(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135992
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】確認装置および確認方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20230922BHJP
B66B 5/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B5/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041373
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 文江
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA22
3F304CA04
3F304ED16
(57)【要約】
【課題】地震発生時に従業員に対して安否確認を行いつつ、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員を確保できる確認装置および確認方法を提供する。
【解決手段】確認装置100は、地震の発生に基づく確認処理を実行する装置である。確認装置100は、プロセッサ111と、プロセッサ111によって実行可能なプログラムを記憶するメモリ112とを備える。プロセッサ111は、確認処理において、地震の発生に基づき、従業員54が使用する従業員端末300を用いて安否確認をするための処理を実行する。従業員54には、エレベータの保守を行う保守員53が含まれる。プロセッサ111は、確認処理において、安否確認により無事が確認できた従業員54の中から、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定し、プロセッサ111は、確認処理において、対応保守員が使用する従業員端末300に対して対応エレベータの対応を指示する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の発生に基づく確認処理を実行する確認装置であって、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備え、
前記プロセッサは、前記確認処理において、前記地震の発生に基づき、従業員が使用する端末を用いて安否確認をするための処理を実行し、
前記従業員には、エレベータの保守を行う保守員が含まれ、
前記プロセッサは、前記確認処理において、
前記安否確認により無事が確認できた前記従業員の中から、前記地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定し、
前記対応保守員が使用する前記端末に対して前記対応エレベータの対応を指示する、確認装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記確認処理において、前記地震の震度が所定値以上であるエリアに居住または滞在する前記従業員が使用する前記端末に対してメールを送信して前記安否確認を行うとともに、前記端末に対して近隣の避難場所を含む情報を通知する、請求項1に記載の確認装置。
【請求項3】
前記エレベータに対応して前記地震を検知する地震感知器が設置されており、
前記プロセッサは、
前記地震感知器が検知した検知結果を受信可能であり、
前記検知結果を受信した場合に前記確認処理を起動する、請求項2に記載の確認装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記確認処理において、
前記地震の各地の震度情報を取得し、
前記対応エレベータが設置されたビルの位置情報と、前記地震感知器の前記検知結果と、前記各地の震度情報とを重ね合わせたマップ情報を生成する、請求項3に記載の確認装置。
【請求項5】
前記メモリは、前記エレベータが設置されたビルの情報、および、前記保守員の、居所と、メールアドレスと、前記保守に関するスキル情報とを含む保守員情報を含むデータベース情報を記憶し、
前記プロセッサは、前記確認処理において、
前記各地の震度情報と、前記地震感知器の前記検知結果と、前記保守員の位置情報と、前記保守員の前記安否確認の結果とを含むリアルタイム情報を取得し、
前記データベース情報と前記リアルタイム情報とに基づき前記対応保守員を決定する、請求項4に記載の確認装置。
【請求項6】
前記スキル情報は、第1スキルと、前記第1スキルよりも前記保守に対するスキルが高い第2スキルとを含み、
前記エレベータに対する対応には、第1対応と、前記第1対応よりも前記エレベータの対応の際の緊急度が高いまたは前記エレベータの対応の際にスキルを要する第2対応とが含まれ、
前記プロセッサは、前記エレベータに対する対応が前記第2対応である場合、前記第1スキルと前記第2スキルとのうち、高い割合で前記第2スキルである前記保守員を前記対応保守員として決定する、請求項5に記載の確認装置。
【請求項7】
前記保守員情報は、前記保守員の所属をさらに含み、
前記プロセッサは、前記保守員の所属が前記エリアの前記保守を担当しておらず、かつ、前記保守員の位置情報が前記エリア内にある場合、前記保守員のスキルが前記第1スキルであるときは前記対応保守員として決定しない一方、前記保守員のスキルが前記第2スキルであるときは前記対応保守員として決定可能である、請求項6に記載の確認装置。
【請求項8】
地震の発生に基づく確認処理を実行する確認方法であって、
前記確認処理において、前記地震の発生に基づき、従業員が使用する端末を用いて安否確認をするための処理を実行するステップを備え、
前記従業員には、エレベータの保守を行う保守員が含まれ、
前記確認処理において、前記安否確認により無事が確認できた前記従業員の中から、前記地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定するステップと、
前記確認処理において、前記対応保守員が使用する前記端末に対して前記対応エレベータの対応を指示するステップとをさらに備える、確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地震の発生に基づく確認処理を実行する確認装置および確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震が発生した際に、従業員に対してメールによる安否確認を行う会社が増えている。たとえば、震度5程度の地震が発生した際、地震が発生した地区に職場(支社など)がある従業員に対して安否を確認するため、一斉にメールを発信する。従業員は、本人を含む家族が無事である(怪我がないか)か否か、出社可能であるか否か等の状況を返信し、その結果をもって安否確認を行う。
【0003】
