(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136130
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】温度調整装置、電子部品ハンドリング装置、及び、電子部品試験装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20230922BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041584
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】菊池 有朋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康之
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA07
2G003AD03
2G003AG11
2G003AH05
(57)【要約】
【課題】DUTの温度調整における応答性の向上を図ることができる温度調整装置を提供する。
【解決手段】温度調整装置8は、DUT300と接触する熱交換部材82と、熱交換部材82の内部を通過する第8の流通孔821と、流体の流れを旋回させて旋回流SF
2を形成して、旋回流SF
2を第8の流通孔821に供給する接続部817と、を備えており、旋回流SF
2は、第8の流通孔821の中心軸CA
5を中心として、第8の流通孔821の内周面821eに沿って旋回する冷媒の流れである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットに電気的に接続されるDUTの温度を調整する温度調整装置であって、
流体を供給する流体供給源と接続する流体接続部と、
前記DUT、又は、前記DUTを収容したキャリアを前記ソケットに押圧する際に、前記DUT、又は、前記キャリアと熱的に接続する熱交換部材と、
前記熱交換部材の内部を通過する第1の流路と、
前記流体の流れを旋回させて第1の旋回流を形成して、前記第1の旋回流を前記第1の流路に供給する第1の旋回流形成部と、を備えており、
前記第1の旋回流は、前記第1の流路の第1の中心軸を中心として、前記第1の流路の内面に沿って旋回する前記流体の流れである温度調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、前記第1の流路より上流に配置されており、前記第1の流路と接続された第2の流路をさらに備え、
前記第2の流路は、前記第1の中心軸と交差していない第2の中心軸を有しており、
前記第1の旋回流形成部は、前記第1の流路と前記第2の流路とが接続している第1の接続部である温度調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温度調整装置であって、
前記第1の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、
前記第1の流路は、前記第1の流路の内周面に形成された第1の開口を含んでおり、
前記第2の流路は、前記第2の流路の第1の端部に形成された第2の開口を含んでおり、
前記第1の接続部において、前記第1の開口と前記第2の開口とが接続している温度調整装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温度調整装置であって、
前記第2の流路の内面の一部は、前記第1の接続部において前記第1の流路の内周面の一部と面一で接続している温度調整装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
第1の仮想直線と第2の仮想直線との交差角が90°~120°であり、
前記第1の仮想直線は、第1の仮想平面上に前記第1の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第2の仮想直線は、前記第1の仮想平面上に前記第2の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第1の仮想平面は、前記第1の中心軸と前記第2の中心軸に平行な仮想上の平面である温度調整装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
前記第2の流路より上流に配置されており、前記第2の流路と接続している第3の流路と、
前記流体の流れを旋回させて第2の旋回流を形成して、前記第2の旋回流を前記第3の流路に供給する第2の旋回流形成部と、をさらに備え、
前記第2の旋回流は、前記第3の流路の第3の中心軸を中心として、前記第3の流路の内面に沿って旋回する前記流体の流れである温度調整装置。
【請求項7】
請求項6に記載の温度調整装置であって、
前記第3の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、
前記第2の流路は、前記第2の流路の第2の端部に形成された第3の開口を含んでおり、
前記第3の流路は、前記第3の流路の内周面に形成された第4の開口を含んでおり、
前記第3の開口と前記第4の開口とが接続している温度調整装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の温度調整装置であって、
第3の仮想直線と第4の仮想直線との交差角が90°~120°であり、
前記第3の仮想直線は、第2の仮想平面上に前記第2の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第4の仮想直線は、前記第2の仮想平面上に前記第3の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第2の仮想平面は、前記第2の中心軸と前記第3の中心軸に平行な仮想上の平面である温度調整装置。
【請求項9】
請求項6~8のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、前記第3の流路より上流に配置されており、前記第3の流路と接続している第4の流路をさらに備え、
前記第4の流路は、前記第3の中心軸と交差していない第4の中心軸を有しており、
前記第2の旋回流形成部は、前記第3の流路と前記第4の流路とが接続している第2の接続部である温度調整装置。
【請求項10】
請求項9に記載の温度調整装置であって、
