IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イシダの特許一覧

<>
  • 特開-計量装置 図1
  • 特開-計量装置 図2
  • 特開-計量装置 図3
  • 特開-計量装置 図4
  • 特開-計量装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136039
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 11/00 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
G01G11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041442
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】樽本 祥憲
(72)【発明者】
【氏名】前野 友哉
(57)【要約】
【課題】デジタルフィルタの自動設定結果の精度を向上可能な計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される物品の重量を計量するための計量部と、計量部から出力される計量に関する原信号を、予め設定された複数のデジタルフィルタにより処理する処理部と、処理部から出力される情報を表示する表示部と、を備え、処理部は、搬送部の動作中であって搬送部によって物品が搬送されていないときに出力される原信号に対し、複数のデジタルフィルタを順次適用した結果に基づいて、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成し、表示部は、評価情報の少なくとも一つを表示する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される前記物品の重量を計量するための計量部と、
前記計量部から出力される計量に関する原信号を、予め設定された複数のデジタルフィルタにより処理する処理部と、
前記処理部から出力される情報を表示する表示部と、
を備え、
前記処理部は、前記搬送部の動作中であって前記搬送部によって前記物品が搬送されていないときに出力される前記原信号に対し、前記複数のデジタルフィルタを順次適用した結果に基づいて、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成し、
前記表示部は、前記評価情報の少なくとも一つを表示する、
計量装置。
【請求項2】
前記表示部に表示される前記評価情報の一に相当するデジタルフィルタの入力を受け付ける入力部をさらに備える、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記原信号に対して既定のデジタルフィルタを適用した結果と、前記原信号に対して前記複数のデジタルフィルタを順次適用した前記結果とを比較し、前記評価情報を生成する、請求項1又は請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記評価情報は、前記原信号に含まれるノイズ成分の影響を示す情報である、請求項1~3のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記評価情報をフィルタ特性ごとに区別して表示する、請求項1~4のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記評価情報を文字、数字、グラフ、色のうち少なくとも1つ以上に基づいて表示する、請求項1~5のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項7】
前記処理部は、前記原信号に前記複数のデジタルフィルタのそれぞれを適用して得られる計量信号に基づき、前記評価情報を生成する、請求項1~6のいずれか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置の一例として、搬送コンベアによって搬送される物品(計量対象物)の重量を計量する装置が挙げられる。下記特許文献1には、計量した物品の重量に対応する原信号を出力する計量部と、当該計量部から出力された原信号にフィルタリング処理を行うフィルタ部と、フィルタリング処理後の計量信号の波形を表示部に表示させる制御部とを備える計量装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再公表特許WO2015-141670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような計量装置においては、フィルタ部には複数のデジタルフィルタが予め設定されることがある。これにより、計量装置及びその周囲の状況に適したデジタルフィルタを設定することによって、精度よく物品の重量を計量できる。しかしながら、デジタルフィルタの設定は、単なる計量装置の使用者にとっては困難である。このため、通常、計量装置の設計者もしくは熟練者によってデジタルフィルタの設定がなされる必要がある問題がある。
