(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136098
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】保温容器及び梱包構造体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20230922BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20230922BHJP
B65D 1/22 20060101ALI20230922BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65D81/38 B
B65D1/00 110
B65D1/22
B65D21/02 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041532
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 信彦
【テーマコード(参考)】
3E006
3E033
3E067
【Fターム(参考)】
3E006AA02
3E006BA01
3E006CA01
3E006DA01
3E006DA03
3E006DB01
3E006DB04
3E006DB05
3E033AA09
3E033AA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA21
3E033BA22
3E033BA26
3E033CA08
3E033DD05
3E033DD13
3E033FA02
3E067AA11
3E067AB02
3E067AB08
3E067AB09
3E067BA05A
3E067BA08A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BC06A
3E067BC07A
3E067CA07
3E067CA18
3E067EA17
3E067EB27
3E067EE50
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GA11
3E067GD01
3E067GD02
(57)【要約】
【課題】保温性能の低下を抑制しつつコンパクト化が容易な保温容器や梱包構造体の提供すること。
【解決手段】上部に開口を有する容器本体と、該容器本体に嵌着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、前記容器本体がビーズ発泡成形体であり、前記蓋体が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体である保温容器を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口を有する容器本体と、該容器本体に嵌着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記容器本体がビーズ発泡成形体であり、
前記蓋体が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体である保温容器。
【請求項2】
前記容器本体が、底壁と、底壁の周縁部から上方に延びて上端部で前記開口を画定する周側壁とを有し、
前記蓋体は、前記周側壁の内周面に当接されて前記容器本体に嵌着できるよう構成されている請求項1記載の保温容器。
【請求項3】
前記周側壁の上端部には上方に向けて突出した凸条が備えられ、
前記蓋体の外周部には、前記凸条と凹凸嵌合可能な凹溝が設けられている請求項2記載の保温容器。
【請求項4】
前記凸条には、高さ方向での何れかの箇所において内方又は外方の少なくとも一方に膨出した膨出部が設けられている請求項3記載の保温容器。
【請求項5】
前記凸条の外周面が垂直面となっており、
前記凸条の内周面側に前記膨出部が設けられている請求項4記載の保温容器。
【請求項6】
前記容器本体の前記底壁には、上面側に複数の凹部又は複数の凸部が形成されている請求項2乃至5の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項7】
前記容器本体の前記底壁には、下面側に複数の凹部又は複数の凸部が形成されている請求項2乃至6の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項8】
前記蓋体は、上面側に複数の凹部又は複数の凸部が形成されている請求項1乃至7の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項9】
前記蓋体がドーム形状を有している請求項1乃至8の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項10】
前記蓋体には、該蓋体を上面側から把持可能に形成された把持部が設けられている請求項1乃至9の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項11】
前記蓋体よりも厚さの厚いビーズ発泡成形体である厚蓋をさらに備え、
前記蓋体が前記容器本体に内嵌合できるように構成され、該蓋体が内嵌合されている前記容器本体に前記厚蓋を嵌着可能に構成されており、前記蓋体と前記厚蓋とで前記容器本体の前記開口を二重に塞ぐことができるように構成されている請求項1乃至10の何れか1項に記載の保温容器。
【請求項12】
複数の保温容器が集合して一纏めになっている容器集合体を備えた梱包構造体であって、
前記保温容器は、上部に開口を有する容器本体と、該容器本体に嵌着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記容器本体がビーズ発泡成形体であり、
前記容器集合体では、前後左右に配列されている複数の前記保温容器で構成された段が複数段積み重ねられており、下から上に向けて前記容器本体と前記蓋体とが交互に配され、
最も上段の前記容器本体よりも下方に配されている前記容器本体の少なくとも一部に嵌着されている前記蓋体が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体であり、且つ、
最も上段の前記容器本体には前記シート成形体よりも厚さの厚いビーズ発泡成形体である厚蓋が嵌着されている梱包構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は保温容器及び梱包構造体に関し、より詳しくは、上部に開口を有する容器本体を備えた保温容器及び複数の保温容器を備えた梱包構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
物流における商品の搬送は、該商品を段ボール箱などで梱包して行われている。段ボール箱のような荷物を搬送する際には、作業効率を高めるために、複数の箱を一纏めにして同時に移動できるようにパレットなどの上に複数個の荷物を積み重ねて一つの梱包構造体が作製される。
【0003】
複数の箱をパレット上に多段に積載する際には、一段目の箱の配列と二段目以降の配列とを同じにして上下方向に箱が一列となるような積み方を行う“棒積み”或いは“列積み”などと称される方法が採用されることがある。また、そのような方法とは別に、奇数段と偶数段とで箱の配列を異ならせる“レンガ積み”、“交互列積み”、“ピンホール積み”などの積載方法も多く採用されている。
