(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136053
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】フェルール、光コネクタ、光コネクタモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 6/26 20060101AFI20230922BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
G02B6/26
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041462
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
(72)【発明者】
【氏名】鯨井 悠人
(72)【発明者】
【氏名】今 亜耶乃
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
【Fターム(参考)】
2H036JA02
2H036LA02
2H036LA03
2H036LA08
2H036QA12
2H036QA18
2H036QA23
2H036QA56
2H137AB15
2H137BA03
2H137BA04
2H137BA15
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC08
2H137BC10
2H137CA12A
2H137CA13A
2H137CA15A
2H137CA25A
2H137CA75
2H137CC01
2H137CD45
2H137FA06
(57)【要約】
【課題】光伝送体の先端を精度良く位置決めできるとともに、組み立てやすいフェルールを提供すること。
【解決手段】フェルールは、保持部と、第1面と、第2面とを有する。保持部は、第1面および第1面と対向する第3面を含む第1保持用凹部と、第1壁と、複数の光伝送体を挿入する側に位置する第4面とに開口した、少なくとも1つの貫通孔と、複数の光伝送体の延在方向に沿って第1保持用凹部に配置され、貫通孔に挿入された複数の光伝送体がそれぞれ配置される、複数の第1溝とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光伝送体を保持するためのフェルールであって、
前記複数の光伝送体の一方の端部を保持するための保持部と、
前記保持部に保持された前記複数の光伝送体から出射された光を前記フェルールの内部に入射させるか、または前記フェルールの内部を進行した光を前記複数の光伝送体に向けて出射させるための第1面と、
前記フェルールの内部を進行した光を前記フェルールの外部に出射させるか、または外部からの光を前記フェルールの内部に入射させるための第2面と、
を有し、
前記保持部は、
前記第1面および前記第1面と対向する第3面を含む第1保持用凹部と、
前記第3面と、前記複数の光伝送体を挿入する側に位置する第4面とに開口した、少なくとも1つの貫通孔と、
前記複数の光伝送体の延在方向に沿って前記第1保持用凹部に配置され、前記貫通孔に挿入された前記複数の光伝送体がそれぞれ配置される、複数の第1溝と、
を含む、
フェルール。
【請求項2】
前記第2面は、前記複数の光伝送体から出射され、前記フェルールの内部を進行した光を前記フェルールの外部に出射させるか、または外部からの光を前記フェルールの内部に入射させるための複数の光学制御面を有する、請求項1に記載のフェルール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの貫通孔の開口部の最小長さは、前記複数の第1溝の深さよりも2倍以上大きい、請求項1または請求項2に記載のフェルール。
【請求項4】
前記第4面を含む第2保持用凹部と、
前記複数の第1溝に対応するように前記光伝送体の延在方向に沿って前記第2保持用凹部に配置された複数の第2溝と、
をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通孔の開口部の最小長さは、前記複数の光伝送体の直径よりも大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの貫通孔は、複数の貫通孔を含み、
前記複数の貫通孔は、前記複数の第1溝に対応する位置にそれぞれ配置されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項7】
前記複数の光伝送体の延在方向に沿って見たとき、前記複数の貫通孔と、前記複数の第1溝との間隔は、それぞれ20μm以下である、請求項6に記載のフェルール。
【請求項8】
前記複数の第1溝上に配置された前記複数の光伝送体を前記複数の第1溝に向けて押圧する押圧部材をさらに有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のフェルール。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のフェルールと、
