(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136027
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】ガス栓収容ボックス
(51)【国際特許分類】
F16K 27/12 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
F16K27/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041424
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 忠良
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 典之
(72)【発明者】
【氏名】木村 充志
【テーマコード(参考)】
3H051
【Fターム(参考)】
3H051AA04
3H051BB10
3H051CC07
3H051DD01
3H051FF01
(57)【要約】
【課題】壁板の裏側に設置されたガス栓本体を収容保護する金属製の箱体からなるガス栓収容ボックスに関し、前記箱体の構成面に開放させる配管用孔を、必要に応じて容易に開放自在に閉塞可能な閉塞構造を有するようにしたこと。
【解決手段】壁板に設けた開口に向かって開放し且つガス栓本体を収容した状態で壁板の裏側に取り付けられる箱体(1)であって、箱体(1)の構成面(13)(14)に、ガス栓本体の配管接続部を挿通させる配管用孔(10)が形成され、配管用孔(10)は、構成面の一部からなり且つ基端部(24)にて折り曲げ自在な閉塞片(2)によって開放可能に閉塞されていること。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁板に設けられる開口に向かって開放し且つガス栓本体を収容した状態で壁板の裏側に取り付けられる箱体であって、
前記箱体の構成面に、前記ガス栓本体の配管接続部又はガス配管を挿通させる配管用孔が形成されており、
前記配管用孔は、前記構成面の一部からなる閉塞片により開放可能に閉塞されていると共に、前記閉塞片の基端部は折り曲げ自在に設定されているガス栓収容ボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓収容ボックスにおいて、
前記閉塞片の基端部は、切り離し可能な小片部としたガス栓収容ボックス。
【請求項3】
請求項1に記載のガス栓収容ボックスにおいて、
前記閉塞片の基端部に沿って、少なくとも一つの切り目が形成されているガス栓収容ボックス。
【請求項4】
請求項1に記載のガス栓収容ボックスにおいて、
前記閉塞片の基端部に沿って薄肉溝が形成されているガス栓収容ボックス。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス栓収容ボックスにおいて、
前記閉塞片は、前記構成面の外表面に設けられているガス栓収容ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス栓収容ボックス、特に、壁の裏側に設置されるガス栓本体を収容し気密状態に保護するガス栓収容ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
埋設式ガス栓用の収容ボックスとして、例えば、
図7に示すようなものが知られている。
このものは、壁板(5)の裏側に設置されたガス栓本体(4)を収容した状態で、壁板(5)に形成された矩形状の開口(50)を覆うように壁面(5)の裏側に固定される矩形の金属製の箱体(55)であり、開口(50)に向いて開放している。箱体(55)の下面に形成された配管用孔(54)には配管接続部(41)が貫通固定されており、これを介して、ガス栓本体(4)とガス配管(42)とが接続される。
【0003】
ガス栓本体(4)は、ソケットを着脱自在に接続させるためのプラグ部(40)が開口(50)に向くように箱体(55)内に設置され、壁板(5)の表面には、開口(50)を覆うように化粧板(51)が添設固定される。プラグ部(40)の先端に対応する化粧板(51)の所定位置には、ソケットが挿通可能な円形の窓部(52)と、窓部(52)を開閉自在に閉塞可能な蓋体(53)が設けられている。壁板(5)の表側から開口(50)を覆うように化粧板(51)を取り付けると共に窓部(52)を蓋体(53)で閉塞させると、壁板(5)の裏側にてガス栓本体(4)を取り巻く空間は箱体(55)で遮断され、箱体(55)内の気密性は確保される。これにより、冬季には、化粧板(51)の蓋体(53)を開放しても壁板(5)の裏側の冷気が室内に入り込んで来る不都合を防止できる上に、火災の際には、壁板(5)内を伝って来る炎や煙が開口(50)から室内に噴き出す危険がない。