【0004】
“レンガ積み”などにおいては、同じ段で隣りどうしとなる二つの箱の境目の上に次の段の箱が載せられることになるので高さ方向に箱の境目が連続することはない。一方で“棒積み”による積載方法では、境目が高さ方向に連続するので、積み上げる高さを高くすると搬送時の振動などで上方の箱に大きな揺れが生じることになる。例えば、左右の寸法が前後の寸法の約1.5の直方体の箱を長手方向に2つ並べるとその長さが箱の短手方向の約3倍となるので、この2つ並んだ箱の横にこれらの箱とは方向が90度異なるように3つの箱を並べると、5つの箱が長方形を描くように配列されることになる。このような配列を1段目で行って、2段目以降は2つの箱と3つの箱との位置関係が下段と逆転するようにして箱を積み上げていくと揺れに強い集合体が形成されることになる。
【0005】
一方で、一段目と二段目以降の配列とを同じにすると、最終的に形成される集合体には、5つの個別の列が形成され、それぞれの列を構成している箱が隣の列の箱の動きに対する拘束力を持たなくなるので、集合体は横揺れなどに弱くなる。そのため、“棒積み”による梱包構造体を形成する際は、バンドやストレッチフィルムなどで箱の固定が行われたりしている。ただし、棒積み”の場合は、列単位で箱の移動が可能になり、荷積みや荷下ろしの作業性が良好になるという利点を有する。
【0006】
ところで、食品などの商品の物流現場では、発泡樹脂で構成された容器本体を備えた保温容器が広く用いられている。この種の保温容器としては、食品が載置される底壁と底壁の周縁部から立ち上る周側壁とを有し、該周側壁の上端部によって画定された開口を上部に有している容器本体を備えたものや、該容器本体と嵌合して前記開口を塞ぐ蓋体をさらに備えたものが知られている。
【0007】
このような蓋体を備えた保温容器は、容器本体や蓋体にビーズ発泡成形体が用いられており、強度と断熱性とに優れている。該保温容器は、個々の容器本体に蓋体を取付けて棒積みにすることも行われているが、蓋体を装着するのを最も上段の容器本体のみとし、それよりも下側では上に重ねる容器本体を下の容器本体の蓋体の代わりに利用して全体の積載高さを減少させるようなことも行われている。
【0008】
このような保温容器では、下記特許文献1に示すように、容器本体の下面側の外周部に上方に向けて凹入した溝を設け、下段の保温容器の周側壁の上端部や下段の保温容器の蓋体に設けた凸部を溝に進入させて上下の容器の間で横すべりが生じることを防止する工夫が施されたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のような保温容器や該保温容器を用いて構成される梱包構造体に対しては、貨物自動車などへの搭載量や保管スペースなどの関係から、軽量でコンパクトであることが求められている。一方で容器本体を下の容器本体の蓋体の代わりに利用しようとした場合は、保温性能が下がり易いためそのような要望は、十分に満足されるようにはなっていない。そこで本発明は、保温性能の低下を抑制しつつコンパクト化が容易な保温容器や梱包構造体の提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、
上部に開口を有する容器本体と、該容器本体に嵌着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記容器本体がビーズ発泡成形体であり、
前記蓋体が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体である保温容器、を提供する。
【0012】
本発明は、また、
複数の保温容器が集合して一纏めにされている容器集合体を備えた梱包構造体であって、
前記保温容器は、上部に開口を有する容器本体と、該容器本体に嵌着されて前記開口を塞ぐ蓋体とを備え、
前記容器本体がビーズ発泡成形体であり、
前記容器集合体では、前後左右に配列されている複数の前記保温容器で構成された段が複数段積み重ねられており、下から上に向けて前記容器本体と前記蓋体とが交互に配され、
最も上段の前記容器本体よりも下方に配されている前記容器本体の少なくとも一部に嵌着されている前記蓋体が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体であり、且つ、
最も上段の前記容器本体には前記シート成形体よりも厚さの厚いビーズ発泡成形体である厚蓋が嵌着されている梱包構造体、を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ビーズ発泡成形体のような厚手の蓋体に代えてシート成形体である薄手の蓋体が用いられ、しかも、蓋体が樹脂発泡シート製であるので保温性能の低下を抑制しつつ保温容器や梱包構造体のコンパクト化が図られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、梱包構造体の構成を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の保温容器を示した斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態の容器本体を上方から見た様子を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態の容器本体を下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の容器本体を垂直面で長手方向に沿って切断した際の断面の様子を示した断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の容器本体を垂直面で長手方向に沿って切断した際の断面の様子を示した断面図(
図2でのV-V線矢視断面図)である。
【
図6】
図6は、容器列での上部の保温容器の積載状況を示した断面図である。
【
図7A】
図7Aは、第1実施態様の蓋体を上方から見た様子を示す斜視図である。
【
図7B】
図7Bは、第1実施態様の蓋体を下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、凹凸を設けた第1実施態様の蓋体を上方から見た様子を示す斜視図である。
【
図7D】
図7Dは、凹凸を設けた第1実施態様の蓋体を下方から見た様子を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、第2実施態様の保温容器を示した断面図である。
【
図9A】
図9Aは、第2実施態様の保温容器で容器本体を二重に塞ぐ様子を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る保温容器及び梱包構造体の一実施形態について、図を参照しつつ説明する。
図1に示したように梱包構造体100は、複数の保温容器1が集合して一纏まりにされている容器集合体110を有している。本実施形態の梱包構造体100は、容器集合体110を搭載する搭載具としてパレット120を備えている。本実施形態の梱包構造体100は、前記搭載具としてパレット120に代えてカゴ台車を有していてもよい。
【0016】
本実施形態の容器集合体110は、前記複数の保温容器1が列積みにされた容器列111を複数有している。梱包構造体100は、容器列111を束ねて前記容器集合体110の荷崩れを防止したり前記容器集合体110を前記搭載具に固定するためのシート、ボード、ネット、ベルト、ラップフィルムなどを有していてもよい。
