IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-異常検知システム 図1
  • 特開-異常検知システム 図2
  • 特開-異常検知システム 図3
  • 特開-異常検知システム 図4
  • 特開-異常検知システム 図5
  • 特開-異常検知システム 図6
  • 特開-異常検知システム 図7
  • 特開-異常検知システム 図8
  • 特開-異常検知システム 図9
  • 特開-異常検知システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023136152
(43)【公開日】2023-09-29
(54)【発明の名称】異常検知システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20230922BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20230922BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20230922BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 A
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022041620
(22)【出願日】2022-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 航希
(72)【発明者】
【氏名】杉田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】大竹 美保
(72)【発明者】
【氏名】森下 翔午
(72)【発明者】
【氏名】早田 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
(72)【発明者】
【氏名】坪井 宏之
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D037EA01
2D037EB00
2D038KA01
2D038KA07
2D039FA01
2D039FB01
(57)【要約】
【課題】トイレの使用対象に関する異常を適切に判定すること。
【解決手段】実施形態に係る異常検知システムは、トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が前記使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する取得部と、前記一の使用対象の前記選択傾向が、前記一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、前記一の使用対象に関する異常が生じたと判定する判定部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が前記使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する取得部と、
前記一の使用対象の前記選択傾向が、前記一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、前記一の使用対象に関する異常が生じたと判定する判定部と、
を有することを特徴とする異常検知システム。
【請求項2】
前記同一種別は、
トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうちいずれか1つの種別である
ことを特徴とする請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記取得部は、
前記同一種別の前記使用対象群であるトイレブース群のうち、一のトイレブースの前記選択傾向を示す情報を取得し、
前記判定部は、
前記一のトイレブースの前記選択傾向が、前記一のトイレブースの過去の選択傾向から乖離した場合、前記一のトイレブースに前記異常が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記判定部は、
前記一の使用対象が所定の回数以上に連続して選択されなかった場合、前記一の使用対象に関する異常が生じたと判定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記判定部は、
前記使用対象群のうち、所定の期間または回数における前記一の使用対象の選択確率を用いて、前記一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記判定部は、
前記所定の期間または回数における前記使用対象群の総選択回数に、前記所定の期間または回数における前記一の使用対象の選択回数が占める割合を示す前記選択確率を用いて、前記一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の異常検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、異常検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トイレブース等のトイレの使用対象について異常を検知するシステムが知られている(例えば特許文献1、2)。例えば、特許文献1に記載されたシステムでは、トイレ等の宅内の生活インフラの使用回数が所定の値以下となった際に異常と判定する。例えば、特許文献2に記載されたシステムでは、一つの個室の使用回数が他の個室に比べて明らかに少ない、又は無い場合、異常と判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-032883号公報
【特許文献2】特開2018-133066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の技術には改善の余地がある。例えば、上述した従来技術のシステムでは、トイレ等の使用回数の減少が異常ではなく、夜間や休日などに依るものである場合、誤って異常と判定したり、トイレブースが普段から使用回数が少ない場合、異常でなくても誤って異常と判定したりしてしまう場合がある。このように、上記のシステムによる異常判定には改善の余地がある。そのため、大便器が配置されるトイレブース等のトイレの使用対象に関する異常を適切に判定することが望まれている。
【0005】
上記のような点を鑑みて、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することが課題となる。
【0006】
開示の実施形態は、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる異常検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る異常検知システムは、トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が前記使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する取得部と、前記一の使用対象の前記選択傾向が、前記一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、前記一の使用対象に関する異常が生じたと判定する判定部と、を有することを特徴とする。
【0008】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、同一種別の複数の使用対象のうち、一の使用対象の選択傾向が、一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、一の使用対象に何かが起こったと推定でき、異常と判定(判別)することで、早期に異常を発見することができる。例えば、異常検知システムでは、従来と異なり、夜間や休日など一定期間におけるトイレの使用対象全体の使用回数の減少や、普段から使用頻度が少ない位置にあるトイレの使用対象などを、異常と判断してしまう可能性を低減でき、精度よく異常を発見することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。
【0009】
例えば、一定期間における機器の使用回数が減少して所定の回数以下となる場合に異常と判定した場合、定期清掃や夜間、緊急時対応などの単なる使用回数減少の場合、誤って異常と判定してしまう可能性がある。また、他の同種機器と比較して利用回数が少ない場合に異常と判定した場合、普段から利用回数が少ない機器の場合に異常と誤検知する可能性がある。一方で、実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、トイレブース等のトイレの使用対象について、普段の利用回数に依存せず、同一種別の使用対象のうち各使用対象が選択される割合を用いて、異常を判定することにより、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。
【0010】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記同一種別は、トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうちいずれか1つの種別であることを特徴とする。