【0004】
なお、箱体(55)に対して上下左右どの方向からのガス配管(45)にも対応できるように、箱体(55)の上下左右全ての構成面に配管用孔(54)が設けられていることが望ましい。例えば、特許文献1のものでは、
図7の箱体(55)の上面に示すように、配管用孔(54)は別途設けた閉塞板(45)で閉塞されており、必要に応じて、閉塞板(45)を取り外して配管用孔(54)を開放させる構成となっている。閉塞板(45)の直径の両端には一対の脚片(44)が折り曲げ自在に設けられており、箱体(55)の内側から配管用孔(54)を覆うように閉塞板(45)を配管用孔(54)の周囲に添設させると共に、一対の脚片(44)を箱体(55)の外側へ突出させ、それぞれ箱体(55)の外面に添うように折り曲げて係止させることにより、配管用孔(54)に閉塞板(45)は装着可能となる。脚部(44)を閉塞板(45)に対して起立させ、配管用孔(54)から箱体(55)の内側へ抜き取れば、閉塞板(45)を取外すことができる。
【0005】
また、同図の箱体(55)の側面に示す他の例のように、配管用孔(54)の輪郭線に沿って切り目(43)を形成しておき、必要に応じて、作業者が切り目(43)に沿って打ち抜いて配管用孔(54)を開口させる方法もある。
【0006】
このように、箱体(55)の複数の構成面に予め配管用孔(54)が形成されているものでは、必要に応じて、作業者が作業現場で、閉塞板(45)を取り外すことにより、また、配管用孔(54)の輪郭線に沿って切り目(43)が形成されているものでは、切り目(43)内を打ち抜くことにより、ガス配管の配設方向に応じて、配管用孔(54)を箱体(55)の所望の構成面に開口可能とすることができるので、使い勝手の良いガス栓収容ボックスを提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、箱体(55)の各構成面に、予め、配管用孔(54)が開口しているものでは、不必要な配管用孔(54)を閉塞するための閉塞板(45)を配管用孔の数だけ別途用意しなければならない上に、各配管用孔(54)への閉塞板(45)の脱着作業が面倒である。他方、切り目(43)に沿って打ち抜くことで配管用孔(54)を開放させるものでは、切り目(43)で囲まれた範囲を打ち抜く際に、抜き方向の力が切り目(43)の周囲に作用することにより、配管用孔(54)の周辺を変形させるおそれがある。前記構成面のうち、配管用孔(54)の周辺を変形させてしまっては、配管用孔(54)への配管接続部(41)の固定が困難となったり、箱体(55)内の気密性が損なわれたりする問題がある。
【0009】
本発明は、壁板の裏側に設置されたガス栓本体を収容し保護すると共に壁板に設けられた開口の裏側に気密性を確保した状態で取り付けられる金属製の箱体からなるガス栓収容ボックスにおいて、前記箱体の構成面に開放させる配管用孔を、必要に応じて容易に開放自在に閉塞可能な閉塞構造を有するガス栓収容ボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、
壁板に設けられる開口に向かって開放し且つガス栓本体を収容した状態で壁板の裏側に取り付けられる箱体であって、
前記箱体の構成面に、前記ガス栓本体の配管接続部又はガス配管を挿通させる配管用孔が形成されており、
前記配管用孔は、前記構成面の一部からなる閉塞片により開放可能に閉塞されていると共に、前記閉塞片の基端部は折り曲げ自在に設定されていることである。
【0011】
上記技術的手段は次のように作用する。
例えば、箱体を構成している複数の構成面の各々に配管用孔が形成されている場合、その各々は、前記構成面の一部からなる閉塞片によって閉塞された状態に保持されている。すなわち、使用前の箱体は、全ての配管用孔は閉塞片によって閉塞された状態となっている。
【0012】
そして、壁板の裏側にてガス配管が配設されている方向に位置する一つの構成壁の配管用孔を閉塞している閉塞片の基端部を折り曲げて、当該配管用孔を開放させる。閉塞片は、箱体の構成面の一部から構成されているから、開放後も構成面に繋がったままである。よって、一旦、開放させた配管用孔を都合により閉塞させたい場合には、基端部が折り曲げられた状態にある閉塞片を構成面に重なる方向に倒せば、配管用孔が閉塞片で閉塞された元の状態に復帰させることができる。
【0013】
所定の配管用孔を開放させた後は、従来の一般的な埋設式ガス栓の取付構造と同様に、前記配管用孔にガス栓本体の配管接続部を取り付けると共に、前記箱体を壁板側に向かって開放する姿勢となるように、前記ガス栓本体と箱体とをバックプレートを介して、壁板の裏側の柱にネジ止め等に固定する。その後、前記箱体に対応する箇所に開口が位置するように壁板を取り付け、前記開口を覆うように化粧板を壁板の表面に取り付ければ、埋設式ガス栓の取付作業が完了する。
