(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136116
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】仕分け装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20230922BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230922BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
B65H7/14
G03G15/00 430
G03G15/00 440
B65H31/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041566
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】マック フン ティン
【テーマコード(参考)】
2H072
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
2H072AA09
2H072AA18
2H072AA25
2H072AA27
2H072AA28
2H072FC04
2H072FC11
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA02
3F048BA03
3F048BA04
3F048BB02
3F048BB10
3F048CA02
3F048CB06
3F048DB17
3F048DC14
3F048EB31
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA01
3F054BB04
3F054BF02
3F054BF07
3F054BJ04
3F054CA10
3F054CA11
3F054CA12
3F054CA23
(57)【要約】
【課題】排出トレイの積載状態を細かく判定できるようにする。
【解決手段】用紙Pを積載する複数の排出トレイ21A~21Dと、複数の排出トレイ21A~21Dに沿って移動し、排出トレイ21A~21Dに積載されている用紙Pを検出する用紙センサー231と、複数の排出トレイ21A~21Dに沿って、予め定められた移動量単位で用紙センサー231を移動させることが可能な移動機構24と、移動機構24の動作を制御して、用紙センサー231を移動させる制御部と、を備え、制御部が、移動機構24の動作を制御し、上記移動量単位に基づいて用紙センサー231を移動させて当該用紙センサー231による用紙Pの検出位置を段階的に変更し、用紙センサー231による用紙Pの検出の有無から排出トレイ21A~21Dの積載状態を判定するようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を積載する排出トレイを複数備える、前記用紙を仕分ける仕分け装置であって、
前記複数の排出トレイの並び方向に移動し、前記排出トレイに積載されている前記用紙を検出する用紙センサーと、
前記複数の排出トレイに沿って、予め定められた移動量単位で前記用紙センサーを移動させることが可能な移動機構と、
前記移動機構の動作を制御して、前記用紙センサーを移動させる制御部と、を備え、
前記制御部は、更に、前記移動機構の動作を制御し、前記移動量単位に基づいて前記用紙センサーを移動させて当該用紙センサーによる前記用紙の検出位置を段階的に変更し、前記用紙センサーによる前記用紙の検出の有無から前記排出トレイの積載状態を判定する仕分け装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記用紙センサーの移動を、当該用紙センサーにより前記用紙が検出されなくなった時点で停止させる請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記複数の排出トレイのいずれかに前記用紙を排出するために、前記複数の排出トレイの並び方向に移動し、前記用紙の搬送方向を変更する変更部材を更に備え、
前記用紙センサーは、前記変更部材に設けられ、
前記制御部は、前記移動機構の動作を制御して、前記用紙センサーが設けられた前記変更部材を移動させ、前記用紙センサーにより前記用紙が検出されなくなった時点で前記変更部材を停止させる請求項2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記変更部材は、
前記排出トレイに向かって前記用紙を排出する排出ローラーと、
当該排出ローラーよりも排出方向下流側に設けられ、前記用紙を両面から挟んで案内する第1案内部材と第2案内部材と、を備え、
前記第1案内部材及び前記第2案内部材は、前記用紙に生じるカールとは逆カール方向に湾曲させた形状に形成され、
前記第1案内部材と前記第2案内部材とで形成される、前記用紙を通す隙間は排出方向に対して徐々に狭くされている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の仕分け装置。
【請求項5】
前記第1案内部材及び前記第2案内部材の前記用紙を案内する案内面側に、前記排出方向と直交する方向に延びるリブが間隔を設けて複数形成されている請求項4に記載の仕分け装置。
【請求項6】
前記排出トレイに新たに排出されてくる前記用紙の先端又は後端を検出する第2用紙センサーを更に備え、