【0011】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうちいずれか1つの種別の複数の使用対象を対象として処理を行うことにより、トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうち1つの同一種別間での選択傾向を基に、一の使用対象に関する異常が生じたと判定(判別)することができる。
【0012】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記取得部は、前記同一種別の前記使用対象群であるトイレブース群のうち、一のトイレブースの前記選択傾向を示す情報を取得し、前記判定部は、前記一のトイレブースの前記選択傾向が、前記一のトイレブースの過去の選択傾向から乖離した場合、前記一のトイレブースに前記異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0013】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、トイレブース群のうち、一のトイレブースの選択傾向が、一のトイレブースの過去の選択傾向から乖離した場合、その一のトイレブースに何かが起こったと推定でき、異常と判定(判別)することで、早期に異常を発見することができる。例えば、異常検知システムでは、従来と異なり、夜間や休日など一定期間におけるトイレブース全体の使用回数の減少や、普段から使用頻度が少ない位置にあるトイレブースなどを、異常と判断してしまう可能性を低減でき、精度よく異常を発見することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。
【0014】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記判定部は、前記一の使用対象が所定の回数以上に連続して選択されなかった場合、前記一の使用対象に関する異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0015】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、一の使用対象が所定の回数以上に連続して選択されなかった場合、一の使用対象に関する異常が生じたと判定することで、早期にトイレに関する異常を発見することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。例えば、異常検知システムによれば、トイレの使用者はいるのに、ある使用対象のみ使われていないという場合においても、この制御により、精度よく異常検知できる。
【0016】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記判定部は、前記使用対象群のうち、所定の期間または回数における前記一の使用対象の選択確率を用いて、前記一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定することを特徴とする。
【0017】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、所定の期間または回数における一の使用対象の選択確率を用いて、一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定することにより、適切な情報を用いてトイレの使用対象に関する異常を判定することができる。例えば、異常検知システムは、選択確率の算出に用いる情報の収集期間を判定時点から所定の期間(直近1週間、1カ月等)にすることにより、判定時点での状況をより反映した判定を行うことができる。例えば、異常検知システムは、トイレブース等の使用対象が長期に使われている場合等に、季節などで使用条件が変わっても、適切に対応して、異常を判定することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。例えば、異常検知システムによれば、トイレの使用者はいるのに、ある使用対象のみ使われていないという場合においても、この制御により、精度よく異常検知できる。なお、選択確率は、ある回数(または期間)における使用回数(または累積使用時間)を総使用回数(または総累積使用時間)で割って求めた使用割合であってもよい。
【0018】
実施形態の一態様に係る異常検知システムにおいて、前記判定部は、前記所定の期間または回数における前記使用対象群の総選択回数に、前記所定の期間または回数における前記一の使用対象の選択回数が占める割合を示す前記選択確率を用いて、前記一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定することを特徴とする。
【0019】
実施形態の一態様に係る異常検知システムによれば、所定の期間または回数において収集した使用対象群の総選択回数及び一の使用対象の選択回数を用いて算出した一の使用対象の選択確率を用いて、一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定することにより、適切な情報を用いてトイレの使用対象に関する異常を判定することができる。例えば、異常検知システムは、選択確率の算出に用いる情報の収集期間を判定時点から所定の期間(直近1週間、1カ月等)にすることにより、判定時点での状況をより反映した判定を行うことができる。例えば、異常検知システムは、トイレブース等の使用対象が長期に使われている場合等に、季節などで使用条件が変わっても、適切に対応して、異常を判定することができる。したがって、異常検知システムは、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態の一態様によれば、トイレの使用対象に関する異常を適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る異常検知処理の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るトイレの利用対象の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る異常検知システムの構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、異常検知システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、同一種別の使用対象の使用割合の一例を示す図である。
図8図8は、異常検知に関する処理フローの一例を示す図である。
図9図9は、使用対象の使用割合の一例を示す図である。
図10図10は、異常検知の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する異常検知システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0023】
<1.実施形態>
<1-1.異常検知処理例>
まず、実施形態に係る異常検知システム1(図3参照)において実行される異常検知の概要について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る異常検知処理の一例を示す図である。なお、図1では異常判定の処理概要を説明し、具体的な処理例等は、図7図10において詳述する。
【0024】
図1では、大便器10が配置されたトイレブースTBを対象として、異常検知システム1が異常判定を行う場合を説明する。なお、異常検知の対象は、トイレの使用対象であればトイレブースTBに限らず、大便器10であってもよいし、図2中に示すトイレ空間2、小便器20及び洗面器30等の様々なトイレの使用対象であってもよいが、詳細は後述する。
【0025】
以下、図1に示す処理例について説明する、具体的には、図1では、大便器1011が配置されるトイレブースTB1、大便器1012が配置されるトイレブースTB2、及び大便器1013が配置されるトイレブースTB3の3つのトイレブースTBを対象として、異常検知システム1が異常判定を行う。例えば、トイレブースTB1~TB3は、トイレ空間2図2参照)に設けられる同一種別の使用対象群であり、トイレ空間2の使用者が大便器10を使用する場合に択一的に選択され得る。このように、図1では、同一種別の使用対象群である3つのトイレブースTBを対象として、異常検知システム1が異常判定を行う場合を一例として説明する。例えば、異常検知システム1の解析装置100(図3参照)は、図1に示す処理を実行する。
【0026】
解析装置100は、検知対象となるトイレブースTB1~TB3の各々の使用回数を示す情報を取得する。例えば、解析装置100は、トイレブースTB1~TB3の各々について、そのトイレブースTBに使用者が使用(選択)した時間を示す情報を取得する。例えば、解析装置100は、トイレブースTB1~TB3の各々について、そのトイレブースTBに使用者が入室した時間を示す情報を取得する。解析装置100は、同一種別の使用対象群の各使用対象について、その使用対象が選択(使用)された回数をカウントすることにより、各使用対象が選択された回数である選択回数(「使用回数」ともいう)を算出する。
【0027】
図1では、解析装置100は、トイレブースTB1に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB1~TB3のうち、トイレブースTB1が選択された回数である選択回数(使用回数)を算出する。例えば、解析装置100は、所定の期間または回数等の所定の収集範囲を対象として、トイレブースTB1に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB1の選択回数(「第1選択回数」ともいう)を算出する。
