(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136108
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】造型システム及び造型方法
(51)【国際特許分類】
B22C 15/28 20060101AFI20230922BHJP
B22C 25/00 20060101ALI20230922BHJP
B22C 15/24 20060101ALI20230922BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B22C15/28
B22C25/00
B22C15/24 C
B22C15/24 B
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041555
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】杉野 剛大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 海彦
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094AA32
4E094AA44
4E094AA52
(57)【要約】
【課題】ノズルの詰まりの発生を適切に検知できる技術を提供する。
【解決手段】砂鋳型を造型する造型システムは、鋳枠と、圧縮空気源に接続され、端部が開口され、内部に砂を貯留するタンクと、タンクの端部に取り付けられ、タンク内の砂を前記鋳枠内へ導くノズルと、ノズルを介してタンク内の砂を鋳枠内に導入する砂充てん中において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズルの詰まりに関する情報を出力する制御部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂鋳型を造型する造型システムであって、
鋳枠と、
圧縮空気源に接続され、端部が開口され、内部に砂を貯留するタンクと、
前記タンクの端部に取り付けられ、前記タンク内の砂を前記鋳枠内へ導くノズルと、
前記ノズルを介して前記タンク内の砂を前記鋳枠内に導入する砂充てん中において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、前記ノズルの詰まりに関する情報を出力する制御部と、
を備える造型システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記関係が満たされたときに、前記ノズルの詰まりを解消する動作を実行する請求項1に記載の造型システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記関係が満たされたときに、警報を行う請求項1又は2に記載の造型システム。
【請求項4】
前記砂鋳型を撮像し、撮像された画像に基づいて前記砂鋳型の外観検査を行う解析装置を備え、
前記制御部は、前記関係が満たされたときに、前記情報を前記解析装置へ出力する、請求項1~3の何れか一項に記載の造型システム。
【請求項5】
前記解析装置は、前記制御部から前記情報を取得した場合には、前記砂鋳型を撮像する前に前記砂鋳型へ空圧を加える外力付与装置を更に備える、請求項4に記載の造型システム。
【請求項6】
前記解析装置は、第1の倍率で前記砂鋳型を撮像する標準モードと、前記第1の倍率よりも高い倍率で前記砂鋳型を撮像する高倍率モードとを切り替え可能に構成され、前記制御部から前記情報を取得した場合には、少なくとも前記高倍率モードで前記砂鋳型を撮像する、請求項4又は5に記載の造型システム。
【請求項7】
前記鋳枠内に充てんされた砂をスクイズするスクイズ機構と、
前記砂鋳型の形状を整えるサンドカッタと、
スクイズ圧を検出する圧力センサと、
を備え、
前記制御部は、前記圧力センサの検出結果に基づいて前記スクイズ機構による前記スクイズが正常終了したか否かを判定し、
前記サンドカッタは、前記ノズルの詰まりの有無及び前記スクイズが正常終了したか否かに応じて動作を変更する、請求項1~6の何れか一項に記載の造型システム。
【請求項8】
前記サンドカッタは、
前記関係が満たされておらず、かつ、前記制御部により前記スクイズが正常終了したと判定された場合には、前記砂鋳型と刃との相対速度が第1速度となるように動作し、
前記関係が満たされており、かつ、前記制御部により前記スクイズが正常終了していないと判定された場合には、前記砂鋳型と前記刃との相対速度が前記第1速度よりも低い第2速度となるように動作する、請求項7に記載の造型システム。
【請求項9】
圧縮空気源に接続され、端部が開口され、内部に砂を貯留するタンクから、前記タンクの端部に取り付けられたノズルを介して、前記タンク内の砂を鋳枠内へ導入する工程と、
前記鋳枠内へ導入する工程において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、前記ノズルの詰まりに関する情報を出力する工程と、
