例に係るコイルと側壁部との距離の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
本実施形態では、それぞれの部材(構成部)の形状あるいは寸法など、または、2以上の部材の関係について例示するが、これらは、必ずしも本実施形態の例示通りに厳密に構成されなくてもよく、例えば、実用上で支障のない程度で、製造誤差などの誤差を含んでもよい。
具体例として、2以上の部材の関係を表す語としては、平行、垂直、等しい(同じ)、中心などがあるが、これらは、必ずしも本実施形態の例示通りに厳密に構成されなくてもよく、例えば、実用上で支障のない程度で、製造誤差などの誤差を含んでもよい。
【0014】
<ワイヤレス電力伝送システム>
図1は、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図1には、移動体の一例である無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を示してある。
また、
図1には、地面Gを示してある。
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10は、地面Gおよびその付近に設置されている。また、ワイヤレス受電装置20は、AGVに設けられている。
【0015】
ワイヤレス電力伝送システム1は、ワイヤレス送電装置10と、ワイヤレス受電装置20と、を備える。
ワイヤレス送電装置10は、送電ユニット11と、送電コイルユニット12と、を備える。
送電コイルユニット12は、送電コイルL1を備える。
ワイヤレス受電装置20は、受電コイルユニット21と、受電ユニット22と、を備える。
受電ユニット22は、受電コイルL2を備える。
【0016】
ワイヤレス受電装置20は、負荷と接続可能である。負荷は、電力の需要状態(貯蔵状態または消費状態)に応じて、等価抵抗値が時間とともに変わる抵抗負荷である。
図1に示した例では、ワイヤレス受電装置20は、このような負荷として、移動体に搭載されたバッテリーと接続されている。
【0017】
なお、移動体としては、AGVに代えて、電気により制御される他の装置であってもよい。
また、ワイヤレス受電装置20は、移動体に搭載されたバッテリーに代えて、移動体に搭載されたモーターに接続される構成であってもよく、あるいは、他の負荷に接続される構成であってもよい。
また、ワイヤレス受電装置20は、負荷を備える構成であってもよい。
【0018】
送電ユニット11は、送電コイルユニット12と接続されている。
また、送電ユニット11は、送電ユニット11とは別体の電源と接続される。
送電ユニット11は、当該電源から入力される交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を駆動周波数の交流電圧に変換する。そして、送電ユニット11は、駆動周波数の交流電圧を送電コイルユニット12に供給する。
ここで、当該電源は、例えば、外部の商用電源等である。
【0019】
送電ユニット11は、例えば、AC(Alternating Current)/DC(Direct Current)コンバータ、あるいは、インバータなどを備える。当該インバータは、例えば、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路等により構成される。
なお、送電ユニット11は、AC/DCコンバータに代えて、交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換する他の回路を備える構成であってもよい。当該他の回路は、整流平滑回路とPFC(Power Factor Correction)回路とを組み合わせた回路であってもよく、あるいは、当該整流平滑回路とスイッチング回路とを組み合わせた回路であってもよい。当該整流平滑回路は、交流電圧を整流して直流電圧に変換する回路である。当該PFC回路は、力率改善を行う回路である。当該スイッチング回路は、スイッチングコンバータ等の回路である。
また、送電ユニット11は、当該インバータに代えて、直流電圧を交流電圧に変換する他の回路を備える構成であってもよい。
【0020】
送電コイルL1は、ワイヤレス電力伝送用のアンテナとして機能するコイルである。すなわち、送電コイルL1は、送電ユニット11から供給される交流電圧に応じて交流磁界を発生させる。これにより、送電コイルユニット12は、送電コイルL1を介したワイヤレス電力伝送によって電力をワイヤレス受電装置20に送電する。
なお、
図1では、図を簡略化するため、送電コイルL1が直方体形状の物体として描かれている。
【0021】
また、送電コイルユニット12は、図示しないコンデンサを備える。当該コンデンサは、送電コイルユニット12において、送電コイルL1とともに送電側共振回路を構成する。
また、送電コイルユニット12は、図示しない磁性体を備える。当該磁性体は、送電コイルL1と受電コイルL2との間の磁気的結合を高める物体である。例えば、当該磁性体に、絶縁体製のボビンを介して、送電コイルL1が設けられる。
なお、送電コイルユニット12は、このような磁性体に加えて、送電コイルL1と受電コイルL2との間の磁気的結合を高める他の物体を備える構成であってもよい。
【0022】