前記制御部は、前記排出トレイに新たに排出されてくる前記用紙の先端又は後端が前記第2用紙センサーにより検出されてから、前記用紙が前記排出トレイに自重で落下して姿勢が安定するまでに要する時間としての予め定められた時間が経過した後に、前記排出トレイの積載状態の判定を行う請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の仕分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け装置に関し、特に、画像形成装置から搬送されてくる用紙を仕分ける仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や複合機等の画像形成装置に対するオプション装置として、複数の排出トレイを備え、画像形成装置から搬送されてくる用紙を仕分ける仕分け装置(メールボックス)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-286933号公報
【特許文献2】特開平08-119527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1,2には、仕分け装置を構成する排出トレイが満杯であるかどうかを検出することが記載されているが、上記の特許文献1,2に記載された仕分け装置では、排出トレイの積載状態を細かく判定することはできない。排出トレイの積載状態を細かく判定することできれば、仕分け装置の使い勝手は更によくなるはずである。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、排出トレイの積載状態を細かく判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る仕分け装置は、用紙を積載する排出トレイを複数備える、前記用紙を仕分ける仕分け装置であって、前記複数の排出トレイの並び方向に移動し、前記排出トレイに積載されている前記用紙を検出する用紙センサーと、前記複数の排出トレイに沿って、予め定められた移動量単位で前記用紙センサーを移動させることが可能な移動機構と、前記移動機構の動作を制御して、前記用紙センサーを移動させる制御部と、を備え、前記制御部は、更に、前記移動機構の動作を制御し、前記移動量単位に基づいて前記用紙センサーを移動させて当該用紙センサーによる前記用紙の検出位置を段階的に変更し、前記用紙センサーによる前記用紙の検出の有無から前記排出トレイの積載状態を判定するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、用紙センサーによる用紙の検出位置が段階的に変更されるので、排出トレイの積載状態を細かく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る仕分け装置を含んで構成される画像形成システムの一部を示す正面図である。
【
図2】(A)は、仕分け装置の構成の一部を示す正面図であり、(B)は、仕分け装置の構成の一部を示す右側面図である。
【
図3】画像形成システムの主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【
図4】仕分け装置の制御部で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】(A)及び(B)は、排出トレイの積載状態を判定する原理を説明する図である。
【
図6】(A)乃至(C)は、排出トレイの積載状態を判定する原理を説明する図である。
【
図7】(A)は、変更部材の構成の一部を示す正面図であり、(B)は、第1案内部材及び第2案内部材の構造の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る仕分け装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る仕分け装置を含んで構成される画像形成システムの一部を示す正面図である。画像形成システム10は、用紙に画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1の上方に設けられた仕分け装置2と、を備える。
【0010】
画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。仕分け装置2は、画像形成装置1から搬送されてくる用紙を仕分けるものであって、上下方向に並べられた、用紙を積載する複数の排出トレイ21A~21D(以降、単に「排出トレイ21」とも称す)を備える。
【0011】
図2(A)は、仕分け装置2の構成の一部を示す正面図であり、
図2(B)は、仕分け装置2の構成の一部を示す右側面図である。仕分け装置2は、複数の排出トレイ21と、画像形成装置1から搬送されてくる用紙Pを排出トレイ21まで搬送する図略の排出搬送部22(
図3を参照)と、複数の排出トレイ21のいずれかに用紙Pを排出するために、複数の排出トレイ21に沿って移動し、用紙Pの搬送方向を変更する変更部材23と、複数の排出トレイ21に沿って、変更部材23を予め定められた移動量単位M1で移動させることが可能な移動機構24と、ホームポジションセンサー25と、を備える。
【0012】
排出搬送部22は、画像形成装置1から仕分け装置2の上端まで上下方向に延びる図略の排出搬送路、図略の搬送ローラー、当該搬送ローラーを回転させる図略の駆動モーターなどを備えている。排出搬送部22は、画像形成装置1から搬送されてくる用紙Pを上方に向けて搬送し、用紙Pを変更部材23の位置まで搬送する。
【0013】