【0028】
また、解析装置100は、トイレブースTB2に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB1~TB3のうち、トイレブースTB2が選択された回数である選択回数(使用回数)を算出する。例えば、解析装置100は、所定の期間または回数等の所定の収集範囲を対象として、トイレブースTB2に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB2の選択回数(「第2選択回数」ともいう)を算出する。
【0029】
また、解析装置100は、トイレブースTB3に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB1~TB3のうち、トイレブースTB3が選択された回数である選択回数(使用回数)を算出する。例えば、解析装置100は、所定の期間または回数等の所定の収集範囲を対象として、トイレブースTB3に入室した使用者の数をカウントすることにより、トイレブースTB3の選択回数(「第3選択回数」ともいう)を算出する。
【0030】
解析装置100は、同一種別の使用対象群の各使用対象の選択回数を合算することにより、同一種別の使用対象群全体の選択回数(「総選択回数」ともいう)を算出する。図1では、解析装置100は、トイレブースTB1の第1選択回数、トイレブースTB2の第2選択回数及びトイレブースTB3の第3選択回数を合算することにより、トイレブースTB1~TB3全体の選択回数(総選択回数)を算出する。なお、上述した処理は一例に過ぎず、解析装置100は、トイレブースTB1の第1選択回数、トイレブースTB2の第2選択回数、トイレブースTB3の第3選択回数及びトイレブースTB1~TB3全体の総選択回数を示す情報が取得可能であれば、どのような方法により情報を取得してもよい。
【0031】
解析装置100は、同一種別の使用対象群の総選択回数で各使用対象の選択回数を除することにより、各使用対象の選択確率を算出する。図1では、解析装置100は、トイレブースTB1~TB3全体の総選択回数でトイレブースTB1の第1選択回数を除することにより、トイレブースTB1の選択確率(「第1選択確率」ともいう)を算出する。解析装置100は、トイレブースTB1~TB3全体の総選択回数でトイレブースTB2の第2選択回数を除することにより、トイレブースTB2の選択確率(「第2選択確率」ともいう)を算出する。解析装置100は、トイレブースTB1~TB3全体の総選択回数でトイレブースTB3の第3選択回数を除することにより、トイレブースTB3の選択確率(「第3選択確率」ともいう)を算出する。
【0032】
図1中のグラフGR1は、トイレブースTB1~TB3の各々の選択確率と、異常判定に用いる所定値(「閾値」ともいう)に関する情報を示す。グラフGR1の横軸は時間を示し、縦軸は使用割合としての選択確率を示す。グラフGR1の縦軸のプラス(上)方向に進む程、選択確率(使用割合)が高い(大きい)ことを示す。なお、使用割合は、選択確率に限らず、使用割合群全体の使用時間(総使用時間)に各使用対象が占める時間の割合(使用時間割合)であってもよい。
【0033】
グラフGR1の線LN11は、トイレブースTB1の第1選択確率を示す。グラフGR1の線LN12は、トイレブースTB2の第2選択確率を示す。グラフGR1の線LN13は、トイレブースTB3の第3選択確率を示す。解析装置100は、線LN11~LN13に示すように、時間経過に応じて変動するトイレブースTB1の第1選択確率、トイレブースTB2の第2選択確率及びトイレブースTB3の第3選択確率を算出する。
【0034】
解析装置100は、トイレブースTB1~TB3の各々の選択確率と閾値とを用いて、トイレブースTB1~TB3について異常が生じたか否かを判定する。なお、図1では、説明を簡単にするために、異常検知される使用対象であるトイレブースTB3に対応する閾値を示す線TH1のみを図示するが、他のトイレブースTB1、TB2の各々についても閾値が設けられる。なお、閾値の詳細については後述する。解析装置100は、グラフGR1の線TH1に示すような異常検知の閾値(所定値)を用いて、トイレブースTB1~TB3について異常が生じたか否かを判定する。
【0035】
解析装置100は、使用対象の選択確率が閾値を下回った場合に、その使用対象に異常が発生したと判定する。図1では、解析装置100は、トイレブースTBの選択確率が閾値を下回った場合、すなわちトイレブースTBの選択確率が閾値未満になった場合に、そのトイレブースTBに異常が発生したと判定する。
【0036】
図1では、解析装置100は、トイレブースTB3の第3選択確率を示す線LN13が異常検知の所定値(閾値)を示す線TH1を下回っており、トイレブースTB3に異常が発生したと判定する。例えば、解析装置100は、トイレブースTB3の第3選択確率を示す線LN13が所定値(閾値)を示す線TH1を下回った後の判定において、トイレブースTB3に異常が発生したと判定する。
【0037】
<1-1-1.異常検知の対象>
上述した例では、大便器10が配置されたトイレブースTBを一例として異常検知システム1が異常判定を行う場合を説明したが、異常検知の対象は、トイレブースTBに限らず、図2で説明するトイレ空間2、大便器10、小便器20及び洗面器30等の様々なトイレの使用対象であってもよい。
【0038】
例えば、異常検知システム1は、同一種別の使用対象群である複数のトイレ空間2を対象として異常検知の処理を行ってもよい。例えば、異常検知システム1は、同一種別の使用対象群である複数の小便器20を対象として異常検知の処理を行ってもよい。例えば、異常検知システム1は、同一種別の使用対象群である複数の洗面器30を対象として異常検知の処理を行ってもよい。
【0039】
例えば、異常検知システム1は、図2中の小便器2011、小便器2012、小便器2013の3つの小便器20の情報を用いて、小便器2011、小便器2012、小便器2013の異常検知を行ってもよい。また、異常検知システム1は図2中の洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013の3つの洗面器30の情報を用いて、洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013の異常検知を行ってもよい。なお、判定対象となる使用対象がトイレブースTB以外であっても、判定処理等は図1で示した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0040】
<1-1-2.判定処理に用いる情報>
なお、上述した例では、使用対象の選択の回数を用いて、異常検知システム1が異常判定を行う場合を説明したが、判定処理に用いる情報は、様々な情報であってもよい。例えば、異常検知システム1は、各使用対象が選択され使用されている時間(使用時間)の割合(使用時間割合)を用いて、異常判定を行ってもよい。例えば、異常検知システム1は、1週間等の所定の期間内の使用における各使用対象の使用時間割合を用いて、異常判定を行ってもよい。また、異常検知システム1は、確率に関する情報を用いることなく、異常判定を行ってもよい。例えば、解析装置100は、一の使用対象が所定の回数以上に連続して選択されなかった場合、その一の使用対象に関する異常が生じたと判定してもよい。例えば、図1では、解析装置100は、トイレブースTB2が10回連続して選択されなかった場合、トイレブースTB2に関する異常が生じたと判定してもよい。例えば、解析装置100は、トイレ空間2に連続して入場した10人の全使用者が、トイレブースTB2以外のトイレブースTB(トイレブースTB1またはトイレブースTB3)を選択した場合、トイレブースTB2に関する異常が生じたと判定してもよい。
【0041】
<1-2.トイレの利用対象例>
ここから、図2を用いて、トイレの利用対象例について説明する。図2は、実施形態に係るトイレの利用対象の一例を示す図である。図2は、トイレの利用対象の物理的な配置等の概念的に示す。なお、図2に示すトイレの利用対象は一例に過ぎず、トイレの利用対象は、ユーザに使用される対象となり得るトイレに関する要素であり、異常検知の対象となり得るものであればどのような要素であってもよい。
【0042】
図2に示すように、トイレの利用対象には、トイレ空間2、トイレ空間2等のトイレ空間が含まれてもよい。図2に示すトイレ空間2は、個室空間を形成するトイレブースであるトイレブースTB1~TB3と、トイレブース以外の空間である共有空間である共有空間CS1を有する。なお、トイレブースTB1、トイレブースTB2、トイレブースTB3等、トイレ空間2に設けられるトイレブースを区別せずに説明する場合、「トイレブースTB」と記載する場合がある。
【0043】
なお、トイレ空間2、トイレ空間2等のトイレ空間を区別せずに説明する場合、「トイレ空間2」と記載する場合がある。図2では、トイレ空間2が2つのトイレ空間2、トイレ空間2を図示するが、トイレの利用対象には3つ以上のトイレ空間2が含まれてもよい。図2では、トイレ空間2が3つのトイレブースTBを有する場合を一例として説明するが、トイレ空間2は2つ以下または4つ以上のトイレブースTBを有してもよい。
【0044】