前記第3の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、
前記第3の流路は、前記第3の流路の内周面に形成された第5の開口を含んでおり、
前記第4の流路は、前記第4の流路の第3の端部に形成された第6の開口を含んでおり、
前記第2の接続部において、前記第5の開口と前記第6の開口とが接続している温度調整装置。
【請求項11】
請求項7~9のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
第5の仮想直線と第6の仮想直線との交差角が90°~120°であり、
前記第5の仮想直線は、第3の仮想平面上に前記第3の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第6の仮想直線は、前記第3の仮想平面上に前記第4の中心軸を投影した仮想上の直線であり、
前記第3の仮想平面は、前記第3の中心軸と前記第4の中心軸に平行な仮想上の平面である温度調整装置。
【請求項12】
請求項6~11のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
複数の前記第1の流路と、
複数の前記第2の流路と、を備えており、
単一の前記第1の流路は、単一の前記第2の流路に接続されており、
複数の前記第2の流路は、単一の前記第3の流路に接続されている温度調整装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記第1の流路は、前記第1の流路の内面に設けられ、螺旋状に延在する螺旋壁を有し、
前記第1の流路の内面には、前記螺旋壁により雌ネジが形成されている温度調整装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記流体は、ミスト状又は液体状の窒素である温度調整装置。
【請求項15】
前記DUT、又は、前記キャリアをハンドリングする電子部品ハンドリング装置であって、
前記DUT、又は、前記キャリアを前記ソケットに押圧する押圧装置を備え、
前記押圧装置は、請求項1~14のいずれか一項に記載の温度調整装置を備えている電子部品ハンドリング装置。
【請求項16】
前記DUTを試験する電子部品試験装置であって、
請求項15に記載の電子部品ハンドリング装置と、
前記ソケットを有するテスタと、を備えた電子部品試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(以下、単に「DUT」(Device Under Test)と称する。)の試験に用いられる温度調整装置、電子部品ハンドリング装置、及び、電子部品試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品検査装置は、ICデバイスを検査する検査部と、ICデバイスを検査部に搬送するデバイス搬送ヘッドと、を備えている(例えば特許文献1参照)。このデバイス搬送ヘッドは、ICデバイスを検査する場合に、ICデバイスを検査部に向けて押圧する。これにより、ICデバイスの端子が検査部のプローブピンに当接し、端子とプローブピンとが電気的に接続される。
【0003】
デバイス搬送ヘッドは、複数のヘッドと、当該ヘッドの下部に接続され、ICデバイスを把持する把持部と、を有している。ヘッドの内部には、流路が形成されており、この流路には冷却機構から液体窒素等の冷媒が供給される。このように、ヘッドの流路に冷媒が流通することにより、把持部を介してICデバイスが冷却される(例えば、特許文献1(段落[0108]及び第4図~第8図))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような電子部品検査装置では、冷媒とICデバイスとの熱交換効率が十分ではなく、温度制御における応答性が低下してしまう場合がある、という問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、DUTの温度調整における応答性の向上を図ることができる温度調整装置、電子部品ハンドリング装置、及び、電子部品試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係る温度調整装置は、ソケットに電気的に接続されるDUTの温度を調整する温度調整装置であって、流体を供給する流体供給源と接続する流体接続部と、前記DUT、又は、前記DUTを収容したキャリアを前記ソケットに押圧する際に、前記DUT、又は、前記キャリアと熱的に接続する熱交換部材と、前記熱交換部材の内部を通過する第1の流路と、前記流体の流れを旋回させて第1の旋回流を形成して、前記第1の旋回流を前記第1の流路に供給する第1の旋回流形成部と、を備えており、前記第1の旋回流は、前記第1の流路の第1の中心軸を中心として、前記第1の流路の内面に沿って旋回する前記流体の流れである温度調整装置である。
【0008】
[2]上記発明において、前記温度調整装置は、前記第1の流路より上流に配置されており、前記第1の流路と接続された第2の流路をさらに備え、前記第2の流路は、前記第1の中心軸と交差していない第2の中心軸を有しており、前記第1の旋回流形成部は、前記第1の流路と前記第2の流路とが接続している第1の接続部であってもよい。
【0009】
[3]上記発明において、前記第1の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、前記第1の流路は、前記第1の流路の内周面に形成された第1の開口を含んでおり、前記第2の流路は、前記第2の流路の第1の端部に形成された第2の開口を含んでおり、前記第1の接続部において、前記第1の開口と前記第2の開口とが接続していてもよい。
【0010】
[4]上記発明において、前記第2の流路の内面の一部は、前記第1の接続部において前記第1の流路の内周面の一部と面一で接続していてもよい。
【0011】
[5]上記発明において、第1の仮想直線と第2の仮想直線との交差角が90°~120°であり、前記第1の仮想直線は、第1の仮想平面上に前記第1の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第2の仮想直線は、前記第1の仮想平面上に前記第2の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第1の仮想平面は、前記第1の中心軸と前記第2の中心軸に平行な仮想上の平面であってもよい。
