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特開2023-13603ベース無線装置及びベース無線装置の通信方法
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  • 特開-ベース無線装置及びベース無線装置の通信方法 図1
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  • 特開-ベース無線装置及びベース無線装置の通信方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013603
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ベース無線装置及びベース無線装置の通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 13/00 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
H04L13/00 307Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117916
(22)【出願日】2021-07-16
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 憲正
【テーマコード(参考)】
5K034
【Fターム(参考)】
5K034AA01
5K034DD02
5K034EE03
5K034HH01
5K034HH06
(57)【要約】
【解決手段】ベース無線装置16は、送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択部36と、選択部36が信号送信を選択した場合は、送受信周期で少なくとも1つのリモート無線装置18に信号を送信する送信処理を行い、選択部36が送信禁止を選択した場合は、送受信周期で送信処理を行わずに待機する送信処理部(送受信処理部34)と、を備え、選択部36は、連続した(M+N)回の送受信周期の間に、信号送信をM回選択し且つ送信禁止をN回選択する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのリモート無線装置と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置であって、
前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択部と、
前記選択部が前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置に信号を送信する送信処理を行い、前記選択部が前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理部と、
を備え、
前記選択部は、連続した(M+N)回の前記送受信周期の間に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する、ベース無線装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベース無線装置であって、
前記信号送信と前記送信禁止とのどちらを選択するかを決めるための所定規則を記憶する記憶部を備え、
前記選択部は、前記所定規則に基づいて、前記送受信周期で前記信号送信と前記送信禁止とのいずれか一方を選択する、ベース無線装置。
【請求項3】
請求項2に記載のベース無線装置であって、
前記選択部は、前記所定規則が定める選択順序に基づいて、前記信号送信と前記送信禁止とを選択する、ベース無線装置。
【請求項4】
請求項3に記載のベース無線装置であって、
前記選択部は、前記信号送信を連続してM回選択し、M回目の前記信号送信を選択した後に、前記送信禁止を連続してN回選択する、ベース無線装置。
【請求項5】
請求項2に記載のベース無線装置であって、
前記選択部は、
前記信号送信と前記送信禁止とのいずれか一方をランダムに選択し、
前記送信禁止の選択回数がN回に達する前に、前記信号送信の選択回数がM回に達した場合には、残りの前記送受信周期で前記送信禁止を選択し、
前記信号送信の選択回数がM回に達する前に、前記送信禁止の選択回数がN回に達した場合には、残りの前記送受信周期で前記信号送信を選択する、ベース無線装置。
【請求項6】
少なくとも1つのリモート無線装置と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置の通信方法であって、
前記ベース無線装置は、
前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択ステップと、
前記選択ステップで前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置に信号を送信する送信処理を行い、前記選択ステップで前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理ステップと、