【0017】
本実施形態では、前後左右に配列された計6個の保温容器1を1段として上下方向に8段積みにされた総数48個の保温容器1で構成された容器集合体110が例示されているが、1段を構成する保温容器1は前後方向や左右方向に1列となるように配列されたものであってもよく、高さ方向での積み重ね数も7段以下であってもよく、9段以上であってもよい。本実施形態の容器集合体110では、保温容器1が列積みされているが、容器集合体110は、保温容器1をレンガ積みなどの偶数段と奇数段とで配列を異ならせて積み重ねたものであってもよい。
【0018】
本実施形態の保温容器1は、直方体形状を有している。従って、本実施形態の容器列111は、上下方向に長く延びる角柱状である。前記容器集合体110は、角柱状の容器列111が互いの側面を当接させて集合することで構成されており、各容器列111よりも太い角柱状となっている。
【0019】
本実施形態の保温容器1は、上部に開口を有する容器本体2と、該容器本体2に嵌着されて前記開口2aを塞ぐ蓋体3とを備えている。本実施形態の前記容器本体2は、ビーズ発泡成形体である。各容器列111の最上段の保温容器1xは、従来の保温容器と同様に構成されており、容器本体2xの開口2aを塞ぐために容器本体2xに嵌着される蓋体がビーズ発泡成形体である。この従来型の容器(以下「従来型容器」ともいう)では、容器本体2xの開口2aを塞ぐため蓋として本実施形態の保温容器1での蓋体3に比べて厚さが数倍以上厚い厚蓋3xが採用されている。
【0020】
上から2段目以下の保温容器1は、前記蓋体3が樹脂発泡シートで構成されたシート成形体である。本実施形態では、ベルトやネットを掛けた時に力が加わり易い最上段の蓋体をシート成形体よりも厚手で高い曲げ剛性を有する厚蓋3xとすることで容器集合体110の荷崩れを防ぎ易くなっている。本実施形態では最上段を従来型容器としているが、要すれば、最上段の保温容器も上から2段目以下の保温容器1と同様にシート成形体である蓋体3を備えたものとしてもよい。
【0021】
本実施形態の各容器列111では、下から上に向けて容器本体と蓋体とが交互に配された状態となって前記パレット120に搭載されている。即ち、本実施形態の容器集合体110は、最上段に配された従来と同様の保温容器1xを除いた全ての保温容器1がシート成形体である蓋体3を備えている。
【0022】
本実施形態での保温容器1の第1の実施形態について図を参照しつつ説明する。
本実施形態の保温容器1は、収容物として商品(例えば、野菜、魚介類などの生鮮食品)を収容することができる箱形状に形成されている。本実施形態の保温容器1は、例えば、クラッシュアイスのような氷やドライアイスなどとの保冷剤ともに商品を収容するような用途で用いられる。
【0023】
以下の説明は、
図2に示すように、保温容器1の長手方向Xを左右方向とし、保温容器の短手方向Yを前後方向とする。従って、本実施形態の前記保温容器1は左右方向に長く前後方向に短い横長な直方体形状を有している。また、以下においては保温容器1の高さ方向を上下方向Zとして保温容器1について詳細に説明する。本実施形態での保温容器1の長手方向Xでの寸法Lx(長さ)、短手方向Yでの寸法Ly(幅)は、例えば、それぞれ150mm以上1200mm以下である。保温容器1の上下方向Zでの寸法Lz(高さ)は、例えば、100mm以上600mm以下である。
【0024】
前記のように本実施形態の保温容器1は直方体形状を有する。本実施形態における保温容器1は、上部に開口2aを有する発泡樹脂製の容器本体2と、容器本体の開口を塞ぐ蓋体3とを備える。前記容器本体2は、底壁21と、該底壁21の周縁部より上方に筒状に延びてその上端部において前記開口2aを画定する周側壁(以下「本体周側壁22」ともいう)とを備える。本実施形態の保温容器1での容器本体2は、従来型容器の容器本体2xと形状は同じである。
【0025】
本実施形態の容器本体2は、複数の発泡ビーズが互いに熱融着して一体化したビーズ発泡成形体である。即ち、容器本体2は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂で構成された樹脂ビーズに発泡剤が含浸された発泡性ビーズが発泡(一次発泡)されることによって得られた発泡ビーズで構成されている。より詳しくは、前記容器本体2は、容器本体2に対応する成形空間を有する成形型内に前記発泡ビーズを充填するとともに加圧水蒸気などで加熱して当該発泡ビーズを二次発泡させるとともに発泡ビーズどうしを熱融着させることによって形成されたものである。
【0026】
前記容器本体2の前記底壁21は、四隅にアールを有する平面視矩形の板状に形成されている。なお、底壁21の形状は、矩形以外の多角形や円形などであってもよい。底壁21の上面21aは容器本体2の底面に相当し、収容物を下方から支持する面である。底壁21は、
図3A、
図3B、
図4A、
図5などに示すように中央部が高くなるように隆起した状態になっている。底壁21の上面21aは、垂直方向での位置が中央部において高く外周部において低い。該上面21aは、曲面となっていて中央部が最も高く、前記本体周側壁12に近い外周部が最も低くなっている。
【0027】
底壁21の下面21bは、上面11aと同様に中央部の位置が高く外周部が低い。底壁の上面21aが凸状の曲面であるのに対し底壁21の下面21bは、凹状の曲面となっている。前記底壁21は、上面側が上方に向けて突出しているとともに下面側が上方に向けて凹入してドーム形状となっている。即ち、前記底壁21には、中央部に外周部より隆起した隆起部211が備えられている。該隆起部211の隆起は、前記本体周側壁22の内周面22bよりも少し内側から始まっており、底壁21の殆どの領域に亘って存在している。本実施形態の前記底壁21は、丸みを帯びたドーム形状となっていることで収容物の荷重を分散できるようになっている。該効果を得る上で底壁21の隆起形状は、円錐台形状などの他の形状であってもよい。
【0028】
上記のような機能をより確実に発揮させる上で、前記底壁21の下面21bの中央部での接地面からの浮き上がり高さ(最大高さ:
図5でのHb(mm))は、一定以上であることが好ましい。例えば、前記容器本体2の左右の寸法(Lx)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、2%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上であってもよい。また、前記容器本体2の高さ方向の寸法(Lz(mm))に対する浮き上がり高さ(Hb(mm))の比率(Hb/Lz)は、1%以上とすることができる。前記容器本体2の高さ方向の寸法(Lz)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率(Hb/Lz)は、2%以上であってもよく、10%以上であってもよく、30%以上であってもよい。これらの数値は収容物の荷重や荷重分布により生じる側壁が内側方向に倒れこむ力の大小、多段積みの段数より好適な数値が適宜得られることとなる。
【0029】
前記容器本体2の短手方向(前後)の寸法(Ly(mm))に対する浮き上がり高さ(Hb(mm))の比率(Hb/Ly)は1%以上とすることができる。前記容器本体2の前後の寸法(Ly)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、2%以上であってもよく、3%以上であってもよく、7%以上であってもよい。前記容器本体2の長手方向(左右)の寸法(Lx(mm))に対する浮き上がり高さ(Hb(mm))の比率(Hb/Lx)は、0.5%以上とすることができる。
