(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135987
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 15/02 20060101AFI20230922BHJP
G06F 3/0489 20220101ALI20230922BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G06F15/02 315L
G06F3/0489
G06F3/14 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041365
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】吉原 沙里
【テーマコード(参考)】
5B019
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
5B019EA10
5B019GA03
5B069AA04
5B069BA04
5B069KA02
5E555AA10
5E555AA13
5E555AA26
5E555AA29
5E555BA07
5E555BB07
5E555BC19
5E555CA18
5E555CB20
5E555DA05
5E555DB41
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】数式の表示態様に対応した自然入力を可能とし、ユーザの利便性を向上させることを可能とする。
【解決手段】操作キー8は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む入力を受け付ける。表示制御部5は、操作キー8からの入力を、1行入力方式で受け付ける主表示画面6に表示させる。制御部2は、操作キー8からの入力が所定の条件を満たしたか否か判別する。表示制御部5は、入力が所定の条件を満たしたと判別された場合に、1行入力方式とは異なる自然入力方式で受け付ける副表示画面7を起動し、受け付けた入力を副表示画面7に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御手段と、
受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記判別手段によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を前記表示部の第1表示領域に表示させ、前記第2入力受付画面を前記表示部の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に表示させる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を前記表示部に表示させ、前記第2入力受付画面を外部機器の表示部に表示させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を第1の態様で前記表示部に表示し、前記第2入力受付画面を表示させた場合には、前記第1入力受付画面を前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記表示部に表示する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判別手段は、予め定められたキーの入力を受け付けた場合に、前記所定の条件を満たしていると判別する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1入力受付方式は、入力を受け付けた前記情報を前記表示部に一行表示させるための入力受付方式であり、
前記第2入力受付方式は、入力を受け付けた前記情報を前記表示部に自然表示させるための入力受付方式である、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記第2入力受付画面を表示させる場合に、当該第2入力受付画面を表示させることを示す標識を前記第1入力受付画面に表示させる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させるステップと、
受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別するステップと、
前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させるステップと、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項9】
情報処理装置に実行されるプログラムであって、
少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御機能と、
受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別機能と、
を実現させ、
前記表示制御機能は、前記判別機能によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示器、テンキー、関数キーなどを備えた関数電卓が知られている。また、このような関数電卓をパーソナルコンピュータやタブレット端末などの情報処理装置上でエミュレートするアプリケーションが知られている。以下では、電子機器としての関数電卓も、情報処理装置上でエミュレートされる関数電卓も単に「関数電卓」と呼ぶ。