たとえば、エレベータの保守を行う保守会社において安否確認を行うものとして、特許文献1(特開2017-24871号公報)には、ビル内に設置された地震計の動作に基づいて、保守員の安否確認をするためのプログラムを実行する技術が開示されている。保守会社においては、こうした安否確認に加えて、保守員を現場に向かわせてエレベータの地震復旧対応を行わせる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、地震発生時に従業員に対して安否確認を行い、その上で、エレベータに対して適切な地震復旧対応を行うための人員を確保するための仕組みについては検討されていない。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、地震発生時に従業員に対して安否確認を行いつつ、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員を確保できる確認装置および確認方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る確認装置は、地震の発生に基づく確認処理を実行する装置である。確認装置は、プロセッサと、プロセッサによって実行可能なプログラムを記憶するメモリとを備える。プロセッサは、確認処理において、地震の発生に基づき、従業員が使用する端末を用いて安否確認をするための処理を実行する。従業員には、エレベータの保守を行う保守員が含まれる。プロセッサは、確認処理において、安否確認により無事が確認できた従業員の中から、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定する。プロセッサは、確認処理において、対応保守員が使用する端末に対して対応エレベータの対応を指示する。
【0008】
本開示に係る確認方法は、地震の発生に基づき確認処理を実行する方法である。確認方法は、確認処理を実行するステップを備える。確認処理を実行するステップは、地震が発生したエリアにいる従業員が用する端末を用いて安否確認をするための処理を実行するステップを含む。従業員には、エレベータの保守を行う保守員が含まれる。確認処理を実行するステップは、安否確認により無事が確認できた従業員の中から、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定するステップと、対応保守員が使用する端末に対して対応エレベータの対応を指示するステップとをさらに含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、地震発生時に従業員に対して安否確認を行いつつ、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態におけるマップ画面について説明するための図である。
【
図2】確認システムのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】確認装置が実行する確認処理を説明するための図である。
【
図7】避難情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図8】ルート情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図11】エリアE1の商業エリアでの対応者決定を説明するための図である。
【
図12】エリアE1の商業エリアでの対応者決定例を示す図である。
【
図13】エリアE1の住宅エリアでの対応者決定を説明するための図である。
【
図14】エリアE1の住宅エリアでの対応者決定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本実施の形態におけるマップ画面141について説明するための図である。本実施の形態における確認装置100(後述の
図2)は、マップ画面141を表示可能である。確認装置100は、地震の発生に基づく処理を実行する装置である。マップ画面141には、地震が発生したエリアにおけるビル情報および地震情報が表示される。
【0013】
地震が発生した場合、エレベータにおいて地震復旧対応(復旧作業)が必要になることがある。エレベータに設置された地震感知器が所定以上の揺れを検知した場合、エレベータのかごは最寄階に停止(着床)した後に戸開する。これにより乗客は降車し、その後、エレベータは運転を休止する。
【0014】
この場合、エレベータの保守を行う保守員は、エレベータが設置されたビルに出向いて、エレベータの復旧作業を行う。保守員は、エレベータの点検作業後に平常運転に復帰させ、地震感知器をリセットする。地震感知器は、たとえば、ピット(地下)または機械室(屋上)に設置される。地震感知器が機械室に設置され、かつ、高層ビルなど、ビルの階床数が多い場合、地震感知器を操作するためには屋上まで階段を上る必要がある。時間がかかる上に、保守員が高齢である場合、このような作業には適していない。
【0015】
さらに大きな地震が発生した場合、あるいは、地震に伴いエレベータに何らかの異常または停電が発生したような場合、たとえば、かごが階床間で停止したために乗客が降車できずかご内に閉じ込められた閉じ込めが発生することある。この場合、保守員は、かごを最寄階まで移動させて乗客を救出する必要がある。この作業には時間を要するとともに一定以上の保守に関するスキルを要する。また、病院・警察・消防等の緊急度の高い建物や、負傷者が発生するなど緊急度の高い状況に対する対応、高速エレベータの対応なども、一定以上のスキルを要する。
【0016】
地震の震度は地域により異なり、また、従業員の勤務地が居所(自宅の住所)から離れている場合や、たまたま出張等で自宅から遠い場所にいる場合もある。この場合、従業員およびその家族の安否状態を正確に把握するためには、地震発生エリアに職場(支社等)がある従業員に対して安否確認を行うのではなく、従業員の居所(自宅)あるいは現在位置の地震規模に応じて安否確認を行う必要がある。
【0017】
その上で、本実施の形態においては、安否確認ができた従業員の中から、地震復旧対応(復旧作業)が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員(保守員)を確保する。このように構成した場合、勤務地(支社)による管轄(担当エリア)に縛られることなく、たまたま出張等で地震発生エリアに滞在しているスキルの高い保守員を有効活用することができる。
【0018】
図1の例において、エリアE1~E4において地震が発生したとする。マップ画面141の地図上には、地震が発生したエリアE1~E4の地図が表示されている。マップ画面141には、震度情報が表示されている。エリアE1の震度はM1であり、エリアE3の震度はM2であり、エリアE2の震度はM3であり、エリアE4の震度はM4であることが示されている。ここで、M1>M2>M3>M4であるとする。
【0019】
マップ画面141の地図上には、ビルおよびビルの状態が表示されている。ビル152,153は、地震の発生によりエレベータの復旧作業(地震復旧対応)が必要となったビルであることを示す。一方、ビル151は、地震の影響がなく、現在エレベータは正常に稼働していることを示す。ビル152は、地震の発生によってかごが最寄階で停止後に休止しているために復旧作業が必要な状態である。ビル153は、地震の発生によって閉じ込めが発生したために復旧作業が必要な状態である。