を備える、造型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、造型システム及び造型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、造型装置を開示する。この装置は、内部に砂を貯留するタンクと、タンク内の砂を鋳枠内へ導くノズルとを備える。タンク内には圧縮空気が供給され、圧力によってタンク内の砂がノズルを介して鋳枠内に供給される。タンク内の圧力は、圧力センサにより検出され、圧力と時間との関係を示すグラフがディスプレイに表示される。作業員は、センサにより検出された圧力が予め設定された閾値を超えた場合、ノズルの詰まりが発生していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置は、作業員によってノズルの詰まりの発生を判断するため、より正確にノズルの詰まりの発生を検知するためには改善の余地がある。本開示は、ノズルの詰まりの発生を適切に検知できる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面は、砂鋳型を造型する造型システムである。造型システムは、鋳枠、タンク、ノズル、及び、制御部を備える。タンクは、圧縮空気源に接続され、端部が開口され、内部に砂を貯留する。ノズルは、タンクの端部に取り付けられ、タンク内の砂を鋳枠内へ導く。制御部は、ノズルを介してタンク内の砂を鋳枠内に導入する砂充てん中において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズルの詰まりに関する情報を出力する。ノズルの詰まりとは、鋳枠内に砂を導入する砂充てん用ノズル内に砂が圧縮され、流路が完全に塞がれて砂充てんができない状態、または、流路の一部が塞がれて砂充てん量が低下する状態をいう。
【0006】
ノズルの詰まりが発生した場合、タンク内の圧力は大きくなる。このため、所定の圧力に到達する時間は早まる。この造型システムでは、砂充てん中において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズルの詰まりに関する情報が出力される。このように、機械的にノズルの詰まりが検知されるため、この造型システムは、作業員が判断する場合と比べて、ノズルの詰まりの発生を適切に検知できる。
【0007】
一実施形態においては、制御部は、上述した関係が満たされたときに、ノズルの詰まりを解消する動作を実行してもよい。このように構成することで、造型システムは、ノズルの詰まりによる砂充てん不足によって造型不良が発生することを回避できる。
【0008】
一実施形態においては、制御部は、上述した関係が満たされたときに、警報を行ってもよい。このように構成することで、造型システムは、ノズルの詰まりが発生したことを作業者などに報知できる。
【0009】
一実施形態においては、造型システムは、砂鋳型を撮像し、撮像された画像に基づいて砂鋳型の外観検査を行う解析装置を備え、制御部は、上述した関係が満たされたときに、情報を解析装置へ出力してもよい。このように構成することで、造型システムは、ノズルの詰まりが発生したときに造型された砂鋳型の画像解析ができる。
【0010】
一実施形態においては、解析装置は、制御部から情報を取得した場合には、砂鋳型を撮像する前に砂鋳型へ空圧を加える外力付与装置を更に備えてもよい。このように構成することで、造型システムは、砂鋳型の表面に落下した砂を空圧で移動させて除去できる。
【0011】
一実施形態においては、解析装置は、第1の倍率で砂鋳型を撮像する標準モードと、第1の倍率よりも高い倍率で砂鋳型を撮像する高倍率モードとを切り替え可能に構成され、制御部から情報を取得した場合には、少なくとも高倍率モードで砂鋳型を撮像してもよい。このように構成することで、この造型システムは、ノズルの詰まりが発生したときに造型された砂鋳型をより詳細に画像解析できる。
【0012】
一実施形態においては、造型システムは、鋳枠内に充てんされた砂をスクイズするスクイズ機構と、砂鋳型の形状を整えるサンドカッタと、スクイズ圧を検出する圧力センサと、を備え、制御部は、圧力センサの検出結果に基づいてスクイズ機構によるスクイズが正常終了したか否かを判定し、サンドカッタは、ノズルの詰まりの有無及びスクイズが正常終了したか否かに応じて動作を変更してもよい。スクイズが正常に終了した場合と、スクイズが正常に終了しなかった場合とで、砂鋳型の硬さ(鋳型強度)が異なることがある。造型システムのサンドカッタは、スクイズが正常終了したか否かに応じて動作を変更することにより、砂鋳型が崩れることを回避できる。
【0013】
一実施形態においては、サンドカッタは、上述した関係が満たされておらず、かつ、制御部によりスクイズが正常終了したと判定された場合には、砂鋳型と刃との相対速度が第1速度となるように動作し、上述した関係が満たされており、かつ、制御部によりスクイズが正常終了していないと判定された場合には、砂鋳型と刃との相対速度が第1速度よりも低い第2速度となるように動作してもよい。このように、サンドカッタは、ノズルの詰まりが有り、かつ、スクイズが正常終了していない場合には、ノズルの詰まりが無く、かつ、スクイズが正常終了した場合に比べて、砂鋳型と刃との相対速度を遅くする。これにより、サンドカッタは、砂鋳型を崩れることを回避できる。
【0014】
本開示の他の側面は、以下工程を含む造型方法である。
(1)圧縮空気源に接続され、端部が開口され、内部に砂を貯留するタンクから、タンクの端部に取り付けられたノズルを介して、タンク内の砂を鋳枠内へ導入する工程
(2)鋳枠内へ導入する工程において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズルの詰まりに関する情報を出力する工程
この造型方法は、上述した造型システムと同一の効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本開示の技術によれば、ノズルの詰まりの発生を適切に検知できる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る造型システムが備わる鋳造システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示される造型システムの構成ブロック図である。
【
図3】造型動作の開始前の造型機の状態(原位置の状態)を示す縦断面図である。
【