また、送電コイルユニット12は、電磁気遮蔽体を備える構成であってもよく、当該電磁気遮蔽体を備えない構成であってもよい。当該電磁気遮蔽体は、送電コイルL1が発生させる磁界の外部への漏洩を抑制する物体である。当該電磁気遮蔽体は、例えば、金属板等である。
【0023】
ここで、送電コイルL1として巻回される導線は、例えば、リッツ線である。
リッツ線は、銅、アルミニウム等からなる導線である。
なお、送電コイルL1として巻回される導線としては、リッツ線に代えて、他の素材により構成された導線であってもよい。
【0024】
送電コイルL1は、ワイヤレス電力伝送によって受電コイルユニット21に電力を送電する場合に、受電コイルユニット21と向き合うように設置される。
図1に示した例では、送電コイルL1は、AGVが有する面のうち受電コイルユニット21が搭載された面と向かい合うように、地面Gの上に設置されている。
また、
図1に示した例では、送電コイルL1を備えた送電コイルユニット12は、送電ユニット11とともに地面Gの上に設置されている。
ここで、
図1に示した例では、送電ユニット11と送電コイルユニット12とは別体であるが、他の構成例として、送電ユニット11と送電コイルユニット12とは一体に構成されてもよい。
【0025】
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10を制御する制御回路は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20との間で行われるワイヤレス電力伝送を制御する。
当該制御回路は、当該ワイヤレス電力伝送を制御することが可能な回路であれば、如何なる回路であってもよい。
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10を制御する制御回路についての詳しい説明を省略する。
【0026】
受電コイルL2は、ワイヤレス電力伝送用のアンテナとして機能するコイルである。すなわち、受電コイルユニット21は、受電コイルL2を介したワイヤレス電力伝送によって電力をワイヤレス送電装置10から受電する。
なお、
図1では、図を簡略化するため、受電コイルL2が直方体形状の物体として描かれている。
【0027】
また、受電コイルユニット21は、図示しないコンデンサを備える。当該コンデンサは、受電コイルユニット21において、受電コイルL2とともに受電側共振回路を構成する。
また、受電コイルユニット21は、図示しない磁性体を備える。当該磁性体は、受電コイルL2と送電コイルL1との間の磁気的結合を高める物体である。例えば、当該磁性体に、絶縁体製のボビンを介して、受電コイルL2が設けられる。
なお、受電コイルユニット21は、このような磁性体に加えて、受電コイルL2と送電コイルL1との間の磁気的結合を高める他の物体を備える構成であってもよい。
【0028】
また、受電コイルユニット21は、電磁気遮蔽体を備える構成であってもよく、当該電磁気遮蔽体を備えない構成であってもよい。当該電磁気遮蔽体は、受電コイルL2が発生させる磁界の外部への漏洩を抑制する物体である。当該電磁気遮蔽体は、例えば、金属板等である。
【0029】
受電コイルL2として巻回される導線は、例えば、リッツ線である。
なお、受電コイルL2として巻回される導線は、リッツ線に代えて、他の素材により構成された導線であってもよい。
【0030】
受電コイルL2は、ワイヤレス電力伝送によって送電コイルユニット12から電力を受電する場合に、送電コイルユニット12と向き合うように設置される。
図1に示した例では、受電コイルL2は、地面Gの上に設置された送電コイルユニット12の送電コイルL1と向かい合うように、AGVの側面に設置されている。
また、
図1に示した例では、受電コイルL2を備えた受電コイルユニット21は、受電ユニット22とともに、AGVの側面に設置されている。
ここで、
図1に示した例では、受電コイルユニット21と受電ユニット22とは別体であるが、他の構成例として、受電コイルユニット21と受電ユニット22とは一体に構成されてもよい。
また、受電コイルユニット21は、AGVの底面に設置される構成であってもよい。
【0031】
受電ユニット22は、受電コイルユニット21と接続されている。
本実施形態では、受電ユニット22は、負荷(
図1に示した例では、AGVの負荷)と接続される。
また、受電ユニット22は、受電コイルL2から供給される交流電圧を整流して直流電圧に変換する。
受電ユニット22は、負荷と接続されている場合、変換した直流電圧を当該負荷に供給する。
なお、ワイヤレス受電装置20では、受電ユニット22は、充電回路を介して負荷と接続される構成であってもよい。
【0032】
受電ユニット22は、例えば、整流回路、平滑化回路等を備える。当該整流回路は、交流電圧を整流する回路である。当該平滑化回路は、当該整流回路により整流された電圧を平滑化して直流電圧に変換する回路である。
なお、受電ユニット22は、当該整流回路、当該平滑化回路に加えて、他の回路を備える構成であってもよい。
【0033】
実施形態では、ワイヤレス受電装置20を制御する制御回路は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20との間で行われるワイヤレス電力伝送を制御する。当該制御回路は、当該ワイヤレス電力伝送を制御することが可能な回路であれば、如何なる回路であってもよい。