【0012】
[6]上記発明において、前記温度調整装置は、前記第2の流路より上流に配置されており、前記第2の流路と接続している第3の流路と、前記流体の流れを旋回させて第2の旋回流を形成して、前記第2の旋回流を前記第3の流路に供給する第2の旋回流形成部と、をさらに備え、前記第2の旋回流は、前記第3の流路の第3の中心軸を中心として、前記第3の流路の内面に沿って旋回する前記流体の流れであってもよい。
【0013】
[7]上記発明において、前記第3の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、前記第2の流路は、前記第2の流路の第2の端部に形成された第3の開口を含んでおり、前記第3の流路は、前記第3の流路の内周面に形成された第4の開口を含んでおり、前記第3の開口と前記第4の開口とが接続していてもよい。
【0014】
[8]上記発明において、第3の仮想直線と第4の仮想直線との交差角が90°~120°であり、前記第3の仮想直線は、第2の仮想平面上に前記第2の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第4の仮想直線は、前記第2の仮想平面上に前記第3の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第2の仮想平面は、前記第2の中心軸と前記第3の中心軸に平行な仮想上の平面であってもよい。
【0015】
[9]上記発明において、前記温度調整装置は、前記第3の流路より上流に配置されており、前記第3の流路と接続している第4の流路をさらに備え、前記第4の流路は、前記第3の中心軸と交差していない第4の中心軸を有しており、前記第2の旋回流形成部は、前記第3の流路と前記第4の流路とが接続している第2の接続部であってもよい。
【0016】
[10]上記発明において、前記第3の流路の径方向に沿った断面は、円形状を有しており、前記第3の流路は、前記第3の流路の内周面に形成された第5の開口を含んでおり、前記第4の流路は、前記第4の流路の第2の端部に形成された第6の開口を含んでおり、前記第2の接続部において、前記第5の開口と前記第6の開口とが接続していてもよい。
【0017】
[11]上記発明において、前記第2の接続部において、前記第4の流路の内面の一部は、前記第3の流路の内周面の一部と面一で接続していてもよい。
【0018】
[12]上記発明において、第5の仮想直線と第6の仮想直線との交差角が90°~120°であり、前記第5の仮想直線は、第3の仮想平面上に前記第3の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第6の仮想直線は、前記第3の仮想平面上に前記第4の中心軸を投影した仮想上の直線であり、前記第3の仮想平面は、前記第3の中心軸と前記第4の中心軸に平行な仮想上の平面であってもよい。
【0019】
[13]上記発明において、前記温度調整装置は、複数の前記第1の流路と、複数の前記第2の流路と、を備えており、単一の前記第1の流路は、単一の前記第2の流路に接続されており、複数の前記第2の流路は、単一の前記第3の流路に接続されていてもよい。
【0020】
[14]上記発明において、前記第1の流路は、前記第1の流路の内面に設けられ、螺旋状に延在する螺旋壁を有していてもよい。
【0021】
[15]上記発明において、前記第1の流路は、前記熱交換部材の内部に形成された貫通孔を含み、前記螺旋壁は、前記第1の流路の径方向に沿って立設されており、前記貫通孔は、前記螺旋壁が前記第1の流路の第1の中心軸から離れた位置までの高さを有することで、前記第1の流路の延在方向に沿って連続的に貫通していてもよい。
【0022】
[16]上記発明において、前記第1の流路の内面には、前記螺旋壁により雌ネジが形成されていてもよい。
【0023】
[17]上記発明において、前記流体は、ミスト状又は液体状の窒素であってもよい。
【0024】
[18]上記発明において、前記第1の流路は、前記熱交換部材の内部において直線状に延在していてもよい。
【0025】
[19]上記発明において、前記温度調整装置は、加熱源であると共に、前記熱交換部材の上方又は下方に配置されているヒータを備えていてもよい。
【0026】
[20]本発明に係る電子部品ハンドリング装置は、前記DUT、又は、前記キャリアをハンドリングする電子部品ハンドリング装置であって、前記DUT、又は、前記キャリアを前記ソケットに押圧する押圧装置を備え、前記押圧装置は、上記の温度調整装置を備えている電子部品ハンドリング装置である。
【0027】
[21]本発明に係る電子部品試験装置は、前記DUTを試験する電子部品試験装置であって、上記の電子部品ハンドリング装置と、前記ソケットを有するテスタと、を備えた電子部品試験装置である。
【発明の効果】
【0028】
本発明では、流体が第1の中心軸を中心として第1の流路の内面に沿って旋回しながら流れる。このため、流体と第1の流路の内面との接触距離を増加させることができると共に、第1の流路の内面の近傍において流体の速度も向上させることができる。よって、流体とDUTとの間の熱交換効率を向上させることができるので、DUTの温度調整における応答性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態における電子部品試験装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII部における第4~第8の流路を示す拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、第4の流通孔の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、第5の流通孔の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、の交差角を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第5の流通孔の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、第6の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、の交差角を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図3のVIII-VIIIに沿った断面図である。