図4】造型空間を形成し該空間に砂を充てんした造型機の状態を示す縦断面図である。
【
図5】スクイズ時の造型機の状態を示す縦断面図である。
【
図6】抜型後の原位置に復帰する造型機の状態を示す縦断面図である。
【
図9】サンドタンクの初期圧力変化と検知対象時の圧力変化とを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0018】
[鋳造システムの一例]
図1は、実施形態に係る造型システムが備わる鋳造システムの構成の一例を示す図である。
図1に示される鋳造システム100は、鋳物を製造するためのシステムである。
図1に示されるように、鋳造システム100は、造型機2、搬送ライン3、サンドカッタ4、解析装置5、及び、ライン制御部6(制御部の一例)を備える。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が鉛直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。
【0019】
造型機2は、砂鋳型Mを製造する装置である。造型機2は、鋳枠Fを用いて砂鋳型Mを形成する。造型機2は、ライン制御部6と通信可能に接続される。造型機2は、ライン制御部6から造型開始信号を受信したことに応じて、造型エリアにおいて砂鋳型Mの製造を開始する。造型機2は、模型(パターン)が配置された鋳枠F内に砂(鋳物砂)を投入し、鋳枠F内の砂を加圧して固める。造型機2は、固められた砂からパターンを取り出すことにより砂鋳型Mを形成する。砂鋳型Mは、一対で構成される上型及び下型の何れか一方である。
【0020】
搬送ライン3は、砂鋳型Mを上流から下流に搬送する設備である。搬送ライン3は、造型機2から砂鋳型Mを受け取り、下流の注湯機(不図示)に向けて砂鋳型Mを搬送する。搬送ライン3は、例えば、ローラコンベヤ、レール、砂鋳型M及び鋳枠Fが載置されレール上を走行する台車、造型機2側に配置されたプッシャ装置、及び、注湯機側に配置されたクッション装置などを有してもよい。搬送ライン3が駆動ローラを有する場合、定盤Bにはローラ走行面が設けられる。搬送ライン3は、ローラコンベヤ又はレール上に等間隔で配列された複数の砂鋳型M及び鋳枠Fを造型機2から順次搬送する。搬送ライン3は、間欠駆動し、砂鋳型M及び鋳枠Fを所定の枠分ずつ搬送する。所定の枠分は1枠でもよいし複数枠でもよい。搬送ライン3は、ライン制御部6と通信可能に接続される。搬送ライン3は、ライン制御部6から枠送り信号を受信したことに応じて、複数の砂鋳型M及び鋳枠Fを所定の枠分搬送する。搬送ライン3は、所定の枠分の搬送が完了した場合、ライン制御部6に枠送り完了信号を送信する。
【0021】
サンドカッタ4は、搬送ライン3に設けられ、砂鋳型Mの形状を調整する。サンドカッタ4は、例えば、搬送中の砂鋳型Mに対して刃を当てることにより、砂鋳型Mの形状を調整する。サンドカッタ4は、ライン制御部6と通信可能に接続される。サンドカッタ4は、ライン制御部6の制御信号に基づいて動作する。例えば、サンドカッタ4は、砂鋳型Mに対して近接又は離間するように刃を昇降させる昇降機構を備える。サンドカッタ4は、ライン制御部6の制御信号に基づいて、搬送中の砂鋳型Mの余剰砂に当接する高さに刃を停止させる。一例として、刃は、砂鋳型Mの背面に形成された余剰砂に当接するように高さが調整される。ライン制御部6は、刃の高さ調整が完了したことに応じて、連続する砂鋳型Mを1ピッチ分(1枠分)、枠進行方向に向かって搬送させる。これにより、砂鋳型Mがサンドカッタ4の配置位置を通過するときに、搬送中の砂鋳型Mの余剰砂はサンドカッタ4の刃で切削され、砂鋳型は平坦にされる。なお、サンドカッタ4は、ライン制御部6の制御信号に基づいて刃を水平方向にも移動可能に構成されてもよい。例えば、サンドカッタ4は、停止中又は搬送中の砂鋳型Mに対して刃を移動させて砂鋳型Mの余剰砂を切削してもよい。サンドカッタ4は、砂鋳型Mと刃との相対速度を変更させて、砂鋳型Mの形状を調整してもよい。サンドカッタ4の詳細は後述する。
【0022】
解析装置5は、搬送ライン3に設けられ、搬送ライン3上の砂鋳型Mを撮像し、撮像された画像に基づいて砂鋳型の外観検査を行う。解析装置5は、ライン制御部6と通信可能に接続され得る。解析装置5及びライン制御部6は、協働して動作してもよい。解析装置5の詳細は後述する。解析が完了した砂鋳型Mは、中子セット場Wへと搬送される。中子セット場Wには、作業者が駐留しており、砂鋳型Mに中子をセットする。中子がセットされた砂鋳型Mは、搬送ライン3により後工程を行うエリアへと搬送される。
【0023】
ライン制御部6は、鋳造システム100を統括制御するコントローラである。ライン制御部6は、造型機2、搬送ライン3、サンドカッタ4、及び、解析装置5と通信可能に接続される。ライン制御部6は、造型機2、搬送ライン3、サンドカッタ4、及び、解析装置5と協働し、造型システム1を構成する。造型システム1は、サンドカッタ4及び解析装置5を備えていなくてもよい。
【0024】
[造型システムの詳細]
図2は、
図1に示される造型システムの構成ブロック図である。
図2に示されるように、造型システム1は、造型機2、サンドカッタ4、解析装置5、及び、ライン制御部6を備える。
【0025】
ライン制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ61、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などのメモリ62、HDD(Hard Disk Drive)などのストレージ63、マウス、キーボードなどの入力部64、及びディスプレイなどの出力部65を含むコンピュータシステムとして構成される。ライン制御部6は、PLC(Programmable Logic Controller)として構成されてもよい。ライン制御部6は、メモリに記憶されているコンピュータプログラムに基づくプロセッサの制御のもとで各ハードウェアを動作させることにより、ライン制御部6の機能を実現する。