前記フェルールに保持された複数の光伝送体と、
を有する、光コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の光コネクタを含む、光コネクタモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送体を保持するためのフェルール、光コネクタおよび光コネクタモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光通信には、光ファイバーや光導波路などの光伝送体が使用されている。光伝送体は、その先端がフェルールによって保持された状態で、他の光学部品や、他の光伝送体と光学的に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、複数の光学面を有し結合素子および光ファイバーの間の光路となる光カップリング部と、ファイバー保持部と、ファイバー支持部とを有するベース(フェルール)が開示されている。ファイバー保持部は、V溝およびファイバー保持カバーを有し、光ファイバーの一端部を保持する。ファイバー支持部は、凹部およびカバーを有し、光ファイバーが折れ曲がらないように支持する。
【0004】
特許文献1に記載のベースでは、ファイバー保持カバーによって、V溝に対して光ファイバーを上側から押さえた後、カバーによって、凹部に対して光ファイバーを上側から押さえることで、光ファイバーを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0079253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のベース(フェルール)などでは、V溝とファイバーとのクリアランスが少ないため、V溝に対してファイバーを正確に配置することが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、光伝送体の先端を精度良く位置決めできるとともに、組み立てやすいフェルールを提供することである。また、本発明の他の目的は、当該フェルールを有する光コネクタおよび光コネクタモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフェルールは、複数の光伝送体を保持するためのフェルールであって、前記複数の光伝送体の一方の端部を保持するための保持部と、前記保持部に保持された前記複数の光伝送体から出射された光を前記フェルールの内部に入射させるか、または前記フェルールの内部を進行した光を前記複数の光伝送体に向けて出射させるための第1面と、前記フェルールの内部を進行した光を前記フェルールの外部に出射させるか、または外部からの光を前記フェルールの内部に入射させるための第2面と、を有し、前記保持部は、前記第1面および前記第1面と対向する第3面を含む第1保持用凹部と、前記第3面と、前記複数の光伝送体を挿入する側に位置する第4面とに開口した、少なくとも1つの貫通孔と、前記複数の光伝送体の延在方向に沿って前記第1保持用凹部に配置され、前記貫通孔に挿入された前記複数の光伝送体がそれぞれ配置される、複数の第1溝と、を含む。
【0009】
本発明の光コネクタは、本発明のフェルールと、前記フェルールに保持された光伝送体と、を有する。
【0010】
本発明の光コネクタモジュールは、本発明の光コネクタを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光伝送体の先端を精度良く位置決めできるとともに、組み立てやすいフェルールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る光コネクタの斜視図である。
【
図2】
図2A、Bは、本発明の実施の形態1に係る光コネクタの構成を示す図である。
【
図3】
図3A~Cは、第1溝と、貫通孔との位置関係を示す図である。
【
図4】
図4A~Cは、第1溝と、貫通孔との位置関係を示す図である。
【
図5】
図5A~Cは、第1溝と、貫通孔との位置関係を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態2に係る光コネクタの斜視図である。
【
図7】
図7A、Bは、本発明の実施の形態2に係る光コネクタの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、参考例に係る光コネクタの斜視図である。
【
図9】
図9A、Bは、参考例に係る光コネクタの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るフェルール、光コネクタおよび光コネクタモジュールについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(光コネクタの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光コネクタ100の斜視図である。