すなわち、図2に示すトイレ空間2は、トイレ空間2の一例に過ぎず、トイレ空間2については任意の構成が採用可能である。例えば、トイレ空間2は、1つのトイレブースTBを有する構成であってもよい。トイレ空間2は、使用者に使用され得るトイレの使用対象となるものが1つでも含まれば、どのような構成であってもよい。例えば、トイレ空間2は、大便器10、小便器20及び洗面器30等の機器(トイレ機器)のうち少なくとも1つを有すれば、どのような構成であってもよい。
【0045】
トイレブースTBは、パーティション(間仕切り)で区切られた空間(個室空間)である。各トイレブースTBは、大便器10を備え、人が排泄行為を行う場所としての機能を有する。また、各トイレブースTBは、そのトイレブースTB内に入室するための開閉可能なドア(図示は省略)を備える。なお、各トイレブースTBのドアは、一般的なトイレブースTBに設けられるドアと同様であるため、詳細な説明は省略する。また、トイレブースTBは、パーティションによって、完全に区切られた空間でなくてもよく、パーティションの上部や下部に、隣接するトイレブースTBや共有空間と区切られていない部分が設けられていてもよい。
【0046】
また、共有空間CS1等、トイレ空間2に設けられる共有空間を区別せずに説明する場合、「共有空間CS」と記載する場合がある。共有空間CSは、トイレ空間2内において複数人が同時に滞在し得る共有部である。例えば、共有空間CSは、トイレ空間2への入り口、洗面器30等の洗面の設備、各トイレブースTBへの経路を有する。共有空間CSは、トイレ空間2への入場、手等の洗浄、各トイレブースTBへの移動等を行うための場所としての機能を有する。なお、トイレ空間2が男性用のトイレ空間2として機能する場合、その共有空間CSには小便器20が配置される。すなわち、共有空間CSも人が排泄行為を行う場所として機能する場合がある。
【0047】
次に、図2に示すトイレ空間2を一例として説明しつつ、トイレ空間2における各装置の配置について説明する。大便器1011は、トイレブースTB1に配置される。また、大便器1012は、トイレブースTB2に配置される。また、大便器1013は、トイレブースTB3に配置される。なお、大便器1011、大便器1012、大便器1013等、大便器を区別せずに説明する場合、「大便器10」と記載する場合がある。
【0048】
図2では、大便器10の数が3つである場合を一例として示すが、大便器10の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、大便器10の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、大便器10の機能などの詳細は後述する。また、情報の収集や判定等の処理の対象として、大便器10を説明する記載は、その大便器10が配置されるトイレブースTBと読み替えてもよい。また、情報の収集や判定等の処理の対象として、トイレブースTBを説明する記載は、そのトイレブースTBに配置される大便器10と読み替えてもよい。例えば、大便器1011は、トイレブースTB1と読み替えてもよく、トイレブースTB1は、大便器1011と読み替えてもよい。
【0049】
小便器2011、小便器2012、小便器2013は、共有空間CS1に配置される。小便器2011、小便器2012、小便器2013等、トイレ空間2に配置される小便器を区別せずに説明する場合、「小便器20」と記載する場合がある。図2では、小便器20の数が3つである場合を一例として示すが、小便器20の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、小便器20の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、小便器20の機能などの詳細は後述する。
【0050】
洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013は、共有空間CS1に配置される。洗面器3011、洗面器3012、洗面器3013等、トイレ空間2に配置される小便器を区別せずに説明する場合、「洗面器30」と記載する場合がある。図2では、洗面器30の数が3つである場合を一例として示すが、洗面器30の数は、所望の処理が可能であれば任意の数が採用可能であり、洗面器30の数は、2つ以下または4つ以上であってもよい。なお、洗面器30の機能などの詳細は後述する。
【0051】
<1-3.トイレ空間の配置>
トイレ空間2の配置について簡単に説明する。トイレ空間2は、そのトイレ空間2が物理的に配置可能な空間であれば、どのような場所に設けられてもよい。すなわち、トイレ空間2が設けられる場所は、任意の場所が採用可能である。例えば、トイレ空間2は、デパート(百貨店)等のような商業施設に設けられてもよい。また、トイレ空間2が設けられる場所は、店舗等の商業施設に限らず、種々の施設であってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、遊園地や競技場やオフィスビル等であってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、観光地等の地域に設けられるトイレであってもよい。例えば、トイレ空間2が設けられる場所は、公園や駐車場等であってもよい。すなわち、トイレは公園や駐車場等の屋外に設けられてもよい。このように、トイレ空間2が設けられる場所は、トイレ空間2が配置可能な空間があれば、どのような場所であってもよい。
【0052】
<1-4.異常検知システムの構成>
次に、異常検知システム1の構成について図3を参照して説明する。図3は、実施形態に係る異常検知システムの構成例を示す図である。具体的には、図3は、異常検知システム1の構成を示す。
【0053】
異常検知システム1は、異常検知の処理を実行する情報処理装置(図3では解析装置100)を有する。また、異常検知システム1は、異常検知の処理に用いる情報を収集する情報処理装置(図3では収集装置50)を有する。図3に示す異常検知システム1は、解析装置100、収集装置50、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301を有する。なお、異常検知システム1には、複数の解析装置100、複数の収集装置50、複数の検知部21、複数の検知部101、複数の検知部201、複数の検知部301等が含まれてもよい。
【0054】
図3では、異常検知システム1の異常検知の対象となるトイレの使用対象には、トイレ空間2、大便器10、小便器20及び洗面器30のうち少なくとも1つが含まれる。なお、異常検知システム1の異常検知の対象となるトイレの使用対象には、図2に示すように、複数のトイレ空間2、複数の大便器10、複数の小便器20、複数の洗面器30等が含まれてもよい。
【0055】
トイレ空間2は、施設等の空間に設けられ、トイレを使用する使用者が入退場する空間である。例えば、トイレ空間2は、トイレブースTB、共有空間CS等を有し、トイレに関する構造物が配置される空間である。例えば、図2に示すトイレ空間2は、複数の大便器1011、1012、1013、が各々配置されるトイレブースTB1~TB3、及び複数の小便器2011、2012、2013、及び複数の洗面器3011、3012、3013が配置される共有空間CS1を有する。なお、トイレ空間2は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0056】
トイレ空間2の検知部21は、トイレ空間2に関する検知を行う。検知部21は、トイレ空間2への人(使用者)の入退場を検知する検知部として機能する。検知部21は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部21は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部21は、トイレ空間2の出入り口を撮像する画像センサ(行動検知センサ)であってもよい。なお、上記は一例であり、検知部21は、使用者のトイレ空間2への入退場を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。
【0057】
トイレ空間2の検知部21は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部21は、トイレ空間2への人の入退場を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、そのトイレ空間2を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、トイレ空間2へ入場した人が退場するまでの時間(使用時間)を示す検知情報を、そのトイレ空間2を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象にトイレ空間2が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部21が含まれなくてもよい。
【0058】
大便器10は、トイレを使用する使用者が大便または小便等を排泄する際に使用されるトイレの使用対象である。大便器10は、トイレ空間2内に設けられるトイレブースTBに配置される。例えば、大便器10は、使用者が着座する便座、及び洗浄用の水を吐水するためのノズルを操作するための操作部を含む便座装置を有する。大便器10は、便座装置以外にも、便蓋、便器等、大便器としての機能を実現するための各種構成を有するが、詳細な説明は省略する。なお、大便器10は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0059】