【0026】
造型機2は、造型制御部20及びセンサ21を含む。造型制御部20は、ライン制御部6と同様に、プロセッサ及びメモリなどを含む。造型制御部20は、ライン制御部6からの指示に基づいて造型機2の動作を制御する。造型機2には、造型制御部20によってライン制御部6から受信した鋳型情報に基づいて、砂鋳型Mを製造する。鋳型情報は、製品の模型の種類を示す情報を含む。センサ21は、造型機2の製造時における各種データを取得する。センサ21は、後述する造型機2のサンドタンク内の圧力を検出する圧力センサPAを含む。センサ21は、後述する造型機2のスクイズ圧を検出する圧力センサPBを含んでもよい。造型制御部20は、センサ21で検出された結果をライン制御部6へ出力する。
【0027】
解析装置5は、解析制御部50、撮像装置51、及び、外力付与装置52を備える。解析制御部50は、ライン制御部6と同様に、プロセッサ及びメモリなどを含む。解析制御部50は、ライン制御部6からの指示に基づいて、撮像装置51及び外力付与装置52の動作を制御する。解析制御部50は、ライン制御部6から受信した鋳型情報に基づいて、検査対象の砂鋳型Mの種類を識別し、砂鋳型Mの種類に応じて砂鋳型Mの検査を行う。
【0028】
撮像装置51は、搬送ライン3上の砂鋳型Mを撮像する。撮像装置51は、倍率可変のレンズと、画像センサとを備える。撮像装置51は、標準モード及び高倍率モードの何れかのモードで砂鋳型Mを撮像し、画像を出力する。標準モードは、第1の倍率で砂鋳型Mを撮像するモードであり、高倍率モードは、第1の倍率よりも高い倍率で砂鋳型Mを撮像するモードである。
【0029】
解析制御部50は、砂鋳型Mの種類、及び、撮像された砂鋳型Mの表面の画像(検査画像)に基づいて、検査対象の砂鋳型Mが正常であるか否かの検査結果を示す信号を出力する。例えば、解析制御部50は、正常な状態の砂鋳型Mの表面の画像を基準画像とし、正常な砂鋳型Mを撮像装置51が撮像することによって得られた画像を砂鋳型Mごとに記憶装置などに記憶しておく。解析制御部50は、例えば以下の流れで検査結果を示す信号を出力する。最初に、解析制御部50は、検査画像と基準画像との色合いを合わせる。次に、解析制御部50は、検査画像と基準画像との差分画像を生成する。次に、解析制御部50は、差分画像からノイズを除去する。次に、解析制御部50は、差分画像を粒子解析し、差分画像内の塊(ブロブ)の位置、面積、及び長さ等の特徴量を算出する。解析制御部50は、最小欠陥サイズに基づいて各塊が欠陥か否かを判定し、欠陥でないと判定された塊を差分画像から除去することによって、残った塊を欠陥として検出する。次に、解析制御部50は、例えば、塊(欠陥)の色に基づいて、差分画像に含まれる塊から擬似欠陥を特定する。擬似欠陥とは、例えば、対象物の表面における光の反射によって輝度が大きくなっている部分であり、本来は欠陥ではない部分である。解析制御部50は、差分画像から疑似欠陥を除去し、欠陥画像を生成する。解析制御部50は、欠陥画像に欠陥が含まれていない場合には、検査対象の砂鋳型Mが正常であることを示す信号を出力する。解析制御部50は、欠陥画像に欠陥が含まれている場合には、検査対象の砂鋳型Mが異常であることを示す信号を出力する。
【0030】
外力付与装置52は、砂鋳型Mへ空圧を加える。外力付与装置52は、例えば、砂鋳型Mを撮像する前に、砂が移動する程度の風量(800L/min)を砂鋳型Mに加える。これにより、外力付与装置52は、砂鋳型Mの表層に付着した砂を移動させ、検査対象の表面を露出させることができる。外力付与装置52は、一例としてファン又はブロワーを備える送風機である。
【0031】
[造型機の詳細]
図3は、造型動作の開始前の造型機の状態(原位置の状態)を示す縦断面図である。
図4は、造型空間を形成し該空間に砂を充てんした造型機の状態を示す縦断面図である。
図5は、スクイズ時の造型機の状態を示す縦断面図である。
図6は、抜型後の原位置に復帰する造型機の状態を示す縦断面図である。
図3~
図6においては、造型機2の「原位置」、「砂充てん」、「スクイズ」、「原位置に復帰する動作」の状態を示す。
【0032】
図3~
図6に示すように、造型機2は、サンドタンク22(タンクの一例)を備える。サンドタンク22は、内部に砂23を貯留する。サンドタンク22は、図示しない圧縮空気源に接続され、エアを噴出させるエア噴出孔が設けられたフィルタ22aを内面に有する。サンドタンク22は、その下端部が開口されている。サンドタンク22の下端部には、ノズル24が設けられる。
【0033】
サンドタンク22の下方には、鋳枠Fが配置される。鋳枠Fは、少なくとも模型板(パターンプレート)25とともに造型空間26(
図4参照)を形成する。サンドタンク22に貯留された砂23は、ノズル24によって造型空間26(鋳枠F内の一例)に導かれる。
【0034】
サンドタンク22の下端部には、ノズル24に隣接するように、セグメント方式のスクイズフット27(スクイズ機構の一例)が設けられる。スクイズフット27は、造型空間26内に充てんされた砂23を圧縮するスクイズ手段として機能する。
【0035】
また、造型機2は、造型基盤28を備える。この造型基盤28には、複数の枠セットシリンダ29が立設される。また、この枠セットシリンダ29のピストンロッド29a先端間には、昇降支持フレーム30が架設される。すなわち、枠セットシリンダ29は、造型基盤28側を縮引端として上向きにして立設される。なお、
図6に示されるように、枠セットシリンダ29には、スクイズ圧を検出する圧力センサPBが設けられる。
【0036】