【
図9】
図9は、第6の流通孔の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、第7の流通孔の中心軸を仮想平面に投影した仮想直線と、の交差角を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における電子部品試験装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、
図1のII部を示す拡大断面図である。
【0031】
図1に示す本実施形態における電子部品試験装置100は、DUT300の電気的特性を試験する装置である。試験対象であるDUT300の具体例としては、SoC(System on a chip)、ロジック系のデバイス、又は、メモリ系のデバイスを例示することができる。
【0032】
図1に示すように、電子部品試験装置100は、DUT300を試験するテスタ2と、DUT300を搬送しソケット24に押し付けるハンドラ3と、を備えている。なお、本実施形態におけるハンドラ3が本発明における「電子部品ハンドリング装置」の一例に相当する。
【0033】
テスタ2は、メインフレーム21と、テストヘッド22と、を備えている。メインフレーム21は、ケーブル23を介してテストヘッド22に接続されている。メインフレーム21は、テストヘッド22を介して試験信号をDUT300に送出してDUT300を試験し、当該試験結果に応じてDUT300を評価する。テストヘッド22は、DUT300の試験の際に、メインフレーム21から送出された試験信号をDUT300へ送出する。
【0034】
図2に示すように、テストヘッド22は、ソケット24を介してDUT300と電気的に接続される。ソケット24は、ソケット本体241と、複数の接触子242と、を備えている。ソケット本体241は、テストヘッド22の上面に取り付けられている。このソケット本体241に接触子242が配置されている。
【0035】
接触子242は、テストヘッド22の上面に配置されたロードボード(不図示)等と電気的に接続されていると共に、DUT300の端子301と接触することによって当該DUT300とも電気的に接続される。なお、本実施形態では、接触子242としてポゴピンを用いているが、接触子242としてポゴピン以外のものを用いてもよい。例えば、カンチレバー型のプローブ針、異方導電性ゴムシート、又は、絶縁性膜にバンプを形成したメンブレンタイプの接触子を用いてもよい。
【0036】
図2に示すように、ソケット24を囲むようにソケットガイド25が配置されている。このソケットガイド25は、ソケット収容部251と、嵌合部252と、第1の流通孔253と、を有している。ソケット収容部251は、ソケットガイド25を貫通する貫通孔である。このソケット収容部251の内側にソケット24が配置される。
【0037】
本実施形態における嵌合部252は、図中の+Z方向に向かって突出する筒状の部分である。この嵌合部252は、嵌合孔252aを含んでいる。嵌合孔252aは、プッシャ7(後述)の嵌合ピン72(後述)が嵌合する孔である。また、この嵌合孔252aを用いて、プッシャ7に保持されているDUT300とソケット24との位置決めを行うこともできる。
【0038】
嵌合孔252aの下部は、第1の流通孔253と接続している。本実施形態の第1の流通孔253は、嵌合部252からソケットガイド25の側面まで貫通している貫通孔である。第1の流通孔253は、嵌合孔252aに嵌合ピン72が嵌合している場合に、プッシャ7の嵌合ピン72の内部に形成された第2の流通孔721(後述)と接続する。第1の流通孔253には、ハンドラ3を介して冷媒供給源200から冷媒が供給され、第1の流通孔253を通過した冷媒は、第2の流通孔721を介してプッシャ7の内部に供給される。
【0039】
図1に示すように、ハンドラ3は、恒温槽4と、冷媒供給部5と、コンタクトアーム6と、プッシャ7と、を備えている。なお、本実施形態におけるプッシャ7が本発明における「押圧装置」の一例に相当する。
【0040】
恒温槽4は、内部の雰囲気の温度を所望の温度に調整することが可能であり、DUT300に対して高温又は低温の温度を印加することができる。恒温槽4は、特に限定されないが、例えば、-55℃~+155℃の範囲で温度を調整可能である。この恒温槽4は、コンタクトアーム6と、プッシャ7と、を収容している。さらに、恒温槽4は、恒温槽4の底部に形成された開口を介してソケット24を収容している。なお、ハンドラ3は恒温槽4を備えていなくてもよい。
【0041】
冷媒供給部5は、ソケットガイド25の第1の流通孔253に冷媒を供給する。この冷媒供給部5は、流体接続部51と、バルブ52と、バルブ制御部53と、を備えている。流体接続部51は、電子部品試験装置100の外部に設けられている冷媒供給源200と流体接続されている。この冷媒供給源200の供給する冷媒としては、圧縮乾燥空気、又は、気体状、ミスト状、若しくは、液体状の窒素等である。冷媒供給源200が圧縮乾燥空気を供給する場合、冷媒供給源200は、例えば、外気を取り込み圧縮するコンプレッサと、圧縮した空気を乾燥するドライヤと、を備えていてもよい。或いは、冷媒供給源200は、圧縮乾燥空気を供給可能な既設の工場配管等であってもよい。冷媒供給源200が気体状、ミスト状、若しくは、液体状の窒素を供給する場合、冷媒供給源200は、例えば、液体窒素を高圧で貯留している圧力容器、又は、液体窒素供給用の工場配管であってもよい。或いは、冷媒ではなく温媒を供給してもよい。なお、本実施形態における冷媒及び温媒(DUT300の温度調整用の流体)は、本発明における「流体」の一例に相当する。
【0042】
流体接続部51の下流にバルブ52が設けられている。このバルブ52は、冷媒供給源200から供給された冷媒の流量を調整する。このバルブ52を通過した冷媒は、
図2に示すように、バルブ52の下流に配置されたソケットガイド25の第1の流通孔253に供給される。
【0043】
図1に示すように、バルブ制御部53は、バルブ52の開閉を制御する。本実施形態におけるバルブ制御部53は、DUT300の温度検出回路(不図示)の検出値を入力される。バルブ制御部53は、入力された検出値に応じて、DUT300の温度が所望の値になるようにPID制御を行う。なお、バルブ制御部53の制御方法は、PID制御に限定されることはなく、他の制御方法を用いてもよい。DUT300の温度検出回路の具体例としては、例えば、サーマルダイオードを含む回路を用いることができる。或いは、熱電対、温度に依存した抵抗特性やバンドギャップ特性を有する素子等を用いることもできる。