【0003】
関数電卓では、n×mドットからなる表示器を備えている。このような関数電卓では、連立方程式の計算、表計算や、積分、logなどの演算を行うべく、変数やパラーメータを入力するために、n×mドットからなる表示器を備えており、ディスプレイ上に、複数行のテキストや、計算結果を表示することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の関数電卓では、表計算への入力など、あらゆる箇所で、強制で一行での入力(一行入力)となってしまうため、表計算アプリの範囲入力などでは、入力可能な領域が減ってしまい、スクロールして表示するなど、操作性が悪いという問題があった。また、積分演算や、logなどの自然表示が有効なコマンドにおいても一行入力になってしまうので、入力に手間がかかってしまうという問題があった。さらに、循環小数などの自然表示しかできないコマンドは入力できない(NOP)という問題があった。
【0006】
そこで本発明は、数式の表示態様に対応した自然入力を可能とし、ユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る情報処理装置は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御手段と、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記判別手段によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、ことを特徴とする。
【0008】
この発明に係る表示制御方法は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させるステップと、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別するステップと、前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
この発明に係るプログラムは、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御機能と、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別機能と、を実現させ、前記表示制御機能は、前記判別機能によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、数式の表示態様に対応した自然入力を可能とし、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の画面表示例を示す模式図である。
【
図3】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の表示例および入力方法を示す模式図である。
【
図6】本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の表示例および入力方法を示す模式図である。
【
図7】本実施形態の変形例による関数電卓100とスマートフォン200の使用形態を示す模式図である。
【
図8】本実施形態による変形例による関数電卓100とスマートフォン200との動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.実施形態
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0013】
図1は、本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の画面表示例を示す模式図である。関数電卓1は、コンピュータなどの情報処理装置上のアプリケーションとしてエミュレートされる。関数電卓1は、制御部2、演算処理部3、記憶部4、表示制御部5、主表示画面6、副表示画面7、操作キー8からなる。制御部2は、関数電卓1全体の動作を制御する。演算処理部3は、関数電卓1による計算機能を実現する。記憶部4は、演算処理部3による演算処理に伴うデータを保持する。表示制御部5は、1行入力および/または自然入力で入力される数式や、数値、演算結果などを、情報処理装置のディスプレイ10上にエミュレートされる主表示画面6および/または副表示画面(ポップアップ画面)7に表示させる。操作キー8は、ディスプレイ10上にエミュレートされる操作キー(または物理的なキーボード;不図示)である。
【0014】
ディスプレイ10は、情報処理装置が備える物理的な表示装置である。ディスプレイ10上には、
図2に示すように、情報処理装置によりエミュレートされた、液晶表示部や、各種キーを備えた関数電卓1が実際の外観を模擬した状態で表示される。主表示画面6は、通常の関数電卓が備える表示部に相当し、デフォルトで表示される。主表示画面6は、数式(関数等)、数値、演算子、記号などを一行入力する際に用いられる。一方、副表示画面7は、数式の表示態様に対応した自然入力が可能な場合や、ユーザにより選択指示された場合に、ディスプレイ10上にポップアップ画面として表示され、数式の表示態様に対応した自然な形態で表示する。ユーザは、副表示画面7に表示される数式に対して、数値、演算子、記号などを、数式の表示態様に応じて自然入力することが可能となっている。操作キー8は、
