(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135984
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/96 20060101AFI20230922BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
E06B3/96 B
E06B7/23 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041360
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】高木 翔平
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E035
2E036
【Fターム(参考)】
2E035AA02
2E035BA05
2E035CA02
2E035CB08
2E035DA02
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA04
2E036EA02
2E036EA06
2E036EB09
2E036EC01
2E036GA07
2E036HA01
(57)【要約】
【課題】より止水性に優れた建具を提供する。
【解決手段】互いに隣り合って接合される2本の複合枠材のうちの、一方の複合枠材は、金属枠が、他方の複合枠材側に突出する部位が切除されて形成された見込み面を有しており、見込み面と、2本の複合枠材のうちの、他方の複合枠材における長手方向の端との間に第1止水部材を介して他方の複合枠材と接合されており、一方の複合枠材の樹脂枠は、長手方向の端が、他方の複合枠材の樹脂枠の見込み面と対向して配置され、一方の複合枠材の金属枠に取り外し可能に取り付けられており、一方の複合枠材の金属枠は、他方の複合枠材の樹脂枠を金属枠との嵌合を解除して取り外すべく移動可能に、突出する部位が切除されて見込み面が形成されており、見込み面には、枠組みされた状態及び移動された状態で他方の樹脂枠の端と対向する部位に第2止水部材が設けられている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の樹脂枠と金属製の金属枠とが嵌合された複数の複合枠材が枠組みされた枠体を有する建具であって、
互いに隣り合って接合される2本の前記複合枠材のうちの、一方の前記複合枠材は、前記金属枠が、他方の前記複合枠材側に突出する部位が切除されて形成された見込み面を有しており、
前記見込み面と、前記2本の前記複合枠材のうちの、他方の前記複合枠材における長手方向の端との間に第1止水部材を介して前記他方の前記複合枠材と接合されており、
前記一方の前記複合枠材の前記樹脂枠は、長手方向の端が、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠の見込み面と対向して配置され、前記一方の前記複合枠材の前記金属枠に取り外し可能に取り付けられており、
前記一方の前記複合枠材の前記金属枠は、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠を前記金属枠との嵌合を解除して取り外すべく移動可能に、前記突出する部位が切除されて前記見込み面が形成されており、
前記見込み面には、枠組みされた状態及び前記移動された状態で前記他方の前記樹脂枠の端と対向する部位に第2止水部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記第2止水部材は、前記第1止水部材よりも圧縮率が高いことを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記第2止水部材は、前記第1止水部材と重ねて設けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の金属枠材と合成樹脂製の樹脂枠材とを有する複合枠材を用いた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミ押出形材によって形成された金属製枠材と、樹脂押出形材によって形成された樹脂製枠材とが組み合わされた複合枠材を上枠、下枠及び左右の縦枠に用いた枠体を有する建具は知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具の枠体は、上枠及び下枠となる横枠が左右の縦枠の上下の端部間に配置され、横枠の長手方向における端を縦枠の側部に対向させて接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建具の枠体のような複合枠材でなる横枠及び縦枠に用いた枠体は、誤って大きな外力が作用した際に樹脂製枠材が変形する、或いは、損傷すると、樹脂製枠材の交換が必要となる場合がある。樹脂製枠材を交換する場合には、作業を容易にするために、金属製枠材は躯体に固定した状態で樹脂製枠材のみを取り外すことが望ましい。しかし、例えば上記従来の枠体のように、横枠の長手方向における端を縦枠の側部に対向させて接合されている場合には、横材の樹脂製枠材は、取り外すことは可能であるが、縦材の樹脂製枠材は、例え横材の樹脂製枠材を取り外したとしても、横材の金属製枠材と干渉して外せない場合がある。