【0005】
上記問題に鑑み、計量装置自体がデジタルフィルタを自動設定することが考えられる。この場合、自動設定されたデジタルフィルタが、計量装置及びその周囲の状況に最適なものとは限られない懸念がある。
【0006】
本発明の一側面の目的は、デジタルフィルタの自動設定結果の精度を向上可能な計量装置の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る計量装置は、物品を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される物品の重量を計量するための計量部と、計量部から出力される計量に関する原信号を、予め設定された複数のデジタルフィルタにより処理する処理部と、処理部から出力される情報を表示する表示部と、を備え、処理部は、搬送部の動作中であって搬送部によって物品が搬送されていないときに出力される原信号に対し、複数のデジタルフィルタを順次適用した結果に基づいて、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成し、表示部は、評価情報の少なくとも一つを表示する。
【0008】
この計量装置によれば、処理部は、搬送部の動作中であって搬送部によって物品が搬送されていないときに(いわゆる空運転中に)得られる原信号に対して、複数のデジタルフィルタを順次適用する。これにより、例えば、計量装置及びその周囲の状況(例えば、計量装置自体の振動、外部から計量装置に伝達される振動等)に適した一または二以上のデジタルフィルタを自動で抽出できる。ここで、処理部は、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成し、表示部は、当該評価情報の少なくとも一つを表示する。このため、作業者は、表示部に表示される評価情報に基づいて、計量装置及びその周囲の状況に適するデジタルフィルタを容易に選択できる。このように評価情報を生成及び表示させることによって、計量装置におけるデジタルフィルタの自動設定結果の精度を向上できる。
【0009】
上記計量装置は、表示部に表示される評価情報の一に相当するデジタルフィルタの入力を受け付ける入力部をさらに備えてもよい。この場合、作業者は、入力部を介して所望のデジタルフィルタを選択できる。
【0010】
処理部は、原信号に対して既定のデジタルフィルタを適用した結果と、原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用した結果とを比較し、評価情報を生成してもよい。この場合、複数のデジタルフィルタが、既定のデジタルフィルタよりも適切であるか否かを容易に判断できる。
【0011】
評価情報は、原信号に含まれるノイズ成分の影響を示す情報でもよい。この場合、評価情報が示す内容を容易に読み取れる。
【0012】
表示部は、評価情報をフィルタ特性ごとに区別して表示してもよい。この場合、作業者が適切なデジタルフィルタをより選択しやすくなる。
【0013】
表示部は、評価情報を文字、数字、グラフ、色のうち少なくとも1つ以上に基づいて表示してもよい。この場合、表示部に表示される評価情報同士を比較しやすくなる。
【0014】
処理部は、原信号に複数のデジタルフィルタのそれぞれを適用して得られる計量信号に基づき、評価情報を生成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、デジタルフィルタの自動設定結果の精度を向上可能な計量装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る計量装置の概略構成図である。
図2図2は、制御部の機能的な構成を示す図である。
図3図3は、デジタルフィルタの選択方法を説明するためのフローチャートである。
図4図4(a)は、ステップS3において表示インターフェースに表示される画面の一例を示す図であり、図4(b)は、ステップS4において表示インターフェースに表示される画面の一例を示す図である。
