(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136092
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041522
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡屋 慶子
(72)【発明者】
【氏名】添川 泰大
(72)【発明者】
【氏名】井関 康
(72)【発明者】
【氏名】森 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC01
4C082AC02
4C082AC03
4C082AC04
4C082AC05
4C082AE03
4C082AJ08
4C082AJ11
4C082AJ14
4C082AJ16
4C082AL03
4C082AL06
(57)【要約】
【課題】治療段階において撮影したCT画像を患者の位置決めに有効に活用することできる医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の医用画像処理装置は、第1画像取得部と、第2画像取得部と、3D-3D位置決め実行部と、表示制御部とを持つ。第1画像取得部は、患者の三次元透視画像である第1三次元透視画像を取得する。第2画像取得部は、患者の三次元透視画像である第2三次元透視画像を取得する。3D-3D位置決め実行部は、第1三次元透視画像と第2三次元透視画像との間の第1ずれ量を算出する。表示制御部は、第1ずれ量に基づいて補正された第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、患者の二次元透視画像とを表示装置に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1段階で撮影された患者の三次元透視画像である第1三次元透視画像を取得する第1画像取得部と、
前記第1段階よりも後の第2段階で撮影された前記患者の三次元透視画像である第2三次元透視画像を取得する第2画像取得部と、
前記第1三次元透視画像と前記第2三次元透視画像との間の第1ずれ量を算出するための3D-3D位置決めを実行する3D-3D位置決め実行部と、
前記第1ずれ量に基づいて補正された前記第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、前記患者の二次元透視画像とを表示装置に表示させる表示制御部と、を備える、
医用画像処理装置。
【請求項2】
前記第1ずれ量に基づいて補正された前記第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、前記患者の二次元透視画像との間の第2ずれ量を算出するための3D-2D位置決めを実行する3D-2D位置決め実行部を更に備え、
前記表示制御部は、前記第2ずれ量に関する情報を前記表示装置にさらに表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記3D-2D位置決めが実行される際に、前記第1ずれ量に関する情報を前記表示装置に表示させる、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第2ずれ量に関する情報を前記表示装置に表示させる際に、前記第2ずれ量が前記第2三次元透視画像に基づいて算出されている旨の情報を合わせて前記表示装置に表示させる、
請求項2又は3に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記3D-2D位置決め実行部は、前記第1三次元透視画像から生成された第2DRR画像と、前記患者の二次元透視画像との間の第3ずれ量を算出するための3D-2D位置決めをさらに実行する、
請求項2から4のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記医用画像処理装置は、前記第1DRR画像と前記二次元透視画像との間の前記第2ずれ量を算出するための3D-2D位置決めを実行するか、又は前記第2DRR画像と前記二次元透視画像との間の前記第3ずれ量を算出するための3D-2D位置決めを実行するに関する指定を受け付ける受付部を更に備える、
請求項5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記第2ずれ量に関する情報と前記第3ずれ量に関する情報とを前記表示装置に合わせて表示させ、前記第2ずれ量と前記第3ずれ量との間の乖離が閾値以上である場合には、前記乖離が大きい旨の情報を前記表示装置に表示させる、
請求項5又は6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の医用画像処理装置と、
前記患者に放射線を照射する照射部と、前記第1三次元透視画像および前記第2三次元透視画像を撮影する第1撮像装置と、前記二次元透視画像を撮影する第2撮像装置と、前記患者を乗せて固定する寝台と、前記寝台を移動するように制御する寝台制御部と、を具備した治療装置と、
を備える治療システム。
【請求項9】
コンピュータが、
第1段階で撮影された患者の三次元透視画像である第1三次元透視画像を取得し、
前記第1段階よりも後の第2段階で撮影された前記患者の三次元透視画像である第2三次元透視画像を取得し、
前記第1三次元透視画像と前記第2三次元透視画像との間の第1ずれ量を算出するための3D-3D位置決めを実行し、
前記第1ずれ量に基づいて補正された前記第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、前記患者の二次元透視画像とを表示装置に表示させる、