【0014】
上記ガス栓収容ボックスにおいて、好ましくは、『前記閉塞片の基端部は、切り離し可能な小片部とした』ことである。
閉塞片は、小片部を介して構成面と繋がっており、配管用孔を開放させたい場合は、所定の閉塞片の前記小片部を折り曲げれば良い。その後、不要となった閉塞片は小片部を切断することで構成壁から容易に切り離すことができる。このように、閉塞片の基端部を小片部とすることで閉塞片の開放作業及び切断作業が容易となり、配管用孔の周辺を変形させることなく、配管用孔を開放することができ、開放後の閉塞片を容易に切り離して配管用孔として使用することが出来る。
【0015】
上記ガス栓収容ボックスにおいて、好ましくは、『前記閉塞片の基端部に沿って、少なくとも一つの切り目が形成されている』ことである。
閉塞片の基端部に少なくとも一つの切り目を設けることにより、閉塞片と構成面とは、切り目の両側の連結部分でのみ繋がった構成となる。閉塞片を開放させる際には、この連結部分を折り曲げればよく、不要となった閉塞片は、前記連結部分を切断すれば容易に構成面から取り外すことができる。
【0016】
上記ガス栓収容ボックスにおいて、好ましくは、『前記閉塞片の基端部に沿って薄肉溝が形成されている』ことである。
薄肉溝に沿って、折り曲げたり、切り離したりして、閉塞片を開放させることができるから、閉塞片の開閉作業が容易である。
【0017】
上記ガス栓収容ボックスにおいて、好ましくは、『前記閉塞片は、前記構成面の外表面に設けられている』ことである。
構成面の外表面に設けられている閉塞片は構成面の外側へ折り曲げて開放させる構成であるから、閉塞片の開放及び切断が一層容易であり、切断した後の閉塞片が箱体内に落下して配管接続の邪魔になるような不都合を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
配管用孔を閉塞状態に保持する閉塞片は、箱体の構成面の一部でできているので、配管用孔を閉塞させるための部品を別途用意する必要がない。よって、部品点数を削減することができる。
閉塞片の基端部を折り曲げるだけで配管用孔を開放可能としたから、配管用孔の開放作業が容易であり、作業性が向上する。また、開放作業時に、配管用孔が形成されている構成面に変形応力が加えられることがないから、開放作業の際に前記構成面が不用意に変形したり損傷したりする不都合がない。よって、作業者が現場で所望の配管用孔のみを、箱体内部の気密性を損なわせることなく容易に開放することができる。
折り曲げ後の閉塞片は、前記基端部を強制的に切り離さない限り、構成面に連設されたままであるから、配管用孔を覆うように閉塞片を構成面に重ね合わせれば、配管用孔を再閉塞することができ、閉塞片は、状況に合わせて繰り返し使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスを示す斜視図であり、閉塞片を閉塞させた状態を示している。
【
図2】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスを示す斜視図であり、閉塞片を開放させた状態を示している。
【
図3】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスを示す斜視図であり、閉塞片を取り外した状態を示している。
【
図4】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスを示す斜視図であり、内部にガス栓本体を収容させた使用状態を示している。
【
図5】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスに採用した閉塞片の他の例を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態におけるガス栓収容ボックスに採用した閉塞片のさらに他の例を示す斜視図である。
【
図7】従来の埋設式のガス栓本体とその収容ボックスを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本願発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すものは、本発明のガス栓収容ボックスの斜視図であり、
図1は閉塞片(2)の閉塞状態を示しており、
図2は閉塞片(2)の開放状態を示している。なお、
図3は閉塞片(2)を取り外した状態であり、
図4は使用状態の説明図である。
【0021】