大便器10の検知部101は、大便器10に関する検知を行う。大便器10の検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBに関する検知を行う。検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBへの人(使用者)の入退場を検知する検知部として機能する。検知部101は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部101は、人体検知センサ、行動検知センサ、着座検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部101は、トイレブースTBのドア等に設けられ、トイレブースTBのドアの開閉を検知するドアセンサであってもよい。検知部101は、トイレブースTBのドア付近を撮像する画像センサであってもよい。検知部101は、大便器10への使用者の着座を検知する着座センサであってもよい。なお、上記は一例であり、検知部101は、使用者の大便器10への入退場を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。なお、大便器10と検知部101とは一体であってもよい。この場合、検知部101を有する大便器10が、異常検知システム1に含まれてもよい。なお、検知部101の配置位置は、特に限定されず、トイレブースTBの天井、壁面、床等に設置してもよく、大便器10の便座に搭載してもよい。
【0060】
大便器10の検知部101は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部101は、大便器10が配置されたトイレブースTBへの人の入退場を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その大便器10または大便器10が配置されたトイレブースTBを識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、大便器10が配置されたトイレブースTBへ入室した人が退室するまでの時間(使用時間)を示す検知情報を、その大便器10または大便器10が配置されたトイレブースTBを識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に大便器10が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部101が含まれなくてもよい。
【0061】
小便器20は、男性用のトイレ空間2に設けられ、トイレを使用する使用者が小便を排泄する際に使用されるトイレの使用対象である。小便器20は、トイレ空間2内に設けられる共有空間CSに配置される。なお、小便器20は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0062】
小便器20の検知部201は、小便器20に関する検知を行う。検知部201は、小便器20の人(使用者)の使用を検知する検知部として機能する。検知部201は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部201は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部201は、小便器20への人の近接を検知する近接センサであってもよい。なお、上記は一例であり、検知部201は、使用者の小便器20の使用を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。なお、小便器20と検知部201とは一体であってもよい。この場合、検知部201を有する小便器20が、異常検知システム1に含まれてもよい。例えば、検知部201は、小便器20の前面に設けられ、小便器20の前に位置する人を検知する。なお、検知部201の配置位置は、特に限定されず、共有空間CSの天井、壁面、床等に設置してもよい。
【0063】
小便器20の検知部201は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部201は、小便器20の人の使用を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その小便器20を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、人が使用している間(例えば小便器20に人が近接してから離れるまでの間)の時間(使用時間)を示す検知情報を、その小便器20を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に小便器20が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部201が含まれなくてもよい。
【0064】
洗面器30は、トイレを使用する使用者が手を洗ったり、顔を洗ったり、鏡を見たりする際に使用されるトイレの使用対象である。洗面器30は、トイレ空間2内に設けられる共有空間CSに配置される。例えば、洗面器30は、自動水栓の機能を有する蛇口、蛇口からの水を受けるボウル部を有する。なお、洗面器30は、異常検知システム1に含まれなくてもよい。
【0065】
洗面器30の検知部301は、洗面器30に関する検知を行う。検知部301は、洗面器30の人(使用者)の使用を検知する検知部として機能する。検知部301は、種々のセンサにより実現されてもよい、例えば、検知部301は、人体検知センサ、行動検知センサ、存在検知センサ等の各種のセンサであってもよい。検知部301は、洗面器30のへの人の身体の近接を検知する近接センサであってもよい。なお、上記は一例であり、検知部301は、使用者の洗面器30の使用を検知可能であればどのような手段により実現されてもよい。なお、洗面器30と検知部301とは一体であってもよい。この場合、検知部301を有する洗面器30が、異常検知システム1に含まれてもよい。例えば、検知部301は、洗面器30の蛇口付近に設けられ、洗面器30の蛇口への人の手の近接を検知する。なお、検知部301の配置位置は、特に限定されず、共有空間CSの天井、壁面、床等に設置してもよい。
【0066】
洗面器30の検知部301は、例えば無線通信機能を有する通信部(例えば通信回路等)を含み、収集装置50と無線により通信可能に接続される。例えば、検知部301は、洗面器30の人の使用を検知した場合、その検知や検知の日時などを示す検知情報を、その洗面器30を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。例えば、検知部21は、人が使用している間(例えば洗面器30の蛇口が水を吐水している間)の時間(使用時間)を示す検知情報を、その洗面器30を識別する識別情報(ID等)とともに収集装置50へ送信する。なお、異常検知システム1の異常検知の対象に洗面器30が含まれない場合、異常検知システム1には、検知部301が含まれなくてもよい。
【0067】
収集装置50は、各種情報を収集する。例えば、収集装置50は、ゲートウェイ装置等であってもよい。収集装置50は、各使用対象について検知されるセンサデータ等の検知情報を収集する装置である。収集装置50は、他の装置から情報を収集する。収集装置50は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等について検知された情報である検知情報を収集する。収集装置50は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の情報を検知する装置から検知情報を受信する。
【0068】
収集装置50は、トイレ空間2の検知部21からトイレ空間2の検知結果を受信する。収集装置50は、大便器10の検知部101から大便器10の検知情報を受信する。収集装置50は、小便器20の検知部201から小便器20の検知情報を受信する。収集装置50は、洗面器30の検知部301から洗面器30の検知情報を受信する。収集装置50は、トイレ空間2の検知部21、大便器10の検知部101、小便器20の検知部201及び洗面器30の検知部301と、無線により通信可能に接続される。なお、収集装置50は、情報の送受信が可能であれば、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の情報を検知する装置とどのように接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0069】
収集装置50はトイレ空間2外に配置されてもよいし、トイレ空間2内に配置されてもよい。例えば、収集装置50は、トイレ空間2が設けられた施設などに配置されるサーバ装置であってもよい。なお、上記は一例に過ぎず、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301と通信して、情報を収集し、収集した情報を解析装置100へ送信可能であれば、収集装置50の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。また、収集装置50は、解析装置100と一体であってもよい。この場合、解析装置100が収集装置50の機能を有し、解析装置100は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30等の使用対象の情報を収集する。
【0070】