医用画像処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
第1段階で撮影された患者の三次元透視画像である第1三次元透視画像を取得させ、
前記第1段階よりも後の第2段階で撮影された前記患者の三次元透視画像である第2三次元透視画像を取得させ、
前記第1三次元透視画像と前記第2三次元透視画像との間の第1ずれ量を算出するための3D-3D位置決めを実行させ、
前記第1ずれ量に基づいて補正された前記第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、前記患者の二次元透視画像とを表示装置に表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、放射線を患者の体内にある病巣に対して照射することによって、その病巣を破壊する治療方法である。このとき、放射線は、病巣の位置に正確に照射される必要がある。これは、患者の体内の正常な組織に放射線を照射してしまうと、その正常な組織にまで影響を与える場合があるからである。このため、放射線治療を行う際には、まず、治療計画の段階において、予めコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)が行われ、患者の体内にある病巣の位置が3次元的に把握される。そして、把握した病巣の位置に基づいて、正常な組織への照射を少なくするように、放射線を照射する方向や照射する放射線の強度が計画される。その後、治療の段階において、患者の位置を治療計画の段階の患者の位置に合わせて、治療計画の段階で計画した照射方向や照射強度に従って放射線が病巣に照射される。
【0003】
治療段階における患者の位置合わせでは、3次元のCTデータを治療室内に仮想的に配置し、この3次元のCTデータの位置に、実際に治療室内の移動式寝台に寝かせた患者の位置が一致するように寝台の位置を調整する。より具体的には、寝台に寝かせた状態で撮影した患者の3次元のCT画像と、治療計画のときに撮影した3次元のCT画像との2つの画像を照合(3D-3D位置決め)することによって、それぞれの画像の間での患者の位置のずれを求める。そして、画像照合によって求めた患者の位置のずれに基づいて寝台を移動させ、患者の体内の病巣や骨などの位置を、治療計画のときと合わせる。その後、寝台に寝かせた状態で撮影した患者の体内のX線透視画像と、治療計画のときに撮影した3次元のCT画像から仮想的にX線透視画像を再構成したデジタル再構成X線写真(Digitally Reconstructed Radiograph:DRR)画像との2つの画像を比較、または必要であれば照合(3D-2D位置決め)することによって位置決めを承認し、病巣に対して放射線を照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、一般的に、治療計画のときに撮影した3次元のCT画像から再構成されたDRR画像と、X線透視画像との照合が実行されるため、治療段階において撮影したCT画像が患者の位置決めに有効に活用されていない場合があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、治療段階において撮影したCT画像を患者の位置決めに有効に活用することできる医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の医用画像処理装置は、第1画像取得部と、第2画像取得部と、3D-3D位置決め実行部と、表示制御部とを持つ。第1画像取得部は、第1段階で撮影された前記患者の三次元透視画像である第1三次元透視画像を取得する。第2画像取得部は、前記第1段階よりも後の第2段階で撮影された前記患者の三次元透視画像である第2三次元透視画像を取得する。3D-3D位置決め実行部は、前記第1三次元透視画像と前記第2三次元透視画像との間の第1ずれ量を算出するための3D-3D位置決めを実行する。表示制御部は、第1ずれ量に基づいて補正された第2三次元透視画像から生成された第1DRR画像と、患者の二次元透視画像とを表示装置に表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、治療段階において撮影したCT画像を患者の位置決めに有効に活用することできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の医用画像処理装置100を備えた治療システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の医用画像処理装置100を備えた治療システムの概略構成を
図1とは異なる角度から示すブロック図。
【
図3】実施形態の医用画像処理装置100の概略構成を中心に示すブロック図。
【
図4】3D-3D位置決め実行部130によって実行される3D-3D位置決め処理の概要を説明するための図。
【
図5】表示装置200によって表示される3D-2D位置決め処理の実行結果の一例を示す図。
【
図6】表示装置200によって表示される3D-2D位置決め処理の実行結果の別の例を示す図。
【
図7】実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャート。
【
