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  • 特開-超音波レベル計の取付構造 図1
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  • 特開-超音波レベル計の取付構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023135994
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】超音波レベル計の取付構造
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/00 20220101AFI20230922BHJP
   G01F 23/2962 20220101ALI20230922BHJP
【FI】
G01F23/00 B
G01F23/2962
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041376
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】清水 遵嗣
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB01
(57)【要約】
【課題】超音波レベル計の誤動作を防止する超音波レベル計の取付構造を提供する。
【解決手段】超音波レベル計1は、密閉した循環槽9の上部に設置している。超音波レベル計の取付構造は、循環槽9の上部に設けた検出器取付口98の上面に形成したフランジ部98fと超音波レベル計1の導波管1cに形成したフランジ部1fとの間に、リング部材で構成したスペーサ2sを介在することで、音波レベル計1の検出部の周囲に大気との通気を確保している。これにより、超音波レベル計1の誤動作の原因である、超音波振動子1sのセンサ面に水滴が付着することを抑制できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉した水槽の上部に設置した超音波レベル計の取付構造であって、
前記水槽の上部に設けた検出器取付口の上面に形成した第1フランジ部と前記超音波レベル計の導波管に形成した第2フランジ部との間に、スペーサを介在し、前記超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保している、超音波レベル計の取付構造。
【請求項2】
前記スペーサは、ボルト部材を挿通自在なリング部材からなる、請求項1記載の超音波レベル計の取付構造。
【請求項3】
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間隙を覆う円筒状の雨水進入防止カバーを更に備えている、請求項1又2記載の超音波レベル計の取付構造。
【請求項4】
前記雨水進入防止カバーは、一組の半分割体で構成している、請求項3記載の超音波レベル計の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波レベル計の取付構造に関する。特に、液槽内の液面の高さを計測する超音波レベル計の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液槽の上部に設置した超音波センサから超音波を液面に向けて照射した後、液面から反射して超音波センサに受信されるまでの時間から、超音波センサから液面までの距離、又は液面のレベルの変化を計測する超音波レベル計が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-206213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
石炭火力発電所などにおいては、様々な装置及び工程で排水が発生し、それぞれの排水の特徴に合わせて処理をしている。例えば、石炭火力発電所においては、排水処理装置として排水を薬品によって浄化する循環槽が設置されている。この循環槽には、内部の排水の液面レベルを検出するための超音波レベル計が取り付けられている。
【0005】
図4は、本発明に係る循環槽の構成を示す図であり、図4(A)は、循環槽の正面図、図4(B)は、循環槽の平面図、図4(C)は、循環槽の右側面図、図4(D)は、図4(B)のX-X矢視図である。
【0006】
図4を参照すると、循環槽9は、薬品を投入可能な薬品投入口91、工水が供給される工水供給口92、及び、図示しない他の装置から排水が供給される液供給口93を上部に設けている。循環槽9には、例えば、水酸化ナトリウムが注入される。又、循環槽9は、内部に貯留した排水を排出する液排出口94を外周の底部側に設けている。
【0007】
図4を参照すると、密閉された循環槽9は、後述する超音波レベル計1(図5参照)を取り付けるための検出器取付口98を上部に設けている。更に、循環槽9は、内部の空気を大気に放出する空気抜穴99なども上部に設けている。検出器取付口98は、略円板状のフランジ部98fを上面に形成している(図4(D)参照)。検出器取付口98は、実体として、循環槽9の上部から突出したパイプ部材である。
【0008】