本実施形態では、ワイヤレス受電装置20を制御する制御回路についての詳しい説明を省略する。
【0034】
ここで、本実施形態では、送電コイルユニット12の構成と受電コイルユニット21の構成とは、同じ構成であってもよく、あるいは、異なる構成であってもよい。
以下では、一例として、送電コイルユニット12の構成と受電コイルユニット21の構成とが同じ構成である場合について説明する。
【0035】
そこで、以下では、説明の便宜上、送電コイルユニット12と受電コイルユニット21とを区別する必要がない限り、これらをまとめてコイルユニットと称して説明する。
また、以下では、説明の便宜上、送電コイルL1と受電コイルL2とを区別する必要がない限り、これらをまとめてコイルと称して説明する。
【0036】
<コイル装置およびコイルユニット>
図2Aは、実施形態に係るコイル装置111の内部の一例およびコイルユニット211の一方の面の一例を示す図である。
図2Bは、実施形態に係るコイル装置111の外観の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係るコイルユニット211の他方の面の一例を示す図である。
図2A、
図2Bおよび
図3には、それぞれ、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0037】
本実施形態では、コイル装置111は、直方体(立方体を含む。)の形状を有しており、厚みのある平板状の形状を有している。
コイル装置111は、面積が大きい互いに対向する2個の面(XY平面に平行な面)と、それよりも面積が小さい4個の面を有しており、総じて直方体(立方体を含む。)の形状を有している。
ここで、面積が小さい4個の面は、互いに対向する2個の面(XZ平面に平行な面)と、互いに対向する他の2個の面(YZ平面に平行な面)を含む。2個の面(XZ平面に平行な面)の面積と、他の2個の面(YZ平面に平行な面)の面積とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。
【0038】
本実施形態では、説明の便宜上、コイル装置111の平板状の面をXY平面に平行に配置して説明するが、コイル装置111は、
図1の例のように、XZ平面に平行な2個の面がそれぞれ重力の上方側および下方側に配置されてもよい。
なお、コイル装置111の配置の向きは、任意であってもよい。
【0039】
図2Aおよび
図2Bに示されるように、コイル装置111は、外面に筐体などを備えている。
図2Bの例では、筐体121、樹脂蓋123、および、第1a側壁部124aが示されている。
また、
図2Bの例では、コイル223の引出線の部分である引出線部223aが示されている。
【0040】
図2Aには、コイル装置111の内部の一例として、樹脂蓋123が取り外された状態におけるコイル装置111の外観の一例を示してある。
コイル装置111の内部には、コイルユニット211が収容されている。
コイルユニット211は、コイル223を有する。
図2Aの例では、コイルユニット211に備えられる第1スペーサ221が示されている。
本実施形態では、コイル223は、導体が楕円状に複数回巻回されて構成されており、2本の引出線を有している。
コイル223は、導体が巻回されていない楕円の中央部に、中心穴223bを有している。本実施形態では、中心穴223bは、円状(または、楕円状)の形状を有している。
本実施形態では、コイル223の形状である楕円は、X軸に平行な方向に長径が延び、Y軸に平行な方向に短径が延びる楕円である。
【0041】
ここで、
図2Aの例では、Z軸の正側におけるコイルユニット211の外観が示されている。
図3には、反対側であるZ軸の負側におけるコイルユニット211の外観が示されている。
本実施形態では、コイル223を構成する導体は、複数の層のそれぞれにおいて複数回巻回されており、例えば、Z軸の正側の面にもZ軸の負側の面にも配置されている。
コイル223を構成する導体は、複数の層のそれぞれで複数回巻回されていてもよく、これに限られず、例えば、複数の層のいずれかで1ターンのみ巻回されていてもよい。
本実施形態では、コイルユニット211は、2個のスペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)を用いてコイル223を形成することで構成されている。
【0042】
図4は、実施形態に係るコイル装置111の構成部の一例を示す図である。
図4には、説明の便宜上、
図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図4は、分解斜視図である。
【0043】
コイル装置111は、コイルユニット211と、シールド122と、筐体121と、樹脂蓋123と、第1a側壁部124aと、第1a磁性シート141aと、第1b側壁部124bと、第1b磁性シート141bと、を備える。
ここで、本実施形態では、第1a側壁部124a、第1a磁性シート141a、第1b側壁部124b、および、第1b磁性シート141bは、筐体121を構成する構成部であり、筐体121のうちの他の部分(説明の便宜上、筐体121の本体部とも呼ぶ。)に固定される。
【0044】
Z軸の負側から正側に向かって、筐体121、シールド122、コイルユニット211、樹脂蓋123の順で配置される。