【0020】
確認装置100は、復旧作業が必要な各ビルに対して、復旧作業を行う保守員53を割当てる。マップ画面141の地図上には、各保守員53の現在地情報と、復旧作業を行うビル152,153へのルート(経路71a~e)が表示されている。
【0021】
エリアE1には、1人の保守員53に3つのビル152が割当てられ、経路71aを移動して順次復旧作業(地震復旧対応)を行う予定であることが示されている。また、近くにいる別の保守員53には2つのビル152が割当てられ、経路71bを移動して順次復旧作業を行う予定であることが示されている。さらに、別の保守員53は、経路71cを移動してビル153の復旧作業(閉じ込め状態から乗客を救出)を行う予定であることが示されている。
【0022】
同様に、エリアE3においても、2人の保守員53がそれぞれ経路71d,eを移動してビル152の復旧作業を行う予定であることが示されている。一方、エリアE2,E4においては、復旧作業が必要なビル152,153が存在しないため、保守員53の割当ては行われていない。
【0023】
なお、マップ画面141においては、保守員53の位置および経路71a~eを表示しなくてもよい。また、マップ画面141において、保守員53の位置および経路71a~eの表示に代えて、各ビル152,153への保守員53の到着予想時間等の情報を表示するようにしてもよい。
【0024】
図2は、確認システムのハードウェア構成の一例を示す図である。確認システムは、確認装置100と、監視装置200と、エレベータシステム10と、従業員端末300と、利用者端末400とを備える。
【0025】
確認装置100は、たとえば、エレベータの保守会社の情報センタ90内に設置されている。情報センタ90では、各地のエレベータの情報を集中管理している。確認装置100は、プロセッサ111と、メモリ112と、通信インターフェイス113と、表示部121とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
プロセッサ111は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリ112は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、記憶部とを備えるように構成してもよい。記憶部は、不揮発性の記憶装置である。記憶部は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であってもよい。
【0027】
プロセッサ111は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、確認装置100の各種機能を実現する。ROMは、確認装置100の処理手順が記されたプログラムを格納する。RAMは、プロセッサ111がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0028】
確認装置100は、通信インターフェイス113を介して、監視装置200、従業員端末300および利用者端末400と無線で接続可能である。確認装置100は、監視装置200と有線による通信を行ってもよい。表示部121は、各種情報の表示を行う。表示部121は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0029】
監視装置200は、エレベータシステム10を監視する装置である。監視装置200は、エレベータシステム10から取得したエレベータの各種情報を確認装置100に対して送信(発報)可能である。監視装置200は、プロセッサ(CPU)211と、メモリ212と、通信インターフェイス213とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ212も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0030】
プロセッサ211は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、監視装置200の各種機能を実現する。ROMは、監視装置200の処理手順が記されたプログラムを格納する。監視装置200は、通信インターフェイス213を介して確認装置100と通信する。
【0031】
従業員端末300は、従業員54が使用する端末である。従業員端末300は、たとえば、スマートフォン等のモバイル端末である。従業員54は、エレベータの保守会社の従業員54である。従業員54には、エレベータの保守を行う保守員53が含まれる。本実施の形態においては、従業員端末300は、保守会社から貸与あるいは従業員54が個人で所有する端末である。
【0032】
従業員端末300は、プロセッサ(CPU)311と、メモリ312と、通信インターフェイス313と、入力部320と、表示部321とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ312も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0033】
プロセッサ311は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、従業員端末300の各種機能を実現する。ROMは、従業員端末300の処理手順が記されたプログラムを格納する。従業員端末300は、通信インターフェイス313を介して、確認装置100と接続可能である。
【0034】
入力部320は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部320は、たとえば、タッチパネルであるが、キーボード、マウスであってもよい。表示部321は、各種情報の表示を行う。表示部321は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0035】
利用者端末400は、エレベータが設置されたビルの管理人またはオーナー、あるいは、エレベータの乗客(たとえば、かごに閉じ込められた乗客)が使用する端末である。利用者端末400は、たとえば、スマートフォン等のモバイル端末である。
【0036】
利用者端末400は、プロセッサ(CPU)411と、メモリ412と、通信インターフェイス413と、入力部420と、表示部421とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続されている。メモリ412も同様に、ROMと、RAMと、記憶部とを備えるように構成してもよい。
【0037】
プロセッサ411は、ROMに保存されているプログラムをRAMに読み込んで実行し、利用者端末400の各種機能を実現する。ROMは、利用者端末400の処理手順が記されたプログラムを格納する。利用者端末400は、通信インターフェイス413を介して、確認装置100と接続可能である。