変更部材23は、複数の排出トレイ21のいずれかに用紙Pを排出するために、複数の排出トレイ21の並び方向に沿って上下に移動する。例えば、変更部材23は、図略の排出ローラーや用紙Pの排出先を切り替えるフラッパー232などを備える。変更部材23は、フラッパー232により、排出搬送部22が画像形成装置1から搬送する用紙Pの先端の進み方向を各排出トレイ21側に変更することで、用紙Pを各排出トレイ21側に向かわせる。これにより、変更部材23が停止している位置と同じ高さ位置にある排出トレイ21に用紙Pが案内される。
【0014】
移動機構24は、駆動ローラー241と、従動ローラー242と、駆動ローラー241と従動ローラー242との間に架け渡された移動ベルト243と、駆動ローラー241を回転させる駆動モーター244と、を備える。変更部材23は、移動ベルト243に固定され、駆動モーター244の回転によって、排出トレイ21に沿って上昇又は下降する。駆動モーター244は、位置決め制御が可能なモーター(例えば、ステッピングモーター)であるため、制御部26は、移動機構24を、変更部材23を上記移動量単位M1で移動させる。
【0015】
また、変更部材23には、排出トレイ21に積載されている用紙Pを検出する用紙センサー231が設けられている。そのため、用紙センサー231は、移動機構24の動作により、複数の排出トレイ21に沿って移動する。用紙センサー231は、例えば、用紙Pに光を出射する発光素子と、用紙Pで反射された光を受光する受光素子と、を備えた反射型の光センサーである。
【0016】
ホームポジションセンサー25は、変更部材23よりも仕分け装置2の装置本体前側に設けられ、変更部材23のホームポジションへの到達及び通過を検出するセンサーであり、変更部材23の現在位置を認識するのに使用される。ホームポジションセンサー25としては、例えば、反射型や透過型の光センサーが挙げられる。
【0017】
図3は、画像形成システム10の主要内部構成を概略的に示す機能ブロック図である。画像形成装置1は、原稿給送部11、原稿読取部12、画像形成部13、定着部14、給紙部15、操作部16、記憶部17、制御部18、及び通信インターフェイス(I/F)19を含んで構成されている。
【0018】
原稿給送部11は、原稿読取部12の上面に図略のヒンジ等によって開閉可能に構成され、原稿給送部11は、図略のプラテンガラス上に載置された原稿を読み取る場合に原稿押さえカバーとして機能する。また、原稿給送部11は、ADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる自動原稿送り装置であり、図略の原稿載置トレイを備え、当該原稿載置トレイに載置された原稿を原稿読取部12へ1枚ずつ給送する。
【0019】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部11により原稿読取部12へ供給された原稿、又は上記プラテンガラス上に載置されている原稿の画像を、原稿読取部12が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部12により生成された画像データは、図略の画像メモリー等に保存される。
【0020】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、画像メモリー等に記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部13が、給紙部15から給紙される記録媒体としての用紙にトナー像を形成する。
【0021】
定着部14は、画像形成部13によりトナー像が形成された用紙を加熱及び加圧して、トナー像を用紙に定着させるものであり、定着処理が施された用紙は仕分け装置2に搬送される。給紙部15は、給紙カセットを備える。
【0022】
操作部16は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について、操作者から、画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部16は、操作者への操作案内等を表示する表示部161を備えている。また、操作部16は、表示部161が有するタッチパネルを介して、表示部161に表示されている操作画面に対するユーザーによる操作(タッチ操作)に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0023】
また、操作部16は、操作部16に設けられた物理キーに対するユーザーによる操作に基づく、ユーザーからの指示の入力を受け付ける。
【0024】
表示部161は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなる。表示部161は、タッチパネルを備えている。操作者は画面表示されるボタンやキーに触れる操作を行うと、タッチパネルにより、タッチ操作された位置に対応付けられた指示が受け付けられる。
【0025】
記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置であり、各種の制御プログラム等を記憶する。
【0026】
制御部18は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御部18は、上記のROM又は記憶部17に記憶された制御プログラムを実行して、画像形成装置1による画像形成に必要な各種の処理などを実行する処理部としての役割を果たす。
【0027】