図5図5(a)は、第4表示部に表示される内容の一例を示す拡大図であり、図5(b)は、第4表示部に表示される内容の別例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一側面に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る計量装置を模式的に示す図である。図1に示される計量装置1は、図1中の矢印の方向(以下、単に「搬送方向」とする)に測定対象物を搬送しながら計量する装置である。計量装置1は、例えば、生産ラインの最終ラインに配置される装置である。測定対象物は、例えば搬送方向に沿って延在する物品Pである。計量装置1は、搬送部2と、架台3と、計量部4と、操作部6とを備える。
【0019】
搬送部2は、物品Pを搬送方向に沿って搬送可能な搬送装置であり、例えばコンベアである。搬送部2は、例えば操作部6を介して指定された搬送速度にて、物品Pを搬送する。搬送速度は、操作部6を介して指定される。搬送部2は、第1コンベア部2aと、第2コンベア部2bと、第3コンベア部2cとを備える。第1コンベア部2aと、第2コンベア部2bと、第3コンベア部2cとのそれぞれは、例えば、ローラ、モータ等の回転体、及び搬送ベルトなどを有する。第1コンベア部2a、第2コンベア部2b及び第3コンベア部2cは、搬送方向の上流側から順番に配置される。すなわち、第2コンベア部2bは、搬送方向において第1コンベア部2aと第3コンベア部2cとの間に位置する。第1コンベア部2aは、第2コンベア部2bに物品Pを搬入するコンベアである。第1コンベア部2aは、例えば、図示しない金属検出機等を有してもよい。第2コンベア部2bは、第1コンベア部2aから搬送された物品Pを第3コンベア部2cに搬入するコンベアである。第3コンベア部2cは、第2コンベア部2bから物品Pを搬出するコンベアである。第3コンベア部2cは、例えば、重量が適正範囲から逸脱している物品Pを振り分ける振分機(図示しない)を有する。
【0020】
第2コンベア部2bには、計量部4が装着されている。このため、搬送部2にて搬送される物品Pは、第2コンベア部2b上にて計量される。また、第2コンベア部2bの上流側及び下流側のそれぞれには、物品Pの有無を検知するセンサが設けられてもよい。この場合、物品Pの全体が第2コンベア部2b上に位置しているか否かを容易に判断できる。
【0021】
架台3は、計量部4を収容する部材であり、搬送部2の下方にて床Fに固定される。架台3は、計量部4を収容する本体3a、及び本体3aと床Fとの間に位置する複数の脚3bを有する。図1においては、本体3aは破線にて示される。
【0022】
計量部4は、第2コンベア部2b上に位置する物品Pの重量を計量する部材であり、搬送部2の中央部に位置する。計量部4は、負荷に応じた圧縮及び引張を受ける起歪体11と、第2コンベア部2b上に位置する物品Pを計量する計量セル12とを備える。起歪体11は、第2コンベア部2bを支持する可動剛体部11aと、架台3に固定される固定剛体部11bとを有する。可動剛体部11aと固定剛体部11bとのそれぞれは、例えば鉛直方向に延在する部材である。可動剛体部11aの一端は第2コンベア部2bの上流側端部に接続され、可動剛体部11aの他端は計量セル12に接続される。固定剛体部11bの一端は計量セル12に接続され、固定剛体部11bの他端は架台3の本体3aに接続される。図示しないが、計量セル12では、起歪体11に貼着された複数のストレインゲージがホイートストンブリッジ回路に接続される。
【0023】
本実施形態では、計量部4は、起歪体11及び計量セル12に加えて、A/D変換部を有する。計量セル12は、起歪体11から伝達される負荷に応じた電気信号を上記ホイートストンブリッジ回路から取り出す。この電気信号は、計量セル12による物品Pの計量結果を示すアナログ原信号であり、物品Pが第2コンベア部2b上に位置しているときに得られる。このアナログ原信号は、A/D変換部によってデジタル原信号に変換される。計量部4は、当該デジタル原信号を原信号とし、外部に出力する。これにより、計量部4から操作部6へ送信する原信号のデータ量を低減できる。
【0024】
操作部6は、搬送部2及び計量部4を操作する部材であり、例えば第2コンベア部2bの近傍に立設される。操作部6は、表示インターフェース7と、制御部8とを有する。
【0025】