【0038】
入力部420は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部420は、たとえば、タッチパネルであるが、キーボード、マウスであってもよい。表示部421は、各種情報の表示を行う。表示部421は、たとえば、液晶表示器、ディスプレイである。
【0039】
エレベータシステム10は、群管理制御装置20と、各台管理制御装置30と、かご装置40と、地震感知器25と、乗場表示装置26とを備える。エレベータシステム10は、複数のエレベータ(本例では、2台)を備えるが、1台のエレベータを備えるものであってもよい。エレベータのかごは、ビル内に設けられた昇降路内に設置されている。かごは、昇降路内を走行して複数の階床間を移動する。
【0040】
昇降路の直上には、機械室が設けられている。機械室には、巻上機および制御盤が設けられている。巻上機は、かごを昇降させるために駆動するモータである。制御盤内には、群管理制御装置20および各台管理制御装置30が設置されている。かご装置40は、かご内に設けられている電子機器であり、かごの位置・方向を表示する表示器等を備える。
【0041】
エレベータシステム10には、かごの動作の制御等、エレベータを制御する制御部として群管理制御装置20および各台管理制御装置30が設けられている。群管理制御装置20は、複数台(本例では、2台)のエレベータを制御する装置である。各台管理制御装置30は、各エレベータを制御する装置である。
【0042】
群管理制御装置20および各台管理制御装置30は、互いに通信し、エレベータに関する各種データをやり取りする。各台管理制御装置30は、かご装置40から信号データを取得あるいは、かご装置40に対して制御指令を行う。
【0043】
群管理制御装置20は、乗場表示装置26を含む各種乗場機器と接続されている。乗場表示装置26は、各階の乗場に設置されており、乗客に対して各種情報を表示する。
【0044】
群管理制御装置20は、地震感知器25と接続されている。地震感知器25は、地震を感知する装置である。各台管理制御装置30は、群管理制御装置20を介して地震感知器25からの地震信号(たとえば、P波、S波等の信号)を取得する。各台管理制御装置30は、地震感知器25が検知した地震信号に基づく動作(地震時管制運転)をかごに行わせることができる。具体的には、各台管理制御装置30は、地震信号に基づき、かごを最寄り階に着床させた後に休止、あるいは、かごを停止させる。
【0045】
また、確認装置100は、監視装置200を介して、エレベータシステム10と通信可能である。監視装置200は、地震感知器25が検出した地震信号を含む各種エレベータの信号を確認装置100に対して発報(送信)可能である。
【0046】
これにより、確認装置100は、エレベータの各種情報を取得可能であるとともに、エレベータが設置されたビルにおいて地震が発生していることを把握することができる。確認装置100が取得する信号は、地震信号(P波、S波等)に限らず、地震発生によりエレベータが休止している旨を示す信号、閉じ込め状態を特定可能な信号等であってもよい。
【0047】
なお、地震感知器25は、群管理制御装置20に接続されるものに限らず、各台管理制御装置30に接続されるものであってもよく、エレベータごとに地震感知器25が設置されるものであってもよい。また、エレベータシステム10は、群管理制御装置20を備えず、各台管理制御装置30同士が通信し、各台管理制御装置30が監視装置200と直接通信するものであってもよい。
【0048】
図3は、確認装置100が実行する確認処理を説明するための図である。確認装置100は、地震の発生に基づく確認処理を実行する。確認処理は、
図3において説明する一連の処理であって、地震感知器25が地震を検知したことに基づき起動する処理である。
【0049】
確認装置100は、情報センタ90で管理されている複数のビル(Aビル、Bビル等)からの地震信号を受信可能である。これらのビルには、エレベータに対応して地震を検知する地震感知器25が設置されている。確認装置100は、地震感知器25が検知した検知結果(地震信号)を受信可能である。
【0050】
これらのビルのいずれかが地震を検知した場合、確認装置100は地震信号(たとえば、P波)を受信する。そして、確認装置100は、この地震信号の受信を条件として、本実施の形態におけるシステム(確認処理)を起動する。
【0051】
確認装置100は、確認処理が起動すると、まず、データベース情報161を取得する。データベース情報161は、メモリ112に記憶されている。データベース情報161は、エレベータが設置されたビルの情報(ビル・エレベータ情報)と保守員情報とを含む。
【0052】
ビル・エレベータ情報には、各ビルにおける、ビル用途、エレベータの設置台数、地震感知器25の設置台数、所在地等の情報が記録されている。ビル用途としては、病院、消防、警察、オフィスビル、商業ビル等の、ビルの用途が記録されている。
【0053】
従業員情報には、各従業員の、従業員ID、所属、職務、メールアドレス、自宅の住所(居所)、保守に関するスキル情報等の情報が記録されている。所属には、従業員が所属する支社名等の職場の所在地を特定可能な情報が記録されている。本実施の形態においては、支社ごとに管轄(担当)するエリアがある。たとえば、A支社が担当するエリアがBエリアである場合、A支社に所属する保守員53は、Bエリア内にあるビルのエレベータの保守を担当している。
【0054】
職務には、従業員の職務が記録され、たとえば、エレベータの保守を行う「保守員」、事務を行う「事務員」等の区分が記録されている。メールアドレスには、従業員54(保守員53を含む)が使用する従業員端末300のメールアドレスが記録されており、本メールアドレスを用いて地震発生時の安否確認を行う。住所には、従業員が居住する場所(自宅の住所)が記録されている。
【0055】
スキル情報には、エレベータの保守に関する技能レベルを示す情報が記載されている。本実施の形態においては、技能レベルを示す情報として、技能レベルA、技能レベルB、技能レベルCといった情報が記載されている。技能レベルA、技能レベルB、技能レベルCの順にエレベータの保守に関する技能レベル(スキル)が高いことを示す。
【0056】
次に、確認装置100は、リアルタイム情報162を取得する。リアルタイム情報162は、気象庁情報と地震情報と対応者情報とを含む。気象庁情報は、気象庁が提供する情報であり、各地の震度情報を含む。確認装置100は、気象庁のサーバにアクセスし、地震の各地の震度情報を取得する。
【0057】
地震情報は、情報センタ90において管理されている地震に関する情報等である。地震情報は、監視装置200からの受信情報(地震感知器25の検知結果等)、客先からの電話情報と、閉じ込めの有無と、負傷者の有無とを含む。対応者情報は、保守員53の位置情報(現在位置)と、保守員53の安否確認の結果とを含む。
【0058】