制御部18は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部18は、原稿給送部11、原稿読取部12、画像形成部13、定着部14、給紙部15、操作部16、記憶部17、及び通信インターフェイス19と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0028】
仕分け装置2は、排出トレイ21A~21Dと、排出搬送部22と、変更部材23と、移動機構24と、ホームポジションセンサー25と、制御部26と、通信インターフェイス(I/F)27と、を備える。これらの構成要素(排出トレイ21を除く)は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0029】
制御部26は、プロセッサー、RAM、及びROMなどから構成される。制御部26は、排出搬送部22、変更部材23、移動機構24、及びホームポジションセンサー25と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0030】
画像形成装置1の制御部18と仕分け装置2の制御部26は、それぞれの通信インターフェイス19,27を通じて、データ又は信号を互いに入出力する。例えば、画像形成装置1の制御部18は、仕分け装置2による仕分けの動作を指示する制御信号を仕分け装置2の制御部26に出力する。仕分け装置2の制御部26は、受け取った当該制御信号に応じて排出搬送部22や移動機構24、変更部材23等を駆動制御する。
【0031】
制御部26は、移動機構24(具体的には、駆動モーター244)の動作を制御して、用紙センサー231(変更部材23)を移動させる。また、制御部26は、移動機構24の動作を制御し、上記移動量単位M1に基づいて用紙センサー231を移動させて当該用紙センサー231による用紙Pの検出位置を段階的に変更し、用紙センサー231による用紙Pの検出の有無から排出トレイ21の積載状態を判定する。
【0032】
次に、仕分け装置2の制御部26で行われる処理の一例を、
図4に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、用紙Pの仕分けを行う準備処理であり、仕分け装置2の制御部26が、画像形成装置1の制御部18からの仕分けの動作を指示する制御信号を受け取った場合に行われる。
【0033】
仕分け装置2の制御部26は、移動機構24の駆動モーター244を制御し、排出トレイ21に沿って、変更部材23を移動させ(S1)、ホームポジションセンサー25からの検出信号に基づいて、変更部材23がホームポジションに到達したと判断すると、変更部材23を停止させる(S2)。すなわち、制御部26は、変更部材23をホームポジションに配置する。
【0034】
制御部26は、駆動モーター244の動作を制御し、上記制御信号に基づいて、画像形成装置1から排出先として指定された排出トレイ21A~21Dのいずれかに変更部材23を移動させる(S3)。制御部26は、例えば、各排出トレイ21における用紙Pが積載可能な下限位置の高さを目標位置とし、当該目標位置に用紙センサー231(の中心部)が到達したときに変更部材23を停止させる。すなわち、制御部26は、用紙センサー231を排出トレイ21の下限位置に配置する。
図5(A)及び(B)は、用紙センサー231が排出トレイ21の下限位置に配置された状態を示している。
【0035】
変更部材23(用紙センサー231)の単位時間当たりの移動量は、駆動モーター244の回転速度により決定される。そのため、制御部26は、駆動モーター244の動作時間を調整することで、変更部材23を目標位置で正確に停止させることができる。
【0036】
制御部26は、用紙センサー231からの検出信号を取得し(S4)、用紙センサー231からの検出信号がONであるか否かを判断する(S5)。用紙センサー231が用紙Pを検出した場合、検出信号はONとなり、用紙センサー231が用紙Pを検出しなかった場合、検出信号はOFFとなる。
【0037】
用紙センサー231が下限位置に配置されているとき、
図5(A)に示すように、排出トレイ21に用紙Pが積載されている場合、用紙センサー231からの検知信号はONとなるが、
図5(B)に示したように、排出トレイ21に用紙Pが積載されていない場合、用紙センサー231からの検知信号はOFFとなる。図中「下限位置」が排出トレイ21の空状態を検出する位置であるのに対し、図中「上限位置」は排出トレイ21の満杯状態を検出する位置である。
【0038】
制御部26は、用紙センサー231からの検出信号がONである(用紙Pが検出された)と判断した場合(S5でYES)、用紙センサー231が上限位置に配置されているか否かを判断する(S6)。
【0039】
制御部26は、用紙センサー231が上限位置に配置されていないと判断した場合(S6でNO)、駆動モーター244の動作を制御し、上記移動量単位M1の整数倍である予め定められた移動量M2だけ、変更部材23(用紙センサー231)を上方に移動させる(S7)。すなわち、制御部26は、用紙センサー231を1段階上昇させる。上記移動量M2は、例えば、
図5に示した「上限位置」と「下限位置」との距離を10等分した大きさである。
【0040】
その後、制御部26は、用紙センサー231からの検出信号を取得し(S4)、用紙センサー231からの検出信号がONであるか否かを判断する(S5)。
【0041】
制御部26は、用紙センサー231からの検出信号がOFFである(用紙Pは検出されない)と判断した場合(S5でNO)、この時点で、制御部26は、用紙センサー231(移動機構24)の移動を停止させると共に、用紙センサー231の現在位置に基づいて、排出トレイ21の積載状態を判定する(S8)。