【0044】
コンタクトアーム6は、ハンドラ3が備えるレール(不図示)に支持されている。このコンタクトアーム6は、水平移動用のアクチュエータ(不図示)を備えており、レールに従って前後左右に動くことが可能となっている。また、このコンタクトアーム6は、上下駆動用のアクチュエータ(不図示)を備えており、上下方向に移動することができる。
【0045】
このコンタクトアーム6の下端に、プッシャ7が配置されている。
図2に示すように、プッシャ7は、DUT300を保持すると共に、DUT300をソケット24に向かって押圧する。このプッシャ7は、プッシャベース71と、嵌合ピン72と、温度調整装置8と、を備えている。
【0046】
本実施形態におけるプッシャベース71は、板状の部材である。プッシャベース71は、コンタクトアーム6の下端に接続されている。このプッシャベース71は、冷媒が流通する第3の流通孔711を有している。第3の流通孔711は、第2の流通孔721の下流に配置されており、第3の流通孔711の一端は、第2の流通孔721と接続している。また、第3の流通孔711の他端は、第4の流通孔811(後述)と接続している。
【0047】
プッシャベース71の下面に嵌合ピン72が配置されている。この嵌合ピン72の内部には、冷媒が流通する第2の流通孔721が形成されている。第2の流通孔721は、嵌合ピン72をZ方向に貫通する貫通孔である。嵌合ピン72は、コンタクトアーム6がプッシャ7を下降させる際に、嵌合部252の嵌合孔252aに挿入される。このとき、第2の流通孔721は、第1の流通孔253と接続して、第1の流通孔253の下流側に配置される。
【0048】
プッシャベース71の下面に温度調整装置8が接続されている。この温度調整装置8は、DUT300の温度を調整する。この温度調整装置8は、第1のマニホールド81と、熱交換部材82と、第2のマニホールド83と、ヒータ部84と、を備えている。
【0049】
図2に示すように、第1のマニホールド81は、プッシャベース71の下面に接続されている。本実施形態における第1のマニホールド81は、単一の流路を複数の流路に分岐させるための部材である。
【0050】
図3は、
図2のIII部における第4~第8の流通孔811~814,821を示す拡大斜視図である。
図2及び
図3に示すように、この第1のマニホールド81は、第4の流通孔811と、第5の流通孔812と、複数の第6の流通孔813と、複数の第7の流通孔814と、を備えており、第4~第7の流通孔811~814の内部に冷媒が流通する。
【0051】
第4の流通孔811は、第1のマニホールド81において、図中のZ方向に沿って直線状に延在している孔である。本実施形態における第4の流通孔811は円柱形状を有しており、第4の流通孔811の径方向における断面形状は円形状である。なお、第4の流通孔811は直線状に延在していなくともよく、例えば、曲線状に延在していてもよい。また、第4の流通孔811の断面形状も円形状に限定されず、矩形等の多角形形状であってもよい。本実施形態における第4の流通孔811は本発明における「第4の流路」の一例に相当する。
【0052】
第4の流通孔811は、第3の流通孔711の下流に設けられている。この第4の流通孔811は、一対の端部開口811a,811bを含んでいる。
図2に示すように、端部開口811aは、第4の流通孔811の上端部811cに形成されており、上述の第3の流通孔711の他端と接続している。一方で、
図3に示すように、端部開口811bは、第4の流通孔811の下端部811dに形成されており、第5の流通孔812と接続している。なお、本実施形態における下端部811dは本発明における「第3の端部」の一例に相当し、本実施形態における端部開口811bは本発明における「第6の開口」の一例に相当する。
【0053】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った断面図であり、
図5は、
図3のV-V線に沿った断面図である。
図3~
図5に示すように、第5の流通孔812は、第1のマニホールド81において、図中のY方向に沿って直線状に延在している孔である。本実施形態における第5の流通孔812も、第4の流通孔811と同様に、円柱形状を有しており、第5の流通孔812の径方向における断面形状も円形状となっている。なお、本実施形態における第5の流通孔812は本発明における「第3の流路」の一例に相当する。
【0054】
図4に示すように、第5の流通孔812は、接続部815において第4の流通孔811の下端部811dと交差するように、第4の流通孔811の下流に配置されている。
図5に示すように、第5の流通孔812は、内周面812eに単一の内周面開口812aと、複数の内周面開口812bを有している。内周面開口812aは、上記の第4の流通孔811の端部開口811bと接続されており、この接続部815で第4の流通孔811と第5の流通孔815とが接続されている。また、内周面開口812bは、内周面開口812aよりも下流に形成されている。この内周面開口812bは、第6の流通孔813と接続している。
【0055】
本実施形態における内周面開口812aは本発明における「第5の開口」の一例に相当し、本実施形態における内周面開口812bは本発明における「第4の開口」の一例に相当する。また、本実施形態における接続部815は本発明における「第2の接続部」の一例に相当する。
【0056】
図3及び
図4に示すように、第5の流通孔812の中心軸CA
2は、第4の流通孔811の中心軸CA
1と交差していない。換言すれば、中心軸CA
2は中心軸CA
1に対してねじれの位置にある。なお、厳密には、中心軸CA
1を延長した直線が中心軸CA
2と交差しておらず、中心軸CA
1を延長した直線が中心軸CA
2に対してねじれの位置にある。
【0057】
図4に示すように、中心軸CA
1,CA
2が交差していないことで、接続部815は第5の流通孔812に流入する冷媒の流れを第5の流通孔812の内周面812eに沿って旋回させて旋回流SF
1を形成する。よって、
図5に示すように、第5の流通孔812において、この旋回流SF
1は、中心軸CA
2を中心として、内周面812eに沿って旋回すると共に、図中の-Y方向に向かって流れていく。このように、第5の流通孔812において、冷媒の流れを旋回流とすることにより、冷媒が第6の流通孔813に向かって流れやすくなる。