本発明のガス栓収容ボックスは、壁板が設置される側に開放する2本の横長スリット(11a)(11b)を有する左側面(11)と、これの対向位置にある右側面(12)と、上面(13)及び下面(14)と、縦長矩形状の後面(15)とからなる一方開放の金属製の縦長の矩形箱体(1)である。
図2及び
図3に示すように、上下面(13)(14)の、図面にて向かって右寄りの各個所には、ガス栓本体(3)の配管接続部(30)(
図4参照)を挿通させるための略六角形の配管用孔(10)が1つずつ開放している。
【0022】
左右側面(11)(12)の上下両端からは、延長片(21)(22)が上下方向に延設されていると共に、配管用孔(10)に近い右側面(12)の延長片(22)の延長端からは、配管用孔(10)を全体的に外側から閉塞可能な大きさ及び形状の閉塞片(2)が延長形成されている。
なお、閉塞片(2)と延長片(22)との境界部に相当する閉塞片(2)の基端部の中央には切り目(20)が形成されており、閉塞片(2)と延長片(22)とは、切り目(20)の両側の連結部(23)でのみ連結された構成となっている。
【0023】
上下の延長片(21)(22)は、左右側面(11)(12)との境界部分で上下面(13)(14)側へ直角に折り曲げられて、それぞれ上下面(13)(14)の外表面に添設された状態で接合される。延長片(21)(22)に連続する閉塞片(2)は配管用孔(10)を覆うものの、その周辺に接合されてはおらず、略密着状態に当接する態様となっている。
このように、上下面(13)(14)に形成させた配管用孔(10)は、共に、右側面(12)の延長片(22)からさらに延設された閉塞片(2)によって、外表面側から閉塞された状態に保持され、左右側面(11)(12)、上下面(13)(14)及び後面(15)で囲まれた箱体(1)内の密閉性は確保される。
【0024】
閉塞片(2)を開放するには、
図2に示すように、上面(13)の配管用孔(10)を閉塞している閉塞片(2)は上方へ、下面(14)の配管用孔(10)を閉塞している閉塞片(2)は下方へ、各々の基端部で外側へ折り曲げる。前記基端部は、中央の切り目(20)の両側の連結部(23)でのみ連結された構成となっているから、容易に折り曲げることができ、折り曲げの際に、上下面(13)(14)を変形させたり損傷させたりする不都合はない。
【0025】
開放状態にある閉塞片(2)は、延長片(22)と連結部(23)で連結されているため、上下面(13)(14)に重なる方向に倒せば元の状態に復帰させることができ、配管用孔(10)を再閉塞することができる。このように、一旦、一方の閉塞片(2)の基端部を折り曲げて前記一方の配管用孔(10)を開放させた後で、都合により閉塞させたい場合に、速やかに対応することができるので、ガス配管の位置に応じて、使い勝手の良いガス栓収容ボックスを提供することができる。
【0026】
そして、開放させる配管用孔(10)が決定した後は、閉塞片(2)の連結部(23)を切断して、箱体(1)から取り外せば良い。
図3に示すものは、上面(13)側の閉塞片(2)を取り外して、上面(13)に形成されている配管用孔(10)を開放させた状態であり、下面(14)の閉塞片(2)は閉塞状態のままである。閉塞片(2)を取り外す際には、切り目(20)の両側の連結部(23)を切断すればよいだけであるから、上面(13)を変形させることなく、閉塞片(2)を容易に取外すことができ、所望の面に配管用孔(10)を開放させることができる。
【0027】
上記実施の形態の箱体(1)のように、上面(13)に設けた配管用孔(10)を開放させたものでは、ガス栓本体(3)は、
図4に示すように、プラグ部(31)が前方を、配管接続部(30)が上方を向く姿勢で、箱体(1)内に収容されることとなる。
【0028】
この種の箱体(1)は、石膏ボード製の壁板(図示せず)の裏側に、L型固定金具である金属製のバックプレート(32)を介して取り付けられる。そして、ガス栓本体(3)は、ガス栓本体(3)に固定されている背面板(図示せず)を介して、バックプレート(32)に取り付けられる。
【0029】
バックプレート(32)は、
図4に示すように、壁板の裏面に添設される略矩形の枠板(33)と、枠板(33)の外周縁の一辺(図面では左側縁)から直角方向に延設される調整板(34)とから断面略L字状に構成された金属板であり、枠板(33)の内周縁の右側縁の下部から奥へ延設されている突出片(35)に、ガス栓本体(3)に固定させた前記背面板が取り付けられる。
調整板(34)には、箱体(1)の左側面(11)のスリット(11a)(11b) に対応する各位置に、これらと略同大の横長孔(34a)(34b)が上下に二つ平行に形成されている。
【0030】