【0042】
図6(A)乃至(C)に示すように、排出トレイ21の積載状態が50%であるときに、
図6(B)に示したように、用紙センサー231が下限位置から5段階(移動量M2×5倍)上昇した位置に配置されている場合、用紙センサー231からの検知信号はONとなる。もちろん、
図6(A)に示したように、用紙センサー231が下限位置に配置されている場合も、用紙センサー231からの検知信号はONとなる。
【0043】
一方、
図6(C)に示したように、用紙センサー231が下限位置から6段階(移動量M2×6倍)上昇した位置に配置されている場合、用紙センサー231からの検知信号はOFFとなる。これにより、排出トレイ21の積載状態が「50%以上60%未満」であることが分かる。従って、用紙センサー231による用紙Pの検出位置を段階的に変更していくことで、排出トレイ21の積載状態が分かる。
【0044】
続いて、制御部26は、上記判定した結果を示す情報を、通信インターフェイス27を介して、画像形成装置1の制御部18に対して送信し(S9)、この処理を終了する。その後、制御部26は、上記制御信号に応じた仕分け処理を開始する。
【0045】
S6において、制御部26は、用紙センサー231が上限位置に配置されていると判断した場合(S6でYES)、当該排出トレイ21は満杯であると判定し(S10)、当該判定した結果を示す情報を、通信インターフェイス27を介して、画像形成装置1の制御部18に対して送信し(S9)、この処理を終了する。
【0046】
上記実施形態によれば、用紙センサー231による用紙Pの検出位置が段階的に変更されるので、排出トレイ21の積載状態を細かく判定することができる。
【0047】
ところで、変更部材23から排出トレイ21に向けて排出された用紙Pは自重落下して排出トレイ21に積載されるが、排出トレイ21の積載状態によって用紙Pの落下距離は変わる。当然ではあるが、排出トレイ21の積載状態が低いほど、用紙Pの落下距離は長くなり、用紙Pの姿勢が不安定になる。
【0048】
上記実施形態では、制御部26は、用紙センサー231により用紙Pが検出されなくなる位置で変更部材23を停止させて配置する。例えば、
図6(C)に示したように、排出トレイ21の積載状態が「50%以上60%未満」である場合、用紙センサー231を6段階上昇させた位置で変更部材23は配置される。従って、排出トレイ21の積載状態によって変更部材23の配置する高さは調整され、用紙Pの落下距離は短くなるので、用紙Pの姿勢が不安定になるのを抑えることができる。
【0049】
また、従来では、変更部材23に対応する部材(例えば、上記の特許文献1に記載の分配器10)の移動を調整するためにそれ専用のセンサー(例えば、上記の特許文献1に記載のホイールセンサー26)を設けていたが、上記実施形態では、駆動モーター244として、位置決め制御が可能なモーターが採用されるので、上記センサーを不要にすることができ、装置の複雑化を回避することができる。
【0050】
図7(A)は、変更部材23の構成の一部を示す正面図である。変更部材23は、排出トレイ21に向かって用紙Pを排出する排出ローラー238と、当該排出ローラー238よりも排出方向下流側に設けられた、用紙Pを両面から挟んで案内する第1案内部材233と第2案内部材234と、を備える。第1案内部材233及び第2案内部材234は、用紙Pに生じるカールとは逆カール方向に湾曲させた形状に形成されている。これにより、用紙Pに生じたカールを矯正することが可能になる。
【0051】
第1案内部材233と第2案内部材234とで形成される、用紙Pを通す隙間は排出方向に対して徐々に狭くなっている。すなわち、挿入口235よりも、排出口236が狭くなっている。
【0052】
図7(B)は、第1案内部材233及び第2案内部材234の構造の一部を示す断面図である。第1案内部材233及び第2案内部材234の用紙Pを案内する案内面側に、排出方向と直交する方向に延びるリブ237が間隔を設けて複数形成されている。
【0053】
上記したように、上記隙間は排出方向に対して徐々に狭くなり、上記案内面にはリブが形成され、用紙Pが上下に移動するスペースが小さくなるため、カールが生じるのを抑えることができる。
【0054】
また、排出トレイ21に排出された用紙Pの姿勢が安定していないと、用紙センサー231の誤検知により、排出トレイ21の積載状態を正確に判定できないおそれがある。
【0055】
そこで、別の実施形態として、排出トレイ21に新たに排出されてくる用紙Pの先端又は後端を検出する第2用紙センサーを更に備え、制御部26は、排出トレイ21に新たに排出されてくる用紙Pの先端又は後端が上記第2用紙センサーにより検出されてから、用紙Pが排出トレイ21に自重で落下して姿勢が安定するまでに要する、予め定められた時間が経過した後に、排出トレイ21の積載状態の判定を行うようにする。例えば、制御部26は、上記時間が経過した後に、用紙センサー231からの検出信号を取得する。これにより、排出トレイ21の積載状態の判定精度を高めることができる。なお、上記第2用紙センサーについては、用紙センサー231で兼用してもよい。
【0056】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、
図1乃至
図7を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
2 仕分け装置
21 排出トレイ
23 変更部材
24 移動機構
26 制御部
231 用紙センサー
232 排出ローラー
233 第1案内部材
234 第2案内部材
237 リブ