【0005】
このため、横材の金属製枠材の干渉する部位を切り欠いて、縦材の樹脂製枠材を取り外すことができるようにしている。このように、縦枠及び横枠の一方の端を他方の側部に対向させて接合されている枠体において、横枠と縦枠との接合部に切り欠きを設けてしまうと、横枠と縦枠との接合部の止水性が低下する虞があるという課題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複合枠材を用いた枠体の樹脂製の枠材を取り外し可能としつつも、より止水性に優れた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための主たる発明は、合成樹脂製の樹脂枠と金属製の金属枠とが嵌合された複数の複合枠材が枠組みされた枠体を有する建具であって、互いに隣り合って接合される2本の前記複合枠材のうちの、一方の前記複合枠材は、前記金属枠が、他方の前記複合枠材側に突出する部位が切除されて形成された見込み面を有しており、前記見込み面と、前記2本の前記複合枠材のうちの、他方の前記複合枠材における長手方向の端との間に第1止水部材を介して前記他方の前記複合枠材と接合されており、前記一方の前記複合枠材の前記樹脂枠は、長手方向の端が、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠の見込み面と対向して配置され、前記一方の前記複合枠材の前記金属枠に取り外し可能に取り付けられており、前記一方の前記複合枠材の前記金属枠は、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠を前記金属枠との嵌合を解除して取り外すべく移動可能に、前記突出する部位が切除されて前記見込み面が形成されており、前記見込み面には、枠組みされた状態及び前記移動された状態で前記他方の前記樹脂枠の端と対向する部位に第2止水部材が設けられていることを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複合枠材を用いた枠体の樹脂製の枠材を取り外し可能としつつも、より止水性に優れた建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】金属縦枠と下枠との接合部を説明するための屋内側から見た斜視図である。
【
図7】金属縦枠と下枠との間に介在される止水部材を説明する斜視図である。
【
図8】樹脂下枠を取り外す様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る建具1の一例として、
図1、
図2に示すように、建物の躯体に固定され開口1bを形成する枠体2と、枠体2にヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている障子としての扉3を有する建具1を例に挙げて説明する。
【0011】
本実施形態の建具1は、
図2に示すように、扉3が、枠体2を構成する左側の縦枠4にヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている。以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の建具1を、屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、見込み方向において、扉3が開く際に移動する側を屋外側、反対側であって、戸当たりが設けられている側を屋内側として説明する。
【0012】
枠体2は、左右に配置される一対の縦枠4と、上下に配置される一対の横枠5と、が矩形状に枠組みされている。枠体2は、縦枠4が有する見込み面と、上下の横枠5の長手方向における端との間に、後述する止水部材15、16が介在されて縦枠4と横枠5とが接合されている。以下、縦枠4と横枠5との接合部の説明を、左側の縦枠4と下の横枠5との接合部を例に挙げて説明する。そして、左の縦枠(以下、単に縦枠という)4において、枠体の内側は右側となり、外周側が左側となる。また、下の横枠(以下、下枠という)5において、枠体2の内周側は上側となり、外周側が下側となる。
【0013】
下枠5は、
図3に示すように、金属製の金属下枠7と、合成樹脂製の樹脂下枠8とが嵌合された複合部材でなる下枠本体9と、下枠本体9の長手方向に沿って設けられ扉3の戸当たりをなす、下シール材10と、を有している。また、金属下枠7及び樹脂下枠8は、いずれも左右方向(長手方向)を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0014】
金属下枠7は、扉3を閉じた状態で、扉3の外周面となる下面3aと対向する下枠対向面7aを有する下枠面部7bと、下枠面部7bよりも屋内側にて上方に張り出す下枠張出部7cと、を有しており、下枠張出部7cには、樹脂下枠8が係合される2つの金属係合部7dが設けられている。