表示インターフェース7は、制御部8から出力される表示情報に基づく画像を表示する部材(表示部)である。本実施形態では、表示インターフェース7は、外部からの入力を受け付ける入力部として機能するタッチパネル7aを有する。このため、表示インターフェース7には、操作用の画像などが表示される。表示インターフェース7が作業者(ユーザ)からの入力を受け付けると、入力内容を示す入力情報は、制御部8に出力される。当該入力情報は、例えば、搬送部2の搬送速度、物品Pの種類、搬送方向に沿った物品Pの寸法、物品Pの搬送頻度、物品Pの計量ピッチ等に関するデータである。物品Pの搬送頻度は、例えば計量装置1の上流に位置する生産機の能力に基づいて設定される。なお、物品Pの計量ピッチは、例えば、搬送部2の搬送速度、物品Pの上記寸法、物品Pの搬送頻度に基づき、制御部8によって算出される。
【0026】
表示インターフェース7は、計量部4による計量結果(例えば、物品Pの重量の計量結果)を示す計量値、計量装置1の計量条件、原信号をフィルタリング処理して得られる計量信号、当該フィルタリング処理の評価情報などを表示する。物品Pの重量の計量値は、計量部4から操作部6に送信される原信号(より具体的には、上記計量信号)に基づいて得られるデータである。計量値は、公知の手法により、計量信号を利用して算出される。
【0027】
上記フィルタリング処理は、制御部8に記憶される複数のデジタルフィルタの少なくとも一を原信号に適用する処理である。複数のデジタルフィルタのそれぞれは、予め定められた周波数を超える周波数成分を減衰させるローパスフィルタ、搬送部2に含まれる回転体の周波数のノイズを減衰させるノッチフィルタ(バンドストップフィルタ)等から構成される。よって、フィルタ部22は、原信号に対して多段階のフィルタリング処理を実施できる。各デジタルフィルタには、一又は複数のローパスフィルタ、一又は複数のノッチフィルタが含まれ得る。複数のデジタルフィルタのそれぞれは、互いに周波数帯の減衰量の異なるローパスフィルタを含んでもよいし、互いに異なる周波数帯を減衰させるノッチフィルタを含んでもよい。上記複数のローパスフィルタは、例えば特許5901126号等に記載される可変フィルタであってもよい。
【0028】
複数のデジタルフィルタのそれぞれには、名前、通し番号、フィルタ特性などが付される。複数のデジタルフィルタは、通し番号、フィルタ特性などによって区別され得る。フィルタ特性は、例えば、特定のフィルタ(例えば、ローパスフィルタ)の有無、特定のフィルタの組み合わせの有無、特定の機能の利用の有無などによって区別される共通の性質であり、予め設定される。フィルタ特性としては、例えば、外乱に強い特性、内部振動に強い特性などが挙げられる。例えば、特定のフィルタを有するデジタルフィルタは、外乱に強いフィルタ特性を有すると設定されてもよいし、内部振動に強いフィルタ特性を有すると設定されてもよい。特定の機能は、例えば、AFV(Anti Floor Vibration)などである。複数のデジタルフィルタのそれぞれに上記フィルタ特性などが付されることによって、複数のデジタルフィルタ同士を所定の条件にて区別できる。
【0029】
上記計量条件は、上記入力情報に相当してもよいし、上記入力情報に基づいて定められる搬送速度、搬送頻度などでもよい。計量条件は、例えば、少なくとも評価情報の生成前に表示インターフェース7に表示される。上記計量信号は、例えば、物品Pの重量を演算するために整えられた波形を有する。計量信号は、例えば、表示インターフェース7に表示される評価情報の詳細を確認する際に表示される。
【0030】
表示インターフェース7に表示される評価情報は、原信号に複数のデジタルフィルタのそれぞれを適用して得られる計量信号に基づき生成される情報である。例えば、評価情報は、原信号に含まれるノイズ成分の影響を示す情報であり、計量信号に含まれる波形の振幅の標準偏差などを利用して生成される。評価情報は、複数のデジタルフィルタのそれぞれに生成される。このため、評価情報は、各デジタルフィルタの評価結果(スコアリング結果)に相当する。本実施形態では、評価情報は、原信号に対して既定のデジタルフィルタ(デフォルトフィルタ)を適用した結果(初期結果)と、当該原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用した結果とを比較することによって、生成される規格値である。なお、評価情報を生成するための原信号は、例えば、搬送部2の動作中であって搬送部2によって物品Pが搬送されていないとき(以下、「搬送部2の空運転中」とも称する)に得られる信号である。これにより、評価情報に物品の重量のばらつきが含まれないので、デジタルフィルタ自体の評価を得られる。本実施形態では、デフォルトフィルタは、計量装置1の初期状態にて予め設定されるデジタルフィルタに相当するが、これに限られない。デフォルトフィルタは、例えば前回の検査に適用されたデジタルフィルタでもよい。前回の検査に適用されたデジタルフィルタとは、最新の評価結果を生成する直前に物品の計量値の算出に用いられていたデジタルフィルタに相当する。