なお、データベース情報161、地震情報、対応者情報は、確認装置100のメモリ112に記憶されていてもよいし、確認装置100とは異なる別のサーバ装置に記憶されていてもよい。前者の場合は、確認装置100は、メモリ112から情報を取得する。後者の場合は、確認装置100は、サーバ装置に対してデータを要求し、サーバ装置からデータを取得する。
【0059】
以下、地震に起因して対応(地震復旧対応)が必要になったエレベータを、「対応エレベータ」とも称する。また、対応エレベータの地震復旧対応を行う保守員53を「対応保守員」とも称する。
【0060】
次に、確認装置100は、マップ生成処理を実行する。確認装置100は、マップ生成処理において、地震に起因して対応が必要になったエレベータ(対応エレベータ)が設置されたビルの位置情報(所在地)と、地震感知器25の検知結果と、各地の震度情報とを重ね合わせたマップ情報を生成する。
【0061】
図4は、マップ生成処理のフローチャートである。確認装置100は、マップ生成処理を実行する。以下、「ステップ」を単に「S」とも称する。
【0062】
マップ生成処理において、
図1で示したようなマップ画面141を生成する。ただし、この段階においては、保守員53は割当てられていないため、この情報は表示されない。本例においては、エリアE1およびエリアE2において復旧作業が必要である。
【0063】
図4に示すように、マップ生成処理が開始すると、確認装置100は、S101において、データベース情報161およびリアルタイム情報162を取得する。
【0064】
確認装置100は、S102において、地図情報にビル情報をセットする。
図1の例において、地図情報は、エリアE1~E4の地図である。また、
図1の例において、ビル情報は、ビル151~153の位置情報等である。
【0065】
確認装置100は、S103において、地図情報に震度情報をセットする。
図1の例においては、エリアE1~E4の震度情報(震度M1~M4)がセットされる。
【0066】
確認装置100は、S104において、地図情報に地震感知器25の情報をセットする。
図1の例において、ビル情報は、ビル152,153における地震感知器25の情報である。本例では、かごの最寄階停止(休止)により復旧作業が必要となったか否かの情報と、閉じ込め発生により復旧作業が必要になったか否かの情報である。
【0067】
確認装置100は、S105において、地図情報にその他情報をセットし、マップ生成処理を終了する。その他情報は、震度を含むP波・S波の情報、その他、監視装置200経由でエレベータから取得された各種信号であってもよい。また、その他情報は、客先・エレベータ利用者からの電話情報あるいはスマートフォンによる情報(負傷者の有無、閉じ込めの有無)等であってもよい。
【0068】
また、
図1に示したように、復旧作業が必要なエレベータに保守員53が割当てられた後は、保守員53の現在地情報および保守員53が移動する経路(ルート)を地図情報にセットしてもよい。
【0069】
図3に戻り、確認装置100は、安否情報生成処理を実行する。安否情報生成処理は、地震の発生に基づき従業員端末300を用いて安否確認をするための処理であって、地震が発生したエリアの従業員に対して送信する安否確認を行うとともに避難情報を送信するためのデータを生成する処理である。
【0070】
図5は、安否情報生成処理のフローチャートである。確認装置100は、安否情報生成処理を実行する。
図5に示すように、安否情報生成処理が開始すると、確認装置100は、S201において、所定値以上の震度(たとえば、震度5)である「対象エリア」を抽出する。
【0071】
確認装置100は、S202において、対象エリアにおけるデータベース情報161およびリアルタイム情報162を抽出する。確認装置100は、S203において、対象エリアに居住または滞在している従業員54を抽出する。
【0072】
具体的には、確認装置100は、従業員情報の「住所」データを用いて、所定値以上の震度(震度5)である「対象エリア」内に住所が含まれている従業員54を抽出する。また、確認装置100は、リアルタイム情報162の従業員54の「位置情報(現在地)」を取得する。
【0073】
本実施の形態においては、確認装置100は、従業員端末300のGPS情報を用いて、従業員54の位置情報を取得可能に構成されているものとする。そして、位置情報が「対象エリア」内である(対象エリアに滞在している)従業員54を抽出する。
【0074】
なお、確認装置100は、データベース情報161の従業員情報の「所属(支社)」を用いて、「対象エリア」を管轄する支社(所属)の従業員54を抽出するようにしてもよい。これによって、「対象エリア」を管轄する支社(所属)の保守員53を、復旧作業が必要なエレベータに割当て可能に構成するようにしてもよい。
【0075】
確認装置100は、S204において、抽出した従業員54に対する安否確認データおよび避難情報を生成し、安否情報生成処理を終了する。S204で生成するデータは、後述の
図6,
図7での表示を行わせるためのデータである。
【0076】
図3に戻り、確認装置100は、対象となる従業員54のメールアドレスに対して、安否確認を行う(安否確認データを送信する)とともに避難情報を送信する。従業員54は、従業員が使用する従業員端末300で、安否確認のメールを受信する。メールに記載されたURLをクリックすると、安否確認を行うことができる。従業員54は、従業員端末300を用いて、確認装置100に対して安否確認結果を送信する。
【0077】
図6は、安否確認画面の一例を示す図である。
図6の例においては、従業員ID「123」の従業員54(
図3の例では、保守員53c)に対して送信された安否確認画面の表示例が示されている。従業員端末300の表示部321には、従業員IDが「123」であり、従業員54の名前が「ABC」であり、従業員54の区分(職務)が「保守員」であり、従業員54の住所(居所)が「エリアE1」に含まれることが示されている。また、保守員53cが現在「エリアE1」内にいることが示されている。
【0078】
画面下部には、「安否確認」として、「本人は無事である」か否か、「家族は無事である」か否か、「地震復旧対応可能」か否か等の項目が表示されている。該当する項目にチェックを入れて送信ボタンをクリックすると、上記情報が確認装置100に送信される。本例では、保守員53cは、本人および家族は無事であり、地震復旧対応が可能である旨の回答を行っている。
【0079】
図7は、避難情報を表示する画面の一例を示す図である。
図6の画面において、「送信」をクリックすると、
図7に示すように、「避難情報」が表示される。本例では、最寄りの避難場所が「XXX公園」であるとの情報が提供されている。それとともに、「地図を表示」のリンクが表示されている。本リンクをクリックすると、「XXX公園」の地図情報が表示される。「次へ」をクリックすると、画面が遷移する。
【0080】
このように、確認装置100は、確認処理において、地震の震度が所定値以上である対象エリアに居住または滞在する従業員54が使用する従業員端末300に対してメールを送信して安否確認を行うとともに、従業員端末300に対して近隣の避難場所を含む情報を通知している。