を行い、
前記選択ステップで、連続した(M+N)回の前記送受信周期の間に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する、ベース無線装置の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのリモート無線装置と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置及びベース無線装置の通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、コンピュータと、複数の通信ネットワークと、を備える産業用の無線通信システムが示される。コンピュータは、複数のロボット等を管理及び制御する。各々の通信ネットワークは、1つのベース無線装置と、複数のリモート無線装置と、を備える。ベース無線装置は、コンピュータに接続される。一方、リモート無線装置は、センサ及びアクチュエータに接続される。センサ及びアクチュエータは、ロボット等に設けられる。例えば、ベース無線装置は、各々のリモート無線装置に、アクチュエータの動作を指示するための信号を送信する。一方、各々のリモート無線装置は、ベース無線装置に、センサの検出結果等を示す信号を送信する。
【0003】
特許文献1の無線通信システムにおいて、ベース無線装置と複数のリモート無線装置は、所定の周期で周波数をホッピングする。これにより、ベース無線装置と周囲の無線機器との電波干渉が防止される。同様に、リモート無線装置と周囲の無線機器との電波干渉が防止される。本明細書では、周波数のホッピングの周期を送受信周期と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-188868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベース無線装置は、リモート無線装置に信号を送信する間、リモート無線装置が送信する信号を受信することができない。このため、ベース無線装置が信号を送信している間、リモート無線装置が行う信号送信は失敗する。ベース無線装置が信号を送信し終わった後に、リモート無線装置が行う信号送信は成功する。
【0006】
ベース無線装置は、送信するデータ量が多い場合に、送信するデータがなくなるまで、信号を送信し続ける。すると、リモート無線装置からベース無線装置への信号送信が完了するまでに長い時間がかかる場合がある。その結果、無線通信システムの通信速度が低下し、ロボット等の処理能力が低下する。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、少なくとも1つのリモート無線装置と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置であって、前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択部と、前記選択部が前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置に信号を送信する送信処理を行い、前記選択部が前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理部と、を備え、前記選択部は、連続した(M+N)回の前記送受信周期の間に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する。
【0009】
本発明の第2態様は、少なくとも1つのリモート無線装置と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置の通信方法であって、前記ベース無線装置は、前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択ステップと、前記選択ステップで前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置に信号を送信する送信処理を行い、前記選択ステップで前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理ステップと、を行い、前記選択ステップで、連続した(M+N)回の前記送受信周期の間に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リモート無線装置の信号送信が成功するまでにかかる時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、無線通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の無線通信システムの機能ブロックを示す図である。
図3図3は、第1実施形態の処理を示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態のカウント部の機能ブロックを示す図である。
図5図5は、第2実施形態の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[1 第1実施形態]