【0031】
例えば、上記初期結果を、原信号に対してデフォルトフィルタを適用して得られる計量信号に含まれる波形の振幅の標準偏差と仮定する。このとき、当該標準偏差をデフォルトフィルタの評価情報(基準評価情報)とし、かつ、100と正規化する。また、当該原信号に対して所定のデジタルフィルタを適用して得られる計量信号に含まれる波形の振幅の標準偏差が、上記初期結果の1/4と仮定する。この場合、所定のデジタルフィルタの評価情報は、基準評価情報と比較することによって、25と規格値で示すことができる。表示インターフェース7は、評価情報を文字、数字、グラフ、色のうち少なくとも1つ以上に基づいて表示する(詳細は後述する)。評価情報は、上記計量条件によって変動し得る。このため、所定のデジタルフィルタの評価情報は、計量条件によって変動し得る。
【0032】
制御部8は、計量装置1に含まれる各部材を制御するコントローラであり、操作部6に内蔵される。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)等によって構成される。制御部8は、例えば、表示インターフェース7を介して指定された搬送部2の搬送速度を制御する動作信号を、搬送部2へ出力する。また、例えば、第3コンベア部2cに振分機が設けられている場合であって、制御部8が物品Pの重量が予め設定された適正範囲から逸脱していると判断した場合、制御部8は、当該物品Pを振り分ける(ラインから除外する)ように、振分機に動作信号を出力する。制御部8は、計量装置1に含まれる各部材の制御だけでなく、各種信号の受信/演算/送信、及び各種信号の記録/読み出し等も実施する処理部である。制御部8による各種信号の演算の例として、物品Pの計量結果の導出が挙げられる。このため、制御部8は、例えば、搬送部2の制御信号を出力するための駆動回路、計量部4にて生成される原信号から物品Pの計量値を演算するための駆動回路、当該原信号から上記精度情報を演算するための駆動回路、各信号及び各情報を記憶する記憶回路等を有する。
【0033】
図2は、制御部の機能的な構成を示す図である。図2に示されるように、制御部8は、受信部21と、フィルタ部22と、演算部23と、出力部24と、記憶部25とを有する。
【0034】
受信部21は、例えば、計量部4から送信される原信号と、表示インターフェース7から送信される入力情報とを受信する部分である。計量部4から受信部21への原信号の送信と、表示インターフェース7から受信部21への入力情報の送信とのそれぞれは、有線を介して実施されてもよいし、無線を介して実施されてもよい。受信部21は、原信号及び入力情報以外のデータを受信してもよい。
【0035】
フィルタ部22は、予め設定される複数のデジタルフィルタを用いて、計量部4から出力される原信号をフィルタリング処理する部分である。フィルタ部22は、搬送部2の動作中、且つ、物品Pの搬送中において、複数のデジタルフィルタのうち事前に選択された一のデジタルフィルタを用いて、原信号をフィルタリング処理する。そして、フィルタ部22は、原信号をフィルタリング処理することによって得られる信号(計量信号)を出力する。得られた計量信号は、例えば図1に示される制御部8に含まれる演算部23、記憶部25等に出力される。
【0036】
フィルタ部22は、搬送部2の空運転中に得られた原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用する。換言すると、フィルタ部22は、搬送部2の空運転中に、原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用するフィルタリング処理を実施する。これにより、フィルタ部22は、搬送部2の空運転中に得られた原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用した結果となる複数の計量信号を生成する。そして、フィルタ部22は、複数の計量信号を演算部23、記憶部25等に出力する。上記フィルタリング処理において適用される複数のデジタルフィルタは、制御部8に記憶される全てのデジタルフィルタでもよいし、一部のデジタルフィルタでもよい。例えば、フィルタ特性によって抽出される特定のデジタルフィルタが順次適用されてもよい。これにより、フィルタリング処理において不要なデジタルフィルタを予め除去できるので、ノイズとなる評価情報の生成を防止できる。
【0037】
