IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

特開2023-136100コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具
<>
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図1
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図2A
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図2B
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図3
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図4
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図5
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図6
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図7
  • 特開-コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136100
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20230922BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230922BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20230922BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/10
H02J50/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041540
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】野口 康次
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 満成
(57)【要約】
【課題】コイルの製造を容易化することができるコイルユニットを提供する。
【解決手段】3以上の層のそれぞれに巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、前記コイルの一方側の端の層が配置され、前記コイルの中心穴に対応して位置する第1貫通穴と、前記第1貫通穴から外側に延伸する第1スリットと、前記第1貫通穴の周囲の一部に設けられた第1突部と、を有する第1スペーサと、前記コイルの他方側の端の層が配置され、前記コイルの前記中心穴に対応して位置する第2貫通穴と、前記第2貫通穴から外側に延伸する第2スリットと、前記第2貫通穴の周囲の一部に設けられた第2突部と、を有する第2スペーサと、を備え、前記第1突部と前記第2突部とは、前記コイルの前記中心穴の貫通方向に平行に見る視点で、異なる位置に配置されている、コイルユニット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3以上の層のそれぞれに巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、
前記コイルの一方側の端の層が配置され、前記コイルの中心穴に対応して位置する第1貫通穴と、前記第1貫通穴から外側に延伸する第1スリットと、前記第1貫通穴の周囲の一部に設けられた第1突部と、を有する第1スペーサと、
前記コイルの他方側の端の層が配置され、前記コイルの前記中心穴に対応して位置する第2貫通穴と、前記第2貫通穴から外側に延伸する第2スリットと、前記第2貫通穴の周囲の一部に設けられた第2突部と、を有する第2スペーサと、を備え、
前記第1突部と前記第2突部とは、前記コイルの前記中心穴の貫通方向に平行に見る視点で、異なる位置に配置されている、
コイルユニット。
【請求項2】
前記第1突部は、複数備えられており、
複数の前記第1突部は、前記第1貫通穴の対角の位置に配置されており、
前記第2突部は、複数備えられており、
複数の前記第2突部は、前記第2貫通穴の対角の位置に配置されている、
請求項1に記載のコイルユニット。
【請求項3】
前記第1スペーサが表裏反転させられた場合、前記第1貫通穴、前記第1突部および前記第1スリットは、それぞれ、前記第2スペーサの前記第2貫通穴、前記第2突部および前記第2スリットと一致した形状を有する、
請求項1または請求項2に記載のコイルユニット。
【請求項4】
前記第1スペーサまたは前記第2スペーサの少なくとも一方は、孔部を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコイルユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイルユニットと、
前記コイルユニットに固定され、磁性体を搭載したシールドと、
前記コイルユニットおよび前記シールドを保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記筐体の側壁に、前記シールドの側部に係合して前記シールドを固定する係止溝を有する、
コイル装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記筐体の側壁に、前記コイルユニットの前記第1スペーサの側部に係合して前記第1スペーサを固定する少なくとも2段の係止溝を有する、
請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置に電力を送電するワイヤレス送電装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイルユニットを備える、
ワイヤレス送電装置。
【請求項8】
ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置であって、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイルユニットを備える、
ワイヤレス受電装置。
【請求項9】
ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、
前記ワイヤレス送電装置と前記ワイヤレス受電装置との少なくとも一方は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイルユニットを備える、
ワイヤレス電力伝送システム。
【請求項10】
第1スペーサを載置する第1平板部と、前記第1平板部の中心に位置し前記第1スペーサの第1貫通穴に挿入される第1軸部と、を有する第1巻き治具と、
第2スペーサを載置する第2平板部と、前記第2平板部の中心に位置し前記第2スペーサの第2貫通穴に挿入される第2軸部と、を有する第2巻き治具と、を備え、
前記第1軸部は、前記第1スペーサの第1突部が係止される第1係止部と、前記第2スペーサの第2突部が係止される第2係止部と、を有しており、
前記第2軸部は、前記第1スペーサの前記第1突部が係止される第3係止部と、前記第2スペーサの前記第2突部が係止される第4係止部と、を有しており、
前記第1係止部と、前記第2係止部とは、前記第1スペーサの前記第1貫通穴および前記第2スペーサの前記第2貫通穴の貫通方向に非平行な視点で、異なる溝の高さを有しており、
前記第3係止部と、前記第4係止部とは、前記第1スペーサの前記第1貫通穴および前記第2スペーサの前記第2貫通穴の貫通方向に非平行な視点で、異なる溝の高さを有している、
治具。
【請求項11】
前記第2スペーサを載置する前記第2平板部は、前記第2スペーサの孔部に対応した位置に切欠き部を有している、
請求項10に記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス電力伝送などにおいて、コイルを有するコイルユニットが用いられている。
【0003】
特許文献1に記載されたコイルは、複数の層を有する積層構成であり、各層の導線収容部を仕切る平板部を有するボビンと、平面状に複数回巻回された導線を有して各層の導線収容部に収容される巻線部と、を備える。そして、当該コイルでは、巻線部は、平板部を介して1ターンごとに上層と下層とを行き来するように巻回されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-128144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、コイルユニットのコイルを製造し易くするという観点で未だに不十分な点があった。