【0015】
樹脂下枠8は、下枠張出部7cに嵌合されて下枠張出部7cの上を覆う下枠屋外部8aと、下枠屋外部8aの屋内側に設けられ、躯体に固定される下枠屋内部8bと、を有している。下枠屋外部8aの下面には、見込み方向におけるほぼ中央と、屋内側の端から下方に垂設し、金属下枠7に設けられている2つの金属係合部7dと各々係合する樹脂係合片8cが設けられている。
【0016】
下枠5は、樹脂下枠8の2つの樹脂係合片8cが、金属下枠7の2つの金属係合部7dと係合することにより、樹脂下枠8と金属下枠7とが嵌合して接合されている。そして、樹脂下枠8は、上方に引き上げることにより、樹脂係合片8cと金属係合部7dとの係合を解除して取り外すことが可能である。
【0017】
下枠張出部7cの屋外側に、下シール材10が設けられている。下シール材10は、下枠張出部7cの屋外に臨む見付面(以下、張出部見付面という)7eに設けられ屋内側に窪む凹部を有する下シール嵌合部7fに嵌合され、下枠張出部7cの屋外側に突出させて設けられている。
【0018】
下枠屋外部8aは、下枠張出部7c上に設けられて水平面をなし、屋外側の端が下方に延出された下枠延出部8dを有している。下枠延出部8dの屋外側の見付面(以下、延出部見付面という)8eと、張出部見付面7eとは、ほぼ同一平面を形成している。
【0019】
下シール嵌合部7fに嵌合された下シール材10は、扉3が閉じられると、扉3により下枠張出部7c側に押圧され、延出部見付面8eと張出部見付面7eに当接し、下シール材10の上面と、下枠屋外部8aの上面とは、ほぼ同一の水平面をなしている。
【0020】
縦枠4は、
図4に示すように、金属製の金属縦枠11と、合成樹脂製の樹脂縦枠12とが、嵌合された複合部材でなる縦枠本体13と、縦枠本体13の長手方向に沿って設けられ扉3の戸当たりをなす、縦シール材14と、を有している。また、金属縦枠11及び樹脂縦枠12は、いずれも上下方向(長手方向)を押し出し方向とする押し出し形材である。
【0021】
金属縦枠11は、断面が見込み方向に長いほぼ矩形状をなし上下方向に貫通する金属枠中空部11aを有している。金属縦枠11は、金属枠中空部11aを形成し、枠体2が形成する開口1bに臨む内周面を形成する内周壁部11bと、内周壁部11bと左右方向に間隔を空け外周側にて対向する外周壁部11cと、内周壁部11bの屋内側の端と外周壁部11cとを繋ぎ見付け面を形成する屋内見付け面部11dと、外周壁部11cから外周側に突出し躯体にビス止めされる固定片11eと、を有している。
【0022】
内周壁部11bは、屋外側の屋外側部位11fと屋内側の屋内側部位11gとを有しており、屋内側部位11gが屋外側部位11fよりも外周側に位置して段差が設けられている。内周壁部11bの屋外側部位11fには、
図2に示すように、扉3がヒンジ1aを介して開閉自在に取り付けられている。
【0023】
屋内見付け面部11dは、屋内側部位11gの屋内側の端から外周側に延出されており、延出された外周側の端が外周壁部11cと繋がる端部に屋外側に窪む凹部11hが設けられている。
【0024】
屋内見付け面部11dの内周側の端の近傍には、屋内側に延出されて、延出された端が内周側に延出され、樹脂縦枠12と係合する第1金属係合片11iが設けられている。また、屋内見付け面部11dの内周側には、屋内側部位11gよりも内周側に突出する突出片11jが、屋内見付け面部11dに沿って延出されて設けられている。
【0025】
突出片11jは、その先端が、屋外側部位11fの開口1bに臨む屋外側見込み面11kと、屋内側部位11gの開口1bに臨む屋内側見込み面11lの段差分だけ突出している。
【0026】
外周壁部11cにおいて屋内見付け面部11dよりも屋内側に延出されている屋内側の端には、内周側に延出された屋内側延出片11mが設けられており、屋内側延出片11mの屋外側に、樹脂縦枠12と係合する第2金属係合片11nが設けられている。第2金属係合片11nは、屋内側延出片11mの屋外側にて僅かに間隔を空けて対面するように設けられている。第2金属係合片11nの内周側の端には、屋内側に突出するフック片11oが設けられている。
【0027】
樹脂縦枠12は、断面が左右方向に長いほぼ矩形状をなし上下方向に貫通する樹脂枠中空部12aを有している。樹脂縦枠12は、樹脂枠中空部12aを形成し外周側にて見込み方向に沿う壁部を形成する樹脂壁部12bと、樹脂枠中空部12aの屋外側に設けられる縦シール材14が嵌合される縦シール材嵌合部12cと、縦シール材嵌合部12cと見付面12dで繋がって外周側に延出され、第1金属係合片11iと係合される第1樹脂係合片12eと、を有している。
【0028】
樹脂壁部12bは、屋内側に延出されて躯体にビス止めされる樹脂固定片12fを有している。樹脂固定片12fには、樹脂枠中空部12aを形成し、屋内側に臨む屋内壁部12gより屋内側に、外周側に突出して第2金属係合片11nと係合される第2樹脂係合片12hが設けられている。