本実施形態では、表示インターフェース7を介して指定された実施予定の計量条件にて搬送部2を空運転したときに計量部4から出力される情報は、搬送部2の動作中であって搬送部2によって物品Pが搬送されていないときに得られる原信号に相当する。搬送部2が空運転中か否かは、作業者によって判断されてもよいし、自動で判断されてもよい。例えば、搬送部2が動作中であって、計量装置1に設けられる物品検知用のセンサの非検知状態が所定時間以上継続しているとき等に、搬送部2が空運転中であると自動で判断されてもよい。
【0038】
演算部23は、入力された各種情報を演算処理する部分(処理部)である。演算部23は、搬送部2の動作中、且つ、物品Pの搬送中において、フィルタ部22から出力される計量信号に基づいて物品Pの重量を演算処理する。これにより、演算部23は、物品Pの計量値を生成する。演算部23は、生成された計量値を出力部24に出力する。演算部23は、入力された搬送部2の搬送速度、物品Pの寸法及び搬送頻度によって物品Pの計量ピッチ(計量間隔)を演算する。演算部23は、上記計量値に基づいて、物品Pの重量が予め設定された適正範囲から逸脱しているか否かを判断する。この判断結果に応じて、演算部23は、例えば振分機に動作信号を出力する。
【0039】
演算部23は、搬送部2の空運転中に得られた原信号に対し、複数のデジタルフィルタを順次適用した結果に基づいて、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成する。本実施形態では、演算部23は、まず、搬送部2の空運転中に得られた複数の計量信号に基づいて、各計量信号の評価情報を生成する。そして、演算部23は、これらの評価情報を出力部24及び記憶部25に出力する。
【0040】
出力部24は、例えば、制御部8にて生成される各種情報及び各種信号と、記憶部25に記憶される各種情報及び各種信号を外部に出力する。出力部24は、例えば、物品Pの計量値、計量装置1の計量条件、各デジタルフィルタの評価情報などを表示情報として表示インターフェース7に出力する。出力部24は、搬送部2の搬送速度を制御するための動作信号を搬送部2に出力し、振分機に対する動作信号を当該振分機に出力する。出力部24から搬送部2への動作信号の出力等は、有線を介して実施されてもよいし、無線を介して実施されてもよい。
【0041】
記憶部25は、表示インターフェース7を介して入力される入力情報と、制御部8にて生成される各種情報及び各種信号とを記憶する。記憶部25は、予め設定される複数のデジタルフィルタを記憶する。記憶部25は、生成される各評価結果と、当該評価結果の生成日時とを関連付けて記憶する。作業者は、記憶された評価結果及び生成日時を確認することによって、当該生成日時における計量装置1の設定の妥当性などを容易に確認できる。
【0042】
次に、図3を参照しながら本実施形態に係る計量装置1に適用されるデジタルフィルタの選択方法の一例について説明する。図3は、デジタルフィルタの選択方法を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、計量装置1の計量条件を設定する(ステップS1)。ステップS1では、まず、表示インターフェース7を介して、搬送部2の搬送速度、物品Pの種類、搬送方向に沿った物品Pの寸法、物品Pの搬送頻度などが設定される。計量条件の少なくとも一部は、計量装置1によって自動的に設定もしくは調整されてもよい。例えば、作業者が表示インターフェース7を介して物品Pの種類を選択することによって、搬送部2の搬送速度などが自動的に設定もしくは調整されてもよい。設定された計量条件は、後述するように表示インターフェース7に表示される。これにより、作業者が設定した計量条件の是非を容易に確認できる。
【0044】
次に、物品Pが搬送されていない状態にて搬送部2を動作させたとき(すなわち、搬送部2の空運転時)の原信号を取得する(ステップS2)。ステップS2では、例えば、計量部4は、物品Pを計量する前に指定された計量条件にて計量装置1(特に、搬送部2)を約5秒間空運転させたときの原信号を取得する。取得された原信号は、制御部8に出力される。
【0045】