複数の枠セットシリンダ29のうちの一つの下方には、パターン交換装置31の中心部が水平平面内で回転可能に支持されている。このパターン交換装置31の両端部には、上述の模型板25を載置したパターンキャリア32が図示されないスプリングにより5mm程度持ち上げられた状態でセットされ、模型板25を造型基盤28の中央上部に交互に搬入出させるように構成される。
【0037】
昇降支持フレーム30には、上述したサンドタンク22が吊設される。サンドタンク22の上端には、スライドゲート33により開閉される砂投入口22bが設けられる。また、上述したようにサンドタンク22の内面の略全面には、エア噴出用のフィルタ22aが設けられる。フィルタ22aは、10μm~80μm程度の孔が全面にわたって多数設けられた多孔質体であり、例えば焼結された超高分子量ポリエチレンよりなる。フィルタ22aとサンドタンク22の内面との間には中空室22cが形成される。中空室22cには、上部側エア通路34及び下部側エア通路35を介して連通される図示しない圧縮空気源から0.05MPa~0.18MPaの圧縮空気が供給される。また、中空室22cには、サンドタンク22内の圧力を検出する圧力センサPAが設けられる。このように構成されるサンドタンク22は、フィルタ22aに設けられた複数の孔から圧縮空気が噴出されることにより砂23を浮遊流動化させ、浮遊流動化させながら造型空間26に砂23を充てんする。
【0038】
上述のスクイズフット27及びノズル24は、模型板25、鋳枠Fや盛枠36とともに造型空間26を形成する。盛枠36は、サンドタンク22の下方であってノズル24やスクイズフット27を囲むように上下動可能に配置される。盛枠36は、昇降支持フレーム30に下向きに設けられた盛枠シリンダ37に連結され、盛枠シリンダ37により上下動される。
【0039】
昇降支持フレーム30には、サンドタンク22の外側に位置して下方側に設けられたフレーム38が設けられ、このフレーム38を介して鋳枠Fを搬入出する搬入出コンベヤ39(搬送ライン3の一例)が吊設されている。搬入出コンベヤ39は、例えばローラコンベヤにより構成されている。
【0040】
次に、以上のような造型機2を用いた造型方法について説明する。造型方法では、
図3に示される原位置から、
図4に示されるように砂充てんし、
図5に示すように圧縮し、
図6に示すように抜型動作を行うものである。以下詳細に説明する。
【0041】
図3の状態は、サンドタンク22に砂23が投入され、かつ搬入出コンベヤ39に空の鋳枠Fが搬入された状態である。パターンキャリア32は、図示されないスプリングにより数mm程度持ち上げられた状態でパターン交換装置31上にセットされ造型基盤28との間に隙間がある。次いで、セグメント方式のスクイズフット27全体が下方の模型板25の凹凸に相対して凹凸を形成する。そして、パターンキャリア32を図示しないクランプ装置により造型基盤28に圧着する。
【0042】
この状態でスライドゲート33を作動させて砂投入口22bを閉じた後、盛枠シリンダ37が伸長作動して盛枠36を下降させて鋳枠Fの上面に押し付け密着させるとともに、枠セットシリンダ29が縮引作動して鋳枠Fが模型板25の外周で密着し、造型空間26を形成した状態となる。
【0043】
次に、フィルタ22aに設けられた多数の孔から圧縮空気をサンドタンク22内に噴出させてサンドタンク22内の砂23を浮遊流動化させながら、
図4に示されるように、鋳枠F、模型板25、盛枠36、スクイズフット27、サンドタンク22の下面等で形成された造型空間26に砂23を充てんする。この際、充てん時の圧縮空気は、盛枠36や模型板25に設けられた図示されないベントホールから排気される。この際、ベントホールからの排気量を制御することができ、これにより、鋳型砂の充てん密度を部分的に調整することができる。
【0044】
次に枠セットシリンダ29をさらに縮引作動して盛枠シリンダ37を縮引させながら昇降支持フレーム30及びこれに支持されている部材を下降させてゆき、セグメント方式のスクイズフット27下面全体が平坦になるまで砂23を圧縮する。このようなスクイズ動作が行われると
図5のような状態となる。
【0045】
次に
図6に示すように抜型を行う。サンドタンク22を上昇させながら、鋳枠Fを搬入出コンベヤ39で持ち上げることにより、鋳枠F内の圧縮された砂23aを模型板25から抜型する。そして、
図3の原位置に戻るように、サンドタンク22及び搬入出コンベヤ39が上昇される。この原位置に戻るように、各部材が上下動する動作を原位置復帰動作という。原位置復帰動作が完了すると、スライドゲート33を作動させて砂投入口22bが開かれ、サンドタンク22内の砂23が補充される。
【0046】
次に、造型済みの鋳枠Fが搬入出コンベヤ39を介して水平方向に搬出され、空の鋳枠Fが搬入されるとともに、パターン交換装置31が180度回転されて模型板25が外部にあるものと入れ替えられ、上述の作動を繰り返し行う。
【0047】
[サンドカッタの詳細]
図7は、サンドカッタの正面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII矢視図である。サンドカッタ4は、造型機2に設けられた搬入出コンベヤ39により搬送される砂鋳型Mから砂塊(余剰砂1b)を削り取るものである。搬送される砂鋳型Mは、鋳枠Fとともに搬送される枠付鋳型である。
【0048】
図7及び
図8に示されるように、砂鋳型Mは、搬送ライン3によって搬送される。搬送ライン3の一例は、ローラコンベヤである。搬送ライン3におけるローラ取付フレーム3a,3aの下方には、ガイドロッド42,42が対向して配設される。ガイドロッド42,42は、ホルダ43,43を貫通している。ホルダ43,43は、ガイドロッド42,42に上下摺動可能に構成される。
【0049】