特に、複数の層に配置されるコイルを有するコイルユニットを製造し易くすることが要望されていた。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、コイルの製造を容易化することができるコイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、3以上の層のそれぞれに巻回された導線からなる巻線部を有するコイルと、前記コイルの一方側の端の層が配置され、前記コイルの中心穴に対応して位置する第1貫通穴と、前記第1貫通穴から外側に延伸する第1スリットと、前記第1貫通穴の周囲の一部に設けられた第1突部と、を有する第1スペーサと、前記コイルの他方側の端の層が配置され、前記コイルの前記中心穴に対応して位置する第2貫通穴と、前記第2貫通穴から外側に延伸する第2スリットと、前記第2貫通穴の周囲の一部に設けられた第2突部と、を有する第2スペーサと、を備え、前記第1突部と前記第2突部とは、前記コイルの前記中心穴の貫通方向に平行に見る視点で、異なる位置に配置されている、コイルユニットである。
【0008】
本開示の一態様は、前記コイルユニットと、前記コイルユニットに固定され、磁性体を搭載したシールドと、前記コイルユニットおよび前記シールドを保持する筐体と、を備え、前記筐体は、前記筐体の側壁に、前記シールドの側部に係合して前記シールドを固定する係止溝を有する、コイル装置である。
【0009】
本開示の一態様は、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置に電力を送電するワイヤレス送電装置であって、前記コイルユニットを備える、ワイヤレス送電装置である。
【0010】
本開示の一態様は、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置であって、前記コイルユニットを備える、ワイヤレス受電装置である。
【0011】
本開示の一態様は、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システムであって、前記ワイヤレス送電装置と前記ワイヤレス受電装置との少なくとも一方は、前記コイルユニットを備える、ワイヤレス電力伝送システムである。
【0012】
本開示の一態様は、第1スペーサを載置する第1平板部と、前記第1平板部の中心に位置し前記第1スペーサの第1貫通穴に挿入される第1軸部と、を有する第1巻き治具と、第2スペーサを載置する第2平板部と、前記第2平板部の中心に位置し前記第2スペーサの第2貫通穴に挿入される第2軸部と、を有する第2巻き治具と、を備え、前記第1軸部は、前記第1スペーサの第1突部が係止される第1係止部と、前記第2スペーサの第2突部が係止される第2係止部と、を有しており、前記第2軸部は、前記第1スペーサの前記第1突部が係止される第3係止部と、前記第2スペーサの前記第2突部が係止される第4係止部と、を有しており、前記第1係止部と、前記第2係止部とは、前記第1スペーサの前記第1貫通穴および前記第2スペーサの前記第2貫通穴の貫通方向に非平行な視点で、異なる溝の高さを有しており、前記第3係止部と、前記第4係止部とは、前記第1スペーサの前記第1貫通穴および前記第2スペーサの前記第2貫通穴の貫通方向に非平行な視点で、異なる溝の高さを有している、治具である。
【発明の効果】
【0013】
本開示に係るコイルユニット、コイル装置、ワイヤレス送電装置、ワイヤレス受電装置、ワイヤレス電力伝送システムおよび治具によれば、コイルの製造を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図2A】実施形態に係るコイル装置の内部の一例およびコイルユニットの一方の面の一例を示す図である。
図2B】実施形態に係るコイル装置の外観の一例を示す図である。
図3】実施形態に係るコイルユニットの他方の面の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る第1スペーサの一例および第2スペーサの一例を示す図である。
図5】実施形態に係るコイル装置の構成部の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るコイル装置の所定方向の断面図である。
図7】実施形態に係る第1巻き治具および第2巻き治具を有する治具の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る第2巻き治具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
本実施形態では、それぞれの部材(構成部)の形状あるいは寸法など、または、2以上の部材の関係について例示するが、これらは、必ずしも本実施形態の例示通りに厳密に構成されなくてもよく、例えば、実用上で支障のない程度で、製造誤差などの誤差を含んでもよい。
具体例として、2以上の部材の関係を表す語としては、平行、垂直、等しい(同じ)、中心などがあるが、これらは、必ずしも本実施形態の例示通りに厳密に構成されなくてもよく、例えば、実用上で支障のない程度で、製造誤差などの誤差を含んでもよい。
【0016】
<ワイヤレス電力伝送システム>
図1は、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図1には、移動体の一例である無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)を示してある。
また、図1には、地面Gを示してある。
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10は、地面Gおよびその付近に設置されている。また、ワイヤレス受電装置20は、AGVに設けられている。
【0017】
ワイヤレス電力伝送システム1は、ワイヤレス送電装置10と、ワイヤレス受電装置20と、を備える。
ワイヤレス送電装置10は、送電ユニット11と、送電コイルユニット12と、を備える。
送電コイルユニット12は、送電コイルL1を備える。
ワイヤレス受電装置20は、受電コイルユニット21と、受電ユニット22と、を備える。
受電ユニット22は、受電コイルL2を備える。
【0018】
ワイヤレス受電装置20は、負荷と接続可能である。負荷は、電力の需要状態(貯蔵状態または消費状態)に応じて、等価抵抗値が時間とともに変わる抵抗負荷である。図1に示した例では、ワイヤレス受電装置20は、このような負荷として、移動体に搭載されたバッテリーと接続されている。
【0019】
なお、移動体としては、AGVに代えて、電気により制御される他の装置であってもよい。
また、ワイヤレス受電装置20は、移動体に搭載されたバッテリーに代えて、移動体に搭載されたモーターに接続される構成であってもよく、あるいは、他の負荷に接続される構成であってもよい。
また、ワイヤレス受電装置20は、負荷を備える構成であってもよい。
【0020】
送電ユニット11は、送電コイルユニット12と接続されている。
また、送電ユニット11は、送電ユニット11とは別体の電源と接続される。
送電ユニット11は、当該電源から入力される交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換し、変換した直流電圧を駆動周波数の交流電圧に変換する。そして、送電ユニット11は、駆動周波数の交流電圧を送電コイルユニット12に供給する。
ここで、当該電源は、例えば、外部の商用電源等である。
【0021】
送電ユニット11は、例えば、AC(Alternating Current)/DC(Direct Current)コンバータ、あるいは、インバータなどを備える。当該インバータは、例えば、複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路等により構成される。
なお、送電ユニット11は、AC/DCコンバータに代えて、交流電圧を所望の電圧値の直流電圧に変換する他の回路を備える構成であってもよい。当該他の回路は、整流平滑回路とPFC(Power Factor Correction)回路とを組み合わせた回路であってもよく、あるいは、当該整流平滑回路とスイッチング回路とを組み合わせた回路であってもよい。当該整流平滑回路は、交流電圧を整流して直流電圧に変換する回路である。当該PFC回路は、力率改善を行う回路である。当該スイッチング回路は、スイッチングコンバータ等の回路である。
また、送電ユニット11は、当該インバータに代えて、直流電圧を交流電圧に変換する他の回路を備える構成であってもよい。
【0022】
送電コイルL1は、ワイヤレス電力伝送用のアンテナとして機能するコイルである。すなわち、送電コイルL1は、送電ユニット11から供給される交流電圧に応じて交流磁界を発生させる。これにより、送電コイルユニット12は、送電コイルL1を介したワイヤレス電力伝送によって電力をワイヤレス受電装置20に送電する。
なお、図1では、図を簡略化するため、送電コイルL1が直方体形状の物体として描かれている。
【0023】
また、送電コイルユニット12は、図示しないコンデンサを備える。当該コンデンサは、送電コイルユニット12において、送電コイルL1とともに送電側共振回路を構成する。
また、送電コイルユニット12は、図示しない磁性体を備える。当該磁性体は、送電コイルL1と受電コイルL2との間の磁気的結合を高める物体である。例えば、当該磁性体に、絶縁体製のボビンを介して、送電コイルL1が設けられる。
なお、送電コイルユニット12は、このような磁性体に加えて、送電コイルL1と受電コイルL2との間の磁気的結合を高める他の物体を備える構成であってもよい。
【0024】