【0030】
容器本体2の内容積を広く確保する上では、前記容器本体2の前後の寸法(Ly)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、例えば、10%以下とすることができる。前記容器本体2の前後の寸法(Ly)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、9%以下であってもよく、8%以下であってもよい。前記容器本体2の左右の寸法(Lx)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、例えば、10%以下とすることができる。前記容器本体2の左右の寸法(Lx)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率は、9%以下であってもよく、8%以下であってもよい。前記容器本体2の高さ方向の寸法(Lz)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率(Hb/Lz)は、例えば、50%以下とすることができる。前記容器本体2の高さ方向の寸法(Lz)に対する浮き上がり高さ(Hb)の比率(Hb/Lz)は、40%以下であってもよく、35%以下であってもよい。浮き上がり高さ(Hb)の具体的な寸法としては、容器本体2の大きさ、内容物の質量にもよるが、通常、5mm以上60mm以下とされる。該寸法は15mm以上50mm以下であることが好ましい。
【0031】
容器本体2内で底壁21が隆起している隆起高さ(最大高さ:Ha(mm))は、浮き上がり高さ(Hb)として例示した値と同じような寸法とすることができる。即ち、中央部の隆起高さ(Ha)は、5mm以上60mm以下とすることができ、15mm以上50mm以下であることが好ましい。隆起高さ(Ha)と容器本体2の前後の寸法(Ly(mm))に対する比率(Ha/Ly)や左右の寸法(Lx(mm))に対する比率(Ha/Lx)、高さの寸法(Lz(mm))に対する比率(Ha/Lz)の具体的な数値についても、浮き上がり高さ(Hb)に対する比率(Hb/Ly,Hb/Lx,Hb/Lz)として例示した値と同じ値が採用され得る。尚、浮き上がり高さ(Hb)と隆起高さ(Ha)との具体的な寸法や前記比率の値は、それぞれ共通している必要はなく異なっていてもよい。
【0032】
該底壁21の下面21bの内、本体周側壁22の下方に位置する部分は、容器本体2を正立状態に配置した際に接地面1bとなる。一方、本体周側壁22の内周面22bよりも内側(容器中央側)となる領域では、最外周の僅かな部分が接地面となるのみで大部分が接地面1bから浮き上がった状態となっている。
【0033】
容器本体2は、底壁21の中央部が高くなっていることで、収容物によって底壁21に加わる荷重を底壁21の周縁部に伝搬することができるだけでなく底壁21がそのように形成されていることで保冷のために氷を用いたような場合に氷が解けて生じた水も容器内の周縁部側に移動させることができ、該水による荷重も周縁部に加えることができる。さらに本実施形態での保温容器1では、収容物の水濡れ防止も図られる。
【0034】
本実施形態の底壁21では、
図3Aに示すように、上面21aの側に複数の凹部が形成されている。本実施形態の底壁21では、
図3Bに示すように、下面21bの側に複数の凹部が形成されている。上面21a側の凹部(以下「上凹部212a」ともいう)と、下面21b側の凹部(以下「下凹部212b」ともいう)とは、本実施形態では同形状となっている。該上凹部212aと下凹部212bとは、形状が異なっていてもよい。
【0035】
上凹部212a及び下凹部212bは、前記隆起部211の全域に設けられている。前記隆起部211での上面21aは概ね水平面とはなっておらず容器外向きに先下がりとなる緩やかな曲面であり下面21bも同様である。前記上凹部212aは曲面の法線の方向に凹入してはおらず、垂直方向下方向かって凹入している。前記下凹部212bも同様に垂直方向上方向かって凹入している。
【0036】
該上凹部212aと下凹部212bとの大きさは、直径5mmの円よりも大きく、直径20mmの円よりも小さい。即ち、該上凹部212aの上面視における開口形状は、直径20mmの円内に収まり、且つ、その内側に直径5mmの円が収まる形状を有する。また、前記下凹部212bの下面視における開口形状は、直径20mmの円内に収まり、且つ、その内側に直径5mmの円が収まる形状を有する。上凹部212aと下凹部212bとの凹入深さは、数mm程度である。該上凹部212a及び下凹部212bは、中心間距離が20mm以上50mm以下となるように配されており、前後左右にそれぞれ等間隔に配されている。
【0037】
前記上凹部212aは、収容物のすべり止めに機能する。前記上凹部212aは、氷が解けてできた水の貯留にも機能する。本実施形態では、底壁21が隆起していることで保温容器1に傾きが生じた場合など収容物が滑って本体周側壁22側に偏ってしまうことが考えられる。そのような場所に多くの水が溜まっていると収容物が水に濡れてしまうことになるが本実施形態では上凹部212aでも水を留めておくことができ、且つ、該上凹部212aが収容物のすべり止めに機能するために収容物の水濡れが抑制されることになる。
【0038】
前記下凹部212bは、容器列111の上段側から一つずつ保温容器1を取り出す際に取り出される保温容器1の下段の保温容器1で容器本体2から蓋体3が外れてしまうのを防止する機能を有する。本実施形態では、
図4A、
図4B、
図5に示すように前記蓋体3が容器本体2に対して凹凸嵌合により嵌着可能となっている。また、本実施形態では、
図6に示すように前記蓋体3が底壁21の下面21bに対応した形状を有する。
【0039】
本実施形態においては、デッドスペースを減らして容器集合体110の容積を十分に有効活用し得るよう蓋体3の上面3aが容器本体2の底壁21の下面21bに対応した形状を有している。即ち、本実施形態においては、上下に2つの保温容器1を積み重ねた際に、下の保温容器1の蓋体3と上の保温容器1の底壁21の下面21bとの間に大きな隙間が生じないようになっている。そのため、例えば、
図6に示すような容器列111の最上段から従来型の保温容器1xを持ち上げて降ろそうとした場合、下の保温容器1の蓋体3が従来型容器の容器本体2xに密着し、該保温容器1の蓋体3が容器本体2から外れてしまうおそれがある。蓋体3の外れるおそれがあるのは最上段の従来型の保温容器1xを降ろす場合だけでなく、2段目以降の保温容器1を降ろす場合も同じである。そのようなことから本実施形態では、下凹部212bを設けることで上段の保温容器1の容器本体2と下段の保温容器1の蓋体3との過度な密着が防止されている。
【0040】
前記底壁21には前記上凹部212aのような複数の凹部を設けるのに代えて複数の凸部(以下、「上凸部」ともいう)を設けてもよい。この複数の凸部(上凸部)も収容物の滑り止めや水濡れ防止に有効に機能する。該上凸部の平面視における大きさや隣り合う上凹部どうしの間隔等は前記上凹部212aと同等とすることができる。同様に前記底壁21には前記下凹部212bのような複数の凹部を設けるのに代えて複数の凸部(以下、「下凸部」ともいう)を設けてもよい。この複数の凸部(下凸部)も蓋体3との密着防止に有効である。該下凸部の平面視における大きさや隣り合う上凹部どうしの間隔等は前記下凹部212bと同等とすることができる。