ホルダ43,43には、ホルダ43,43間に位置される昇降フレーム44が連結される。昇降フレーム44には、ボルト45,45によって高さ調整が可能な刃取付台46が取り付けられる。刃取付台46の先端には、刃47が着脱可能に取り付けられる。昇降フレーム44の中央下部には、シリンダ41が連結される。ホルダ43,43は、上昇端で高さ調整可能なストッパとしてのボルト48,48に、下降端で高さ調整可能なストッパとしてのボルト49,49に当接するように構成される。
【0050】
砂鋳型Mを搬送する前に、シリンダ41の伸長作動により刃47を上昇させる。そして、刃47を所定の高さで固定状態にし、かつ、ボルト45,45及びボルト48,48で鋳枠F背面から刃47頂部までの高さ寸法を所望の寸法に調整する。例えば、高さ寸法を0.5mmとする。そして、この状態で、搬送ライン3は、砂鋳型Mを1ピッチ分(1枠分)、搬送方向D1に向かって搬送する。搬送中に余剰砂1bは刃47で切削される。これにより、鋳枠F背面から突出する砂鋳型Mの背面MSまでの高さ寸法は0.5mmにされ、且つ、砂鋳型Mの背面MSは平坦にされる。上枠又は下枠のどちらか一方の余剰砂1bを切削しない場合は、シリンダ41を縮引作動させればよい。
【0051】
サンドカッタ4は、
図7及び
図8に示される装置に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、サンドカッタは、砂鋳型Mの搬送方向D1と直交する方向から砂鋳型Mに近接するように移動する構成を備えてもよい。この場合、サンドカッタは、砂鋳型Mの背面MSを削るように動作する。より具体的な一例として、サンドカッタは、ライン制御部6から枠送り完了信号を受信したことに応じて、砂鋳型Mに向かって刃を走行させ砂鋳型Mの背面MSの余剰砂を削る。サンドカッタは、サンドカット完了信号をライン制御部6へ出力する。ライン制御部6は、サンドカット完了信号を受信したことに応じて、搬送ライン3に砂鋳型Mを搬送させる。
【0052】
[ライン制御部の動作]
(ノズルの詰まり検知)
ライン制御部6は、ノズル24を介してサンドタンク22内の砂を鋳枠F内に導入する砂充てん中において、サンドタンク22内の圧力が、鋳枠F内に導入する砂充てん中の初期圧力に比して高い圧力となる関係に有るときに、ノズル24の詰まりに関する情報を出力する。あるいは、ライン制御部6は、ノズル24を介してサンドタンク22内の砂を鋳枠F内に導入する砂充てん中において、サンドタンク22内の圧力変化が、鋳枠F内に導入する砂充てん中の初期圧力変化に比して大きい圧力変化となる関係に有るときに、ノズル24の詰まりに関する情報を出力してもよい。ノズル24の詰まりに関する情報とは、ノズル24の詰まりの発生を示す文字、記号、図形、音、画像、振動などである。以下では、上述した関係が満たされたことを判定する例を幾つか例示する。
【0053】
(センサで測定された圧力を判定する例)
ライン制御部6は、一例として、圧力センサPAによって検出された圧力であって砂23の充てん中におけるサンドタンク22内の圧力を記憶するメモリ62を備える。ライン制御部6は、圧力センサPAによって検出された圧力(検出時における測定値)を時間と関連付けてメモリ62に記憶させてもよい。関連付けられる時間は、圧力の検出時刻である。これにより、メモリ62には、圧力の推移が記憶される。検出された圧力及び圧力の推移の記憶先は、メモリ62ではなく、ストレージ63でもよい。
【0054】
ライン制御部6は、砂23の充てん中におけるサンドタンク22内の圧力又は圧力の推移を、メモリ62を参照して取得する。メモリ62は、一例として、サンドタンク22内の初期圧力又は初期圧力変化を予め記憶する。初期圧力及び初期圧力変化は、ノズルの詰まりの発生を検知するために予め定められた圧力及び圧力の推移(時間変化)である。初期圧力及び初期圧力変化は、一例として、造型システム1の初回起動時において、鋳枠Fに砂23を充てんした時の圧力センサPAの検出結果である。初回起動時とは、工場出荷後に初めて砂23を充てんした時でもよいし、操業日において最初に砂23を充てんした時でもよい。初期圧力及び初期圧力変化の記憶先は、メモリ62ではなく、ストレージ63でもよい。
【0055】
ライン制御部6は、メモリ62を参照し、圧力センサPAによって検出された圧力が初期圧力よりも高い関係にある場合には、ノズル24の詰まりに関する情報を出力する。このように、ライン制御部6は、圧力値を記憶媒体に記憶し、閾値である初期圧力と比較することにより、上述した関係が満たされることを判定する。ライン制御部6は、メモリ62を参照し、圧力センサPAによって検出された圧力変化が初期圧力変化よりも大きい関係にある場合には、ノズル24の詰まりに関する情報を出力してもよい。このように、ライン制御部6は、圧力値を記憶媒体に記憶し、閾値である初期圧力変化と比較することにより、上述した関係が満たされることを判定してもよい。
【0056】
ライン制御部6は、メモリ62を参照し、砂充てんの開始から、圧力センサPAによって検出された圧力が所定の圧力に達するまでの時間(到達時間)を取得してもよい。そして、ライン制御部6は、計測された到達時間が予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズル24の詰まりに関する情報を出力してもよい。所定の圧力は、ノズルの詰まりの発生を検知するために予め定められた圧力であり、一例として初期圧力である。初期到達時間は、ノズルの詰まりの発生を検知するために、上述した所定の圧力と対応付けて予め定められた時間である。初期到達時間は、一例として、造型システム1の初回起動時において、鋳枠Fに砂23を充てんした時の圧力センサPAの検出結果に基づいて計測された時間である。初回起動時とは、工場出荷後に初めて砂23を充てんした時でもよいし、型交換(パターンチェンジ)をした後に初めて砂23を充てんした時でもよいし、操業日において最初に砂23を充てんした時でもよい。初期到達時間の記憶先は、メモリ62ではなく、ストレージ63でもよい。