また、送電コイルユニット12は、電磁気遮蔽体を備える構成であってもよく、当該電磁気遮蔽体を備えない構成であってもよい。当該電磁気遮蔽体は、送電コイルL1が発生させる磁界の外部への漏洩を抑制する物体である。当該電磁気遮蔽体は、例えば、金属板等である。
【0025】
ここで、送電コイルL1として巻回される導線は、例えば、リッツ線である。
リッツ線は、銅、アルミニウム等からなる導線である。
なお、送電コイルL1として巻回される導線としては、リッツ線に代えて、他の素材により構成された導線であってもよい。
【0026】
送電コイルL1は、ワイヤレス電力伝送によって受電コイルユニット21に電力を送電する場合に、受電コイルユニット21と向き合うように設置される。
図1に示した例では、送電コイルL1は、AGVが有する面のうち受電コイルユニット21が搭載された面と向かい合うように、地面Gの上に設置されている。
また、図1に示した例では、送電コイルL1を備えた送電コイルユニット12は、送電ユニット11とともに地面Gの上に設置されている。
ここで、図1に示した例では、送電ユニット11と送電コイルユニット12とは別体であるが、他の構成例として、送電ユニット11と送電コイルユニット12とは一体に構成されてもよい。
【0027】
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10を制御する制御回路は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20との間で行われるワイヤレス電力伝送を制御する。
当該制御回路は、当該ワイヤレス電力伝送を制御することが可能な回路であれば、如何なる回路であってもよい。
本実施形態では、ワイヤレス送電装置10を制御する制御回路についての詳しい説明を省略する。
【0028】
受電コイルL2は、ワイヤレス電力伝送用のアンテナとして機能するコイルである。すなわち、受電コイルユニット21は、受電コイルL2を介したワイヤレス電力伝送によって電力をワイヤレス送電装置10から受電する。
なお、図1では、図を簡略化するため、受電コイルL2が直方体形状の物体として描かれている。
【0029】
また、受電コイルユニット21は、図示しないコンデンサを備える。当該コンデンサは、受電コイルユニット21において、受電コイルL2とともに受電側共振回路を構成する。
また、受電コイルユニット21は、図示しない磁性体を備える。当該磁性体は、受電コイルL2と送電コイルL1との間の磁気的結合を高める物体である。例えば、当該磁性体に、絶縁体製のボビンを介して、受電コイルL2が設けられる。
なお、受電コイルユニット21は、このような磁性体に加えて、受電コイルL2と送電コイルL1との間の磁気的結合を高める他の物体を備える構成であってもよい。
【0030】
また、受電コイルユニット21は、電磁気遮蔽体を備える構成であってもよく、当該電磁気遮蔽体を備えない構成であってもよい。当該電磁気遮蔽体は、受電コイルL2が発生させる磁界の外部への漏洩を抑制する物体である。当該電磁気遮蔽体は、例えば、金属板等である。
【0031】
受電コイルL2として巻回される導線は、例えば、リッツ線である。
なお、受電コイルL2として巻回される導線は、リッツ線に代えて、他の素材により構成された導線であってもよい。
【0032】
受電コイルL2は、ワイヤレス電力伝送によって送電コイルユニット12から電力を受電する場合に、送電コイルユニット12と向き合うように設置される。
図1に示した例では、受電コイルL2は、地面Gの上に設置された送電コイルユニット12の送電コイルL1と向かい合うように、AGVの側面に設置されている。
また、図1に示した例では、受電コイルL2を備えた受電コイルユニット21は、受電ユニット22とともに、AGVの側面に設置されている。
ここで、図1に示した例では、受電コイルユニット21と受電ユニット22とは別体であるが、他の構成例として、受電コイルユニット21と受電ユニット22とは一体に構成されてもよい。
また、受電コイルユニット21は、AGVの底面に設置される構成であってもよい。
【0033】
受電ユニット22は、受電コイルユニット21と接続されている。
本実施形態では、受電ユニット22は、負荷(図1に示した例では、AGVの負荷)と接続される。
また、受電ユニット22は、受電コイルL2から供給される交流電圧を整流して直流電圧に変換する。
受電ユニット22は、負荷と接続されている場合、変換した直流電圧を当該負荷に供給する。
なお、ワイヤレス受電装置20では、受電ユニット22は、充電回路を介して負荷と接続される構成であってもよい。
【0034】
受電ユニット22は、例えば、整流回路、平滑化回路等を備える。当該整流回路は、交流電圧を整流する回路である。当該平滑化回路は、当該整流回路により整流された電圧を平滑化して直流電圧に変換する回路である。
なお、受電ユニット22は、当該整流回路、当該平滑化回路に加えて、他の回路を備える構成であってもよい。
【0035】
実施形態では、ワイヤレス受電装置20を制御する制御回路は、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20との間で行われるワイヤレス電力伝送を制御する。当該制御回路は、当該ワイヤレス電力伝送を制御することが可能な回路であれば、如何なる回路であってもよい。
本実施形態では、ワイヤレス受電装置20を制御する制御回路についての詳しい説明を省略する。
【0036】
ここで、本実施形態では、送電コイルユニット12の構成と受電コイルユニット21の構成とは、同じ構成であってもよく、あるいは、異なる構成であってもよい。
以下では、一例として、送電コイルユニット12の構成と受電コイルユニット21の構成とが同じ構成である場合について説明する。
【0037】
そこで、以下では、説明の便宜上、送電コイルユニット12と受電コイルユニット21とを区別する必要がない限り、これらをまとめてコイルユニットと称して説明する。
また、以下では、説明の便宜上、送電コイルL1と受電コイルL2とを区別する必要がない限り、これらをまとめてコイルと称して説明する。
【0038】
<コイル装置およびコイルユニット>
図2Aは、実施形態に係るコイル装置111の内部の一例およびコイルユニット211の一方の面の一例を示す図である。
図2Bは、実施形態に係るコイル装置111の外観の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係るコイルユニット211の他方の面の一例を示す図である。
図2A図2Bおよび図3には、それぞれ、説明の便宜上、三次元直交座標系であるXYZ直交座標系を示してある。
【0039】
本実施形態では、コイル装置111は、直方体(立方体を含む。)の形状を有しており、厚みのある平板状の形状を有している。
コイル装置111は、面積が大きい互いに対向する2個の面(XY平面に平行な面)と、それよりも面積が小さい4個の面を有しており、総じて直方体(立方体を含む。)の形状を有している。
ここで、面積が小さい4個の面は、互いに対向する2個の面(XZ平面に平行な面)と、互いに対向する他の2個の面(YZ平面に平行な面)を含む。2個の面(XZ平面に平行な面)の面積と、他の2個の面(YZ平面に平行な面)の面積とは、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。
【0040】
本実施形態では、説明の便宜上、コイル装置111の平板状の面をXY平面に平行に配置して説明するが、コイル装置111は、図1の例のように、XZ平面に平行な2個の面がそれぞれ重力の上方側および下方側に配置されてもよい。
なお、コイル装置111の配置の向きは、任意であってもよい。
【0041】
図2Aおよび図2Bに示されるように、コイル装置111は、外面に筐体などを備えている。
図2Bの例では、筐体121、樹脂蓋123、および、第1a側壁部124aが示されている。
また、図2Bの例では、コイル223の引出線の部分である引出線部223aが示されている。
【0042】
図2Aには、コイル装置111の内部の一例として、樹脂蓋123が取り外された状態におけるコイル装置111の外観の一例を示してある。
コイル装置111の内部には、コイルユニット211が収容されている。
コイルユニット211は、コイル223を有する。
図2Aの例では、コイルユニット211に備えられる第1スペーサ221が示されている。
本実施形態では、コイル223は、導体が円状に複数回巻回されて構成されており、2本の引出線を有している。
コイル223は、導体が巻回されていない円の中央部に、中心穴223bを有している。本実施形態では、中心穴223bは、円状の形状を有している。
【0043】
ここで、図2Aの例では、Z軸の正側におけるコイルユニット211の外観が示されている。
図3には、反対側であるZ軸の負側におけるコイルユニット211の外観が示されている。
本実施形態では、コイル223を構成する導体は、複数の層のそれぞれにおいて複数回巻回されており、例えば、Z軸の正側の面にもZ軸の負側の面にも配置されている。
コイル223を構成する導体は、複数の層のそれぞれで複数回巻回されていてもよく、これに限られず、例えば、複数の層のいずれかで1ターンのみ巻回されていてもよい。
【0044】
図4は、実施形態に係る第1スペーサ221の一例および第2スペーサ222の一例を示す図である。