筐体121は、平板状の形状を有する面を備える。当該面は、長方形(正方形を含む。)である。筐体121は、例えば、金属のシールドとして構成されてもよい。筐体121は、例えば、アルミニウム(Al)の押し出しにより生成されてもよい。
【0045】
シールド122は、平板状の形状を有しており、平板状の面が長方形(正方形を含む。)である。シールド122は、金属のシールドである。
樹脂蓋123は、平板状の形状を有する面を備える。当該面は、長方形(正方形を含む。)である。
【0046】
ここで、筐体121の平板状の面、シールド122の平板状の面、および、樹脂蓋123の平板状の面は、同じ形状(または、ほぼ同じ形状)で同じ大きさ(または、ほぼ同じ大きさ)であり、コイルユニット211の平板状の面と同じ形状(または、ほぼ同じ形状)で同じ大きさ(または、ほぼ同じ大きさ)である。
これらの面は、XY平面に平行な面となっている。
【0047】
シールド122は、コイルユニット211と対向する面(Z軸の正側の面)に、磁性体を搭載した磁性体部131を有している。シールド122は、磁性体のホルダーの機能を有している。
本実施形態では、磁性体部131は、磁気シールドとして用いられている。
【0048】
図4の例では、磁性体部131は、Y軸の負側に配置された一方の磁性体部を構成する複数の磁性体131aと、Y軸の正側に配置された他方の磁性体部を構成する複数の磁性体131bと、を備える。
図4の例では、シールド122は、一方の磁性体部と他方の磁性体部との間に、空隙151を有している。空隙151は、平面状の面の対向する2個の辺(X軸の正側の辺と負側の辺)の中央部を結ぶ形状を有している。空隙151は、例えば、コイルを構成する導体の一部(例えば、引出線部223a)、または、当該導体と接続される他の導体(例えば、他の回路と接続するための導線)が配置される場所として用いられてもよい。
このような空隙151により、例えば、配線の作業を容易化することが可能である。
なお、
図4の例では、図示を簡易化して、複数の磁性体のうちの2個の磁性体131a、131bに符号を付してあり、他の磁性体の符号を省略してある。
【0049】
ここで、複数の磁性体の数は、任意であってもよい。
また、一方の磁性体部、あるいは、他方の磁性体部は、例えば、1個の磁性体から構成されてもよい。
また、磁性体部131は、例えば、空隙151を有していなくてもよい。
ここで、本実施形態では、シールド122と磁性体部131(磁性体131a、131b)とは接着剤により固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
なお、磁性体としては、例えば、フェライトが用いられる。
【0050】
シールド122は、平板状の面の1個の辺(X軸の負側の辺)の中央部に、切欠き部152を有している。
シールド122は、コイルユニット211に固定される。このとき、コイルユニット211のコイル223の引出線部223aは、シールド122の切欠き部152に対応する位置に配置される。
ここで、本実施形態では、シールド122とコイルユニット211とはネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0051】
筐体121は、コイルユニット211およびシールド122を保持する。
筐体121は、平板状の面を有する部分である天板部121gと、第2a側壁部121aと、第2b側壁部121bと、を備える。
第2a側壁部121aは、天板部121gの周囲の一側(X軸の正側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
第2b側壁部121bは、天板部121gの周囲の一側(X軸の正側)とは異なる側であって、当該一側(X軸の正側)に対向する側(X軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0052】
第2b側壁部121bは、Z軸の正側の辺の中央部に、切欠き部161を有している。
筐体121がコイルユニット211を保持するときに、コイルユニット211のコイル223の引出線部223aは、第2b側壁部121bの切欠き部161に対応する位置に配置される。
【0053】
筐体121は、筐体121の側壁(第2a側壁部121a、第2b側壁部121b)に、コイルユニット211の第1スペーサ221の側部およびシールド122の側部に係合して第1スペーサ221およびシールド122を固定する溝部511a、511bを有する。
溝部511a、511bは、複数の係止溝を有する。
【0054】
第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、筐体121の第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bでは空いている2個の側面のそれぞれに配置される。
第1a側壁部124aは、天板部121gの周囲の一側(Y軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
第1b側壁部124bは、天板部121gの周囲の一側(Y軸の負側)とは異なる側であって、当該一側(Y軸の負側)に対向する側(Y軸の正側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0055】