図2Aは、光コネクタ100の平面図であり、
図2Bは、
図2Aに示されるA―A線の断面図である。なお、
図1では押圧部材135および光伝送体120を省略しており、
図2A、Bでは光伝送体120を実線で示している。
【0015】
なお、以下の説明では、光伝送体120が並列に配置される方向(第2面150の凸面151が配列されている方向)を「第1の方向」または「X方向」とし、第2面150を正面視したときのX方向に直交する方向(高さ方向)を「第2の方向」または「Z方向」とし、X方向およびZ方向に直交する方向を「第3の方向」または「Y方向」とする。
【0016】
図1および
図2A、Bに示されるように、実施の形態1に係る光コネクタ100は、フェルール110と、複数の光伝送体120とを有する。本実施の形態に係る光コネクタ100は、ハウジング、スプリングクランプ構造部などとともに、光コネクタモジュールとして使用できる。
【0017】
光伝送体120の種類は、特に限定されない。光伝送体120の種類の例には、光ファイバー、光導波路が含まれる。本実施の形態では、光伝送体120は、光ファイバーである。また、光ファイバーは、シングルモード方式でもよいし、マルチモード方式でもよい。光伝送体120の端面は、光伝送体120の延在方向に直交する平面に対して傾斜していることが好ましい。本実施の形態では、当該平面に対する傾斜角度は、例えば5°である。光伝送体120の数は、複数であれば限定されない。本実施の形態では、光伝送体120の数は、14本である。光伝送体120の端部は、フェルール110に保持される。
【0018】
フェルール110は、略直方体形状の部材であり、光伝送体120の先端部分を保持する。フェルール110は、保持部130と、第1面140と、第2面150とを有する。フェルール110は、光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。フェルール110の材料の例には、ウルテム(登録商標)などのポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、フェルール110は、例えば射出成形により製造されうる。フェルール110は、送信用として用いてもよいし、受信用として用いてもよいし、送受信用として用いてもよい。
【0019】
保持部130は、光伝送体120の端部を保持する。保持部130は、第1保持用凹部131と、少なくとも1つの貫通孔132と、複数の第1溝133とを有する。なお、本実施の形態では、保持部130は、上記の構成に加え、第2保持用凹部134と、押圧部材135とを有する。
【0020】
第1保持用凹部131は、第1面140および第1面140に対向した第3面136aを含み、フェルール110の上面に開口している。第1保持用凹部131の平面視形状は、複数の光伝送体120の端部を適切な位置に配置できれば特に限定されない。本実施の形態では、第1保持用凹部131の平面視形状は、矩形である。第1保持用凹部131の第3の方向(Y方向)における一方の内側面には第1面140が配置されている。第1保持用凹部131の第3の方向(Y方向)における他方の内側面には第3面136aが配置されている。第1保持用凹部131は、第1面140おおび第3面136aの間に配置されており、光伝送体120の延在方向を規定する。第3面136aは、貫通孔132が開口した壁136の一部である。本実施の形態では、第1保持用凹部131の底面には、第1溝133と、溝部137とが配置されている。
【0021】
少なくとも1つの貫通孔132には、光伝送体120が挿入される。貫通孔132は、光伝送体120を第1溝133に導くとともに、第1溝133に対する位置ずれを防止する。貫通孔132は、第1保持用凹部131の第1面140と第1面140に対向する第3面136aとに開口しており、光伝送体120の延在方向(第1溝133の延在方向)に沿って配置されている。すなわち、貫通孔132は、第3の方向(Y方向)に沿って配置されている。貫通孔132の数は、少なくとも1つであり、複数でもよい。貫通孔132が1の場合、貫通孔132は、長穴でもよく、複数の円柱形状の貫通孔が部分的に接続された形状でもよい。貫通孔132が複数の場合、貫通孔132は、設置される光伝送体120の数以上であればよい。本実施の形態では、貫通孔132の数は、光伝送体120の数と同じ数である。すなわち、本実施の形態では、貫通孔132の数は、14個である。
【0022】
貫通孔132は、その中心軸がフェルール110の裏面と平行に配置されてもよいし、第1面140に近づくにつれて、フェルール110の裏面に近づくように配置されていてもよい。本実施の形態では、貫通孔132は、フェルール110の裏面と平行に配置されている。
【0023】