図4には、説明の便宜上、図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図4は、分解斜視図である。
【0045】
図4の例では、第1スペーサ221がZ軸の負側に配置されており、第2スペーサ222がZ軸の正側に配置されている。
第1スペーサ221は、平板状の形状を有しており、平板状の面が長方形(正方形を含む。)である。
第2スペーサ222は、平板状の形状を有しており、平板状の面が円形である。
第1スペーサ221の平板状の面と、第2スペーサ222の平板状の面とが、互いに対向させられている。
本実施形態では、第1スペーサ221の平板状の面、および、第2スペーサ222の平板状の面は、それぞれ、XY平面に平行な面である。
【0046】
本実施形態では、コイルユニット211は、第1スペーサ221および第2スペーサ222と、コイル223を有する。
コイルユニット211は、第1スペーサ221および第2スペーサ222にコイル223が配置されることで構成される。
本実施形態では、コイル223は、3個の層のそれぞれに複数回巻回された導線からなる巻線部を有する。これら3個の層は、第1スペーサ221のZ軸の負側の層と、第1スペーサ221と第2スペーサ222との間の層(第1スペーサ221のZ軸の正側の層であって、第2スペーサ222のZ軸の負側の層)と、第2スペーサ222のZ軸の正側の層である。
なお、図4の例では、コイル223の図示を省略してある。
【0047】
第1スペーサ221には、コイル223の一方側の端の層(ここでは、Z軸の負側の層であり、説明の便宜上、下層と呼ばれてもよい。)が配置される。
第2スペーサ222には、コイル223の他方側の端の層(ここでは、Z軸の正側の層であり、説明の便宜上、上層と呼ばれてもよい。)が配置される。
第1スペーサ221と第2スペーサ222との間には、コイル223の他の1個の層(中間層と呼ばれてもよい。)が配置される。
【0048】
第1スペーサ221は、第1貫通穴311と、第1スリット312と、第1突部を構成する2個の突部(第1a突部313aおよび第1b突部313b)と、第1孔部を構成する3箇所の貫通した孔部(第1a孔部314a、第1b孔部314bおよび第1c孔部314c)と、を有する。
【0049】
第1貫通穴311は、コイル223の中心穴223bに対応して位置する。
本実施形態では、Z軸に平行な方向において、第1貫通穴311の中心の位置は、コイル223の中心穴223bの中心の位置と一致する。
本実施形態では、第1貫通穴311は、円状の形状を有している。
【0050】
第1スリット312は、第1貫通穴311から外側に延伸するスリットである。
本実施形態では、第1スリット312は、第1貫通穴311から外側の端(図4の例では、X軸の負側の端)に延伸する切欠き状の形状を有している。
【0051】
第1a突部313aおよび第1b突部313bは、それぞれ、第1貫通穴311の周囲の一部に設けられている。
本実施形態では、第1a突部313aと第1b突部313bとは、第1貫通穴311の対角の位置に配置されている。
【0052】
第1a孔部314aは、第1貫通穴311に対してY軸の負側に配置されており、第1スペーサ221に設けられた複数の孔を有している。
第1b孔部314bは、第1貫通穴311に対してX軸の正側に配置されており、第1スペーサ221に設けられた複数の孔を有している。
第1c孔部314cは、第1貫通穴311に対してY軸の正側に配置されており、第1スペーサ221に設けられた複数の孔を有している。
【0053】
第2スペーサ222は、第2貫通穴411と、第2スリット412と、第2突部を構成する2個の突部(第2a突部413aおよび第2b突部413b)と、第2孔部を構成する3箇所の貫通した孔部(第2a孔部414a、第2b孔部414bおよび第2c孔部414c)と、を有する。
【0054】
第2貫通穴411は、コイル223の中心穴223bに対応して位置する。
本実施形態では、Z軸に平行な方向において、第2貫通穴411の中心の位置は、コイル223の中心穴223bの中心の位置と一致する。
本実施形態では、第2貫通穴411は、円状の形状を有している。
【0055】
第2スリット412は、第2貫通穴411から外側に延伸するスリットである。
本実施形態では、第2スリット412は、第2貫通穴411から外側の端(図4の例では、X軸の負側の端)に延伸する切欠き状の形状を有している。
【0056】
第2a突部413aおよび第2b突部413bは、それぞれ、第2貫通穴411の周囲の一部に設けられている。
本実施形態では、第2a突部413aと第2b突部413bとは、第2貫通穴411の対角の位置に配置されている。
【0057】
ここで、本実施形態では、第1スペーサ221における対角の突部(第1a突部313a、第1b突部313b)と、第2スペーサ222における対角の突部(第2a突部413a、第2b突部413b)と、で互いに回転方向に90度ずれた配置とした。
第1スペーサ221に備えられる突部の数としては、1個以上の任意の数であってもよい。また、第1スペーサ221に2個以上の突部が備えられる場合、これらの突部の配置としては、必ずしも対角に限られず、様々な配置が用いられてもよい。
同様に、第2スペーサ222に備えられる突部の数としては、1個以上の任意の数であってもよい。また、第2スペーサ222に2個以上の突部が備えられる場合、これらの突部の配置としては、必ずしも対角に限られず、様々な配置が用いられてもよい。
【0058】
第2a孔部414aは、第2貫通穴411に対してY軸の負側に配置されており、第2スペーサ222に設けられた複数の孔を有している。
第2b孔部414bは、第2貫通穴411に対してX軸の正側に配置されており、第2スペーサ222に設けられた複数の孔を有している。
第2c孔部414cは、第2貫通穴411に対してY軸の正側に配置されており、第2スペーサ222に設けられた複数の孔を有している。
【0059】
ここで、第1突部(第1a突部313aおよび第1b突部313b)と第2突部(第2a突部413aおよび第2b突部413b)とは、コイル223の中心穴223bの貫通方向に平行な視点(Z軸に平行な方向で見た視点)で、異なる位置に配置されている。
【0060】
本実施形態では、第1スペーサ221と第2スペーサ222とは、互いの平板状の面が平行になるように、ネジ止めにより、固定される。
第1スペーサ221の平板状の面の形状、および、第2スペーサ222の平板状の面の形状は、それぞれ、任意の形状を有していてもよい。
なお、第1スペーサ221と第2スペーサ222とを固定する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。
【0061】
[第1スペーサおよび第2スペーサの構成]
一例として、第1スペーサ221が表裏反転させられた場合、第1貫通穴311、第1突部(第1a突部313a、第1b突部313b)および第1スリット312は、第2スペーサ222の第2貫通穴411、第2突部(第2a突部413a、第2b突部413b)および第2スリット412と一致した形状(または、ほぼ一致した形状)を有する。
このような構成では、例えば、第1スペーサ221および第2スペーサ222の製造を簡易化することが可能である。
また、本実施形態では、第1スペーサ221の形状と第2スペーサ222の形状とを異ならせたが、例えば、第1スペーサとして使用される部材の表裏を反転させて第2スペーサとして使用してもよく、この場合、第1スペーサと第2スペーサとを共通の部材とすることが可能である。
【0062】
図5は、実施形態に係るコイル装置111の構成部の一例を示す図である。
図5には、説明の便宜上、図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図5は、分解斜視図である。
【0063】
コイル装置111は、コイルユニット211と、シールド122と、筐体121と、樹脂蓋123と、第1a側壁部124aと、第1b側壁部124bと、を備える。
ここで、本実施形態では、第1a側壁部124a、および第1b側壁部124bは、筐体121を構成する構成部であり、筐体121のうちの他の部分(説明の便宜上、筐体121の本体部とも呼ぶ。)に固定される。
【0064】
Z軸の負側から正側に向かって、筐体121、シールド122、コイルユニット211、樹脂蓋123の順で配置される。
筐体121は、平板状の形状を有する面を備える。当該面は、長方形(正方形を含む。)である。筐体121は、例えば、金属のシールドとして構成されてもよい。筐体121は、例えば、アルミニウム(Al)の押し出しにより生成されてもよい。
【0065】
シールド122は、平板状の形状を有しており、平板状の面が長方形(正方形を含む。)である。シールド122は、金属のシールドである。
樹脂蓋123は、平板状の形状を有する面を備える。当該面は、長方形(正方形を含む。)である。
【0066】
ここで、筐体121の平板状の面、シールド122の平板状の面、および、樹脂蓋123の平板状の面は、同じ形状(または、ほぼ同じ形状)で同じ大きさ(または、ほぼ同じ大きさ)であり、コイルユニット211の平板状の面と同じ形状(または、ほぼ同じ形状)で同じ大きさ(または、ほぼ同じ大きさ)である。
これらの面は、XY平面に平行な面となっている。