ここで、第1a側壁部124aと、第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bとは、それぞれの接する端部で、連結する。
また、第1b側壁部124bと、第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bとは、それぞれの接する端部で、連結する。
第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、例えば、筐体121と同じ材質で構成されていてもよい。
ここで、第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、筐体121の本体部とネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0056】
本実施形態では、第1a磁性シート141aは、磁気シールドとして用いられている。
第1a磁性シート141aは、平板状の形状を有している。
第1a磁性シート141aの平板状の面は、第1a側壁部124aの平板状の面と比べて、筐体121の内部にあるコイルユニット211の側(Y軸の正側)に配置される。
第1a磁性シート141aの平板状の面は、第1a側壁部124aの平板状の面と平行に配置されて、第1a側壁部124aの平板状の面に固定される。このとき、第1a磁性シート141aの平板状の面は、第1a側壁部124aの平板状の面に含まれる。
なお、第1a磁性シート141aの平板状の面の大きさは、第1a側壁部124aの平板状の面の大きさと比べて、例えば、同じ(または、ほぼ同じ)であってもよく、あるいは、より小さくてもよい。
第1a磁性シート141aと第1a側壁部124aとは、例えば、接着剤を用いて固定(固着)されてもよい。当該接着剤として、両面テープが用いられてもよい。
【0057】
本実施形態では、第1b磁性シート141bは、磁気シールドとして用いられている。
第1b磁性シート141bは、平板状の形状を有している。
第1b磁性シート141bの平板状の面は、第1b側壁部124bの平板状の面と比べて、筐体121の内部にあるコイルユニット211の側(Y軸の負側)に配置される。
第1b磁性シート141bの平板状の面は、第1b側壁部124bの平板状の面と平行に配置されて、第1b側壁部124bの平板状の面に固定される。このとき、第1b磁性シート141bの平板状の面は、第1b側壁部124bの平板状の面に含まれる。
なお、第1b磁性シート141bの平板状の面の大きさは、第1b側壁部124bの平板状の面の大きさと比べて、例えば、同じ(または、ほぼ同じ)であってもよく、あるいは、より小さくてもよい。
第1b磁性シート141bと第1b側壁部124bとは、例えば、接着剤を用いて固定されてもよい。当該接着剤として、両面テープが用いられてもよい。
【0058】
樹脂蓋123は、コイルユニット211およびシールド122が筐体121に収容された状態で、筐体121に組み合わされる。
樹脂蓋123は、平板状の面を有する部分である天板部123gと、側壁部123aと、側壁部123bと、を備える。
側壁部123aは、天板部123gの周囲の一側(X軸の正側)から所定方向(Z軸の負方向)に延びている(例えば、垂下する)。
側壁部123bは、天板部123gの周囲の一側(X軸の正側)に対向する側(X軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0059】
本実施形態では、樹脂蓋123と筐体121とが組み合わされた場合に、側壁部123aは第2a側壁部121aの外側を覆い、側壁部123bは第2b側壁部121bの外側を覆う。
ここで、本実施形態では、樹脂蓋123と筐体121とはネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0060】
ここで、本実施形態では、第1a側壁部124aとコイル223とが最も近接している距離と、第1b側壁部124bとコイル223とが最も近接している距離と、第2a側壁部121aとコイル223とが最も近接している距離と、第2b側壁部121bとコイル223とが最も近接している距離とは、等しい。
【0061】
ここで、コイル装置111の構成は、例えば、送電に用いられるコイル装置と、受電に用いられるコイル装置とで、共通であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
例えば、送電に用いられるコイル装置と、受電に用いられるコイル装置とで、コイル(
図4の例では、コイル223)、あるいは、コイルユニット(
図4の例では、コイルユニット211)の構成が異なっていてもよい。
【0062】
本実施形態では、コイルユニット211は、2個のスペーサを有しており、3層の積層構造のコイルを有しているが、コイルユニット211の構成としては任意の構成が用いられてもよい。
例えば、1個のスペーサを有して、その表裏を使用して2層のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよい。
また、例えば、3個以上のスペーサを有して、それぞれの表裏を使用して4層以上のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよい。