【0081】
図3に戻り、確認装置100は、対応者決定処理を実行する。確認装置100は、対応者決定処理において、安否確認により無事が確認できた従業員54の中から、地震に起因して対応が必要になったエレベータ(対応エレベータ)の対応を行う保守員(対応保守員:地震復旧対応が可能な保守員53)を決定(割当て)する。確認装置100は、対応者決定処理において、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき対応保守員を決定する。
【0082】
図9は、対応者決定処理のフローチャートである。確認装置100は、対応者決定処理を実行する。
図9に示すように、対応者決定処理が開始すると、確認装置100は、S301において、対象エリア内で地震復旧対応が必要なビル情報を抽出する。たとえば、
図1で示されたビル152,153は地震復旧対応が必要なビルに相当する。
【0083】
確認装置100は、S302において、地震の震度が所定値以上である対象エリア内に居住する従業員であって安否確認ができた従業員54の中から地震復旧対応が可能な保守員53(職務=保守員)を抽出する。本処理で抽出された保守員53の人数=N1人であったとする。
【0084】
確認装置100は、S303において、データベース情報161およびリアルタイム情報162から、対象エリア内で地震復旧対応に必要な保守員53の人数を推定する。たとえば、
図1の例では、ビル152およびビル153の数をカウントし、これを地震復旧対応に必要な保守員53の人数として推定してもよい。
【0085】
あるいは、ビルとビルとの距離が短くその近辺に保守員53がいる場合に、複数のビルを1人の保守員が担当するものとしてカウントしてもよい。
図1の例では、経路71a上にある3つのビルを1つの保守員53が担当し、経路71b上にある2つのビルを1つの保守員53が担当するものとしてカウントしている。また、ビルの規模に応じて担当する保守員53の数を変更してもよい(高層ビルであれば、複数人を割当て)。たとえば、本処理で抽出された保守員53の人数=N2人であったとする。
【0086】
確認装置100は、S304において、対応人数が不足したか否かを判定する。N1<N2である場合に、対応人数が不足したと判定される。
【0087】
確認装置100は、対応人数が不足したと判定した場合(S304でYES)、処理をS305に進める。確認装置100は、対応人数が不足したと判定しなかった場合(S304でNO)、処理を306に進める。
【0088】
確認装置100は、S305において、対象エリア内に滞在中の保守員53および近隣エリアの保守員53のうち、スキルの高い保守員53(技能レベルAの保守員)を不足人数分(N2-N1)抽出する。近隣エリアの保守員53を抽出する場合、対象エリア外から抽出するようにしてもよい。
【0089】
確認装置100は、S306において、保守員53のスキルおよび現場状況に応じて、地震復旧対応をするビルを割当てし、対応者決定処理を終了する。ここでは、
図1のように、ビル152,153の近傍にいる(ビル152,153への到着予想時間が短い)保守員53を割当てればよい。
【0090】
また、緊急度が高いビル・高いスキルを要するビルである場合、あるいは、対象エリア内に滞在中の保守員53または近隣エリアの保守員53を割当てる場合は、技能レベルA(あるいは技能レベルB)の保守員53の中から割当てる。また、上述のように、複数のビルを1人の保守員が担当するように割当てを行ってもよいし、ビルの規模に応じて1つのビルを複数の保守員が担当するように割当てを行ってもよい。
【0091】
図3の説明に戻る。
図3の例においては、保守員53aは、本人または本人の家族が無事でなかったために、地震復旧対応が不可能である。保守員53bおよび保守員53cは、本人および本人の家族が無事であるために、地震復旧対応が可能である。そして、確認装置100は、保守員53cに対して地震復旧対応の指示(割当て)を行っている。
【0092】
図8は、ルート情報を表示する画面の一例を示す図である。たとえば、
図7で示した画面において、「次へ」をクリックすると、本画面が表示されるようにしてもよい。本例では、保守員53cに対して地震復旧対応が決定されている(割当てられている)。確認装置100は、保守員53cに対して、
図8に示すように、Dビルの対応を行った後にEビルの対応を行うように、ルート情報の指示を行っている(保守員53cに割当てられた対応エレベータは、DビルおよびEビルである)。
【0093】
そして、Dビルの情報として、Dビルへの移動にかかる予想時間が「T1分」であり、Dビルに設置された地震感知器25の設置台数が「1台」であり、地震発生により最寄階に停止して休止しているエレベータ(復旧対応が必要なエレベータ)が2台であることが表示されている。「その他詳細情報を表示」のリンクをクリックすると、Dビルへの道順等、Dビルに関するさらに詳しい情報が表示される。
【0094】
また、Eビルの情報として、Dビルへの移動にかかる予想時間が「T2分」であり、Dビルに設置された地震感知器25の設置台数が「1台」であり、地震発生により最寄階に停止して休止しているエレベータ(復旧対応が必要なエレベータ)が1台であることが表示されている。「その他詳細情報を表示」のリンクをクリックすると、Eビルへの道順等、Eビルに関するさらに詳しい情報が表示される。
【0095】
このように、確認装置100は、確認処理において、対応保守員が使用する従業員端末300に対して対応エレベータの対応を指示する。保守員53c(対応保守員)は、確認装置100によって指示されたビルのエレベータ(対応エレベータ)の地震復旧対応を行うために現場に向かう。
【0096】
以下、
図10以降の図を用いて、保守員53のスキルと緊急度との関係について具体的に説明する。
図10は、従業員情報の一例を示す表である。
図10に示すように、従業員情報の項目として、「従業員ID」、「所属」、「職務」、「メールアドレス」、「住所」、「スキル情報」等が示されている。
【0097】
たとえば、従業員情報には、従業員ID「10023」の従業員54の所属が「S1支社」であり、職務が「保守員」であり、メールアドレスが「xx1@xx.xx」であり、住所が「T1県S1市」であり、スキル情報が「技能レベルB」であることが記録されている。なお、
図10で示した全ての保守員53は、安否確認の結果として地震復旧対応可能であるものとする。
【0098】
本実施の形態の例では、地震発生エリアE1(対象エリア)を管轄(担当)する支社はS1支社である。S1支社には、技能レベルBの従業員ID「10023」の保守員53、技能レベルAの従業員ID「10024」の保守員53、技能レベルCの従業員ID「10025」の保守員53、技能レベルCの従業員ID「10026」の保守員53が在籍している。従業員ID「10027」の従業員は事務員である。
【0099】
また、地震発生エリアE1(対象エリア)に隣接するエリアE2を管轄する支社はS2支社である。S2支社には、技能レベルAの従業員ID「20021」の保守員53、技能レベルCの従業員ID「20022」の保守員53が在籍している。