【0041】
本実施形態の保温容器1では、蓋体3が不用意に外れることを防止するとともに容器の密閉性を高めて保温性能の向上や異物混入の防止が図られることから前記のように蓋体3と容器本体2とが凹凸嵌合するようになっている。
【0042】
本実施形態の本体周側壁22の上面視における形状は、矩形枠状であり、前記底壁21と同じく四隅に丸みを有している。本体周側壁22の周方向に直交する平面での本体周側壁22の断面形状は、上端部で外側半分が切り欠かれた形状となっている。即ち、本体周側壁22の上端部では、内周側に比べて外周側が一段低くなっている。したがって、本実施形態の容器本体2での本体周側壁22の上端面22cには、一段高い位置に設けられた高段部22c1と、該高段部よりも一段低い位置に設けられた低段部22c2とが備えられ、該低段部22c2が外周側に設けられているとともに前記高段部22c1が該低段部22c2よりも内周側に設けられている。このため本体周側壁22の本体周側壁22は、上端部で厚さが薄くなっており、上端部での厚さはその他の部位の厚さの約半分となっている。この厚さが薄い部分は、本体周側壁22の周方向に延在して前記蓋体3との凹凸嵌合に用いられる凸条221となっている。
【0043】
本実施形態での前記凸条221の上面視における形状も本体周側壁22と同じく四隅に丸みを有する矩形枠状となっている。前記凸条221は、本体周側壁22の上端面での高段部である天面221aを有する。本実施形態での該天面221aは、水平面となっている。前記凸条221は、該天面221aの内周縁より垂下する内周面221bと、前記天面221aの外周縁より垂下する外周面221cとを備える。本実施形態の容器本体2での前記開口2aの輪郭は、前記凸条221の内周面221bによって画定されている。
【0044】
前記凸条221は、断面形状が矩形となるように上方に突出している。尚、該凸条221は、下端から上端まで内外方向での厚さが一定しておらず、途中で厚さの厚い部分が設けられている。そして、前記凸条221には、高さ方向での何れかの箇所において内方又は外方の少なくとも一方に膨出した膨出部2211が設けられている。本実施形態の前記膨出部2211は、断面形状が緩やかな円弧状となるように内向きに膨出している。即ち、前記凸条221は、外周面221cが垂直面で、内周面221bには垂直面となっている部位と内向きに丸みをもって膨出している部位とが設けられている。前記凸条221は、前記開口2aの周囲に沿って延在し、前記開口2aの周りを1周するように連続的に設けられている。前記膨出部2211も同様に内周面221bを1周するように連続的に設けられている。
【0045】
前記蓋体3には、前記凸条221が突入可能な形状に凹入した凹溝(以下「蓋凹溝321」ともいう)が形成されている。該蓋凹溝321は、断面形状が矩形となるように上方に凹入している。蓋凹溝321は、前記凸条221が突入されたときに前記凸条221の天面221aに対向する底面321aと、該底面321aの内周縁より垂下する内周面321bと、前記底面321aの外周縁より垂下する外周面321cとを備える。前記蓋体3の蓋凹溝321は、前記凸条221が突入された際に前記内周面321bと前記外周面321cとの間に前記凸条221を挟み込んだ状態となるように形成されている。
【0046】
上記のように、本実施形態での蓋凹溝321の内周面321bは、当該蓋凹溝321と前記凸条221との凹凸嵌合に際して前記凸条221の内周面221bに当接される部位である。また、蓋凹溝321の外周面321cは、当該蓋凹溝321と前記凸条221との凹凸嵌合に際して前記凸条221の外周面221cに当接される部位である。一方で蓋凹溝321は、前記凸条221を最も深く進入させた場合でも前記天面221aと前記底面321aとの間に僅かな隙間が形成されるように形成されている。即ち、本実施形態での蓋凹溝321の凹入深さは前記凸条221の突出高さよりも僅かに深い。
【0047】
本実施形態での蓋凹溝321は、前記膨出部2211が形成されている箇所が進入できる深さに構成されている。従って、前記凸条221を蓋凹溝321に突入させた際には、前記膨出部2211で凸条221と蓋凹溝321の内周面321bとが強く当接されることになる。本実施形態では前記蓋体3が前記本体周側壁22の内周面に当接されて前記容器本体2に嵌着できるよう構成されているため容器本体2に青果などと保冷剤とを収容した際にこれらの収容物を含む空間を密閉性に優れた閉空間とすることができる。しかも、本実施形態では、蓋体3が当接され本体周側壁22の内周面に膨出部2211が形成されていることで、収容物を含む空間をより密閉性に優れた状態にすることができる。また、本実施形態では、密閉性に優れた収容空間を形成可能であるばかりでなく前記蓋体3が樹脂発泡シート製であるために優れた保温性能が発揮される。
【0048】
本実施形態の前記蓋体3は、前記の通り樹脂発泡シート製のシート成形体である。前記蓋体3を構成している樹脂発泡シートの厚さは、1~4mmである。樹脂発泡シートの発泡倍率は、1.5倍~10倍である。前記蓋体3を構成する樹脂は、容器本体2を構成する樹脂と同じであっても異なっていてもよく、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0049】
本実施形態の前記蓋体3は、
図7A、
図7Bに示すように前記容器本体2の開口2aを塞ぐ部位となる本体部(以下「蓋本体部31」ともいう)と、該蓋本体部31の外側に設けられたフレーム部32とを備えている。該フレーム部32の上面視における形状は、前記本体周側壁22と同じく矩形枠形状で、該フレーム部32の下面側に前記蓋凹溝321が設けられている。即ち、該フレーム部32には、断面形状が矩形となって上方に突出した形状を有し、前記蓋凹溝321を構成する矩形リブ部322が備えられている。本実施形態では該矩形リブ部322の下面側が前記蓋凹溝321となっている。
【0050】
該フレーム部32には、前記蓋凹溝321の外周面321cの下端より外向きに短く延びる鍔部323がさらに設けられている。該鍔部323は、前記本体周側壁22の外周面に到達する長さとなって蓋凹溝321の外側に設けられている。該鍔部323は、前記凸条221と前記蓋凹溝321との凹凸嵌合に際して前記本体周側壁22の上端面の低段部に当接される部位である。即ち、本実施形態の保温容器1は、凸条221の先端が前記蓋凹溝321に進入し始めてから前記鍔部323と前記低段部とが当接されるまでの本体周側壁22に対する蓋体3の相対移動距離により前記凸条221の進入深さが規定されている。
【0051】
本実施形態の容器本体2における前記開口2aの平面視における形状は矩形である。より詳しくは、前記開口2aの形状は左右方向に長い長方形である。前記蓋本体部31は、この開口2aを隙間なく塞ぐことができるように平面視における輪郭の形状が前記開口2aの形状に対応した長方形となっている。本実施形態での蓋本体部31は、平面視における形状が長方形で、正面視における形状は、上方に向けて膨らんだドーム状となっている。蓋本体部31の形状は、容器本体2の底壁21の下面21bに対応したドーム形状を有する。
【0052】
前記蓋体3の蓋本体部31は、全域において上方に向けて膨出しているわけではなく、四隅には四半円形(扇形)の平坦な部位を有する。即ち、本実施形態の前記蓋体3の蓋本体部31は、ドーム状に膨出している膨出部311と、膨出されずに平坦な状態となった四半円形の平坦部312とを備えている。