【0058】
本実施形態における旋回流SF1は本発明における「第2の旋回流」の一例に相当し、本実施形態における接続部815は本発明における「第2の旋回流形成部」の一例に相当する。
【0059】
図6は、第4の流通孔811の中心軸CA
1を仮想平面VP
1に投影した仮想直線VL
1と、第5の流通孔812の中心軸CA
2を仮想平面VP
1に投影した仮想直線VL
2と、の交差角θ
1を示す斜視図である。なお、本実施形態における仮想直線VL
1は本発明における「第6の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想直線VL
2は本発明における「第5の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想平面VP
1は、本発明における「第3の仮想平面」の一例に相当する。
【0060】
図6に示す仮想平面VP
1は、第4及び第5の流通孔811,812の中心軸CA
1,CA
2に平行な仮想上の平面である。本実施形態では、この仮想平面VP
1は、YZ平面と平行な平面である。仮想直線VL
1は、第4の流通孔811の中心軸CA
1を図中の-X方向に沿って仮想平面VP
1上に投影した仮想上の直線である。仮想直線VL
2は、第5の流通孔812の中心軸CA
2を図中の-X方向に沿って仮想平面VP
1上に投影した仮想上の直線である。
【0061】
本実施形態では、仮想直線VL1,VL2の交差角θ1は、90°~120°であることが好ましい(90°≦θ1≦120°)。交差角θ1が上記の範囲を満たすことにより、接続部815によって旋回流SF1を生じさせ易くなる。なお、交差角θ1とは、仮想平面VP1上における仮想直線VL1,VL2の4つの交差角の中で、第4の流通孔811から第5の流通孔812への冷媒の流通方向に囲まれた角度を意味する。
【0062】
また、
図4に示すように、第5の流通孔812の内周面812eの一部は、接続部815において第4の流通孔811の内周面811eの一部と面一で接続している。つまり、接続部815において、内周面811eと内周面812eとの間に段差がほとんど形成されてない。本実施形態では、第4の流通孔811の内周面811eの一部は、第5の流通孔812の径方向断面から構成される円の接線と一致しており、第4の流通孔811の内周面811eの一部は当該円との接点において第5の流通孔812の内周面812eと滑らかに接続している。このように、内周面811eの一部と内周面812eとが面一であることにより、接続部815によって旋回流SF
1を生じさせ易くなる。
【0063】
図3及び
図5に示すように、第6の流通孔813は、第1のマニホールド81において、図中のZ方向に沿って直線状に延在している孔である。
図5に示すように、本実施形態における第6の流通孔813も円柱形状を有している。なお、第6の流通孔813は直線状に延在していなくともよく、例えば、曲線状に延在していてもよい。また、第6の流通孔813の断面形状も円形状に限定されず、矩形等の多角形形状であってもよい。本実施形態における第6の流通孔813は本発明における「第2の流路」の一例に相当する。
【0064】
複数の第6の流通孔813は、単一の第5の流通孔812の下流に設けられており、接続部816において第5の流通孔812と接続している。本実施形態では、複数の第6の流通孔813が単一の第5の流通孔812に接続されていることにより、冷媒の流路が複数の流路に分岐している。
【0065】
第6の流通孔813は、一対の端部開口813a,813bを含んでいる。端部開口813aは、第6の流通孔813の上端部813cに形成されており、上述の第5の流通孔812の内周面開口812bと接続している。一方で、端部開口813bは、第6の流通孔813の下端部813dに形成されており、第7の流通孔814と接続している。
【0066】
なお、本実施形態における下端部813dは本発明における「第1の端部」の一例に相当し、本実施形態における上端部813cは本発明における「第2の端部」の一例に相当し、本実施形態における端部開口813aは本発明における「第3の開口」の一例に相当し、本実施形態における端部開口813bは本発明における「第2の開口」の一例に相当する。
【0067】
図7は、第5の流通孔812の中心軸CA
2を仮想平面VP
2に投影した仮想直線VL
3と、第6の流通孔813の中心軸CA
3を仮想平面VP
2に投影した仮想直線VL
4と、の交差角θ
2を示す斜視図である。なお、本実施形態における仮想直線VL
3は本発明における「第4の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想直線VL
4は本発明における「第3の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想平面VP
2は、本発明における「第2の仮想平面」の一例に相当する。
【0068】
図7に示す仮想平面VP
2は、第5及び第6の流通孔812,813の中心軸CA
2,CA
3に平行な仮想上の平面である。本実施形態では、この仮想平面VP
2は、YZ平面と平行な平面である。仮想直線VL
3は、第5の流通孔812の中心軸CA
2を図中の-X方向に沿って仮想平面VP
2上に投影した仮想上の直線である。仮想直線VL
4は、第6の流通孔813の中心軸CA
3を図中の-X方向に沿って仮想平面VP
2上に投影した仮想上の直線である。
【0069】
本実施形態では、仮想直線VL3,VL4の交差角θ2は、90°~120°とすることができる(90°≦θ2≦120°)。交差角θ2が上記の範囲を満たすことにより、第5の流通孔812から第6の流通孔813へ冷媒が流れやすくなるので、第6の流通孔813の内部における冷媒の流速の低下の抑制を図ることができる。なお、交差角θ2とは、仮想平面VP2上における仮想直線VL3,VL4の4つの交差角の中で、第5の流通孔812から第6の流通孔813への冷媒の流通方向に囲まれた角度を意味する。
【0070】
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図3及び
図8に示すように、第7の流通孔814は、第1のマニホールド81において、図中のX方向に沿って直線状に延在している孔である。本実施形態における第7の流通孔814も、第4~第6の流通孔811~813と同様に、円柱形状を有しており、第7の流通孔814の径方向における断面形状も円形状となっている。