【0057】
(タンクの膨張量を判定する例)
ライン制御部6は、圧力とサンドタンク22の膨張量とを関連付けたテーブルを備えてもよい。このようなテーブルは、予めメモリ62などに記憶されていてもよいし、ハードウェアである電子回路で実現されてもよい。サンドタンク22の膨張量は、例えば非接触の距離センサなどを用いて計測される。ライン制御部6は、サンドタンク22の膨張量と、テーブルとに基づいて、サンドタンク22内の圧力を取得することができる。ライン制御部6は、テーブルによって導かれたサンドタンク22内の圧力と、メモリ62に記憶された初期圧力とを比較し、サンドタンク22内の圧力が初期圧力よりも高い圧力となる関係であるか否かを判定できる。あるいは、ライン制御部6は、テーブルによって導かれたサンドタンク22内の圧力変化と、メモリ62に記憶された初期圧力変化とを比較し、サンドタンク22内の圧力変化が初期圧力変化よりも大きい圧力変化となる関係であるか否かを判定できる。なお、ライン制御部6は、膨張量をサンドタンク22内の圧力に変換して判定するだけでなく、初期圧力や初期圧力変化を、閾値となる初期膨張量に変換することも可能である。この場合、ライン制御部6は、膨張量と初期膨張量とを比較するだけで、サンドタンク22の圧力が初期圧力よりも高い圧力となる関係であるか否かを判定できる。このように、ライン制御部6は、経過時間に基づいて上述した関係が満たされることを判定できる。なお、テーブルを利用する場合、造型機2は、圧力センサPAを備えなくてもよい。
【0058】
(画像変化量を判定する例)
ライン制御部6は、圧力センサPAを画像認識するカメラ(不図示)から画像を取得してもよい。圧力センサPAは、一例としてアナログ式の圧力メータである。ライン制御部6は、パターンマッチング技術などによりアナログ式の圧力メータが初期圧力より高い圧力を計測していることを検知することができる。これにより、ライン制御部6は、サンドタンク22内の圧力が初期圧力よりも高い圧力となる関係であるか否かを判定できる。あるいは、ライン制御部6は、時間ごとの画像の差分から画像変化量を取得し、アナログ式の圧力メータが初期圧力変化より大きい圧力変化を示していることを検知してもよい。この場合、ライン制御部6は、サンドタンク22内の圧力変化が初期圧力変化よりも大きい圧力変化となる関係であるか否かを判定できる。このように、ライン制御部6は、画像認識に基づいて上述した関係が満たされることを判定できる。
【0059】
図9は、サンドタンクの初期圧力変化と検知対象時の圧力変化とを示すグラフである。
図9に示されるグラフは、横軸が時間であり、縦軸が圧力である。グラフG1は、事前にメモリ62に記憶された初期圧力変化である。初期圧力変化は、ノズルの詰まりが発生していないときのサンドタンク22内の圧力の推移のグラフである。グラフG2は、圧力センサPAによって検出されたサンドタンク22内の圧力の推移である。ライン制御部6は、グラフG1とグラフG2とを比較して、ノズル24の詰まりの有無を判定する。グラフG2に示されるように、ノズル24の詰まりが発生した場合、サンドタンク22内の圧力は特徴的に推移する。具体的には、グラフG2は、グラフG1と比べて所定圧力(例えば圧力P1)に到達するまでの時間が短い。さらに、最大到達圧力が異なる。ライン制御部6は、上述した全体的な特徴の比較に基づいて、ノズル24の詰まりの有無を判定してもよい。ライン制御部6はグラフG1とグラフG2との差分の推移に基づいてノズルの詰まりの発生を検知してもよい。
【0060】
(詰まり解消動作)
ライン制御部6は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には、詰まり解消動作を実行するように造型機2に指示する。例えば、造型制御部20は、ライン制御部6の指示に基づいて、サンドタンク22内に供給される圧縮空気の量を増加させる。これにより、サンドタンク22内の圧力が上昇し、ノズル24に詰まった砂23を吹き飛ばすことができる。
【0061】
(警報動作)
ライン制御部6は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には、警報を行ってもよい。警報とは、作業者などに異常を報知することをいう。ライン制御部6は、警報処理の一例として、出力部65に警報に関する画面を表示する。あるいは、ライン制御部6は、表示による警報に代えて、あるいは、表示による警報とともに、図示しないスピーカにおいて警報音を鳴らしたり、警告灯を点灯させたりしてもよい。
【0062】
(解析装置との連携)
ライン制御部6は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には、詰まりの有無に関する情報を解析装置5へ出力する。ライン制御部6は、圧力センサPAから取得されたサンドタンク22内の圧力が所定の標準時間よりも早く初期圧力に達した場合には、詰まりの有無に関する情報を解析装置5へ出力してもよい。所定の標準時間は、例えば、メモリ62(時間記憶部の一例)に記憶される。標準時間の記憶先は、メモリ62ではなく、ストレージ63でもよい。
図9に示される時間t3は、所定の閾値である圧力P1に到達するまでの時間である。圧力センサPAから取得されたサンドタンク22内の圧力が所定の標準時間(時間t3)よりも早く初期圧力に達した場合(例えば、図中の時間t2)、ライン制御部6は、ノズル24の詰まりが生じた状態で砂鋳型Mが形成されたとして、詰まりの有無に関する情報を解析装置5へ出力する。
【0063】