貫通孔132の大きさは、光伝送体120が挿入できれば特に限定されない。少なくとも1つの貫通孔132の開口部の最小長さは、第1溝133の深さよりも2倍以上大きいことが好ましい。また、少なくとも1つの貫通孔132の開口部の最小長さは、光伝送体120の直径よりも大きいことが好ましい。より具体的には、少なくとも1つの貫通孔132の開口部の最小長さは、光伝送体120の直径よりも1.008倍以上大きいことが好ましい。第3面136aに開口した貫通孔132の開口部の形状および第4面136bに開口した貫通孔132の開口部の形状は、光伝送体120を挿入できれば特に限定されない。第3面136aに開口した貫通孔132の開口部の形状および第4面136bに開口した貫通孔132の開口部の形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、多角形形状でもよい。本実施の形態では、第3面136aに開口した貫通孔132の開口部の形状および第4面136bに開口した貫通孔132の開口部の形状は、いずれも円形状である。また、少なくとも1つの貫通孔132のXZ断面における最小長さは、第1溝133の深さよりも2倍以上大きいことが好ましい。貫通孔132のXZ断面における形状は、光伝送体120を挿入できれば特に限定されない。貫通孔132のXZ断面における形状は、円形状でもよいし、楕円形状でもよいし、多角形形状でもよい。本実施の形態では、貫通孔132のXZ断面における形状は、円形状である。貫通孔132は、第3面136aに開口した貫通孔132の開口部の形状および第4面136bに開口した貫通孔132の開口部までの大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。より具体的には、例えば、フェルール110の背面側(第2保持用凹部134側)の開口部からフェルール110の正面側(第1保持用凹部131側)の開口部に向かうにつれてその大きさが小さくなるように配置されていてもよい。また、複数(14個)の貫通孔132は、複数の第1溝133に対応する位置にそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0024】
複数の第1溝133は、光伝送体120の延在方向に沿って第1保持用凹部131の底面に配置されており、貫通孔132に挿入された光伝送体120が配置される。第1溝133は、第1保持用凹部131の底面全体に配置されていてもよいし、第1保持用凹部131の底面の一部に配置されていてもよい。本実施の形態では、第1溝133は、第1保持用凹部131の底面のうち第1面140側の一部の領域に配置されている。第1溝133の数は、設置される光伝送体120の数以上であればよい。本実施の形態では、第1溝133の数は、光伝送体120の数と同じ数である。すなわち、本実施の形態では、第1溝133の数は、14本である。第1溝133のXZ断面における断面形状は、特に限定されない。第1溝133は、V字溝でもよいし、U字溝でもよい。本実施の形態では、第1溝133は、V字溝である。ここで「V溝」とは、2つの平面により構成される溝であり、溝の延在方向に垂直な断面がV字状の溝をいう。2つの平面の接続部は2つの平面の間に他の平面を有していてもよいし、隣り合う第1溝133の接続部は曲面で接続されていてもよい。「U溝」とは、1つの曲面により構成される溝であり、溝の延在方向に垂直な断面が円弧状の溝をいう。第1溝133の深さは、第1溝133に光伝送体120を配置した状態において、光伝送体120の上端部が第1溝133(凸条)の上端部よりも上に位置するような深さが好ましい。これにより、押圧部材135によって、光伝送体120を第1溝133に向けて押し付けて、光伝送体120が外れてしまうことを防止できる。
【0025】
第1溝133は、フェルール110の裏面と平行に配置されてもよいし、第1面140に近づくにつれて、フェルール110の裏面に近づくように配置されていてもよい。本実施の形態では、第1溝133は、フェルール110の裏面と平行に配置されている。
【0026】
ここで、第1溝133と、貫通孔132との位置関係について説明する。
図3A~C、
図4A~Cおよび
図5A~Cは、第1溝133と、貫通孔132との位置関係を示す模式図である。
図3A~Cは、第1溝133がV溝であり、貫通孔132が複数の貫通孔の場合を示しており、
図4A~Cは、第1溝133がV溝であり、貫通孔132が一つの長穴の場合を示しており、
図5A~Cは、貫通孔132が複数の貫通孔であり、第1溝133がU字溝の場合を示している。
図3A~C、
図4A~Cおよび
図5A~Cでは、貫通孔132を実線で示しており、第1溝133を破線で示している。
【0027】
図3A、
図4Aおよび
図5Aは、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133とが間隔dを有さない場合を示しており、
図3B、C、
図4B、Cおよび
図5B、Cは、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133とが間隔dを有する場合を示している。
【0028】
図3A~Cおよび
図5A~Cに示されるように、第1の方向(X方向)において、貫通孔132の第1保持用凹部131側の開口部の位置と、第1溝133の位置とは、開口部の中心と、第1溝133の谷線とが一致することが好ましい。また、第1の方向(X方向)においては、貫通孔132内の光伝送体120と、第1溝133上の光伝送体120とが同一直線上に位置するように配置されていることが好ましい(図示省略)。