図2に示すように、ディスプレイ10上に表示されている関数電卓の各種キー(数値キー、関数・記号・演算キー、機能キーなど)に相当する。
【0015】
なお、ディスプレイ10は、タッチパネルを備えていてもよい。この場合、ディスプレイ10に表示される操作キー8を直接指で、または専用ペンでタッチすることで、所望する数式や、数値、演算子などを入力するなど、通常の関数電卓と同様、各種操作を行うことが可能である。また、タッチパネルを備えていない場合であっても、物理的なキーボード(不図示)から同様の操作が可能となっている。
【0016】
特に、本実施形態では、制御部2は、ユーザから何らかの入力があると、その入力が所定の条件を満たすか否かを判断する。所定の条件とは、数式(関数等)、数値、演算子、記号などが、数式の表示態様に対応した自然な形態で入力・表示したほうがより当該数式を認識しやすい入力、すなわち自然入力であるか否かである。例えば、積分演算や、分数演算、log演算、表計算などを所定の条件を満たす入力と判断する。制御部2は、原則的に、所定の条件を満たさない場合、すなわち、一行入力で問題ない演算(単純な加減乗除)である場合には、ディスプレイ10上にデフォルトで表示されている主表示画面6で、数式や数値、演算子などを入力・表示させるように制御する。一方、制御部2は、所定の条件を満たす場合、すなわち、自然入力に適した入力(積分、分数演算、log演算、表計算など)である場合には、ディスプレイ10上に副表示画面7をポップアップ表示し、該副表示画面7に自然な形態で数式を表示させるとともに、表示した数式に対して自然な形式で数値、演算子などを入力・表示させるように制御する。
【0017】
なお、主表示画面6で表示、入力するか、副表示画面7で表示、入力するかは、上述したように、制御部2によって所定の条件を満たすか否かで自動判別されるが、ユーザによって任意に切り換えることも可能である。
【0018】
B.実施形態の動作
図3および
図4は、本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の動作を説明するためのフローチャートである。
図5および
図6は、本実施形態による、情報処理装置でエミュレートされる関数電卓1の表示例および入力方法を示す模式図である。
【0019】
制御部2は、まず、表示制御部5により、
図5(a)に示すように、一行入力のための主表示画面6をアクティブ化する(ステップS10)。
図5(a)に示す例は、関数電卓1で表計算機能を起動した状態を示している。次に、制御部2は、操作キー8から何らかの演算に関するキーが入力されたか判断し(ステップS12)、演算に関するキーでない場合には(ステップS12のNO)、制御部2は、入力されたキーに応じた他の処理を実行する(ステップS14)。一方、何らかの演算に関するキーである場合には(ステップS12のYES)、制御部2は、特定機能キーが入力されたか否かを判断する(ステップS16)。ここで、特定機能キーとは、表計算、積分、分数などの自然入力(表示)が好ましい演算に関する入力が相当する。そして、特定機能キーでない場合、すなわち一行入力でも構わない演算(単純な加減乗除など)に関する入力である場合には(ステップS16のNO)、ステップS18以降の一行入力処理に進む。
【0020】
<一行入力処理>
一行入力処理では、まず、制御部2は、ユーザによる操作キー8からの入力に応じて、通常(加減乗除など)の演算を行うために、主表示画面6から一行入力により数式、数値を入力する(ステップS18)。
図5(b)には、ユーザが表におけるA1~A3までセルの一括入力を指定している状態を示している。
【0021】
制御部2は、一行入力中に、副表示画面7がタップ(選択指示)されたか否かを判断する(ステップS20)。なお、副表示画面7が起動されていない場合には、当然、当該判断はNOとなる。そして、副表示画面7がタップされていなければ(ステップS20のNO)、操作キー13から、決定キーか、入力解除キー(クリア、オールクリアなど)が入力されたか否かを判断する(ステップS22)。そして、決定キーまたは入力解除キーが入力されていない場合には(ステップS22のNO)、ステップS12に戻り、一行入力を継続する。そして、一行入力中に決定キーまたは入力解除キーが入力されると(ステップS20のYES)、制御部2は、入力状態を解除する(ステップS24)。
【0022】
<自然入力処理>
一行入力中に、特定機能キーが入力された場合には(ステップS16のYES)、
図4に示すステップS28以降の自然入力処理に進む。制御部2は、特定機能キーである場合には(ステップS16のYES)、制御部2は、表示制御部5によって、主表示画面6を非アクティブ化(グレー表示)する(ステップS28)。次に、制御部2は、ディスプレイ10に副表示画面7が既に起動しているか否かを判断し(ステップS30)、既に副表示画面7が起動している場合には(ステップS30のYES)、ステップS34へ進み、副表示画面7が起動していない場合には(ステップS30のNO)、表示制御部5によって、副表示画面7を起動してディスプレイ10にポップアップ表示し(ステップS22)、ステップS34へ進む。
【0023】
例えば、