解析装置5は、ライン制御部6から詰まりの有無に関する情報を取得したことに応じて、動作を変更する。例えば、解析装置5は、ライン制御部6から、詰まりの有無に関する情報を取得した場合には、外力付与装置52を動作させて、砂鋳型Mを撮像する前に砂鋳型Mへ空圧を加える。外力付与装置52は、砂鋳型Mを撮像する前に、砂が移動する程度の風量(800L/min)を砂鋳型Mに加える。これにより、外力付与装置52は、砂鋳型Mの表層に付着した砂を移動させ、検査対象の表面を露出させることができる。あるいは、解析装置5は、ライン制御部6から、詰まりの有無に関する情報を取得した場合には、高倍率モードで砂鋳型Mを撮像させてもよい。このように、詰まりの有無に関する情報を取得した場合には、解析装置5は、より慎重に解析するように動作できる。
【0064】
(サンドカッタとの連携)
ライン制御部6は、圧力センサPBの検出結果(スクイズ圧)に基づいてスクイズが正常終了したか否かを判定する。例えば、ライン制御部6は、正常時に取得された圧力と圧力センサPの検出結果とを比較し、検出結果が閾値以下である場合には、スクイズが正常終了していないと判定する。サンドカッタ4は、ノズル24の詰まりの有無及びスクイズが正常終了したか否かに応じて動作を変更する。
【0065】
例えば、ライン制御部6は、正常終了時(ライン制御部6によりノズル24の詰まりが無いと判定され、かつ、スクイズが正常終了したと判定された場合)には、砂鋳型Mとカッター部材53との相対速度が第1速度となるように、搬送ライン3を動作させる。そして、ライン制御部6は、異常終了時(ライン制御部6によりノズル24の詰まりがあると判定され、かつ、スクイズが正常終了していないと判定された場合)には、砂鋳型Mとカッター部材53との相対速度が第1速度よりも低い第2速度となるように、搬送ライン3を動作させる。サンドカッタ4が移動する構成を有する場合には、サンドカッタ4は、正常終了時には、砂鋳型Mとカッター部材53との相対速度が第1速度となるように、カッター部材53を動作させる。そして、サンドカッタ4は、異常終了時には、砂鋳型Mとカッター部材53との相対速度が第1速度よりも低い第2速度となるように、カッター部材53を動作させる。
【0066】
(実施形態のまとめ)
造型システム1によれば、ノズル24を介してサンドタンク22内の砂23を鋳枠F内に導入する砂充てん中において、砂充てんの開始から所定の圧力に達するまでの到達時間が、予め取得された初期到達時間に比して短い時間となる関係に有るときに、ノズル24の詰まりに関する情報が出力される。このように、機械的にノズルの詰まりが検知されるため、この造型システムは、作業員が判断する場合と比べて、ノズルの詰まりの発生を適切に検知できる。
【0067】
造型システム1は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)にはノズル24の詰まりを解消する動作を実行するため、ノズルの詰まりによる砂充てん不足によって造型不良が発生することを回避できる。
【0068】
造型システム1は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には警報を行うため、ノズル24の詰まりがあることを作業者などに報知できる。
【0069】
造型システム1は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には詰まりの有無に関する情報を解析装置5へ出力する。このため、造型システム1は、ノズル24の詰まりが発生したときに造型された砂鋳型Mの画像解析ができる。
【0070】
造型システム1は、上述した圧力又は圧力変化の関係が満たされた場合(つまり、ノズル24の詰まりがあると判定された場合)には、砂鋳型Mを撮像する前に外力付与装置52によって砂鋳型Mへ空圧を加える。このため、造型システム1は、砂鋳型Mの表面に落下した砂を空圧で移動させ除去できる。
【0071】
解析装置5は、ノズル24の詰まりの有無に関する情報を取得した場合には、高倍率モードで砂鋳型Mを撮像するため、ノズル24の詰まりが発生したときに造型された砂鋳型Mをより詳細に画像解析できる。
【0072】
サンドカッタ4は、スクイズが正常に終了した場合とスクイズが正常に終了しなかった場合との砂鋳型Mの硬さ(鋳型強度)を考慮して、スクイズが正常終了したか否かに応じて動作を変更する。これにより、サンドカッタ4は、砂鋳型Mを崩すことを回避できる。
【0073】
サンドカッタ4は、ノズル24の詰まりが有ると判定され、かつ、スクイズが正常終了していないと判定された場合には、砂鋳型Mとカッター部材53との相対速度を正常終了時と比べて遅くする。これにより、サンドカッタ4は、砂鋳型Mを崩すことを回避できる。
【0074】
なお、上述した実施形態は本開示に係る造型システムの一例を示すものである。本開示に係る造型システムは、実施形態に係る造型システム1に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る造型システム1を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、サンドタンク22の内面のフィルタ22aに設けられた複数の孔から圧縮空気が噴出されることにより、砂23を浮遊流動化させながら造型空間26に砂23を充てんする方式(エアレーション方式)を採用する造型システム1を説明したが、これに限定されない。本開示に係る造型システムは、サンドタンク22に圧縮空気を供給し、圧力によって砂が鋳枠に吹き込まれるブロー方式を採用してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…造型システム、2…造型機、3…搬送ライン、4…サンドカッタ、5…解析装置、6…ライン制御部、21…センサ、22…サンドタンク(タンクの一例)、24…ノズル、M…砂鋳型、F…鋳枠、B…定盤