上記したように、ガス栓本体(3)が固定されているバックプレート(32)を、箱体(1)と共に壁板の裏側の柱(6)に取り付ける。それには、まず、ガス栓本体(3)の配管接続部(30)を、箱体(1)の上面(13)の配管用孔(10)に挿通させると共に、バックプレート(32)の調整板(34)を、箱体(1)の左側面(11)の内面に添設させて、横長孔(34a)(34b)をスリット(11a)(11b)に対応させる。
【0031】
そして、枠板(33)を、後から施工される壁板の裏面に近付けた状態で、木ネジ(図示せず)にて、バックプレート(32)の調整板(22)の横長孔(34a)(34b)と、箱体(1)の左側面(11)のスリット(11a)(11b)とを連通するように、柱(6)の側面に捻じ込んで仮固定する。横長孔(34a)(34b)及びスリット(11a)(11b)は、前後に水平方向に延びるように設けられているから、バックプレート(32)及び箱体(1)は、横長孔(34a)(34b)及びスリット(11a)(11b)の長さ分、前後に移動させて位置調整可能となる
【0032】
柱(6)の側面に、バックプレート(32)と共に仮止め状態にある箱体(1)の上面(13)に設けた配管用孔(10)から外方に突出させている配管接続部(30)に、フレキ管であるガス配管を接続した後、バックプレート(32)の枠板(33)の内周縁に対応する所定位置に、所定の大きさの開口が対応するように壁板を施工し、枠板(33)の表面を、壁板の開口周辺の裏面に密着させた状態で、前記木ネジを強く締め付けて、バックプレート(32)及び箱体(1)を柱(6)の側面に固定する。これにより、ガス栓本体(3)を収容させた箱体(1)を壁板の開口の裏面に固定することができる。
【0033】
その後、従来の取付構造と同様に、バックプレート(32)の枠板(33)と共に、壁板を表裏から挟圧するための表枠体を介して、壁板の表面に化粧板を取り付ければ、埋設式ガス栓の取付工事が完了する。
【0034】
上記実施の形態のものでは、ガス栓本体(3)の配管接続部(30)を、箱体(1)の上面(13)の配管用孔(10)から突出させる構造としたが、ガス配管(42)の位置に応じて、下面(14)の配管用孔(10)を開放させたい場合は、下面(14)側の閉塞片(2)の連結部(23)を下方へ折り曲げて配管用孔(10)を開放させれば良い。
【0035】
なお、
図5に示すものは、閉塞片(2)と延長片(22)との連結部の変形例であり、両者は切り離し可能な小片部(24)を介して連結させている。配管用孔(10)を開放させたい場合は、小片部(24)を折り曲げれば良く、不要となった閉塞片(2)は小片部(24)を切断して取り外すことができる。このように、閉塞片(2)を小片部(24)でのみ連結させる構成とすることで開放作業及び切断作業が一層容易となり、配管用孔(10)の周辺を変形させることなく、配管用孔を開放することができる。
【0036】
さらに、
図6に示すものは、閉塞片(2)と延長片(22)との連結部の他の変形例であり、閉塞片(2)の基端部に沿って薄肉溝(25)を形成したものである。このものでは、薄肉溝(25)に沿って、折り曲げたり、切り離したりすることが可能となるから、閉塞片(2)の開閉作業が容易となる。
【0037】
上記実施の形態では、箱体(1)の上下面(13)(14)に配管用孔(10)を設けると共にその各々を閉塞板(2)で開放自在に閉塞する構成としたが、配管用孔(10)及び閉塞板(2)は右側面(12)や後面(15)に設けても良い。このように、箱体(1)の複数の構成面に配管用孔(10)を設け、その各々を閉塞片(2)によって気密性が確保されるように閉塞可能とすると共に、所望の構成面上の閉塞片(2)を開放させれば配管用孔(10)を設けることができるから、ガス配管の配設位置に応じた位置に配管用孔(10)を開放させることのできる使い勝手の良い箱体(1)が提供できる。
【0038】
また、閉塞片(2)の基端部を折り曲げるだけで配管用孔(10)を開放させることができるから、開放作業が容易となり、作業性を向上させることができると共に、閉塞片(2)を開放させる際に、配管用孔(10)の周囲を変形させたり損傷させたりする不都合はないから、配管用孔(10)の開放作業によって箱体(1)内の気密性が損なわれることがない。
【0039】
さらに、上記実施の形態では、壁板の裏側に設置する埋設式のガス栓を収容する収容ボックスについて説明したが、床板にでも同様に設置可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
(1) ・・・・・・・・・・箱体
(2) ・・・・・・・・・・閉塞片
(3) ・・・・・・・・・・ガス栓本体
(10)・・・・・・・・・・配管用孔
(30)・・・・・・・・・・配管接続部