【0029】
図3Aに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、接していてもよい。すなわち、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔はなくてもよい。
【0030】
図3Bに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、離間していてもよい。
図3Bに示される例では、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133とは、重複していない。この場合、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。貫通孔132と、第1溝133との間隔とは、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との最短距離を意味する。
【0031】
図3Cに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、重複していてもよい。この場合、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
図3Cに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132が第1溝133に重なる場合、挿入された光伝送体が溝にぶつかり、フェルールが削れてしまう場合がある。このため、貫通孔132と第1溝133とが接していない場合、
図3Bのように貫通孔132が第1溝133に重ならない方が好ましい。
【0032】
このように、貫通孔132と、第1溝133との間隔が20μm以下であることにより。各貫通孔132から挿入された光伝送体120を対応する第1溝133にそれぞれ導くことができる。貫通孔132と、第1溝133との間隔は0mm、すなわち光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と第1溝133は接していることが最も好ましい。
【0033】
図4A~Cに示されるように、貫通孔132が1つの長穴の場合には、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、接していてもよいし、接触していなくてもよい。この場合でも、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
【0034】
図5Aに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、接していてもよい。ここで、第1溝133と、貫通孔132とが接しているとは、第1溝133の底部と、貫通孔132の底部が接している状態を意味する。このとき、第1溝133の開口部は、貫通孔132と重複している。
【0035】
図5Bに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部(開口部)とが接触している。
【0036】
図5Cに示されるように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132の一部と、第1溝133の一部とは、重複していてもよい。
図5Cに示される例では、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133の開口部および底部とは、重複している。この場合、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が特に好ましい。
【0037】
このように、光伝送体120の延在方向に沿って見たとき、貫通孔132と、第1溝133との間隔が20μm以下であることにより、貫通孔132に挿入した光伝送体120が第1溝133に接触することがない。
【0038】
なお、本実施の形態では、第1溝133と、貫通孔132の間には、第1溝133の深さより深い溝部137が配置されている。溝部137は、第1の方向(X方向)に延在している。この場合、
図3A、
図4Aおよび
図5Cに示されるように、貫通孔132の底部は、第1溝133の底部よりも上側に位置することが好ましい。
【0039】
第2保持用凹部134は、第4面136bを有し、第1保持用凹部131との間に壁136が位置するように配置されている。第2保持用凹部134は、フェルール110の上面および背面に開口している。第2保持用凹部134の平面視形状は、複数の光伝送体120を配置できれば特に限定されない。本実施の形態では、第2保持用凹部134の平面視形状は、矩形である。第2保持用凹部134は、第4面136aよりもフェルール110の背面側の光伝送体120の延在方向における端部を規定する。第2保持用凹部134の第3の方向(Y方向)における一方(フェルール110の正面側)の第4面136bには貫通孔132が開口しており、他方(フェルール110の背面側)は開口している。