【0067】
シールド122は、コイルユニット211と対向する面(Z軸の正側の面)に、磁性体を搭載した磁性体部131を有している。シールド122は、磁性体のホルダーの機能を有している。
本実施形態では、磁性体部131は、磁気シールドとして用いられている。
【0068】
図5の例では、磁性体部131は、Y軸の負側に配置された一方の磁性体部を構成する複数の磁性体131aと、Y軸の正側に配置された他方の磁性体部を構成する複数の磁性体131bと、を備える。
図5の例では、シールド122は、一方の磁性体部と他方の磁性体部との間に、空隙151を有している。空隙151は、平面状の面の対向する2個の辺(X軸の正側の辺と負側の辺)の中央部を結ぶ形状を有している。空隙151は、例えば、コイルを構成する導体の一部(例えば、引出線部223a)、または、当該導体と接続される他の導体(例えば、他の回路と接続するための導線)が配置される場所として用いられてもよい。
このような空隙151により、例えば、配線の作業を容易化することが可能である。
なお、図5の例では、図示を簡易化して、複数の磁性体のうちの2個の磁性体131a、131bに符号を付してあり、他の磁性体の符号を省略してある。
【0069】
ここで、複数の磁性体の数は、任意であってもよい。
また、一方の磁性体部、あるいは、他方の磁性体部は、例えば、1個の磁性体から構成されてもよい。
また、磁性体部131は、例えば、空隙151を有していなくてもよい。
ここで、本実施形態では、シールド122と磁性体部131(磁性体131a、131b)とは接着剤により固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
なお、磁性体としては、例えば、フェライトが用いられる。
【0070】
シールド122は、平板状の面の1個の辺(X軸の負側の辺)の中央部に、切欠き部152を有している。
シールド122は、コイルユニット211に固定される。このとき、コイルユニット211のコイル223の引出線部223aは、シールド122の切欠き部152に対応する位置に配置される。
ここで、本実施形態では、シールド122とコイルユニット211とはネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0071】
筐体121は、コイルユニット211およびシールド122を保持する。
筐体121は、平板状の面を有する部分である天板部121gと、第2a側壁部121aと、第2b側壁部121bと、を備える。
第2a側壁部121aは、天板部121gの周囲の一側(X軸の正側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
第2b側壁部121bは、天板部121gの周囲の一側(X軸の正側)とは異なる側であって、当該一側(X軸の正側)に対向する側(X軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0072】
第2b側壁部121bは、Z軸の正側の辺の中央部に、切欠き部161を有している。
筐体121がコイルユニット211を保持するときに、コイルユニット211のコイル223の引出線部223aは、第2b側壁部121bの切欠き部161に対応する位置に配置される。
【0073】
筐体121は、筐体121の側壁(第2a側壁部121a、第2b側壁部121b)に、コイルユニット211の第1スペーサ221の側部およびシールド122の側部に係合して第1スペーサ221およびシールド122を固定する溝部511a、511bを有する。
溝部511a、511bは、複数の係止溝を有する。
【0074】
第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、筐体121の第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bでは空いている2個の側面のそれぞれに配置される。
第1a側壁部124aは、天板部121gの周囲の一側(Y軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
第1b側壁部124bは、天板部121gの周囲の一側(Y軸の負側)とは異なる側であって、当該一側(Y軸の負側)に対向する側(Y軸の正側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0075】
ここで、第1a側壁部124aと、第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bとは、それぞれの接する端部で、連結する。
また、第1b側壁部124bと、第2a側壁部121aおよび第2b側壁部121bとは、それぞれの接する端部で、連結する。
第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、例えば、筐体121と同じ材質で構成されていてもよい。
ここで、第1a側壁部124aおよび第1b側壁部124bは、それぞれ、筐体121の本体部とネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0076】
樹脂蓋123は、コイルユニット211およびシールド122が筐体121に収容された状態で、筐体121に組み合わされる。
樹脂蓋123は、平板状の面を有する部分である天板部123gと、側壁部123aと、側壁部123bと、を備える。
側壁部123aは、天板部123gの周囲の一側(X軸の正側)から所定方向(Z軸の負方向)に延びている(例えば、垂下する)。
側壁部123bは、天板部123gの周囲の一側(X軸の正側)に対向する側(X軸の負側)から所定方向(Z軸の正方向)に延びている(例えば、垂下する)。
【0077】
本実施形態では、樹脂蓋123と筐体121とが組み合わされた場合に、側壁部123aは第2a側壁部121aの外側を覆い、側壁部123bは第2b側壁部121bの外側を覆う。
ここで、本実施形態では、樹脂蓋123と筐体121とはネジ止めにより固定されるが、これらは、他の手法により固定されてもよい。
【0078】
ここで、コイル装置111の構成は、例えば、送電に用いられるコイル装置と、受電に用いられるコイル装置とで、共通であってもよく、あるいは、異なっていてもよい。
例えば、送電に用いられるコイル装置と、受電に用いられるコイル装置とで、コイル(図5の例では、コイル223)、あるいは、コイルユニット(図5の例では、コイルユニット211)の構成が異なっていてもよい。
【0079】
本実施形態では、コイルユニット211は、2個のスペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)を有しており、3層の積層構造のコイル223を有しているが、コイルユニット211の構成としては他の構成が用いられてもよい。
例えば、3個以上のスペーサを有して、それぞれの表裏を使用して4層以上のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよい。
なお、本実施形態では、スペーサは、コイルを構成する導体が複数の層に巻回されるときに間隔を保持する。
【0080】
また、コイル223を構成する導体の巻回の仕方としては、様々な巻回の仕方が用いられてもよい。例えば、コイル223を構成する導体について、隣接する導体部分が間隔を空けずに巻回されてもよく、あるいは、隣接する導体部分が間隔を空けて巻回されてもよい。
【0081】
また、コイル装置111では、例えば、筐体121の天板部121gとシールド122との間に、回路基板が備えられてもよい。当該回路基板には、例えば、コイル223の共振回路を構成するコンデンサなどが備えられていてもよい。当該回路基板とコイル223(例えば、引出線部223a)とが接続されてもよい。この接続には、任意の配線が用いられてもよい。
当該回路基板は、例えば、シールド122の面(Z軸の負側の面)に、ネジ止めなどにより固定されてもよい。
【0082】
図6は、実施形態に係るコイル装置111の所定方向の断面図である。
図6には、説明の便宜上、図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図6には、Y軸の正側から負側への方向の視点で、コイル装置111の内部の断面の一例を示してある。
【0083】
筐体121は、第2a側壁部121aの内部側(X軸の負側)の面に、複数の係止溝を有する溝部511aを備える。
また、筐体121は、第2b側壁部121bの内部側(X軸の正側)の面に、複数の係止溝を有する溝部511bを備える。
【0084】
溝部511aおよび溝部511bは、それぞれ、Z軸に平行な方向において、複数(複数の段数)の係止溝を有している。
溝部511aと溝部511bとで同じ数の係止溝を有している。Z軸に平行な方向において、溝部511aと溝部511bとで、それぞれの対向する係止溝の位置は同じになっている。
【0085】
図6の例では、シールド122の平板状の面の一の辺(X軸の正側の辺)が溝部511aの1個の係止溝に嵌め込まれており、シールド122の平板状の面の他の辺(X軸の負側の辺)が溝部511bの1個の係止溝に嵌め込まれている。当該他の辺(X軸の負側の辺)は、当該一の辺(X軸の正側の辺)と対向する辺である。また、これら両側の係止溝の位置は、Z軸に平行な方向において、同じであり、これにより、シールド122の平板状の面と、筐体121の平板状の面(天板部121gの平板状の面)とが平行に配置されている。