【0053】
本実施形態の前記蓋体3では、前記蓋本体部31の外周部から前記蓋本体部31の中央に向けて前記膨出部311に四方から進入するように前記平坦部312が設けられ、該平坦部312と該平坦部312よりも高い位置に設けられた前記膨出部311との間に段差が形成され、前記平坦部312と前記膨出部311との境界に沿って前記平坦部312と前記膨出部311とを接続する起立壁313が形成されている。即ち、前記蓋本体部31は、四隅を内側から丸く囲うように立設された起立壁を有する。
【0054】
前記平坦部312は、膨出部311の四隅に位置し、且つ、四半円形の円弧312aの部分が前記蓋本体部31の中央側となるように形成されている。該平坦部312と前記膨出部311との間の前記段差は、前記円弧312aの部分で最も高低差の大きい。前記起立壁313は、該円弧312aと前記膨出部311との間を接続すべく前記円弧312aに沿って起立している。本実施形態の蓋体3は、円弧に沿って起立した前記起立壁313を有することで角部において上下方向に加わる応力に対して優れた強度を発揮する。
【0055】
前記平坦部312は、平面視における形状が長方形である前記蓋本体部31の長辺の中間点となる位置にも設けられている。前記蓋本体部31の長辺の中間点に設けられた平坦部312は、平面視における形状が半円形である。該半円形の平坦部312は、円弧となる部位が蓋本体部31の中央側となる点では蓋本体部31の四隅に位置する四半円形の平坦部312と同じである。半円形の平坦部312は、円弧に沿って起立壁313を有している点においても四隅の平坦部312と共通している。
【0056】
前記蓋体3は、例えば、角部を起点に容器本体2から取り外される場合がある。即ち、容器本体2に嵌着されている蓋体3の角部において前記鍔部323を上向きに引き上げることで当該角部を凹凸嵌合の解除の起点とされることがある。そのような場合でも、当該角部の内側に前記平坦部312と起立壁313とが設けられていて当該角部が補強されていることから凹凸嵌合の解除がスムーズに行われる。
【0057】
本実施形態の前記蓋体3には、前記容器本体2に嵌着された蓋体3を持ち上げて前記容器本体2から外すための把持部34が設けられている。該把持部34は蓋体3を上面側から把持可能に形成されており、前記蓋本体部31の中央部となる位置に設けられている。そのため、前記蓋体3を外す操作では、上記のような角部を起点とする操作だけでなく、蓋本体部31の中央部を上向きに持ち上げるような操作も行われ得る。そのような操作では、蓋本体部31の中央部に上向きに応力が加えられることになるが、本実施形態では前記起立壁313を有することで蓋本体部31のが大きく変形してしまって当該応力が吸収されてしまうことを防止し、前記応力の多くを前記フレーム部32に伝搬することができる。該フレーム部32に伝搬された応力は、前記蓋凹溝321の内周面321bの下端を内向きに斜め上方向に引っ張る力となって作用する。本実施形態の保温容器1では、このような力が作用することで前記凸条221の膨出部2211と前記蓋凹溝321の内周面321bとの当接が解除されて前記蓋体3を前記容器本体2からスムーズに取り外すことができる。
【0058】
前記蓋体3の蓋本体部31の中央部には、前記蓋体3の上方から下方に向けて凹入した凹部314が2つ並んで配され、該凹部314の間が前記把持部34となって備えられている。2つの前記凹部314は、長手方向Xに並んで蓋体3の蓋本体部31の中央部に配されている。前記凹部314は、平面視における開口形状が半月型である。2つの前記凹部314は、それぞれの開口形状が短手方向Yに平行な線分に対して線対称となるように配されている。前記凹部314は、半月型の弦にあたる部分が内側で、弧にあたる部分が外側となるように線対称となって配置されている。凹部314の内壁面の内、弦にあたる部分では内壁面が垂下して凹部314の最深部に達している。一方で、弧にあたる部分から下方に延びる内壁面は前記最深部へと向かう傾斜面となっている。即ち、本実施形態で前記把持部34を把持可能にするための前記凹部314は、開口面積を広くして把持部34を把持し易くさせるとともに収容スペースを必要以上に削減しないような形状となって凹入している。
【0059】
本実施形態の容器本体2の底壁21の下面21bの側には、保温容器1を上下に積み重ねた際に下側の保温容器1で凸条221に嵌着された前記矩形リブ部322を突入させて上側の保温容器1が横滑りしないようにするための凹溝(以下「本体凹溝213)が形成されている。該本体凹溝213は、前記隆起部211の外側に設けられており、平面視における形状が該隆起部211を包囲する矩形環形状となるように形成されている。
【0060】
本実施形態の蓋体3は、前記本体周側壁22の上端面を超えて上方に突出している。そのため、保温容器1どうしを積み重ねたり、積み上げられた2つの保温容器1の上側の保温容器1を降ろしたりする場合に、下側の保温容器1での蓋体3の突出部分が引っ掛かる場合がある。本実施形態では、この蓋体3がシート成形体であり、ビーズ発泡体のような剛直なものにくらべて易変形性を有するため仮に引っ掛かりが起きたとしても問題にはなり難い。本実施形態の蓋体3を構成する樹脂発泡シートは、発泡層単層のシートでなくても非発泡層(樹脂フィルム層)などを備えた積層発泡シートであってもよく、前記蓋体3の上面3aが前記非発泡層で構成されるようにシート成形がされたものであってもよい。
【0061】
上面3aが前記非発泡層となるように積層発泡シートを使って構成された蓋体3は、良好な滑り性を発揮するとともに優れた強度を発揮する。そのため、そのような蓋体3は、保温容器1を取り扱う作業者の作業効率の向上に寄与する。なお、蓋体3に非発泡層を設ける場合は、鍔部323の先端で作業者の指先に切り傷ができてしまうようなことを防ぐべく前記鍔部323の先端部に波型加工等を施してもよい。即ち、前記蓋体3の外周縁に沿って周回する方向に向けて凹凸を繰り返すように非発泡層を波型に加工して保温容器1の取り扱い性を向上させるようにしてもよい。
【0062】
この蓋体3は、例えば、
図7C、
図7Dに示すような小さな凹凸を一面に設けたものであってもよい。これらの図に例示の蓋体3では、前記把持部34を把持可能にするために設けられた手先が挿入可能な大きな凹部314とは別に、該凹部314よりも小さな小凹部35aが蓋体3の前後左右に並んで配列されている。該小凹部35aは、蓋体3の上面3a側において開口し、垂直方向下方に向けて凹入するように形成されている。
【0063】
本実施形態の蓋体3は、シート成形体であるため下面3b側の形状は上面3a側の形状とは逆形状となっている。そのため、前記蓋体3の下面3b側には前記小凹部35aに対応した複数の小凸部35bが前後左右に複数ずつ並んで配列されている。本実施形態の蓋体3は、
図7C、
図7Dに示すような態様とは逆に、小凸部35bが上面3a側に形成され、小凹部35aが下面3b側に形成されていてもよい。前記小凹部35aや前記小凸部35bの平面視における大きさや隣同士の間隔などについては、前記底壁21での上凹部212aや下凹部212bと同等とすることができる。
【0064】
本実施形態では、前記のようにクラッシュアイスやドライアイスなどが保冷剤として用いられる。該保冷剤は、野菜、青果、魚介類などの保温対象物の上部に直接、又は、樹脂フィルムなどを介して載せられる。
図7C、