図8】実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の流れの別の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、実施形態の医用画像処理装置100を備えた治療システムの概略構成を示すブロック図である。治療システム1は、例えば、治療装置10と、医用画像処理装置100と、表示装置200とを備える。治療装置10は、例えば、寝台12と、寝台制御部14と、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置16(以下、「CT撮影装置16」という)と、治療ビーム照射門18と、を備える。
【0012】
寝台12は、放射線による治療を受ける被検体(患者)Pを、例えば、固定具などによって寝かせた状態で固定する可動式の治療台である。寝台12は、寝台制御部14からの制御に従って、開口部を有する円環状のCT撮影装置16の中に、患者Pを固定した状態で移動する。寝台制御部14は、医用画像処理装置100により出力された移動量信号に従って、照射する位置に患者の位置を合わせるため、寝台12に設けられた並進機構および回転機構を制御する。並進機構は三軸方向に寝台12を駆動することができ、回転機構は三軸回りに寝台12を回転駆動することができる。つまり、寝台制御部14は、例えば、寝台12の並進機構および回転機構を制御して寝台12を六自由度で移動させる。寝台制御部14が寝台12を制御する自由度は、六自由度でなくてもよく、六自由度よりも少ない自由度(例えば、四自由度など)や、六自由度よりも多い自由度(例えば、八自由度など)であってもよい。寝台12は、CT撮影装置16による撮影が実行される位置と、治療ビーム照射門18による治療ビームBの照射が行われる位置とが異なる場合、双方の位置に移動可能なように設置される。
【0013】
CT撮影装置16は、三次元のコンピュータ断層撮影を行うための撮像装置である。CT撮影装置16は、円環状(ガントリー)の開口部の内側に複数の放射線源が配置され、それぞれの放射線源から、患者Pの体内を透視するための放射線を照射する。つまり、CT撮影装置16は、患者Pの周囲の複数の位置から放射線を照射する。CT撮影装置16においてそれぞれの放射線源から照射する放射線は、例えば、X線である。CT撮影装置16は、円環状の開口部の内側に複数配置された放射線検出器によって、対応する放射線源から照射され、患者Pの体内を通過して到達した放射線を検出する。CT撮影装置16は、それぞれの放射線検出器が検出した放射線のエネルギーの大きさに基づいて、患者Pの体内を撮影したCT画像を生成する。CT撮影装置16によって生成される患者PのCT画像は、体内の各場所における放射線の減衰度合いの大きさをデジタル値で表した三次元のデジタル画像である。CT撮影装置16は、生成したCT画像を医用画像処理装置100に出力する。CT撮影装置16における患者Pの体内の撮影、つまり、それぞれの放射線源からの放射線の照射や、それぞれの放射線検出器が検出した放射線に基づいたCT画像の生成は、例えば、撮影制御部(不図示)によって制御される。CT撮影装置16は、「第1撮像装置」の一例である。
【0014】
治療ビーム照射門18は、患者Pの体内に存在する治療対象の部位である腫瘍(病巣)を破壊するための放射線を治療ビームBとして照射する。治療ビームBは、例えば、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、重粒子線などである。治療ビームBは、治療ビーム照射門18から直線的に患者P(より具体的には、患者Pの体内の腫瘍)に照射される。
治療ビーム照射門18における治療ビームBの照射は、例えば、治療ビーム照射制御部(不図示)によって制御される。治療システム1では、治療ビーム照射門18が、「照射部」の一例である。
【0015】
放射線治療においては、治療室を模擬した状況において治療計画が立てられる。つまり、放射線治療では、治療室において患者Pが寝台12に乗せられた状態を模擬して、治療ビームBを患者Pに照射する際の照射方向や強度などが計画される。具体的には、CT画像に対して医師が照射対象箇所を特定したり、そのような処理が自動的に行われたりする。このため、治療計画の段階のCT画像には、治療室内における寝台12の角度や患者の体位(仰向けやうつ伏せなど)を表すパラメータなどの情報が付与されている。これは、放射線治療を行う直前に撮影されたCT画像や、以前の放射線治療の際に撮影されたCT画像においても同様である。つまり、CT撮影装置16によって患者Pの体内を撮影したCT画像には、撮影したときの寝台12の角度や患者の体位を表すパラメータが付与されている。
【0016】
図1では、CT撮影装置16と、固定された1つの治療ビーム照射門18とを備える治療装置10の構成を示したが、治療装置10の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、治療装置10は、CT撮影装置16に代えて、1組の放射線源と放射線検出器とが円環状の開口部の内側を回転する構成のCT撮影装置や、コーンビーム(Cone-Beam:CB)CT装置、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置、超音波診断装置など、患者Pの体内を三次元で撮影した画像を生成する撮影装置を備える構成であってもよい。例えば、治療装置10は、患者Pに水平方向から治療ビームを照射する治療ビーム照射門をさらに備えるなど、複数の治療ビーム照射門を備える構成であってもよい。例えば、治療装置10は、
図1に示した1つの治療ビーム照射門18が、
図1に示した水平方向Xの回転軸に対して360度回転するなど、患者Pの周辺を回転することによって様々な方向から治療ビームを患者Pに照射する構成であってもよい。例えば、治療装置10は、CT撮影装置16に代えて、放射線源と放射線検出器との組で構成される撮像装置を一つあるいは複数備え、この撮像装置が、