また、例えば、1層のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよく、この場合、スペーサを有していなくてもよい。
なお、本実施形態では、スペーサは、コイルを構成する導体が複数の層に巻回されるときに間隔を保持する。
【0063】
また、コイル223を構成する導体の巻回の仕方としては、様々な巻回の仕方が用いられてもよい。例えば、コイル223を構成する導体について、隣接する導体部分が間隔を空けずに巻回されてもよく、あるいは、隣接する導体部分が間隔を空けて巻回されてもよい。
【0064】
また、コイル装置111では、例えば、筐体121の天板部121gとシールド122との間に、回路基板が備えられてもよい。当該回路基板には、例えば、コイル223の共振回路を構成するコンデンサなどが備えられていてもよい。当該回路基板とコイル223(例えば、引出線部223a)とが接続されてもよい。この接続には、任意の配線が用いられてもよい。
当該回路基板は、例えば、シールド122の面(Z軸の負側の面)に、ネジ止めなどにより固定されてもよい。
【0065】
ここで、本実施形態では、コイル223の楕円の長径の側壁となる側壁部(第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124b)のみに磁性シート(第1a磁性シート141aおよび第1b磁性シート141b)が設けられる場合を示した。
コイル223の楕円の長径と側壁との配置関係では、当該楕円の短径と側壁との配置関係と比べて、互いの距離が近い区間が長いため、金属に発生する渦電流によって磁束がぶつかり交流抵抗が大きくなる。このため、コイル223の楕円の長径と側壁との配置関係では、当該楕円の短径と側壁との配置関係と比べて、磁性シートがより有効である。
なお、他の構成例として、コイル223の楕円の短径の側壁となる側壁部(第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121b)にもそれぞれに磁性シートが設けられる構成が用いられてもよい。
【0066】
図5は、実施形態に係るコイル223と側壁部との距離の一例を示す図である。
図5には、説明の便宜上、
図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0067】
図5には、コイル223と、筐体121の天板部121gと、第1a側壁部124aと、第1b側壁部124bと、第2a側壁部121aと、第2b側壁部121bと、を概略的に示してある。
また、
図5には、第1a側壁部124aとコイル223とが最も近接している距離a1と、第1b側壁部124bとコイル223とが最も近接している距離a2と、第2a側壁部121aとコイル223とが最も近接している距離a3と、第2b側壁部121bとコイル223とが最も近接している距離a4と、を示してある。本実施形態では、これらの距離a1、a2、a3、a4は等しい(または、ほぼ等しい)。
本実施形態では、コイル223の面は楕円の形状を有しており、天板部121gの面は長方形の形状を有している。
【0068】
<変形例>
図6は、実施形態の変形例に係るコイル装置311の内部の構成の一例を示す図である。
図6には、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0069】
図6には、コイル装置311を構成する筐体321、第1a側壁部324a、第1b側壁部324b、および、シールド322が組み立てられた状態を示してある。
図6の例では、コイル装置311において、コイルユニットと樹脂蓋が除外された状態を示してある。
【0070】
ここで、コイル装置311の構成部および組み立てについては、概略的には、
図4に示されるコイル装置111の構成部および組み立てと同様である。
筐体321は、第2a側壁部321aおよび第2b側壁部321bを有している。
シールド322は、複数の磁性体331a、331bから構成される磁性体部331を有している。
【0071】
本変形例では、磁性体部331と第1a磁性シート341aとの間に、所定の間隙のスペース371が設けられている。
また、
図6の例のように、スペース371に、例えば、穴部372が設けられていてもよい。
このようなスペース371および穴部372の一方または両方を用いて、回路基板の配線が配置されてもよい。当該回路基板は、例えば、筐体121の天板部121gとシールド122との間に設けられてもよい。当該配線は、当該回路基板とコイル223(例えば、取出線部233a)とを接続するための配線であってもよい。
【0072】
また、
図6では、図示を省略するが、本変形例では、磁性体部331と第1b磁性シート341bとの間に、所定の間隙のスペース、および、当該スペースにおける穴部が設けられている。
当該スペースおよび当該穴部の構成は、例えば、磁性体部331と第1a磁性シート341aとの間の構成と同様であってもよい。
【0073】
本変形例では、このようなスペースと穴部との一方または両方により、例えば、配線の作業を容易化することが可能である。
【0074】
<他の変形例>
図7~
図9を参照して、コイルの形状の変形例を示す。
【0075】
図7は、実施形態の変形例に係るコイル623と側壁部との距離の一例を示す図である。