【0040】
押圧部材135は、光伝送体120を第1溝133に向けて押し当てる。言い換えると、押圧部材135は、光伝送体120を、第1面140と、第2面150と、第1保持用凹部131と、貫通孔132とを含むコネクタ本体に向けて押し当てる。押圧部材135は、光伝送体120の端部が配置された第1保持用凹部131に収容され、接着剤などにより固定される。
【0041】
第1面140は、保持部130に保持された複数の光伝送体120の端面と対向するように配置されている。第1面140は、複数の光伝送体120から出射された光を入射させる。なお、第1面140は、第2面150で入射した光を複数の光伝送体120の端面に向けて出射させてもよい。第1面140の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。第1面140は、複数の凸面を含んでいてもよいし、平面でもよい。本実施の形態では、第1面140は、平面である。第1面140は、第1保持用凹部131の第3の方向(Y方向)における内側面の一部に配置されている。
【0042】
第1面140の光伝送体120の端面と接触する面は、フェルール110の裏面に近づくにつれて第2面150に近づくように傾斜していてもよいし、フェルール110の裏面に対して垂直でもよい。本実施の形態では、第1面140の光伝送体120の端面と接触する面は、フェルール110の裏面に近づくにつれて第2面150に近づくように傾斜している。第1面140の傾斜角度は、光伝送体120の端面の傾斜角度と同じことが好ましい。第1面140の傾斜角度は、第2の方向(Z方向)を0°とした場合に例えば3~8°の範囲内であり、5~8°が好ましい。本実施の形態では、第1面140の傾斜角度は、第2の方向(Z方向)を0°とした場合に5°である。
【0043】
第2面150は、第1面140で入射した光を外部に出射させる。なお、第2面150は、外部からの光を入射させてもよい。第2面150の形状は、上記の機能を発揮できれば特に限定されない。第2面150は、複数の凸面を含んでいてもよいし、平面でもよい。本実施の形態では、第2面150は、複数の凸面(光学制御面)151を含んでいる。凸面151は、第1の方向(X方向)に並列に配置され、第1面140で入射した光を他のフェルール110に向けて出射させるか、または外部からの光を入射させる。第2面150は、フェルール110の正面に配置されている。凸面151の平面視形状は、特に限定されない。凸面151の平面視形状は、円形でもよいし、矩形でもよい。本実施の形態では、凸面151の平面視形状は、円形である。また、凸面151の数は、光伝送体120の数と同じ数である。すなわち、本実施の形態では、凸面151の数は、14個である。
【0044】
ここで、光伝送体120をフェルール110に取り付ける方法について説明する。まず、複数の光伝送体120をフェルール110の第4面136bの開口部から貫通孔132に挿入する。次いで、貫通孔132に挿入した光伝送体120を、複数の第1溝133上にそれぞれ配置し、複数の光伝送体120の端面を第1面140に突き当てる。この状態で、第1面140に接触している光伝送体120の先端部分に接着剤を流し込む。次いで、光伝送体120を第1溝133に押し当てるように、押圧部材135を第1第1保持用凹部131に収容する。最後に、接着剤を硬化させることで、光伝送体120をフェルール110に固定する。このように、貫通孔132は、光伝送体120を配置する時のガイドとして機能するため、各光伝送体120を各第1溝133に適切に配置できる。
【0045】
(効果)
以上のように、本実施の形態によれば、フェルール110が貫通孔132および第1溝133を有するため、複数の光伝送体120を容易にフェルール110に適切に配置できる。よって、光伝送体120の先端を精度良く位置決めできるとともに、容易に組み立てることができる。
【0046】
[実施の形態2]
次に、実施の形態2に係る光コネクタ200について説明する。本実施の形態に係る光コネクタ200は、フェルール210のみが実施の形態1に係る光コネクタ100と異なる。実施の形態1に係る光コネクタ100と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
(光コネクタの構成)
図6は、本発明の実施の形態2に係る光コネクタ200の斜視図である。
図7Aは、光コネクタ200の平面図であり、
図7Bは、
図7Aに示されるA―A線の断面図である。なお、
図6では押圧部材135および光伝送体120を省略しており、
図7A、Bでは光伝送体120を実線で示している。
【0048】
図6および
図7A、Bに示されるように、実施の形態2に係る光コネクタ200は、フェルール210と、光伝送体120とを有する。
【0049】
フェルール210は、保持部230と、第1面140と、第2面150と、第2保持用凹部134と、押圧部材135と、複数の第2溝238とを有する。