[1-1 無線通信システム10の構成]
図1は、無線通信システム10の構成を示す図である。図2は、第1実施形態の無線通信システム10の機能ブロックを示す図である。産業用の無線通信システム10は、1つのコンピュータ12と、少なくとも1つの通信ネットワーク14と、を備える。1つの通信ネットワーク14は、1つのベース無線装置16と、複数のリモート無線装置18と、を備える。産業設備には、図示しない1又は複数のロボット等が設けられる。
【0013】
コンピュータ12は、1又は複数のロボット等の監視及び制御を行う。コンピュータ12は、例えば、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を有しても良い。コンピュータ12は、有線又は無線で送受信を行うためのインターフェース(不図示)を備える。コンピュータ12は、インターフェースを介してベース無線装置16に信号を送信する。また、コンピュータ12は、インターフェースを介してベース無線装置16から送信される信号を受信する。
【0014】
1又は複数のロボット等は、アクチュエータとセンサとを備える。アクチュエータは、コンピュータ12の指示に従って動作する。センサは、ロボットの動作を検知する。本明細書では、センサとアクチュエータをまとめてS/A20とも称する。アクチュエータは、ベース無線装置16及びリモート無線装置18を介して、コンピュータ12から送信される制御信号を受信する。センサは、ベース無線装置16及びリモート無線装置18を介して、検出結果を示すセンサ信号をコンピュータ12に送信する。
【0015】
[1-2 ベース無線装置16の構成]
図2で示されるように、ベース無線装置16は、ベース演算部22と、ベース記憶部24と、ベース通信部26と、ベースインターフェース28と、を備える。
【0016】
ベース演算部22は、処理回路を有する。処理回路は、CPU等のプロセッサであっても良い。処理回路は、ASIC、FPGA等の集積回路であっても良い。プロセッサは、ベース記憶部24に記憶されるプログラムを実行することによって、周波数切替部32、送受信処理部34、選択部36、カウント部38、及び、入出力制御部40として機能する。
【0017】
周波数切替部32は、ホッピング情報に基づいて、ベース通信部26が使用するチャネルの周波数を切り替える。ホッピング情報は、ベース記憶部24に記憶される。
【0018】
送受信処理部34は、選択部36が信号送信を選択する場合に、ベース通信部26の送信回路を使用して、リモート無線装置18に信号を送信する処理を行う。信号を送信する処理を単に送信処理と称する。送受信処理部34は、選択部36が送信禁止を選択する場合に、送信処理を行わずに待機する。送受信処理部34は、待機中に、ベース通信部26の受信回路を使用して、リモート無線装置18が送信する信号を受信する処理を行う。送受信処理部34は、1回の送受信周期で1パケットの信号を送信する。送受信処理部34は、1パケットの信号を送信する際に、一連の処理を行う。つまり、送信処理には、信号を送信する処理と、リモート無線装置18から送信される確認応答(ACK)を受信する処理と、が含まれる。
【0019】
選択部36は、各々の送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する。選択部36は、連続した(M+N)回の送受信周期の間に、信号送信をM回選択し、送信禁止をN回選択する。選択部36は、選択を所定規則に基づいて行う。第1実施形態において、所定規則は、ベース記憶部24に記憶される選択順序である。
【0020】
カウント部38は、カウンタ380を有する。カウント部38は、カウンタ380を用いて、連続した(M+N)回の送受信周期の間に送受信処理部34が行った処理の回数をカウントする。送受信処理部34が行った処理というのは、送信処理と待機とである。つまり、カウント部38は、連続した(M+N)回の送受信周期の間に、送受信処理部34が送信処理を行った回数と、送受信処理部34が待機した回数と、の合計値をカウントする。
【0021】
入出力制御部40は、ベースインターフェース28を使用して、リモート無線装置18から受信したセンサ信号をコンピュータ12に送信する処理を行う。また、入出力制御部40は、ベースインターフェース28を使用して、コンピュータ12が送信する制御信号を受信する処理を行う。
【0022】
ベース記憶部24は、揮発性メモリと不揮発性メモリとを有する。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROMとフラッシュメモリとが挙げられる。揮発性メモリは、外部から取得したデータを記憶する。また、揮発性メモリは、ベース演算部22が演算したデータ等を記憶する。不揮発性メモリは、例えば所定のプログラムと所定の数値とを記憶する。なお、ベース記憶部24は、ホッピング情報を記憶する。ホッピング情報は、ホッピングパターンの情報と、送受信周期の情報と、を含む。このホッピング情報は、リモート無線装置18でも記憶される。ベース記憶部24の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ又は集積回路に備えられていても良い。