【0071】
第7の流通孔814は、接続部817において第6の流通孔813の下端部813dと交差するように、第6の流通孔813の下流に配置されている。第7の流通孔814は、内周面開口814aと、端部開口814bを有している。内周面開口814aは、上記の第5の流通孔812の端部開口813bと接続されており、この接続部817で第4の流通孔811と第5の流通孔815とが接続されている。また、端部開口814bは、内周面開口814aよりも下流に形成されている。この端部開口814bは、第8の流通孔821(後述)と接続している。
【0072】
本実施形態における接続部817は本発明における「第1の接続部」の一例に相当し、本実施形態における内周面開口814aは本発明における「第1の開口」の一例に相当する。
【0073】
図5に示すように、第7の流通孔814の中心軸CA
4は、第6の流通孔813の中心軸CA
3と交差していない。換言すれば、中心軸CA
4は中心軸CA
3に対してねじれの位置にある。なお、厳密には、中心軸CA
3を延長した直線が中心軸CA
4と交差しておらず、中心軸CA
3を延長した直線が中心軸CA
4に対してねじれの位置にある。
【0074】
中心軸CA
3,CA
4が交差していないことで、接続部817は第7の流通孔814に流入する冷媒の流れを第7の流通孔814の内周面814eに沿って旋回させて旋回流SF
2を形成する。よって、
図8に示すように、第7の流通孔814において、この旋回流SF
2は、中心軸CA
4を中心として、内周面814eに沿って旋回すると共に、図中の-X方向に向かって流れていく。この旋回流SF
2は、第8の流通孔821に向かって流れていく。
【0075】
本実施形態における旋回流SF2は本発明における「第1の旋回流」の一例に相当し、本実施形態における接続部817は本発明における「第1の旋回流形成部」の一例に相当する。
【0076】
図9は、第6の流通孔813の中心軸CA
3を仮想平面VP
3に投影した仮想直線VL
5と、第7の流通孔814の中心軸CA
4を仮想平面VP
4に投影した仮想直線VL
6と、の交差角θ
3を示す斜視図である。なお、本実施形態における仮想直線VL
5は本発明における「第2の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想直線VL
6は本発明における「第1の仮想直線」の一例に相当し、本実施形態における仮想平面VP
3は、本発明における「第1の仮想平面」の一例に相当する。
【0077】
図9に示す仮想平面VP
3は、第6及び第7の流通孔813,814の中心軸CA
3,CA
4に平行な仮想上の平面である。本実施形態では、この仮想平面VP
3は、XZ平面と平行な平面である。仮想直線VL
5は、第6の流通孔813の中心軸CA
3を図中の+Y方向に沿って仮想平面VP
3上に投影した仮想上の直線である。仮想直線VL
6は、第7の流通孔814の中心軸CA
4を図中の+Y方向に沿って仮想平面VP
3上に投影した仮想上の直線である。
【0078】
本実施形態では、仮想直線VL5,VL6の交差角θ3は、90°~120°であることが好ましい(90°≦θ3≦120°)。交差角θ3が上記の範囲を満たすことにより、接続部817によって旋回流SF2を生じさせ易くなる。なお、交差角θ3とは、仮想平面VP3上における仮想直線VL5,VL6の4つの交差角の中で、第6の流通孔813から第7の流通孔814への冷媒の流通方向に囲まれた角度を意味する。
【0079】
また、
図5に示すように、第6の流通孔813の内周面813eの一部は、接続部817において第7の流通孔814の内周面814eの一部と面一で接続している。つまり、接続部817において、内周面813eと内周面814eとの間に段差がほとんど形成されてない。本実施形態では、第6の流通孔813の内周面813eの一部は、第7の流通孔814の径方向断面から構成される円の接線と一致しており、第6の流通孔813の内周面813eの一部は当該円との接点において第7の流通孔814の内周面814eと滑らかに接続している。このように、内周面813eの一部と内周面814eとが面一であることにより、接続部817によって旋回流SF
2を生じさせ易くなる。
【0080】
図2に示すように、熱交換部材82は、第1及び第2のマニホールド81,83の間に保持されている。本実施形態における熱交換部材82は、コンタクトアーム6がプッシャ7を下降させた際に、DUT300に接触すると共に、DUT300をソケット24に向かって押圧する。このように、本実施形態における熱交換部材82は、DUT300に直接接触することによりDUT300と熱的に接続している。
【0081】
熱交換部材82は、第8の流通孔821を有している。この第8の流通孔821は、熱交換部材82において、図中の-X方向に沿って直線状に延在している孔であり、熱交換部材82を貫通している。
図8に示すように、第8の流通孔821は、上述の第7の流通孔814の端部開口814bと接続しており、第8の流通孔821の中心軸CA
5は、第7の流通孔814の中心軸CA
4の中心軸と一致している。第7の流通孔814から第8の流通孔821に流入した旋回流SF
2は、第8の流通孔821の中心軸CA
5を中心にして内周面821eに沿って旋回する。この冷媒は、熱交換部材82を介してDUT300を冷却する。
【0082】
第8の流通孔821は、螺旋壁822と、貫通孔823と、を含んでいる。螺旋壁822は、第8の流通孔821の内周面821eに立設している。この螺旋壁822は、内周面821eに沿って連続的に螺旋状に延在している。この螺旋壁822は、中心軸CA5から離れた位置までの高さを有している。
【0083】
このように、螺旋壁822が中心軸CA5に到達していないため、第8の流通孔821の中心軸CA5の周りに貫通孔823が形成されている。この貫通孔823は、周囲を螺旋壁822に囲まれた貫通孔である。以上のような螺旋壁822及び貫通孔823により、第8の流通孔821の内周面821eには雌ネジが形成されている。
【0084】
第8の流通孔821が上記のような螺旋壁822を有していることにより、内周面821eの面積を増大させることができるため、第8の流通孔821の内部における冷媒と熱交換部材82との接触面積を増大させることができる。このため、冷媒と熱交換部材82との熱交換効率を向上させることができるので、冷媒とDUT300との熱交換効率も向上させることができる。