図5(c)に示すように、ユーザが「∫」キーを入力すると、「∫」キーは特定機能キーにあたるので、一行入力モード中では自然入力が不可能であるため、副表示画面7を開いて「∫」を自然入力表示する。このとき、関数電卓1の主表示画面6の階調は薄く表示され(グレー表示)、「∫」キーの入力も反映される。また、
図5(c)に示すように、ポップアップ表示された副表示画面7には、積分計算のために積分記号(インテグラル)が表示されるとともに、変数(数値)を入力する箇所に点線で示すボックスが表示される。
【0024】
次に、制御部2は、ユーザによる操作キー8からの入力に応じて、表計算、積分、分数などの演算を行うために、副表示画面7から自然入力により数式、数値を入力する(ステップS34)。ユーザは、カーソルが入力すべきボックスを自動的に移動するので順番に数値を入力すればよい。あるいは、ユーザが入力する箇所をタップ(選択指示)してもよい。ユーザが副表示画面7で「x」を入力すると、
図6(d)に示すように、関数電卓1の主表示画面6にも反映される。さらに、ユーザが積分の範囲として記号「∫」の上下に「1」、「2」を副表示画面7で入力すると、
図6(e)に示すように、関数電卓1の主表示画面6にも反映される。このように、自然入力では、どの変数(数値)を入力しているかを視覚的に容易に認識することができる。
【0025】
制御部2は、自然入力中に、主表示画面6がタップ(選択指示)されたか否かを判断し(ステップS36)、主表示画面6がタップされていなければ(ステップS36のNO)、操作キー8から、決定キーか、入力解除キー(クリア、オールクリアなど)が入力されたか否かを判断する(ステップS38)。そして、決定キーまたは入力解除キーが入力されていない場合には(ステップS38のNO)、ステップS34に戻り、自然入力を継続する。
【0026】
自然入力中に決定キーまたは入力解除キーが入力されると(ステップS38のYES)、制御部2は、表示制御部5によって、関数電卓1の主表示画面6をアクティブ化(元の階調に戻す)し(ステップS40)、ディスプレイ10にポップアップ表示していた副表示画面7を閉じる(ステップS40)。なお、自然入力中には、イコールキー(「=」)が入力されると、制御部2は、演算処理部3に入力された数式、数値に基づいて演算を実行するよう指示する。演算処理部3は、記憶部4などを用いて、入力された数式、数値に基づいて演算を実行する。制御部2は、表示制御部5によって、関数電卓1の主表示画面6に演算結果を表示する。その後、
図3に示すステップS24に戻り、入力状態を解除する。
【0027】
例えば、
図6(e)に示すような自然入力中に、ユーザが「=」をタッチ入力すると、関数電卓1の主表示画面6において、表のA1~A3のセルに計算結果が反映される。そして、ポップアップ表示されていた副表示画面7が閉じられ、関数電卓1の主表示画面6の階調が元に戻る。
【0028】
<自然入力と一行入力との切り替え>
また、上述した一行入力中に、ステップS20において副表示画面7がタップされた場合には、副表示画面7をアクティブ化(グレー表示から通常表示)し、主表示画面6を非アクティブ化(通常表示からグレー表示)する(ステップS26)。その後、
図4のステップS34以降の自然入力処理を進む。
【0029】
一方、上述した自然入力中に、ステップS36において主表示画面6がタップされた場合には、主表示画面6をアクティブ化(グレー表示から通常表示)し、副表示画面7を非アクティブ化(通常表示からグレー表示)する(ステップS44)。その後、
図4のステップS12以降の自然入力処理を進む。
【0030】
このように、主表示画面6とは別途に、自然入力を可能とした副表示画面7を表示するようにしたので、自然入力を可能とし、ユーザの利便性を向上させることができる。また、自然入力と一行入力とを簡単な操作で切り替えることが可能であるので、入力途中で自然入力から一行入力へ、一行入力から自然入力へ容易に切り替えることができる。また、一行入力であっても、表計算、積分、分数などの入力および演算を行うことができるので、従来の入力方法に慣れているユーザにとっても操作性を損なうことはない。
【0031】
なお、上述した実施形態では、主表示画面6または副表示画面7のどちらかの画面で入力するようにしたが、これに限らず、主表示画面6、副表示画面7の双方をアクティブ化しておき、いずれか一方の画面から入力したら他方の画面にも反映させるようにしてもよい。
【0032】
C.変形例
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図7は、本実施形態の変形例による関数電卓100とスマートフォン(外部機器)200との使用形態を示す模式図である。変形例では、関数電卓100は、情報処理装置上でエミュレートされたアプリケーションではなく、物理的に独立した関数電卓である。関数電卓100は、無線通信機能(Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標))を有しており、
図7に示すように、スマートフォン200と無線通信機能により接続可能となっている。
【0033】