【0023】
ベース記憶部24は、所定規則として選択順序を記憶する。この選択順序は、連続した(M+N)回の送受信周期のうち、1回目の送受信周期から(M+N)回目の送受信周期までの各々で、信号送信及び送信禁止のうちのどちらを選択するかを規定する。MとNは、1つの通信ネットワーク14に含まれるリモート無線装置18の台数に応じて設定される。例えば、リモート無線装置18の台数が15である場合、Mには10が設定され、Nには3が設定される。例えば、リモート無線装置18の台数が31である場合、Mには9が設定され、Nには3が設定される。例えば、リモート無線装置18の台数が63である場合、Mには8が設定され、Nには3が設定される。例えば、リモート無線装置18の台数が127である場合、Mには7が設定され、Nには3が設定される。なお、M及びNは他の数値であっても良い。なお、ベース記憶部24は、1パターンの選択順序を記憶しても良いし、複数パターンの選択順序を記憶しても良い。
【0024】
ベース通信部26は、通信回路を有する。通信回路は、送信回路と受信回路とを含む。ベース通信部26は、リモート無線装置18に信号を送信する。また、ベース通信部26は、リモート無線装置18が送信する信号を受信する。
【0025】
ベースインターフェース28は、コンピュータ12と有線通信を行うための入出力インターフェースを有する。
【0026】
[1-3 リモート無線装置18の構成]
図2で示されるように、リモート無線装置18は、リモート演算部42と、リモート記憶部44と、リモート通信部46と、リモートインターフェース48と、を備える。
【0027】
リモート演算部42は、処理回路を有する。処理回路は、CPU等のプロセッサであっても良い。処理回路は、ASIC、FPGA等の集積回路であっても良い。プロセッサは、リモート記憶部44に記憶されるプログラムを実行することによって、各種の処理を行う。例えば、プロセッサは、リモートインターフェース48を使用して、S/A20に制御信号を送信する処理を行う。また、プロセッサは、リモートインターフェース48を使用して、S/A20からセンサ信号を受信する処理を行う。プロセッサは、リモート通信部46を使用してベース無線装置16から信号を受信する処理を行う。また、プロセッサは、リモート通信部46を使用して、ベース無線装置16に信号を送信する処理を行う。また、プロセッサは、ホッピング情報に基づいて、リモート無線装置18との通信で使用するチャネルの周波数を切り替える。
【0028】
リモート記憶部44は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを有する。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。揮発性メモリは、外部から取得したデータを記憶する。また、揮発性メモリは、リモート演算部42が演算したデータ等を記憶する。不揮発性メモリは、例えば所定のプログラムと所定の数値とを記憶する。なお、リモート記憶部44は、ホッピング情報を記憶する。ホッピング情報は、ホッピングパターンの情報と、送受信周期の情報と、を含む。リモート記憶部44の少なくとも一部が、上述したようなプロセッサ又は集積回路に備えられていても良い。
【0029】
リモート通信部46は、通信回路を有する。通信回路は、送信回路と受信回路を含む。リモート通信部46は、ベース無線装置16に信号を送信する。また、リモート通信部46は、ベース無線装置16が送信する信号を受信する。
【0030】
リモートインターフェース48は、S/A20と有線通信を行うための入出力インターフェースを有する。リモートインターフェース48は、S/A20と近距離無線通信を行うための無線インターフェースを有しても良い。
【0031】
[1-4 ベース無線装置16が行う処理]
図3を用いて送信に関わるベース無線装置16の処理を説明する。図3は、第1実施形態の処理を示すフローチャートである。ベース演算部22は、図3で示される処理を送受信周期毎に実行する。なお、カウント部38は、全ての処理が開始される前にカウンタ380のカウント値Cをゼロにする。
【0032】
図3で示される処理は、選択部36が、M回の信号送信と、N回の送信禁止と、を選択順序に基づいて選択する処理の一例である。選択順序の一例として、(M+N)回の送受信周期のうち、最初のM回の全ての送受信周期に信号送信が割り当てられ、残りのN回の全ての送受信周期に送信禁止が割り当てられても良い。この場合、選択部36は、連続してM回信号送信を選択する。次いで、選択部36は、連続してN回送信禁止を選択する。選択順序の別例として、(M+N)回の送受信周期に、M回の信号送信とN回の送信禁止とがランダムに割り当てられても良い。なお、ベース記憶部24が複数の選択順序を記憶する場合には、選択部36は、(M+N)回の送受信周期毎に使用する選択順序を変えても良い。
【0033】
ステップS1において、周波数切替部32は、ベース記憶部24に記憶されるホッピングパターンに従って、チャネルの周波数を切り替える。ステップS1が終了すると、処理はステップS2に移行する。