図7には、説明の便宜上、
図5と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0076】
図7には、コイル623と、筐体の天板部621gと、第1a側壁部624aと、第1b側壁部624bと、第2a側壁部621aと、第2b側壁部621bと、を概略的に示してある。
また、
図7には、第1a側壁部624aとコイル623とが最も近接している距離b1と、第1b側壁部624bとコイル623とが最も近接している距離b2と、第2a側壁部621aとコイル623とが最も近接している距離b3と、第2b側壁部621bとコイル623とが最も近接している距離b4と、を示してある。本変形例では、これらの距離b1、b2、b3、b4は等しい(または、ほぼ等しい)。
本変形例では、コイル623の面は円の形状を有しており、天板部621gの面は正方形の形状を有している。
【0077】
図8は、実施形態の変形例に係るコイル723と側壁部との距離の一例を示す図である。
図8には、説明の便宜上、
図5と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0078】
図8には、コイル723と、筐体の天板部721gと、第1a側壁部724aと、第1b側壁部724bと、第2a側壁部721aと、第2b側壁部721bと、を概略的に示してある。
また、
図8には、第1a側壁部724aとコイル723とが最も近接している距離c1と、第1b側壁部724bとコイル723とが最も近接している距離c2と、第2a側壁部721aとコイル723とが最も近接している距離c3と、第2b側壁部721bとコイル723とが最も近接している距離c4と、を示してある。本変形例では、これらの距離c1、c2、c3、c4は等しい(または、ほぼ等しい)。
本変形例では、コイル723の面は長方形の形状を有しており、天板部721gの面は長方形の形状を有している。
【0079】
図9は、実施形態の変形例に係るコイル823と側壁部との距離の一例を示す図である。
図9には、説明の便宜上、
図5と同様なXYZ直交座標系を示してある。
【0080】
図9には、コイル823と、筐体の天板部821gと、第1a側壁部824aと、第1b側壁部824bと、第2a側壁部821aと、第2b側壁部821bと、を概略的に示してある。
また、
図9には、第1a側壁部824aとコイル823とが最も近接している距離d1と、第1b側壁部824bとコイル823とが最も近接している距離d2と、第2a側壁部821aとコイル823とが最も近接している距離d3と、第2b側壁部821bとコイル823とが最も近接している距離d4と、を示してある。本変形例では、これらの距離d1、d2、d3、d4は等しい(または、ほぼ等しい)。
本変形例では、コイル823の面は正方形の形状を有しており、天板部821gの面は正方形の形状を有している。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るコイル装置111は、コイル223と、筐体121と、を備える。
コイル223は、複数回巻回された導線からなる巻線部を有する。
筐体121は、コイル223の周囲に設けられる金属シールドとなる。
筐体121は、天板部121gと、天板部121gの周囲の一側から延びる第1側壁部(第1a側壁部124a、第1b側壁部124b)と、第1側壁部と連結し当該一側とは異なる天板部121gの周囲から延びる第2側壁部(第2a側壁部121a、第2b側壁部121b)と、を有している。
第1側壁部とコイル223とが最も近接している距離と、第2側壁部とコイル223とが最も近接している距離とは、等しい。
【0082】
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、コイル223と各側壁との最も近い距離が等しいため、交流抵抗を均一にすることができ総じて低減することができ、コイルユニット211のコイル223の効率化を図ることができる。
【0083】
本実施形態に係るコイル装置111では、一構成例として、筐体121の天板部121gは長方形であり、コイル223は楕円形である。
一構成例として、このような構成により、コイルユニット211のコイル223の効率化を図ることができる。
【0084】
本実施形態に係るコイル装置111では、コイル223と筐体121との間に配置される第1磁気シールド(
図4の例では、磁性体部131)を載置するシールド122と、第1側壁部(第1a側壁部124a、第1b側壁部124b)に固着された第2磁気シールド(
図4の例では、第1a磁性シート141a、第1b磁性シート141b)と、を備える。
第1磁気シールドの厚さは、第2磁気シールドの厚さよりも厚い。
【0085】
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、磁気シールドにより、最適な特性を確保することが可能である。この場合に、磁束密度が高いところには厚い磁気シールド(ここでは、第1磁気シールド)が必要であり、磁束密度が低いところには薄い磁気シールド(ここでは、第2磁気シールド)でも十分である。
また、本実施形態に係るコイル装置111では、例えば、磁束密度に応じて、磁気シールドの厚みを変えることで、最適な特性を確保することが可能である。