【0086】
図6の例では、コイルユニット211の第1スペーサ221の平板状の面の一の辺(X軸の正側の辺)が溝部511aの1個の係止溝に嵌め込まれており、コイルユニット211の第1スペーサ221の平板状の面の他の辺(X軸の負側の辺)が溝部511bの1個の係止溝に嵌め込まれている。当該他の辺(X軸の負側の辺)は、当該一の辺(X軸の正側の辺)と対向する辺である。また、これら両側の係止溝の位置は、Z軸に平行な方向において、同じであり、これにより、コイルユニット211の第1スペーサ221の平板状の面と、筐体121の平板状の面(天板部121gの平板状の面)とが平行に配置されている。
本実施形態では、コイルユニット211の第1スペーサ221は、シールド122と比べて、Z軸の正側に配置されている。
【0087】
ここで、送電に用いられるコイル装置の筐体と、受電に用いられるコイル装置の筐体とが、共通化されてもよい。この場合、送電に用いられるコイル装置の溝部と、受電に用いられるコイル装置の溝部も、共通化される。
この場合、例えば、溝部(図6の例では、溝部511a、511b)に3個以上の係止溝を設けることで、送電と受電とで、シールド(図6の例では、シールド122)の位置と、コイルユニットの第1スペーサ(図6の例では、コイルユニット211の第1スペーサ221)の位置と、の少なくとも一方を異ならせることが可能である。
このように、送電と受電とで筐体121が共通化されてもよく、この場合に、送電と受電とで、シールド122が嵌め込まれる係止溝、あるいは、コイルユニット211の第1スペーサ221が嵌め込まれる係止溝のうちの一方または両方が異なる係止溝とされてもよい。
なお、他の構成例として、送電に用いられるコイル装置の筐体と、受電に用いられるコイル装置の筐体とが、共通化されなくてもよい。
また、他の構成例として、溝部511a、511bが有する係止溝の数として、係止対象と同じ数(本実施形態では、2個)が用いられてもよい。
【0088】
以上のように、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、コイル223と、第1スペーサ221と、第2スペーサ222と、を備える。
コイル223は、3以上の層のそれぞれに巻回された導線からなる巻線部を有する。
第1スペーサ221は、コイル223の一方側の端の層(下層)が配置され、コイル223の中心穴223bに対応して位置する第1貫通穴311と、第1貫通穴311から外側に延伸する第1スリット312と、第1貫通穴311の周囲の一部に設けられた第1突部(第1a突部313a、第1b突部313b)と、を有する。
第2スペーサ222は、コイル223の他方側の端の層(上層)が配置され、コイル223の中心穴223bに対応して位置する第2貫通穴411と、第2貫通穴411から外側に延伸する第2スリット412と、第2貫通穴411の周囲の一部に設けられた第2突部(第2a突部413a、第2b突部413b)と、を有する。
第1突部と第2突部とは、コイル223の中心穴223bの貫通方向に平行に見る視点(Z軸に平行な方向の視点)で、異なる位置に配置されている。
【0089】
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、各スペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)に突部(第1a突部313a、第1b突部313b、第2a突部413a、第2b突部413b)が備えられているため、当該突部によりスペーサの位置決めが容易となり、コイルユニット211の製造が容易となる。
本実施形態に係るコイル装置111では、例えば、治具(例えば、図7に示される治具601)を用いて、当該突部によりスペーサの位置決めが容易となり、コイルユニット211の製造が容易となる。
【0090】
また、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、スペーサが備えられているため、近接効果による交流抵抗を低減することができ、コイルユニット211の製造をより容易化することができる。
また、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、スペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)が平板状の形状を有しているため、例えば、スペーサの金型を不要とすることが可能であり、コイルユニット211のコストを低減することが可能である。
【0091】
本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、第1突部(第1a突部313a、第1b突部313b)は、複数備えられている。複数の第1突部は、第1貫通穴311の対角の位置に配置されている。
また、第2突部(第2a突部413a、第2b突部413b)は、複数備えられている。複数の第2突部は、第2貫通穴411の対角の位置に配置されている。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、対角の位置に配置された第1突部および対角の位置に配置された第2突部により、さらに、スペーサの位置決めが容易となり、コイルユニット211の製造が容易となる。
【0092】
本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、第1スペーサ221が表裏反転させられた場合、第1貫通穴311、第1突部(第1a突部313a、第1b突部313b)および第1スリット312は、それぞれ、第2スペーサ222の第2貫通穴411、第2突部(第2a突部413a、第2b突部413b)および第2スリット412と一致した形状を有する。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、例えば、同じ部材(または、同じ形状部分を有する部材)を表裏反転させて対向させる構成を有するため、コイルユニット211の製造を容易化することができ、また、近接効果による交流抵抗を低減することができる。
【0093】
本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、第1スペーサ221または第2スペーサ222の少なくとも一方は、孔部を有する。
本実施形態では、第1スペーサ221と第2スペーサ222との両方が、孔部を有する。
具体的には、第1スペーサ221は、孔部(第1a孔部314a、第1b孔部314b、第1c孔部314c)を有する。第2スペーサ222は、孔部(第2a孔部414a、第2b孔部414b、第2c孔部414c)を有する。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、例えば、孔部を通して、コイル223の巻線部が正しく巻回されているかを人の目視で確認することができる。
また、本実施形態に係るコイル装置111では、コイルユニット211において、孔部により、熱伝導率の高いスペーサの放熱面積が広がるため、効率良く放熱することができる。
【0094】
本実施形態に係るコイル装置111は、コイルユニット211と、シールド122と、筐体121と、を備える。
シールド122は、コイルユニット211に固定され、磁性体(磁性体部131の磁性体131a、131b)を搭載している。
筐体121は、コイルユニット211およびシールド122を保持する。
筐体121は、筐体121の側壁に、コイルユニット211の第1スペーサ221の側部およびシールド122の側部に係合して第1スペーサ221およびシールド122を固定する少なくとも2段の係止溝(溝部511aおよび溝部511bの係止溝)を有する。
したがって、本実施形態に係るコイル装置111では、筐体121とコイルユニット211との固定、および、筐体121とシールド122との固定に関して、例えば、ネジ止め等の作業工程を不要とすることができ、コイル装置111の製造を容易化、円滑化することができる。
【0095】
ここで、シールド122を固定するための係止溝と、第1スペーサ221を固定するための係止溝とは、例えば、すべてが共通であるが、これに限られず、一部が共通(他が非共通)であってもよく、あるいは、すべてが非共通であってもよい。
【0096】
<治具>
図7は、実施形態に係る第1巻き治具611および第2巻き治具711を有する治具601の一例を示す図である。
図7には、説明の便宜上、図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図7の例において、例えば、Z軸の正側が上側で、Z軸の負側が下側(重力の向きの側)であってもよいが、これに限られない。
【0097】
図7には、治具601を構成する第1巻き治具611および第2巻き治具711を示してある。
また、図7には、図4に示したのと同様な第1スペーサ221および第2スペーサ222を示してある。
【0098】
図8は、実施形態に係る第2巻き治具711の一例を示す図である。
図8には、説明の便宜上、図2Aと同様なXYZ直交座標系を示してある。
図8には、図7に示される第2巻き治具711の側とは反対側の構成例を示してある。