図7Dに示すような蓋体3では、保冷剤と蓋体3の下面3bとの密着性を低減させることができ、これらの間に空気層を形成させることができるため高い保温性能を発揮させる上で好適である。また、
図7C、
図7Dに示すような蓋体3は、保冷剤から上方に発せられた冷気を全体的に行きわたらせ易くなる点でも優れている。本実施形態の蓋体3は、樹脂発泡シートといった断熱性に優れた素材で構成されるだけでなく、その形状的な特徴においても優れた保温性能を発揮する。
【0065】
本実施形態では前記把持部34を構成する樹脂発泡シートに対しても小凹部35aや小凸部35bが形成されることで把持部34の強度が向上されている。即ち、把持部34を把持可能にするために並んで設けられた大きな凹部314の間を水平方向に接続する樹脂発泡シートに凹部314よりも小さな凹凸が形成されている
図7C、
図7Dに例示の態様では、凹部314どうしを引き寄せる方向に力が加えられて把持部34が把持された際に前記小凹部35aや前記小凸部35bが設けられていることでこの時に加えられる力に対する把持部34の変形が抑制され、把持部34をしっかりと把持することができる。
【0066】
前記樹脂発泡シートは、例えば、押出発泡法によって形成されたものを採用することができる。積層発泡シートと称される樹脂発泡シートは、例えば、発泡層と非発泡層とを共押出する共押出法によって作製されたものを採用することができる。積層発泡シートは、一旦発泡層単層となるように形成された樹脂発泡シートに非発泡層を構成する樹脂フィルムをヒートラミネートして作製されたものや押出ラミネートされて作製されたものであってもよい。前記非発泡層は、発泡層の片面にのみ形成されていても両面に形成されていてもよい。
【0067】
前記蓋体3は、このような樹脂発泡シートを熱成形することによって得られたシート成形体とすることができる。前記熱成形は、プレス成形(マッチモールド成形)、真空成形、圧空成形、真空圧空成形など従来公知の方法とすることができる。
【0068】
本実施形態の保温容器1は、樹脂発泡シート製の蓋体3を有することで保温性能に優れるとともに従来型容器に比べてコンパクト化可能であり、梱包構造体100の容積を低減するのに有効である。尚、上記に例示の保温容器1は、容器本体2に対して凹凸嵌合によって嵌着される蓋体3を有しているが、保温容器1の蓋体は、容器本体に外嵌合するものであっても内嵌合するものであってもよい。
【0069】
以下に、第2実施形態の保温容器として容器本体に内嵌合される蓋体を備えた保温容器について説明する。第2実施形態の保温容器1’に備えられる前記蓋体3’は、
図8、
図9に示されているように容器本体2’に押し込み可能な形状を有する。また、保温容器1’は、前記蓋体3’を内嵌合した状態で更にビーズ発泡成形体である厚蓋30’が嵌着可能に構成されている。
【0070】
第2実施形態の保温容器1’での容器本体2’は、第1実施形態の容器本体2と同様の構造を有している。従って、本体周側壁22’の外周面22a’によって画定される容器本体2’の平面視における輪郭形状は、四隅に丸みを帯びた矩形状であり、前記本体周側壁22’の内周面22b’によって画定される容器本体2’の上方に向けた開口2a’の形状は、容器本体2’の輪郭形状よりも本体周側壁22’の厚さ分だけ小さな矩形状となっている。また、底壁21’がドーム状となっている点についても第2実施形態の保温容器1’は、第1実施形態の保温容器1と共通している。
【0071】
該容器本体2’は、第1実施形態の容器本体2と同様に本体周側壁22’の上端部にとつじょう221’を有している。一方で前記厚蓋30’には、下面側に前記凸条221’と凹凸嵌合可能な凹溝(以下、「厚蓋凹溝301’」ともいう)が設けられている。即ち、前記厚蓋30’は、前記容器本体2’に凹凸嵌合によって嵌着可能となっている。
【0072】
第2実施形態の保温容器1’は、前記蓋体3’が前記容器本体2’に内嵌合できるように構成され、該蓋体3’が内嵌合されている前記容器本体2’に前記厚蓋30’を嵌着可能に構成されており、前記蓋体3’と前記厚蓋30’とで前記容器本体2’の前記開口2a’を二重に塞ぐことができるように構成されている。即ち、前記蓋体3’は、保温容器1’における内蓋として機能し、前記厚蓋30’は、外蓋として機能するよう備えられている。
【0073】
本実施形態での蓋体3’は、自然状態において前記開口2a’よりも一回り大きな形状を有し、前記開口2a’に押込み可能となるように弾性変形性を有している。第1実施形態での蓋体3が本体周側壁22の上端部を上方からフレーム部32で覆うように構成されていたのに対して第2実施形態の蓋体3’は、その外周部を本体周側壁22の内周面22bに当接させ、当該蓋体3’の弾性復元力によって容器本体2’に固定されるように構成されている。そのため、第1実施形態の蓋体3が開口2aの閉塞に用いられる蓋本体部31とは別に該蓋本体部31を容器本体2に固定するのに用いられるフレーム部32をも備えているのに対して第2実施形態での蓋体3’は蓋本体部31’のみの構成となっている。
【0074】
本実施形態での蓋体3’は、上記のような弾性変形性を発揮すべく周縁部に溝部(以下、「蓋溝部315’」ともいう)を有している。蓋溝部315’は、上方から下方に向けて凹入し、蓋体3’の外周縁部に沿って周回する方向に延在し、平面視における形状が矩形環状となっている。該蓋溝部315’は、蓋体3’を構成する樹脂発泡シートが外周部で一旦下方に折り曲げられた後にその外側で逆に上方に向けて折り返される形となって備えられている。
【0075】
蓋体3’は、蓋溝部315’を有することで平面方向での寸法をある程度の範囲で変更可能(拡縮可能)となっている。蓋体3’は、容器本体2’内への押込時には、該蓋溝部315’が狭幅となるように弾性変形し、該弾性変形に抗する復元力で蓋溝部315’の外壁部315a’を本体周側壁22’の内周面22b’に当接させ、該内周面22b’と外壁部315a’との摩擦力によって容器本体2’に係止されるように構成されている。そのため本実施形態の蓋体3’は、容器本体2’内での高さ位置が変更可能となっている。
【0076】
本実施形態の蓋体3’は、中心から外周縁までの寸法が、容器本体2’の上部の開口2a’の寸法に対して2mm~6mm大きくなるように形成されている。即ち、本実施形態の蓋体3’は、左右方向や前後方向に4mm以上縮小させても元の形状に復元可能な弾性変形性を有している。蓋体3’は、6mm以上の縮小に対して復元可能であってもよく、8mm以上の縮小に対して復元可能であってもよい。
【0077】
前記蓋体3’の前記蓋溝部315’よりも内側の領域は、第1実施形態の蓋体3’と同様にドーム形状の膨出部311’を有している。蓋本体部31’の中央部に上方から下方に向けて凹入した凹部314’が2つ並んで配され、該凹部314’の間が前記把持部34’となって備えられている点についても第2実施形態の保温容器1’は第1実施形態の保温容器1と共通している。
【0078】
第1実施形態の蓋体3も、第2実施形態の蓋体3’もドーム形状を有することで、例えば、容器本体2,2’に収容物を収容した後にクラッシュアイスを収容物の上に載せたりした際に、当該クラッシュアイスを中央部に寄せ集める効果を発揮する。このことにより、保温容器1,1’は、クラッシュアイスが溶けきるまでの時間を長期化させることができる。特に第2実施形態の蓋体3’は、押込み深さをある程度自由に変更できるため、例えば、下面がクラッシュアイスに当接するまで位置を下げることができ、それよりもさらに位置を下げるとドーム形状部分でのクラッシュアイスの積載高さを高くすることができる。