図1において、エリアE2において震度M3の地震が発生しているが、保守員53は割当てられていない。
【0100】
また、地震発生エリア(対象エリア)外にあるS3支社の保守員53が2名、地震発生エリアE1に出張している。この2名の出張者は、技能レベルB(従業員ID「30021」)および技能レベルA(従業員ID「30022」)である。
【0101】
確認装置100は、保守員53の所属が対象エリア(地震発生エリア)の保守を担当しておらず、かつ、保守員の位置情報が対象エリア内にある場合、保守員のスキルが技能レベルB,Cであるときは対応保守員として決定しない一方、保守員53のスキルが技能レベルAであるときは対応保守員として決定可能である。
【0102】
また、確認装置100は、エレベータに対する対応が、エレベータの対応の際の緊急度が高いまたはエレベータの対応の際にスキルを要する対応である場合、技能レベルA~Cのうち、高い割合で技能レベルAである保守員53を対応保守員として決定する。
【0103】
以下、
図11~
図14を用いて、エリアE1における対応者の決定例について説明する。本例では、エリアE1は、商業エリア(
図11,
図12)と住宅エリア(
図13,
図14)とから構成されているものとする。
【0104】
商業エリアにおいては高層ビルが多く、高速エレベータが設置された高層ビルの対応(地震復旧対応)には保守員53のスキルが高いことが望ましいものとする。一方、低速エレベータが設置された住宅エリアにおいては階床数の少ない雑居ビルあるいはマンションが多く、低いスキルの保守員53でも対応可能であるものとする。
【0105】
図11は、エリアE1の商業エリアでの対応者決定を説明するための図である。エリアE1の商業エリアには高層ビル155が多く、雑居ビル156(マンションを含む)は少ない。ここで、マーク157は、ビルに監視装置200が設置されており、かつ、復旧対応(地震復旧対応)が必要であることを示す。マーク158は、ビルに監視装置200が設置されており、かつ、復旧対応(地震復旧対応)が不要であることを示す。
【0106】
E1の復旧対応には、エリアE1を管轄するS1支社に所属しかつエリアE1内に住所がある保守員53を割当ててもよいし、単にエリアE1内に住所がある保守員53を割当ててもよい。ただし、現場に慣れており周辺の地理にも詳しいため、S1支社の保守員53を割当てる方がより望ましい。また、確認装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155において、低速エレベータが設置された雑居ビル156よりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。
【0107】
たとえば、確認装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155に対しては技能レベルA,Bの保守員53dを割当て、低速エレベータが設置された雑居ビル156に対しては技能レベルCの保守員を割当てるようにしてもよい。
【0108】
その結果、エリアE1の商業エリアに対して割当てるべき保守員の数が不足した場合は、さらに、確認装置100は、S1支社に隣接する支社(本例では、S2支社)の保守員53eおよび現在地がエリアE1内である保守員53f(たとえば、出張者、休日でたまたま滞在している者)を割当てる。
【0109】
その際、確認装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155において、低速エレベータが設置された雑居ビル156よりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。たとえば、確認装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155に対しては技能レベルAの保守員53e,fを割当てる。なお、この場合、担当エリアではない保守員が対応するため、最もスキルの高い技能レベルAの保守員のみを割当てている。
【0110】
また、本実施の形態において、確認装置100は、緊急度の高いビルは、緊急度の低いビルよりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。たとえば、ビル用途が、病院、消防、警察である場合は、緊急度を高く設定する。ビル用途が、オフィスビル、商業ビル等である場合は、上記のものよりも緊急度が低く設定される。
【0111】
たとえば、ビル用途が、病院、消防、警察である場合は、技能レベルAの保守員53が割当てられる確率が高く、その他のビル用途の場合は、技能レベルB,Cの保守員53が割当てられる確率が高くなるようにしてもよい。また、緊急度が高い状況(負傷者が発生している、閉じ込めが発生している)においても、同様の割当てを行う。
【0112】
従業員情報(
図10)の具体例を用いて説明する。
図12は、エリアE1の商業エリアでの対応者決定例を示す図である。
【0113】
まず、
図10に示した保守員のうち、住所(居所)がエリアE1内にあり、かつ、技能レベルA,Bの保守員(従業員ID:10023,10024)が抽出される。これらの保守員54はS1支社に所属している。本実施の形態では、地震発生エリア内に居住する保守員53を割当てるようにしているが、地震発生エリアを管轄する支社に在籍する保守員53を割当てるようにしてもよい。
【0114】
そして、従業員ID:10023,10024の保守員が「対応可」として割当てられる。たとえば、
図1の例では、技能レベルAである従業員ID:10024の保守員53を、高いスキルを要する経路71cのビル153(閉じ込め発生)に割当てる。
【0115】
次に、
図10に示した保守員のうち、S1支社に隣接するS2支社に所属し、かつ、技能レベルAの保守員(従業員ID:20021)が抽出される。そして、
図12に示すように、従業員ID:20021の保守員が「対応可」として割当てられる。
【0116】
次に、
図10に示した保守員のうち、地震発生エリアE1への出張者(現在地がエリアE1内)であり、かつ、技能レベルAの保守員(従業員ID:30022)が抽出される。そして、
図12に示すように、従業員ID:30022の保守員が「対応可」として割当てられる。
【0117】
次に、エリアE1の住宅エリアでの対応者決定について説明する。
図13は、エリアE1の住宅エリアでの対応者決定を説明するための図である。エリアE1の住居エリアには高層ビル155が存在せず、低速エレベータの設置された雑居ビル156(マンションを含む)のみであるとする。
【0118】
上述のように、確認装置100は、高速エレベータが設置された高層ビル155において、低速エレベータが設置された雑居ビル156よりも、高い確率でスキルが高い保守員を割当てる。たとえば、確認装置100は、低速エレベータの設置された雑居ビル156(マンションを含む)に対しては技能レベルCの保守員53gを割当てるようにしてもよい。