【0034】
ステップS2において、送受信処理部34は、S/A20に向けて送信するデータがあるか否かを判定する。例えば、送信するデータは、コンピュータ12から取得した制御信号である。送信するデータがある場合(ステップS2:YES)、処理はステップS4に移行する。一方、送信するデータがない場合(ステップS2:NO)、処理はステップS3に移行する。
【0035】
処理がステップS2からステップS3に移行する場合、カウント部38は、カウンタ380のカウント値Cをゼロにする。ステップS3が終了すると、この送受信周期における処理は終了する。なお、この送受信周期において、いずれか1つのリモート無線装置18がベース無線装置16に信号を送信した場合に、送受信処理部34は信号を受信する処理を行う。
【0036】
処理がステップS2からステップS4に移行する場合、選択部36は、カウント値Cが(M+N)未満であるか否かを判定する。ここで行われる処理は、その時点で既にM回の送信処理とN回の待機との両方が終了しているか否かの判定である。カウント値Cが(M+N)未満である場合(ステップS4:YES)、処理はステップS6に移行する。一方、カウント値Cが(M+N)に達している場合(ステップS4:NO)、処理はステップS5に移行する。
【0037】
処理がステップS4からステップS5に移行する場合、その時点で既にM回の送信処理とN回の待機との両方が終了している。この場合、カウント部38は、カウンタ380のカウント値Cをゼロにする。つまり、カウント部38は、送受信処理部34が行った処理の回数を改めてゼロからカウントする。ステップS5が終了すると、処理はステップS6に移行する。
【0038】
処理がステップS4又はステップS5からステップS6に移行する場合、カウント部38は、カウンタ380のカウント値Cに1を加算する。ステップS6が終了すると、処理はステップS7に移行する。
【0039】
ステップS7において、選択部36は、ベース記憶部24に記憶される選択順序に基づいて、信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する。選択部36は、その時点の送受信周期が(M+N)回の送受信周期のうちのいずれの回に相当するかを、カウント値Cによって判定することができる。例えば、選択部36は、カウント値CがXである場合に、その時点の送受信周期が(M+N)回の送受信周期のうちのX回目の送受信周期であると判定する。この場合、選択部36は、選択順序のうち、X番目の順序に割り当てられている処理を選択する。X番目の順序に信号送信が割り当てられている場合、選択部36は、信号送信を選択する。X番目の順序に送信禁止が割り当てられている場合、選択部36は、送信禁止を選択する。
【0040】
ステップS7で選択部36が信号送信を選択した場合(ステップS8:信号送信)、処理はステップS9に移行する。ステップS9において、送受信処理部34は、送信処理を行う。送受信処理部34は、ベース通信部26を用いてデータを送信する。ステップS9が終了すると、この送受信周期における処理は終了する。
【0041】
ステップS7で選択部36が送信禁止を選択した場合(ステップS8:送信禁止)、送受信処理部34は、今回の送受信周期で送信処理を行わずに待機する。つまり、ベース無線装置16は、リモート無線装置18が送信する信号を受信する機会を作る。いずれか1つのリモート無線装置18がベース無線装置16に信号を送信した場合に、送受信処理部34は信号を受信する処理を行う。
【0042】
第1実施形態において、送受信処理部34は、送信するデータがある場合であっても、(M+N)回の送受信周期のうちのN回の送受信周期で強制的に待機する。送受信処理部34は、このN回の送受信周期で、受信処理を行うことができる。言い換えると、このN回の送受信周期で、いずれか1つのリモート無線装置18は、ベース無線装置16に信号を送信することができる。このため、第1実施形態によれば、リモート無線装置18の信号送信が成功するまでにかかる時間を短くすることができる。
【0043】
[2 第2実施形態]
[2-1 構成]
第2実施形態に係る無線通信システム10の構成は、第1実施形態に係る無線通信システム10の構成と同じである。第2実施形態に係るベース無線装置16の構成は、第1実施形態に係るベース無線装置16の構成と概ね同じである。第2実施形態に係るリモート無線装置18の構成は、第1実施形態に係るリモート無線装置18の構成と同じである。
【0044】
第2実施形態に係るベース無線装置16の構成に関しては、第1実施形態に係るベース無線装置16の構成と異なる部分の説明をする。図4は、第2実施形態のカウント部38の機能ブロックを示す図である。第2実施形態のカウント部38は、第1カウンタ381と第2カウンタ382とを有する。カウント部38は、第1カウンタ381を用いて、送受信処理部34が行った送信処理の回数をカウントする。カウント部38は、第2カウンタ382を用いて、送受信処理部34が待機した回数をカウントする。
【0045】