図1に示した水平方向Xの回転軸に対して360度回転することによって、患者Pの体内を様々な方向から撮影する構成であってもよい。このような構成は、回転ガントリー型治療装置と呼ばれる。この場合、例えば、
図1に示した1つの治療ビーム照射門18が、撮像装置と同じ回転軸で同時に回転する構成であってもよい。さらに、
図1では、CT撮影装置16と、治療ビーム照射門18とが近接した位置に設置されているが、CT撮影装置16と、治療ビーム照射門18とは離れた位置に設置され、患者Pを乗せた寝台12によって、互いの位置を移動可能であってもよい。
【0017】
医用画像処理装置100は、治療計画のときと同じ体位に患者Pの位置を合わせるために寝台12を移動させる移動量信号を、寝台制御部14に出力する。つまり、医用画像処理装置100は、放射線治療において治療を行う腫瘍や組織に治療ビームBが適切に照射できる位置・姿勢に患者Pを移動させるための移動量信号を、寝台制御部14に出力する。
【0018】
表示装置200は、医用画像処理装置100において患者Pの位置合わせをしている途中を含めて、治療システム1を利用する放射線治療の実施者(医師など)に治療システム1における種々の情報を提示するための画像を表示する。表示装置200は、例えば、医用画像処理装置100により出力されたCT画像やX線透視画像などの種々の画像、またはこれらの画像に種々の情報を重畳した画像を表示する。ここで、種々の情報とは、例えば、患者情報(年齢、性別、身長、体重など)、画像の撮影条件(撮影部位、造影剤の有無、管電圧、管電流など)、撮影日時、または患者の体位(頭先仰臥位、足先伏臥位等)などを含む。表示装置200は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)などの表示装置である。放射線治療の実施者は、表示装置200に表示された画像を目視で確認することにより、治療システム1を利用して放射線治療をする際の情報を得ることができる。治療システム1は、例えば、放射線治療の実施者によって操作される操作部(不図示)などのユーザーインターフェースを備え、治療システム1によって実行する種々の機能を手動で操作することができる構成にしてもよい。
【0019】
図2は、実施形態の医用画像処理装置100を備えた治療システムの概略構成を
図1とは異なる角度から示すブロック図である。治療システム1は、
図1に示した構成に加えて、例えば、2つの放射線源20(放射線源20-1および放射線源20-2)と、2つの放射線検出器30(放射線検出器30-1および放射線検出器30-2)とを備える。
【0020】
放射線源20-1は、患者Pの体内を透視するための放射線r-1を予め定められた角度から照射する。放射線源20-2は、患者Pの体内を透視するための放射線r-2を、放射線源20-1と異なる予め定められた角度から照射する。放射線r-1および放射線r-2は、例えば、X線である。
図1は、寝台12上に固定された患者Pに対して、2方向からX線撮影を行う場合を示している。なお、
図1においては、放射線源20による放射線rの照射を制御する制御部の図示を省略している。
【0021】
放射線検出器30-1は、放射線源20-1から照射されて患者Pの体内を通過して到達した放射線r-1を検出し、検出した放射線r-1のエネルギーの大きさに応じた患者Pの体内のX線透視画像を生成する。放射線検出器30-2は、放射線源20-2から照射されて患者Pの体内を通過して到達した放射線r-2を検出し、検出した放射線r-2のエネルギーの大きさに応じた患者Pの体内のX線透視画像を生成する。放射線検出器30は、2次元のアレイ状にX線検出器が配置され、それぞれのX線検出器に到達した放射線rのエネルギーの大きさをデジタル値で表したデジタル画像を、X線透視画像として生成する。放射線検出器30は、例えば、フラット・パネル・ディテクタ(Flat Panel Detector:FPD)や、イメージインテンシファイアや、カラーイメージインテンシファイアである。以下の説明においては、それぞれの放射線検出器30が、FPDであるもとする。放射線検出器30(FPD)は、生成したそれぞれのX線透視画像を医用画像処理装置100に出力する。なお、
図1においては、放射線検出器30によるX線透視画像の生成を制御する制御部の図示を省略している。放射線源20と放射線検出器30の組み合わせは、「第2撮像装置」の一例である。
【0022】
なお、
図2では、治療システム1が2組の放射線源20と放射線検出器30とを備える構成を示した。しかし、治療システム1が備える放射線源20と放射線検出器30の組み合わせ数は、2つに限定されない。例えば、治療システム1は、3組以上の放射線源20と放射線検出器30との組を備えてもよい。また、治療システム1は、1つの撮影装置(1組の放射線源20と放射線検出器30との組)のみを備えてもよい。以下、放射線源20と放射線検出器30との組み合わせを「X線撮影装置」と称する場合がある。
【0023】
図1および
図2に示した各種構成要素は、互いに有線によって接続されていてもよいし、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの無線によって接続されていてもよい。
【0024】
[医用画像処理装置]
以下、実施形態の医用画像処理装置100について説明する。
図3は、実施形態の医用画像処理装置100の概略構成を中心に示すブロック図である。医用画像処理装置100は、例えば、第1画像取得部110と、第2画像取得部120と、3D-3D位置決め実行部130と、3D-2D位置決め実行部140と、表示制御部150と、を備える。
【0025】