図5は、従来技術による超音波レベル計の取付構造の構成を示す正面図である。図5を参照すると、超音波レベル計1は、表示器11を上部に設けている。表示器11は、超音波振動子の信号を電気的に処理する制御部を内部に備えている。表示器11の下方には、単管からなる導波管を突出している。導波管は、図示しない超音波振動子を内部に配置している。
【0009】
図5を参照すると、超音波レベル計1は、略円板状のフランジ部1fを導波管の中間部に形成している。複数のボルト部材8bとナット部材8nを用いて、超音波レベル計1のフランジ部1fが検出器取付口98のフランジ部98fに固定されている。フランジ部1fとフランジ部98fは、密着した状態で固定されている。
【0010】
図4及び図5を参照して、超音波レベル計1に設けた超音波振動子から超音波を循環槽9の内部の液面に向けて照射することで、循環槽9の内部の水位を検出できる。
【0011】
図4を参照して、循環槽9は、図示しない排水ポンプと接続している。超音波レベル計1が循環槽9の一定以上の水位を検出すると、排水ポンプが稼働して排水することで循環槽9の水位が低下する。
【0012】
ところで、排水ポンプが空転することがあった。超音波レベル計1と排水ポンプは電気的に接続しており、超音波レベル計1の受信信号がハンチングしたため、水位の低下を受信できず、排水ポンプの稼働停止が働かなかったことが原因と判明した。
【0013】
超音波振動子のセンサ面に水滴が大量に付着していることが、超音波レベル計1のハンチングの直接的原因であることが究明された。循環槽9の内部に貯留した排水は、60度程度に加温されているため、超音波レベル計1の検出部の周囲に温かい空気が滞留し、超音波振動子のセンサ面に結露することで水滴の発生を助長していた。
【0014】
特許文献1による超音波レベル計は、超音波振動子の前方に配置された円筒状の導波管の内面に吸水性のある膜を設けることで、導波管の内面に付着した水滴が水玉にならず、水玉に当たって超音波振動子のセンサに反射しないので、超音波レベル計の誤動作を防止できる、としている。
【0015】
しかしながら、既存の循環槽9に、新たな超音波レベル計を取り付けることは容易でないという問題がある。又、制御系の設定値も変更する必要があり、コストと時間も要するという問題がある。
【0016】
液槽の上部に設置した超音波レベル計であって、新たな超音波レベル計に交換することなく、液槽の内部に導入された超音波振動子のセンサ面に水滴が付着することを抑制することで、超音波レベル計の誤動作を防止する超音波レベル計の取付構造が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、液槽の内部に導入された超音波振動子のセンサ面に水滴が付着することを抑制することで、超音波レベル計の誤動作を防止する超音波レベル計の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、水槽の上部に設置した超音波レベル計の取付構造であって、密閉した水槽の上部に設けた検出器取付口の上面に形成した第1フランジ部と超音波レベル計の導波管に形成した第2フランジ部との間に、スペーサを介在させ、超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保することで、超音波振動子のセンサ面に水滴が付着することを抑制できると考え、これに基づいて、以下のような新たな超音波レベル計の取付構造を発明するに至った。
【0019】
(1)本発明による超音波レベル計の取付構造は、密閉した水槽の上部に設置した超音波レベル計の取付構造であって、前記水槽の上部に設けた検出器取付口の上面に形成した第1フランジ部と前記超音波レベル計の導波管に形成した第2フランジ部との間に、スペーサを介在し、前記超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保している。
【0020】
(2)前記スペーサは、ボルト部材を挿通自在なリング部材からなってもよい。
【0021】
(3)本発明による超音波レベル計の取付構造は、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との間隙を覆う円筒状の雨水進入防止カバーを更に備えていることが好ましい。
【0022】
(4)前記雨水進入防止カバーは、一組の半分割体で構成していることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、密閉した水槽の上部に設けた検出器取付口の上面に形成した第1フランジ部と超音波レベル計の導波管に形成した第2フランジ部との間に、スペーサを介在させ、超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保することで、超音波振動子のセンサ面に水滴が付着することを抑制できる。そして、これにより、超音波レベル計の誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による超音波レベル計の取付構造の構成を示す正面図である。
図2】前記実施形態による超音波レベル計の取付構造の構成を示す正面図であり、雨水進入防止カバーを取り付ける前の態図である。