なお、第2実施形態のベース記憶部24は、所定規則として、アルゴリズムを記憶する。このアルゴリズムは、選択部36が信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する方法を規定する。このアルゴリズムの一例は、図5で示される。
【0046】
[2-2 ベース無線装置16が行う処理]
図5を用いて送信に関わるベース無線装置16の処理を説明する。図5は、第2実施形態の処理を示すフローチャートである。ベース演算部22は、図5で示される処理を送受信周期毎に実行する。なお、カウント部38は、全の処理が開始される前に第1カウンタ381のカウント値C1と第2カウンタ382のカウント値C2の両方をゼロにする。
【0047】
図5で示される処理は、選択部36が、M回の信号送信と、N回の送信禁止と、をランダムに選択する処理の一例である。但し、選択部36は、信号送信の選択回数がM回に達する前に送信禁止の選択回数がN回に達した場合に、残りの全ての送受信周期で信号送信を選択する。これとは逆に、選択部36は、信号禁止の選択回数がN回に達する前に信号送信の選択回数がM回に達した場合に、残りの全ての送受信周期で信号禁止を選択する。
【0048】
ステップS11において、周波数切替部32は、ベース記憶部24に記憶されるホッピングパターンに従って、チャネルの周波数を切り替える。ステップS11が終了すると、処理はステップS12に移行する。
【0049】
ステップS12において、送受信処理部34は、S/A20に向けて送信するデータがあるか否かを判定する。送信するデータがある場合(ステップS12:YES)、処理はステップS14に移行する。一方、送信するデータがない場合(ステップS12:NO)、処理はステップS13に移行する。
【0050】
処理がステップS12からステップS13に移行する場合、カウント部38は、第1カウンタ381のカウント値C1と第2カウンタ382のカウント値C2の両方をゼロにする。ステップS13が終了すると、この送受信周期における処理は終了する。なお、この送受信周期において、いずれか1つのリモート無線装置18がベース無線装置16に信号を送信した場合に、送受信処理部34は信号を受信する処理を行う。
【0051】
処理がステップS12からステップS14に移行する場合、選択部36は、カウント値C1とカウント値C2との合計値(C1+C2)が(M+N)未満であるか否かを判定する。ここで行われる処理は、その時点で既にM回の送信処理とN回の待機との両方が終了したか否かの判定である。合計値(C1+C2)が(M+N)未満である場合(ステップS14:YES)、処理はステップS16に移行する。一方、合計値(C1+C2)が(M+N)に達している場合(ステップS14:NO)、処理はステップS15に移行する。
【0052】
処理がステップS14からステップS15に移行する場合、その時点で既にM回の送信処理とN回の待機との両方が終了している。この場合、カウント部38は、第1カウンタ381のカウント値C1と第2カウンタ382のカウント値C2の両方をゼロにする。ステップS15が終了すると、処理はステップS16に移行する。
【0053】
ステップS16において、選択部36は、カウント値C1がM未満であるか否かを判定する。ここで行われる処理は、その時点で既にM回の送信処理が終了しているか否かの判定である。カウント値C1がM未満である場合(ステップS16:YES)、処理はステップS18に移行する。一方、カウント値C1がMに達している場合(ステップS16:NO)、処理はステップS17に移行する。
【0054】
処理がステップS16からステップS17に移行する場合、選択部36は、送信禁止を選択する。ステップS17が終了すると、処理はステップS24に移行する。この場合、送受信処理部34は、今回の送受信周期で送信処理を行わずに待機する。つまり、ベース無線装置16は、リモート無線装置18が送信する信号を受信する機会を作る。いずれか1つのリモート無線装置18がベース無線装置16に信号を送信した場合に、送受信処理部34は信号を受信する処理を行う。
【0055】
処理がステップS16からステップS18に移行する場合、選択部36は、カウント値C2がN未満であるか否かを判定する。ここで行われる処理は、その時点で既にN回の送信処理が終了しているか否かの判定である。カウント値C2がN未満である場合(ステップS18:YES)、処理はステップS20に移行する。一方、カウント値C2がNに達している場合(ステップS18:NO)、処理はステップS19に移行する。
【0056】
処理がステップS18からステップS19に移行する場合、選択部36は、信号送信を選択する。ステップS19が終了すると、処理はステップS22に移行する。
【0057】
処理がステップS18からステップS20に移行する場合、選択部36は、信号送信と送信禁止とのいずれか一方をランダムに選択する。ベース記憶部24は、ランダムに選択する方法として、例えば乱数を使用する等の公知の方法を記憶する。選択部36は、その方法に基づいて、信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する。ステップS20が終了すると、処理はステップS21に移行する。
【0058】