解析装置100は、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する情報処理装置(コンピュータ)である。例えば、解析装置100は、クラウドサーバ等であってもよい。解析装置100は、収集装置50と、インターネット等の所定のネットワークNを介して、無線または有線により通信可能に接続される。なお、解析装置100は、情報の送受信が可能であれば、収集装置50とどのように接続されてもよく、無線により通信可能に接続されてもよいし、有線により通信可能に接続されてもよい。
【0071】
解析装置100は、収集装置50が収集した情報を用いて、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する。解析装置100は、収集装置50から受信した情報である収集情報を用いて、トイレの使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する判定処理を実行する。解析装置100は、収集情報を用いて、トイレ空間2に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、大便器10に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、小便器20に関する異常が生じたか否かを判定する。解析装置100は、収集情報を用いて、洗面器30に関する異常が生じたか否かを判定する。
【0072】
<1-5.解析装置の機能構成>
以下、解析装置の機能構成について図4を参照して説明する。図4は、実施形態に係る解析装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0073】
図4に示すように、解析装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、解析装置100は、解析装置100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0074】
通信部110は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、所定のネットワークN(図3参照)と有線または無線で接続され、収集装置50等の他の装置との間で情報の送受信を行う。
【0075】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部120は、判定処理等の異常検知プログラム等によって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。
【0076】
実施形態に係る記憶部120は、図4に示すように、配置情報記憶部121と、収集情報記憶部122とを有する。なお、記憶部120は、配置情報記憶部121及び収集情報記憶部122に限らず、処理に必要な様々な情報を記憶する。例えば、記憶部120は、判定処理で用いる様々な情報(例えば閾値に関する情報)を記憶する。例えば、記憶部120は、判定処理で用いる閾値を算出するための関数、算出した関数の情報を記憶する。
【0077】
実施形態に係る配置情報記憶部は、異常検知システム1の検知対象となる各種の使用対象の配置に関する各種情報を記憶する。例えば、配置情報記憶部は、トイレ空間2、大便器10、小便器20、及び洗面器30の配置に関する情報を記憶する。図5は、実施形態に係る配置情報記憶部の一例を示す図である。図5に示す配置情報記憶部には、「施設」、「トイレ空間」、「配置箇所」、「配置要素」といった項目が含まれる。
【0078】
「施設」は、トイレ空間が配置される場所を示す。なお、「施設」には、構造物に限らず、トイレ空間が配置される場所であれば様々な場所が登録可能である。「トイレ空間」は、各トイレ空間を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「トイレ空間」に「2」、「2」といった各トイレ空間に付した符号を図示するが、「トイレ空間」には、トイレ空間を特定可能な情報(例えばトイレ空間ID等)が記憶される。
【0079】
「配置箇所」は、各配置箇所を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「配置箇所」に「TB1」、「TB2」、「TB3」、「CS1」といったトイレ空間2の各構成に付した符号を図示するが、「配置箇所」には、配置箇所を特定可能な情報(例えば配置箇所ID等)が記憶される。
【0080】
「配置要素」は、対応する配置箇所に配置されるトイレの使用対象を識別するための識別情報を示す。例えば、「配置要素」は、対応する配置箇所に配置される大便器10、小便器20、及び洗面器30等のトイレの使用対象を識別するための識別情報を示す。図5では、説明の為に「配置要素」に「1011」、「1012」、「1013」、「2011」、「2012」、「2013」、「3011」、「3012」、「3013」等の各構成に付した符号を図示するが、「配置要素」には、各使用対象を識別可能であればどのような情報が登録されてもよい。
【0081】
例えば、「配置要素」には、対応する配置箇所に配置される大便器を特定可能な情報(例えば大便器ID等)、小便器を識別するための識別情報(例えば小便器ID等)、または洗面器を識別するための識別情報(例えば洗面器ID等)が記憶される。
【0082】
図5の例では、「2」により識別されるトイレ空間2には、「TB1」により識別されるトイレブースTB1、「TB2」により識別されるトイレブースTB2、「TB3」により識別されるトイレブースTB3が配置箇所として含まれることを示す。また、トイレ空間2には、「CS1」により識別される共有空間CS1が配置箇所として含まれることを示す。
【0083】
「TB1」により識別される配置箇所であるトイレブースTB1には、「1011」により識別される大便器1011が配置されることを示す。また、「TB2」により識別される配置箇所であるトイレブースTB2には、「1012」により識別される大便器1012が配置されることを示す。また、「TB3」により識別される配置箇所であるトイレブースTB3には、「1013」により識別される大便器1013が配置されることを示す。
【0084】
また、「CS1」により識別される配置箇所である共有空間CS1には、「2011」により識別される小便器2011、「2012」により識別される小便器2012、「2013」により識別される小便器2013が配置されることを示す。また、共有空間CS1には、「3011」により識別される洗面器3011、「3012」により識別される洗面器3012、「3013」により識別される洗面器3013が配置されることを示す。
【0085】
なお、配置情報記憶部121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、検知対象となる各使用対象のセンサデータ(検知情報)を検知するセンサ(検知部)を特定可能な情報(例えばセンサID等)を、そのセンサが検知する使用対象に対応付けて記憶してもよい。
【0086】
各トイレの使用対象の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各トイレの使用対象に対応付けて記憶してもよい。例えば、各トイレ空間2の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各トイレ空間2に対応付けて記憶してもよい。例えば、各大便器10の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各大便器10に対応付けて記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各小便器20が検知する情報や各小便器20の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各小便器20に対応付けて記憶してもよい。例えば、配置情報記憶部121は、各洗面器30が検知する情報や各洗面器30の具体的な配置位置を示す情報(例えば緯度経度情報等)を、各洗面器30に対応付けて記憶してもよい。
【0087】
収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象について収集したセンサデータ等の検知情報を記憶する。収集情報記憶部122は、収集装置50から受信した情報を記憶する。収集情報記憶部122は、検知部21、検知部101、検知部201及び検知部301により検知された検知情報を記憶する。例えば、収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象の使用履歴を、各トイレの使用対象を識別する情報に対応付けて記憶する。
【0088】
例えば、収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象が使用された日時を、各トイレの使用対象を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各大便器10が使用された日時を、各大便器10を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各大便器10が配置されたトイレブースTBが使用された日時を、各トイレブースTBを識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各小便器20が使用された日時を、各小便器20を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各洗面器30が使用された日時を、各洗面器30を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各トイレ空間2が使用された日時を、各トイレ空間2を識別する情報に対応付けて記憶する。