【0099】
なお、本実施形態では、第1巻き治具611については、図7に示される第1巻き治具611の側とは反対側の構成の図示を省略する。
図7に示される第1巻き治具611の側とは反対側の構成は、例えば、図7に示される第2巻き治具711の側の構成と同様であってもよい。
【0100】
本実施形態では、第1巻き治具611と第2巻き治具711との間に、第1スペーサ221および第2スペーサ222が配置された状態で、コイル223の導線が巻回される。
図7の例では、第1巻き治具611は第1スペーサ221の側(Z軸の負側)に配置され、第2巻き治具711は第2スペーサ222の側(Z軸の正側)に配置される。
【0101】
第1巻き治具611は、第1軸部621と、第1平板部を構成する4個の平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)と、を有する。
第1軸部621は、第1平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)の中心(または、ほぼ中心)に位置し、第1スペーサ221の第1貫通穴311に挿入される。
第1平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)は、第1スペーサ221を載置する。
【0102】
ここで、第1スペーサ221と対向させられない側について、第1平板部を構成する4個の平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)の面と、第1軸部621の面とは、同一の平面上にある。
第1スペーサ221と対向させられる側について、第1軸部621は、第1平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)と比べて、Z軸の正方向に突出している。
【0103】
本実施形態では、4個の平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)は、円板状の平板から同じ形状の4個の扇形の部分を抽出した形状を有している。
本実施形態では、4個の平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)は、第1軸部621の中心軸(Z軸に平行な軸)に対して、回転対称の位置に配置されている。
本実施形態では、4個の平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)について、2個の平板部が隣接するそれぞれの箇所には空隙(切欠き部)が設けられている。
【0104】
第1軸部621は、第1スペーサ221の第1a突部313aが係止される第1a係止部631aと、第1スペーサ221の第1b突部313bが係止される第1b係止部631bと、第2スペーサ222の第2a突部413aが係止される第2a係止部632aと、第2スペーサ222の第2b突部413bが係止される第2b係止部632bと、を有している。
本実施形態では、第1軸部621は、Z軸に平行な方向の視点で、円状の形状を有しており、円の外周の4箇所に、互いに対向する第1a係止部631aおよび第1b係止部631bと、互いに対向する第2a係止部632aおよび第2b係止部632bと、を有している。
【0105】
第1スペーサ221の第1貫通穴311および第2スペーサ222の第2貫通穴411の貫通方向に対して非平行な視点(ここでは、垂直な視点であり、Z軸に平行な方向を高さ方向と見る視点)で、第1a係止部631aおよび第1b係止部631bの溝の高さ(Z軸に平行な方向の位置)と、第2a係止部632aおよび第2b係止部632bの溝の高さ(Z軸に平行な方向の位置)とは、異なる溝の高さとなっている。
なお、互いに対向する第1a係止部631aおよび第1b係止部631bの溝の高さ(Z軸に平行な方向の位置)は同じであり、互いに対向する第2a係止部632aおよび第2b係止部632bの溝の高さ(Z軸に平行な方向の位置)は同じである。
【0106】
本実施形態では、第1a係止部631aおよび第1b係止部631bの溝は深く、第2a係止部632aおよび第2b係止部632bの溝は浅い。
【0107】
第2巻き治具711は、第2軸部721と、第2平板部を構成する4個の平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)と、を有する。
第2軸部721は、第2平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)の中心(または、ほぼ中心)に位置し、第2スペーサ222の第2貫通穴411に挿入される。
第2平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)は、第2スペーサ222を載置する。
【0108】
ここで、第2スペーサ222と対向させられない側について、第2平板部を構成する4個の平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)の面と、第2軸部721の面とは、同一の平面上にある。
第2スペーサ222と対向させられる側について、第2軸部721は、第2平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)の面と、係止部(第3a係止部731a、第3b係止部731b、第4a係止部732a、第4b係止部732b)の部分を除いて、平行な面を有している。
【0109】
本実施形態では、4個の平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)は、円板状の平板から同じ形状の4個の扇形の部分を抽出した形状を有している。
本実施形態では、4個の平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)は、第2軸部721の中心軸(Z軸に平行な軸)に対して、回転対称の位置に配置されている。
本実施形態では、4個の平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)について、2個の平板部が隣接するそれぞれの箇所には空隙(切欠き部)が設けられている。
【0110】
ここで、本実施形態では、第2スペーサ222を載置する第2平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)は、第2スペーサ222の孔部(第2a孔部414a、第2b孔部414b、第2c孔部414c)に対応した位置に切欠き部を有している。
具体的には、第2巻き治具711の第1a切欠き部741aは、平面状の配置(XY平面に平行な面における配置)として、第2スペーサ222の第2a孔部414aと同じ個所に配置されている。
また、第2巻き治具711の第1b切欠き部741bは、平面状の配置(XY平面に平行な面における配置)として、第2スペーサ222の第2b孔部414bと同じ個所に配置されている。
また、第2巻き治具711の第1c切欠き部741cは、平面状の配置(XY平面に平行な面における配置)として、第2スペーサ222の第2c孔部414cと同じ個所に配置されている。
【0111】
このように、本実施形態では、Z軸の正側から負側を見る視点において、第2巻き治具711の各切欠き部(第1a切欠き部741a、第1b切欠き部741b、第1c切欠き部741c)から第2スペーサ222の各孔部(第2a孔部414a、第2b孔部414b、第2c孔部414c)を視認することが可能である。
【0112】
第2軸部721は、第1スペーサ221の第1a突部313aが係止される第3a係止部731aと、第1スペーサ221の第1b突部313bが係止される第3b係止部731bと、第2スペーサ222の第2a突部413aが係止される第4a係止部732aと、第2スペーサ222の第2b突部413bが係止される第4b係止部732bと、を有している。
本実施形態では、第2軸部721は、Z軸に平行な方向の視点で、円状の形状を有しており、円の外周の4箇所に、互いに対向する第3a係止部731aおよび第3b係止部731bと、互いに対向する第4a係止部732aおよび第4b係止部732bと、を有している。
【0113】
第1スペーサ221の第1貫通穴311および第2スペーサ222の第2貫通穴411の貫通方向に対して垂直な視点(Z軸に平行な方向を高さ方向と見る視点)で、第3a係止部731aおよび第3b係止部731bの突部の高さ(Z軸に平行な方向の位置)と、第4a係止部732aおよび第4b係止部732bの突部の高さ(Z軸に平行な方向の位置)とは、異なる突部の高さとなっている。
なお、互いに対向する第3a係止部731aおよび第3b係止部731bの突部の高さ(Z軸に平行な方向の位置)は同じであり、互いに対向する第4a係止部732aおよび第4b係止部732bの突部の高さ(Z軸に平行な方向の位置)は同じである。
【0114】
本実施形態では、第3a係止部731aおよび第3b係止部731bの突部は深く、第4a係止部732aおよび第4b係止部732bの突部は浅い。
【0115】
<治具を用いたコイルユニットの組み立て>
治具601を用いてコイルユニット211を組み立てる手順の一例を示す。