ステップS20で選択部36が信号送信を選択した場合(ステップS21:信号送信)、処理はステップS22に移行する。一方、ステップS20で選択部36が送信禁止を選択した場合(ステップS21:送信禁止)、処理はステップS24に移行する。この場合、送受信処理部34は、今回の送受信周期で送信処理を行わずに待機する。つまり、ベース無線装置16は、リモート無線装置18が送信する信号を受信する機会を作る。いずれか1つのリモート無線装置18がベース無線装置16に信号を送信した場合に、送受信処理部34は信号を受信する処理を行う。
【0059】
ステップS19又はステップS21からステップS22に移行する場合、送受信処理部34は、送信処理を行う。送受信処理部34は、ベース通信部26を用いてデータを送信する。ステップS22が終了すると、処理はステップS23に移行する。
【0060】
ステップS23において、カウント部38は、第1カウンタ381のカウント値C1に1を加算する。ステップS23が終了すると、この送受信周期における処理は終了する。
【0061】
ステップS17又はステップS21からステップS24に移行すると、カウント部38は、第2カウンタ382のカウント値C2に1を加算する。ステップS24が終了すると、この送受信周期における処理は終了する。
【0062】
第2実施形態において、送受信処理部34は、送信するデータがある場合であっても、(M+N)回の送受信周期のうちのN回の送受信周期で強制的に待機する。このため、第1実施形態と同様に、第2実施形態によれば、リモート無線装置18の信号送信が成功するまでにかかる時間を短くすることができる。
【0063】
[3 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0064】
本発明の第1態様は、少なくとも1つのリモート無線装置18と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置16であって、前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択部36と、前記選択部36が前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置18に信号を送信する送信処理を行い、前記選択部36が前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理部(送受信処理部34)と、を備え、前記選択部36は、連続した(M+N)回の前記送受信周期毎に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する。
【0065】
上記構成によれば、送受信処理部34は、送信するデータがある場合であっても、(M+N)回の送受信周期のうちのN回の送受信周期で強制的に待機する。送受信処理部34は、このN回の送受信周期で、受信処理を行うことができる。言い換えると、このN回の送受信周期で、いずれか1つのリモート無線装置18は、ベース無線装置16に信号を送信することができる。このため、上記構成によれば、リモート無線装置18の信号送信が成功するまでにかかる時間を短くすることができる。
【0066】
第1態様において、ベース無線装置16は、前記信号送信と前記送信禁止とのどちらを選択するかを決めるための所定規則を記憶する記憶部(ベース記憶部24)を備え、前記選択部36は、前記所定規則に基づいて、前記送受信周期で前記信号送信と前記送信禁止とのいずれか一方を選択しても良い。
【0067】
第1態様において、前記選択部36は、前記所定規則が定める選択順序に基づいて、前記信号送信と前記送信禁止とを選択しても良い。
【0068】
第1態様において、前記選択部36は、前記信号送信を連続してM回選択し、M回目の前記信号送信を選択した後に、前記送信禁止を連続してN回選択しても良い。
【0069】
第1態様において、前記選択部36は、前記信号送信と前記送信禁止とのいずれか一方をランダムに選択し、前記送信禁止の選択回数がN回に達する前に、前記信号送信の選択回数がM回に達した場合には、残りの前記送受信周期で前記送信禁止を選択し、前記信号送信の選択回数がM回に達する前に、前記送信禁止の選択回数がN回に達した場合には、残りの前記送受信周期で前記信号送信を選択しても良い。
【0070】
本発明の第2態様は、少なくとも1つのリモート無線装置18と送受信周期で信号の送受信を行うベース無線装置16の通信方法であって、前記ベース無線装置16は、前記送受信周期で信号送信と送信禁止とのいずれか一方を選択する選択ステップと、前記選択ステップで前記信号送信を選択した場合は、前記送受信周期で少なくとも1つの前記リモート無線装置に信号を送信する送信処理を行い、前記選択ステップで前記送信禁止を選択した場合は、前記送受信周期で前記送信処理を行わずに待機する送信処理ステップと、を行い、前記選択ステップで、連続した(M+N)回の前記送受信周期毎に、前記信号送信をM回選択し且つ前記送信禁止をN回選択する。
【符号の説明】
【0071】
16…ベース無線装置 18…リモート無線装置
24…ベース記憶部(記憶部) 34…送受信処理部(送信処理部)
36…選択部
図1
図2
図3
図4
図5