【0079】
本実施形態の蓋体3’にも、
図7C、
図7Dに例示の凹凸を形成させてもよい。その場合、クラッシュアイスが中央部から外周部に散ってしまうことを蓋体3’の下面での凹凸との係合により防止することができる。
【0080】
本実施形態では、該蓋体3’を内嵌合した状態で更にビーズ発泡成形体である厚蓋30’が嵌着可能である。そして、本実施形態の保温容器1’は、蓋体3’と厚蓋30’との間に空間部を設けて両者を容器本体2’に装着可能であるため、この空間部にもクラッシュアイスなどの保冷剤を収容させることもできる。その場合、蓋体3’に
図7C、
図7Dに例示の凹凸ような凹凸を設けると、保温容器1’が傾いた際に保冷剤が移動することを抑制でき、保冷剤が一箇所に固まってしまうことを防ぐことができる。
【0081】
本実施形態における前記厚蓋30’は、平面視における形状が容器本体2’と同様の矩形状で、天井壁302’と天井壁302’の周縁部より垂下する周側壁(以下「厚蓋周側壁303’」ともいう)とを有する。該厚蓋周側壁303’の径方向での厚さは、前記凸条221’の厚さよりも厚い。前記厚蓋30’は、前記本体周側壁22’の上端部における前記凸条221’が進入可能な前記厚蓋凹溝301’が前記厚蓋周側壁303’に備えられている。即ち、前記厚蓋凹溝301’は、前記厚蓋周側壁303’の下端面を上方に向けて凹入させる形で設けられている。
【0082】
前記厚蓋凹溝301’は、断面形状が矩形となるように上方に凹入している。厚蓋凹溝301’は、
図9Bに示すように前記凸条221’が突入したときに前記凸条221’の天面221a’に対向する底面301a’と、該底面301aの内周縁より垂下する内周面301b’と、前記底面301a’の外周縁より垂下する外周面301c’とを備える。前記厚蓋30’は、前記凸条221が厚蓋凹溝301’に突入して容器本体2’と凹凸嵌合した際に前記厚蓋凹溝301’の内周面31b’と前記外周面301c’との間に前記凸条221’を挟み込んだ状態となるように形成されている。
【0083】
本実施形態での厚蓋凹溝301’の内周面301b’は、当該厚蓋凹溝301’と前記凸条221’との凹凸嵌合に際して前記凸条221’の内周面221b’に当接される部位である。また、厚蓋凹溝301’の外周面301c’は、当該厚蓋凹溝301’と前記凸条221’との凹凸嵌合に際して前記凸条221’の外周面221c’に当接される部位である。一方で厚蓋凹溝301’は、前記凸条221’を最も深く進入させた場合でも前記天面221a’と前記底面301a’との間に僅かな隙間が形成されるように形成されている。即ち、本実施形態での厚蓋凹溝301’の凹入深さは前記凸条221’の突出高さよりも僅かに深い。
【0084】
前記厚蓋30’は、内周面301b’において凹入し、凸条221’の膨出部2211’と係合可能な凹入部3011’を有している。
【0085】
前記厚蓋は、
図10A、
図10Bに示すようなものであってもよい。これらの図に例示の前記厚蓋30”は、上面30a”の中央部が周縁部よりも高くなるように隆起している。即ち、この厚蓋30”での天井壁302”は、第2実施形態の蓋体3’と同様にドーム形状を有している。該厚蓋30”は、天井壁302”の外周部より下方に延びる厚蓋周側壁303”の下方に厚蓋凹溝301”を有する点においては
図9Aに例示の厚蓋30’と共通している。
【0086】
図10A、
図10Bに示す厚蓋30”での前記天井壁302”は、上面が上方に向けて突出して凸状となる曲面であるのに対応して下面が上方に向けて凹入した凹状の曲面となっている。より詳しくは、該天井壁302”には、上面が略水平面となっている水平部3021”が周縁部に設けられているとともに該水平部3021”の内側に上方に膨出した膨出部3022”が備えられている。即ち、本実施形態の天井壁302”での前記膨出部3022”は、周囲を前記水平部3021”で囲まれた状態になっている。
【0087】
本実施形態の厚蓋30”は、下面30b”側において下方に向けて突出し、且つ、厚蓋30”の中央部において下方に突出した環状のリブ(以下「環状リブ309a”」ともいう)を備えている。前記環状リブ309a”は、平面視における形状が円環状である。前記環状リブ309a”は、前記膨出部3022”に設けられている。
【0088】
該厚蓋30”は、下面30b”側において下方に向けて突出し、且つ、厚蓋30”の四隅のそれぞれから厚蓋30”の中央部に向けて帯状に延びるリブ(以下「帯状リブ309b”」ともいう)を更に備えいる。前記帯状リブ309b”は、前記水平部3021”から前記膨出部3022”との境界を超えて厚蓋30”の中央部に向けて延在している。即ち、帯状リブ309b”は、前記水平部3021”と前記膨出部3022”とに跨るように設けられている。前記帯状リブ309b”の中央側の端部は、前記環状リブ309a”に接続されている。
【0089】
本実施形態での前記環状リブ309a”や前記帯状リブ309b”は、20mm以上の幅を有し、1mm以上の突出高さを有する。環状リブ309a”や帯状リブ309b”の幅は、30mm以上であってもよい。環状リブ309a”や帯状リブ309b”の突出高さは2mm以上であってもよい。
【0090】
本実施形態では、このようなリブを有することで高い強度が発揮されるため厚蓋30”の厚さを薄くすることができる。しかも、
図10A、
図10Bに示す厚蓋30”では膨出部3022”を有することで上面側に加わる荷重を周縁部に向けて分散させることができ、リブとの相乗効果によってより薄肉化が可能になっている。尚、リブを設けることによる薄肉化は、
図9Aに示したような平板状の厚蓋30’でも発揮され得る。
【0091】
本実施形態では前記のように蓋体3’が膨出部311’を有している。そして、蓋体3’は、中央部が最も上下方向の位置が高くなるように形成されている。本実施形態では前記帯状リブ309a”が厚蓋30”の中央までは到達しておらず、該厚蓋30”の中央は、環状リブ309a”の内側に位置し、環状リブ309a”よりも凹入した状態になっている。そのため本実施形態では厚蓋30”の下面30b”と前記蓋体3’の上面3a’とが干渉し難くなっている、このことにより本実施形態の保温容器1、1’は、全体形状をコンパクト化しつつ収容物を収容可能な容積を広く確保できるようになっている。
【0092】
以上のように保温容器1、1’は、上記のような蓋体3,3’を有することで保温性に優れ、しかも、クラッシュアイスの持ちを良好にすることから、容積を小さくしてクラッシュアイスの収容量を減量しても従来と同等の保温性能を発揮し得る。また、本実施形態の蓋体3,3’は、容器本体2,2’に密閉性の高い閉空間を形成可能であるため、ドライアイスのような保冷剤が使用された場合にも冷気が外部に漏洩し難く優れた保温性能を保温容器1,1’に発揮させ得る。尚、保温容器1、1’は、保冷を目的とした場合だけでなく、暖かな収容物を暖かな状態のまま保温する目的でも用いられ得る。
【0093】
ここではこれ以上に詳細な説明を繰り返すことはしないが保温容器や梱包構造体については上記例示に特に限定されず各種の変更を加えることができる。即ち、本発明は上記例示に何等限定されるものではない。
【符号の説明】
【0094】
1,1’:保温容器、2,2’:容器本体、2a,2a’:開口、3,3’:蓋体
21:底壁、22:本体周側壁、221:凸条、
31:蓋本体部、32:フレーム部、321:蓋凹溝、322:矩形リブ部、323:鍔部、34:把持部、
100:梱包構造体、110:容器集合体、111:容器列