医用画像処理装置100が備える構成要素のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め医用画像処理装置100が備えるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が医用画像処理装置100が備えるドライブ装置に装着されることで医用画像処理装置100が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。プログラムは、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、医用画像処理装置100が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0026】
第1画像取得部110は、治療前の患者Pに関する第1画像と、その第1画像に付随するパラメータ(及び/又は治療計画データ)とを取得する。第1画像は、放射線治療を行う際の治療計画段階において、例えば、CT撮影装置16によって撮影される、患者Pの体内の立体形状を表す三次元のCT画像である。第1画像は、放射線治療において患者Pに照射する治療ビームBの方向(傾きや距離などを含む経路)や強さを決定するために用いられる。第1画像は、「第1三次元透視画像」の一例である。
【0027】
第2画像取得部120は、放射線治療を開始する直前の患者Pに関する第2画像と、その第2画像に付随するパラメータとを取得する。第2画像は、放射線治療において治療ビームBを照射する際の患者Pの体位を合わせる(すなわち、位置決めを行う)ために、例えば、CT撮影装置16によって撮影された患者Pの体内の立体形状を表す三次元のCT画像である。つまり、第2画像は、治療ビーム照射門18から治療ビームBを照射する直前においてCT撮影装置16によって撮影された画像である。この場合、第1画像と第2画像とは、撮影された時刻が異なるが、それぞれの画像の撮影方法は同様である。第2画像は、「第2三次元透視画像」の一例である。
【0028】
3D-3D位置決め実行部130は、第1画像取得部110によって取得された第1画像と、第2画像取得部120によって取得された第2画像とに基づいて、放射線治療を行う際に患者Pの位置を合わせるための3D-3D位置決め処理を行う。より具体的には、例えば、医用画像処理装置100は、第1画像取得部110によって取得された第1画像と第2画像取得部120によって取得された第2画像との間の三次元ずれ量(以下、「第1ずれ量」と称する場合がある)を算出し、算出した第1ずれ量分、第2画像を補正することによって、第1画像と第2画像との間の位置を合わせる。このとき、医用画像処理装置100は、寝台制御部14に、第1ずれ量分、患者を乗せて固定した寝台12を移動させるための移動量信号を出力し、寝台制御部14は、第1ずれ量分、寝台12を移動させてもよい。また、CT撮影装置16と治療ビーム照射門18とが離れた位置に設置されている場合、医用画像処理装置100は、寝台制御部14に、CT撮影位置と照射位置との間の距離に第1ずれ量を加算した分、寝台12を移動させるための移動量信号を出力し、寝台制御部14は、当該距離に第1ずれ量を加算した分、寝台12を移動させてもよい。
【0029】
図4は、3D-3D位置決め実行部130によって実行される3D-3D位置決め処理の概要を説明するための図である。
図4の左部は、治療計画段階(「第1段階」の一例である)で撮影されたCT画像(すなわち、第1画像)を表し、
図4の右部は、治療段階(「第2段階」の一例である)で撮影されたCT画像(すなわち、第2画像)を表す。
図4において、符号A1は、第1画像において撮影された頭蓋骨を示し、符号A2は、第1画像において撮影された側脳室前角を示し、符号A3は、第2画像において撮影された頭蓋骨を示し、符号A4は、第1画像において撮影された側脳室前角を示す。
【0030】
従来技術では、一般的に、放射線治療において、患者の位置決めを行う際には、治療計画段階で撮影されたCT画像から生成したDRR画像と、治療段階で撮影されたX線透視画像とを照合(3D-2D位置決め)し、特定されたずれ量分、寝台12を移動させることによって位置決めを行っている。一方、
図4に示す通り、X線透視画像と異なり、CT画像は、頭蓋骨などの骨部に関する位置情報に加えて、側脳室前角などの空間や内臓に関する位置情報を含む。そのため、3D-3D位置決め実行部130による3D-3D位置決め処理を実行することにより、より正確に位置決めを行うことができる。
【0031】
3D-2D位置決め実行部140は、第2画像から生成されたDRR画像と、治療段階で撮影された患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理を実行する。より具体的には、3D-2D位置決め実行部140は、第1ずれ量分、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、患者を乗せて固定する寝台12を第1ずれ量分、移動させた後に撮影した患者のX線透視画像との間の三次元ずれ量(以下、「第2ずれ量」と称する場合がある)を算出する。放射線治療の実施者は、例えば、算出された第2ずれ量が閾値未満である場合には、位置決めを承認する。一方、算出された第2ずれ量が閾値以上である場合には、寝台制御部14は、算出された第2ずれ量分、寝台12を移動させ、再度、患者のX線透視画像を撮影し、3D-2D位置決め実行部140は、撮影されたX線透視画像を用いて再度、3D-2D位置決め処理を実行する。以上の処理を繰り返して、最終的に、放射線治療の実施者によって位置決めが承認される。
【0032】