関数電卓100は、液晶表示部101、操作キー102を備えている。また、スマートフォン200は、関数電卓100の液晶表示部101に比べて大画面で、タッチ操作可能な液晶表示部201を備えている。スマートフォン200は、液晶表示部201を、関数電卓100からの指示に従って自然入力が可能な副表示画面として動作させる。スマートフォン200から入力された数値等は、無線通信機能を介して、関数電卓100に送信される。関数電卓100は、スマートフォン200から送信されるデータを受信し、入力された数式に従って演算を実行する。
【0034】
図8は、本実施形態による変形例による関数電卓100の動作を説明するためのフローチャートである。関数電卓100は、操作キー102から何らかの演算に関するキーが入力されたか判断し(ステップS50)、演算に関するキーでない場合には(ステップS50のNO)、関数電卓100は、入力されたキーに応じた他の処理を実行する(ステップS52)。一方、何らかの演算に関するキーである場合には(ステップS50のYES)、関数電卓100は、特定機能キーが入力されたか否かを判断する(ステップS54)。そして、特定機能キーでない場合、すなわち一行入力でも構わない演算(単純な加減乗除)に関するキーである場合には(ステップS54のNO)、前述した一行入力処理を実行する(ステップS70)。
【0035】
<自然入力>
一方、特定機能キーである場合には(ステップS54のYES)、関数電卓100は、スマートフォン200と無線通信を開始する(ステップS56)。次に、関数電卓100は、主表示画面に相当する液晶表示部101の画面を非アクティブ化(グレー表示)する(ステップS58)。
【0036】
次に、関数電卓100は、ユーザによって操作キー102から入力される数式、数値、演算子などを、無線通信機能を介して、スマートフォン200送信し、スマートフォン200は、関数電卓100から送信される数式、数値、演算子などを受信し、液晶表示部201に、自然入力に対応した表示態様で表示する(ステップS60)。このとき、スマートフォン200の液晶表示部201には、前述したような自然入力に適した画面が表示される。例えば、
図5(c)に示すように、積分計算のために積分記号(インテグラル「∫」)が表示されるとともに、変数(数値)を入力する箇所に点線で示すボックスが表示される。ユーザは、カーソルが入力すべきボックスを自動的に移動するので順番に数値を入力すればよい(
図6(d)、(e))。なお、入力する箇所については、ユーザがスマートフォン200の液晶表示部201をタップ(選択指示)して指定するようにしてもよい。関数電卓100は、イコールキー(「=」)が入力されると、入力された数式、数値に基づいて演算を実行し、演算結果を
図6(f)に示すように関数電卓100の液晶表示部101に表示する。
【0037】
次に、関数電卓100は、自然入力中に、操作キー102から、決定キーか、入力解除キー(クリア、オールクリアなど)が入力されたか否かを判断し(ステップS62)、決定キーまたは入力解除キーが入力されていない場合には(ステップS62のNO)、ステップS60に戻り、スマートフォン200の液晶表示部201を用いた自然入力を継続する。
【0038】
そして、関数電卓100は、自然入力中に決定キーまたは入力解除キーが入力されると(ステップS62のYES)、主表示画面に相当する液晶表示部101の画面をアクティブ化し(ステップS64)、スマートフォン200との無線通信を終了する(ステップS66)。その後、入力状態を解除する(ステップS68)。
【0039】
上述した本実施形態によれば、自然入力が好ましい数式などの特定機能キーが入力されると、一行入力のための主表示画面6とは異なる入力受付方式に適した副表示画面7を起動し、副表示画面7を用いて数式の表示態様に対応した自然入力することを可能としたので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0040】
上述した本実施形態によれば、主表示画面6をディスプレイ10の関数電卓1の所定位置に表示させ、副表示画面7を主表示画面6とは異なる位置にポップアップ表示させるようにしたので、容易に自然入力することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0041】
上述した本実施形態によれば、主表示画面を液晶表示部101に表示させ、副表示画面を無線通信で接続されたスマートフォン200の液晶表示部201に表示させるようにしたので、容易に自然入力することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0042】
上述した本実施形態によれば、主表示画面6を通常の表示態様で表示し、副表示画面7を表示させた場合には、主表示画面6を通常の表示態様とは異なる表示態様のグレー表示で表示するようにしたので、どちらがアクティブであるか容易に判別でき、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0043】
上述した本実施形態によれば、予め定められた特定機能キーの入力を受け付けた場合に、副表示画面7を用いて数式の表示態様に対応した自然入力すると判断したので、自動的に自然入力に移行することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0044】