次に、取得された原信号に対して、複数のデジタルフィルタを順次適用し、複数の計量信号を生成する(ステップS3)。ステップS3では、フィルタ部22が、上記原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用することによって、当該原信号をフィルタリング処理する。これにより、フィルタ部22は、複数の計量信号を生成する。図4(a)は、ステップS3において表示インターフェースに表示される画面の一例を示す図である。図4(a)に示されるように、表示インターフェース7には、第1表示部31と、第1表示部31の下方に位置する第2表示部32と、第1表示部31の下方であって第2表示部32の隣に位置する第3表示部33と、第2表示部32の下方に位置する中止ボタン34とが含まれる。第1表示部31は、例えば、ステップS3の説明、進捗率などを示す画像及び/または文字を表示する部分である。第2表示部32は、ステップS1にて設定される計量条件を表示する部分である。第3表示部33は、ステップS3の実行開始を指示するための開始ボタン33aを表示する部分である。例えば、作業者が開始ボタン33a(より具体的には、表示インターフェース7において開始ボタン33aが表示される部分)を押圧することによって、ステップS3が開始する。
【0046】
次に、各計量信号の評価情報を生成し、当該評価情報の少なくとも一つを表示する(ステップS4)。図4(b)は、ステップS4において表示インターフェースに表示される画面の一例を示す図である。図4(b)に示されるように、ステップS4において、表示インターフェース7は、第2表示部32の領域を狭める。その代わりにステップS4では、表示インターフェース7は、第2表示部32と第3表示部33との間に位置する第4表示部35、及び、第3表示部33の下方に位置する確定ボタン36を表示する。第4表示部35は、生成される評価情報の少なくとも一つを表示する部分である。本実施形態では、第4表示部35は、予め定められる条件にしたがって自動抽出される評価情報を表示する。これにより、作業者によるデジタルフィルタ選択の負担を低減できる。評価情報の妥当性判断の容易化などの観点から、第4表示部35は、基準評価情報を表示してもよい。この場合、作業者は、基準評価情報と、自動抽出される評価情報とを容易に比較できるので、計量装置1により自動抽出されるデジタルフィルタの妥当性を容易に判断できる。
【0047】
図5(a)は、第4表示部に表示される内容の一例を示す拡大図であり、図5(b)は、第4表示部に表示される内容の別例を示す拡大図である。図5(a)に示されるように、第4表示部35は、所定のフィルタ特性(特性1)に応じて抽出される複数のグラフ41~44を表示する。グラフ41は、デフォルトフィルタ(フィルタ番号:0)を原信号に適用して生成される評価情報を示す。グラフ42は、フィルタ番号:Aが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。グラフ43は、フィルタ番号:Bが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。グラフ44は、フィルタ番号:Cが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。なお、表示インターフェース7の表示をスクロールすることによって、他の評価結果に相当するグラフが表示されてもよい。
【0048】
図5(b)に示されるように、上記特性1とは異なるフィルタ特性(特性2)に応じて抽出される複数のグラフ51~54を表示する。グラフ51は、デフォルトフィルタ(フィルタ番号:0)を原信号に適用して生成される評価情報を示す。このため、グラフ51は、グラフ41と同一と言える。グラフ52は、フィルタ番号:Dが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。グラフ53は、フィルタ番号:Aが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。グラフ54は、フィルタ番号:Eが付されたデジタルフィルタを原信号に適用して生成される評価情報を示す。
【0049】
図5(a),(b)のそれぞれには、所定のフィルタ特性を表示するタブ61~64が表示される。タブ61~64には、特性1~特性4がそれぞれ表示される。このようなタブ61~64を利用することによって、表示インターフェース7は、評価情報をフィルタ特性ごとに区別して表示可能である。例えば、ステップS4にて作業者がタブ62(より具体的には、表示インターフェース7においてタブ62が表示される部分)を押圧することによって、表示インターフェース7の表示は、図5(b)に示される内容になる。その後、作業者がタブ61(より具体的には、表示インターフェース7においてタブ61が表示される部分)を押圧することによって、表示インターフェース7の表示は、図5(a)に示される内容に切り替わる。これにより、作業者は、フィルタ特性ごとに区別される評価情報を容易に視認できる。
【0050】