3D-2D位置決め実行部140は、第2画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理とに加えて、第1画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理を実行するようにも構成される。より具体的には、3D-2D位置決め実行部140は、第1画像から生成されたDRR画像と、撮影した患者のX線透視画像との間の三次元ずれ量(以下、「第3ずれ量」と称する場合がある)を算出する。このとき撮影される患者のX線透視画像は、上述した通り、第1ずれ量分、寝台12を移動させた後に撮影されたものであっても良いし、CT撮影装置16と治療ビーム照射門18とが離れた位置に設置されている場合、CT撮影位置と照射位置との間の距離に第1ずれ量を加算した分、寝台12を移動させた後に撮影されたものであっても良い。放射線治療の実施者は、例えば、算出された第3ずれ量が閾値未満である場合には、位置決めを承認する。一方、算出された第3ずれ量が閾値以上である場合には、寝台制御部14は、算出された第3ずれ量分、寝台12を移動させ、再度、患者のX線透視画像を撮影し、3D-2D位置決め実行部140は、撮影されたX線透視画像を用いて再度、3D-2D位置決め処理を実行する。以上の処理を繰り返して、最終的に、放射線治療の実施者によって位置決めが承認される。
【0033】
上述した3D-3D位置決め実行部130と3D-2D位置決め実行部140によって実行される一連の処理は、放射線治療前の位置決めに限らず、例えば、放射線治療後に撮影したCT画像を用いて、治療後に位置決めの検証を行うためにも適用することができる。具体的には、まず、治療ビームBが照射された直後に、CT撮影装置16によって患者のCT画像を撮影する。次に、3D-3D位置決め実行部130は、撮影されたCT画像と、治療計画段階において撮影されたCT画像との間の3D-3D位置決め処理を行う。その後、3D-2D位置決め実行部140は、3D-3D位置決め処理によって特定されたずれ量に基づいてDRR画像を生成し、生成したDRR画像と、位置決め承認時のX線透視画像との間の3D-2D位置決めを行ってもよい。この3D-3D位置決め、または3D-2D位置決めによって特定されたずれ量によって、位置決めを検証することができる。このように、「第2段階」とは、放射線治療の直前(すなわち、治療段階)と、放射線治療の直後との両方を含む概念である。
【0034】
表示制御部150は、医用画像処理装置100によって処理された様々な情報を表示装置200に表示させる。例えば、表示制御部150は、第1ずれ量分、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを表示装置200に合わせて表示させてもよい。DRR画像が第1画像から生成された場合も同様に、表示制御部150は、DRR画像と患者のX線透視画像とを表示装置200に合わせて表示させてもよい。また、例えば、表示制御部150は、3D-3D位置決め処理の実行結果や、3D-2D位置決め処理の実行結果を表示装置200に表示させてもよい。また、例えば、表示制御部150は、3D-3D位置決めの実行後に、第1画像と第2画像のいずれ(又は両方)に基づいてDRR画像を生成し、3D-2D位置決め処理を実行するかに関する指定を受け付けるインターフェース(IF)を表示装置200に表示させてもよい。
【0035】
図5は、表示装置200によって表示される3D-2D位置決め処理の実行結果の一例を示す図である。
図5において、撮影CTタブは、第2画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理の実行結果を表し、治療計画CTタブは、第1画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理の実行結果を表し、サマリータブは、3D-2D位置決め処理の実行結果の概要情報を表す。
図5は、放射線治療の実施者が、撮影CTタブを選択した結果、第2画像から生成されたDRR画像と、患者のX線透視画像とを照合する3D-2D位置決め処理の実行結果が表示装置200に表示されている例を示している。より一般的に、表示装置200は、これら2つの3D-2D位置決め処理の実行結果を、ボタンやチェックボックスなどの任意のインターフェースによって切り替え可能に表示しても良いし、複数の実行結果を一つの画面に同時に表示させても良い。
【0036】
図5において、領域R1は、第2画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理を実行していることに関する注意喚起情報を表す。代替的に、注意喚起として、表示装置200は、領域R2によって示されるDRR画像の色や、その枠線の色を変えることによって、放射線治療の実施者に注意喚起を行ってもよい。領域R1に表示されるメッセージは、常時表示されても良いし、撮影CTのDRR画像を表示したタイミングや位置決め計算実行時のタイミングで、例えば、ポップアップ表示されても良い。さらに、位置決めを承認した後に、寝台12に移動量を送信するタイミングで再度、注意喚起を促すためのメッセージが表示されても良い。これにより、放射線治療の実施者は、いずれのDRR画像を用いて3D-2D位置決め処理を実行しているかを、誤解することなく正確に認識することができる。
【0037】
領域R3は、3D-2D位置決め処理の実行前に行われた3D-3D位置決め処理の実行結果を表す。領域R4は、第2画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理の実行結果を表す。このように、表示装置200が、3D-3D位置決め処理の実行結果と3D-2D位置決め処理の実行結果とを合わせて表示することにより、放射線治療の実施者は、患者の位置決めが適切に行われているか否かを確認することができる。