【0119】
なお、その結果、エリアE1の住宅エリアに対して割当てるべき保守員の数が不足した場合は、技能レベルBの保守員53を割当てるようにしてもよい。あるいは、確認装置100は、S1支社に隣接する支社の保守員53および現在地がエリアE1内である保守員53を割当てるようにしてもよい。この場合、技能レベルは問わない。
【0120】
従業員情報(
図10)の具体例を用いて説明する。
図14は、エリアE1の住宅エリアでの対応者決定例を示す図である。
図10に示した保守員のうち、住所(居所)がエリアE1内にあり、かつ、技能レベルCの保守員(従業員ID:10025,10026)が抽出される。これらの保守員54はS1支社に所属している。そして、従業員ID:10025,10026の保守員が「対応可」として割当てられる。
【0121】
なお、スキル情報を考慮しない場合は、保守員の住所または位置情報がエリアE1(対象エリア)内にある従業員54を抽出して安否確認を行い、保守員の住所または位置情報がエリアE1(対象エリア)内にあって、安否確認の結果として地震復旧対応可能な保守員53を抽出して、スキル情報とは無関係に割当てるようにしてもよい。
【0122】
以下、本実施の形態の主な構成および効果を説明する。確認装置100は、地震の発生に基づく確認処理を実行する装置である。確認装置100は、プロセッサ111と、プロセッサ111によって実行可能なプログラムを記憶するメモリ112とを備える。プロセッサ111は、確認処理において、地震の発生に基づき、従業員54が使用する従業員端末300を用いて安否確認をするための処理を実行する。従業員54には、エレベータの保守を行う保守員53が含まれる。プロセッサ111は、確認処理において、安否確認により無事が確認できた従業員54の中から、地震に起因して対応が必要になった対応エレベータの対応を行う対応保守員を決定する。プロセッサ111は、確認処理において、対応保守員が使用する従業員端末300に対して対応エレベータの対応を指示する。
【0123】
これにより、地震発生時に従業員54に対して安否確認を行いつつ、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員(保守員53)を確保できる。
【0124】
プロセッサ111は、確認処理において、地震の震度が所定値以上である対象エリアに居住または滞在する従業員54が使用する従業員端末300に対してメールを送信して安否確認を行うとともに、従業員端末300に対して近隣の避難場所を含む情報を通知する。これにより、所定値以上の震度の地震が発生した対象エリアにおいて、対象エリアに居住する従業員54のみならず、たとえば、出張等でたまたま対象エリアに滞在している従業員54に対しても確実に安否確認を行うとともに、必要情報を送信することができる。
【0125】
エレベータに対応して地震を検知する地震感知器25が設置されている。プロセッサ111は、地震感知器25が検知した検知結果を受信可能である。プロセッサ111は、検知結果を受信した場合に確認処理を起動する。これにより、地震が発生エリアに設置された地震感知器25のいずれか1つでも地震を検知すれば確認処理が起動するため、確実かつ迅速に、従業員54の安否確認および地震復旧対応を行う保守員53を確保することができる。
【0126】
プロセッサ111は、確認処理において、地震の各地の震度情報を取得する。プロセッサ111は、確認処理において、対応エレベータが設置されたビルの位置情報と、地震感知器25の検知結果と、各地の震度情報とを重ね合わせたマップ情報を生成する。これにより、各地の震度とともに地震復旧対応が必要なエレベータを容易に把握することができる。
【0127】
メモリ112は、エレベータが設置されたビルの情報、および、保守員53の、居所と、メールアドレスと、保守に関するスキル情報とを含む保守員情報を含むデータベース情報161を記憶する。プロセッサ111は、確認処理において、各地の震度情報と、地震感知器25の検知結果と、保守員53の位置情報と、保守員53の安否確認の結果とを含むリアルタイム情報162を取得する。プロセッサ111は、確認処理において、データベース情報161とリアルタイム情報162とに基づき対応保守員を決定する。これにより、ビルの情報、保守員53の居所および現在位置(位置情報)等に基づき保守員53の近くにあるエレベータを割当て可能であるとともに、保守員53のスキルに応じてエレベータを割当てすることができる。
【0128】
スキル情報は、第1スキル(技能レベルC)と、第1スキルよりも保守に対するスキルが高い第2スキル(技能レベルA,B)とを含む。エレベータに対する対応には、第1対応と、第1対応よりもエレベータの対応の際の緊急度が高い(病院等)またはエレベータの対応の際にスキルを要する(高速エレベータ等)第2対応とが含まれる。プロセッサ111は、エレベータに対する対応が第2対応である場合、第1スキルと第2スキルとのうち、高い割合で第2スキルである保守員53を対応保守員として決定する。これにより、緊急度が高いエレベータまたは対応に高いスキルを要するエレベータに対して、高いスキルを持つ保守員53を割当てることができる。このように、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員(保守員53)を確保できる。
【0129】
保守員情報は、保守員53の所属(支社)をさらに含む。プロセッサ111は、保守員53の所属が対象エリアの保守を担当しておらず、かつ、保守員の位置情報が対象エリア内にある場合、保守員のスキルが第1スキル(技能レベルB,C)であるときは対応保守員として決定しない一方、保守員53のスキルが第2スキル(技能レベルA)であるときは対応保守員として決定可能である。これにより、対象エリア内に所属する保守員53の人手が足りない場合であっても、たまたま対象エリア内に滞在しているスキルの高い保守員53を活用して地震復旧対応をすることができる。つまり、対象エリアを管轄(担当)する支社の保守員53であるか否かに関わらず、スキルの高い他支社の人材も有効に活用することできる。このように、地震復旧対応が必要なエレベータに対して適切な対応を行うための人員(保守員53)を確保できる。
【0130】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
10 エレベータシステム、20 群管理制御装置、25 地震感知器、26 乗場表示装置、30 各台管理制御装置、40 かご装置、53,53a~f 保守員、54 従業員、71a~e 経路、90 情報センタ、100 確認装置、111,211,311,411 プロセッサ、112,212,312,412 メモリ、113,213,313,413 通信インターフェイス、121,321,421 表示部、141 マップ画面、151~153 ビル、155 高層ビル、156 雑居ビル、157,158 マーク、161 データベース情報、162 リアルタイム情報、200 監視装置、300 従業員端末、320,420 入力部、400 利用者端末。