を有する。
【0050】
複数の第2溝238は、少なくとも1つの貫通孔132に対応するように光伝送体120の延在方向に沿って第2保持用凹部134に配置されている。第2溝238は、光伝送体120を第1溝133に導く。第2溝238は、第2保持用凹部134の底面全体に配置されていてもよいし、第2保持用凹部134の底面の一部に配置されていてもよい。本実施の形態では、第2溝238は、第2保持用凹部134の底面のうち第4面136b側の一部の領域に配置されている。また、本実施の形態では、第2溝238は、壁136(第4面136b)に接するように配置されている。第2溝238の数は、複数であり、設置される光伝送体120の数以上であればよい。本実施の形態では、第2溝238の数は、第1溝133の数および貫通孔132の数と同じである。すなわち、第2溝238の数は、14本である。
【0051】
第2溝238の幅は、貫通孔132の開口部の最小長さよりも大きいことが好ましい。
第2溝238のXZ断面における断面形状は、特に限定されない。第2溝238は、V字溝でもよいし、U字溝でもよい。本実施の形態では、第2溝238は、U字溝であり、断面形状は、半円形状である。第2溝238の深さは、光伝送体120を貫通孔132に導くことができれば、特に限定されない。本実施の形態では、第2溝238の深さは、貫通孔132の半径と同じである。これにより、第2溝238の底部と貫通孔132との境界に段差ができないため、光伝送体120を適切に貫通孔132に導くことができる。
【0052】
第1の方向(X方向)において、貫通孔132の第2保持用凹部134側の開口部の位置と、第2溝238の位置とは、開口部の中心と、第2溝238の底部とが一致することが好ましい。第1の方向(X方向)においては、貫通孔132内の光伝送体120と、第2溝238上の光伝送体120とが同一直線上に位置するように配置されていることが好ましい。
【0053】
本実施の形態において、光伝送体120をフェルール210に取り付けるには、まず、第2溝238をガイドとして、各光伝送体120を各貫通孔132に導く。次いで、複数の光伝送体120をフェルール210の第4面136bの開口部から貫通孔132に挿入する。次いで、貫通孔132に挿入した光伝送体120を、複数の第1溝133上にそれぞれ配置し、複数の光伝送体120の端面を第1面140に突き当てる。この状態で、第1面140に接触している光伝送体120の先端部分に接着剤を流し込む。次いで、光伝送体120を第1溝133に押し当てるように、押圧部材135を第1第1保持用凹部131に収容する。最後に、接着剤を硬化させることで、光伝送体120をフェルール110に固定する。このように、貫通孔132は、光伝送体120を配置する時のガイドとして機能するため、各光伝送体120を各第1溝133に適切に配置できる。
【0054】
(効果)
以上のように、本実施の形態によれば、第2溝238をさらに有するため、実施の形態1に係る光コネクタ100と比較して、さらに容易に組み立てることができる。
【0055】
[参考例]
次いで、参考例に係る光コネクタ500について説明する。参考例に係る光コネクタ500は、壁136を有していないこと以外は、実施の形態2に係る光コネクタ200と同じである。そこで、実施の形態2に係る光コネクタ200と同様の構成については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
(光コネクタの構成)
図8は、参考例に係る光コネクタ500の斜視図である。
図9Aは、光コネクタ100の平面図であり、
図9Bは、
図9Aに示されるA―A線の断面図である。なお、
図9では押圧部材135および光伝送体120を省略しており、
図9A、Bでは光伝送体120を実線で示している。
【0057】
図8および
図9A、Bに示されるように、参考例に係る光コネクタ500は、フェルール510と、光伝送体120とを有する。
【0058】
フェルール510は、保持部530と、第1面140と、第2面150と、第2保持用凹部134と、押圧部材135と、複数の第2溝238を有する。
【0059】
(効果)
参考例によれば、第2溝238を有するため、各光伝送体120を各第1溝133に配置しやすい。また、貫通孔132を有していないため、実施の形態1、2と比較して組み立て精度が低くなる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るフェルール、光コネクタおよび光コネクタモジュールは、光伝送体を用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0061】
100、200、500 光コネクタ
110、210、510 フェルール
120 光伝送体
130、230、530 保持部
131 第1保持用凹部
132 貫通孔
133 第1溝
134 第2保持用凹部
135 押圧部材
136 壁
136a 第3面
136b 第4面
137 溝部
238 第2溝
140 第1面
150 第2面