【0038】
図6は、表示装置200によって表示される3D-2D位置決め処理の実行結果の別の例を示す図である。
図6は、一例として、放射線治療の実施者が、表示装置200上でサマリータブを選択した場面を表している。
図6において、領域R5は、第2画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理の実行結果を表し、領域R6は、第1画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理の実行結果を表す。領域R7によって示される通り、表示制御部150は、第2画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理の実行結果と、第1画像から生成されたDRR画像を用いた3D-2D位置決め処理の実行結果との間の乖離が閾値以上である場合には、当該乖離が大きい旨の情報を表示装置200に表示させる。領域R7に表示されるメッセージは、常時表示されても良いし、3D-2D位置決めの計算完了時や寝台12に移動量を送信するタイミングで、例えば、ポップアップ表示されても良い。また、例えば、メッセージの表示後に、3D-3D位置決めの実行結果を確認するための画面を自動的に表示させても良い。これにより、放射線治療の実施者は、患者の位置決めが適切に行われているか否かを確認することができる。
【0039】
次に、
図7を参照して、医用画像処理装置100によって実行される処理の流れについて説明する。
図7は、医用画像処理装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、第1画像取得部110は、治療計画段階において、CT撮影装置16によって撮影された患者Pの第1画像を取得する(ステップS100)。次に、寝台制御部14は、寝台12をCT撮影位置に移動させる(ステップS102)。次に、第2画像取得部120は、CT撮影装置においてCT撮影装置16によって撮影された患者Pの第2画像を取得する(ステップS104)。
【0041】
次に、3D―3D位置決め実行部130は、第1画像取得部110によって取得された第1画像と、第2画像取得部120によって取得された第2画像とに基づいて、放射線治療を行う際に患者Pの位置を合わせるための3D-3D位置決め処理を行う(ステップS106)。次に、寝台制御部14は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量だけ、寝台12を移動させる(ステップS108)。
【0042】
寝台12を移動させた後、医用画像処理装置100は、X線撮影装置を用いて患者PのX線透視画像を撮影する(ステップS110)。次に、3D―2D位置決め実行部140は、第1ずれ量分、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、X線透視画像との間の第2ずれ量を算出する3D-2D位置決め処理を行う(ステップS112)。
【0043】
次に、医用画像処理装置100は、放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたか否かを判定する(ステップS114)。より具体的には、医用画像処理装置100は、表示装置200上のインタフェース(IF)で放射線治療の実施者によって位置決めが手動で承認されたか否かを判定しても良いし、算出された第2ずれ量が閾値以内であるか否かを判定することによって、自動的に位置決めの承認を判定してもよい。
【0044】
放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたと判定された場合、医用画像処理装置100は、位置決めを確定し、本フローチャートの処理を終了させる。一方、放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたと判定されなかった場合、寝台制御部14は、3D-2D位置決め処理によって特定された第2ずれ量だけ、寝台12を移動させ(ステップS116)、再度処理をステップS110に戻す。
【0045】
以上のフローチャートの処理により、医用画像処理装置100は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量を用いて第2画像を補正し、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、第1ずれ量分、寝台を移動させた後に患者Pを撮影したX線透視画像とに基づいて、3D-2D位置決め処理を実行する。これにより、治療段階において撮影したCT画像を患者の位置決めに有効に活用することができる。
【0046】
なお、
図7のフローチャートの処理では、ステップS108において、寝台制御部14は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量だけ、寝台12を移動させている。しかし、ステップS108の処理は省略されてもよいし、CT撮影装置16と治療ビーム照射門18とが離れた位置に設置されている場合、ステップS108の処理は、CT撮影位置と照射位置との間の距離に第1ずれ量を加算した分、寝台12を移動させる処理であってもよい。さらに、ステップS112の処理は省略されても良く、その場合、放射線治療の実施者は、ステップS114において、生成されたDRR画像と、撮影されたX線透視画像を目視で確認することによって、位置決めを承認する。