【0089】
例えば、収集情報記憶部122は、各トイレの使用対象が使用された日時、及びその使用における使用時間を、各トイレの使用対象を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各大便器10が使用された日時、及びその使用における使用時間を、各大便器10を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各大便器10が配置されたトイレブースTBが使用された日時、及びその使用における使用時間を、各トイレブースTBを識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各小便器20が使用された日時、及びその使用における使用時間を、各小便器20を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各洗面器30が使用された日時、及びその使用における使用時間を、各洗面器30を識別する情報に対応付けて記憶する。収集情報記憶部122は、各トイレ空間2が使用された日時、及びその使用における使用時間を、各トイレ空間2を識別する情報に対応付けて記憶する。
【0090】
なお、上記は一例に過ぎず、収集情報記憶部122は、収集された様々な情報を記憶する。
【0091】
図4に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって、解析装置100内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る判定処理等の異常検知プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0092】
図4に示すように、制御部130は、取得部131と、算出部132と、判定部133と、送信部134とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図4に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0093】
取得部131は、各種情報を取得する。取得部131は、記憶部120から各種情報を取得する。取得部131は、他の装置から情報を受信する。取得部131は、収集装置50が収集した情報(検知情報等)を収集装置50から受信する。取得部131は、トイレの使用対象について検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、トイレの使用対象に対応するセンサ等により検知された検知情報を収集装置50から受信する。
【0094】
取得部131は、トイレ空間2について検知部21により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、大便器10について検知部101により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、大便器10が配置されたトイレブースTBについて検知部101により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、小便器20について検知部201により検知された検知情報を収集装置50から受信する。取得部131は、洗面器30について検知部301により検知された検知情報を収集装置50から受信する。
【0095】
取得部131は、処理に用いる情報を記憶部120から取得する。取得部131は、判定処理に用いる情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、判定対象となるトイレの使用対象に対応する情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、統計量の算出に用いる情報を、収集情報記憶部122から取得する。取得部131は、閾値の算出に用いる情報を、収集情報記憶部122から取得する。
【0096】
取得部131は、トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する。取得部131は、トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうちいずれか1つの種別である同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する。取得部131は、同一種別の使用対象群であるトイレブース群のうち、一のトイレブースの選択傾向を示す情報を取得する。取得部131は、同一種別の使用対象群の各々の使用回数を示す情報を取得する。
【0097】
算出部132は、算出処理を行う。算出部132は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて算出処理を行う。算出部132は、取得部131により取得された各種の情報を用いて算出処理を行う。
【0098】
算出部132は、判定処理に用いる各種の値を算出する。算出部132は、判定処理に用いる閾値を算出する。算出部132は、判定対象となる使用対象に関する統計量を算出する。
【0099】
算出部132は、使用対象に関する統計量を算出する。算出部132は、使用対象が使用者により所定の期間または回数において使用される時間の統計量を算出する。
【0100】
算出部132は、トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を算出する。算出部132は、同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される傾向である選択確率を算出する。算出部132は、トイレブース、洗面器、小便器、大便器、トイレ空間のうちいずれか1つの種別である同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される選択確率を算出する。算出部132は、同一種別の使用対象群であるトイレブース群のうち、一のトイレブースの選択確率を算出する。算出部132は、使用対象群のうち、所定の期間または回数における一の使用対象の選択確率を算出する。算出部132は、所定の期間または回数における使用対象群の総選択回数で、所定の期間または回数における一の使用対象の選択回数を除することにより、一の使用対象の選択確率を算出する。
【0101】
判定部133は、判定処理を行う。判定部133は、記憶部120に記憶された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、取得部131により取得された各種の情報を用いて判定処理を行う。判定部133は、算出部132により算出された各種の値(情報)を用いて判定処理を行う。
【0102】
判定部133は、算出部132により算出された閾値を用いて判定処理を行う。判定部133は、算出部132により算出された使用対象に関する統計量を用いて判定処理を行う。判定部133は、判定対象となる一の使用対象に関する統計量を用いて、一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する。
【0103】
判定部133は、一の使用対象の選択傾向が、一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、一の使用対象に関する異常が生じたと判定する。判定部133は、一のトイレブースの選択傾向が、一のトイレブースの過去の選択傾向から乖離した場合、一のトイレブースに異常が生じたと判定する。判定部133は、一の使用対象が所定の回数以上に連続して選択されなかった場合、一の使用対象に関する異常が生じたと判定する。判定部133は、使用対象群のうち、所定の期間または回数における一の使用対象の選択確率を用いて、一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する。判定部133は、所定の期間または回数における使用対象群の総選択回数に、所定の期間または回数における一の使用対象の選択回数が占める割合を示す選択確率を用いて、一の使用対象に関する異常が生じたか否かを判定する。
【0104】
送信部134は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。送信部134は、判定部133による判定結果に関する情報を、異常検知システム1を管理する管理者が利用する管理者装置へ送信する。送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象に関する情報を送信する。送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象を識別する情報を管理者装置へ送信する。送信部134は、判定部133による判定が異常を示す場合、異常と判定されたトイレの使用対象が配置される場所を示す情報を管理者装置へ送信する。なお、送信部134は、収集装置50へ情報を送信してもよい。例えば、送信部134は、収集装置50が収集した情報を要求する情報を収集装置50へ送信する。
【0105】
<1-6.処理の流れ>