上述した本実施形態によれば、副表示画面7を表示して自然入力している場合に、副表示画面7を表示していることを示すマーカーを、主表示画面6に表示させるようにしたので、どちらの画面が有効で、入力対象であるかを容易に識別することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態および変形例においては、副表示画面7(液晶表示部201)を表示させているときに、副表示画面7(液晶表示部201)での自然入力を受け付けていることがユーザに分かるように何らかのマーク等を主表示画面6(液晶表示部101)に表示したり、既存のマーク(Bluetooth(登録商標)による接続確立を示すマーク等)を点滅させたりしてもよい。
このようなマーク等を主表示画面6に表示させることで、副表示画面7が表示されているか否か容易に判別することができるようになり、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0046】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0047】
(付記1)
付記1に記載の発明は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御手段と、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記判別手段によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、ことを特徴とする情報処理装置である。
【0048】
(付記2)
付記2に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を前記表示部の第1表示領域に表示させ、前記第2入力受付画面を前記表示部の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に表示させる、ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置である。
【0049】
(付記3)
付記3に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を前記表示部に表示させ、前記第2入力受付画面を外部機器の表示部に表示させる、ことを特徴とする付記1または2に記載の情報処理装置である。
【0050】
(付記4)
付記4に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第1入力受付画面を第1の態様で前記表示部に表示し、前記第2入力受付画面を表示させた場合には、前記第1入力受付画面を前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記表示部に表示する、ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一つに記載の情報処理装置である。
【0051】
(付記5)
付記5に記載の発明は、前記判別手段は、予め定められたキーの入力を受け付けた場合に、前記所定の条件を満たしていると判別する、ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか一つに記載の情報処理装置である。
【0052】
(付記6)
付記6に記載の発明は、前記第1入力受付方式は、入力を受け付けた前記情報を前記表示部に一行表示させるための入力受付方式であり、前記第2入力受付方式は、入力を受け付けた前記情報を前記表示部に自然表示させるための入力受付方式である、ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一つに記載の情報処理装置である。
【0053】
(付記7)
付記7に記載の発明は、前記表示制御手段は、前記第2入力受付画面を表示させる場合に、当該第2入力受付画面を表示させることを示す標識を前記第1入力受付画面に表示させる、ことを特徴とする付記1乃至5のいずれか一つに記載の情報処理装置である。
【0054】
(付記8)
付記8に記載の発明は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させるステップと、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別するステップと、前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させるステップと、を含むことを特徴とする表示制御方法である。
【0055】
(付記9)
付記9に記載の発明は、少なくとも数値、演算子または記号のいずれかを含む情報の入力を第1入力受付方式で受け付けるための第1入力受付画面を表示部に表示させる表示制御機能と、受け付けた前記情報の入力が所定の条件を満たしているか否か判別する判別機能と、を実現させ、前記表示制御機能は、前記判別機能によって前記所定の条件を満たしていると判別された場合に、前記情報の入力を前記第1入力受付方式とは異なる第2入力受付方式で受け付けるための第2入力受付画面を前記表示部に表示させる、ことを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0056】
1、100…関数電卓、2…制御部、3…演算処理部、4…記憶部、5…表示制御部、6…主表示画面、7…副表示画面(ポップアップ画面)、8、102…操作キー、10…ディスプレイ、101…液晶表示部(主表示画面)、200…スマートフォン(外部機器)、201…液晶表示部(副表示画面)