図3】前記実施形態による超音波レベル計の取付構造に備わる雨水進入防止カバーの構成を示す図であり、図3(A)は、雨水進入防止カバーの縦断面図、図3(B)は、雨水進入防止カバーの平面図である。
図4】本発明に係る循環槽の構成を示す図であり、図4(A)は、循環槽の正面図、図4(B)は、循環槽の平面図、図4(C)は、循環槽の右側面図、図4(D)は、図4(B)のX-X矢視図である。
図5】従来技術による超音波レベル計の取付構造の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0026】
[超音波レベル計の取付構造の構成]
最初に、本発明の一実施形態による超音波レベル計の取付構造の構成を説明する。なお、従来技術で付した符号と同じ符号を付した構成品は、その作用を同じにするので以下説明を省略することがある。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による超音波レベル計の取付構造は、密閉した水槽である循環槽9の上部に、超音波レベル計1を設置している。図1又は図2を参照すると、超音波レベル計の取付構造は、第1フランジ部となるフランジ部98fと第2フランジ部となるフランジ部1fとの間に、スペーサ2sを介在している。
【0028】
図1を参照すると、フランジ部98fは、循環槽9の上部に設けた検出器取付口98の上面に形成している(図4参照)。フランジ部1fは、超音波レベル計1の導波管1cの中間部に形成している(図1参照)。
【0029】
図1又は図2を参照すると、複数のボルト部材8bとナット部材8nを用いて、超音波レベル計1のフランジ部1fがスペーサ2sを介して、検出器取付口98のフランジ部98fに固定されている。フランジ部1fとフランジ部98fは、所定の間隙を設けた状態で固定されている。
【0030】
図1又は図2を参照すると、スペーサ2sは、ボルト部材8bを挿通自在なリング部材で構成している。フランジ部1fとフランジ部98fとの間隙、導波管1cと検出器取付口98との間隙が連通することで、超音波レベル計1の検出部の周囲に大気との通気を確保できる。導波管1cの内部には、超音波振動子1sを配置している(図2参照)。
【0031】
実施形態による超音波レベル計の取付構造は、検出器取付口98の上面に形成したフランジ部98fと超音波レベル計1の導波管1cに形成したフランジ部1fとの間に、スペーサ2sを介在させ、超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保することで、超音波振動子1sのセンサ面に水滴が付着することを抑制できる。
【0032】
(雨水進入防止カバーの構成)
図1又は図3を参照すると、実施形態による超音波レベル計の取付構造は、円筒状の雨水進入防止カバー3を更に備えている。雨水進入防止カバー3は、フランジ部98fとフランジ部1fとの間隙を覆っている(図1参照)。雨水進入防止カバー3は、その上面がナット部材8nを用いて、フランジ部1fに固定されている(図1参照)。
【0033】
図3を参照すると、雨水進入防止カバー3は、一組の半分割体3a・3bで構成している。一方の半分割体3aは、その端縁に帯状の覆い片31が溶接により接合されている。一方の半分割体3aと他方の半分割体3bの端縁同士を突合わせ、覆い片31が端縁同士の隙間を覆うことで、雨水進入防止カバー3の内部に雨水が進入することを防止できる。
【0034】
なお、図3を参照すると、一組の半分割体3a・3bは、ボルト部材8bが挿通自在な複数のボルト穴3hをそれらの上面に開口している。
【0035】
[超音波レベル計の取付構造の作用]
次に、本発明の一実施形態による超音波レベル計の取付構造の作用及び効果を説明する。
【0036】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、検出器取付口の上面に形成した第1フランジ部と超音波レベル計の導波管に形成した第2フランジ部との間に、スペーサを介在させ、超音波レベル計の検出部の周囲に大気との通気を確保することで、超音波振動子のセンサ面に水滴が付着することを抑制できる。
【0037】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、超音波レベル計の誤動作を防止することで、設備の運転・監視における信頼性が向上した。
【0038】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、超音波レベル計がハンチングしたときに、超音波振動子のセンサ面を清掃していたが、その必要が無くなった。これにより、保守費用を削減できた。
【0039】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、循環液を移送する排水ポンプの損傷を回避できる。
【0040】
本発明による超音波レベル計の取付構造は、第1フランジ部と第2フランジ部との間隙を覆う雨水進入防止カバーを更に備えているので、豪雨時などに雨水が循環槽に進入することを防止できる。
【符号の説明】
【0041】
1 超音波レベル計
1c 導波管
1f フランジ部(第2フランジ部)
2s スペーサ
9 循環槽(水槽)
98 検出器取付口
98f フランジ部(第1フランジ部)
図1
図2
図3
図4
図5