【0029】
第2樹脂係合片12hは、先端側となる外周側に、内周側の部位よりも屋外側に位置して見付け面を形成する先端見付け面部12iを有している。樹脂壁部12bの屋外側の端は、外周側に延出され、延出された端が屋外側に延出された樹脂延出片12jを有している。
【0030】
縦枠4は、樹脂縦枠12の第1樹脂係合片12eが金属縦枠11の第1金属係合片11iと係合し、樹脂縦枠12の第2樹脂係合片12hが金属縦枠11の第2金属係合片11nと係合することにより、樹脂縦枠12と金属縦枠11とが嵌合して接合されている。そして、樹脂縦枠12は、内周側に移動させることにより、第1樹脂係合片12e及び第2樹脂係合片12hと、第1金属係合片11i及び第2金属係合片11nとの係合を解除して取り外すことが可能である。
【0031】
金属縦枠11と接合された樹脂縦枠12は、屋外側部位11f及び屋内側部位11gの開口1bに臨む屋外側見込み面11k及び屋内側見込み面11lよりも内周側に張り出しており、張り出している張出部12kの屋外側に縦シール材14が設けられ扉3の戸当たり部をなしている。
【0032】
縦枠4と下枠5とは、下枠5の上に配置された止水シート6を介して縦枠4が接合されている。止水シート6は、たとえば合成樹脂製の所謂スポンジであり、
図3、
図4に示すように、下枠5の樹脂下枠8における下枠屋外部8aの上から、樹脂下枠8の屋外側に設けられている下シール材10の上に亘って設けられており、載置される縦枠4の樹脂縦枠12と樹脂縦枠12の屋外側に設けられる縦シール材14との間に介在されて圧縮されている。縦枠4と下枠5とが接合された状態では、樹脂縦枠12における長手方向の端12lは、樹脂下枠8の見込み面をなす、下枠屋外部8a及び下枠屋内部8bと、上下方向に対向する位置に配置されている。このため、樹脂下枠8を取り外すためには、先に樹脂縦枠12を取り外す必要がある。
【0033】
また、縦枠4と下枠5とは、
図5、
図6に示すように、下枠5の長手方向における端5aが、縦枠4との間に止水部材15、16を介して接合されている。縦枠4の金属縦枠11の下端部は、
図7に示すように、下枠5の長手方向における端5aと対向する部位に見込み面11pが形成されている。
【0034】
見込み面11pは、外周壁部11cの内周側の面であり、金属縦枠11に設けられている屋内側延出片11m及び第2金属係合片11nの下端部側の部位が切除されており、また、屋内見付け面部11dに設けられている第1金属係合片11iも切除されている。これにより、下枠5の長手方向における端5aが止水部材15、16を介して見込み面11pと対向可能に構成されている。
【0035】
すなわち、
図8(a)に示すように、金属縦枠11に設けられた見込み面11pは、縦枠4と下枠5とが接合された状態で、樹脂下枠8の端8fが対向する対向部位R1と、樹脂縦枠12を取り外した後に、
図8(b)に示すように、樹脂下枠8を上方に持ち上げて移動し、金属下枠7との嵌合を解除して取り外すことを可能とすべく対向部位R1の上側に広げた拡張部位R2とを有するように、屋内側延出片11m及び第2金属係合片11nの下端部側の部位が切除されて形成されている。尚、金属縦枠11は、金属下枠7の端の全体が、止水部材を介して見込み面11pと対向できるように、金属縦枠11において金属枠中空部11aを形成している内周壁部11b及び外周壁部11c等の下端側の部位も切除されている。
【0036】
そして、金属縦枠11の見込み面11pに設けられた第1止水部材15は、縦枠4と下枠5とが接合された状態で、下枠5の端5aが対向する部位から拡張部位R2に亘るように設けられており、第1止水部材15の下枠5側の面に、第2止水部材16が拡張部位R2と対向部位R1を含む領域に設けられている。第2止水部材16は、第1止水部材15よりも圧縮率が高い部材が用いられている。例えば、第1止水部材15としてブチルゴムが用いられ、第2止水部材16として、第1止水部材15よりも圧縮率が高いエチレンプロピレンゴムが用いられている。
【0037】
本実施形態の建具1によれば、縦枠4の金属縦枠11には、下枠5における長手方向の端5aとの間に第1止水部材15及び第2止水部材16が介在される見込み面11pが、下枠5側に突出する屋内側延出片11m及び第2金属係合片11nを切除して形成されている。この見込み面11pは、下枠5の樹脂下枠8と対向する対向部位R1よりも上側に、樹脂下枠8を取り外し可能とすべく拡張部位R2が設けられているので、樹脂縦枠12を取り外した後には、金属縦枠11を取り除くことなく、また、縦枠4と下枠5とを分離することなく、樹脂下枠8を上方に引き上げることにより、樹脂係合片8cと金属係合部7dとの係合を解除して取り外すことが可能である。
【0038】
また、金属縦枠11に設けられた見込み面11pには、拡張部位R2と対向部位R1とを含む領域に第2止水部材16が設けられているので、金属縦枠11の突出する屋内側延出片11m及び第2金属係合片11nを切除したとしても、その切除した部位に生じる隙間を第2止水部材16により塞ぎ、雨水等が浸入することを防止することが可能である。このため、より止水性に優れた建具1を提供することが可能となる。