【0047】
次に、
図8を参照して、医用画像処理装置100によって実行される処理の流れについて説明する。
図8は、医用画像処理装置100によって実行される処理の流れの別の例を示すフローチャートである。
【0048】
まず、第1画像取得部110は、治療計画段階において、CT撮影装置16によって撮影された患者Pの第1画像を取得する(ステップS200)。次に、寝台制御部14は、寝台12をCT撮影位置に移動させる(ステップS202)。次に、第2画像取得部120は、CT撮影装置においてCT撮影装置16によって撮影された患者Pの第2画像を取得する(ステップS204)。
【0049】
次に、3D―3D位置決め実行部130は、第1画像取得部110によって取得された第1画像と、第2画像取得部120によって取得された第2画像とに基づいて、放射線治療を行う際に患者Pの位置を合わせるための3D-3D位置決め処理を行う(ステップS206)。次に、寝台制御部14は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量だけ、寝台12を移動させる(ステップS208)。
【0050】
寝台12を移動させた後、医用画像処理装置100は、X線撮影装置を用いて患者PのX線透視画像を撮影する(ステップS210)。次に、医用画像処理装置100は、表示装置200上のインタフェース(IF)で、第2画像を用いた3D-2D位置決め処理を行うか否かに関する指定を受け付ける(ステップS212)。第2画像を用いた3D-2D位置決め処理を行うと判定された場合、3D―2D位置決め実行部140は、第1ずれ量分、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、X線透視画像との間の第2ずれ量を算出する3D-2D位置決め処理を行う(ステップS214)。一方、第2画像を用いた3D-2D位置決め処理を行うと判定されなかった場合、3D―2D位置決め実行部140は、第1画像から生成されたDRR画像と、X線透視画像との間の第3ずれ量を算出する3D-2D位置決め処理を行う(ステップS216)。このとき、ステップS214及び/又はステップS216において、表示制御部150は、DRR画像とX線透視画像とを表示装置200に合わせて表示させる。
【0051】
次に、医用画像処理装置100は、放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたか否かを判定する(ステップS218)。より具体的には、医用画像処理装置100は、表示装置200上のインタフェース(IF)で放射線治療の実施者によって位置決めが手動で承認されたか否かを判定しても良いし、算出された第2ずれ量又は第3ずれ量が閾値以内であるか否かを判定することによって、自動的に位置決めの承認を判定してもよい。
【0052】
放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたと判定された場合、医用画像処理装置100は、位置決めを確定し、本フローチャートの処理を終了させる。一方、放射線治療の実施者によって位置決めが承認されたと判定されなかった場合、寝台制御部14は、3D-2D位置決め処理によって特定された第2ずれ量又は第3ずれ量だけ、寝台12を移動させ(ステップS220)、再度処理をステップS210に戻す。
【0053】
以上のフローチャートの処理により、医用画像処理装置100は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量分、補正された第2画像を用いた3D-2D位置決め処理を実行するか、又は第1画像を用いた3D-2D位置決め処理を実行するかに関する指定を受け付け、放射線治療の実施者の指定に応じて、いずれの3D-2D位置決め処理を実行するかを判定する。これにより、放射線治療の実施者にとっての利便性を高めることができる。
【0054】
なお、
図8のフローチャートの処理では、ステップS208において、寝台制御部14は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量だけ、寝台12を移動させている。しかし、
図7のフローチャートの場合と同様に、ステップS208の処理は省略されてもよいし、CT撮影装置16と治療ビーム照射門18とが離れた位置に設置されている場合、ステップS208の処理は、CT撮影位置と照射位置との間の距離に第1ずれ量を加算した分、寝台12を移動させる処理であってもよい。さらに、ステップS220の処理は省略されても良く、その場合、ステップS214の処理と、ステップS216の処理とが切り替え可能に実行されても良い。
【0055】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、医用画像処理装置100は、3D-3D位置決め処理によって特定された第1ずれ量を用いて第2画像を補正し、補正された第2画像から生成されたDRR画像と、第1ずれ量分、寝台を移動させた後に患者Pを撮影したX線透視画像とに基づいて、3D-2D位置決め処理を実行する。これにより、治療段階において撮影したCT画像を患者の位置決めに有効に活用することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0057】
1…治療システム、10…治療装置、12…寝台、14…寝台制御部、16…CT撮影装置、18…治療ビーム照射門、100…医用画像処理装置、110…第1画像取得部、120…第2画像取得部、130…3D―3D位置決め実行部、140…3D―2D位置決め実行部、150…表示制御部、200…表示装置