本実施形態では、グラフの伸びが低いほど、高いスコアリング結果を示している。このため、図5(a)においてはグラフ42が最も高評価と解釈され、図5(b)においてはグラフ52が最も高評価と解釈される。なお、グラフ41~44,51~54のそれぞれには、着色されてもよいし、数値が併記されてもよい。また、作業者等によるデジタルフィルタの選択方法が適切に可能である限り、表示インターフェース7による評価情報の表示方法は、特に限定されない。
【0051】
図3に戻って、表示インターフェース7に表示される評価情報の一に相当するデジタルフィルタの入力を受け付ける(ステップS5)。ステップS5では、例えば、作業者が、表示インターフェース7に表示される評価情報の一を選択する。そして、作業者が確定ボタン36を押圧することによって、ステップS1にて設定される計量条件に適用されるデジタルフィルタが決定される。以上により、所定の計量条件において計量装置1に適用されるデジタルフィルタの選択が完了する。
【0052】
以上に説明した本実施形態に係る計量装置1によれば、演算部23は、搬送部2の空運転中に得られる原信号に対して、複数のデジタルフィルタを順次適用する。これにより、例えば、計量装置1及びその周囲の状況に適した一または二以上のデジタルフィルタを自動で抽出できる。ここで、演算部23は、適用される各デジタルフィルタの評価情報を生成し、表示インターフェース7は、当該評価情報の少なくとも一つを表示する。このため、作業者は、表示インターフェース7に表示される評価情報に基づいて、計量装置及びその周囲の状況に適するデジタルフィルタを容易に選択できる。このように評価情報を生成及び表示させることによって、計量装置1におけるデジタルフィルタの自動設定結果の精度を向上できる。
【0053】
本実施形態では、計量装置1は、表示インターフェース7に表示される評価情報の一に相当するデジタルフィルタの入力を受け付けるタッチパネル7aを備える。このため、作業者は、表示インターフェース7に表示される評価情報を確認しつつ、タッチパネル7aを介して所望のデジタルフィルタを容易に選択できる。
【0054】
本実施形態では、演算部23は、原信号に対して既定のデジタルフィルタを適用した結果と、原信号に対して複数のデジタルフィルタを順次適用した結果とを比較し、評価情報を生成する。このため、複数のデジタルフィルタが、既定のデジタルフィルタよりも適切であるか否かを容易に判断できる。
【0055】
本実施形態では、評価情報は、原信号に含まれるノイズ成分の影響を示す情報である。このため、評価情報が示す内容を容易に読み取れる。
【0056】
本実施形態では、表示インターフェース7は、評価情報をフィルタ特性ごとに区別して表示する。このため、作業者がフィルタ特性に応じた適切なデジタルフィルタをより選択しやすくなる。
【0057】
本実施形態では、表示インターフェース7は、評価情報を文字、数字、グラフ、色のうち少なくとも1つ以上に基づいて表示してもよい。この場合、表示インターフェース7に表示される評価情報同士を比較しやすくなる。
【0058】
以上、本発明の一側面に係る計量装置の実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、評価情報は、原信号に対してデジタルフィルタを適用して得られる波形の振幅の標準偏差に基づいて生成されるが、これに限られない。例えば、評価情報は、原信号に対してデジタルフィルタを適用して得られる波形の振幅の微分値の標準偏差に基づいて生成されてもよいし、当該波形の振幅の二次微分値の標準偏差に基づいて生成されてもよい。
【0059】
上記実施形態では、ステップS3にて表示インターフェースには、第1表示部~第3表示部及び中止ボタンに加え、他の表示部、ボタンなどが表示されてもよい。また、ステップS4では、第2表示部の領域を狭める代わりに第4表示部が表示されるが、これに限られない。例えば、第2表示部などの一部を覆う第4表示部が表示されてもよいし、第1表示部を狭める代わりに第4表示部が表示されてもよい。すなわち、上記実施形態にて、表示インターフェースに表示される各表示部の表示領域、大きさ、位置などは、特に限定されない。
【0060】
上記実施形態では、計量部は、デジタル原信号を原信号とし、外部に出力するが、これに限られない。計量部は、取得したアナログ原信号を原信号とし、外部に出力してもよい。この場合、例えば制御部がアナログ原信号をデジタル変換してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…計量装置、2…搬送部、3…架台、4…計量部、6…操作部、7…表示インターフェース、8…制御部、11…起歪体、11a…可動剛体部、11b…固定剛体部、12…計量セル、21…受信部、22…フィルタ部、23…演算部、24…出力部、25…記憶部、P…物品。
図1
図2
図3
図4
図5