まず、第1巻き治具611の上方に第1スペーサ221を載置する。この際、第1巻き治具611の第1a係止部631aに第1スペーサ221の第1a突部313aが嵌め込まれ、第1巻き治具611の第1b係止部631bに第1スペーサ221の第1b突部313bが嵌め込まれるように、配置される。
【0116】
次に、第1スペーサ221の上方に第2スペーサ222を載置する。この際、第1巻き治具611の第2a係止部632aに第2スペーサ222の第2a突部413aが嵌め込まれ、第1巻き治具611の第2b係止部632bに第2スペーサ222の第2b突部413bが嵌め込まれるように、配置される。
【0117】
次に、第2スペーサ222の上方に第2巻き治具711を載置する。この際、第2巻き治具711の第3a係止部731aが第1巻き治具611の第1a係止部631aの位置に嵌め込まれ、第2巻き治具711の第3b係止部731bが第1巻き治具611の第1b係止部631bの位置に嵌め込まれ、第2巻き治具711の第4a係止部732aが第1巻き治具611の第2a係止部632aの位置に嵌め込まれ、第2巻き治具711の第4b係止部732bが第1巻き治具611の第2b係止部632bの位置に嵌め込まれるように、配置される。
【0118】
このように、第1巻き治具611と第2巻き治具711とでスペーサ(本実施形態では、第1スペーサ221および第2スペーサ222)とが固定された状態で、コイル223を構成する導体を巻回する。
この際、第2巻き治具711の第1a切欠き部741a、第1b切欠き部741b、第1c切欠き部741cを通して、上方から、巻回される導体を視認することが可能である。
コイル223の巻線の巻回が完了した後、治具601(第1巻き治具611、第2巻き治具711)がコイルユニット211から外される。つまり、治具601は、コイルユニット211の製造のために使用される。
【0119】
ここで、図7および図8に示されるような治具601が用いられる場合、例えば、1層のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよく、この場合、スペーサを有していなくてもよい。具体例として、コイルユニットは所定の板状物体にコイルを形成して構成され、当該板状物体が図7に示される第1スペーサ221または第2スペーサ222のような形状を有する。
また、本実施形態では、コイルユニット211は、2個のスペーサを有しており、3層の積層構造のコイルを有しているが、コイルユニット211の構成としては他の構成が用いられてもよい。
例えば、1個のスペーサを有して、その表裏を使用して2層のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよい。
また、例えば、3個以上のスペーサを有して、それぞれの表裏を使用して4層以上のコイルを有するコイルユニットが用いられてもよい。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る治具601は、第1巻き治具611と、第2巻き治具711と、を備える。
第1巻き治具611は、第1スペーサ221を載置する第1平板部(第1a平板部622a、第1b平板部622b、第1c平板部622c、第1d平板部622d)と、第1平板部の中心に位置し第1スペーサ221の第1貫通穴311に挿入される第1軸部621と、を有する。
第2巻き治具711は、第2スペーサ222を載置する第2平板部(第2a平板部722a、第2b平板部722b、第2c平板部722c、第2d平板部722d)と、第2平板部の中心に位置し第2スペーサ222の第2貫通穴411に挿入される第2軸部721と、を有する。
第1軸部621は、第1スペーサ221の第1突部(第1a突部313a、第1b突部313b)が係止される第1係止部(第1a係止部631a、第1b係止部631b)と、第2スペーサ222の第2突部(第2a突部413a、第2b突部413b)が係止される第2係止部(第2a係止部632a、第2b係止部632b)と、を有している。
第2軸部721は、第1スペーサ221の第1突部が係止される第3係止部(第3a係止部731a、第3b係止部731b)と、第2スペーサ222の第2突部が係止される第4係止部(第4a係止部732a、第4b係止部732b)と、を有している。
第1係止部と、第2係止部とは、第1スペーサ221の第1貫通穴311および第2スペーサ222の第2貫通穴411の貫通方向に非平行な視点(例えば、Z軸に垂直な方向の視点)で、異なる溝の高さを有している。
第3係止部と、第4係止部とは、第1スペーサ221の第1貫通穴311および第2スペーサ222の第2貫通穴411の貫通方向に非平行な視点(例えば、Z軸に垂直な方向の視点)で、異なる溝の高さを有している。
【0121】
したがって、本実施形態に係る治具601では、コイル223の巻線を巻回させるためのクリアランスを確保して、スペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)を固定することができる。そして、本実施形態に係る治具601では、スペーサ(第1スペーサ221、第2スペーサ222)を固定した状態で、当該クリアランスにコイル223の巻線を巻回させることが可能である。
本実施形態に係る治具601では、例えば、治具601(第1巻き治具611、第2巻き治具711)の形状などにより、スペーサ同士の高さを調整することが可能である。
【0122】
本実施形態に係る治具601では、第2スペーサ222を載置する第2平板部は、第2スペーサ222の孔部(第2a孔部414a、第2b孔部414b、第2c孔部414c)に対応した位置に切欠き部(第1a切欠き部741a、第1b切欠き部741b、第1c切欠き部741c)を有している。
したがって、本実施形態に係る治具601では、コイル223を構成する導体が巻回されているときに、第2スペーサ222の切欠き部により、コイル223の巻線部が正しく巻回されているかを人の目視で確認することができる。
【0123】
<ワイヤレス電力伝送への適用>
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス受電装置(図1の例では、ワイヤレス受電装置20)に電力を送電するワイヤレス送電装置(図1の例では、ワイヤレス送電装置10)に備えられてもよい。図1の例では、本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、送電コイルL1を有する送電コイルユニット12に適用されてもよい。
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス電力伝送によってワイヤレス送電装置から電力を受電するワイヤレス受電装置に備えられてもよい。図1の例では、本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、受電コイルL2を有する受電コイルユニット21に適用されてもよい。
本実施形態に係るコイルユニット211あるいはコイル装置111は、例えば、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置とを備えるワイヤレス電力伝送システム(図1の例では、ワイヤレス電力伝送システム1)において、ワイヤレス送電装置とワイヤレス受電装置との少なくとも一方に備えられてもよい。
【0124】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1…ワイヤレス電力伝送システム、10…ワイヤレス送電装置、11…送電ユニット、12…送電コイルユニット、20…ワイヤレス受電装置、21…受電コイルユニット、22…受電ユニット、111…コイル装置、121…筐体、121a…第2a側壁部、121b…第2b側壁部、121g、123g…天板部、122…シールド、123…樹脂蓋、123a、123b…側壁部、124a…第1a側壁部、124b…第1b側壁部、131…磁性体部、131a、131b…磁性体、151…空隙、152、161…切欠き部、211…コイルユニット、221…第1スペーサ、222…第2スペーサ、223…コイル、223a…引出線部、223b…中心穴、311…第1貫通穴、312…第1スリット、313a…第1a突部、313b…第1b突部、314a…第1a孔部、314b…第1b孔部、314c…第1c孔部、411…第2貫通穴、412…第2スリット、413a…第2a突部、413b…第2b突部、414a…第2a孔部、414b…第2b孔部、414c…第2c孔部、511a、511b…溝部、601…治具、611…第1巻き治具、621…第1軸部、622a…第1a平板部、622b…第1b平板部、622c…第1c平板部、622d…第1d平板部、631a…第1a係止部、631b…第1b係止部、632a…第2a係止部、632b…第2b係止部、711…第2巻き治具、721…第2軸部、722a…第2a平板部、722b…第2b平板部、722c…第2c平板部、722d…第2d平板部、731a…第3a係止部、731b…第3b係止部、732a…第4a係止部、732b…第4b係止部、741a…第1a切欠き部、741b…第1b切欠き部、741c…第1c切欠き部、741d…第1d切欠き部、AGV…無人搬送車、G…地面、L1…送電コイル、L2…受電コイル
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8