【0039】
また、第2止水部材16は、第1止水部材15よりも圧縮率が高いので、樹脂下枠8を取り外す際には、より圧縮させて樹脂下枠8を取り外すことにより、より容易に樹脂下枠8を取り外すことが可能となる。また、樹脂製の枠材は温度変化により伸縮し易いので、樹脂下枠8の長手方向の端8fと金属縦枠11との間に第2止水部材16が介在されることにより、樹脂下枠8に伸縮が生じても、その伸縮に応じて第2止水部材16が伸縮するので、優れた止水性を維持することが可能となる。
【0040】
また、第2止水部材16は、第1止水部材15と重ねて設けられているので、第1止水部材15と第2止水部材16との間に止水部材が途切れている部位が生じない。このため、止水性により優れた建具1を提供することが可能となる。
【0041】
上記実施形態においては、左側の縦枠と下枠との接合部を例に挙げて説明したが、枠体において縦枠と横枠とが接合されている接合部であれば、左側の縦枠と下枠との接合部に限るものではない。また、上記実施形態においては、縦枠の見込み面に、横枠の長手方向における端が対向する状態で接合される例について説明したが、これに限らず、横枠の見込み面に、縦枠の長手方向における端が対向する状態で接合される枠体であっても構わない。
【0042】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
【0043】
合成樹脂製の樹脂枠と金属製の金属枠とが嵌合された複数の複合枠材が枠組みされた枠体を有する建具であって、互いに隣り合って接合される2本の前記複合枠材のうちの、一方の前記複合枠材は、前記金属枠が、他方の前記複合枠材側に突出する部位が切除されて形成された見込み面を有しており、前記見込み面と、前記2本の前記複合枠材のうちの、他方の前記複合枠材における長手方向の端との間に第1止水部材を介して前記他方の前記複合枠材と接合されており、前記一方の前記複合枠材の前記樹脂枠は、長手方向の端が、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠の見込み面と対向して配置され、前記一方の前記複合枠材の前記金属枠に取り外し可能に取り付けられており、前記一方の前記複合枠材の前記金属枠は、前記他方の前記複合枠材の前記樹脂枠を前記金属枠との嵌合を解除して取り外すべく移動可能に、前記突出する部位が切除されて前記見込み面が形成されており、前記見込み面には、枠組みされた状態及び前記移動された状態で前記他方の前記樹脂枠の端と対向する部位に第2止水部材が設けられていることを特徴とする建具である。
【0044】
このような建具によれば、一方の複合枠材の金属枠には、他方の複合枠材における長手方向の端との間に第1止水部材が介在される見込み面が、他方の複合部材側に突出する部位を切除して形成されており、この見込み面は、他方の複合枠材の樹脂枠を金属枠との嵌合を解除して取り外すべく移動可能に、突出する部位が切除されて設けられているので、一方の樹脂枠を取り除いた後には、一方の金属枠を取り除くことなく、また、2本の複合枠材を分離することなく、他方の樹脂枠を取り外すことが可能である。
【0045】
また、一方の金属枠に設けられた見込み面には、枠組みされた状態及び移動された状態で他方の樹脂枠の端と対向する部位に第2止水部材が設けられているので、一方の複合部材の突出する部位を切除したとしても、その切除した部位に生じる隙間を第2止水部材により塞ぎ、雨水等が浸入することを防止することが可能である。このため、より止水性に優れた建具を提供することが可能となる。
【0046】
かかる建具であって、前記第2止水部材は、前記第1止水部材よりも圧縮率が高いことを特徴とする。
このような建具によれば、第2止水部材は、第1止水部材よりも圧縮率が高いので、他方の樹脂枠を取り外す際には、より圧縮させて他方の樹脂枠を取り外すことにより、より容易に他方の樹脂枠を取り外すことが可能となる。また、樹脂枠は温度変化により伸縮し易いので、他方の樹脂枠の長手方向の端と一方の金属枠との間に第2止水部材が介在されることにより、他方の樹脂枠に伸縮が生じても、その伸縮に応じて第2止水部材が伸縮するので、優れた止水性を維持することが可能となる。
【0047】
かかる建具であって、前記第2止水部材は、前記第1止水部材と重ねて設けられていることを特徴とする。
このような建具によれば、第2止水部材は、第1止水部材と重ねて設けられているので、第1止水部材と第2止水部材との間に切り目が生じない。このため、より優れた止水性を備えることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 建具、2 枠体、4 縦枠、5 下枠(横枠)、5a 下枠の長手方向の端、
7 金属下枠、8 樹脂下枠、8a 下枠屋外部、8b 下枠屋内部、
11 金属縦枠、11m 屋内側延出片、11n 第2金属係合片、11p 見込み面、
12 樹脂縦枠、12l 樹脂縦枠の長手方向の端、
15 第1止水部材、16 第2止水部材
R1 対向部位、R2 拡張部位、