【0085】
図2に示すように、第2のマニホールド83は、プッシャベース71の下面に接続されている。この第2のマニホールド83は、第9の流通孔831を有している。この第9の流通孔831は、熱交換部材82の第8の流通孔821に接続している。この第9の流通孔831から、DUT300と熱交換した後の冷媒がプッシャ7の外部に排出される。本実施形態における第7~第9の流通孔814,821,831は、本発明における「第1の流路」の一例に相当する。
【0086】
なお、第2のマニホールド83も、第1のマニホールド81と同様に第4~第7の流通孔を有していてもよい。この場合、熱交換部材82は、第2のマニホールド83の第7の流通孔に接続する第8の流通孔を更に備えていると共に、第1のマニホールドにも当該第8の流通孔と接続する第9の流通孔が設けられる。
【0087】
図2に示すように、ヒータ部84は、プッシャベース71の下面に接続されている。ヒータ部84は、第1及び第2のマニホールド81,83の間に配置されていると共に、熱交換部材82上に配置されている。このヒータ部84は、ヒータ841と、温度センサ842と、を有している。
【0088】
ヒータ841は熱源であり、接触部材82の温度を調整する。また、温度センサ842は、熱交換部材82の温度を検出する。この検出値を上述のPID制御に使用することができる。こうしたヒータ841の具体例としては、セラミックヒータ、ポリイミドヒータ等を例示することができる。なお、ヒータ841を、熱交換部材82の下方に配置してもよい。この場合、熱交換部材82は、ヒータ841を介してDUT300と熱的に接続する。
【0089】
従来では、流路において冷媒は当該流路の延在方向に平行に流れている。このため、冷媒と流路の内面との接触距離が短い。また、従来、流路中の冷媒の流れは、流路の延在方向に沿って流れる層流であったが、このような層流では、流路の中心近傍における冷媒の流速が大きいものの、流路の内面近傍における冷媒の流速が小さくなってしまう。このため、冷媒とDUTとの熱交換効率が悪化することがある。
【0090】
これに対して、以上のような本実施形態における電子部品試験装置であれば、冷媒の旋回流SF2が第8の流通孔821において、中心軸CA5を中心として内周面821eに沿って旋回しながら流れる。このため、流体と内周面821eとの接触距離を増加させることができると共に、第8の流通孔821の内周面821eの近傍において流体の速度も向上させることができる。よって、冷媒とDUT300との間の熱交換効率を向上させることができるので、DUT300の温度調整における応答性の向上を図ることができる。
【0091】
また、特に、従来では、液体窒素を冷媒として用いる場合、流路の内面近傍で液体窒素の膜沸騰が生じることがある。すなわち、流路の内面に接触した液体窒素の温度が上昇して沸騰することにより、内面近傍に窒素の蒸気から成る膜が形成されることがある。このため、内面近傍に液体窒素が供給され難くなり、熱交換効率が低下してしまう場合がある。
【0092】
これに対して、本実施形態では、冷媒の旋回流SF2が、中心軸CA5を中心とする遠心力によって、第8の流通孔821の内周面821eに沿って流れるため、ミスト状又は液体状の窒素が沸騰したとしても、内周面821e近傍にミスト状又は液体状の窒素を供給することができる。よって、熱交換効率を向上させることができるので、DUT300の温度調整における応答性の向上を図ることができる。
【0093】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0094】
なお、上記実施形態では、プッシャ7はDUT300を吸着保持しているがこれに限定されない。プッシャ7は、DUTを収容したキャリア400(
図1参照)を吸着保持してもよい。このようなキャリアとしては、特に限定されないが、例えば、特開2019-197012、及び、特開2013-79860等に記載されているキャリアを用いることができる。
【0095】
また、プッシャ7は、複数のDUT300を搭載したテストトレイに搭載された複数のDUT300を押圧するものであってもよい。この場合、ハンドラ3は、複数のプッシャ7を備えており、複数のプッシャ7がテストトレイに搭載された複数のDUT300をそれぞれ押圧する。この場合、全てのプッシャ7が、上記の本実施形態のような構成を有していてもよい。また、テストトレイにはDUT300を収容したキャリア400が搭載されてもよい。
【0096】
また、本実施形態における第1~第4の流路は、いずれも線状の孔により構成されているがこれに限定されない。第1~第4の流路は、樹脂や金属から成る配管を含んでいてもよいし、或いは、2つの部材の間に形成されている間隙を含んでいてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、流体をソケットガイド25からプッシャ7に供給したが、特にこれに限定されない。例えば、コンタクトアーム6に設けられた流路を介して冷媒が温度調整装置8に供給されてもよい。或いは、コンタクトアーム6の外部から温度調整装置8に流体が供給されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
100…電子部品試験装置
2…テスタ
21…メインフレーム
22…テストヘッド
23…ケーブル
24…ソケット
241…ソケット本体
242…接触子
25…ソケットガイド
251…ソケット収容部
252…嵌合部
252a…嵌合孔
253…第1の流通孔
3…ハンドラ
4…恒温槽
5…冷媒供給部
51…流体接続部
52…バルブ
53…バルブ制御部
6…コンタクトアーム
7…プッシャ
71…プッシャベース
711…第3の流通孔
72…嵌合ピン
721…第2の流通孔
8…温度調整装置
81…第1のマニホールド
811~814…第4~第7の流通孔
811a,811b,813a,813b,814b…端部開口
811c,813c…上端部
811d,813d…下端部
812a,812b,814a…内周面開口
811e~814e…内周面
815~817…接続部
82…熱交換部材
821…第8の流通孔
821a…内周面
822…螺旋壁
823…貫通孔
83…第2のマニホールド
831…第9の流通孔
CA1~CA4…中心軸
VL1~VL6…仮想直線
VP1~VP3…仮想平面
84…ヒータ部
841…ヒータ
842…温度センサ
200…冷媒供給源
300…DUT