また、本実施形態に係るコイル装置111では、例えば、磁気シールドの厚さを調整することで、製品の重量を調整(例えば、低減)することができる。
【0086】
本実施形態に係るコイル装置111では、第1磁気シールドと第2磁気シールドとの間に、所定の間隙(
図6の例では、スペース371)が設けられている。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、当該間隙を利用して、例えば、コイル223の一端と、シールド122の下面に配置されたコンデンサ(例えば、共振コンデンサ)などの部品と、を接続するための配線を最短距離などで接続し易いようにすることができる。
【0087】
本実施形態に係るコイル装置111では、第2磁気シールド(
図4の例では、第1a磁性シート141a、第1b磁性シート141b)は、少なくとも第1側壁部(第1a側壁部124a、第1b側壁部124b)に備えられている。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、例えば、交流電流を低減することが必要な箇所に磁気シールドを備えることで、当該交流電流を低減することができる。
【0088】
図4の例では、例えば、第1側壁部(第1a側壁部124a、第1b側壁部124b)が上下方向に配置され、磁気シールドにより、交流電流を低減することができる。
また、
図4の例では、例えば、第2側壁部(第2a側壁部121a、第2b側壁部121b)が左右方向に配置され、磁気シールドを備えても交流電流は不変(または、変化しても効果が小さい)ため、磁気シールドを備えなくてもよい。
【0089】
図4の例では、コイル223が楕円であり、コイル223の長手方向に磁気シールド(
図4の例では、第1a磁性シート141a、第1b磁性シート141b)を備えることで、高い効果が得られる。
【0090】
なお、コイル装置111において、部品のコストおよび製造上の手間を考慮して、効果が出る部分に磁気シールドを備えることが行われてもよい。
また、本実施形態では、第1側壁部に磁気シールドを備え、第2側壁部には磁気シールドを備えない構成例を示したが、他の構成例として、第2側壁部に磁気シールドを備える構成が用いられてもよい。
【0091】
一構成例として、コイル装置において、コイルと筐体との間に配置される第1磁気シールドを載置するシールドと、第2側壁部に固着された第2磁気シールドと、を備え、第1磁気シールドの厚さは、第2磁気シールドの厚さよりも厚い、構成が用いられてもよい。
さらに、当該コイル装置において、第1磁気シールドと第2磁気シールドとの間に、所定の間隙が設けられている、構成が用いられてもよい。
【0092】
<ワイヤレス電力伝送への適用>
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置(
図1の例では、ワイヤレス受電装置20)に電力を送電するワイヤレス送電装置(
図1の例では、ワイヤレス送電装置10)に備えられてもよい。
図1の例では、本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、送電コイルL1を有する送電コイルユニット12に適用されてもよい。
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置に備えられてもよい。
図1の例では、本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、受電コイルL2を有する受電コイルユニット21に適用されてもよい。
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システム(
図1の例では、ワイヤレス電力伝送システム1)において、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置との少なくとも一方に備えられてもよい。
【0093】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…ワイヤレス電力伝送システム、10…ワイヤレス送電装置、11…送電ユニット、12…送電コイルユニット、20…ワイヤレス受電装置、21…受電コイルユニット、22…受電ユニット、111、311…コイル装置、121、321…筐体、121a、321a、621a、721a、821a…第2a側壁部、121b、321b、621b、721b、821b…第2b側壁部、121g、123g、621g、721g、821g…天板部、122、322…シールド、123…樹脂蓋、123a、123b…側壁部、124a、324a、624a、724a、824a…第1a側壁部、124b、324b、624b、724b、824b…第1b側壁部、131、331…磁性体部、131a、131b、331a、331b…磁性体、151…空隙、152、161…切欠き部、211…コイルユニット、221…第1スペーサ、222…第2スペーサ、223、623、723、823…コイル、223a…引出線部、223b…中心穴、141a、341a…第1a磁性シート、141b、341b…第1b磁性シート、371…スペース、372…穴部、511a、511b…溝部、AGV…無人搬送車、G…地面、L1…送電コイル、L2…受電コイル、a1~a4、b1~b4、c1~c4、d1~d4…距離