ここから、図6を用いて、異常検知処理の処理フローについて説明する。図6は、異常検知システムが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0106】
異常検知システム1は、トイレの使用者による使用の対象となる同一種別の使用対象群のうち、一の使用対象が使用者により選択される傾向である選択傾向を示す情報を取得する(ステップS101)。例えば、異常検知システム1の解析装置100は、大便器10が各々配置されるトイレブースTB群のうち、一のトイレブースTBの選択傾向を示す情報を取得する。
【0107】
異常検知システム1は、一の使用対象の選択傾向が、一の使用対象の過去の選択傾向から乖離した場合、一の使用対象に関する異常が生じたと判定する(ステップS102)。例えば、異常検知システム1の解析装置100は、大便器10が配置される一のトイレブースTBの選択傾向が、一のトイレブースTBの過去の選択傾向から乖離した場合、一のトイレブースTBに異常が生じたと判定する。
【0108】
<1-7.異常検知例>
ここから、図7図10を用いて、異常検知に関する具体的な処理例を説明する。なお、上述した内容と同様の点については適宜説明を省略する。まず、図7を用いて、使用割合の一例である選択確率の算出について説明する。図7は、同一種別の使用対象の使用割合の一例を示す図である。
【0109】
図7では、解析装置100は、算出式FC1を用いて、各トイレブースTB(単に「ブース」ともいう)の選択確率を算出する。算出式FC1中の「m」はブース数に対応し、「i」はブース番号に対応する。具体的には、図7では、解析装置100は、ブース数が3(m=3)である場合を一例として示す。「i=1」のブース#1は、例えばトイレブースTB1に対応する。また、「i=2」のブース#2は、例えばトイレブースTB2に対応する。また、「i=3」のブース#3は、例えばトイレブースTB3に対応する。解析装置100は、算出式FC1に示すように、複数のブースの使用人数(使用回数)の合計で、一のブースの使用人数(使用回数)を除することにより、一のブースの使用割合である選択確率を算出する。
【0110】
図7では、ある期間(「収集対象範囲」ともいう)でのブース全体の総利用人数が10人である場合を示す。また、収集対象範囲でのブース#1の使用回数は、3回であることを示す。また、収集対象範囲でのブース#2の使用回数は、2回であることを示す。また、収集対象範囲でのブース#3の使用回数は、5回であることを示す。なお、収集対象範囲は、例えば1日、1週間等の任意の範囲が設定可能である。また、収集対象範囲は、例えば100回(使用者100人)等の回数等で規定される範囲であってもよい。
【0111】
図7では、解析装置100は、算出式FC1を用いて、収集対象範囲におけるブース#1の選択確率pを「3/10」と算出し、パーセント(百分率)では「30%(=3/10*100)」と算出する。また、解析装置100は、算出式FC1を用いて、収集対象範囲におけるブース#2の選択確率pを「2/10」と算出し、パーセント(百分率)では「20%(=2/10*100)」と算出する。また、解析装置100は、算出式FC1を用いて、収集対象範囲におけるブース#3の選択確率pを「5/10」と算出し、パーセント(百分率)では「50%(=5/10*100)」と算出する。このように、解析装置100は、使用対象群の各使用対象について、収集対象範囲に対応する選択確率を算出する。
【0112】
次に、図8図10を用いて、異常検知に関する処理フロー及び処理の具体例について説明する。図8は、異常検知に関する処理フローの一例を示す図である。具体的には、図8では、N(Nは任意の数)人目が一のブースに入室した場合に異常検知を行う例を示す。図9は、使用対象の使用割合の一例を示す図である。図10は、異常検知の処理の一例を示す図である。
【0113】
まず、図8では、N人目の使用者が一のブースに入室する(ステップS201)。そして、解析装置100は、N-a~N人目までのブース#1~#3の各々の使用者(「利用者」ともいう)の数である利用者数n~nをカウントする(ステップS202)。図9では、収集情報LG1に示すように、「a=10」である場合を一例として示し、解析装置100は、N-10~N人目までのブース#1~#3の各々の利用者数n~nをカウントする。図9の処理情報PS1に示すように、解析装置100は、N-10~N人目までの使用者について、ブース#1の利用者数nを「2」人、ブース#2の利用者数nを「3」人、及びブース#3の利用者数nを「5」人とカウントする。
【0114】
そして、解析装置100は、各ブースの使用割合を計算する(ステップS203)。図9では、解析装置100は、N-10~N人目までのブース#1~#3の各々の使用割合である選択確率p~pを計算する。図9の処理情報PS2に示すように、解析装置100は、N-10~N人目までの使用者について、ブース#1の使用割合である選択確率pを「0.2」、ブース#2の使用割合である選択確率pを「0.3」、及びブース#3の使用割合である選択確率pを「0.5」と算出する。
【0115】
解析装置100は、各ブースの使用割合が各ブースに対応する閾値未満であるか否かを判定する(ステップS204)。解析装置100は、ブース#1~#3の各々の使用割合である選択確率p~pと、ブース#1~#3の各々の閾値T~Tとを用いて判定を行う。図10では、解析装置100は、横軸に対応する所定の期間LP1に対応する学習期間Dでの情報を用いて、ブース#1~#3の各々の閾値T~Tを算出する。図10では、時点pd1で発生した異常が時点pd2で検知される例を示す。
【0116】
図10では、解析装置100は、各使用対象について、学習期間Dにおける使用割合の平均及び分散の値を用いて、各使用対象に対応する閾値を算出する。解析装置100は、ブース#1について、学習期間Dでの選択確率pの平均μ及び分散σを用いて、ブース#1の閾値Tを算出する。また、解析装置100は、ブース#2について、学習期間Dでの選択確率pの平均μ及び分散σを用いて、ブース#2の閾値Tを算出する。また、解析装置100は、ブース#3について、学習期間Dでの選択確率pの平均μ及び分散σを用いて、ブース#2の閾値Tを算出する。
【0117】
例えば、解析装置100は、「T=μ-3σ」の式を用いて、ブース#1の閾値Tを算出する。このように、解析装置100は、選択確率pの平均μから、選択確率pの分散σに3を乗じた値を減算することにより閾値Tを算出する。解析装置100は、同様の処理により、ブース#2の閾値T及びブース#3の閾値Tを算出する。
【0118】
解析装置100は、各ブースのいずれも使用割合が対応する閾値未満ではないと判定した場合(ステップS204;No)、次の使用者の一のブースへの入室に応じて、ステップS201に戻って処理を繰り返す。
【0119】
一方、解析装置100は、各ブースのうち、一のブースの使用割合が対応する閾値未満であると判定した場合(ステップS204;Yes)、その一のブースに異常が発生した判定する(ステップS205)。そして、解析装置100は、異常が検知された一のブースに関する処理を行う。例えば、解析装置100は、異常が検知された一のブースを示す情報を管理者が利用する管理者装置等に通知(送信)する。なお、ステップS205後において、解析装置100は、異常判定の処理を終了してもよいし、ステップS201に戻って処理を繰り返してもよい。
【0120】
上述したように、解析装置100は、ある期間におけるブースの使用割合を利用ごとに計算し、傾向が大きく変化したら異常と判定する。
【0121】
上記のように、解析装置100は、各使用対象に対応する閾値を算出する。解析装置100は、トイレブースTB1~TB3の過去の選択確率を基に閾値を算出してもよい。例えば、図1では、解析装置100は、トイレブースTB1~TB3の各々について学習期間Dにおけるデータを用いて、異常検知の閾値を算出してもよい。
【0122】
例えば、解析装置100は、トイレブースTB1について、学習期間Dでの第1選択確率の平均である第1平均及び分散である第1分散を用いて、トイレブースTB1の閾値(第1閾値)を算出する。例えば、解析装置100は、トイレブースTB2について、学習期間Dでの第2選択確率の平均である第2平均及び分散である第2分散を用いて、トイレブースTB2の閾値(第2閾値)を算出する。例えば、解析装置100は、トイレブースTB3について、学習期間Dでの第3選択確率の平均である第3平均及び分散である第3分散を用いて、トイレブースTB3の閾値(第3閾値)を算出する。
【0123】
解析装置100は、第3選択確率の第3平均から、第3選択確率の第3分散に3を乗じた値を減算することにより第3閾値を算出する。解析装置100は、同様の処理により、トイレブースTB1の第1閾値及びトイレブースTB2の第2閾値を算出する。なお、上述した閾値は一例に過ぎず、様々な閾値が適宜設定されてもよい。例えば、解析装置100は、一の使用対象の過去の選択確率の平均を低下させた値(例えば平均の半分(50%)等)を、その一の使用対象の閾値に設定してもよい。
【0124】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 異常検知システム
2 トイレ空間
10 大便器
20 小便器
30 洗面器
50 収集装置
100 解析装置
110 通信部
120 記憶部
121 配置情報記憶部
122 収集情報記憶部
130 制御部
131 取得部
132 算出部
133 判定部
134 送信部
CS 共有空間
TB トイレブース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10